JP5244889B2 - 立体画像印刷用印画紙、立体画像印刷物、及び立体画像の提供方法 - Google Patents
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Description
本発明は、従来の問題点に鑑みなされたものであって、立体画像印刷物のクロストーク及びゴースト像を軽減することを課題とする。より具体的には、本発明は、クロストークやゴースト像が低減された立体画像印刷物、及び該立体画像を印刷可能な立体画像用印画紙、並びに該立体画像印刷物を提供する方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 光透過性画像受像層及び直線偏光層を有し、且つ前記直線偏光層が、互いの偏光軸の向きが90°をなす、第1のドメイン及び第2のドメインにパターニングされていることを特徴とする立体画像印刷用印画紙。
[2] 前記直線偏光層が、二色性色素を含む液晶性組成物を塗布することにより形成された塗布型の直線偏光層であることを特徴とする[1]の印画紙。
[5] 前記1/4波長層が、硬化性液晶性組成物を硬化してなることを特徴とする[4]の印画紙。
[6] 前記直線偏光層が、パターン露光された光配向膜によって配向制御された二色性色素組成物を配向固定化してなることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの印画紙。
[7] 前記光透過性画像受像層が、塗布手段、吹き付け手段及び滴下手段のいずれかの手段により形成された層であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの印画紙。
[8] 前記光透過性画像受像層が、銀塩写真法、感熱転写法、又はインクジェット法により画像受像可能な画像受像層であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかの印画紙。
[9] 前記光透過性画像受像層が、銀塩写真法により画像受像可能な画像受像層であり、青感光性乳剤層、緑感光性乳剤層、及び赤感光性乳剤層を有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの印画紙。
[10] 前記光透過性画像受像層が、感熱転写法により画像受像可能な画像受像層であり、染色性受容ポリマーの少なくとも1種を含有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの印画紙。
[11] 前記画像受像層が、インクジェット法により画像受像可能な画像受像層であり、水溶性高分子及び無機微粒子を少なくとも含む組成物からなることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの印画紙。
[12] [1]〜[11]のいずれかの印画紙と、該印画紙の光透過性画像受像層上に形成された視差のある左眼用画像及び右眼用画像とを有する立体画像印刷物であって、該左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれを構成する画素が、前記印画紙の直線偏光層の第1のドメイン及び第2のドメインに対応する位置に形成されていることを特徴とする立体画像印刷物。
[13] 観察者の視認側と反対の面に、非偏光解消性の反射層をさらに有することを特徴とする[12]の立体画像印刷物。
[14] [12]又は[13]の立体画像印刷物を準備すること、
該立体画像印刷物を、左眼用及び右眼用のレンズが、互いに逆向きの円偏光レンズ又は偏光軸が互いに直交した直線偏光レンズである、偏光メガネを着用した観察者に対して表示すること、
を含む立体画像の提供方法。
なお、本明細書では、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、及びRth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。また、波長が省略されている場合は、波長550nmの値をいうものとする。また、面内レターデーション(Re(λ))はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。厚み方向レターデーション(Rth(λ))は、Re(λ)の値、及び斜め方向から入射して測定される複数の値に基づいて算出される値である。
また、本明細書では、「可視光」とは、380nm〜780nmのことをいう。また、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば「直交」、「平行」、及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
また、本明細書では、「クロストーク」及び「ゴースト像」とは、左右画像の分離が不完全である場合に、二重像として認識されること、及び目的画像以外の像として認識されることをいう。
本発明は、光透過性画像受像層及び直線偏光層を有し、且つ前記直線偏光層が、互いの偏光軸の向きが90°をなす、第1のドメイン及び第2のドメインにパターニングされていることを特徴とする立体画像印刷用印画紙に関する。
本発明の印画紙は、光透過性画像受像層を備えているので、色濃度の高い視差のある左眼画像及び右眼画像を形成することができる。その結果、画像受像層を利用していない従来例と比較して、クロストーク及びゴースト像を軽減することができる。さらに、塗布手段等により形成された画像受像層を有する態様では、薄層化が可能であり、クロストーク及びゴースト像をより軽減することができる。さらに、感熱転写法、インクジェット法、又は銀塩写真法(特にライトジェット法)により画像受像可能な画像受像層を備えた態様では、サーマルヘッド、インクジェットヘッド、又は画像描き込みのためのレーザー光を制御することで、位相差層のパターンに対応した所望の位置に、色濃度の高い視差のある左眼画像及び右眼画像を容易に形成することができる。
画像受像層12に形成される左眼用及び右眼用の画像のパターン形状は直線偏光層の第1及び第2のドメインの形状とほぼ同一であることが好ましい。画像受像層12に形成される左眼用及び右眼用画像のパターンは、画像受像層面内において同程度の面積を占めることが好ましい。また、それぞれの領域が面内の一部に偏ることなく、全体にわたって均等に分布していることが好ましい。人間の眼の解像度に対する感度は垂直方向に低く、水平方向に高いため、水平方向の解像度が高くなるようなパターンが好ましい。また、奥行き知覚をもたらす両眼視差は、左右両眼のそれぞれの視野内における観察対象の位置の水平方向のずれに相当するため、水平方向の解像度が高いことは、奥行きのなめらかな立体視を与える点からも好ましい。
図3に示す印画紙10Bは、画像受像層12とパターニング直線偏光層14との間に、配向層15を有する。配向層15は、配向規制力を有し、パターニング直線偏光膜14を、二色性色素を少なくとも含有する液晶組成物から形成するのに利用される。詳細は後述する。配向層15は、例えば、光照射によって配向規制力を発現する光配向膜、及びラビング処理によって配向規制力を発現するラビング配向膜等、いずれを利用してもよい。
また、保護層のRthも直線偏光画像の偏光状態に影響を与え、クロストーク及びゴースト像の原因になるので、保護層のRthは、20nm以下であるのが好ましく、5nm以下であるのがより好ましい。
図4に示す印画紙10Cは、パターニング直線偏光層14を、透明支持体17上の配向層15の表面に形成した積層体を、位置合わせした後、画像受像層12と透明支持体17の裏面(直線偏光層14が形成されていない側の面)とを粘着剤で貼り合せた態様であり、画像受像層12と支持体17との間に粘着剤層16を有する。
まず、光配向膜用組成物を、ポリマーフィルム等からなる透明支持体の表面に塗布して、膜を形成する。次に、ワイヤーグリッドを利用して直線偏光を照射する。具体的には、まず、図7(a)に示す様に、方向1に、ワイヤーグリッド偏光子をセットし、マスクA(図中、黒色部が遮光部で、且つ白色部が光透過部である。マスクBについても同様である)を介して露光する。その後、図7(b)に示す様に、方向1と90度をなす方向2に、ワイヤーグリッド偏光子をセットし、マスクBを介して露光する。これにより、配向軸が互いに直交する、第1及び第2の光配向膜ドメインを形成することができる。さらに、この光配向膜上で後述の二色性色素を含む液晶組成物を配向させると、第1の光配向膜ドメイン上の色素はその配向軸に従って配向し、及び第2の光配向膜ドメイン上の色素はその配向軸に従って配向する。この状態で固定すると、図2に示すような、偏光軸a及びbが互いに90°の方向をなす第1及び第2のドメイン14a及び14bからなるパターニング直線偏光層14を形成することができる。
光透過性画像受像層:
本発明に係る画像受像層は、光透過性である。具体的には、光透過率が70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのが特に好ましい。本発明では、塗布手段、吹き付け手段及び滴下手段のいずれかにより形成された色素受像性の画像受像層であるのが、高い色濃度の画像を形成でき、クロストーク及びゴーストの発生をより軽減できるので好ましい。なお、本明細書において、「画像受像層」とは色素等からなる画像を受像可能な画像受像性の層であって、リバーサルのように、赤、緑、青の感光乳剤を受容し、ライトジェット法等により画像を形成する層、又は、感熱転写のように転写する色素を受容する層やインクジェット法のように打滴された色素を受容することにより画像を形成する層を意味するものとする。本発明では、画像受像層として、銀塩写真法(特にライトジェット法)、感熱転写法、又はインクジェット法により画像受像可能な画像受像層を利用するのが好ましい。それぞれ、画像描き込みのためのレーザー光、サーマルヘッド、又はインクジェットヘッドを制御することで、位相差層のパターンに対応した所望の位置に、色濃度の高い視差のある左眼画像及び右眼画像を容易に形成することができる。
