JP2010000535A - 板厚制御装置及び板厚制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】板材の種類が特定されていない場合であっても、様々な種類の板材に対応した板厚制御を実現し、かつマスフロー制御を行う必要のない板厚制御装置及び板厚制御方法を提供する。
【解決手段】AGC制御装置11は、ライン低速運転時に、簡易フィードフォワードAGCによって、帯板1が圧延ロール6に挿入されたときに圧延機4が弾性変形することを考慮したAGC簡易FF指令を確定し、この確定したAGC簡易FF指令に基づいて、圧延機4の弾性変形を考慮したミルGAPを決定する。また、AGC制御装置11は、ライン低速運転が終了した後、ラインが加速してから本来の設定速度で運転する時に、フィードバックAGCによるPI制御によって、板厚設定偏差がゼロになるように板厚制御を行う。
【選択図】図2
【解決手段】AGC制御装置11は、ライン低速運転時に、簡易フィードフォワードAGCによって、帯板1が圧延ロール6に挿入されたときに圧延機4が弾性変形することを考慮したAGC簡易FF指令を確定し、この確定したAGC簡易FF指令に基づいて、圧延機4の弾性変形を考慮したミルGAPを決定する。また、AGC制御装置11は、ライン低速運転が終了した後、ラインが加速してから本来の設定速度で運転する時に、フィードバックAGCによるPI制御によって、板厚設定偏差がゼロになるように板厚制御を行う。
【選択図】図2
Description
本発明は、圧延機に用いる板厚制御装置及び板厚制御方法に関し、特に、圧延機を用いて、帯板の板厚が所定の板厚設定値になるように、フィードフォワードAGC(Automatic Gauge Control:自動板厚制御)及びフィードバックAGCを行う技術に関する。
従来、鋼板等の帯板の板厚が所定の板厚設定値になるように自動板厚制御を行う板厚制御装置を用いて、薄くて均一な板材を生成する冷間圧延機が知られている。冷間圧延機は、帯板を圧延ロールのロール間に挿入し、熱を加えることなく圧延することによって、所定の板厚設定値の板材を生成する装置である。
このような板厚制御を実現するため、冷間圧延機の出側(圧延された帯板が搬出される側)に、圧延された帯板の板厚を検出するための板厚検出器が設置される。板厚制御装置は、予め設定された板厚設定値と、板厚検出器により検出された板厚との間の偏差を算出し、その偏差がゼロになるように、圧下用モータを介して圧延ロールのロール間隔を制御する。圧延後の帯板の板厚は、圧延ロールのロール間隔によって決定され、圧延機の弾性変形特性を無視すると、ロール間隔に等しくなる。
一般に、製品化された板材の品質は、板厚及び板形状等の精度によって評価される。これらのうちの板厚の制御については、AGCという自動板厚制御方式が採用されており、板厚制御装置は、フィードフォワードAGCを行う制御部とフィードバックAGCを行う制御部とにより、板厚制御を行う(例えば、特許文献1を参照)。
図6は、従来の自動板厚制御システムの全体構成を示す概念図である。この従来の自動板厚制御システム200は、AGC制御装置26、圧下位置制御装置30、モータ制御装置13及び駆動装置14を用いて圧延機4により、帯板1の板厚を、予め設定された板厚設定値に圧延するものである。自動板厚制御システム200は、巻出しロール2、巻取りロール3、圧延機4、デフレクタロール21,22、パルスジェネレータ23,24、板厚検出器7,25、圧下装置8、圧下用モータ9、パルスジェネレータ10、駆動装置14、AGC制御装置26、圧下位置制御装置30及びモータ制御装置13を備えて構成されている。圧延機4は、圧下装置8によって圧延ロール6のロール間隔が制御され、圧延ロール6のロール間に帯板1を挿入して圧延することにより、板厚設定値の板厚を有する帯板1を生成する。
尚、図6では、左から右への方向を、帯板1が移動するライン方向としているが、予め設定された板厚設定値になるように板厚を制御するには、ライン方向とは逆の方向にも帯板1を移動させ、ライン方向及びその逆方向の移動を繰り返す必要がある。逆方向の移動の場合は、巻出しロール2が巻取りロールとなり、巻取りロール3が巻出しロールとなる。
パルスジェネレータ23は、圧延機4において帯板1が搬入される入側のデフレクタロール21に取り付けられており、帯板1の走行量をパルスカウントし、入側の帯板速度を出力する。パルスジェネレータ24は、圧延機4において帯板1が搬出される出側のデフレクタロール22に取り付けられており、帯板1の走行量をパルスカウントし、出側の帯板速度を出力する。板厚検出器25は、圧延機4の入側に設置されており、入側における帯板1の板厚を検出して出力する。板厚検出器7は、圧延機4の出側に設置されており、出側における帯板1の板厚を検出して出力する。
AGC制御装置26は、フィードフォワードAGC部27、フィードバックAGC部28及び加算部29を備えている。フィードフォワードAGC部27は、入側のパルスジェネレータ23からの帯板速度、及び入側の板厚検出器25からの板厚を入力し、板厚及び予め設定された板厚設定値により板厚偏差を算出し、この板厚偏差をシフトレジスタに記憶する。そして、シフトレジスタ内で板厚偏差を、帯板速度に従って板厚検出器25の位置から圧延機4直下の位置までトラッキングし、圧延機4直下の位置の板厚偏差及びフィードフォワードAGCゲインに基づいてフィードフォワードAGCによる位置指令を算出して出力する。
フィードバックAGC部28は、出側のパルスジェネレータ24からの帯板速度、及び出側の板厚検出器7からの板厚を入力し、板厚偏差を算出し、板厚偏差、帯板速度及びフィードバックAGCゲインに基づいてフィードバックAGCによる位置指令を算出して出力する。ここで、板厚検出器7から入力する板厚は、圧延機4により圧延した結果残存する板厚偏差を算出するためのデータであり、圧延が行われる圧延機4の位置と板厚が検出される板厚検出器7の位置とが異なるから、搬送遅れが生じてしまう。この搬送遅れ時間は帯板速度に逆比例するから、フィードバックAGC部28は、板厚偏差を積分し、その積分結果に帯板速度を乗算することにより、搬送遅れに伴うフィードバックAGCの不整合を解消している(特許文献1段落0002を参照)。
加算部29は、フィードフォワードAGC部27により出力されたフィードフォワードAGCによる位置指令と、フィードバックAGC部28により出力されたフィードバックAGCによる位置指令とを加算し、加算結果であるAGC位置指令Cを圧下位置制御装置30に出力する。
圧下位置制御装置30は、AGC制御装置26からAGC位置指令Cを入力する共に、圧下用モータ9に取り付けられたパルスジェネレータ10から圧下用モータ9のモータ位置FB信号Bを入力する。モータ位置FB信号Bは、圧延ロール6の実際のロール間隔が反映されている。そして、圧延ロール6のロール間隔をAGC位置指令Cに応じた間隔にするため、AGC位置指令Cとモータ位置FB信号Bとに基づいて、圧下用モータ9を駆動するためのモータ速度指令Dを算出して出力する。
モータ制御装置13は、圧下位置制御装置30からモータ速度指令Dを入力すると共に、パルスジェネレータ10からモータ位置FB信号Bを入力し、モータ位置FB信号Bからモータ速度を算出して速度制御等を行い、モータ制御信号Eを算出して駆動装置14へ出力する。駆動装置14は、モータ制御装置13からモータ制御信号Eを入力し、モータ駆動信号を圧下用モータ9へ出力する。
尚、特許文献1には、図6に示したAGC制御装置26のフィードフォワードAGC部27において、フィードフォワードAGCによる位置指令を算出する際に用いたフィードフォワードAGCゲインを最適化することにより、精度の高い板厚制御を実現する技術が開示されている。このように、帯板1の板厚制御は、フィードフォワードAGC及びフィードバックAGCにより行われる。
