JP2009537503A - ルテニウム(ii)化合物 - Google Patents

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Abstract

治療方法において使用するための式(I)のルテニウム(II)化合物またはその溶媒和物:
Figure 2009537503

[式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、C1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノから選択されるか、またはR1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、3個までの3員〜8員の炭素環もしくは複素環を含む飽和または不飽和の炭素環式もしくは複素環式基を形成しており、ここで、それぞれの炭素環または複素環は1個以上の他の炭素環または複素環に縮合していてもよく;Xはハロ、または中性のもしくは負に荷電したO、N-またはS-供与配位子であり;mは-1、0、1または2であり;RC1およびRC2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される1個以上の任意の置換基を表し;RN1およびRN2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択されるか、またはRN1およびRN2は、それらが結合しているピリジン環と一緒になって、三環式のヘテロ芳香族部分を形成しており、ここで、RN1およびRN2が一緒になって形成した環は、RC3で表される1個以上の置換基で置換されていてもよく、RC3はヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される]。

Description

本発明は、ルテニウム(II)化合物、特に癌の治療および/または予防のための医療におけるその使用、ならびにその製造方法に関する。
国際公開WO 01/30790、WO 02/02572、WO 2004/005304およびWO 2004/096819は、癌の治療に使用するためのルテニウム(II)化合物を開示している。これらの化合物は、ルテニウムに結合したアレーン環と、他の非アレーン配位子を有するハーフサンドイッチ化合物として表すことができる。これらの出願に例示されている化合物は、配位子の1つとしてハロ原子を有する。ハロ原子の加水分解によって錯体が活性化され、DNAに結合することが可能になると考えられる。比較的近年になって、より長い加水分解時間を有する配位子を含む錯体でも抗腫瘍活性を示すことが見いだされた(Sadlerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2005, 102, 18269)。
下記の錯体は、1st European Conference on Chemistry for Life Sciences, Rimini, Italy, October 4-8 2005 (Habetemariam, A.ら, Organometallic Ruthenium Arene Anticancer Complexes: Structure-Activity Relationships (有機金属ルテニウムアレーン抗癌錯体:構造-活性関係))においてポスターに記載されたものである:
Figure 2009537503
A2780ヒト卵巣癌細胞の増殖抑制におけるその活性(実施例7に記載の方法で測定)は、>100μgであって、つまり実質的に不活性であると報告された。
本発明者らは、驚いたことに、上記化合物の置換した類似体が抗腫瘍活性を示すことを見出した。
本発明の第一の態様によれば、治療方法において使用するための式(I)のルテニウム(II)化合物またはその溶媒和物が提供される:
Figure 2009537503
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、C1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾ、およびアミノから選択されるか、または
R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、3個までの3員〜8員の炭素環もしくは複素環を含む飽和または不飽和の炭素環式もしくは複素環式基を形成しており、ここで、それぞれの炭素環または複素環は1個以上の他の炭素環または複素環に縮合していてもよく;
Xはハロ、または中性のもしくは負に荷電したO、N-またはS-供与配位子であり;
Yは対イオンであり;
mは-1、0、1または2であり;
qは1、2または3であり;
RC1およびRC2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される1個以上の任意の置換基を表し;
RN1およびRN2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択されるか、または
RN1およびRN2は、それらが結合しているピリジン環と一緒になって、三環式のヘテロ芳香族部分を形成しており、ここで、RN1およびRN2が一緒になって形成した環は、RC3で表される1個以上の置換基で置換されていてもよく、RC3はヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される]。
下記構造式の化合物:
Figure 2009537503
は、JP 2004-217632およびHimeda、Y.ら, Organometallics, 2004, 23, 1480-1483に、バイカーボネートの水素化のための触媒として記載されている。
下記の化合物:
Figure 2009537503
およびそれらの対応するアクア錯体は、Stephicka, P.ら, Inorgnanica Chimica Acta, 359, 2369-2374 (2006)に、転移水素化(transfer hydrogenation)のための触媒として記載されている。それらの合成は、Canivet, J.ら, J. Organomet. Chem., 690, 3202-3211 (2005)に報告されている。
下記の化合物:
Figure 2009537503
はRobertson, D.ら, J. Organomet. Chem., 202, 309-318 (1980)に記載されている。
下記の化合物:
Figure 2009537503
はJP 2004-224715に触媒として記載されている。
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載したルテニウム(II)化合物および製薬上許容される担体または希釈剤を含有する医薬組成物を提供する。
本発明の第三の態様は、癌治療用の医薬の製造における第一の態様に記載した化合物の使用を提供する。この態様はまた、癌の治療方法において使用するための第一の態様に記載した化合物を提供する。
本発明の第四の態様は、治療に有効な量の第二の態様に記載した化合物を、好ましくは医薬組成物の形態で、被験体に投与することを含む、癌に罹患した被験体の治療方法を提供する。
本発明の第五の態様は、下記の式(I)のルテニウム(II)化合物またはその溶媒和物を提供する:
Figure 2009537503
[式中、
R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、3個までの3員〜8員の炭素環もしくは複素環を含む飽和または不飽和の炭素環式もしくは複素環式基を形成しており、ここで、それぞれの炭素環または複素環は1個以上の他の炭素環または複素環に縮合していてもよく;または
R1はC5-20アリールであり、かつR2はH、C1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノから選択され;
R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、C1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾ、およびアミノから選択され;
Xはハロ、または中性のもしくは負に荷電したO、N-またはS-供与配位子であり;
Yは対イオンであり;
mは-1、0、1または2であり;
qは1、2または3であり;
RC1およびRC2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される1個以上の任意の置換基を表し;
RN1およびRN2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択されるか、または
RN1およびRN2は、それらが結合しているピリジン環と一緒になって、三環式のヘテロ芳香族部分を形成しており、ここで、RN1およびRN2が一緒になって形成した環は、RC3で表される1個以上の置換基で置換されていてもよく、RC3はヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される]。
本発明のこの態様の化合物は、縮合アレーン系、または少なくとも1個の芳香族置換基をもつベンゼン環を含むアレーン系を有する点に特徴がある。
本発明の第六の態様は、下記の式(I)のルテニウム(II)化合物またはその溶媒和物を提供する:
Figure 2009537503
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、C1-7アルキル、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノから選択され;
Xはハロ、または中性のもしくは負に荷電したO、N-またはS-供与配位子であり;
Yは対イオンであり;
mは-1、0、1または2であり;
qは1、2または3であり;
RC1およびRC2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される1個以上の任意の置換基を表し;
RN1およびRN2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される]。
この態様の化合物は、置換されていてもよいベンゼン環であるアレーン系を有し(ただし、置換基は芳香族ではない)、主配位子がフェナントロリンまたはその誘導体を含まない点に特徴がある。
定義
N-供与配位子: N-供与配位子は、窒素原子を介して金属原子に結合する配位子である。これらは当技術分野において周知であり、ニトリル配位子 (N≡C-R);アゾ配位子 (N=N-R);芳香族N-供与配位子;アミン配位子(NRN3RN4RN5);アジド(N3 -);シアン化物(N≡C-);イソチオシアネート(NCS-)が挙げられる。
ニトリルおよびアゾ配位子の双方において、RはC1-7アルキルおよびC5-20アリールから選択することができる。
芳香族N-供与配位子としては、置換されていてもよいピリジン、ピリダジン、ピリミジン、プリンおよびピラジンが挙げられる。任意の置換基は、シアノ、ハロおよびC1-7アルキルから選択することができる。
RN3、RN4およびRN5は独立してHおよびC1-7アルキルから選択することができる。
S-供与配位子: S-供与配位子は、硫黄原子を介して金属原子に結合する配位子である。これらは当技術分野において周知であり、チオスルフェート(S2O3 2-);イソチオシアネート(NCS-);チオシアネート(CNS-);スルホキシド配位子(RS1RS2SO);チオエーテル配位子(RS1RS2S);チオレート配位子(RS1S-);スルフィネート配位子(RS1SO2 -);およびスルフェネート配位子(RS1SO-)が挙げられ、ここでRS1およびRS2は独立して、置換されていてもよいC1-7アルキルおよびC5-20アリールから選択される。
