JP2009534047A - 分子的認識によって作用する新規な検出プローブ - Google Patents
分子的認識によって作用する新規な検出プローブ Download PDFInfo
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Abstract
・5'末端に立体的障害構造を含む第一ヌクレオチドセグメントと、
・標的配列に相補的な第二ヌクレオチドセグメント
とを5'−3'方向で連続的に含んでなる、標的配列の分子的認識によって作用する検出プローブに関する。
Description
・5'末端に立体的障害構造(sterically hindering structure)を含む第一ヌクレオチドセグメントと、
・標的配列に相補的な第二ヌクレオチドセグメント
とを5'−3'方向で連続的に含んでなる、標的配列の分子的認識によって作用する検出プローブに関する。
本発明の好適な実施態様では、立体的障害構造は樹枝状構造、ヘアピン構造又は二本鎖構造である。
本発明の好適な実施態様では、分子認識によって作用する検出プローブは、一方の端がフルオロフォアで標識されており、他方の端がクエンチャーで標識されている。
本発明の好適な実施態様では、前記第一セグメントはフルオロフォアを含み、前記第三セグメントはクエンチャーを含む。本発明の他の好適な実施態様では、前記第一セグメントはクエンチャーを含み、前記第三セグメントはフルオロフォアを含む。
本発明の好適な実施態様では、前記第二セグメントは、好ましくは10から35のヌクレオシド、さらにより好ましくは15から25のヌクレオシドを含む。
以下の定義により、本発明の理解がより明確になるであろう。
本発明の他の好適な実施態様では、立体的障害構造は二本鎖構造である。このような構造の利点は、DNAヌクレオチドプローブの通常の合成のために使用される試薬以外の試薬を用いることなく、そして、合成サイクルを修飾せずに生産することができるということである。二本鎖構造なる用語は、有利な温度と塩分条件下、特にPCR反応のハイブリダイゼーションと重合工程の条件下で二重螺旋を形成するように、互いにハイブリダイズする、2つの相補的なヌクレオチド配列を意味することを意図する。二本鎖構造によって、ヘアピン構造よりも、核酸プローブの5'に少ないヌクレオチドを付加して合成や精製の収率を向上させることが可能となる。二本鎖を形成する第二鎖は、別に合成することができる他の分子である。
また、本発明は、上記に定義したように、そして、ポリメラーゼ連鎖反応の間の耐熱性ポリメラーゼ酵素の5'ヌクレアーゼ活性を遮断する、分子認識によって作用する少なくとも一つの検出プローブの使用に関する。
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応の間又は増幅後エンドポイント測定の間のポリメラーゼ酵素の5'ヌクレアーゼ活性によってプローブの切断を阻害しながら、「分子ビーコン」の種類のプローブを用いることによって標的配列を検出することが可能であるので、前記のような使用は非常に関連がある。
a) 生体試料の核酸物質を抽出する、
b) ポリメラーゼ酵素の存在下で、核酸物質の少なくとも一つの標的配列のアンプリコンを得るように核酸物質を増幅する、
c) 増幅工程b)と同時、または、増幅工程b)の後に、上記の分子認識によって作用する少なくとも一つの検出プローブを用いる、
d) 該アンプリコンの存在を検出する。
・2つの相補的なDNA標的鎖を得るため、又はRNA標的鎖を破壊するための、標的配列の変性。
・少なくとも一つの増幅プライマーと、前述の変性工程の間に得られた各々の標的鎖とのハイブリダイゼーション。
・ポリメラーゼ酵素及びヌクレオシド三リン酸の存在下で増幅プライマーがハイブリダイズした鎖に相補的な鎖の、増幅プライマーからの形成。
このサイクルは、検出できるために十分な濃度の標的配列を得るために、所定の回数が繰り返される。
工程b)及びc)は同じ回数又は一方の後にもう一方が実施される。
この実験の目的は、樹枝状ヌクレオチド構造にて5'-修飾したプローブがインビトロでの酵素増幅反応のTaqポリメラーゼの5'-ヌクレアーゼ活性によって切断されないことを示すことである。
標的は、hMPVウイルスの遺伝子配列に対応する1.2Kbのインサートを有するプラスミドpCITEとした。1チューブにつき5×103コピー。
使用する配列は以下の通りであった。