一方、帯板1の板厚制御として、マスフローAGC(以下、「マスフロー制御」という。)が知られている。このマスフロー制御は、帯板1の圧延特性を示す平面ひずみ特性を用いて、帯板1の帯板速度から板厚を推定することを基本とする制御である。具体的には、マスフロー一定則によれば、hを板厚、wを板幅、vを帯板速度とすると、これらの関係は次式で表される。
h・w・v=const
つまり、板厚h、板幅w及び帯板速度vの乗算結果は、常に一定値になる。圧延機4では、帯板1が平面ひずみ状態に近い状態で変形するから、板幅wはほとんど変化しない。したがって、板厚hは、帯板1の帯板速度vから推定することができる。
h・w・v=const
つまり、板厚h、板幅w及び帯板速度vの乗算結果は、常に一定値になる。圧延機4では、帯板1が平面ひずみ状態に近い状態で変形するから、板幅wはほとんど変化しない。したがって、板厚hは、帯板1の帯板速度vから推定することができる。
ところで、図6に示した従来の自動板厚制御システム200では、板材の種類が特定されていない帯板1に対して、精度の高い板厚制御を行うことができない。これは、板材の種類が特定されない場合は、帯板1の塑性変形特性が不明なため、AGC制御装置26のフィードフォワードAGC部27において、帯板1の板材に適合したフィードフォワードAGCゲインを設定することが困難になるからである。例えば、試運転時に、ある帯板1の板材に適合したフィードフォワードAGCゲインを調整したとしても、試運転後に他の帯板1を圧延するときには、試運転時に調整したフィードフォワードAGCゲインをそのまま用いることができない。これは、試運転時における帯板1の塑性変形特性と試運転後における他の帯板1の塑性変形特性とが異なる場合は、調整済みのフィードフォワードAGCゲインが他の帯板1に適合するとは限らないからである。
したがって、図6に示した従来の自動板厚制御システム200では、板材の種類が特定されていない帯板1に対して、精度の高い板厚制御を行うことができないという問題があった。
また、マスフロー制御を行う従来の自動板厚制御システムでは、デフレクタロールが帯板1に対してスリップした場合、精度の高い板厚制御を行うことができない。これは、マスフロー制御が帯板1の帯板速度から板厚を推定することを基本とした制御であり、デフレクタロールがスリップ等により使用できない場合には、デフレクタロールに取り付けられたパルスジェネレータが帯板1の帯板速度を正しく測定できないからである。この場合、板厚制御は、圧延機4の出側に設置された板厚検出器7により検出された板厚を用いて、フィードバックAGCのみが行われることになる。
したがって、マスフロー制御を行う従来の自動板厚制御システムでは、デフレクタロールがスリップ等により使用できなくなり、帯板1の帯板速度を正しく測定することができない場合には、精度の高い板厚制御を行うことができないという問題があった。
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、板材の種類が特定されていない場合であっても、様々な種類の板材に対応した板厚制御を実現し、かつマスフロー制御を行う必要のない板厚制御装置及び板厚制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明による板厚制御装置は、帯板の板厚が所定の板厚設定値になるように、圧延機に設けられた圧延ロールのロール間隔を制御し、前記圧延ロールに帯板を圧延させる板厚制御装置において、前記ロール間隔を測定して得られたロール間隔測定値から、前記圧延機の弾性変形特性を反映した板厚予想値を算出し、前記板厚設定値と前記板厚予想値とから板厚設定偏差予想値を算出し、前記ロール間隔測定値と前記板厚設定偏差予想値とに基づいて、第1の制御指令を生成する第1の制御部と、前記板厚設定値と、前記圧延ロールにより圧延された帯板の板厚を測定して得られた板厚測定値とから板厚設定偏差を算出し、前記圧延ロールに挿入されて圧延され搬出される帯板のライン速度に基づいて積分パラメータを算出し、所定の比例パラメータ及び前記積分パラメータを用いた制御により、第2の制御指令を生成する第2の制御部と、前記第1の制御指令と第2の制御指令とに基づいて、前記ロール間隔を決定するための位置指令を生成する位置指令生成部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明による板厚制御装置は、前記第1の制御部が、前記圧延ロールが帯板を圧延するときに生じる荷重を前記圧延ロールのミル定数で除算し、前記圧延機の弾性変形特性を出力する除算部と、前記除算部により出力された弾性変形特性と前記ロール間隔測定値とを加算し、板厚予想値を出力する加算部と、前記板厚設定値から、前記加算部により出力された板厚予想値を減算し、板厚設定偏差予想値を出力する減算部と、前記ロール間隔測定値と前記減算部により出力された板厚設定偏差予想値とを加算し、第1の制御指令を出力する加算部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明による板厚制御装置は、前記第2の制御部が、所定のI(積分)ゲインに前記ライン速度を乗算し、積分パラメータを出力する乗算部と、前記板厚設定値から前記板厚測定値を減算し、板厚設定偏差を出力する減算部と、前記減算部により出力された板厚設定偏差がゼロになるように、所定の比例パラメータ及び前記乗算部により出力された積分パラメータによるPI制御を行い、第2の制御指令を出力するPI制御部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明による板厚制御装置は、前記第1の制御部が、制御対象となる帯板を前記圧延ロールが圧延したときに、前記圧延機の弾性変形特性を反映した板厚予想値を用いて、前記第1の制御指令を生成し、前記第2の制御部が、前記圧延ロールにより圧延された制御対象となる帯板の板厚の測定を開始したとき及びその後に、前記板厚設定値と前記板厚測定値とから板厚設定偏差を算出し、前記板厚設定偏差を用いて、前記第2の制御指令を生成し、前記位置指令生成部が、前記第1の制御部により、制御対象となる帯板を前記圧延ロールが圧延したときに生成された第1の制御指令を固定の制御指令とし、前記固定の制御指令と前記第2の制御部により生成された第2の制御指令とに基づいて、前記ロール間隔を決定するための位置指令を生成する、ことを特徴とする。
また、本発明による板厚制御装置は、前記帯板のライン速度を2段階の速度とし、前記2段階の速度のうちの低速度のライン速度にて、前記第1の制御部により、第1の制御指令を固定の制御指令とする、ことを特徴とする。
また、本発明による板厚制御方法は、帯板の板厚が所定の板厚設定値になるように、圧延機に設けられた圧延ロールのロール間隔を制御し、前記圧延ロールに帯板を圧延させる板厚制御方法において、前記圧延ロールのロール間隔を測定する第1−1のステップと、前記ロール間隔測定値から、前記圧延機の弾性変形特性を反映した板厚予想値を算出する第1−2のステップと、前記板厚設定値と前記板厚予想値とから板厚設定偏差予想値を算出する第1−3のステップと、前記ロール間隔測定値と前記板厚設定偏差予想値とに基づいて、第1の制御指令を生成する第1−4のステップと、前記圧延ロールにより圧延された帯板の板厚を測定する第2−1のステップと、前記板厚設定値と前記板厚測定値とから板厚設定偏差を算出する第2−2のステップと、前記圧延ロールに挿入されて圧延され搬出される帯板のライン速度に基づいて積分パラメータを算出する第2−3のステップと、所定の比例パラメータ及び前記積分パラメータを用いた制御により、第2の制御指令を生成する第2−4のステップと、前記第1の制御指令と第2の制御指令とに基づいて、前記ロール間隔を決定するための位置指令を生成する第3のステップと、を有することを特徴とする。