O-供与配位子: O-供与配位子は、酸素原子を介して金属原子に結合する配位子である。これらは当技術分野において周知であり、水(H2O)、カーボネート(CO3 -);カルボキシレート配位子(RCCO2 -);ニトレート (NO3 -);スルフェート(SO4 2-)およびスルホネート(RS1O3 -)が挙げられ、ここでRCはC1-7アルキルおよびC5-20アリールから選択され、RS1は先に定義した通りである。
C1-7アルキル: 本明細書中で用いる用語「C1-7アルキル」は、脂肪族もしくは脂環式であってよく、また飽和もしくは不飽和(例えば部分的不飽和、完全不飽和)であってよい、1〜7個の炭素原子を有する炭化水素化合物の炭素原子から1個の水素原子を取ることによって得られる1価の基をさす。従って、用語「アルキル」には、以下に記載するサブクラスのアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル等が含まれる。
飽和C1-7アルキル基の例としては、限定するものではないが、メチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)、ブチル(C4)、ペンチル(C5)、ヘキシル(C6)およびヘプチル(C7)が挙げられる。
飽和直鎖C1-7 アルキル基の例としては、限定するものではないが、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、n-ブチル(C4)、n-ペンチル(アミル)(C5)、n-ヘキシル(C6)、およびn-ヘプチル(C7)が挙げられる。
飽和分枝鎖C1-7アルキル基の例としては、イソプロピル(C3)、イソブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、イソペンチル(C5)、およびネオペンチル(C5)が挙げられる。
C2-7アルケニル: 本明細書中で用いる用語「C2-7アルケニル」は、1以上の炭素−炭素二重結合を有するアルキル基をさす。C2-7アルケニル基の例としては、限定するものではないが、エテニル(ビニル、-CH=CH2)、1-プロペニル(-CH=CH-CH3)、2-プロペニル(アリル、-CH-CH=CH2)、イソプロペニル(1-メチルビニル、-C(CH3)=CH2)、ブテニル(C4)、ペンテニル(C5)、およびヘキセニル(C6)が挙げられる。
C2-7アルキニル: 本明細書中で用いる用語「C2-7アルキニル」は、1以上の炭素−炭素三重結合を有するアルキル基をさす。C2-7アルキニル基の例としては、限定するものではないが、エチニル(-C≡CH)および2-プロピニル(プロパルギル、-CH2-C≡CH)が挙げられる。
C3-7 シクロアルキル: 本明細書中で用いる用語「C3-7 シクロアルキル」は、シクリル基でもあるアルキル基をさし、すなわち、飽和もしくは不飽和(例えば部分的不飽和、完全不飽和)であってよい炭素環式化合物の炭素環の脂環式環原子から1個の水素原子を取ることによって得られ、3〜7個の炭素原子を有する1価の基をさす。従って、用語「C3-7シクロアルキル」には、サブクラスのシクロアルケニルおよびシクロアルキニルが含まれる。シクロアルキル基の例としては、限定するものではないが、以下から誘導されるものが挙げられる:
飽和炭化水素化合物:
シクロプロパン(C3)、シクロブタン(C4)、シクロペンタン(C5)、シクロヘキサン(C6)、シクロヘプタン(C7)、メチルシクロプロパン(C4)、ジメチルシクロプロパン(C5)、メチルシクロブタン(C5)、ジメチルシクロブタン(C6)、メチルシクロペンタン(C6)、ジメチルシクロペンタン(C7)、メチルシクロヘキサン(C7);ならびに
不飽和炭化水素化合物:
シクロプロペン(C3)、シクロブテン(C4)、シクロペンテン(C5)、シクロヘキセン(C6)、メチルシクロプロペン(C4)、ジメチルシクロプロペン(C5)、メチルシクロブテン(C5)、ジメチルシクロブテン(C6)、メチルシクロペンテン(C6)、ジメチルシクロペンテン(C7)。
本発明の化合物中のアルキル基は、場合によって置換されていてもよい。置換基としては、1個以上の更なるアルキル基および/または1個以上の更なる置換基、例えばC5-20アリール(例えばベンジル)、C3-20ヘテロシクリル、アミノ、シアノ(-CN)、ニトロ(-NO2)、ヒドロキシル(-OH)、エステル、ハロ、チオール(-SH)、チオエーテルおよびスルホネート(-S(=O)2)OR[式中Rはスルホネート置換基、例えばC1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である]が挙げられる。
C3-20ヘテロシクリル: 本明細書中で用いる用語「C3-20ヘテロシクリル」は、複素環式化合物の環原子から1個の水素原子を取ることによって得られる1価の基であって、3〜20個の環原子を有し、そのうち1〜10個が環ヘテロ原子である基をさす。好ましくは、それぞれの環は3〜7個の環原子を有し、そのうち1〜4個が環ヘテロ原子である。
これに関連して、接頭辞(例えばC3-20、C3-7、C5-6等)は、炭素原子であるかヘテロ原子であるかによらず、環原子の数、または環原子の数の範囲を示す。例えば、本明細書中で用いる用語「C5-6ヘテロシクリル」は、5個または6個の環原子を有するヘテロシクリル基をさす。ヘテロシクリル基の例としては、C3-20ヘテロシクリル、C5-20ヘテロシクリル、C5-20ヘテロアリール、C3-15ヘテロシクリル、C5-15ヘテロシクリル、C3-12ヘテロシクリル、C5-12ヘテロシクリル、C3-10ヘテロシクリル、C5-10ヘテロシクリル、C3-7ヘテロシクリル、C5-7ヘテロシクリル、およびC5-6ヘテロシクリルが挙げられる。
単環式ヘテロシクリル基の例としては、限定するものではないが、以下から誘導されるものが挙げられる:
N1: アジリジン(C3)、アゼチジン(C4)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C5)、ピロリン(例えば3-ピロリン、2,5-ジヒドロピロール)(C5)、2H-ピロールもしくは3H-ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C5)、ピペリジン(C6)、ジヒドロピリジン(C6)、テトラヒドロピリジン(C6)、アゼピン(C7);
O1: オキシラン(C3)、オキセタン(C4)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C5)、オキソール(ジヒドロフラン)(C5)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C6)、ジヒドロピラン(C6)、ピラン(C6)、オキセピン(C7);
S1: チイラン(C3)、チエタン(C4)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C5)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(C6)、チエパン(C7);
O2: ジオキソラン(C5)、ジオキサン (C6)、およびジオキセパン(C7);
O3: トリオキサン(C6);
N2: イミダゾリジン(C5)、ピラゾリジン(ジアゾリジン)(C5)、イミダゾリン(C5)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C5)、ピペラジン(C6);
N1O1: テトラヒドロオキサゾール(C5)、ジヒドロオキサゾール(C5)、テトラヒドロイソキサゾール(C5)、ジヒドロイソキサゾール(C5)、モルホリン(C6)、テトラヒドロオキサジン(C6)、ジヒドロオキサジン(C6)、オキサジン(C6);
N1S1: チアゾリン(C5)、チアゾリジン(C5)、チオモルホリン(C6);
N2O1: オキサジアジン(C6);
O1S1: オキサチオール(C5)およびオキサチアン(チオキサン)(C6);
N1O1S1: オキサチアジン(C6)。
C3-20ヘテロシクリル基は、場合によって、例えばC1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、エステル、ハロ、チオール、チオエーテルおよびスルホネートを含む、1個以上の置換基で置換されていてもよい。
C5-20アリール: 本明細書中で用いる用語「C5-20アリール」は、芳香族化合物の芳香環原子から1個の水素原子を取ることによって得られる1価の基であって、3〜20個の環原子を有する基をさす。好ましくは、それぞれの環は5〜7個の環原子を有する。
これに関連して、接頭辞(例えばC3-20、C5-7、C5-6等)は、炭素原子であるかヘテロ原子であるかによらず、環原子の数、または環原子の数の範囲を示す。例えば、本明細書中で用いる用語「C5-6アリール」は、5個または6個の環原子を有するアリール基をさす。
環の原子は、「カルボアリール基」のように、全て炭素原子であってもよい。カルボアリール基の例としては、C3-20カルボアリール、C5-20カルボアリール、C5-15カルボアリール、C5-12カルボアリール、C5-10カルボアリール、C5-7カルボアリール、C5-6カルボアリール、C5カルボアリール、およびC6カルボアリールが挙げられる。
カルボアリール基の例としては、限定するものではないが、ベンゼン(すなわちフェニル)(C6)、ナフタレン(C10)、アズレン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)、ナフタセン(C18)、およびピレン(C16)から誘導されるものが挙げられる。
縮合環を含み、少なくともその1つが芳香環であるアリール基の例としては、限定するものではないが、インダン(例えば2,3-ジヒドロ-1H-インデン)(C9)、インデン(C9)、イソインデン(C9)、テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)(C10)、アセナフテン(C12)、フルオレン(C13)、フェナレン(C13)、アセフェナントレン(C15)、およびアセアントレン(C16)から誘導される基が挙げられる。
あるいはまた、環の原子は「ヘテロアリール基」のように1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロアリール基の例としては、C3-20ヘテロアリール、C5-20ヘテロアリール、C5-15ヘテロアリール、C5-12ヘテロアリール、C5-10ヘテロアリール、C5-7ヘテロアリール、C5-6ヘテロアリール、C5ヘテロアリール、およびC6ヘテロアリールが挙げられる。
単環式ヘテロアリール基の例としては、限定するものではないが、以下から誘導されるものが挙げられる:
N1: ピロール(アゾール)(C5)、ピリジン(アジン)(C6);
O1: フラン(オキソール)(C5);
S1: チオフェン(チオール)(C5);
N1O1: オキサゾール(C5)、イソキサゾール(C5)、イソキサジン(C6);
N2O1: オキサジアゾール(フラザン)(C5);
N3O1: オキサトリアゾール(C5);
N1S1: チアゾール(C5)、イソチアゾール(C5);
N2: イミダゾール(1,3-ジアゾール)(C5)、ピラゾール(1,2-ジアゾール)(C5)、ピリダジン(1,2-ジアジン)(C6)、ピリミジン(1,3-ジアジン)(C6)(例えばシトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1,4-ジアジン)(C6);
N3: トリアゾール(C5)、トリアジン(C6);
N4: テトラゾール(C5)。
縮合環を含むヘテロアリール基の例としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:
以下から誘導されるC9ヘテロアリール基(2個の縮合環を有する):ベンゾフラン(O1)、イソベンゾフラン(O1)、インドール(N1)、イソインドール(N1)、インドリジン(N1)、インドリン(N1)、イソインドリン(N1)、プリン(N4)(例えばアデニン、グアニン)、ベンズイミダゾール(N2)、インダゾール(N2)、ベンズオキサゾール(N1O1)、ベンズイソキサゾール(N1O1)、ベンゾジオキソール(O2)、ベンゾフラザン(N2O1)、ベンゾトリアゾール(N3)、ベンゾチオフラン(S1)、ベンゾチアゾール(N1S1)、ベンゾチアジアゾール(N2S);