本発明では、銀塩写真法により画像受像可能な画像受像層を利用するのが好ましい。、特に好ましくはライトジェット法により画像受像可能なリバーサルフィルムを利用するのが好ましい。リバーサルフィルムを用いると、レーザー光等を制御して、デジタル化された画像データに基づいて、直線偏光層の第1及び第2のドメインに相当する正確な位置に、左眼用及び右眼用画像をそれぞれ高い画像濃度で形成することができ、クロストーク及びゴースト像を軽減できる。後述するインクジェット法又は感熱転写法により画像受像可能な画像受像層を利用しても、クロストーク及びゴースト像の軽減に寄与するが、リバーサルフィルムを用いると、クロストーク及びゴースト像の軽減効果に加えて、予期せぬことに、立体画像の奥行き感をさらに改善できることがわかった。これは人間の目は水平方向の解像度に敏感に反応するためであると考えられる。リバーサルフィルム(銀塩写真方式)上にライトジェット法等でレーザー光により描き込みし、現像した画像は、インクジェット方式及び感熱転写方式で書き込まれた画像と比較して、網点階調に関して、粒状感のない連続階調が得られる。立体画像は横方向(水平方向)の解像度が高ければ高いほど、滑らかな奥行き感のある高階調な画像となるので、リバーサルフィルムを利用している本態様では、より奥行き感のある立体画像が得られたものと考えられる。
フジクローム T64 プロフェッショナル、フジクロームPROVIA 100F プロフェッショナル、フジクロームPROVIA 400X プロフェッショナル、フジクロームASTIA 100F プロフェッショナル、フジクロームSensiaIII 100、フジクローム Velvia 100F プロフェッショナル、フジクローム Velvia 100 プロフェッショナル、フジクローム TREBI 100C等を用いることもできる。
本発明に利用可能な熱転写法により画像受像可能な画像受像層(感熱転写画像受像層)については特に制限はない。種々の感熱転写画像受像層を種々利用することができる。感熱転写時に、転写インクシートから移行してくる色素を受容し、形成された画像を維持するために染着しやすい樹脂(染着性受容ポリマー)を主成分として含有しているのが好ましい。感熱転写画像受像層の材料の例には、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂等が含まれる。また、以下の一般式[1]で表される繰り返し単位を有するポリマーを含有する感熱転写画像受像層は、転写感度及び画像保存性に優れているので好ましい。該ポリマーは、ラテックスとして含有されていてもよい。
nは1〜30の整数が好ましく、1〜20の整数がより好ましく、1〜10の整数が最も好ましい。
アルケニル基およびアルキニル基は炭素数2〜30(好ましくは2〜20)、シクロアルキル基は炭素数3〜30(好ましくは5〜20)、シクロアルキニル基は炭素数6〜30(好ましくは6〜20)がそれぞれ好ましい。一方、アルキル基は炭素数1〜20がより好ましい。
Z1は水素原子または上記の好ましい範囲の脂肪族基が好ましく、水素原子およびアルキル基がより好ましい。
本発明において、置換基とはどのようなものでも構わないが、下記の置換基群から選ばれる置換基が好ましい。
(置換基群)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
R3、R4、mおよびZ2は、それぞれ対応する一般式[1]のR1、R2、nおよびZ1と同義であり、好ましい範囲も同じである。
R5、R6およびlは、それぞれ対応する一般式[1]のR1、R2およびnと同義であり、好ましい範囲も同じである。Z3は一般式[1]におけるZ1における包含される範囲において、好ましい範囲と同じである。
また、前記一般式[1]〜[3]で表されるモノマーは、日本油脂製ブレンマーシリーズ、及び東亜合成製アロニックスシリーズとして市販されているので、当該市販品を用いることもできる。
中間層は目的に応じて2層以上形成してもよい。また、中間層を有する態様は、画像受像層と少なくとも一層の中間層とを、同時重層塗布法により同時に塗布し、乾燥して形成するのが好ましい。
本発明に利用可能なインクジェット法により画像受像可能な画像受像層(インクジェット画像受像層)については特に制限はない。種々のインクジェット画像受像層を種々利用することができる。上記インクジェット画像受像層は、インクジェット法によって着弾したインク中の色素を受容し、形成された画像を維持するために染着しやすい材料からなるのが好ましい。中でも、無機微粒子及び水溶性樹脂を含有する組成物からなる画像受像層が好ましい。以下、この態様について、詳細に説明する。
その際、画像受像層形成液の塗布と同時、又は、画像受像層形成液を塗布して形成された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前に、該塗布層にpHが7.1以上の塩基性溶液が付与されることが好ましい。すなわち、画像受像層は、画像受像層形成液の塗布後、この塗布層が恒率乾燥を示す間にpHが7.1以上の塩基性溶液を導入することで、好適に製造される。
また、画像受像層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。
上記空隙率及び細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製 ボアサイザー9320−PC2)を用いて測定することができる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シリカ微粒子が好ましい。
また、無機微粒子のBET法による比表面積は200m2/g以上が好ましく、250m2/g以上がさらに好ましく、380m2/g以上が特に好ましい。無機微粒子の比表面積が200以上m2/gであると、画像受像層の透明性が高く、印画濃度を高く保つことが可能である。
前記水溶性樹脂としては、例えば、親水性基としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基及び/又はその塩を有するポリアクリル酸、マレイン酸樹脂、アルギン酸、ゼラチン類等も挙げることができる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11−165461号公報の段落「0011」〜「0014」に記載の化合物なども挙げられる。
これら水溶性樹脂はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
尚、透明性を保持して印画濃度を向上させる観点からは、無機微粒子に組み合わせる水溶性樹脂の種類が重要となる。該水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、その中でも、鹸化度70〜100%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコール系樹脂が更に好ましい。
本発明における画像受像層は、上記質量含有比〔PB比(x:y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれやすくなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカと水溶性樹脂とを、質量含有比(x:y)2:1〜5:1で水溶液中に完全に分散した溶液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
無機微粒子として気相法シリカを用いる場合、気相法シリカと分散剤を水中に添加して(例えば、水中の気相法シリカは10〜20質量%)、対向衝突型高圧ホモジナイザー(例えば、(株)スギノマシン製「アルティマイザー」)を用いて、例えば120MPa(好ましくは100〜200MPa)の高圧条件で分散させた後、ホウ素化合物、PVA水溶液(例えば、上記気相法シリカの1/3程度の質量のPVAとなるように)、その他の成分を加え撹拌することにより調製することができる。得られた画像受像層形成液は均一なゾル状態であり、これを支持体上に塗布することにより、三次元網目構造を有する多孔質性の画像受像層を形成することができる。
上記分散剤の微粒子に対する添加量は、0.1質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。
上記の架橋剤は、一種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の酸は金属塩(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、セシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、マグネシウム、ストロンチウム、セリウムなどの塩)、又はアミン塩(例えばアンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、ポリアリルアミンなど)の形態で使用してもよい。
これら紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤としては、アルキル化フェノール化合物(ヒンダードフェノール化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えばリン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ヘキサンジオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えばリノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