また、本発明による板厚制御方法は、前記圧延ロールが帯板を圧延するときに生じる荷重を測定するステップと、前記荷重を前記圧延ロールのミル定数で除算し、前記圧延ロールの弾性変形特性を出力するステップと、前記弾性変形特性と前記ロール間隔測定値とを加算し、板厚予想値を出力するステップと、前記板厚設定値から前記板厚予想値を減算し、板厚設定偏差予想値を出力するステップと、前記ロール間隔測定値と前記板厚設定偏差予想値とを加算し、第1の制御指令を出力するステップと、を有し、これらのステップにより、前記第1−4のステップにおいて第1の制御指令を生成することを特徴とする。
また、本発明による板厚制御方法は、所定のI(積分)ゲインに前記ライン速度を乗算し、積分パラメータを出力するステップと、前記板厚設定値から前記板厚測定値を減算し、板厚設定偏差を出力するステップと、前記板厚設定偏差がゼロになるように、所定の比例パラメータ及び前記積分パラメータによるPI制御を行い、第2の制御指令を出力するステップと、を有し、これらのステップにより、前記第2−4のステップにおいて第2の制御指令を生成することを特徴とする。
また、本発明による板厚制御方法は、制御対象となる帯板を前記圧延ロールが圧延したときに、前記第1−2のステップによって、前記圧延機の弾性変形特性を反映して板厚予想値を算出し、かつ、前記第1−4のステップによって、第1の制御指令を生成し、前記圧延ロールにより圧延された制御対象となる帯板の板厚の測定を開始したとき及びその後に、前記第2−1のステップによって、前記圧延ロールにより圧延された帯板の板厚を測定し、かつ、前記第2−4のステップによって、第2の制御指令を生成し、前記第3のステップは、前記制御対象となる帯板を前記圧延ロールが圧延したときに生成した第1の制御指令を固定の制御指令とし、前記固定の制御指令と、前記圧延ロールにより圧延された制御対象となる帯板の板厚の測定を開始したとき及びその後に生成された第2の制御指令とに基づいて、前記ロール間隔を決定するための位置指令を生成する、ことを特徴とする。
また、本発明による板厚制御方法は、前記帯板のライン速度を2段階の速度とし、前記2段階の速度のうちの低速度のライン速度にて、第1の制御指令を固定の制御指令とする、ことを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、板材の種類が特定されていない場合であっても、様々な種類の板材に対応した板厚制御を実現することができる。また、マスフロー制御を行うことなく、板厚制御を実現することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
〔自動板厚制御システム〕
まず、本発明の実施形態が適用される自動板厚制御システムについて説明する。図1は、自動板厚制御システムの全体構成を示す概念図である。この自動板厚制御システム100は、AGC制御装置11、圧下位置制御装置12、モータ制御装置13及び駆動装置14を用いて圧延機4により、帯板1の板厚を、予め設定された板厚設定値に圧延するものである。自動板厚制御システム100は、巻出しロール2、巻取りロール3、圧延機4、板厚検出器7、圧下装置8、圧下用モータ9、パルスジェネレータ10、AGC制御装置11、圧下位置制御装置12、モータ制御装置13及び駆動装置14を備えて構成されている。圧延機4は、圧下装置8により定められる所定のロール間隔にて帯板1を圧延する圧延ロール6、及び、帯板1から圧延ロール6への垂直荷重を検出し、ミル垂直荷重FB信号Fを出力するロードセル5を備えている。
〔自動板厚制御システム〕
まず、本発明の実施形態が適用される自動板厚制御システムについて説明する。図1は、自動板厚制御システムの全体構成を示す概念図である。この自動板厚制御システム100は、AGC制御装置11、圧下位置制御装置12、モータ制御装置13及び駆動装置14を用いて圧延機4により、帯板1の板厚を、予め設定された板厚設定値に圧延するものである。自動板厚制御システム100は、巻出しロール2、巻取りロール3、圧延機4、板厚検出器7、圧下装置8、圧下用モータ9、パルスジェネレータ10、AGC制御装置11、圧下位置制御装置12、モータ制御装置13及び駆動装置14を備えて構成されている。圧延機4は、圧下装置8により定められる所定のロール間隔にて帯板1を圧延する圧延ロール6、及び、帯板1から圧延ロール6への垂直荷重を検出し、ミル垂直荷重FB信号Fを出力するロードセル5を備えている。
巻出しロール2は、帯板1をライン方向(図1の→が示す方向)へ巻き出して、圧延機4へ搬入して圧延ロール6のロール間へ挿入する。巻取りロール3は、圧延機4の圧延ロール6により圧延され搬出された帯板1を巻き取る。
尚、図1では、図6に示した従来の自動板厚制御システム200と同様に、左から右への方向を、帯板1が移動するライン方向としているが、予め設定された板厚設定値になるように板厚を制御するには、ライン方向とは逆の方向にも帯板1を移動させ、ライン方向及びその逆方向の移動を繰り返す必要がある。逆方向の移動の場合は、巻出しロール2が巻取りロールとなり、巻取りロール3が巻出しロールとなり、圧延機4の右側に設置された板厚検出器7の代わりに、圧延機4の左側に設置される板厚検出器(図示せず)が用いられる。この場合、圧延機4の左側が出側となる。AGC制御装置11、圧下位置制御装置12及びモータ制御装置13は、ライン方向が逆になっても同様の処理を行う。
板厚検出器7は、圧延機4の出側に設置されており、圧延機4の圧延ロール6により圧延された帯板1の板厚を検出し、板厚FB信号AをAGC制御装置11へ出力する。
AGC制御装置11は、圧延機4のロードセル5からのミル垂直荷重FB信号F及び板厚検出器7からの板厚FB信号Aを入力すると共に、予め設定されたミル定数M、ミル出側板厚設定指令t*及びライン速度指令V*を入力し、さらに、圧下用モータ9に取り付けられたパルスジェネレータ10からのモータ位置FB信号Bを入力し、AGC位置指令Cを算出して圧下位置制御装置12へ出力する。
ここで、ミル定数Mは、圧延機4の弾性変形に伴う板厚への影響度合いを示す定数であり、圧延機4の弾性変形特性に基づいて設定される。このミル定数Mは、通常、圧延機4の機械メーカから提示される。ミル出側板厚設定指令t*は、圧延機4の圧延ロール6により圧延される帯板1の板厚設定値を示す指令である。ライン速度指令V*は、巻出しロール2から圧延機4を介して巻取りロール3までのライン方向へ移動する帯板1の設定速度を示す指令である。ミル定数M、ミル出側板厚設定指令t*及びライン速度指令V*は、オペレータにより予め設定される。モータ位置FB信号Bは、圧延ロール6のロール間隔を示すミルGAP現在位置を算出するための信号である。
圧下位置制御装置12は、AGC制御装置11からAGC位置指令Cを入力すると共に、圧下用モータ9に取り付けられたパルスジェネレータ10からモータ位置FB信号Bを入力し、モータ位置FB信号Bから算出したミルGAP現在位置が、AGC位置指令Cが示すミルGAP設定位置に一致するように、圧下用モータ9及び圧下装置8を介して圧延ロール6のロール間隔を制御するためのモータ速度指令Dを算出し、モータ制御装置13へ出力する。
モータ制御装置13は、圧下位置制御装置12からモータ速度指令Dを入力すると共に、パルスジェネレータ10からモータ位置FB信号Bを入力し、モータ位置FB信号Bから算出したモータ速度が、モータ速度指令Dが示すモータ設定速度に一致するように速度制御等を行い、圧下用モータ9を速度制御するためのモータ制御信号Eを算出し、駆動装置14へ出力する。