・センスプライマー:5'- CAT ATA AGC ATG CTA TAT TAA AAG AGT CTC -3'
・リバースプライマー:5'- CCT ATT TCT GCA GCA TAT TTG TAA TCA G -3'
・「分子ビーコン」プローブ(G8):5'-G8D4-D2-D-(dT-FAM)- CGA TGC AAC TGC AGT GAC ACC CTC ATC ATT GCA CAT CG (dT-Dabcyl)-3'
・TaqManプローブ(TM):5'- FAM- TGC AAT GAT GAG GGT GTC ACT GCG GTT -TAMRA-3'−この配列は、インビトロ増幅において生成されるアンプリコンの配列を特異的に認識した。
この配列の下線部は、インビトロ増幅において生成されるアンプリコンの配列を特異的に認識した。
5'-遮断プローブ及びプライマーの配列は、製造業者によって提唱されるプロトコールに従って、ホスホラミダイト方法によって、Expedite装置(Perseptive Biosystems)にて自動で合成した。「D」ユニットの導入のために必要なホスホラミダイト試薬は市販の試薬(ref. 10-1920, Glen Research, USA)である。この分子は、標準的な試薬の場合に1サイクルにつき1ヌクレオチドでなく2つのヌクレオチド(この実施例ではG)を同じ合成サイクルで同時にカップリングさせた2つの反応した末端を有した。合成でこの分子を3回結合させることによって、同時に8つのヌクレオチドを持つ5'末端を作製した。この樹枝状構造は、天然の末端より妨げになり、ポリメラーゼが5'末端を認識するのと、「分子ビーコン」を切断するのを妨げた。
dT-FAMは、T塩基に共有的に付着したフルオレセイン分子を有した修飾ヌクレオチドである(ref. 10-1056, Glen Research, USA)。
dT-Dabcylは、T塩基に共有的に付着したDabcyl分子を有した修飾ヌクレオチドである(ref. 10-1058, Glen Research, USA)。
プローブおよびプライマーは、逆相HPLCによって精製され、その純度はキャピラリー電気泳動法によって検査される。
FAM分子はフルオレセイン種のフルオロフォアであり、この蛍光は530nmで検出される。Dabcyl分子は、物理的にFAMフルオロフォアに近い場合に、蛍光の発光を阻害する芳香族分子である。
TAMRA分子(テトラメチルローダミンから得られる)は、蛍光の発光がFRET効果によって発光するのを妨げる芳香族分子であって、このとき2つの分子が近接、例えば同じヌクレオチド配列上に位置する。FRET効果は、2つの分子の間の距離の6乗と比例している。
この実施例では、「LightCycler FastStart DNA Master Hybridization Probes」増幅キット(Roche, Penzberg, Germany)を用いた。反応混合物の調製は提供者が推奨する手順に従って行った。
20μlの反応体積中に、5×103コピーのプラスミドを、センスプライマー及びリバースプライマー(0.5μM)、「分子ビーコン」(1μM)、2μlのキットのバイアル1(酵素混合物)、0.8μlのキットの25mM MgCl2、およびキットのPCR段階水と混合した。その後、反応混合物をキャピラリーチューブに入れ、後者をライトサイクラーに用いた。各々の増幅反応について、本発明に係る「分子ビーコン」の代わりにTaqManTMプローブにてコントロールを行った(G8)。各々の増幅反応について、標的プラスミドの代わりにキットのPCR段階水を添加してコントロールを行った(ネガティブコントロール、「c−」)。
PCR反応は、95℃で8分の開始変性の後、95℃で30秒間、40℃で5秒間および60℃で60秒間を40サイクル行った。蛍光は、各サイクルの各工程の終わりの一時点に530nmで読み取った。
蛍光結果は、温度によって結果を分け、それらを正規化して、図で表せるように分析した。40℃および60℃での読み取りで得られたグラフにより、増幅反応の間のアンプリコンとプローブとのハイブリダイゼーションを検査することができる。一方、95℃ではプローブとアンプリコンとの間の起こりうるハイブリダイゼーションがない。ネガティブコントロールと比較した場合の、95℃のシグナルのいくらかの増加は、単にプローブの事前切断によるものであるかもしれない。したがって、95℃での読み取りで得られたグラフにより、Taqポリメラーゼ酵素(または、TaqPol)の5'-ヌクレアーゼ活性によるプローブ切断又はプローブ切断の欠如を証明することができる。