以下から誘導されるC10ヘテロアリール基(2個の縮合環を有する):クロメン(O1)、イソクロメン(O1)、クロマン(O1)、イソクロマン(O1)、ベンゾジオキサン(O2)、キノリン(N1)、イソキノリン(N1)、キノリジン(N1)、ベンズオキサジン(N1O1)、ベンゾジアジン(N2)、ピリドピリジン(N2)、キノキサリン(N2)、キナゾリン(N2)、シノリン(N2)、フタラジン(N2)、ナフチリジン(N2)、プテリジン(N4);
ベンゾジアゼピン(N2)から誘導されるC11ヘテロアリール基(2個の縮合環を有する);
以下から誘導されるC13ヘテロアリール基(3個の縮合環を有する):カルバゾール(N1)、ジベンゾフラン(O1)、ジベンゾチオフェン(S1)、カルボリン(N2)、ペリミジン(N2)、ピリドインドール(N2);
以下から誘導されるC14ヘテロアリール基(3個の縮合環を有する):アクリジン(N1)、キサンテン(O1)、チオキサンテン(S1)、オキサントレン(O2)、フェノキサチイン(O1S1)、フェナジン(N2)、フェノキサジン(N1O1)、フェノチアジン(N1S1)、チアントレン(S2)、フェナントリジン(N1)、フェナントロリン(N2)、フェナジン(N2)。
三環式へテロ芳香族部分: 用語「三環式へテロ芳香族部分」は3個の縮合環を有するへテロ芳香族基をさし、その例はヘテロアリール基に関して先に示したものである。
C5-20アリール基は、場合によって、例えばC1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、エステル、ハロ、チオール、チオエーテルおよびスルホネートを含む1個以上の置換基で置換されていてもよい。
ハロ: -F、-Cl、-Br、および-I。
エステル(カルボキシレート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル): -C(=O)OR[式中Rはエステル置換基、例えばC1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である]。RがC1-7アルキル基であるときは、そのエステルをC1-7アルキルエステルと呼び、RがC5-20アリール基であるときは、そのエステルをC5-20アリールエステルと呼ぶことができる。エステル基の例としては、限定するものではないが、-C(=O)OCH3、-C(=O)OCH2CH3、-C(=O)OC(CH3)3、および-C(=O)OPhが挙げられる。
アミノ: -NR1R2[式中、R1およびR2は独立してアミノ置換基、例えば水素、C1-7アルキル基(C1-7アルキルアミノもしくはジ-C1-7アルキルアミノともいう)、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であり、好ましくはHもしくはC1-7アルキル基であるか、または「環状」アミノ基の場合、R1およびR2はそれらが結合する窒素原子と一緒になって4〜8個の環原子を有する複素環を形成する]。アミノ基は一級(-NH2)、二級(-NHR1)、または三級(-NHR1R2)であってよく、またカチオンの形態で四級(-+NR1R2R3)であってよい。アミノ基の例としては、限定するものではないが、-NH2、-NHCH3、-NHC(CH3)2、-N(CH3)2、-N(CH2CH3)2、-NHCH2Phおよび-NHPhが挙げられる。環状アミノ基の例としては、限定するものではないが、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、およびチオモルホリノが挙げられる。
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキシアミド): -C(=O)NR1R2[式中、R1およびR2は独立してアミノ基について定義した通りのアミノ置換基である]。アミド基の例としては、限定するものではないが、-C(=O)NH2、-C(=O)NHCH3、-C(=O)N(CH3)2、-C(=O)NHCH2CH3、および-C(=O)N(CH2CH3)2、並びにR1およびR2が、それらが結合する窒素原子と一緒になって複素環構造を形成するアミド基、例えばピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、およびピペラジノカルボニルが挙げられる。
アシル(ケト): -C(=O)R [式中、Rはアシル置換基、例えばC1-7アルキル基(C1-7アルキルアシルもしくはC1-7アルカノイルともいう)、C3-20ヘテロシクリル基(C3-20ヘテロシクリルアシルともいう)、またはC5-20アリール基(C5-20アリールアシルともいう)であり、好ましくはC1-7アルキル基である]。アシル基の例としては、限定するものではないが、-C(=O)CH3(アセチル)、-C(=O)CH2CH3(プロピオニル)、-C(=O)C(CH3)3(t-ブチリル)、および-C(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)が挙げられる。
スルホ: -S(=O)2OH、-SO3H。
スルホンアミド(スルフィナモイル;スルホン酸アミド;スルホンアミド): -S(=O)2NR1R2 [式中、R1およびR2は独立してアミノ基について定義した通りのアミノ置換基である]。スルホンアミド基の例としては、限定するものではないが、-S(=O)2NH2、-S(=O)2NH(CH3)、-S(=O)2N(CH3)2、-S(=O)2NH(CH2CH3)、-S(=O)2N(CH2CH3)2、および-S(=O)2NHPhが挙げられる。
エーテル: -OR [式中、Rはエーテル置換基、例えばC1-7アルキル基(C1-7アルコキシ基ともいう)、C3-20ヘテロシクリル基(C3-20ヘテロシクリルオキシ基ともいう)、またはC5-20アリール基(C5-20アリールオキシ基ともいう)であり、好ましくはC1-7アルキル基である]。
チオエーテル(スルフィド): -SR [式中、Rはチオエーテル置換基、例えばC1-7アルキル基(C1-7アルキルチオ基ともいう)、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である]。C1-7アルキルチオ基の例としては、限定するものではないが、-SCH3および-SCH2CH3が挙げられる。
アゾ: -N=N-R [式中、Rはアゾ置換基、例えばC1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、好ましくはC1-7アルキル基である]。アゾ基の例としては、限定するものではないが、-N=N-CH3および-N=N-Phが挙げられる。
複素環: 本明細書中で用いる用語「複素環」とは、独立してN、OおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、芳香族もしくは非芳香族であってよい、3-、4-、5-、6-、7-、または8-(好ましくは5-、6-または7-)員の飽和または不飽和の環、例えばインドールをいう(上記も参照のこと)。
炭素環: 本明細書中で用いる用語「炭素環」とは、3〜8個の炭素原子(好ましくは5〜7個の炭素原子)を含む、芳香族または非芳香族であってよい飽和または不飽和の環をいい、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンおよびシクロヘプタンを含む(上記も参照のこと)。
包含する他の形態
他に特定しない限り、上記には、これらの置換基の公知のイオン、溶媒和物、保護形態が含まれる。例えば、カルボン酸(-COOH)への言及は、そのアニオン(カルボキシレート)形態(-COO-)もしくは溶媒和物、並びに従来の保護形態をも含む。同様に、アミノ基への言及は、アミノ基のプロトン化形態(-N+HR1R2)もしくは溶媒和物、並びにアミノ基の従来の保護形態をも含む。同様に、ヒドロキシル基への言及は、そのアニオン形態(-O-)もしくは溶媒和物、並びに従来の保護形態をも含む。
式Iの化合物において、配位子が
Figure 2009537503
またはその置換体である場合、ヒドロキシ基は酸性であり、一方または両方がそのアニオン形態であってもよいし(Constable, E.C. and Seddon, K.R., J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1982, 34-36)、水素結合していてもよい (Cargill Thompson, A.M.W.ら, J. Chem. Soc., Dalton Trans., 1996, 879-884)。
異性体
ある種の化合物は、限定するものではないが、シスおよびトランス型;EおよびZ型;c、t、およびr型;エンドおよびエキソ型;R、S、およびメソ型;DおよびL体;dおよびl体;(+)および(-)型;ケト、エノール、およびエノラート型;シンおよびアンチ型;シンクリナルおよびアンチクリナル型;αおよびβ型;アキシャルおよびエカトリアル型;ボート、チェア、ツイスト、エンベロープ、およびハーフチェア型;およびこれらの組み合わせを含む、1以上の特定の幾何学的、光学的、エナンチオマー、ジアステレオマー、エピマー、アトロピー、立体異性体、互変異性体、コンフォメーション、またはアノマー形態で存在することができ、以後集合的に「異性体」という。
互変異性体について下記で述べるものを除き、本明細書中で用いる用語「異性体」から特に除外されるものは構造(または構成)異性体(すなわち、単に空間における原子の位置によってではなく、原子間の結合において異なる異性体)であることに留意されたい。例えば、メトキシ基-OCH3への言及は、その構造異性体であるヒドロキシメチル基-CH2OHへの言及と解釈すべきでない。同様に、o−クロロフェニルへの言及は、その構造異性体であるm−クロロフェニルへの言及と解釈すべきではない。しかしながら、あるクラスの構造体についての言及は、そのクラスに入る構造異性体を含み得る(例えば、C1-7アルキルはn-プロピルおよびイソプロピルを包含し;ブチルはn-、iso-、sec-、およびtert-ブチルを包含し;メトキシフェニルはo-、m-、およびp-メトキシフェニルを包含する)。
上記の除外は、互変異性体、例えば以下の互変異性体の対:ケト/エノール(下記に図示)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、N-ニトロソ/ヒドロキシアゾ、およびニトロ/aci-ニトロにおけるような、例えばケト-、エノール-、およびエノラート型には関係しない。
Figure 2009537503
用語「異性体」に特に含まれるのは、1以上の同位体置換を有する化合物であることに留意されたい。例えば、Hは1H、2H(D)、および3H(T)を含むいずれの同位体の形態であってもよい;Cは12C、13C、および14Cを含むいずれの同位体の形態であってもよい;Oは16Oおよび18Oを含むいずれの同位体の形態であってもよい;等である。
他に明記しない限り、特定の化合物への言及は、その(完全もしくは部分的)ラセミ体および他の混合物、例えば一方のエナンチオマーに富む混合物を含む、全てのこうした異性体形態を包含する。このような異性体形態の調製(例えば不斉合成)および分離(例えば分別結晶およびクロマトグラフィー手段)のための方法は、当技術分野において公知であるか、あるいは本明細書に教示した方法もしくは公知の方法を公知のやり方で適合させて容易に得られる。
溶媒和物
活性化合物の対応する溶媒和物を調製、精製、および/または取り扱うことが都合がよかったり、望ましい場合がある。用語「溶媒和物」は、本明細書中では通常の意味で用いられ、溶質(例えば活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒の複合体をいう。溶媒が水である場合、溶媒和物を便宜的に水和物、例えば一水和物、二水和物、三水和物等と言ってもよい。
他に明記しない限り、特定の化合物への言及は、その溶媒和物形態も包含する。
化学的保護形態