駆動装置14は、モータ制御装置13からモータ制御信号Eを入力し、モータ駆動信号を圧下用モータ9へ出力する。圧下装置8は、圧下用モータ9の回転に従って、圧延機4の圧延ロール6を圧下し、ロール間隔を狭めたり広げたりする。
このように、帯板1の板厚を決定する圧延ロール6のロール間隔は、AGC制御装置11が算出するAGC位置指令Cによって定められる。
〔AGC制御装置〕
次に、図1に示したAGC制御装置11について説明する。図2は、AGC制御装置11の構成を示すブロック図である。このAGC制御装置11は、帯板1の板厚現在値(板厚FB信号Aが示す現在値)を、予め設定された板厚設定値(ミル出側板厚設定指令t*が示す設定値)に一致させるように、圧延ロール6のロール間隔を定めるミルギャップ設定位置のAGC位置指令Cを算出して出力する板厚制御装置である。AGC制御装置11は、スイッチ101、加算部102,103、除算部104、加算部105、減算部106、スイッチ107、減算部108、乗算部109、PI制御部110及びカウンタ111を備えている。
次に、図1に示したAGC制御装置11について説明する。図2は、AGC制御装置11の構成を示すブロック図である。このAGC制御装置11は、帯板1の板厚現在値(板厚FB信号Aが示す現在値)を、予め設定された板厚設定値(ミル出側板厚設定指令t*が示す設定値)に一致させるように、圧延ロール6のロール間隔を定めるミルギャップ設定位置のAGC位置指令Cを算出して出力する板厚制御装置である。AGC制御装置11は、スイッチ101、加算部102,103、除算部104、加算部105、減算部106、スイッチ107、減算部108、乗算部109、PI制御部110及びカウンタ111を備えている。
AGC制御装置11を構成する構成要素のうち、カウンタ111、スイッチ101、加算部102、除算部104、加算部105、減算部106及びスイッチ107が、簡易フィードフォワードAGCの制御部を構成している。また、減算部108、乗算部109、PI制御部110及び加算部103がフィードバックAGCの制御部を構成している。
前者の簡易フィードフォワードAGCの制御部は、フィードバックしたミル垂直荷重FB信号F及びミル定数Mから圧延機4の弾性変形特性を算出し、その弾性変形特性が板厚に与える影響分の値を算出する。一方、後者のフィードバックAGC部は、フィードバックした板厚FB信号Aから板厚偏差を算出し、板厚偏差がゼロになるようにPI制御を行う。この場合、PI制御によって、圧延ロール6の位置と板厚検出器7の位置との違いに起因した、板厚に与える影響分が吸収される。そして、AGC制御装置11は、これらの影響分を考慮したAGC位置指令Cを算出し、圧下位置制御装置12へ出力する。
〔動作〕
図3は、AGC制御装置11による自動板厚制御の全体動作を示すタイムチャートである。図3に示すように、ライン速度指令V*は、ゼロから徐々に低速運転の設定速度(10mpm)に移行し、一定時間低速運転を行った後、低速運転から徐々に上昇して本来の設定速度に移行するような特性を有する指令である。帯板1は、このような2段階の設定速度を有するライン速度指令V*に従って、ライン方向へ移動する。ライン速度指令V*が2段階の設定速度を有するのは、本来の設定速度のみとすると、帯板1の板厚が板厚設定値になるまでに一定の時間がかかり、板厚が均一にならない箇所が長くなってしまうからである。つまり、最初は低速運転させ、その低速運転においてロール間隔を決めるようにした。詳細については後述する。
図3は、AGC制御装置11による自動板厚制御の全体動作を示すタイムチャートである。図3に示すように、ライン速度指令V*は、ゼロから徐々に低速運転の設定速度(10mpm)に移行し、一定時間低速運転を行った後、低速運転から徐々に上昇して本来の設定速度に移行するような特性を有する指令である。帯板1は、このような2段階の設定速度を有するライン速度指令V*に従って、ライン方向へ移動する。ライン速度指令V*が2段階の設定速度を有するのは、本来の設定速度のみとすると、帯板1の板厚が板厚設定値になるまでに一定の時間がかかり、板厚が均一にならない箇所が長くなってしまうからである。つまり、最初は低速運転させ、その低速運転においてロール間隔を決めるようにした。詳細については後述する。
ライン入運転が開始する前のライン速度がゼロであるとき、帯板1は、予め圧延ロール6に或る程度の荷重で挟まれている。ライン入運転が開始すると、ライン低速運転に入り、ライン速度は、ゼロから低速運転の設定速度まで徐々に上昇し、低速運転を維持する。そして、ライン入運転の開始から5秒が経過した時点で、AGC簡易FF入りの信号がオンすると共に、圧下位置制御ONの信号もオンする。この5秒の時点までは、圧下位置制御ONの信号はオフになっているから、図1に示した圧下位置制御装置12は動作せず、板厚制御は行われない。5秒の時点になると、ロードセル5により出力されたミル垂直荷重FB信号Fに基づいて処理を行う。すなわち、このタイミングにおいて、簡易フィードフォワードAGCによって、ミル垂直荷重FB信号F及びミル定数Mから圧延機4の弾性変形特性を算出し、その弾性変形特性が板厚に与える影響分の値を特定する。また、圧下位置制御装置12が動作し、板厚制御が行われる。
そして、ライン入運転の開始から12秒が経過した時点で、ライン低速運転が終了し、ライン速度が低速運転の設定速度から徐々に上昇して本来の設定速度に移行し、その本来の設定速度を維持する。また、12秒の時点になると、PI制御入りの信号がオンし、板厚検出器7により検出された帯板1の板厚に基づいて処理を行う。すなわち、このタイミングにおいて、フィードバックAGCによって、板厚FB信号Aから板厚偏差を算出し、板厚偏差がゼロになるようにPI制御を行う。
〔簡易フィードフォワードAGC〕
次に、簡易フィードフォワードAGCについて説明する。簡易フィードフォワードAGCは、ライン入運転が開始した後のライン低速運転時に、圧延機4の弾性変形特性が板厚に与える影響分を考慮したAGC簡易FF指令を算出し(図3において、AGC簡易FF入りのタイミング、すなわち開始から5秒のタイミングで算出し)、その後の低速運転時及び本来の設定速度による運転時に、その固定のAGC簡易FF指令を用いて行う制御をいう。また、この制御を行うとき、ミル垂直荷重FB信号Fによるフィードバック制御も行う。図2を参照して、簡易フィードフォワードAGCは、前述したように、カウンタ111、スイッチ101、加算部102、除算部104、加算部105、減算部106及びスイッチ107により実現される。
次に、簡易フィードフォワードAGCについて説明する。簡易フィードフォワードAGCは、ライン入運転が開始した後のライン低速運転時に、圧延機4の弾性変形特性が板厚に与える影響分を考慮したAGC簡易FF指令を算出し(図3において、AGC簡易FF入りのタイミング、すなわち開始から5秒のタイミングで算出し)、その後の低速運転時及び本来の設定速度による運転時に、その固定のAGC簡易FF指令を用いて行う制御をいう。また、この制御を行うとき、ミル垂直荷重FB信号Fによるフィードバック制御も行う。図2を参照して、簡易フィードフォワードAGCは、前述したように、カウンタ111、スイッチ101、加算部102、除算部104、加算部105、減算部106及びスイッチ107により実現される。
図3に示したように、ライン速度指令V*は、ゼロから加速して低速運転し、そして低速運転から本来の設定速度による運転へ移行するような2段階の設定速度を有した指令である。簡易フィードフォワードAGCでは、板厚FB信号Aが示す板厚が、ミル出側板厚設定指令t*が示す板厚設定値になるまで時間がかかる。ライン速度指令V*が2段階の設定速度を有した指令でなく、本来の設定速度のみを有した指令とすると、例えば、ライン速度500mpmでの本来の運転により帯板1を圧延した場合に、板厚が均一にならず、精度の高い板厚制御を行うことができない。そこで、ライン速度指令V*を2段階の設定速度を有する指令とし、低速運転において、圧延ロール6のロール間隔であるミルGAP現在位置を決めている。