リアルタイム検出のTaqManプローブTMによって得られたプロファイルを図3および4に示す。
横軸は増幅サイクルの数を表し、縦軸は各サイクルの40℃、60℃及び95℃での530nmで検出される蛍光を表す。60℃および40℃のプロファイルは、TaqManプローブTMがインビトロ酵素増幅反応から得られるアンプリコンの存在を特異的に検出することを示す。95℃のプロファイルは、TMプローブが増幅反応の間に特異的に切断されることを示す。
リアルタイム検出においてG8「分子ビーコン」により得られたプロファイルを図5及び図6に示す。このとき、横軸は増幅サイクルの数を表し、左の縦軸は各サイクルの40℃及び60℃での530nmで検出される蛍光を表し、右の縦軸は各サイクルの95℃での530nmで検出される蛍光を表す。
60℃および40℃のプロファイルは、G8「分子ビーコン」がインビトロ酵素増幅反応から得られるアンプリコンの存在を特異的に検出したことを示す。95℃のプロファイルは、G8「分子ビーコン」がTaqManプローブTMが切断される条件下で切断されなかったことを示す。
図7は、TaqManプローブTMとG8修飾「分子ビーコン」についての95℃での蛍光の増加を比較したものである。蛍光の特定の増加は、増幅が起こる場合のTMプローブによってのみ観察された。増幅が起こらない(ネガティブコントロール)場合、及び「分子ビーコン」が修飾されているG8である場合には、Taqポリメラーゼの5'-ヌクレアーゼ活性による切断はなく、したがって蛍光の増幅もない。
この実験の目的は、耐熱性ヘアピンを形成するヌクレオチド配列にて5'側で修飾した「分子ビーコン」がインビトロでの酵素増幅反応のTaqポリメラーゼの5'-ヌクレアーゼ活性によって切断されないことを示すことである。
標的は、hMPVウイルスの遺伝子配列に対応する1.2Kbのインサートを有するプラスミドpCITEとした。(1チューブにつき5×103コピー。)
・センスプライマー:5'- CAT ATA AGC ATG CTA TAT TAA AAG AGT CTC -3'
・リバースプライマー:5'- CCT ATT TCT GCA GCA TAT TTG TAA TCA G -3'
・「分子ビーコン」プローブ(hp5):5'-AT GCA TCG TTT TTC GAT GC AT(dT-FAM) CGA TGC AAC TGC AGT GAC ACC CTC ATC ATT GCA CAT CG (dT-Dabcyl)-3'
・TaqManプローブ(TM):5'- FAM- TGC AAT GAT GAG GGT GTC ACT GCG GTT -TAMRA-3'−この配列はインビトロ増幅において生成されるアンプリコンの配列を特異的に認識した。
この配列の下線部は、インビトロ増幅において生成されるアンプリコンの配列を特異的に認識した。5’末端とフルオロフォアとの間のこの配列の部分は安定したヘアピン構造を形成する。
プローブとプライマーの配列は実施例1.bに記載のプロトコールに従って合成した。 dT-Dabcylは、T塩基に共有的に付着したDabcyl分子を有する修飾ヌクレオチドである(ref. 10-1058, Glen Research, USA)。dT-FAMは、T塩基に共有的に付着したフルオレセイン分子を有する修飾ヌクレオチドである(ref. 10-1056, Glen Research, USA)。
FAM分子はフルオレセイン種のフルオロフォアであり、この蛍光は530nmで検出される。
Dabcylは、物理的にフルオロフォアに近い場合に、蛍光の発光を阻害する芳香族分子であり、ゆえに「クエンチャー」である。
TAMRA分子(テトラメチルローダミン誘導体)は、蛍光の発光がFRET効果によって発光するのを妨げる芳香族分子であって、このとき2つの分子が近接、例えば同じヌクレオチド配列上に位置する。FRET効果は、2つの分子の間の距離の6乗と比例している。
この実施例では、「LightCycler FastStart DNA Master Hybridization Probes」増幅キット(Roche, Penzberg, Germany)を用いた。反応混合物の調製は提供者が推奨する手順に従って行った。20μlの反応体積中に、5×103コピーのプラスミドを、センスプライマー及びリバースプライマー(0.5μM)、hp5修飾「分子ビーコン」(1μM)、2μlのキットのバイアル1(酵素混合物)、0.8μlのキットの25mM MgCl2、およびキットのPCR段階水と混合した。
