JP2009535366A - 手・足白癬治療の製剤およびその製造方法 - Google Patents

手・足白癬治療の製剤およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

手・足白癬治療の薬物製剤およびその製造方法を提供する。ソウキョウ(▲そう▼莢)、ボルネオール、ミョウバンにより製造する。製造方法は、ソウキョウを煎じ、煎じ液を減圧乾燥して微細粉末を製造し、ミョウバンおよびボルネオールの微細粉末、並びに対応する添加剤とともにクリームを製造する。

Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明は、手・足白癬治療の薬物製剤およびその製造方法に関する。
〔背景技術〕
手・足白癬は、手足に発生する真菌性皮膚病であり、主に表皮菌属、小胞子菌属、白癬菌属などによって引き起こされる表在性皮膚感染症である。そのうち、足白癬の罹患率は手白癬よりも高い。この疾患は、臨床においてよく見られる皮膚病であり、足白癬の罹患率が最も高く、白癬の80%を占める。南部では気候が湿潤であるため、罹患率が北部よりも高い。ゴム靴を履く作業員における罹患率が80%にも達する地方もある。中国は手・足白癬の高発生地域であり、全国の平均罹患率は30%に達する。罹患者集団は25〜45歳の患者である。この疾患は、繰り返し発病し、長期にわたり生活に不自由をもたらし、患者に非常に大きな心理的負担を与える。
従来の手・足白癬治療の薬物は、西洋薬製剤および漢方製剤に分けることができる。西洋薬製剤は、硝酸ミコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾールが代表的なものである。西洋薬製剤の多くは、肝・腎毒性を有し、長期的に使用した場合、肝・腎機能にある程度の損傷を及ぼす。例えば、フルコナゾールは肝・腎毒性が大きく、臨床における使用が徐々に減少している。硝酸ミコナゾールなどの新世代の西洋薬製剤は、毒性、副作用が比較的小さいが、長期的に使用した場合には、ある程度の毒性、副作用があり、再発率が高い。
現代薬理学の研究方法により、クジン(苦参)、ジフシ(地膚子)、ハクセンビ(白鮮皮)、オウバク(黄柏)などの多くの漢方生薬は、多種の皮膚真菌に対し顕著な抑制作用を有することが分かっている。伝統的な漢方薬理論および長期にわたって総括された治療経験に基づき、手・足白癬を治療する多くの漢方製剤が徐々に開発され、先進的な現代抽出技術を利用し、チンキ剤、液剤、クリームなどの、多種の剤型の有効な医療用漢方製剤が臨床治療用に提供されている。
複方ドキンピ(土槿皮)チンキ、葛洪脚気水、癬霊薬水などの従来の手・足白癬治療の漢方製剤は、製造工程が簡単であるため、治療効果は理想的なものではない。
中国では漢方薬の現代化研究が日増しに重視され、国民の保健意識の高まりに伴い、生薬、自然薬が尊ばれ、西洋薬の毒性、副作用が国民が次第に認められている。研究される漢方薬の抗真菌品種は増加しているが、満足できる効果が得られる手・足白癬治療の漢方製剤は発見されていない。
現在、手・足白癬の治療薬が直面している最大の課題は、これらの疾患の再発率が高く、広範な患者に不自由をもたらす持病となっているが、どの薬品もこれを解決することができないことである。従来の薬品の周期は長く、治療効果に影響を及ぼしている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、従来の手・足白癬治療の漢方製剤の再発率が高く、薬品周期が長く、治療効果が充分理想的ではないという課題を解決した手・足白癬治療の漢方製剤薬物を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、手・足白癬治療の漢方クリーム製剤の製造方法を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の解決手段は、中国医学の手・足白癬の発症機序に対する認識および治療原則に基づき、現代薬理研究の成果を参考にし、中国医学の宝庫の中から、ソウキョウ(▲そう▼莢)、ボルネオール、ミョウバンなどの薬物を選出し、構成したものである。ミョウバンは収斂作用を有し、湿邪を追い払い、ボルネオールは解熱、解毒、鎮痛作用を有し、ソウキョウは湿邪を除き、殺虫作用を有する。3種類の漢方薬が相互に協同することによって、解熱、解毒、殺虫のほか、湿邪を尿とともに排出し、肌の再生を促す効果を有する。各種の白癬類疾患の治療に用いることができ、特に漢方において湿熱浸淫証に属す手・足白癬の治療に適している。この漢方製剤は、湿熱浸淫証とされる手・足白癬に対し、長期的に臨床に用い、対症療法に使用することができる。治癒率は高く、かつ再発しにくい。
