JP2009528549A - 金属コーティングの品質を試験する方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、金属基板(特に、鋼又は合金鋼基板)の金属表面の品質を決定する方法、並びに、引抜きされた試験表面をつくるために基板を形状付与するモールドと、金属シールドホルダーと、ダイスとを含む装置であって、金属基板の金属表面の品質を決定する前記装置に関する。本発明の目的は、利用性(特に、追加成形)の観点から金属コーティングの品質を試験する方法、並びに、装置を提供することである。このために、少なくとも試験表面の領域中で基板を形状付与して(ここで、試験表面の領域中の基板の主な形状変化及び追加的な形状変化を基板のその後の利用に関連させる、予め決定された値が推定される基とする)、そして、金属表面の品質を、形状付与後の試験表面上で試験する。
Description
本発明は、金属基板(特に、鋼又は合金鋼基板)の金属表面の品質を決定する方法、並びに、基板を成形して、引抜き加工された試験表面を製造するモールドと、シートホルダーと、ダイスとを有する、金属基板の金属表面の品質を決定する装置に関する。
自動車の製造において、一定の特性(例えば、可能な限り良好な腐食抵抗性)を達成するためにコーティングされているシートが、頻繁に使用される。通常、成形工程の前に、コーティングを基板にストリップ様(ワイズ)に又はシート様(ワイズ)に付与するので、その結果、金属だけではなく、そのコーティングも良好な成形特性を有することになる。前記コーティングの典型的な例は、例えば、自動車の車体シェル用に使用される鋼部分のどぶ漬けガルバナイジングである。コーティングの品質は種々のパラメータに依存しているため、準備段階(つまり、基板を、例えば、車体部分へ追加加工する前)で表面の品質を試験することが望ましい。しかしながら、同様の問題は、コーティングされていないシート(特に、薄シート)にも関係する。なぜなら、例えば、シートを製品へ成形する場合にだけ圧延欠陥が頻繁に生じるからである。この場合も、シートの追加成形を考慮して、表面品質を試験することが望ましい。
金属基板の表面仕上げを試験する複数の方法が、先行技術により公知である。例えば、DE10111296A1では、フラット製品(Flachprodukt)の表面の電子画像を評価することによって前記フラット製品の表面品質を検査することが公知である。表面及び/又はコーティングが適当かどうか、及び/又は、どの成形工程にとって表面及び/又はコーティングが適当かについての情報は、公知方法では得ることができない。
この原則に基づいて、本発明の目的は、金属基板上の金属コーティングの品質を決定する、一般的な方法並びに装置を提供することであり、それによって、前記基板の使用の観点から(特に、後成形の観点から)金属コーティングの品質を試験することができることである。
本発明の第一の教示によると、前記目的は、少なくとも試験表面の領域中で基板を成形して、
ここで、前記試験表面の領域中の基板の主な形状変化及び追加的な形状変化(Haupt- und Nebenformaenderung)を前記基板のその後の利用に関連させる所定の値を推定するものとする、
そして、成形後に試験表面の金属表面の品質を試験する、一般的な方法によって達成される。
ここで、前記試験表面の領域中の基板の主な形状変化及び追加的な形状変化(Haupt- und Nebenformaenderung)を前記基板のその後の利用に関連させる所定の値を推定するものとする、
そして、成形後に試験表面の金属表面の品質を試験する、一般的な方法によって達成される。
例えば、自動車の異なる領域で使用されるシート部分が、製造間で種々の程度の成形を受けることが分かっている。例えば、自動車のルーフ構造用の金属基板は、約1〜2%の比較的小さい主な形状変化を受ける。更に、自動車のサイドパネル用のシート部分を製造する場合には、通常、約5%の主な形状変化が生じる。自動車のボンネット用の部分を製造する場合には、通常、例えば、約3%の主な形状変化が生じる。本発明による方法では、追加加工の間で生じる主な形状変化及び追加的な形状変化を、制御された態様でシミュレートして、次に、相当する主な形状変化及び追加的な形状変化を含む表面を、金属表面の品質に関して試験する。試験表面の金属表面は、光学的に(特に、顕微鏡又はその他の光学的及び/又は光電子機器を使用して)試験される。先行技術から公知の方法とは異なり、表面の品質は、利用性の観点から(つまり、例えば、金属基板中に欠陥を生じることなく前記金属基板に一定の成形を施すことができるかどうかについて)試験される。従って、原則として、金属基板に異なる成形要件を割り当てることができ、そして、自動車用の基板部分を製造する場合での不良品発生率を最小化することができる。