その後、反応混合物をキャピラリーチューブに入れ、後者をライトサイクラーに用いた。
各々の増幅反応について、hp5修飾「分子ビーコン」の代わりにTaqManTMプローブにてコントロールを行った。
各々の増幅反応について、標的プラスミドの代わりにキットのPCR段階水を添加してコントロールを行った(ネガティブコントロール、「c−」)。
PCR反応は、95℃で8分の開始変性の後、95℃で30秒間、40℃で5秒間および60℃で60秒間を40サイクル行った。
蛍光は、各サイクルの各工程の終わりの一時点に530nmで読み取った。その後、蛍光結果は、温度によって結果を分け、それらを正規化して、図で表せるように分析した。40℃および60℃での読み取りで得られたグラフにより、増幅反応の間のアンプリコンとプローブとのハイブリダイゼーションを検査することができる。一方、95℃ではプローブとアンプリコンとの間の起こりうるハイブリダイゼーションがない。ネガティブコントロールと比較した場合の、95℃のシグナルのいくらかの増加は、単にプローブの切断によるものであるかもしれない。したがって、95℃での読み取りで得られたグラフにより、TaqPolの5'-ヌクレアーゼ活性によってプローブが切断されるか否かを証明することができる。
リアルタイム検出で得られたプロファイルを図8から12に示す。ここでは、横軸は増幅サイクルの数を表し、縦軸(図8から11)は各サイクルの40℃及び60℃での530nmで検出される蛍光を表し、右の縦軸(図12の左)は各サイクルの95℃での530nmで検出される蛍光を表す。
60℃および40℃のプロファイルは、本発明に係るhp5「分子ビーコン」及びTMプローブがインビトロ酵素増幅反応から得られるアンプリコンの存在を特異的に検出したことを示す。
95℃のプロファイルは、TMプローブが増幅反応の間に特異的に切断されるのに対して、hp5が同じ条件下で切断されなかったことを示した。
図12は、hp5修飾「分子ビーコン」とTMプローブについての95℃での蛍光の増加を比較したものである。
蛍光の特定の増加は、増幅が起こる場合に用いたTMプローブによってのみ観察された。増幅が起こらなかった(ネガティブコントロール)場合、及び修飾した「分子ビーコン」が用いられた場合には、Taqポリメラーゼの5'-ヌクレアーゼ活性による切断はなく、したがって蛍光の増幅もない。
この実験の目的は、耐熱性ヘアピンを形成するヌクレオチド配列にて5'側で修飾した「分子ビーコン」がインビトロでの酵素増幅反応のTaqポリメラーゼの5'-ヌクレアーゼ活性によって切断されないことを示すことである。
前述の実施例と比較して、「分子ビーコン」はその5’末端にソラレン分子を有する。この分子によりソラレンのない「分子ビーコン」よりも耐熱性を有するヘアピンとなる。この分子は、付着してこの構造を安定化するヘアピン構造内にインターカレートし、重合温度で安定にすることを可能にする。
標的は、hMPVウイルスの遺伝子配列に対応する1.2Kbのインサートを有するプラスミドpCITEとした。1チューブにつき5×103コピー。
この実施例に用いた配列は以下の通りであった。
・センスプライマー:5'-CAT ATA AGC ATG CTA TAT TAA AAG AGT CTC-3'
・リバースプライマー:5'- CCT ATT TCT GCA GCA TAT TTG TAA TCA G -3'
・「分子ビーコン」プローブ(hp2):5'-Pso-GCA TCG TTT TTC GAT GC(dT-FAM)-T CGA TGC AAC TGC AGT GAC ACC CTC ATC ATT GCA CAT CG (dT-Dabcyl)-3'
・コントロール「分子ビーコン」(MBnm):5'- (dT-FAM)-CGA TGC AAC TGC AGT GAC ACC CTC ATC ATT GCA CAT CG (dT-Dabcyl)-3'−この配列はインビトロ増幅において生成されるアンプリコンの配列を特異的に認識した。この配列の下線部は、インビトロ増幅において生成されるアンプリコンの配列を特異的に認識した。