〔発明を実施するための最良の形態〕
手・足白癬治療の薬物は、次の重量比の原料により製造される薬剤である。
ソウキョウ(猪牙▲そう▼)55〜65% ボルネオール8〜15% ミョウバン15〜30%
本発明の実施例で採用する各原料の重量比は次のとおりである。
ソウキョウ(猪牙▲そう▼)62.5% ボルネオール12.5% ミョウバン25%
前記処方において、ボルネオールはフタバガキ科の植物であるリュウノウジュの樹脂加工品である。キク科のタカサゴギク(艾納香)の葉を蒸留した後に冷却して得られた結晶物質(艾片という)やテレビン油などを用いて製造した人口合成品もある(化学合成ボルネオールという)。
性味および帰経:辛、苦、微寒。心経、脾経、肺経に入る。
効果:意識をはっきりさせる。解熱、鎮痛。
臨床応用:
1、気絶したときに用いるボルネオールの意識をはっきりとさせる効果は、麝香に類似しているが、作用はやや劣る。意識障害の治療には、2つの薬を併用することがよくある。臨床において、温熱病の意識不明、および卒中、痰の詰まり、気逆、急死、突然の卒倒などの内閉症状に主に用いる。
2、できもの、疥癬、口内炎、喉の痛み、および眼の疾患などの症状。
処方用名:氷片、梅花氷片、梅片、脳香、片脳(原植物リュウノウジュにより命名)。
ソウキョウ(付:牙▲そう▼薬用)は、マメ科植物のトウサイカチの果実である。
性味および帰経:辛、温。小毒あり。肺経、大腸経に入る。
効果:痰を出し、意識をはっきりさせる。
臨床応用:
1、寒温の詰まり、胸焼け、咳、痰が多く排出がうまくできない場合に用いる。ソウキョウは、痰を出す強烈な作用を有し、湿痰の詰まり、痰の排出がうまくできないなどの症状を治療する。単品では、火であぶって乾かし、粉末に研磨し、棗を用いて煮て服用することができる。ハンゲ(半夏)、ライフクシ(莱服子)などと併用することもできる。
2、突然の昏睡、口をつぐんで開かない、癲癇、痰が旺盛、経絡の詰まりなどの症状に用いる。ソウキョウは辛みによって拡散する作用があり、外用すると、詰まりを開く効果がある。実閉に属す突然の昏睡、口をつぐんで開かないなどの症状を治療する。テンナンショウ(天南星)、ハンゲ(半夏)、サイシン(細辛)、ハッカ(薄荷)、ユウオウ(雄黄)などの薬と一緒に粉末に研磨し、鼻に吸い込ませてくしゃみをさせ、意識をはっきりとさせることができる。ソウキョウを煮込んでクリーム状にし、できもの(爛れていないもの)に塗ると、腫れを退かせる効果がある。
ミョウバン
臨床応用:
1、内服することにより風熱、痰、涎を追い払う:癲癇に用いる。よくウコンと配合し、白金丸と呼ばれる。1〜3グラムを内服する。
2、外用することにより湿邪を追い払い、殺虫する:疥癬、痒みを治療する。適量を外用し、粉末に研磨して撒き、混ぜて塗るか、水に溶かして洗浄する。
本発明の薬剤は、薬剤学上記載されたいかなる種類のものを製造することができる。
本発明の手・足白癬治療薬のクリームの製造方法は次のとおりである。
1、ソウキョウ(猪牙▲そう▼)200グラムを取り、6倍の水を添加して1.5時間煎じ、煎じ液を取る。
2、ソウキョウ(猪牙▲そう▼)の中に5倍の水をそれぞれ2回添加して1.5時間煎じ、煎じ液を取る。
3、1・2で得られた煎じ液および蒸留後の水溶液を合わせ、ろ過し、ろ過液を相対密度1.10〜1.15(80℃)まで減圧濃縮する。エタノールを加えてアルコール濃度が60%に達するようにし、充分に攪拌し、24時間静置する。ろ過し、ろ過液からエタノールを回収し、相対密度1.30〜1.35(80℃)まで減圧濃縮する。減圧乾燥し、粉末剤を製造する。
4、ミョウバン80グラム、ボルネオール40グラムを取り、粉末剤を製造する。