活性化合物を化学的保護形態で調製、精製、および/または取り扱うことが都合がよかったり、望ましい場合がある。用語「化学的保護形態」は、本明細書中で通常の化学的な意味で用いられ、1個以上の反応性官能基が特定の条件(例えばpH、温度、照射、溶媒等)下での望ましくない化学反応から保護されている化合物をさす。実際には、周知の化学的方法を用いて、特定の条件下で、さもなければ反応性であろう官能基を可逆的に不活性にする。化学的保護形態においては、1個以上の反応性官能基が保護された基もしくは保護基 (マスクされた基もしくはマスキング基、あるいはブロックされた基もしくはブロッキング基としても知られる) の形態である。反応性官能基を保護することによって、保護された基に影響せずに、他の保護されていない反応性官能基の関与する反応を行うことができる。保護基は、通常は次の段階で、分子の他の部分に実質的に影響を及ぼすことなく除去される。例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成における保護基)」 (T. GreenおよびP. Wuts; 第三版; John Wiley and Sons、1999)を参照のこと。
他に明記しない限り、特定の化合物への言及は、その化学的保護形態をも包含する。
こうした「保護」、「ブロッキング」、または「マスキング」の様々な方法が有機合成において広く用いられ、広く知られている。例えば、2個の非等価な反応性官能基を有し、その双方が特定の条件下で反応性である化合物は、その官能基の一方が「保護」され、従って特定の条件下で反応しないように誘導体化することができる。そのように保護されているため、化合物は、効果的に一方の反応性官能基のみを有する反応体として用いることができる。(他方の官能基が関わる)望ましい反応が完了した後、保護された基は「脱保護」されて、その本来の官能性を回復することができる。
例えば、ヒドロキシ基は、エーテル(-OR)またはエステル(-OC(=O)R)として、例えばt-ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)、もしくはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルもしくはt-ブチルジメチルシリルエーテルとして、またはアセチルエステル(-OC(=O)CH3、-OAc)として保護することができる。
例えば、アルデヒドまたはケトン基は、例えば第一級アルコールとの反応によってカルボニル基(>C=O)がジエーテル(>C(OR)2)に変換したアセタール(R-CH(OR)2)またはケタール(R2C(OR)2)としてそれぞれ保護することができる。アルデヒドまたはケトン基は、酸の存在下で大過剰の水を使用した加水分解によって容易に再生される。
例えば、アミン基は、例えばアミド(-NRCO-R)もしくはウレタン(-NRCO-OR)として保護することができ、例えばメチルアミド(-NHCO-CH3)として;ベンジルオキシアミド(-NHCO-OCH2C6H5、-NH-Cbz)として;t-ブトキシアミド (-NHCO-OC(CH3)3、-NH-Boc)として;2-ビフェニル-2-プロポキシアミド(-NHCO-OC(CH3)2C6H4C6H5、-NH-Bpoc)として;9-フルオレニルメトキシアミド(-NH-Fmoc)として;6-ニトロベラトリルオキシアミド(-NH-Nvoc)として;2-トリメチルシリルエチルオキシアミド(-NH-Teoc)として;2,2,2-トリクロロエチルオキシアミド(-NH-Troc)として;アリルオキシアミド(-NH-Alloc)として;2(-フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(-NH-Psec)として;または、適切な場合には(例えば環状アミン)、ニトロキシドラジカル (>N-O・)として保護することができる。
例えば、カルボン酸基は、エステルとして、例えばC1-7アルキルエステル(例:メチルエステル;t-ブチルエステル);C1-7ハロアルキルエステル(例:C1-7トリハロアルキルエステル);トリC1-7アルキルシリル-C1-7アルキルエステル;またはC5-20アリール-C1-7アルキルエステル(例:ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル)として、あるいはアミド、例えばメチルアミドとして保護することができる。
例えば、チオール基は、チオエーテル(-SR)として、例えばベンジルチオエーテルとして;アセトアミドメチルエーテル(-S-CH2NHC(=O)CH3)として保護することができる。
本発明の化合物の使用
本発明は、ヒトもしくは動物体の治療方法において使用するための、式(I)の化合物、またはその溶媒和物(「活性化合物」)を提供する。このような方法は、治療に有効な量の活性化合物を、好ましくは医薬組成物の形態で、そのような被験体に投与することを含んでなる。
症状の治療に関して本明細書中で用いる用語「治療」は、一般的に、何らかの望ましい治療効果、例えば症状の進行の抑制が達成される、ヒトもしくは動物(例えば家畜)の治療および治療法をさし、進行速度の低下、進行速度の停止、症状の改善、および症状の治癒が含まれる。予防的手段としての治療(すなわち予防)も含まれる。
本明細書中で用いる用語「治療に有効な量」は、合理的な便益/リスク比にてらして、何らかの望まれる治療効果をもたらすために有効な、活性化合物、または活性化合物を含む物質、組成物もしくは剤形の量をさす。
投与
活性化合物、または活性化合物を含有する医薬組成物は、被験体に、任意の都合のよい投与経路で、限定するものではないが、経口(例えば摂取);局所(例えば経皮、鼻内、口内、バッカル、および舌下を含む);経肺(例えば口もしくは鼻からのエアゾールを用いた吸入治療);直腸;膣内;非経口、例えば皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、くも膜下、髄腔内、脊髄内、嚢内、被膜下、眼窩内、腹腔内、気管内、上皮下、関節内、くも膜下、および胸骨内を含む注射;例えば皮下もしくは筋肉内へのデポー剤の埋め込みを含めて、全身的/末梢的に、または所望の作用部位に投与することができる。
被験体は、真核生物、動物、脊椎動物、哺乳動物、げっ歯類(例えばモルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ科動物(例えばマウス)、イヌ科動物(例えばイヌ)、ネコ科動物 (例えばネコ)、ウマ科動物(例えばウマ)、霊長類、シミアン(例えばサル、類人猿)、サル(例えばマーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えばゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、またはヒトであってよい。
製剤
活性化合物は単独で投与することが可能であるが、上記で定義した少なくとも1種の活性化合物を、1種以上の製薬上許容される担体、助剤、賦形剤、希釈剤、増量剤、緩衝剤、安定化剤、防腐剤、滑沢剤、または当業者に周知の他の物質、場合によっては他の治療薬もしくは予防薬と共に、含有する医薬組成物(例えば製剤)として提供することが好ましい。
従って、本発明は更に、上記で定義する医薬組成物、ならびに上記で定義する少なくとも1種の活性化合物を、本明細書に記載する1種以上の製薬上許容される担体、賦形剤、緩衝剤、助剤、安定化剤、もしくは他の物質と共に混合することを含む、医薬組成物の調製方法を提供する。
本明細書中で用いる用語「製薬上許容される」は、合理的な便益/リスク比にてらして、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、被験体(例えばヒト)の組織と接触させて使用するために、信頼できる医学的判断の範囲内で、適している化合物、物質、組成物、および/または剤形をさす。それぞれの担体、賦形剤等はまた、製剤中の他の成分と適合し得るという意味で「許容される」ものでなければならない。
適切な担体、賦形剤等は、標準的な調剤のテキスト、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1990に見ることができる。
製剤は、単位投与剤形で提供することが便利であり、製薬分野で周知の任意の方法により調製することができる。そのような方法は、活性化合物を、1種以上の補助成分を構成する担体と組み合わせる段階を含む。一般に、製剤は、活性化合物を液状担体もしくは微細な固形担体またはその双方と均一かつ密接に混合し、次いで必要であれば生成物を成型することによって調製する。
製剤は、液体、溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル、シロップ、錠剤、ロゼンジ、顆粒、粉末、カプセル、カシェ、丸薬、アンプル、座剤、ペッサリー、軟膏、ゲル、ペースト、クリーム、スプレー、ミスト、フォーム、ローション、油、ボーラス、舐剤、またはエアゾールの形態であり得る。
経口投与(例えば摂取による)に適した製剤は、それぞれが既定量の活性化合物を含有するカプセル剤、カシェ剤または錠剤等の個別の単位として;粉剤もしくは顆粒剤として;水性もしくは非水性の液体中の溶液剤または懸濁液剤として;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして;ボーラス剤として;舐剤として;またはペースト剤として、提供することができる。
錠剤は、場合によって1種以上の補助成分を用いて、慣用手段、例えば圧縮または成型により製造することができる。圧縮錠剤は、粉末もしくは顆粒等の自由流動形態にある活性化合物を、場合によって1種以上の結合剤(例えばポビドン、ゼラチン、アカシアガム、ソルビトール、トラガカントガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤もしくは希釈剤(例えばラクトース、微結晶セルロース、リン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例えばデンプングリコール酸ナトリウム、架橋型ポビドン、架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム);界面活性剤もしくは分散剤もしくは湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム);および防腐剤(例えばp-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)と混合し、適切な機械で圧縮することによって製造することができる。成型錠剤は、不活性の液体希釈剤で湿らせた粉末状にした化合物の混合物を適切な機械で成型することによって製造することができる。錠剤はコーティングを施したり刻み目を入れたりしてもよく、また、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを所望の放出プロファイルを提供するために比率を変えて用い、そこに含まれる活性化合物の徐放もしくは制御放出をもたらすように製剤化してもよい。錠剤は腸溶性コーティングを施すことができ、胃以外の消化管で放出されるようにしてもよい。
局所投与(例えば経皮、鼻内、眼、口内、および舌下)に適した製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁液剤、ローション剤、粉剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアゾール剤、またはオイル剤として製剤化することができる。あるいはまた、製剤は、活性化合物と、場合によって1種以上の賦形剤もしくは希釈剤とを含浸させた包帯または絆創膏等のパッチあるいはドレッシングを含み得る。
口内への局所投与に適した製剤としては、風味をつけた基剤(通常はスクロースおよびアカシアガムもしくはトラガカントガム)中に活性化合物を含有するロゼンジ剤;ゼラチンやグリセリン、もしくはスクロースやアカシアガム等の不活性基剤中に活性化合物を含有するトローチ剤;および適切な液体担体中に活性化合物を含有する洗口剤が挙げられる。
眼への局所投与に適した製剤としては、活性化合物を適切な担体、特に活性化合物のための水性溶媒に溶解または懸濁した点眼剤が挙げられる。