プローブとプライマーの配列は実施例1.bに記載のプロトコールに従って合成した。 「Pso」は、市販のホスホラミダイト(ref. 10-1982, Glen Research, USA)を用いて自動合成する間に配列内に集合するソラレン分子である。この分子は、付着してこの構造を安定化するヘアピン構造内にインターカレートし、重合温度で安定にすることを可能にする。
dT-FAMは、T塩基に共有的に付着したフルオレセイン分子を有する修飾ヌクレオチドである(ref. 10-1056, Glen Research, USA)。
dT-Dabcylは、T塩基に共有的に付着したDabcyl分子を有する修飾ヌクレオチドである(ref. 10-1058, Glen Research, USA)。
FAM分子はフルオレセイン種のフルオロフォアであり、この蛍光は530nmで検出される。
Dabcylは、物理的にFAMフルオロフォアに近い場合に、蛍光の発光を阻害する芳香族分子である。
この実施例では、「LightCycler FastStart DNA Master Hybridization Probes」増幅キット(Roche, Penzberg, Germany)を用いた。反応混合物の調製は提供者が推奨する手順に従って行った。20μlの反応体積中に、5×103コピーのプラスミドを、センスプライマー及びリバースプライマー(0.5μM)、本発明に係るhp2「分子ビーコン」(1μM)、2μlのキットのバイアル1(酵素混合物)、0.8μlのキットの25mM MgCl2、およびキットのPCR段階水と混合した。
その後、反応混合物をキャピラリーチューブに入れ、後者をライトサイクラーに用いた。
各々の増幅反応について、本発明に係るhp2「分子ビーコン」の代わりにコントロール「分子ビーコン」(MBnm)にてコントロールを行った。
各々の増幅反応について、標的プラスミドの代わりにキットのPCR段階水を添加してコントロールを行った(ネガティブコントロール、「c−」)。
PCR反応は、95℃で8分の開始変性の後、95℃で30秒間、40℃で5秒間および60℃で60秒間を40サイクル行った。
蛍光は、各サイクルの各工程の終わりの一時点に530nmで読み取った。その後、蛍光結果は、温度によって結果を分け、それらを正規化して、図で表せるように分析した。40℃および60℃での読み取りで得られたグラフにより、増幅反応の間のアンプリコンとプローブとのハイブリダイゼーションを検査することができる。一方、95℃ではプローブとアンプリコンとの間の起こりうるハイブリダイゼーションがない。ネガティブコントロールと比較した場合の、95℃のシグナルのいくらかの増加は、単にプローブの切断によるものであるかもしれない。したがって、95℃での読み取りで得られたグラフにより、TaqPolの5'-ヌクレアーゼ活性によってプローブが切断されるか否かを証明することができる。
リアルタイム検出で得られたプロファイルを図13から17に示す。ここでは、横軸は増幅サイクルの数を表し、縦軸(図13から16)は各サイクルの40℃及び60℃での530nmで検出される蛍光を表し、右の縦軸(図17の左)は各サイクルの95℃での530nmで検出される蛍光を表す。
60℃および40℃のプロファイルは、本発明に係るhp2「分子ビーコン」及びMBnmコントロールがインビトロ酵素増幅反応から得られるアンプリコンの存在を特異的に検出したことを示す。
95℃のプロファイルは、MBnmが増幅反応の間に特異的に切断されるのに対して、hp2が同じ条件下で切断されなかったことを示した。
図17は、修飾していない「分子ビーコン」MBnmと修飾した「分子ビーコン」hp2についての95℃での蛍光の増加を比較したものである。
蛍光の特定の増加は、増幅が起こる場合に用いたMBnm「分子ビーコン」によってのみ観察された。増幅が起こらなかった(ネガティブコントロール)場合、及び「分子ビーコン」が本発明に従って修飾される場合には、Taqポリメラーゼの5'-ヌクレアーゼ活性による切断はなく、したがって蛍光の増幅もない。
この実験の目的は、耐熱性ヘアピンを形成するヌクレオチド配列にて5'側で修飾した「分子ビーコン」がインビトロでの酵素増幅反応のTaqポリメラーゼの5'-ヌクレアーゼ活性による切断のための基質でないを示すことである。
実施例2及び3と比較して、修飾した分子ビーコンはヘアピン構造内のその5’末端にフルオロフォアを有するのに対して、この実施例では、フルオレセインは「分子ビーコン」の第一セグメント内に位置した(図2の右図を参照)。
標的は、hMPVウイルスの遺伝子配列に対応する1.2Kbのインサートを有するプラスミドpCITEとした。(1チューブにつき5×103コピー。)