5、トリエタノールアミン4.5ml、ツイーン−80 25グラム、グリセリン100mlおよび蒸留水によって構成された水相と、ステアリン酸50グラム、液体パラフィン35グラム、ワセリン50グラム、モノステアリン酸グリセリン35グラムによって構成された油相とを、それぞれ80℃まで加熱し、恒温を保つ。油相を水相の中に入れ、連続して攪拌する。80℃の状態で15分間保温した後、40℃まで降温したときに、3・4で製造した粉末剤を添加し、室温まで攪拌して完成品1000グラムを得る。
本発明の薬物の主な効果作用は次のとおりである。
1、体外静菌試験(平板法)によって、本発明の薬物は、カンジダ・アルビカンス、黄色ブドウ球菌、溶血性レンサ球菌、緑膿菌、大腸菌の生長に対し、顕著な抑制作用を有することが認められている。
2、抗炎症作用:本発明の薬物を局所に投与することによって、カラギーナンによってもたらされたラットの炎症性足腫脹の程度を顕著に軽減することができ、キシレンによってもたらされたマウスの耳腫脹の程度を顕著に抑制することができる。急性滲出性炎症に対してある程度の改善作用を有することが認められている。
3、痒み止め作用:本発明の薬物の痒み止め作用の試験研究によって、脚用クリームを局所に用いると、リン酸ヒスタミンによってもたされらたテンジクネズミの痒みの程度を顕著に軽減し、痒みをもたらす閾値を上げることができることが認められている。
4、鎮痛作用:脚用クリームは、被験動物の痛みの閾値を高めることができ(熱板法)、ある程度の鎮痛作用を有することが認められている。
本発明の薬物毒性学研究は次のとおりである。
動物急性研究
本発明の薬物クリーム製剤を大用量で単回投与することの実験動物に対する安全性の影響を理解するため、毒性学実験観察の要求に基づき、関連する試験を実施し観察した。
本試験では、完全な皮膚と破損した皮膚が被験物質である本発明の薬物に接触した際の毒性反応の状況を観察した。被験イエウサギに本発明の薬物200ml、100mlの用量の下で24時間充分に接触させ、被験物質を除去した後、24時間、48時間、72時間、7日目まで観察した結果、完全な皮膚および破損した皮膚のいずれにも毒性反応が認められず、本発明の薬物の毒性は比較的低く、皮膚の局所で用いることの安全性が比較的高いことが示された。
長期毒性試験
本試験では、健康な成年の白色イエウサギ24匹を用いて、経皮的に反復投与し、本発明の薬物の完全な皮膚と破損した皮膚に対する毒性反応の状況をそれぞれ観察した。1日1回塗布し、12週間連続投与し、2週間可逆的に観察した。
投与期間および投与停止後の可逆的観察期間が終了し、採血して血液一般検査および血液生化学検査を実施し、対照群と比較した結果、有意差は認められなかった。同製剤は、被験動物の血液、肝機能、腎機能に対し、いずれも有害な影響を及ぼさないことを示す。肉眼および顕微鏡による病理学検査では、毒性に関連する病理変化は認められなかった。投与停止後、続発性の毒性反応の発生はなく、同製剤は毒性がなく、局所で用いることの安全性が比較的大きいことが認められた。
皮膚刺激性試験
選定した白色テンジクネズミの皮膚に投与し、被験動物および皮膚組織に本発明の薬物を接触させ、所定時間内に動物の皮膚に生成した刺激反応およびその他の有害事象を観察した。
皮膚刺激性試験評価基準に基づき、刺激反応の評価を実施した。被験動物の皮膚に投与した後、24、48時間密接に観察した結果、手2試験領域に紅斑および浮腫などの刺激反応は認められず、同製剤は皮膚に対し顕著な刺激作用がないことが示された。
皮膚アレルギー試験
試験の結果、被験動物の状態は良好で、行為の異常、喘息、ショックなどのアレルギー反応は認められなかった。被験皮膚領域に紅斑、浮腫は認められなかった。アレルギー反応等級は0であり、感作率は0であり、動物の本発明の薬物クリーム製剤への経皮接触には、感作性がないことが示された。
本発明の薬物の第I相臨床研究および統計データ:
目的:本発明の薬物クリーム製剤の手・足白癬患者(湿熱型)に対する治療作用および臨床投与の安全性を観察する。
患者の診断および組入れ
手・足白癬患者計137例を観察し、臨床検査の結果、手・足白癬(表在性真菌症)であると西洋医が診断し、湿熱淫証(症状は、手足に掻痒、疼痛が認められる。患部に尖った大小の半透明の水疱が重なり、水疱膜は緊満性で、掻いて破れると水が流れ出る。または、紅斑、丘疹が一面に湿って爛れる。上は白い皮で覆われ、底部は赤い色をし、舌は赤く、舌苔が黄色くなっている。)であると漢方医が診断した患者を選択した。
除外基準