本発明の方法の第1の実施態様によると、基板を、例えば、材料成形ツール(Umformwerkzeug)中でダイスによって引抜き加工し、そして、引抜き深さ(Ziehtiefe)を介して主な形状変化を調節することが好ましいため、単純な態様で主な形状変化を金属基板へ再生可能に導入することができる。
自動車の車体シェル部分用の金属基板の金属表面の品質の決定は、試験表面の領域中の基板の主な形状変化が最大で7%に到達することにより達成することができる。なぜなら、これらは、通常、製造間での自動車の車体シェル部分の主な形状変化のための最大値であるからである。
試験表面の領域中の基板の追加的な形状変化が2%〜2%の間に到達する場合には、追加的な前記形状変化も特定の使用に対して標準的な範囲にある。金属表面の品質を決定するために、追加的な形状変化を約0%に設定して、金属基板の表面品質を決定する標準実務に特に適当な試験結果を得る。
本発明の方法の更に詳細な実施態様によると、試験表面を成形後に磨耗するので、金属基板の表面上に見込まれる欠陥をより容易に認識することができる。特に、製造工程により生じる金属表面上の欠陥は、試験表面を磨耗することによって可視的にすることができる。
最大厚さ1.5mm(好ましくは、厚さ0.3mm〜1mm)と、最大強度500MPa(好ましくは、140〜500MPa)とを有するシートを基板として使用することが好ましい。なぜなら、これらのシートは、自動車の構造における車体シェル部分としての利用に関して特に良好な特性を有しているからである。
本発明の方法は、金属コーティング[特に、(電解)亜鉛めっき又はどぶ漬けガルバナイズコーティング]の欠陥を検出するのに特に適当である。従って、コーティングされる前記基板は、車体シェル部分用の自動車の構造において好ましく使用される。
本発明の第2の教示によると、ダイスを形成して、成形された基板の試験表面の領域中の主な形状変化が最大7%に到達し、そして、追加的な形状変化が−2%〜2%の間、好ましくは、ほぼ0%に到達する装置によって、前記目的を達成する。本発明により形成されるダイスによって、特定の主な形状変化(例えば、自動車の車体シェル部分としての利用性に関連する)が試験表面中に作られ、それによって、標準実務に沿って、特に基板の追加加工に関する金属コーティングの品質を特定することができる。
ダイスは、可能な限り大きな試験表面をつくるため、長さ少なくとも400mmと幅少なくとも250mmとを有している。試験表面は、自動車の構造における金属基板の使用のための特定な前記金属基板の寸法に適合されているので、試験表面の金属コーティングの品質の決定は、金属基板全体のコーティング品質についての代表的な分析を提供する。
本発明の装置の更なる詳細な実施態様によると、曲率半径(Kruemmungsradius)500〜2000mm、好ましくは1000mmを伴う主な形状変化に対する曲率(Kruemmung)をもつ正面をダイスが有しているので、主な形状変化の方向が正確に規定される。成形工程間で(特に、引抜き加工工程間で)、主な形状変化がダイスの正面の曲率によって正確に規定される。曲率半径が広いので、主な形状変化が試験表面全体にわたって非常に均一に生じる。
主な形状変化の方向に対して横断方向に延長しているダイスの2つの側面と、ダイスの正面との間のエッジ半径(Kantenradius)が、20〜80mm、好ましくは40mmに到達する場合には、主な形状変化に対する基板の材料のフローが追加的に補助される。従って、試験表面の主な形状変化は、それに相当する境界領域でも、引抜き深さを介して調節される。
更に、主な形状変化の方向に対して平行に延長しているダイスの2つの側面と、ダイスの正面との間のエッジ半径が、2〜10mmの間、好ましくは5mmに到達することによって、追加的な形状変化は制限される。鋭いエッジ半径は、追加的な形状変化に対するフロームーブメント(つまり、主な形状変化の方向に対して横断方向のムーブメント)を実質的に防止する。従って、主な形状変化並びに追加的な形状変化は、単純な態様で永久的に規定される。
試験表面での、ダイスの長方形形状の影響を減少させるために、ダイスの側面間の端部は、エッジ半径50〜100mm、好ましくは70mmを有する。
主な形状変化の方向に対して垂直方向に延長しており、そしてモールドの窪みの両側面上に配置される2つの段差部(Sicken)を、前記モールドが有していることによって、引抜き加工の間で成形に関与する金属基板の領域が制限されることが好ましい。段差部は、ドロービーズ(Ziehleisten)とも呼ばれる。段差部によって、段差部の外側の基板が形状変化に寄与する可能性が排除され、そして、従って、主な形状変化が、試験表面全体にわたってほぼ一定になる。