担体が固体である、鼻内投与に適した製剤は、吸い込むことで、すなわち鼻の近くに保持した粉末の容器から鼻腔内経路を通して急速吸入することで投与される、例えば約20〜約500μの範囲の粒子サイズを有する粗い粉末を含む。担体が液体である、例えば鼻内スプレー剤、点鼻薬として、あるいはネブライザーによるエアゾール投与で投与するのに適した製剤としては、活性化合物の水性もしくは油性の溶液が挙げられる。
吸入による投与に適した製剤としては、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ−テトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体等の適切な噴射剤を使用して、加圧したパックからエアゾールスプレーとして提供されるものが挙げられる。
皮膚を介した局所投与に適した製剤としては、軟膏、クリーム、およびエマルジョンが挙げられる。軟膏として製剤化する場合は、活性化合物を、場合によってパラフィン性または水混和性の軟膏基剤と共に用いてもよい。あるいはまた、活性化合物は、水中油型クリーム基剤と共にクリームに製剤化してもよい。必要に応じて、クリーム基剤の水相には、例えば少なくとも約30重量%の多価アルコール、すなわち、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコールおよびこれらの混合物等の、2個以上のヒドロキシル基を有するアルコールが含まれる。局所製剤は、望ましくは皮膚もしくは他の罹患部位を通した活性化合物の吸収または浸透を増大させる化合物を含む。このような皮膚浸透促進剤の例としては、ジメチルスルホキシドおよび関連類似体が挙げられる。
局所エマルジョンとして製剤化する場合、油相は単に1種の乳化剤(あるいはエマルジェントとして知られている)を含んでいてもよく、あるいは少なくとも1種の乳化剤と脂肪もしくは油、または脂肪および油の双方との混合物を含んでいてもよい。好ましくは、親水性の乳化剤を、安定化剤として作用する親油性の乳化剤と共に含める。また、油および脂肪の双方を含めることが好ましい。同時に、乳化剤は、安定化剤と共に、もしくは安定化剤なしに、いわゆる乳化ワックスを構成し、該ワックスは油および/または脂肪と共に、クリーム製剤の油性分散相を形成する、いわゆる乳化軟膏基剤を構成する。
適切なエマルジェントおよびエマルジョン安定化剤としては、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノステアレートおよびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。製剤のために適切な油脂の選択は、医薬エマルジョン製剤に用いられるであろうほとんどの油への活性化合物の溶解性が非常に低い可能性があるため、所望の化粧特性を達成することに基づく。従って、クリーム剤は好ましくは、チューブまたは他の容器からの漏れを避けるために適切な稠度を有し、あぶらっぽくなく、染色性がなく、洗い落としできる製品であるべきである。直鎖もしくは分枝鎖の一塩基性または二塩基性アルキルエステル、例えばジイソアジペート、イソセチルステアレート、ヤシ油脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、イソプロピルミリステート、デシルオレエート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、2-エチルヘキシルパルミテート、またはCrodamol CAPとして知られる分枝鎖エステルの混合物を用いることができ、最後に挙げた3種のものが好ましいエステルである。これらは必要とされる特性に応じて単独で、または組み合わせて用いることができる。
あるいはまた、白色軟パラフィンおよび/または液体パラフィンまたは他の鉱油等の高融点脂質を用いることができる。
直腸投与に適した製剤は、例えばカカオ脂またはサリチル酸を含む適切な基剤を有する座薬として提供され得る。
膣内投与に適した製剤は、活性化合物に加え、当技術分野で適切であることが公知である担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームもしくはスプレー製剤として提供され得る。
非経口投与(例えば皮膚、皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む注射によるもの)に適した製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、防腐剤、安定化剤、静菌剤、および製剤を意図される受容者の血液と等張にする溶質を含み得る、水性および非水性の等張で、発熱物質フリーの無菌注射液;および懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の無菌懸濁液、および化合物を血液成分もしくは1以上の器官を標的とするように設計されるリポソームもしくは他の微粒子系が挙げられる。このような製剤において用いるために好適な等張性ビヒクルの例として、塩化ナトリウム注射液、リンガー溶液、または乳加リンガー液が挙げられる。典型的には、溶液中の活性化合物の濃度は、約1ng/ml〜約10μg/ml、例えば約10ng/ml〜約1μg/mlである。製剤は、単回投与量または複数回投与量を密閉した容器、例えばアンプルおよびバイアルで提供するものであってもよく、また使用直前に無菌の液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存されていてもよい。即時注射液および懸濁液は、無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。製剤は、活性化合物を血液成分または1以上の器官を標的とするように設計されたリポソームまたは他の微粒子系の形態であり得る。
投与量
活性化合物、および活性化合物を含有する組成物の適切な投与量が患者によって異なり得ることは理解されるであろう。最適な投与量の決定は一般に、本発明の治療の何らかのリスクまたは有害な副作用に対する治療効果のレベルのバランスが関係するであろう。選択される投与量のレベルは、限定するものではないが、個々の化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排出速度、治療期間、併用される他の薬物、化合物および/または物質、患者の年齢、性別、体重、症状、全身の健康状態、既往歴を含む、様々な要因に依存するであろう。化合物の量および投与経路は、最終的には医師の裁量となるが、一般的には、投与量は、作用部位において実質的に有害もしくは有毒な副作用を引き起こさずに所望の効果を達成する局所濃度を達成し得るものであろう。
in vivoにおける投与は、治療の過程を通じて単回投与で、連続的もしくは断続的に(例えば適当な間隔をおいた分割用量で)実施することができる。最も効果的な投与手段および投与量の決定方法は、当業者に周知であり、治療に用いる製剤、治療の目的、治療される標的細胞、および治療される被験体によって異なるであろう。単回または複数回投与は、治療する医師によって選択される投与レベルおよびパターンで実施することができる。
一般に、活性化合物の適切な投与量は、約100μg〜約250mg/kg(被験体の体重)/日の範囲である。活性化合物が塩、エステル、プロドラッグ等である場合、投与される量は親化合物に基づいて計算され、従って用いるべき実際の量は比例して増加する。

活性化合物で治療し得る癌の例としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:癌腫、例えば膀胱、乳房、結腸(例えば結腸腺癌および結腸腺腫等の結腸直腸癌)、腎臓、表皮、肝臓、肺(例えば腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌)、食道、胆嚢、卵巣、膵臓(例えば膵外分泌腺癌)、胃、子宮頸部、甲状腺、前立腺、もしくは皮膚(例えば扁平上皮癌)の癌腫;リンパ系の造血系腫瘍、例えば白血病、急性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、もしくはバーキットリンパ腫;骨髄系の造血系腫瘍、例えば急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、もしくは前骨髄性白血病;甲状腺濾胞腺癌;間葉系の腫瘍、例えば線維肉腫または横紋筋肉腫;中枢もしくは末梢神経系の腫瘍、例えば星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫もしくは神経鞘腫;黒色腫;精上皮腫;奇形癌;骨肉腫;色素性乾皮症(xenoderoma pigmentoum);角質化棘細胞腫(keratoctanthoma);甲状腺濾胞腺癌;またはカポジ肉腫が挙げられる。
式(I)の化合物と共に(同時、もしくは異なる時間間隔で)投与し得る他の治療薬の例としては、限定するものではないが、トポイソメラーゼ阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、DNA結合剤および微小管阻害剤(チューブリン標的薬)、例えばシスプラチン、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、イリノテカン、フルダラビン、5FU、タキサン、マイトマイシンCまたは放射線療法が挙げられる。活性化合物を他の治療と組み合わせる場合、2種以上の治療を個々に異なる投与スケジュールで、かつ異なる経路で投与することができる。
上記の薬剤と本発明の化合物との併用は、一般的な技術常識および熟練した医師に知られた投与計画を用いて、投与量を選択するであろう医師の裁量に任される。
式(I)の化合物を、1種、2種、3種、4種またはそれ以上、好ましくは1種または2種、好ましくは1種の他の治療薬との併用治療で投与する場合、これらの化合物を同時に、または連続して投与することができる。連続して投与する場合、それらは短い間隔で(例えば5〜10分間)、またはより長い間隔で(例えば1、2、3、4時間もしくはそれ以上あけて、または必要な場合はそれよりずっと長い時間をあけて)投与することができ、正確な投与計画は治療薬の性質に合わせる。
本発明の化合物は、放射線療法、光力学的療法、遺伝子治療;外科手術および食事療法等の非化学療法的治療と組み合わせて投与してもよい。
好適な基
R1〜R6
本発明の一群の実施形態において、R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、3〜8員の炭素環または複素環を含む飽和もしくは不飽和の炭素環式または複素環式基を形成し、それぞれの炭素環または複素環は1以上の他の炭素環または複素環に縮合していてもよい。
この群の実施形態において、R3、R4、R5およびR6はHであることが好ましい。
R1およびR2は、式(I)の化合物においてそれらが結合している環と一緒になって、オルト-もしくはペリ-縮合した炭素環または複素環系を表すことができる。
R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、2もしくは3個の縮合炭素環を含む環系等の、全体が炭素環の縮合環系、例えば置換されていてもよく、水素添加されていてもよいナフタレンまたはアントラセンを表すことができる。
あるいはまた、R1およびR2は、式(I)の化合物においてこれらが結合する環と一緒になって、アントラセン、またはアントラセンのモノ、ジ、トリ、テトラもしくはより多くの水素化誘導体等の、縮合三環系を表すこともできる。例えば、R1およびR2は、式(I)においてこれらが結合する環と一緒になって、アントラセン、1,4-ジヒドロアントラセンまたは1,4,9,10-テトラヒドロアントラセンを表す。
R1およびR2は、式(I)においてこれらが結合する環と一緒になって以下を表すことができる:
Figure 2009537503