心・脳血管疾患、肝臓、腎臓および造血系などの重篤な原発性疾患、精神病を併発している患者、並びに湿疹などのアレルギー性皮膚病を併発している患者。
薬物および方法
本発明の薬物クリーム製剤:深せん市北科聯薬業科技有限公司が20g/チューブを提供した
試験方法:本発明の薬物クリーム製剤を外用し、患部に朝晩各1回塗り、治療期間は3週間とした。
観察指標
一般安全指標、血液、尿、便検査、肝機能検査、症状スケール評価および真菌顕微鏡検査。毎週、追跡調査を行ない、治療前後に2回、指標測定を行なった。
治療効果の判定基準
漢方新薬臨床研究指導原則の治療効果判定基準に基づき治療効果を判定した。
完全寛解:皮膚の損傷、掻痒がすべて消失し、皮屑の真菌顕微鏡検査で陰性である。
部分寛解:皮膚の損傷、掻痒の大部分が消失し、症状総スケールは70%以上軽減し、真菌顕微鏡検査は陰性であるか、または少量の菌糸、胞子を有する。
有効:皮膚の損傷、掻痒が部分的に消失し、症状総スケールが30%〜69%軽減し、真菌顕微鏡検査で少量の破砕、変形した胞子を有する。
症状総スケール減少率=治療前の総スケール−治療後の総スケール/治療前の総スケール×100%
無効:治療前に比べ、各方面でいずれも進歩がなく、症状総スケールの減少率が30%未満。
真菌学的治療効果:真菌顕微鏡検査(−)は除去、(+)は未除去である。
寛解率=(完全寛解+部分寛解)/総症例数×100%。
結果
本発明の薬物クリーム製剤を使用して3週間治療した後、指標測定を実施し、真菌を直接顕微鏡検査した。臨床研究症状スケール表に基づきスケールを計算し、治療効果を判定した。統計分析の結果、第I相試験で症例137例、足白癬128例、手白癬9例を観察した。うち、完全寛解62例、部分寛解38例、有効25例で、寛解率72.99%、真菌除去率81.02%、陰性111例、陽性26例であった。6週間目に追跡調査を実施し、再発率は4.58%であった(下表を参照)。
Figure 2009535366
Figure 2009535366
臨床試験の結果、紅斑、浮腫、アレルギーなどの有害事象は発現せず、本発明の薬物の臨床における使用の安全性および耐容性はよく、治療効果は信頼できるものであることが示された。

Claims (4)

  1. ソウキョウ(猪牙▲そう▼)55〜65% ボルネオール8〜15% ミョウバン15〜30%の重量比の原料により製造される薬剤であることを特徴とする手・足白癬治療の薬物。
  2. 各原料の配合比が、
    ソウキョウ(猪牙▲そう▼)62.5% ボルネオール12.5% ミョウバン25%
    であることを特徴とする請求項1に記載の手・足白癬治療の薬物。
  3. 前記薬剤は、薬剤学上記載されたいかなる剤型であることを特徴とする請求項1または2に記載の手・足白癬治療の薬物。
  4. (1)ソウキョウ(猪牙▲そう▼)200グラムを取り、6倍の水を添加して1.5時間煎じ、煎じ液を取る工程と、
    (2)ソウキョウ(猪牙▲そう▼)の中に5倍の水をそれぞれ2回添加して1.5時間煎じ、煎じ液を取る工程と、
    (3)(1)・(2)で得られた煎じ液および蒸留後の水溶液を合わせ、ろ過し、ろ過液を相対密度1.10〜1.15(80℃)まで減圧濃縮し、エタノールを加えてアルコール濃度が60%に達するようにし、充分に攪拌し、24時間静置し、ろ過し、ろ過液からエタノールを回収し、相対密度1.30〜1.35(80℃)まで減圧濃縮し、減圧乾燥し、粉末剤を製造する工程と、
    (4)ミョウバン80グラム、ボルネオール40グラムを取り、粉末剤を製造する工程と、
    (5)トリエタノールアミン4.5ml、ツイーン−80 25グラム、グリセリン100mlおよび蒸留水によって構成された水相と、ステアリン酸50グラム、液体パラフィン35グラム、ワセリン50グラム、モノステアリン酸グリセリン35グラムによって構成された油相とを、それぞれ80℃まで加熱し、恒温を保ち、油相を水相の中に入れ、連続して攪拌し、80℃の状態で15分間保温した後、40℃まで降温したときに、(3)・(4)で製造した粉末剤を添加し、室温まで攪拌して完成品1000グラムを得る工程と、
    を含むことを特徴とする手・足白癬治療のクリームの製造方法。
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