図2に戻って、AGC制御装置11のカウンタ111は、モータ位置FB信号Bを入力し、モータ位置FB信号Bのパルス信号をカウントし、そのカウント値をミルGAP現在位置としてスイッチ101及び加算部105に出力する。
スイッチ101は、カウンタ111からのミルGAP現在位置、及びAGC簡易FF入りを入力すると共に、当該スイッチ101の出力信号(AGC簡易FF入りを入力したタイミングにおけるミルGAP現在位置)をフィードバックして入力し、AGC簡易FF入りの入力の有無に従って、ミルGAP現在位置または出力信号を加算部102に出力する。具体的には、スイッチ101は、AGC簡易FF入りを入力していないときに、ミルGAP現在位置を出力する。AGC簡易FF入りを入力していないときとは、図3において、ライン入運転が開始してから、AGC簡易FF入りがオンになるまでの5秒間の期間をいう。一方、スイッチ101は、AGC簡易FF入りを入力したタイミングで、カウンタ111から入力しているミルGAP現在位置を出力することに代えて、フィードバックして入力した出力信号を出力するように切り替える。そして、スイッチ101は、AGC簡易FF入りを入力している限り、フィードバックして入力した出力信号、すなわちAGC簡易FF入りを入力したタイミングにおけるミルGAP現在位置を出力する。
尚、AGC簡易FF入りがスイッチ101に入力されるタイミングは、ライン入運転開始後、低速運転の動作が安定する時点とする。例えば、その時点は予め設定されていてもよいし、所定の条件を満たした時点であってもよい。図示しない制御部は、前述したタイミングを判定し、AGC簡易FF入りをスイッチ101に出力する。例えば、図3に示したように、ライン入運転開始後5秒経過したタイミングを判定し、AGC簡易FF入りをスイッチ101に出力する。
除算部104は、ミル垂直荷重FB信号F及びミル定数Mを入力し、ミル垂直荷重FB信号Fをミル定数Mで除算し、除算結果を加算部105に出力する。ここで、除算結果は、圧延ロール6が帯板1を圧延するときに掛かるミル垂直荷重FB信号F(ton)を、圧延機4の弾性変形特性により設定されるミル定数M(ton/mm)で除算した値であるから、圧延ロール6が帯板1によりこじ開けられた量(mm)を示している。つまり、除算部104は、圧延ロール6が帯板1によりこじ開けられた量(こじ開け量)を加算部105に出力する。
加算部105は、カウンタ111からのミルGAP現在位置、及び除算部104からのこじ開け量を入力し、ミルGAP現在位置とこじ開け量とを加算し、加算結果を減算部106に出力する。ここで、加算結果は、圧延ロール6のロール間隔を示すミルGAP現在位置と、圧延ロール6が帯板1によりこじ開けられた量を示すこじ開け量とを加算した値であるから、帯板1が圧延ロール6のロール間に挿入されているときの圧延機4の弾性変形特性を考慮したロール間隔、すなわちミル直下の現在板厚の予想値を示している。つまり、加算部105は、圧延機4の弾性変形特性を考慮した現在板厚予想値を減算部106に出力する。
減算部106は、ミル出側板厚設定指令t*、及び加算部105からの現在板厚予想値を入力し、ミル出側板厚設定指令t*から現在板厚予想値を減算し、減算結果をスイッチ107に出力する。ここで、減算結果は、帯板1の板厚設定値を示すミル出側板厚設定指令t*から、圧延機4の弾性変形特性を考慮した現在板厚予想値を減算した値であるから、圧延機4の弾性変形特性を考慮した場合の、板厚設定値と板厚現在予想値との間の偏差、すなわち板厚設定偏差予想値を示している。つまり、減算部106は、圧延機4の弾性変形特性を考慮した場合の板厚設定偏差予想値をスイッチ107に出力する。
スイッチ107は、減算部106からの板厚設定偏差予想値、及びAGC簡易FF入りを入力すると共に、当該スイッチ107の出力信号(AGC簡易FF入りを入力したタイミングにおける板厚設定偏差予想値)をフィードバックして入力し、AGC簡易FF入りの入力の有無に従って、板厚設定偏差予想値または出力信号を加算部102に出力する。具体的には、スイッチ107は、AGC簡易FF入りを入力していないときに、板厚設定偏差予想値を出力する。一方、スイッチ107は、AGC簡易FF入りを入力したタイミングで、減算部106から入力している板厚設定偏差予想値を出力することに代えて、フィードバックして入力した出力信号を出力するように切り替える。そして、スイッチ107は、AGC簡易FF入りを入力している限り、フィードバックして入力した出力信号、すなわちAGC簡易FF入りを入力したタイミングにおける板厚設定偏差予想値を出力する。尚、AGC簡易FF入りがスイッチ107に入力されるタイミングは、スイッチ101の場合と同様である。
加算部102は、スイッチ101からのミルGAP現在位置、及びスイッチ107からの板厚設定偏差予想値を入力し、ミルGAP現在位置と板厚設定偏差予想値とを加算し、加算結果を加算部103に出力する。実際のライン入運転では、ライン入運転が開始してから、スイッチ101,107がAGC簡易FF入りを入力するまでの期間中、AGC制御装置11からAGC位置指令Cを入力する圧下位置制御装置12は動作しない(図3において、圧下位置制御ONの信号がオフしている期間を指している)。つまり、その期間中、スイッチ101により出力されるミルGAP現在位置及びスイッチ107により出力される板厚設定偏差予想値は、使用されない。その期間の後に圧下位置制御装置12が動作し(図3において、圧下位置制御ONの信号がオンした後を指している)、スイッチ101により出力されるミルGAP現在位置及びスイッチ107により出力される板厚設定偏差予想値が使用される。つまり、加算結果は、AGC簡易FF入りがスイッチ101,107に入力されてから有効になる。
ここで、加算部102における有効な加算結果は、スイッチ101により出力が維持された、AGC簡易FF入りを入力したタイミングでのミルGAP現在位置と、スイッチ101により出力が維持された、AGC簡易FF入りを入力したタイミングにおける板厚設定偏差予想値とを加算した値であるから、帯板1が圧延ロール6のロール間に挿入されているときの圧延機4の弾性変形特性を考慮したAGC簡易FF指令となる。
以上のように、本発明の実施形態による、ミル垂直荷重FB信号Fによるフィードバック制御を含む簡易フィードフォワードAGCによれば、ライン運転開始後の低速運転時に、圧延機4の弾性変形特性が板厚に与える影響分を考慮したAGC簡易FF指令を、スイッチ101,107においてAGC簡易FF指令が入力されるタイミングで算出して固定する。そして、その後の低速運転時及び本来の設定速度による運転時に、その固定のAGC簡易FF指令による制御を行う。ここで、板材の種類が特定されていない場合には、板材の塑性変形特性も不明であるため、これに起因した板厚偏差が生じてしまう。前述した簡易フィードフォワードAGCによれば、板材の塑性変形特性が不明であることに起因して生じる板厚偏差が存在するけれども、圧延機4の弾性変形特性に起因して生じる板厚偏差に着目し、圧延機4の弾性変形特性が板厚に与える影響分を考慮した板厚制御を行うようにした。そして、板材の塑性変形特性が不明であることに起因して生じる板厚偏差については、後述するフィードバックAGC(板厚FB信号Aによるフィードバック制御)により、対応するようにした。したがって、板材の種類が特定されていない場合であっても、様々な種類の板材に対応した板厚制御を実現することができる。
〔フィードバックAGC〕