中でも、インク吸収速度の向上や印画濃度低下防止の観点からは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオールが特に好ましい。
パターニング直線偏光層:
本発明の印画紙は、パターニング直線偏光層を有する。パターニング直線偏光層としては、自然光などの任意の方向に振動する光を直線偏光とする層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよい。偏光層の単層透過率は、30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上が特に好ましい。偏光層の単層透過率が、30%未満であると、光の利用効率が大幅に低下してしまう。また、偏光層のオーダーパラメーターは、0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上が特に好ましい。偏光層のオーダーパラメーターが、0.7未満であると、光の利用効率が大幅に低下してしまう。偏光層の吸収軸の光学濃度は、1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2以上が特に好ましい。偏光層の吸収軸の光学濃度は、1未満であると、偏光度が大幅に低下し、クロストークやゴースト像が見えてしまう。偏光層の波長帯域は、可視光を偏光変換するという観点で、400nmから800nmをカバーすることが好ましい。偏光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよいが、光学特性を発揮する点、視差を発生させない点、製造の容易さの点で、0.01〜2μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
これら延伸タイプの偏光板以外にも、パターニングが容易である観点、偏光度が比較的高い観点から、以下の直線偏光膜も、本発明において直線偏光層として、好適に用いられる。例えば、特開2000−352611号公報に記載の重合性コレステリック液晶を用いた直線偏光板、特開平11−101964号公報、特開2006−161051号公報、特開2007−199237号公報、特表2002−527786号公報、特表2006−525382号公報、特表2007−536415号公報、特表2008−547062号公報、特許第3335173号に記載の二色性色素を含有し一軸配向した液晶を用いたゲスト−ホスト型直線偏光板、特開昭55−95981号公報に記載のアルミニウムなどの金属グリッドを用いたワイヤグリッド偏光板、特開2002−365427号公報に記載のカーボンナノチューブを分散・配列させた高分子化合物又は液晶化合物からなる偏光板、特開2006−184624号公報に記載の金属微粒子を分散・配列させた高分子化合物からなる偏光板、特開平11−248937号公報、特表平10−508123号公報、特表2005−522726号公報、特表2005−522727号公報、特表2006−522365号公報に記載のポリビニレン型直線偏光板、特開平7−261024号公報、特開平8−286029号公報、特開2002−180052号公報、特開2002−90526号公報、特開2002−357720号公報、特開2005−154746号公報、特開2006−47966号公報、特開2006−48078号公報、特開2006−98927号公報、特開2006−193722号公報、特開2006−206878号公報、特開2006−215396号公報、特開2006−225671号公報、特開2006−328157号公報、特開2007−126628号公報、特開2007−133184号公報、特開2007−145995号公報、特開2007−186428号公報、特開2007−199333号公報、特開2007−291246号公報、特開2007−302807号公報、特開2008−9417号公報、特表2002−515075号公報、特表2006−518871号公報、特表2006−508034号公報、特表2006−531636号公報、特表2006−526013号公報、特表2007−512236号公報に記載の(クロモゲン)(SO3M)n等で表されるリオトロピック液晶性色素からなる偏光板、特開平8−278409号公報、特開平11−305036号公報に記載の二色性色素からなる偏光板が好ましい例として挙げられる。コレステリック液晶は通常円偏光分離機能があるが、1/4波長層との組み合わせによって直線偏光板にすることができる。この場合の1/4波長層は、少なくとも一種の液晶化合物を含有する組成物から形成されていることが好ましく、また、重合性基を有する少なくとも一種の液晶化合物を含有する組成物を、液晶相とした後、熱を供給及び/又は紫外線を照射することで硬化させて形成された層であることが好ましい。偏光度の観点から、ヨウ素系偏光板、二色性染料を用いる染料系偏光板、リオトロピック液晶性色素からなる偏光板、二色性色素からなる偏光板が好ましい。
前記直線偏光層の一態様の形成に用いられる「二色性色素」とは、方向によって吸光度が異なる色素を意味する。また、「二色性」及び「二色比」は、二色性色素組成物を二色性色素層としたときの、偏光軸方向の偏光の吸光度に対する、吸収軸方向の偏光の吸光度の比で計算される。前記直線偏光層の形成に用いられる二色性色素は、液晶性であるのが好ましく、ネマチック液晶性であるのがより好ましい。前記直線偏光層の形成に用いられる二色性色素を含有する液晶性組成物(以下、「二色性色素組成物」という場合もある)は、液晶性の非着色性低分子化合物を含んでいてもよいが、その占める割合が30質量%以下であるのが好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。即ち、本発明で使用する液晶性組成物では、二色性色素分子は自らの配向能によって、又は他の色素と併用することで配向し、その状態が固定されることで、二色性色素層として機能するのが好ましい。例えば、二色性色素とともに、主成分として非着色性の液晶化合物を含有する組成物を利用して、液晶化合物の分子の配向に沿って、二色性色素の分子を配向させ、所定の二色比を達成している、いわゆるゲストホスト(GH)タイプの組成物として調製することもできるが、GHの態様よりも、前記態様のほうが高い二色比を達成可能であり、好ましい。本発明において使用する組成物は、液晶性の非着色性低分子化合物の占める割合が低いかあるいは全く含まないことで高い色素濃度を得ることができ、直線偏光層を薄膜化することができる。
ここで半値幅とは、X線回折測定の一つの回折ピーク内において、ベースラインを基準としたピーク頂点の強度を求め、ピーク頂点の左右に一つずつある、該強度の半分の強度を示す2点をとり、2点のそれぞれが示す周期の値の差をとった値のことである。
二色性色素の分子長軸と配向軸のなす角度のばらつきが大きいと、分子間距離のばらつきも大きくなる。すると、周期構造がある場合、その周期の値もばらつき、X線回折測定で得られる回折ピークはブロードになって大きな半値幅を示すことになる。
これに対し、回折ピークの半値幅が一定値以下であるシャープなピークであるということは分子間距離のばらつきが小さく、二色性色素の分子長軸と配向軸のなす角度が平均して小さいこと、すなわち高秩序に配向していることを意味し、高い二色比を発現すると推測される。
まず、直線偏光層について、15°刻みで全方向のインプレーン測定を実施する。ピークが観測された角度を固定したまま、サンプルを基板に平行な面内で回転して測定する所謂φスキャンにより、ピーク強度が大きい基板平面内における向きを決定する。得られた向きにおけるインプレーン測定のピークを用いて、周期、半値幅を求めることができる。
本発明における二色性色素組成物は、下記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素の少なくとも一種を含有することが特に好ましい。下記一般式(I)〜(IV)で表される二色性色素は、ネマチック液晶性を有するのが好ましい。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
該フェニル基又は該ナフチル基が有していてもよい置換基としては、アゾ化合物の溶解性やネマチック液晶性を高めるために導入される基、色素としての色調を調節するために導入される電子供与性や電子吸引性を有する基、又は配向を固定化するために導入される重合性基を有する基が好ましく、具体的には、前記R11〜R14で表される置換基と同義である。好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イミノ基、アゾ基、ハロゲン原子であり、特に好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ニトロ基、イミノ基、アゾ基である。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、R11〜R14で表される置換基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
該芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、メチル基、及びエチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;無置換あるいはメチルアミノ基等のアミノ基;アセチルアミノ基、アシルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、R11〜R14で表される置換基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
重合性基は分子末端に位置するのが好ましく、即ち、式(I)中では、R15及び/又はR16の置換基として、並びにAr11の置換基として、存在するのが好ましい。
以下に、−L22−の例を示すが、以下の例に限定されるものではない。下記式中、qは1以上の数であり、1〜10であるのが好ましく、2〜6であるのがより好ましい。また、rは5〜30であり、好ましくは10〜30であり、より好ましくは10〜20である。
−(OCH2CH2)p−
−(OCH2CH2)p−O−(CH2)q−
−(OCH2CH2)p−OC(=O)−(CH2)q−
−(OCH2CH2)p−OC(=O)NH−(CH2)q−
−O(CH2)r−
−(CH2)r−
L22とYとの組合せにより、−L22−Yの末端は、例えばカルボキシル基やアミノ基、アンモニウム基などの分子間相互作用を強める置換基となり得るし、またスルホニルオキシ基、ハロゲン原子等の脱離基にもなり得る。
また、−L22−Yの末端は、架橋性基、重合性基など、他分子と共有結合を形成する置換基であってもよく、例えば、−O−C(=O)CH=CH2、及び−O−C(=O)C(CH3)=CH2等の重合性基であってもよい。
R36及びR37で表される基としては、特に好ましくは水素原子又はアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
Q31で表される基が有していてもよい置換基としては、アゾ化合物の溶解性やネマチック液晶性を高めるために導入される基、色素としての色調を調節するために導入される電子供与性や電子吸引性を有する基、又は配向を固定化するために導入される重合性基を有する基が好ましく、具体的には、前記R31〜R35で表される置換基と同義である。好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イミノ基、アゾ基、ハロゲン原子であり、特に好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ニトロ基、イミノ基、アゾ基である。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、R31〜R35で表される置換基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
芳香族複素環基としては、ピリジル基、キノリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリ基、チアジアゾリル基、又はチエノチアゾリル基が好ましく、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、チアジアゾリル基、又はチエノチアゾリル基が特に好ましく、ピリジル基、ベンゾチアゾリル基、又はチエノチアゾリル基が最も好ましい。
重合性基は分子末端に位置するのが好ましく、即ち、式(III)中では、R36及び/又はR37の置換基として、並びにQ1の置換基として、存在するのが好ましい。
前記一般式(IIIa)において、L32はアゾ基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、又はイミノ基を表し、好ましくはアゾ基又はアシルオキシ基、オキシカルボニル基であり、より好ましくはアゾ基である。
R41とR42が互いに連結して形成する環状基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環であり、より好ましくはベンゼン環又はピリジン環であり、もっとも好ましくはピリジン環である。
R41とR42は互いに連結して形成する環状基は置換基を有していてもよく、その範囲はR1、R2で表される基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
Ar4で表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、チオフェン環であり、もっとも好ましくはベンゼン環である。
Ar4は置換基を有していてもよく、その範囲は前記R41、R42で表される基と同様である。
Ar4が有していてもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、よりさらに好ましくは、メチル基である。Ar4は無置換であるのも好ましい。
R43とR44からなる環状基として具体的には、3−ピロリン環、ピロリジン環、3−イミダゾリン環、イミダゾリジン環、4−オキサゾリン環、オキサゾリジン環、4−チアゾリン環、チアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、アゼパン環、アゾカン環などが挙げられる。
R43とR44からなる環状基は、好ましくはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環であり、より好ましくはピペリジン環、ピペラジン環であり、もっとも好ましくはピペラジン環である。
一般式(IVa)において、Ar4で表される2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の範囲は、一般式(IV)におけるAr4と同様であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(IVa)において、A41は好ましくは窒素原子である。
L42で表される連結基としては、好ましくは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、イミノ基、アゾ基、アゾキシ基であり、より好ましくは単結合、オキシカルボニル基、アシルオキシ基、イミノ基、アゾ基、アゾキシ基であり、さらに好ましくは単結合、オキシカルボニル基、アシルオキシ基である。
一般式(IVa)中、窒素原子、メチレン基、R45、R46、A41で形成される環の構成原子数は、R45及びR46によって決定し、例えば、R45及びR46がいずれも単結合である場合は、4員環になり得;いずれか一方が単結合であり、他方がメチレン基である場合は、5員環になり得;さらに、R45及びR46いずれもメチレン基である場合は、6員環になり得る。
一般式(IVa)中、窒素原子、メチレン基、R45、R46、A41で形成される環は、好ましくは6員環又は5員環であり、より好ましくは6員環である。
Q41で表される芳香族複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環などが挙げられる。
Q41で表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノリン環、チエノチアゾール環、シクロヘキサン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、シクロヘキサン環であり、もっとも好ましくはベンゼン環、ピリジン環、シクロヘキサン環である。
Q41が有していてもよい置換基は、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいスルホニル基、置換基を有していてもよいウレイド基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、イミノ基、アゾ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ニトロ基、イミノ基、アゾ基である。これらの置換基のうち、炭素原子を有するものについては、炭素原子数の好ましい範囲は、前記R41、R42で表される基についての炭素原子数の好ましい範囲と同様である。
Q42で表される2価の環状炭化水素基は、芳香族性であっても、非芳香族性であってもよい。2価の環状炭化水素基の好ましい例には、芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10であり、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、及びシクロヘキサン環基が含まれる。
Q42で表される2価の環状複素環基も、芳香族性であっても非芳香族性であってもよい。複素環基としては、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。複素環基として具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環、3−ピロリン環、ピロリジン環、3−イミダゾリン環、イミダゾリジン環、4−オキサゾリン環、オキサゾリジン環、4−チアゾリン環、チアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、アゼパン環、アゾカン環などが挙げられる。
Q42で表される基は、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、キノリン環、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジアゾール環、キノロン環、ナフタルイミド環、チエノチアゾール環、シクロヘキサン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、チアゾール環、チアジアゾール環、シクロヘキサン環であり、よりさらに好ましくは、ベンゼン環、シクロヘキサン環、ピペラジン環である。