・センスプライマー:5'- CAT ATA AGC ATG CTA TAT TAA AAG AGT CTC -3'
・リバースプライマー:5'- CCT ATT TCT GCA GCA TAT TTG TAA TCA G -3'
・「分子ビーコン」プローブ(hp4):5'- FAM-GCA TCG TTT TTC GAT GC CGA TGC AAC TGC AGT GAC ACC CTC ATC ATT GCA CAT CG (dT-Dabcyl)-3'
・TaqManプローブ(TM):5'- FAM- TGC AAT GAT GAG GGT GTC ACT GCG GTT -TAMRA-3'−この配列はインビトロ増幅において生成されるアンプリコンの配列を特異的に認識した。
この配列の下線部は、インビトロ増幅において生成されるアンプリコンの配列を特異的に認識した。
プローブとプライマーの配列は実施例1.bに記載のプロトコールに従って合成した。 dT-Dabcylは、T塩基に共有的に付着したDabcyl分子を有する修飾ヌクレオチドである(ref. 10-1058, Glen Research, USA)。
dT-FAMは、T塩基に共有的に付着したフルオレセイン分子を有する修飾ヌクレオチドである(ref. 10-1056, Glen Research, USA)。
FAM分子はフルオレセイン種のフルオロフォアであり、この蛍光は530nmで検出される。
Dabcylは、物理的にフルオロフォアに近い場合に、蛍光の発光を阻害する芳香族分子であり、ゆえに「クエンチャー」である。
TAMRA分子(テトラメチルローダミン誘導体)は、蛍光の発光がFRET効果によって発光するのを妨げる芳香族分子であって、このとき2つの分子が近接、例えば同じヌクレオチド配列上に位置する。FRET効果は、2つの分子の間の距離の6乗と比例している。
この実施例では、「LightCycler FastStart DNA Master Hybridization Probes」増幅キット(Roche, Penzberg, Germany)を用いた。反応混合物の調製は提供者が推奨する手順に従って行った。20μlの反応体積中に、5×103コピーのプラスミドを、センスプライマー及びリバースプライマー(0.5μM)、hp4「分子ビーコン」(1μM)、2μlのキットのバイアル1(酵素混合物)、0.8μlのキットの25mM MgCl2、およびキットのPCR段階水と混合した。
その後、反応混合物をキャピラリーチューブに入れ、後者をライトサイクラーに用いた。
各々の増幅反応について、hp4「分子ビーコン」の代わりにTaqManTMプローブにてコントロールを行った。
各々の増幅反応について、標的プラスミドの代わりにキットのPCR段階水を添加してコントロールを行った(ネガティブコントロール、「c−」)。
PCR反応は、95℃で8分の開始変性の後、95℃で30秒間、40℃で5秒間および60℃で60秒間を40サイクル行った。
蛍光は、各サイクルの各工程の終わりの一時点に530nmで読み取った。その後、蛍光結果は、温度によって結果を分け、それらを正規化して、図で表せるように分析した。40℃および60℃での読み取りで得られたグラフにより、増幅反応の間のアンプリコンとプローブとのハイブリダイゼーションを検査することができる。一方、95℃ではプローブとアンプリコンとの間の起こりうるハイブリダイゼーションがない。ネガティブコントロールと比較した場合の、95℃のシグナルのいくらかの増加は、単にプローブの切断によるものであるかもしれない。したがって、95℃での読み取りで得られたグラフにより、TaqPolの5'-ヌクレアーゼ活性によってプローブが切断されるか否かを証明することができる。
リアルタイム検出で得られたプロファイルを図18から22に示す。ここでは、横軸は増幅サイクルの数を表し、縦軸(図18から21)は各サイクルの40℃及び60℃での530nmで検出される蛍光を表し、右の縦軸(図22の左)は各サイクルの95℃での530nmで検出される蛍光を表す。
60℃および40℃のプロファイルは、hp4修飾「分子ビーコン」及びTMプローブがインビトロ酵素増幅反応から得られるアンプリコンの存在を特異的に検出したことを示す。
95℃のプロファイルは、TMプローブが増幅反応の間に特異的に切断されたのに対して、hp4は同じ条件下で切断されなかったことを示した。