次に、フィードバックAGCについて説明する。フィードバックAGCは、簡易フィードフォワードAGCによりAGC簡易FF指令が算出され固定された後の低速運転終了時点であって、本来の設定速度による運転を行うための加速運転に入る時点以降に行う(図3において、PI制御入りがオンするタイミングを参照)、板厚FB信号Aによるフィードバック制御をいう。前述したように、フィードバックAGCは、減算部108、乗算部109、PI制御部110及び加算部103により実現される。
次に、フィードバックAGCについて説明する。フィードバックAGCは、簡易フィードフォワードAGCによりAGC簡易FF指令が算出され固定された後の低速運転終了時点であって、本来の設定速度による運転を行うための加速運転に入る時点以降に行う(図3において、PI制御入りがオンするタイミングを参照)、板厚FB信号Aによるフィードバック制御をいう。前述したように、フィードバックAGCは、減算部108、乗算部109、PI制御部110及び加算部103により実現される。
減算部108は、ミル出側板厚設定指令t*及び板厚FB信号Aを入力し、ミル出側板厚設定指令t*から板厚FB信号Aを減算し、減算結果をPI制御部110に出力する。ここで、減算結果は、帯板1の板厚設定値を示すミル出側板厚設定指令t*から、圧延ロール6の出側に設置された板厚検出器7により検出された帯板1の板厚FB信号Aを減算した値であるから、板厚設定値と実際の板厚値である板厚現在値との間の偏差、すなわち板厚設定偏差実際値を示している。つまり、減算部108は、板厚設定偏差実際値をPI制御部110に出力する。
乗算部109は、I(積分)ゲイン及びライン速度指令V*を入力し、Iゲインにライン速度指令V*を乗算し、乗算結果をPI制御部110に出力する。ここで、乗算結果は、ライン速度指令V*に比例した積分パラメータ値を示している。つまり、乗算部109は、ライン速度指令V*に比例した積分パラメータ値をPI制御部110に出力する。
PI制御部110は、減算部108からの板厚設定偏差実際値、乗算部109からの積分パラメータ値、予め設定されたPゲイン、及びPI制御入りを入力し、PI制御入りの入力の有無に従って、PI制御を行ってFB−PI制御信号を加算部103に出力するか、または、PI制御を行わずにゼロのFB−PI制御信号を加算部103に出力する。具体的には、PI制御部110は、PI制御入りを入力していないときに、すなわち、図3においてライン入運転の開始時点から、ライン速度指令V*によりラインが加速するときの12秒が経過する時点まで、ゼロのFB−PI制御信号を出力する。一方、PI制御部110は、PI制御入りを入力すると、Pゲインである比例パラメータ値及び積分パラメータ値により、板厚設定偏差実際値がゼロになるようにPI制御を行い、FB−PI制御信号を加算部103に出力する。尚、PI制御入りがPI制御部110に入力されるタイミングは、ラインを低速から加速し始める時点とする。例えば、その時点は予め設定されていてもよいし、所定の条件を満たした時点であってもよい。図示しない制御部は、前述したタイミングを判定し、PI制御入りをPI制御部110に出力する。例えば、図3に示したように、ライン入運転開始後12秒経過したタイミングを判定し、PI制御入りをPI制御部110に出力する。
加算部103は、加算部102からのAGC簡易FF指令、及びPI制御部110からのFB−PI制御信号を入力し、AGC簡易FF指令とFB−PI制御信号とを加算し、加算結果であるAGC位置指令Cを圧下位置制御装置12に出力する。
以上のように、本発明の実施形態による、板厚FB信号AによるフィードバックAGCによれば、簡易フィードフォワードAGCによりAGC簡易FF指令が算出され固定された後の低速運転終了時点であって、本来の設定速度による運転を行うための加速運転に入る時点から、板厚FB信号Aのフィードバック制御により、板厚FB信号Aがミル出側板厚設定指令t*に一致するようにPI制御を行い、FB−PI制御信号とAGC簡易FF指令とを加算してAGC位置指令Cを用いた制御を行う。ここで、マスフロー制御を行う従来技術では、デフレクタロールがスリップ等により使用できなくなった場合には、帯板1の速度を正しく測定することができず、板厚制御を行うことができなかった。これに対し、本発明の実施形態では、帯板1の速度を測定しておらず、マスフロー制御を行わないから、デフレクタロールがスリップ等により使用できなくなった場合であっても、板厚制御を行うことができる。これにより、マスフロー制御を行うことなく、板厚制御を実現することができる。
〔圧下位置制御装置〕
次に、図1に示した圧下位置制御装置12について説明する。図4は、圧下位置制御装置12の構成を示すブロック図である。この圧下位置制御装置12は、圧延ロール6のロール間隔(モータ位置FB信号Bが示すモータ位置)からミルGAP現在位置を算出し、そのミルGAP現在位置を、AGC制御装置11から入力したAGC位置指令Cが示すミルGAP設定位置に一致させるように、圧下用モータ9のモータ速度指令Dを算出して出力する装置である。圧下位置制御装置12は、カウンタ201、減算部202、位置制御部203及びリミッタ204を備えている。尚、圧下位置制御装置12は、図3に示したように、圧下位置制御ONの信号がオフの場合は動作しない。すなわち、圧下位置制御装置12は、カウンタ201、減算部202、位置制御部203及びリミッタ204による処理を行わないため、モータ速度指令Dを出力しない。一方、圧下位置制御装置12は、圧下位置制御ONの信号がオンの場合は動作する。すなわち、圧下位置制御装置12は、カウンタ201等による処理を行い、モータ速度指令Dを出力する。この場合、圧下位置制御装置12は、図示しない制御部から圧下位置制御ONの信号を入力して動作の可否を判定する。例えば、図示しない制御部は、図3に示したように、ライン入運転開始後5秒経過したタイミングを判定し、圧下位置制御ONの信号を圧下位置制御装置12に出力する。
次に、図1に示した圧下位置制御装置12について説明する。図4は、圧下位置制御装置12の構成を示すブロック図である。この圧下位置制御装置12は、圧延ロール6のロール間隔(モータ位置FB信号Bが示すモータ位置)からミルGAP現在位置を算出し、そのミルGAP現在位置を、AGC制御装置11から入力したAGC位置指令Cが示すミルGAP設定位置に一致させるように、圧下用モータ9のモータ速度指令Dを算出して出力する装置である。圧下位置制御装置12は、カウンタ201、減算部202、位置制御部203及びリミッタ204を備えている。尚、圧下位置制御装置12は、図3に示したように、圧下位置制御ONの信号がオフの場合は動作しない。すなわち、圧下位置制御装置12は、カウンタ201、減算部202、位置制御部203及びリミッタ204による処理を行わないため、モータ速度指令Dを出力しない。一方、圧下位置制御装置12は、圧下位置制御ONの信号がオンの場合は動作する。すなわち、圧下位置制御装置12は、カウンタ201等による処理を行い、モータ速度指令Dを出力する。この場合、圧下位置制御装置12は、図示しない制御部から圧下位置制御ONの信号を入力して動作の可否を判定する。例えば、図示しない制御部は、図3に示したように、ライン入運転開始後5秒経過したタイミングを判定し、圧下位置制御ONの信号を圧下位置制御装置12に出力する。
圧下位置制御装置12のカウンタ201は、パルスジェネレータ10からモータ位置FB信号Bを入力し、モータ位置FB信号Bのパルス信号をカウントし、そのカウント値をミルGAP現在位置として減算部202に出力する。