Q42が有していてもよい置換基の範囲は、前記Ar4が有していてもよい置換基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
Q42とL41及びL42、又は二つのL42との結合は、平行であることが、分子の直線性を高め、より大きな分子長及びアスペクト比を得られるため好ましい。
一般式(IVb)において、A41は好ましくは窒素原子である。
また、本発明における前記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素は、Journal of Materials Chemistry (1999), 9(11), 2755-2763等に記載の方法に準じて容易に合成することができる。
このようにして、本発明において、上記(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表される二色性色素の少なくとも一種を含有する二色性色素組成物は、液晶性を有するものとなる。
さらに、前記一般式(I)、(II)、(III)、又は(IV)で表されるアゾ色素は、分子の平面性が高いため強い分子間相互作用が働き、分子同士が会合状態を形成しやすい性質も有している。
前記二色性色素組成物の好ましい(D)は18以上である。
特に、以下の例が好ましい。
式A−1中、Rcは−N(Rc1)(Rc2)であり、Rc1及びRc2はそれぞれ、水素原子、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基を表わし、Rb及びRdが水素原子であり、即ち、下記式A−1aで表される基である。
式A−2中、Reがヒドロキシ基であり、即ち、下記式A−2aで表される基である。
式A−3中、Reがヒドロキシ基であり、Rc及びRdが水素原子であり、即ち、下記式A−3aで表される基である。
式A−4中、Rgがヒドロキシ基であり、Ra、Rb、Re及びRfが水素原子であり、即ち、下記式A−4aで表される基である。
式A−5中、Rgがヒドロキシ基であり、即ち、下記式A−5aで表される基である。
A−6〜A−43中、Rcはヒドロキシ基(OH)又はヒドロチオキシ基(SH)であるのが好ましい。
置換基群G:
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、メトキシエチル、エトキシカルボニルエチル、シアノエチル、ジエチルアミノエチル、ヒドロキシエチル、クロロエチル、アセトキシエチル、トリフルオロメチル等);炭素数7〜18(好ましくは炭素数7〜12)の置換もしくは無置換のアラルキル基(例、ベンジル、カルボキシベンジル等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルケニル基(例、ビニル等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルキニル基(例、エチニル等);炭素数6〜18(好ましくは炭素数6〜10)の置換もしくは無置換のアリール基(例、フェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−カルボキシフェニル、3、5−ジカルボキシフェニル等);
ここで分子長とは、化合物中で最大の原子間距離に両端の2原子のファンデルワールス半径を加えた値である。アスペクト比とは分子長/分子幅であり、分子幅とは、分子長軸に垂直な面に各原子を投影したときの最大の原子間距離に両端の2原子のファンデルワールス半径を加えた値である。
二色性色素を水平配向させ、且つその配向状態に固定することによって形成された二色性色素層は、立体画像印刷物として利用することができる。
また、配向膜側の二色性色素のチルト角は、配向膜チルト角制御剤等により制御することができる。
前記パターニング直線偏光層を、二色性色素を含有する液晶性組成物から形成する態様では、該直線偏光層の製造には、配向膜を利用するのが好ましい。利用可能な配向膜は、当該配向膜上で、二色性色素の分子を所望の配向状態とすることができるのであれば、どのような層でもよい。有機化合物(好ましくはポリマー)の膜表面へのラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。中でも、本発明では、配向膜のプレチルト角の制御し易さの点からはラビング処理により形成するラビング配向膜が好ましく、配向の均一性及びパターニングが容易である観点から、光照射により形成する光配向膜が好ましい。ラビング配向膜の材料として、ポリビニルアルコール及びポリイミドなどが一般的である。また、光配向膜については、以下に詳細に説明する。
本明細書において、「直線偏光照射」とは、前記光配向材料に光反応を生じせしめるための操作である。用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。好ましくは、光照射に用いる光のピーク波長が200nm〜700nmであり、より好ましくは光のピーク波長が400nm以下の紫外光である。
本発明の印画紙は、パターニング直線偏光層を支持するための透明支持体を有していてもよい。透明支持体には、光透過性の高分子フィルムを用いることができる。但し、上記した通り、透明支持体の光学特性は、観察者の眼に入射する偏光画像の偏光状態に影響を与えるので、低位相差であることが好ましく、位相差は0か実質的に0に等しいフィルムであるのが好ましい。具体的には、Reは、0〜10nmであるのが好ましい。また、厚み方向のレターデーションRthも、偏光画像の偏光状態に影響を与えるので、Rthも低いのが好ましく、Rthの絶対値が、20nm以下であることが好ましい。
前記セルロースアシレート系フィルムの作製に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載されているが、本発明は、該記載に制限されるものではない。
セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることがのぞましい。更には置換度が2.75〜3.00であることがのぞましく、2.85〜3.00であることがよりのぞましい。
シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
また、前記セルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることが更に好ましく、1.0〜1.6であることがより更に好ましい。
これらの添加剤の添加量を調整することにより、0≦Re(550)≦10 を満足するセルロースアシレート系フィルムを製造することができる。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto’s fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.− Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。なお本明細書に記載のlogPの値は、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)により求めたものである。
光学的異方性を低下させる化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、更に好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学的異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学的異方性を低下させる化合物の添加量は、セルロースアシレートに対し0.01ないし30質量%であることが好ましく、1ないし25質量%であることがより好ましく、5ないし20質量%であることが特に好ましい。
光学的異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
UV吸収剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
本発明の印画紙は、他の任意の層を有していてもよい。例えば、塗布型のパターニング直線偏光層を保護するための保護層、及び貼合のための粘着剤層等を有していてもよい。但し、画像受像層とパターニング直線偏光層との間の距離は、クロストークやゴースト像の発生に影響するので、他の任意の層が、画像受像層とパターニング直線偏光層との間に配置される場合は、その厚みが薄いほうが好ましい。例えば、パターニング直線偏光層と画像受像層との間に粘着層や保護層が配置されており、パターニング直線偏光層と画像受像層との間に距離がある場合、各パターンの境界線と平行でない方向に画像を傾けて観察した際にクロストークを発生する。この斜めから観察した際のクロストークは、パターニング直線偏光層と画像受像層の距離dをパターン境界線の間隔pとの比において十分に小さくすることで軽減することができ、d/pは好ましくは3以下であり、より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1以下であり、よりさらに好ましくは0.8以下である。パターン境界線の間隔pが大き過ぎると画質を悪化させるので、pをある程度小さく保ったままd/pを小さくするために、パターニング直線偏光層と画像受像層との距離dは、好ましくは2mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、さらに好ましくは500μm以下であり、よりさらに好ましくは200μm以下であり、特に好ましくは100μm以下である。特に20μm以下であると、斜め方向から観察した際にもクロストークの発生を大幅に軽減することができる。