別の一群の実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は独立してH、C1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノから選択される。この群の実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は好ましくは独立してH、C1-7アルキル、C5-20アリールおよびエステルから選択される。これらのうち、HおよびC1-7アルキル(特にC1-3アルキル)が最も好ましい。
この群の実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの4つ、5つまたは6つは好ましくは水素であり、(あるとすれば)他の基はC1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノ、より好ましくはC1-7アルキル、C5-20アリールおよびエステル、最も好ましくはC1-7アルキル(特にC1-3アルキル)から選択される。R1、R2、R3、R4、R5およびR6のうちの2つがHでない場合、これらの基は好ましくは互いにメタまたはパラの位置にあり、より好ましくは互いにパラの位置にある。
特に好ましい置換基のパターンの例としては、限定するものではないが、フェニル;1-メチル;および4-イソプロピルが挙げられる。
この群の別の実施形態において、R1がC5-20アリールで、R2、R3、R4、R5およびR6が独立してH、C1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノから選択される場合、この場合にも上記の好適な基が適宜にあてはまる。従って、この群の実施形態では、R2、R3、R4、R5およびR6が好ましくは独立してH、C1-7アルキル、C5-20アリールおよびエステルから選択される。これらのうち、HおよびC1-7アルキル(特にC1-3アルキル)が最も好ましい。
この群の別の実施形態において、R2、R3、R4、R5およびR6のうち4つまたは5つは好ましくは水素で、他の基(あるとすれば)はC1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノから、さらに好ましくはC1-7アルキル、C5-20アリール、およびエステルから、そして最も好ましくはC1-7アルキル(特にC1-3アルキル)から選択される。
この群の別の実施形態では、好適なアレーン基としてジベンゼンおよびテルペンが挙げられる。
X
Xは好ましくはハロであり、さらに好ましくはIまたはClである。
RN1、RN2
一実施形態において、RN1およびRN2は、好ましくは独立してヒドロキシル、C1-7 (より好ましくはC1-4)アルコキシ、カルボキシ、およびC1-7 (より好ましくはC1-4)アルキルエステルから選択される。さらに好ましくは、それらは独立してヒドロキシル、メトキシ、カルボキシ、およびメチルエステルから選択され、そのうちヒドロキシおよびメトキシが最も好ましい。
ある実施形態において、RN1およびRN2は同じであって、例えばヒドロキシである。
別の実施形態において、RN1およびRN2は、それらが結合しているピリジン環と一緒になって、三環式へテロ芳香族部分(ここで、第3の環も6個の環原子を有する)を形成している。特に好ましい基は次のものである:
Figure 2009537503
RC1、RC2、RC3 (存在する場合)
RC1、RC2およびRC3 (存在する場合)は、好ましくは独立して、ヒドロキシル、C1-7 (より好ましくはC1-4)アルコキシ、カルボキシ、およびC1-7 (より好ましくはC1-4)アルキルエステルから選択される。さらに好ましくは、それらは独立してヒドロキシル、メトキシ、カルボキシ、およびメチルエステルから選択され、そのうちヒドロキシおよびメトキシが最も好ましい。
ある実施形態において、RC1およびRC2は同じであって、例えばヒドロキシである。
RC1およびRC2の一方または双方が存在する場合、それらはいずれもN環原子に対してパラ位であることが好ましい。
ある実施形態においては、RC1、RC2およびRC3 (適用可能な場合)が存在しない、すなわち、当該配位子がRN1およびRN2を除いて置換されていない、ことが好適である。
RC1およびRC2は1、2または3個存在してもよく、また、RC3 (存在する場合)は1または2個存在してもよい。
Yq
式(I)の化合物におけるYqは対イオンであり、金属イオンを含む錯体が荷電している場合にのみ該化合物に存在する。mが+1または+2であるとき、Yqは好ましくは非求核性のアニオン、例えばPF6 -、BF4 -、BPh4 -、またはCF3O2SO-である。mが-1であるとき、YqはNH4 +、K+、Na+、Cs+のようなカチオンであることが好ましい。イミダゾリウムおよびインダゾリウムカチオンを用いてもよい。
一般的合成方法
本発明はまた、反応に好適な溶媒中で、Yq(必要な場合)の存在下に、もしくは後でYqを添加して、式[(η6-C6(R1)(R2)(R3)(R4)(R5)(R6))RuX2]2の二量体ルテニウム錯体と適切な配位子とを反応させることを含む、本発明の化合物の製造方法を提供する[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、X、およびYは本発明の化合物について先に定義したとおりである]。
好ましい反応条件は以下を含む:
(a) 上記の出発物質の二量体ルテニウム錯体をMeOHもしくはMeOH/水の混合液中で撹拌し;
(b) 配位子をMeOH溶液として添加し;
(c) 得られた溶液を室温で撹拌し;そして
(d) qがマイナスのときは式(NH4 +)Yqの化合物(例えばNH4PF6)、またはqがプラスのときは式YqClの化合物(例えばKCl)のようなYq(必要な場合)の供給源を添加して、沈殿した生成物を濾取する。
以下の非限定的実施例によって本発明を説明する。
(実施例)
一般的方法
材料:
出発物質[(η6-アレーン)RuCl2]2(アレーン=インダン、テトラヒドロアントラセン(THA)、ジヒドロアントラセン(DHA)、ベンゼン(bz)、ビフェニル(biph)、p-テルフェニル(p-terp))は文献に従って調製した (Chen, H.ら, J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 3064-3082; Wang, F.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2005, 102, 18269-18274)。次の物質を実施例で使用した:RuCl3.xH2OはAlfa-Aesar社から購入した。インダン、ヘキサメチルベンゼン、フルオレン、フェナントロリン、bipy、2,9-Me2-フェナントロリン、4,4'-Me-bipy、3,3'-ジヒドロキシ-2,2'-ビピリジンはAldrich社から取得した。フルオレンとジアミノフェニレンは昇華によりさらに精製した。4,4'-(CO2Me)-bipyおよび4,4'-(CH2OH)-bipyは発表された方法に従って調製した (Wiederholt, K.およびMcLaughlin, L.W., Nucleic Acids Research, 1999, 27, 2487-2493)。アセトニトリルはCaH2で乾燥させ、アルコール類は乾燥させてMg/I2から蒸留した。THFはNa/ベンゾフェノンで乾燥させた。ジエチルエーテルとヘキサンは使用に先だって金属Naを加えて蒸留した。他のすべての試薬は業者から購入して、そのまま使用した。
NMR分光法:
合成した化合物の性状解析のための1H NMR実験は全て、TBI[1H、13C、15N]プローブヘッドを備え、z磁場勾配を有するBruker社製DMX 500MHz分光計、またはBruker社製DPX 360MHz分光計のいずれかで記録した。プロトンシグナルは、残存する溶媒のピーク(δ 7.27 (クロロホルム)、2.07 (アセトン)および2.52 (DMSO))に対して較正した。性状解析のための2D 1H-TOCSYおよび2D 1H COSY実験はBruker社製DMX 500MHz分光計で実施した。性状解析のための2D-1H ROESY実験はTXI[1H、13C、15N]プローブヘッドを備え、z磁場勾配を有するBruker社製AVA 600mHz分光計で記録した。pH滴定実験は全てBruker社製AVA 600MHz分光計で記録し、内部標準としてジオキサン(δ 3.75、100% D2O中)を添加した。水は1D ダブルパルス磁場勾配スピンエコー(Double Pulse Field Gradient Spin Echo:DPFGSE)実験を用いて抑制した。水溶液の挙動はクリオプローブを備えたBruker社製bio 600 MHz分光計で記録し、水は1D ダブルパルス磁場勾配スピンエコー(DPFGSE)実験を用いて抑制した。化学シフトはジオキサン(内部標準δ 3.75、90% H2O/10% D2O中)との比較で測定した。他に記載しない限り、全てのスペクトルは298Kで5mmのクォーツチューブを用いて記録した。NMRデータは全てXwin-NMR (Version 2.0 Bruker UK Ltd)を使用して処理した。
元素分析:
元素分析は、エディンバラ大学でExeter analytical社製の元素分析装置CE440を使用して実施した。
エレクトロスプレー質量分析:
ESI-MSは、Micromass Platform II 質量分析装置で測定し、溶液を直接注入した。キャピラリー電圧を3.5 Vとし、用いたコーン電圧は溶液によって変えた(典型的には5〜15Vの間で変動)。ソース温度は約383Kであった。
[(η 6 -インダン)RuCl(bipyジオール-N,N)Cl] (1)
Figure 2009537503
二量体[Ru(インダン)Cl2]2 (0.075g, 0.13mmole)をMeOH (10mL)に懸濁させ、これにMeOH (3mL)中のビピリジン-ジオール(0.050g, 0.26mmole)を滴下して加えた。この反応混合物を撹拌しながら周囲温度で1時間放置した。その後これを濾過し、濾液にNH4PF6 (0.128g, 0.80mmole)を添加してフラスコを振とうした。ほぼすぐに沈殿が生じ始めた。フラスコを253Kに一晩維持した。得られた固体を濾過により回収し、冷メタノールとエーテルで洗浄し、自然乾燥させて強い黄色の固体を得た。収率52%; 1H NMR (DMSO-d6): δ 8.60 (m, 2H), 7.27 (m, 2H), 7.05 (m, 2H), 6.10 (m, 2H) 5.82 (m, 2H), 2.67-250, 2.05-1.85 (m, 6H)。元素分析: C19H18ClF6N2O2PRuとしての計算値: C, 39.73; H, 3.67; N, 4.63; 実測値: C, 39.03; H, 3.66; N, 4.66。
[(η 6 -インダン)Ru(フェナントロリン-N,N)Cl]PF 6 (2)
Figure 2009537503
二量体[Ru(インダン)Cl2]2 (0.150g, 0.26mmole)をMeOH (40mL)に懸濁させ、これにMeOH (10mL)中のフェナントロリン(0.103g, 0.52 mmol)を滴下して加えた。生じた透明な溶液が黄橙色になった。この反応混合物を撹拌しながら周囲温度で18時間放置した。その後これを濾過し、濾液をロータリーエバポレーターで約15mLにまで減量し、この時点でNH4PF6 (0.127g, 0.78mmol)を添加してフラスコを振とうした。ほぼすぐに黄色みを帯びた沈殿が生じ始めた。フラスコを253Kに1時間維持した。得られた固体を濾過により回収し、冷メタノールとエーテルで洗浄し、自然乾燥させた。収量:260mg、85%。メタノール溶液を周囲温度で徐々に蒸発させることにより、X線解析に適した結晶が得られた。1H NMR (DMSO-d6): δ 9.85 (m, 2H), 8.9 (m, 2H), 8.26 (s, 2H), 8.14 (m, 2H) 6.47 (m, 2H), 6.02 (m, 2H), 2.72 (m, 4H) 1.86 (m, 1H), 1.41 (m, 1H)。元素分析: C21H22ClF6N2PRuとしての計算値: C, 43.44; H, 3.80; N, 4.82; 実測値: C, 43.41; H, 3.81; N, 4.68。