減算部202は、AGC制御装置11からAGC位置指令Cを入力すると共に、カウンタ201からミルGAP現在位置を入力し、AGC位置指令CからミルGAP現在位置を減算し、減算結果を位置制御部203に出力する。ここで、減算結果は、AGC位置指令Cが示すミルGAP設定位置からミルギャップ現在位置を減算した値であるから、AGC位置偏差を示している。つまり、減算部202は、AGC位置偏差を位置制御部203に出力する。
位置制御部203は、減算部202からAGC位置偏差を入力し、このAGC位置偏差がゼロになるように、すなわち、ミルGAP現在位置がミルGAP設定位置に一致するように位置制御を行い、速度指令を算出し、リミッタ204に出力する。リミッタ204は、位置制御部203から速度指令を入力すると共に、予め設定されたモータ最大速度を入力し、速度指令がモータ最大速度以下である場合、入力した速度指令をモータ速度指令Dとしてモータ制御装置13へ出力する。一方、速度指令がモータ最大速度を越える場合、モータ最大速度をモータ速度指令Dとしてモータ制御装置13へ出力する。
モータ制御装置13、駆動装置14及び圧下装置8については、図6において既に説明したので、ここでは説明を省略する。
〔自動板厚制御のフロー〕
次に、自動板厚制御のフローについて説明する。図5は、図1に示した自動板厚制御システム100による自動板厚制御の手順を示すフローチャートである。ライン入運転が開始すると(ステップS501)、帯板1のラインはライン低速運転で動作する(ステップS502)。この場合、図1、図2及び図3に示したライン速度指令V*は、低速運転の設定速度の指令となっている。
次に、自動板厚制御のフローについて説明する。図5は、図1に示した自動板厚制御システム100による自動板厚制御の手順を示すフローチャートである。ライン入運転が開始すると(ステップS501)、帯板1のラインはライン低速運転で動作する(ステップS502)。この場合、図1、図2及び図3に示したライン速度指令V*は、低速運転の設定速度の指令となっている。
そして、AGC制御装置11は、AGC簡易FF入りの信号の入力を待つ(ステップS503)。すなわち、AGC制御装置11は、運転開始後、ライン低速運転の動作が安定する時点(例えば、予め設定された時間の経過)を待つ。AGC制御装置11は、AGC簡易FF入りの信号を入力すると(ステップS503:Y)、図2に示した簡易フィードフォワードAGCにより算出されたAGC簡易FF指令を固定して確定する(ステップS504)。
また、圧下位置制御装置12の動作が開始し(ステップS505)、AGC制御装置11は、簡易フィードフォワードAGCにおいて確定したAGC簡易FF指令をAGC位置指令Cとして出力し、圧下位置制御装置12は、AGC位置指令Cを入力してモータ速度指令Dを出力する。これにより、モータ制御装置13及び駆動装置14によって、圧延ロール6のロール間隔であるミルGAPが決定される(ステップS506)。
そして、AGC制御装置11は、PI制御入りの信号の入力を待つ(ステップS507)。すなわち、AGC制御装置11は、ラインを低速から加速し始める時点(例えば、予め設定された時間)を待つ。AGC制御装置11は、PI制御入りの信号を入力すると(ステップS507:Y)、図2に示したフィードバックAGCにより算出されたFB−PI制御信号と、簡易フィードフォワードAGCにより算出されたAGC簡易FF指令とを加算し、その加算結果をAGC位置指令Cとして出力する。そして、圧下位置制御装置12は、AGC位置指令Cを入力してモータ速度指令Dを出力し、モータ制御装置13及び駆動装置14によって、圧延ロール6のロール間隔であるミルGAPが決定される。このようにして板厚制御が行われる(ステップS508)。そして、自動板厚制御が終了する(ステップS509)。
以上のように、本発明の実施形態によれば、AGC制御装置11は、ライン低速運転時に、簡易フィードフォワードAGCによって、帯板1が圧延ロール6に挿入されたときに圧延機4が弾性変形することを考慮したAGC簡易FF指令を固定して確定し、この確定したAGC簡易FF指令に基づいて、圧延機4の弾性変形を考慮したミルGAPを決定するようにした。しかしながら、帯板1には、板材の種類により異なる塑性変形特性を有しており、塑性変形特性が不明な場合には、塑性変形特性に起因した板厚設定偏差が必然的に生じてしまう。そこで、AGC制御装置11は、ライン低速運転が終了した後、ラインが加速してから本来の設定速度で運転する時に、フィードバックAGCによるPI制御によって、塑性変形特性に起因した板厚設定偏差がゼロになるように、板厚制御を行うようにした。
これにより、板材の種類が特定されていない場合であっても、様々な種類の板材に対応した板厚制御を実現することができる。また、本発明の実施形態では、帯板1の速度を測定しておらず、マスフロー制御を行っていないから、デフレクタロールがスリップ等により使用できなくなった場合であっても、板厚制御を行うことができる。つまり、マスフロー制御を行うことなく、板厚制御を実現することができる。
また、本発明の実施形態では、AGC制御装置11は、フィードバックAGCによるPI制御を行うに際して、積分パラメータを、Iゲイン及びライン速度指令V*を乗算して定めるようにした。これにより、圧延が行われる圧延機4における圧延ロール6の位置と板厚が検出される板厚検出器7の位置とが異なることによる搬送遅れの問題、すなわち、搬送遅れに伴う板厚制御の不整合を、PI制御にて解消することができる。
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、図3に示したタイムチャートは一例であり、本発明は、そのタイミングに限定されるものではない。
1 帯板
2 巻出しロール
3 巻取りロール
4 圧延機
5 ロードセル
6 圧延ロール
7 板厚検出器
8 圧下装置
9 圧下用モータ
10 パルスジェネレータ
11,26 AGC制御装置
12,30 圧下位置制御装置
13 モータ制御装置
14 駆動装置
21,22 デフレクタロール
23,24 パルスジェネレータ
25 板厚検出器
27 フィードフォワードAGC部
28 フィードバックAGC部
29 加算部
100,200 自動板厚制御システム
101,107 スイッチ
102,103,105 加算部
104 除算部
106,108 減算部
109 乗算部
110 PI制御部
111,201 カウンタ
202 減算部
203 位置制御部
204 リミッタ
A 板厚FB信号
B モータ位置FB信号
C AGC位置指令
D モータ速度指令
E モータ制御信号
F ミル垂直荷重FB信号
M ミル定数
t* ミル出側板厚設定指令
V* ライン速度指令
2 巻出しロール
3 巻取りロール
4 圧延機
5 ロードセル
6 圧延ロール
7 板厚検出器
8 圧下装置
9 圧下用モータ
10 パルスジェネレータ
11,26 AGC制御装置
12,30 圧下位置制御装置
13 モータ制御装置
14 駆動装置
21,22 デフレクタロール
23,24 パルスジェネレータ
25 板厚検出器
27 フィードフォワードAGC部
28 フィードバックAGC部
29 加算部
100,200 自動板厚制御システム
101,107 スイッチ
102,103,105 加算部
104 除算部
106,108 減算部
109 乗算部
110 PI制御部
111,201 カウンタ
202 減算部
203 位置制御部
204 リミッタ
A 板厚FB信号
B モータ位置FB信号
C AGC位置指令
D モータ速度指令
E モータ制御信号
F ミル垂直荷重FB信号
M ミル定数
t* ミル出側板厚設定指令
V* ライン速度指令
Claims (10)
- 帯板の板厚が所定の板厚設定値になるように、圧延機に設けられた圧延ロールのロール間隔を制御し、前記圧延ロールに帯板を圧延させる板厚制御装置において、