本発明の印画紙の製造方法の一例は、以下の通りである。
まず、高分子フィルムの表面に、光配向材料を塗布し、膜を形成した後、パターン露光により、互いに配向軸が90°をなす、第1及び第2の光配向膜ドメインからなる光配向膜を形成する。
パターニングされた光配向膜の表面に、二色性色素を含有する液晶性組成物を塗布し、所望の配向状態に固定して、塗布型の直線偏光膜を形成する。形成される直線偏光層は、パターニング光配向膜の配向規制力により、互いの偏光軸が直交している第1及び第2のドメインを有するパターニング直線偏光層になる。直線偏光層の表面に、保護層となる高分子フィルムを積層してもよい。
次に、前記直線偏光層の表面(所望により、保護層となる高分子フィルムが積層されている態様では、高分子フィルムの表面)に、画像受像層形成材料を塗布し、乾燥させて画像受像層を形成する。なお、画像受像層を透明支持体上に形成して、別途積層体を作製し、該積層体を、直線偏光層の表面、又は直線偏光層を支持する高分子フィルムからなる透明支持体の裏面に、粘着剤により貼合してもよい。
また、本発明の印画紙は、全体として光透過性であることが好ましい。即ち、印画紙全体として、光透過率が70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのが特に好ましい。
さらに、図6に示した様に、実質的にパターニング直線偏光層を円偏光層として機能変換するために、パターニング直線偏光層に1/4波長層を積層する様態も好ましい。パターニング直線偏光層の遅相軸に対して、1/4波長層の遅相軸が45°の角度をなすように積層することで、印画紙を透過した光は円偏光となり、円偏光メガネをかけた観察者が顔を左右に傾けた際にも、クロストークを生じることなく立体画像を認識することができる。
本発明は、本発明の印画紙を利用した、立体画像印刷物にも関する。
本発明の立体画像印刷物は、本発明の印画紙と、該印画紙の光透過性画像受像層上に形成された視差のある左眼用画像及び右眼用画像とを有する立体画像印刷物であって、該左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれを構成する画素が、前記印画紙の直線偏光層の第1のドメイン及び第2のドメインに対応する位置に形成されていることを特徴とする立体画像印刷物である。
リバーサルフィルムを有する印画紙を利用した態様であって、ライトジェット法により、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を、前記印画紙の直線偏光層の第1のドメイン及び第2のドメインに対応する位置にそれぞれ形成することを含む立体画像印刷物の製造方法である。
本発明の印画紙の光透過性の画像受像層に、色素を含有する感熱転写シートを重ね合わせること;
電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッドによって該感熱転写シートを加熱して、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を、前記印画紙の直線偏光層の第1のドメイン及び第2のドメインに対応する位置に色素を転写することでそれぞれ形成すること;
を含む立体画像印刷物の製造方法である。
本発明の印画紙の光透過性の画像受像層に、インクジェット法により、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を、前記印画紙の直線偏光層の第1のドメイン及び第2のドメインに対応する位置にそれぞれ形成することを含む立体画像印刷物の製造方法である。
図8に示す立体画像印刷物は、図3に示す態様の印画紙10Bの画像受像層12に、上記第1〜第3の態様のいずれかの方法に従って、視差のある左眼用及び右眼用画像を形成し、その後、画像受像層12上に、非偏光解消性の反射層19を積層した立体画像印刷物である。図8に示す立体画像印刷物は、外光の反射光により立体像を観察可能な態様である。本発明の立体画像印刷物は、反射層19を積層せず、透過光を利用して観察する態様も好ましい。
本態様に利用可能な非偏光解消性の反射層としては、例えば金属薄膜が被覆された紙、金属薄膜製鏡、金属箔、又はプラスチックに浮遊させた金属薄片が好ましい。
本発明はまた、本発明の立体画像印刷物を、観察者に表示する方法にも関する。本発明の前記方法は、
本発明の立体画像印刷物を準備すること、及び
該立体画像印刷物を、左眼用及び右眼用のレンズが、互いに逆向きの直線偏光レンズ又は円偏光レンズである、偏光メガネを着用した観察者に対して表示すること、
を含む立体画像の提供方法である。
本発明の方法は、例えば、屋外及び屋内における商品の宣伝広告などに利用可能であろう。
また、高い明度の立体画像印刷物を観察者に表示するため、観察者側から又は背面側から立体画像印刷物をライト等により光照射してもよい。
1.実施例1
[立体画像用印画紙の作製]
(立体画像用画像受像フィルムの作製)
下記組成中の(1)沈降法シリカ微粒子と(2)イオン交換水と(3)「シャロールDC−902P」と(4)「ZA−30」とを混合し、超音波分散機〔(株)エスエムテー製〕を用いて分散させた後、得られた分散液を45℃に加熱して20時間保持した。その後これに、(5)ホウ酸と(6)ポリビニルアルコール溶解液と(7)スーパーフレックス650と(8)エタノールとを30℃下で加え、画像受像層用塗布液Aを調製した。
(1)沈降法シリカ微粒子(無機微粒子) 10.0部
(P−78A(粒径7.7μm)とP−604(粒径0.64μm)とを75:25
[質量比]にて混合;いずれも水澤化学工業(株)製;以下、シリカ微粒子という。)
(2)イオン交換水 62.8部
(3)シャロールDC−902P(51.5%水溶液) 0.87部
(分散剤、第一工業製薬(株)製)
(4)ZA−30(酢酸ジルコニル) 0.54部
(第一稀元素化学工業(株)製)
(5)ホウ酸(架橋剤) 0.44部
(6)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 34.9部
−組成−
・PVA−235…2.43部
(鹸化度88%、重合度3500(株)クラレ製)
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル…0.08部
(エマルゲン109P(10%水溶液)、HLB値13.6、花王(株)
製;界面活性剤)
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル…0.74部
(ブチセノール20P、協和発酵(株)製)
・イオン交換水…31.0部
(7)スーパーフレックス650(25%水分散液) 2.47部
(第一工業製薬(株)製)
(8)エタノール 1.3部
以上のようにして、乾燥層厚33μmの立体画像用画像受像フィルムを作製した。
(1)ホウ酸 0.65部
(2)炭酸ジルコニルアンモニウム 2.5部
(ジルコゾールAC−7(28%水溶液)、第一稀元素化学工業(株)製)
(3)炭酸アンモニウム(一級;関東化学(株)製) 3.5部
(4)イオン交換水 63.3部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 30.0部
(花王(株)製、エマルゲン109P(2%水溶液)、HLB値13.6)
左右二系統の撮影レンズを備えたデジタルカメラで撮影した、右眼用データ及び左眼用データを、各々、デジタルデータに変換したのち、インクジェット用インクをピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いて、上記立体画像用画像受像フィルムの画像受像層に打滴し、右眼用画素及び左眼用画素を作製した。右眼用画素及び左眼用画素は、254μmごとに交互に入れ替えた横ストライプ形状として画像を出力した。
(透明支持体の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
<セルロースアシレート溶液A組成>
置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール 11質量部
<添加剤溶液B組成>
下記化合物B1(Re低下剤) 40質量部
下記化合物B2(波長分散制御剤) 4質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 80質量部
メタノール(第2溶媒) 20質量部
セルロースアシレート溶液Aを477質量部に、添加剤溶液Bの40質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み60μmのセルロースアセテート透明支持体1を作製した。支持体1の正面Reは2.0nmであった。
<光配向膜の作製>
セルロースアセテート透明支持体1の一方の表面に、下記構造の光配向材料E−1 1%水溶液をスピンコート塗布し、100℃で1分間乾燥した。得られた塗布膜に、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射する。このとき、ワイヤーグリッド偏光子(Moxtek社製,ProFlux PPL02)を、図5に示すように方向1にセットして、さらにマスクA(横ストライプ幅254μmのパターンを有す石英露光マスク)を通して、露光を行う。その後、ワイヤーグリッド偏光子を方向1と直交するように、方向2にセットして、さらにマスクBを通して、露光を行う。露光マスク面と光配向膜の間の距離を200μmに設定する。この際用いる紫外線の照度はUV−A領域(波長380nm〜320nmの積算)において100mW/cm2、照射量はUV−A領域において1000mJ/cm2とする。得られた光配向膜の厚さは0.05μmであった。