[(η 6 -インダン)Ru(2,9-Me 2 -phen-N,N)Cl]PF 6 (3)
Figure 2009537503
二量体[Ru(インダン)Cl2]2 (0.122g, 0.21mmole)をMeOH (20mL)に懸濁させ、これにネオクプリオン(neocuprione) (2,9-Me2-フェナントロリン) (0.088g, 0.42mmol)を滴下しながら添加し、この反応混合物を3時間撹拌した。その後これを濾過し、濾液をロータリーエバポレーターで約7mLにまで減量し、この時点でNH4PF6 (0.108g, 0.62mmol)を添加してフラスコを253Kに一晩維持した。黄色みを帯びた結晶質固体を濾過により回収し、冷メタノールとエーテルで洗浄し、自然乾燥させた。収量:90mg、35%。1H NMR (DMSO-d6): δ8.74 (m, 2H), 8.16 (m. 2H), 8.07 (m, 2H), 6.43 (m, 2H), 6.13 (m, 2H), 3.11 (m, 6H), 1.92 (m, 2H), 1.58 (m, 2H), 0.87 (m, 1H), 0.35 (m, 1H)。元素分析: C23H25ClF6N2PRuとしての計算値: C, 45.22; H, 3.64; N, 4.60;実測値: C, 45.21; H, 3.79; N, 4.55。
[(η 6 -THA)Ru(bipyジオール-N,N-H)Cl] (4)
Figure 2009537503
[(η6-THA)RuCl2]2 (0.05g, 0.07mmole)を新たに蒸留し乾燥したメタノール(25ml)に懸濁させた。この懸濁液に2,2'-ビピリジン-3,3'-ジオール(0.026g, 0.14mmol)を添加した。この反応混合物をアルゴン雰囲気下に室温で一晩撹拌した。生じた透明な黄色の溶液を濾過した。これにNH4PF6 (0.1g, 0.6125mmol)を添加した。沈殿が観察されるまで容量を減らした。さらに沈殿させるため、これを277Kに24時間維持した。微細な黄色の沈殿物を濾過により回収し、少量のメタノール次いでエーテルで洗浄して真空乾燥させた。これをメタノール/エーテルから再結晶させた。収量:0.037g、51%; 1H NMR (DMSO-d6): δ17.92 (s, 1H, OH), 26 8.62 (d, 2H), 7.22 (t, 2H), 7.06 (d, 2H), 6.08 (d of d, 2H), 5.91 (d of d, 2H), 5.56 (s, 2H), 3.12 (m, 2H), 2.43 (m, 4H), 1.92 (m, 2H)。元素分析: C24H21ClN2O2Ruとしての計算値: C, 56.97; H, 4.18; N, 5.54;実測値: C, 50.48; H, 3.73; N, 5.11。
化合物4はエチルグアニンと反応することがわかったが、X線研究から、アレーンとグアニンのプリン環の間のスタッキングではなく、明らかなアレーン-ビピリジルスタッキングが見られた。
[(η 6 -DHA)Ru(bipyジオール-N,N-H)Cl] (5)
Figure 2009537503
[(η6-DHA)RuCl2]2 (0.028g, 0.04mmol)を新たに蒸留し乾燥したメタノール(30ml)に懸濁させた。この懸濁液に2,2'-ビピリジン-3,3'-ジオール(0.015g, 0.08mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン雰囲気下に室温で一晩撹拌した。生じた透明な黄色の溶液を濾過した。これにNH4PF6 (0.033g, 0.2mmol)を添加した。沈殿が観察されるまで容量を減らした。さらに沈殿させるため、これを277Kに24時間維持した。微細な黄色の沈殿物を濾過により回収し、少量のメタノール次いでエーテルで洗浄して真空乾燥させた。これをメタノール/エーテルから再結晶させた。収量:0.021g、41%; ESI-MS: m/z 504.8; 1H NMR (DMSO-d6): 17.69 (s, 1H, OH), 8.62 (d, 2H), 7.14 (t, 2H), 6.95 (d, 2H), 6.89 (d, 2H), 6.63 (t, 2H), 6.30 (d, 2H), 5.96 (t, 2H), 4.17 (d, 2H), 3.77 (d, 2 H)。元素分析:C24H19ClN2O2Ruとしての計算値: C, 57.20; H, 3.80; N, 5.56;実測値: C, 51.44; H, 2.97; N, 5.04。
[(η 6 -THN)Ru(bipyジオール-N,N-H)Cl] (6)
Figure 2009537503
[(η6-THN)RuCl2]2 (0.03g, 0.05mmole)を新たに蒸留し乾燥したメタノール(30ml)に懸濁させた。この懸濁液に2,2'-ビピリジン-3,3'-ジオール(0.018g, 0.10mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン雰囲気下に室温で4時間撹拌した。生じた透明な黄色の溶液を濾過した。これにNH4PF6 (0.02g, 0.15mmol)を添加した。沈殿が観察されるまで容量を減らした。さらに沈殿させるため、これを277Kに24時間維持した。微細な黄色の沈殿物を濾過により回収し、少量のメタノール次いでエーテルで洗浄して真空乾燥させた。これをメタノール/エーテルから再結晶させた。収量:0.040g、68%; ESI-MS: m/z 457.3; 元素分析:C20H20RuClN2PF6としての計算値: C, 46.60; H, 3.32; N, 5.29;実測値: C, 39.9; H, 3.35; N, 4.65; 1H NMR (DMSO-d6): 17.92 (s, 1H, OH), 8.66 (d, 2H), 7.27 (t, 2H), 7.10 (d, 2H), 5.96 (t, 2H), 5.84 (d, 2H), 1-3 (m, 8H)。元素分析:C20H19RuClO2N2としての計算値: C, 52.69; H, 4.20; N, 6.14;実測値: C, 47.52; H, 3.92; N, 5.34。
[(η 6 -bz)RuCl(bipy(OH)O - )] (7)
Figure 2009537503
[(η6-bz)RuCl2]2 (0.052g, 0.106mmole)を新たに蒸留し乾燥したメタノール(30ml)に懸濁させた。この懸濁液に2,2'-ビピリジン-3,3'-ジオール(0.040g, 0.213mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン雰囲気下に室温で3時間撹拌した。沈殿が観察された。さらに沈殿させるため、これを277Kに24時間維持した。微細な黄色の沈殿物を濾過により回収し、少量のメタノール次いでエーテルで洗浄して真空乾燥させた。これをメタノール/エーテルから再結晶させた。収率:72.0%。1H NMR (DMSO-d6): δ 17.89 (s, 1H, OH), 8.78 (d, 2H), 7.21 (d of d, 2H), 7.09 (d, 2H), 6.05 (s, 6H)。元素分析:C16H13ClN2O2Ruとしての計算値: C, 47.83; H, 3.26; N, 6.97;実測値: C, 46.72; H, 2.83; N, 6.68。
[(η 6 -biph)RuCl(bipy(OH)O - )] (8)
Figure 2009537503
[(η6-biph)RuCl2]2 (0.053g, 0.08mmole)を新たに蒸留し乾燥したメタノール(30ml)に懸濁させた。この懸濁液に2,2'-ビピリジン-3,3'-ジオール(0.030g, 0.16mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン雰囲気下に室温で一晩撹拌した。沈殿が観察されるまで容量を減らした。微細な黄色の沈殿物を濾過により回収し、少量のメタノール次いでエーテルで洗浄して真空乾燥させた。これをアセトン/エーテルから再結晶させた。収率:63.0%。1H NMR (DMSO-d6): δ 17.85 (s, 1H, OH), 8.5 (d, 2H), 7.7 (t, 1H), 7.6 (d, 2H), 7.4 (t, 2H), 7.00 (m, 4H), 6.5 (d, 2H), 6.2 (t, 2H), 6.1 (t, 1H)。元素分析:C22H17ClN2O2Ruとしての計算値: C, 55.29; H, 3.58; N, 5.86;実測値: C, 55.36; H, 3.27; N, 5.88。
[(η 6 -p-terp)RuCl(bipy(OH)O - )] (9)
Figure 2009537503
[(η6-p-terph)RuCl2]2 (0.050g, 0.062mmole)を新たに蒸留し乾燥したメタノール(50ml)に懸濁させた。この懸濁液に2,2'-ビピリジン-3,3'-ジオール(0.023g, 0.124mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン雰囲気下に室温で一晩撹拌した。沈殿が観察されるまで容量を減らした。微細な黄色の沈殿物を濾過により回収し、少量のメタノール次いでエーテルで洗浄して真空乾燥させた。これをアセトン/エーテルから再結晶させた。収率:74.6%。1H NMR (DMSO-d6): δ 17.91 (s, 1H, OH), 8.5 (d, 2H), 7.75 (m, 6H), 7.5 (t, 2H), 7.4 (t, 1H), 7.1 (m, 4H), 6.5 (d, 2H), 6.2 (t, 2H), 6.1 (t, 1H)。元素分析:C28H21ClN2O2Ruとしての計算値: C, 60.70; H, 3.80; N, 5.06;実測値: C, 59.22; H, 3.41; N, 4.69。
細胞毒性研究
A2780卵巣癌細胞株に対する細胞毒性について、いくつかの化合物を次のように試験した。
ヒト卵巣細胞を24ウェル組織培養トレー(Falcon Plastic, Becton Dickenson, Lincon Park, NJ, USA)に1x104個/ウェルの密度で添加し、Ru(II)アレーン錯体を添加する前に72時間増殖させた。ルテニウム化合物の原液を脱イオン水中に新たに調製し、超音波処理して完全に溶解させた。これらの原液を培地で希釈して、最終濃度を0.1〜100μMの範囲とした。全ての化合物をそれぞれの濃度で重複ウェルにて評価し、そっくり同じアッセイを少なくとも3回繰り返した。シスプラチンまたはカルボプラチンを各実験において陽性の比較対照として使用した。24時間の曝露後、薬物含有培地を除去し、細胞をリン酸緩衝溶液(PBS)で洗浄し、新しい培地を添加した。さらに72時間増殖させた後にCoulter計数装置(Coulter Electronics社, Luton, UK)を使って細胞を数え、未処理細胞の増殖に対する薬物の阻害効果を比較する線形回帰分析によりIC50値(50%増殖阻害を引き起こす薬物の濃度)を算出した。
Figure 2009537503
化合物1は、シスプラチン耐性細胞株(A2780cis)に対しても試験したところ、2.1μMのIC50値、すなわち0.7倍の耐性を示した。
さらなる細胞毒性研究
A2780およびA549癌細胞株に対する増殖阻害活性について、他の化合物を次のように試験した。それぞれの薬物を6種の異なる濃度(100μM、50μM、10μM、5μM、1μMおよび0.1μM)で活性について試験し、各濃度をシスプラチン対照と比較して三重反復で試験した。
A2780癌細胞株は、5%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび2mM L-グルタミンを添加したRPMI培地中で細胞を増殖させて維持した。およそ70〜80%の集密度となったところで、0.25%トリプシン/EDTAを用いて細胞をバラバラにした。細胞を37℃、5% CO2、高湿度下でインキュベートして維持した。A549癌細胞株は、10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび2mM L-グルタミンを添加したDMEM培地中で細胞を増殖させて維持した。およそ70〜80%の集密度となったところで、0.25%トリプシン/EDTAを用いて細胞をバラバラにした。細胞を37℃、5% CO2、高湿度下でインキュベートして維持した。