図22は、hp4修飾「分子ビーコン」とTMプローブについての95℃での蛍光の増加を比較したものである。
蛍光の特定の増加は、増幅が起こる場合に用いたTMプローブによってのみ観察された。増幅が起こらなかった(ネガティブコントロール)場合、及び修飾した「分子ビーコン」が用いられた場合には、Taqポリメラーゼの5'-ヌクレアーゼ活性による切断はなく、したがって蛍光の増幅もなかった。
この実験の目的は、耐熱性ヘアピンを形成するヌクレオチド配列にて5'側で修飾した「分子ビーコン」がインビトロでの酵素増幅反応のTaqポリメラーゼの5'-ヌクレアーゼ活性による切断のための基質でないを示すことである。
実施例2及び3と比較して、修飾した分子ビーコンはヘアピン構造内のその5’末端にフルオロフォアを有するのに対して、この実施例2及び3では、フルオレセインは「分子ビーコン」の第一断片内に位置していた(図2の右図を参照)。
実施例4と比較して、修飾した「分子ビーコン」は「分子ビーコン」の第一断片とヘアピン構造との間にヌクレオチドTを含む。このヌクレオチドは、ヘアピン構造によって形成される二重螺旋を「分子ビーコン」の第一断片と第三断片によって形成される二重螺旋から遠ざけており、これによって互いの相互作用が低減されている。
標的は、hMPVウイルスの遺伝子配列に対応する1.2Kbのインサートを有するプラスミドpCITEとした。(1チューブにつき5×103コピー。)
・センスプライマー:5'- CAT ATA AGC ATG CTA TAT TAA AAG AGT CTC -3'
・リバースプライマー:5'- CCT ATT TCT GCA GCA TAT TTG TAA TCA G -3'
・「分子ビーコン」プローブ(hp3):5'- FAM-GCA TCG TTT TTC GAT GCT CGA TGC AAC TGC AGT GAC ACC CTC ATC ATT GCA CAT CG (dT-Dabcyl)-3'
・TaqManプローブ(TM):5'- FAM- TGC AAT GAT GAG GGT GTC ACT GCG GTT -TAMRA-3'−この配列はインビトロ増幅において生成されるアンプリコンの配列を特異的に認識した。 この配列の下線部は、インビトロ増幅において生成されるアンプリコンの配列を特異的に認識した。
プローブとプライマーの配列は実施例1.bに記載のプロトコールに従って合成した。 dT-Dabcylは、T塩基に共有的に付着したDabcyl分子を有する修飾ヌクレオチドである(ref. 10-1058, Glen Research, USA)。
dT-FAMは、T塩基に共有的に付着したフルオレセイン分子を有する修飾ヌクレオチドである(ref. 10-1056, Glen Research, USA)。
FAM分子はフルオレセイン種のフルオロフォアであり、この蛍光は530nmで検出される。
Dabcylは、物理的にフルオロフォアに近い場合に、蛍光の発光を阻害する芳香族分子であり、ゆえに「クエンチャー」である。
TAMRA分子(テトラメチルローダミン誘導体)は、蛍光の発光がFRET効果によって発光するのを妨げる芳香族分子であって、このとき2つの分子が近接、例えば同じヌクレオチド配列上に位置する。FRET効果は、2つの分子の間の距離の6乗と比例している。
この実施例では、「LightCycler FastStart DNA Master Hybridization Probes」増幅キット(Roche, Penzberg, Germany)を用いた。反応混合物の調製は提供者が推奨する手順に従って行った。20μlの反応体積中に、5×103コピーのプラスミドを、センスプライマー及びリバースプライマー(0.5μM)、hp4「分子ビーコン」(1μM)、2μlのキットのバイアル1(酵素混合物)、0.8μlのキットの25mM MgCl2、およびキットのPCR段階水と混合した。
その後、反応混合物をキャピラリーチューブに入れ、後者をライトサイクラーに用いた。
各々の増幅反応について、本発明に係るhp3「分子ビーコン」の代わりにTaqManTMプローブにてコントロールを行った。
各々の増幅反応について、標的プラスミドの代わりにキットのPCR段階水を添加してコントロールを行った(ネガティブコントロール、「c−」)。
PCR反応は、95℃で8分の開始変性の後、95℃で30秒間、40℃で5秒間および60℃で60秒間を40サイクル行った。