クロロホルム99質量部に下記構造のイエローアゾ色素A2−3(一般式(II)の化合物) 0.24質量部、下記構造のマゼンタアゾ色素A−46(一般式(I)の化合物) 0.33質量部、下記構造のシアンアゾ色素A3−1(一般式(III)の化合物) 0.37質量部、及び下記構造のスクアリリウム色素VI−5 0.06質量部を加え、撹拌溶解後、濾過して直線偏光層用塗布液を得た。次に、前記パターン露光された光配向膜上に、該塗布液を塗布し、室温で自然乾燥してパターニング直線偏光層を作製した。図5(c)は、該パターニングされた直線偏光層の平面図である。パターニングされた直線偏光層の偏光軸は、各々、直交しており、得られた直線偏光層の厚さは0.4μmであり、二色比は42であり、パターンピッチは254μmであった。また、直線偏光層用組成物は、サーモトロピック液晶性を有しており、そのアイソトロピック相転移温度は240℃であった。
上記で作製したパターニング直線偏光層を、粘着剤を用いて立体画像用画像受像フィルムと貼り合わせた。パターニング直線偏光層のストライプと立体画像用画像受像フィルムに印字したストライプが一致するように、パターニング直線偏光層の支持体側と立体画像用画像受像フィルムの画像受像層との貼合せを行った。このとき粘着剤層の厚みは16μmであり、支持体と粘着剤層のReの合計は2.0nmであり、Rthは0nmであった。
この様にして、図4に示す構成の立体画像印刷物を得た。
観察者が直線偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を正面より観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。
また、観察者が直線偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を30度傾けて観察しても、ほとんどクロストークが認識されず、鮮明な立体画像を観察することができた。
前記立体画像印刷物は、パターニング直線偏光層と画像受像層との距離dは76.05μmであり、パターン幅pは254μmであり、d/pは0.30であるためクロストークが発生しないと考えられる。
[立体画像印刷物の作製]
パターニング直線偏光層作製時の直線偏光層用組成物を、下記組成に変更した以外は、実施例1と同様に立体画像印刷物を作製した。このときの直線偏光層の厚みは0.4μmであり、二色比は37であり、支持体と粘着剤層のReの合計は2.0nmであり、Rthは0nmであった。
(1)イエローアゾ色素A2−3 0.2質量部
(2)マゼンタアゾ色素C−9 0.4質量部
(3)シアンアゾ色素A3−1 0.4質量部
(4)クロロホルム 99質量部
観察者が直線偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。
[立体画像印刷物の作製]
直線偏光層作製時の直線偏光層用組成物を、下記組成に変更した以外は、実施例1と同様に立体画像用印刷物を作製した。このときの直線偏光層の厚みは0.8μmであり、二色比は71であり、支持体と粘着剤層のReの合計は2.0nmであり、Rthは0nmであった。
(1)マゼンタアゾ色素A−16 1.2質量部
(2)マゼンタアゾ色素B−4 0.8質量部
(3)クロロホルム 98質量部
[立体画像印刷物の作製]
(1/4波長層の作製)
実施例1で作製したパターニング直線偏光層の表面に、クラレ社製ポリビニルアルコール「PVA103」の4%水溶液をスピンコートし、80℃で1分間乾燥させた。その後に、直線偏光層の第1のドメインの偏光軸aと45°の角度をなすように400rpmで1往復ラビング処理を行い、ラビング配向膜付パターニング直線偏光層を作製した。得られたラビング配向膜の厚さは0.8μmであった。
ディスコティック液晶E−1 100質量部
配向膜界面配向剤(II−1) 1.0質量部
空気界面配向剤(P−1) 0.4質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 300質量部
上記で作製した1/4波長層付パターニング直線偏光層を、粘着剤を用いて実施例1で作製した立体画像用画像受像フィルムと貼り合わせた。パターニング直線偏光層のストライプと立体画像用画像受像フィルムの画像受像層に印字したストライプが一致するように、パターニング直線偏光層の支持体側と立体画像用画像受像フィルムとの貼合せを行った。このとき粘着剤層の厚みは16μmであり、支持体と粘着剤層のReの合計は2.0nmであり、Rthは0nmであった。
この様にして、図6に示す構成の立体画像印刷物を得た。
観察者が円偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。
また、観察者が円偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を30度傾けて観察しても、ほとんどクロストークが認識されず、鮮明な立体画像を観察することができた。
前記立体画像印刷物は、パターニング直線偏光層と画像受像層の距離dは16μmであり、パターン幅pは254μmであり、d/pは0.063であるためクロストークが発生しないと考えられる。
[立体画像印刷物の作製]
実施例1で作製した立体画像用画像受像フィルムの画像受像層の上層に、アルミ反射層を積層し、図8に示すのと同様の立体画像印刷物を製造した。
観察者が直線偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。
[立体画像印刷物の作製]
パターニング直線偏光層の作製方法を下記に変更した以外は、実施例1と同様に立体画像印刷物を作製した。具体的には、特開平7−261024号公報(特許文献4)中に記載の実施例1の方法を参考に作製した。
4−メタクリロイルオキシアゾベンゼンをベンゼンに溶解して20質量%溶液とし、アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤として、脱気下で60℃で12時間重合させた。得られたアゾベンゼンを有する高分子10質量部をトルエン90質量部に溶解した溶液を支持体の一方の表面に回転塗布し、この基板を105℃で10分加熱して乾燥させた。光源は500W/hの超高圧水銀ランプを使用し、カットオフフィルターで可視光とし(>400nm)、さらに偏光板を通して直線偏光とし、この直線偏光を、偏光板の偏光軸に対し平行に置いた上記基板の塗布面上に室温で、50cmの距離から1分間照射した。パターニングは、実施例1に記載の方法と同様の方法にて実施した。リオトロピック液晶性を有するC.I. Direct Blue 67 10質量部に、エマルゲン108(ノニオン界面活性剤:(株)花王製)1質量部を加え、89質量部の蒸留水で希釈して水溶液とし、この色素水溶液を上記基板の直線偏光照射面上に回転塗布後、25℃、50%RHの条件で乾燥した。このときの直線偏光層の二色比は16であった。
観察者が直線偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を観察したところ、立体画像として認識可能であるがクロストークが観測された。これは、パターニング直線偏光層の二色比が低いことに由来すると理解できる。
(立体画像用印画紙の作製)
<画像受像層の作製>
実施例1で作製したパターニング直線偏光層を形成した側と反対側の表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。さらに下記組成の中間層Aをバーコーターにより塗布し乾燥した後、引き続いて下記組成の受容層Aをバーコーターにより塗布し乾燥させた。バーコーター塗布は40℃で行い、乾燥は各層50℃で16時間行った。それぞれの乾燥時の塗布量が中間層A:1.0g/m2、受容層A1:3.0g/m2となるように塗布を行った。
ポリエステル樹脂(バイロン200、商品名、東洋紡(株)製) 10質量部
蛍光増白剤 1質量部
(Uvitex OB、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
酸化チタン 30質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
ポリエステル樹脂 100質量部
(特開平2-265789号公報の実施例1−1に記載の樹脂)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)社製、商品名、X−22−3050C)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)社製、商品名、X−22−300E)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を基材フィルムとして用いた。そのフィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物を、それぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した。
イエロー組成物
染料(マクロレックスイエロー6G、商品名、バイエル社製) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
マゼンタ組成物
マゼンタ染料(ディスパーズレッド60) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
シアン組成物
シアン染料(ソルベントブルー63) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 90質量部
(右眼用及び左眼用画像形成)