前記ロール間隔を測定して得られたロール間隔測定値から、前記圧延機の弾性変形特性を反映した板厚予想値を算出し、前記板厚設定値と前記板厚予想値とから板厚設定偏差予想値を算出し、前記ロール間隔測定値と前記板厚設定偏差予想値とに基づいて、第1の制御指令を生成する第1の制御部と、
前記板厚設定値と、前記圧延ロールにより圧延された帯板の板厚を測定して得られた板厚測定値とから板厚設定偏差を算出し、前記圧延ロールに挿入されて圧延され搬出される帯板のライン速度に基づいて積分パラメータを算出し、所定の比例パラメータ及び前記積分パラメータを用いた制御により、第2の制御指令を生成する第2の制御部と、
前記第1の制御指令と第2の制御指令とに基づいて、前記ロール間隔を決定するための位置指令を生成する位置指令生成部と、
を備えたことを特徴とする板厚制御装置。 - 請求項1に記載の板厚制御装置において、
前記第1の制御部は、
前記圧延ロールが帯板を圧延するときに生じる荷重を前記圧延ロールのミル定数で除算し、前記圧延機の弾性変形特性を出力する除算部と、
前記除算部により出力された弾性変形特性と前記ロール間隔測定値とを加算し、板厚予想値を出力する加算部と、
前記板厚設定値から、前記加算部により出力された板厚予想値を減算し、板厚設定偏差予想値を出力する減算部と、
前記ロール間隔測定値と前記減算部により出力された板厚設定偏差予想値とを加算し、第1の制御指令を出力する加算部と、
を備えたことを特徴とする板厚制御装置。 - 請求項1または2に記載の板厚制御装置において、
前記第2の制御部は、
所定のI(積分)ゲインに前記ライン速度を乗算し、積分パラメータを出力する乗算部と、
前記板厚設定値から前記板厚測定値を減算し、板厚設定偏差を出力する減算部と、
前記減算部により出力された板厚設定偏差がゼロになるように、所定の比例パラメータ及び前記乗算部により出力された積分パラメータによるPI制御を行い、第2の制御指令を出力するPI制御部と、
を備えたことを特徴とする板厚制御装置。 - 請求項1から3までのいずれか一項に記載の板厚制御装置において、
前記第1の制御部は、制御対象となる帯板を前記圧延ロールが圧延したときに、前記圧延機の弾性変形特性を反映した板厚予想値を用いて、前記第1の制御指令を生成し、
前記第2の制御部は、前記圧延ロールにより圧延された制御対象となる帯板の板厚の測定を開始したとき及びその後に、前記板厚設定値と前記板厚測定値とから板厚設定偏差を算出し、前記板厚設定偏差を用いて、前記第2の制御指令を生成し、
前記位置指令生成部は、前記第1の制御部により、制御対象となる帯板を前記圧延ロールが圧延したときに生成された第1の制御指令を固定の制御指令とし、前記固定の制御指令と前記第2の制御部により生成された第2の制御指令とに基づいて、前記ロール間隔を決定するための位置指令を生成する、
ことを特徴とする板厚制御装置。 - 請求項4に記載の板厚制御装置において、
前記帯板のライン速度を2段階の速度とし、前記2段階の速度のうちの低速度のライン速度にて、前記第1の制御部により、第1の制御指令を固定の制御指令とする、
ことを特徴とする板厚制御装置。 - 帯板の板厚が所定の板厚設定値になるように、圧延機に設けられた圧延ロールのロール間隔を制御し、前記圧延ロールに帯板を圧延させる板厚制御方法において、
前記圧延ロールのロール間隔を測定する第1−1のステップと、
前記ロール間隔測定値から、前記圧延機の弾性変形特性を反映した板厚予想値を算出する第1−2のステップと、
前記板厚設定値と前記板厚予想値とから板厚設定偏差予想値を算出する第1−3のステップと、
前記ロール間隔測定値と前記板厚設定偏差予想値とに基づいて、第1の制御指令を生成する第1−4のステップと、
前記圧延ロールにより圧延された帯板の板厚を測定する第2−1のステップと、
前記板厚設定値と前記板厚測定値とから板厚設定偏差を算出する第2−2のステップと、
前記圧延ロールに挿入されて圧延され搬出される帯板のライン速度に基づいて積分パラメータを算出する第2−3のステップと、
所定の比例パラメータ及び前記積分パラメータを用いた制御により、第2の制御指令を生成する第2−4のステップと、
前記第1の制御指令と第2の制御指令とに基づいて、前記ロール間隔を決定するための位置指令を生成する第3のステップと、
を有することを特徴とする板厚制御方法。 - 請求項6に記載の板厚制御方法において、
前記圧延ロールが帯板を圧延するときに生じる荷重を測定するステップと、
前記荷重を前記圧延ロールのミル定数で除算し、前記圧延機の弾性変形特性を出力するステップと、
前記弾性変形特性と前記ロール間隔測定値とを加算し、板厚予想値を出力するステップと、
前記板厚設定値から前記板厚予想値を減算し、板厚設定偏差予想値を出力するステップと、
前記ロール間隔測定値と前記板厚設定偏差予想値とを加算し、第1の制御指令を出力するステップと、を有し、
これらのステップにより、前記第1−4のステップにおいて第1の制御指令を生成することを特徴とする板厚制御方法。 - 請求項6または7に記載の板厚制御方法において、
所定のI(積分)ゲインに前記ライン速度を乗算し、積分パラメータを出力するステップと、
前記板厚設定値から前記板厚測定値を減算し、板厚設定偏差を出力するステップと、
前記板厚設定偏差がゼロになるように、所定の比例パラメータ及び前記積分パラメータによるPI制御を行い、第2の制御指令を出力するステップと、を有し、
これらのステップにより、前記第2−4のステップにおいて第2の制御指令を生成することを特徴とする板厚制御方法。 - 請求項6から8までのいずれか一項に記載の板厚制御方法において、
制御対象となる帯板を前記圧延ロールが圧延したときに、前記第1−2のステップによって、前記圧延機の弾性変形特性を反映して板厚予想値を算出し、かつ、前記第1−4のステップによって、第1の制御指令を生成し、
前記圧延ロールにより圧延された制御対象となる帯板の板厚の測定を開始したとき及びその後に、前記第2−1のステップによって、前記圧延ロールにより圧延された帯板の板厚を測定し、かつ、前記第2−4のステップによって、第2の制御指令を生成し、
前記第3のステップは、前記制御対象となる帯板を前記圧延ロールが圧延したときに生成した第1の制御指令を固定の制御指令とし、前記固定の制御指令と、前記圧延ロールにより圧延された制御対象となる帯板の板厚の測定を開始したとき及びその後に生成された第2の制御指令とに基づいて、前記ロール間隔を決定するための位置指令を生成する、
ことを特徴とする板厚制御方法。 - 請求項9に記載の板厚制御方法において、
前記帯板のライン速度を2段階の速度とし、前記2段階の速度のうちの低速度のライン速度にて、第1の制御指令を固定の制御指令とする、
ことを特徴とする板厚制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008163536A JP2010000535A (ja) | 2008-06-23 | 2008-06-23 | 板厚制御装置及び板厚制御方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102343365A (zh) * | 2011-09-16 | 2012-02-08 | 中冶南方工程技术有限公司 | 高精度带钢轧制监视自动厚度控制方法及系统 |
CN104190720A (zh) * | 2014-09-11 | 2014-12-10 | 中冶南方工程技术有限公司 | 一种自适应自动厚度控制方法及装置 |
-
2008
- 2008-06-23 JP JP2008163536A patent/JP2010000535A/ja not_active Withdrawn
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