蛍光は、各サイクルの各工程の終わりの一時点に530nmで読み取った。その後、蛍光結果は、温度によって結果を分け、それらを正規化して、図で表せるように分析した。40℃および60℃での読み取りで得られたグラフにより、増幅反応の間のアンプリコンとプローブとのハイブリダイゼーションを検査することができる。一方、95℃ではプローブとアンプリコンとの間の起こりうるハイブリダイゼーションがない。ネガティブコントロールと比較した場合の、95℃のシグナルのいくらかの増加は、単にプローブの切断によるものであるかもしれない。したがって、95℃での読み取りで得られたグラフにより、TaqPolの5'-ヌクレアーゼ活性によってプローブが切断されるか否かを証明することができる。
60℃および40℃のプロファイルは、hp3修飾「分子ビーコン」及びTMプローブがインビトロ酵素増幅反応から得られるアンプリコンの存在を特異的に検出したことを示す。
95℃のプロファイルは、TMプローブが増幅反応の間に特異的に切断されたのに対して、hp3は同じ条件下で切断されなかったことを示した。
図27は、hp3修飾「分子ビーコン」とTMプローブについての95℃での蛍光の増加を比較したものである。
蛍光の特定の増加は、増幅が起こる場合に用いたTMプローブによってのみ観察される。増幅が起こらない(ネガティブコントロール)場合、及び修飾した「分子ビーコン」を用いる場合には、Taqポリメラーゼの5'-ヌクレアーゼ活性による切断はなく、したがって蛍光の増幅もなかった。
Claims (13)
- ・5'末端に立体的障害構造を含む第一ヌクレオチドセグメントと、
・標的配列に相補的な第二ヌクレオチドセグメント
とを5'−3'方向で連続的に含んでなる、標的配列の分子的認識によって作用する検出プローブ。 - 前記の立体的障害構造が樹枝状構造であることを特徴とする、請求項1に記載の分子的認識によって作用する検出プローブ。
- 前記の立体的障害構造がヘアピン構造であることを特徴とする、請求項1に記載の分子的認識によって作用する検出プローブ。
- 前記の立体的障害構造が二本鎖構造であることを特徴とする、請求項1に記載の分子的認識によって作用する検出プローブ。
- 前記の第二ヌクレオチドセグメントの下流に、前記第一ヌクレオチドセグメントにハイブリダイズすることができる第三のヌクレオチドセグメントも含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一に記載の分子的認識によって作用する検出プローブ。
- 一方の端がフルオロフォアで標識されており、他方の端がクエンチャーで標識されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一に記載の分子的認識によって作用する検出プローブ。
- 前記フルオロフォアがフルオレセインであることを特徴とする、請求項6に記載の分子的認識によって作用する検出プローブ。
- 前記第一セグメントが3から8のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一に記載の分子的認識によって作用する検出プローブ。
- 前記第二セグメントが10から35のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一に記載の分子的認識によって作用する検出プローブ。
- 前記第三セグメントが3から8のヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一に記載の分子的認識によって作用する検出プローブ。
- 耐熱性ポリメラーゼ酵素の5'ヌクレアーゼ活性をブロックするための立体的障害構造の使用。
- ポリメラーゼ連鎖反応の間の耐熱性ポリメラーゼ酵素の5'ヌクレアーゼ活性をブロックするための、請求項1から10のいずれか一に記載の分子的認識によって作用する検出プローブ。
- 生体試料中の核酸物質を検出するための方法であって、
a) 生体試料中の核酸物質が抽出され、
b) 核酸の材料を増幅し、ポリメラーゼ酵素の存在下で、核酸物質の少なくとも一つの標的配列のアンプリコンを得るために増幅される、
c) 請求項1から10のいずれか一に記載の分子的認識によって作用する少なくとも一の検出プローブを、工程b)の増幅と同時に、又は工程b)の増幅の後に用いる、
d) 前記アンプリコンの存在が検出される
工程を含んでなる。
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