第1日目に、A2780癌細胞を5000個/ウェル(±10%)の密度でまいた。第二日目に、A549癌細胞を2000個/ウェル(±10%)の密度でまいた。第三日目、試験化合物をDMSOに溶解して20mMの原液を調製し、DMSOで連続希釈を実施して、DMSO中10mM、2mM、1mM、0.2mMおよび0.02mMの薬物濃度を得た。これらをウェルに添加し、薬物と培地の全量を200μlとして6種の試験濃度および0.5%(v/v)としてのDMSOの最終濃度を得た。細胞を薬物に24時間曝露し、次いで薬物を除去した後、新しい培地を添加し、細胞を回復時間として96時間インキュベートした。残存するバイオマスをスルホローダミンBアッセイで評価した。次に50μlの50%(w/v) TCAを用いて細胞を固定し、4℃で1時間インキュベートした。バイオマスを1%酢酸中の0.4%(w/v) スルホローダミンB (100μl)で染色した。染料をTris緩衝液で可溶化し、BMG Fluostar マイクロプレートリーダーを用いて595nmでの吸光度を読み取った。690nmのベースライン補正値を数値から差し引いた。100%細胞生存率の吸光度は、その薬物について0.1μMを投与した三重反復実験の平均吸光度に基づいた。XL-Fit version 4.0を使ってIC50値を算出した。
Figure 2009537503

Claims (36)

  1. 治療方法において使用するための式(I)のルテニウム(II)化合物またはその溶媒和物:
    Figure 2009537503
    [式中、
    R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、C1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノから選択されるか、または
    R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、3個までの3員〜8員の炭素環もしくは複素環を含む飽和または不飽和の炭素環式もしくは複素環式基を形成しており、ここで、それぞれの炭素環または複素環は1個以上の他の炭素環または複素環に縮合していてもよく;
    Xはハロ、または中性のもしくは負に荷電したO、N-またはS-供与配位子であり;
    Yは対イオンであり;
    mは-1、0、1または2であり;
    qは1、2または3であり;
    RC1およびRC2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される1個以上の任意の置換基を表し;
    RN1およびRN2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択されるか、または
    RN1およびRN2は、それらが結合しているピリジン環と一緒になって、三環式のヘテロ芳香族部分を形成しており、ここで、RN1およびRN2が一緒になって形成した環は、RC3で表される1個以上の置換基で置換されていてもよく、RC3はヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される]。
  2. RN1およびRN2が独立して、ヒドロキシ、メトキシ、カルボキシおよびメチルエステルから選択される、請求項1に記載の化合物。
  3. RN1およびRN2がヒドロキシである、請求項2に記載の化合物。
  4. RN1およびRN2が、それらが結合しているピリジン環と一緒になって、次式の基:
    Figure 2009537503
    を形成している、請求項1に記載の化合物。
  5. RC1、RC2およびRC3 (存在する場合)が独立して、ヒドロキシ、メトキシ、カルボキシおよびメチルエステルから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
  6. RC1、RC2およびRC3が存在しない、請求項4に記載の化合物。
  7. Xがハロである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. Xがクロロまたはヨードである、請求項7に記載の化合物。
  9. R1およびR2が、それらが結合している環と一緒になって、3員〜8員の炭素環もしくは複素環を含む飽和または不飽和の炭素環式もしくは複素環式基を形成しており、ここで、それぞれの炭素環または複素環は1個以上の他の炭素環または複素環に縮合していてもよい、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
  10. R3、R4、R5およびR6がHである、請求項9に記載の化合物。
  11. R1、R2、R3、R4、R5およびR6が、独立して、C1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノから選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
  12. R1、R2、R3、R4、R5およびR6が、独立して、HおよびC1-7アルキルから選択される、請求項11に記載の化合物。
  13. R1、R2、R3、R4、R5およびR6のうち少なくとも4つが水素である、請求項11または12に記載の化合物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容される担体もしくは希釈剤を含有する医薬組成物。
  15. 癌治療用の医薬の製造における、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物の使用。
  16. 癌の治療方法において使用するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
  17. 治療に有効な量の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物を被験体に投与することを含む、癌に罹患している被験体の治療方法。
  18. 式(I)のルテニウム(II)化合物またはその溶媒和物:
    Figure 2009537503
    [式中、
    R1およびR2は、それらが結合している環と一緒になって、3個までの3員〜8員の炭素環もしくは複素環を含む飽和または不飽和の炭素環式もしくは複素環式基を形成しており、ここで、それぞれの炭素環または複素環は1個以上の他の炭素環または複素環に縮合していてもよく;または
    R1はC5-20アリールであり、かつR2はH、C1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノから選択され;
    R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、C1-7アルキル、C5-20アリール、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノから選択され;
    Xはハロ、または中性のもしくは負に荷電したO、N-またはS-供与配位子であり;
    Yは対イオンであり;
    mは-1、0、1または2であり;
    qは1、2または3であり;
    RC1およびRC2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される1個以上の任意の置換基を表し;
    RN1およびRN2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択されるか、または
    RN1およびRN2は、それらが結合しているピリジン環と一緒になって、三環式のヘテロ芳香族部分を形成しており、ここで、RN1およびRN2が一緒になって形成した環は、RC3で表される1個以上の置換基で置換されていてもよく、RC3はヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される]。
  19. R1およびR2が、それらが結合している環と一緒になって、3員〜8員の炭素環もしくは複素環を含む飽和または不飽和の炭素環式もしくは複素環式基を形成しており、ここで、それぞれの炭素環または複素環は1個以上の他の炭素環または複素環に縮合していてもよく、R3、R4、R5およびR6がHである、請求項18に記載の化合物。
  20. R1がC5-20アリールであり、R2、R3、R4、R5およびR6がHである、請求項18に記載の化合物。
  21. R1がC5-20アリールであり、RN1およびRN2が独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される、請求項18または20に記載の化合物。
  22. RN1およびRN2が独立して、ヒドロキシ、メトキシ、カルボキシおよびメチルエステルから選択される、請求項18〜21のいずれか1項に記載の化合物。
  23. RN1およびRN2がヒドロキシである、請求項22に記載の化合物。
  24. RN1およびRN2が、それらが結合しているピリジン環と一緒になって、次式の基:
    Figure 2009537503
    を形成している、請求項18〜20のいずれか1項に記載の化合物。
  25. RC1、RC2およびRC3 (存在する場合)が独立して、ヒドロキシ、メトキシ、カルボキシ、およびメチルエステルから選択される、請求項18〜24のいずれか1項に記載の化合物。
  26. RC1、RC2およびRC3が存在しない、請求項24に記載の化合物。
  27. Xがハロである、請求項18〜26のいずれか1項に記載の化合物。
  28. Xがクロロまたはヨードである、請求項27に記載の化合物。
  29. 式(I)のルテニウム(II)化合物またはその溶媒和物:
    Figure 2009537503
    [式中、
    R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、H、C1-7アルキル、C3-20ヘテロシクリル、ハロ、エステル、アミド、アシル、スルホ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アゾおよびアミノから選択され;
    Xはハロ、または中性のもしくは負に荷電したO、N-またはS-供与配位子であり;
    Yは対イオンであり;
    mは-1、0、1または2であり;
    qは1、2または3であり;
    RC1およびRC2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される1個以上の任意の置換基を表し;
    RN1およびRN2は、独立して、ヒドロキシ、C1-7アルコキシ、C5-20アリールオキシ、C1-7アルキル、カルボキシ、C1-7アルキルエステルおよびC5-20アリールエステルから選択される]。
  30. RN1およびRN2が独立して、ヒドロキシ、メトキシ、カルボキシおよびメチルエステルから選択される、請求項29に記載の化合物。
  31. RN1およびRN2がヒドロキシである、請求項30に記載の化合物。
  32. RC1およびRC2が独立して、ヒドロキシ、メトキシ、カルボキシおよびメチルエステルから選択される、請求項29〜31のいずれか1項に記載の化合物。
  33. Xがハロである、請求項29〜32のいずれか1項に記載の化合物。
  34. Xがクロロまたはヨードである、請求項33に記載の化合物。
  35. R1、R2、R3、R4、R5およびR6が独立してHおよびC1-7アルキルから選択される、請求項29〜34のいずれか1項に記載の化合物。
  36. R1、R2、R3、R4、R5およびR6のうち少なくとも4つが水素である、請求項35に記載の化合物。
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