前記インクシート及び前記印画紙を、日本電産コパル社製昇華型プリンターDPB1500(商品名)に装填可能なように加工し、高速プリントモードで右眼用画素はパターニング直線偏光層の右眼用部分に位置決めして画像を出力し、左眼用画素はパターニング直線偏光層の左眼用部分に位置決めして画像を出力し、立体画像印刷物を作製した。
観察者が直線偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を正面より観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。
また、観察者が直線偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を30度傾けて観察しても、ほとんどクロストークが認識されず、鮮明な立体画像を観察することができた。
前記立体画像印刷物は、パターニング直線偏光層と画像受像層との距離dは60.05μmであり、パターン幅pは254μmであり、d/pは0.236であるためクロストークが発生しないと考えられる。
<立体画像用リバーサルフィルムの準備>
リバーサルフィルム(富士フイルム社製フジクローム ベルビア50)を準備した。
左右二系統の撮影レンズを備えたデジタルカメラ(富士フイルム社製FinePix Real 3D W1)を用いて、右眼用画像及び左眼用画像を作成した。次に、3D画像作成用ソフト(ストライパー)を用いて右眼用画像及び左眼用画像を200μmごとに交互に入れ替えた画像を作成した。最後に、上記準備した市販のリバーサルフィルムに、該画像データをライトジェット2080(解像度:1016dpi,リバーサル(RDPIII))により出力し、3次元立体写真用透明画像(有効画面サイズ 178mmx232mm)を得た。
実施例1と同様にして、セルロースアシレート透明支持体1を作製し、同様にして、その上に、パターニング光配向膜、及びパターニング直線偏光層を形成した。
上記で作製したパターニング直線偏光層を、粘着剤を用いて立体画像用画像受像フィルムと貼り合わせた。パターニング直線偏光層のストライプと立体画像用画像受像フィルムに印字したストライプが一致するように、パターニング直線偏光層の支持体側と立体画像用画像受像フィルムの画像受像層との貼合せを行った。このとき粘着剤層の厚みは16μmであり、支持体と粘着剤層のReの合計は2.0nmであり、Rthは0nmであった。
この様にして、立体画像印刷物を得た。
観察者が直線偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を正面より観察したところ、クロストークやゴースト像のない鮮明な立体画像を観察することができた。
また、観察者が直線偏光メガネを介して前記立体画像印刷物を30度傾けて観察しても、ほとんどクロストークが認識されず、鮮明な立体画像を観察することができた。
前記立体画像印刷物は、パターニング直線偏光層と画像受像層との距離dは76.05μmであり、パターン幅pは254μmであり、d/pは0.299であるためクロストークが発生しないと考えられる。
画像受像フィルムを形成しなかった以外は、実施例1で作製したのと同様の構成の積層体を作製した。
パターニング直線偏光層の支持体の表面に、実施例1と同様にインクジェット法で画像を形成したが、形成された画像濃度は低く、また支持体上で色素が移動してしまい、所望の画像を形成できなかった。その結果、偏光メガネで観察しても、立体画像として認識することはできなかった。
画像層を形成しなかった以外は、実施例7で作製したのと同様の構成の積層体を作製した。実施例7と同様に、感熱転写法で画像を形成したが、形成された画像濃度は低く、またセルロースアセテートフィルム上で色素が移動してしまい、所望の画像を形成できなかった。その結果、直線偏光メガネを装着して観察しても、立体画像として認識することはできなかった。
リバーサルフィルムの代わりに、リバーサルフィルムから乳剤層を取り去り、支持体フィルムのみを配置した以外は、実施例8で作製したのと同様の構成の積層体を作製した。
実施例8と同様にして立体画像を観察したが、偏光メガネで観察しても、立体画像として認識することはできなかった。
12 画像受像層
14 パターニング直線偏光層
15、15’ 配向層
16 粘着剤層
17 透明支持体
18 1/4波長層
19 反射層
Claims (14)
- 光透過性画像受像層及び直線偏光層を有し、且つ前記直線偏光層が、互いの偏光軸の向きが90°をなす、第1のドメイン及び第2のドメインにパターニングされていることを特徴とし、前記直線偏光層が、液晶性の二色性色素を含み、液晶性の非着色性低分子化合物の割合が30質量%以下である液晶性組成物を塗布することにより形成された塗布型の直線偏光層であって、パターン露光された光配向膜によって配向制御された前記液晶性組成物を配向固定化してなることを特徴とする印画紙。
- 前記直線偏光層が、下記一般式(I)、下記一般式(II)、下記一般式(III)、下記一般式(IV)、又は下記一般式(VI)で表わされる二色性色素の少なくとも一種を含有する液晶性組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の印画紙。
- 前記直線偏光層の上層に1/4波長層を有し、且つ前記直線偏光層の偏光軸と1/4波長層の遅相軸が±45°の角度をなしていることを特徴とする請求項1または2に記載の印画紙。
- 前記1/4波長層が、硬化性液晶性組成物を硬化してなることを特徴とする請求項3に記載の印画紙。
- 前記光透過性画像受像層が、塗布手段、吹き付け手段及び滴下手段のいずれかの手段により形成された層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印画紙。
- 前記光透過性画像受像層が、銀塩写真法、感熱転写法、又はインクジェット法により画像受像可能な画像受像層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の印画紙。
- 前記光透過性画像受像層が、銀塩写真法により画像受像可能な画像受像層であり、青感光性乳剤層、緑感光性乳剤層、及び赤感光性乳剤層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の印画紙。
- 前記光透過性画像受像層が、感熱転写法により画像受像可能な画像受像層であり、染色性受容ポリマーの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の印画紙。
- 前記画像受像層が、インクジェット法により画像受像可能な画像受像層であり、水溶性高分子及び無機微粒子を少なくとも含む組成物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の印画紙。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の印画紙と、該印画紙の光透過性画像受像層上に形成された視差のある左眼用画像及び右眼用画像とを有する立体画像印刷物であって、該左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれを構成する画素が、前記印画紙の直線偏光層の第1のドメイン及び第2のドメインに対応する位置に形成されていることを特徴とする立体画像印刷物。
- 観察者の視認側と反対の面に、非偏光解消性の反射層をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の立体画像印刷物。
- 請求項10又は11に記載の立体画像印刷物を準備すること、
該立体画像印刷物を、左眼用及び右眼用のレンズが、互いに逆向きの円偏光レンズ又は偏光軸が互いに直交した直線偏光レンズである、偏光メガネを着用した観察者に対して表示すること、
を含む立体画像の提供方法。 - 左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれを構成する画素が形成された光透過性画像受像層に直線偏光層を積層させた立体画像印刷物であって、
前記直線偏光層が、互いの偏光軸の向きが90°をなす、第1のドメイン及び第2のドメインにパターニングされており、前記直線偏光層が、液晶性の二色性色素を含み、液晶性の非着色性低分子化合物の割合が30質量%以下である液晶性組成物を塗布することにより形成された塗布型の直線偏光層であって、パターン露光された光配向膜によって配向制御された前記液晶性組成物を配向固定化してなり、
前記左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれを構成する画素が、前記直線偏光層の第1のドメイン及び第2のドメインに対応する位置に形成されていることを特徴とする立体画像印刷物。 - 左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれを構成する画素が形成された光透過性画像受像層に、互いの偏光軸の向きが90°をなす、第1のドメイン及び第2のドメインにパターニングされており、
且つ液晶性の二色性色素を含み、液晶性の非着色性低分子化合物の割合が30質量%以下である液晶性組成物をパターン露光された光配向膜に塗布し、配向制御された前記液晶性組成物を配向固定化することにより形成された直線偏光層を積層させる際、前記左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれを構成する画素を、前記直線偏光層の第1のドメイン及び第2のドメインに対応する位置に形成することを含む特徴とする立体画像印刷物の製造方法。
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