最後に、異なる引抜き深さを永久的に調節可能である場合が有利である。特定の用途のための形状を、永久的に調節可能な引抜き深さを介して制御して、そして、金属基板へ再生可能に導入することができるので、例えば、自動車の構造における仕様の異なる領域に対して、引抜き深さをそれぞれ永久的に設定することができる。
本発明の方法及び装置を改良して、発展させる種々の可能性がある。これに関して、一方で、本明細書の請求項1及び請求項8に従属する請求項を参照し、他方では、本発明の装置の模範的な実施態様を図面と共に参照されたい。
本発明の装置の模範的な実施態様のダイスを示す平面図である。
図1の模範的な実施態様のダイスを示す斜視図である。
図1の本発明の装置の模範的な実施態様のモールドを示す図である。
図1の本発明の装置の模範的な実施態様のシートホルダーを示す図である。
図1aは、金属基板の金属コーティングの品質を決定する、本発明の装置の模範的なダイス1の平面図を示す。金属基板を引抜き加工する場合に、主な形状変化最大7%を有する試験表面をダイスの正面2がつくるように、ダイス1を形成する。一方で、ダイス1の側端部3,4は異なる曲率半径を有しており、これは実質的に主な形状変化に対する材料のフロー特性を左右する。他方で、この模範的な実施態様における側端部4の半径は5mmに到達するため、基板の材料がエッジ半径を超えて流れること、及び、追加的な形状変化を製造することが防止される。更に、基板の材料が側端部3を超えて流れることを可能にするために、ダイス1の側端部3のエッジ半径は実質的により広くなっており、この場合には、例えば40mmである。結果として、特に、正面2の曲率半径R3によって、試験表面の主な形状変化の方向が、予め決定される。従って、引抜き加工間では、試験表面の領域全体において7%未満で材料を引き伸ばす。
この場合、金属コーティングの表面の試験に関して代表的な結果を得るために、ダイスの長さ及び幅が、それぞれ540mmと320mmとに到達する。ダイス1の隅部から生じる、試験表面の領域中のひずみを最小化するために、ダイスの側面間でのコーナー半径(Eckenradius)R4は70mmに到達することが好ましい。
図1bのダイス1の斜視図では、好ましくは500〜2000mm、この場合1000mmに到達するダイス1の曲率半径R3が、ダイス1の側面3に対する比較的広いエッジ半径にわたって変化することが明らかである。この遷移が金属基板のストレッチ特性(Streckverhaltens)に好ましい影響を及ぼすため、ダイス1の側面3から試験表面2それ自体まで、主な形状変化の影響又は変化がほとんど生じない。ダイス1の正面に相当する試験表面2が、1方向における領域のほぼ全体にわたって一定の主な形状変化を有するということが、最終結果である。
図2は、ダイス1に関連するモールド5の平面図を示す。モールドの窪みと平行に延長している2つの段差部6がはっきりと示されており、これらは、引抜き加工間で過剰材料がより離れた領域から引抜き領域へ流れることを防止するためのものである。段差部6は試験表面上の主な形状変化の均一性を改良し、ここで、これらは金属基板のより離れた領域からの材料のリフローを制御する。ダイスのコーナー半径R4と同様に、モールド5も70mmのコーナー半径R5を有することが好ましい。試験表面の領域中の主な形状変化の規定された調節のために、モールド5は、窪み7の長手方向側に沿っているエッジ半径R6、例えば15mmを有している。一方で、このエッジ半径は段差部の効果を補助するが、特に、金属基板が厚さ0.3〜1.5mmを有する場合には、金属基板の材料のフローを可能にする。窪みの横端部に沿って金属基板が引き裂かれることを実質的に防止することが好ましいので、溝の横端部のエッジ半径R7をより幅広く(例えば、25mmに)選択することができる。
図3は、ダイスの形状に嵌合する寸法を有する溝9をもつシートホルダー8を示す。また、溝9のコーナー半径R8はダイス1の形状に適合し、そして、同様に、例えば70mmである。
Claims (15)
- 金属基板(特に、鋼又は合金鋼基板)の金属表面の品質を決定する方法であって、
少なくとも試験表面の領域中で基板を成形して、
ここで、前記試験表面の領域中の基板の主な形状変化及び追加的な形状変化を前記基板のその後の利用に関連させる所定の値を推定するものとする、
そして、成形後に、試験表面の金属表面の品質を試験することを特徴とする、前記方法。 - 基板を材料成形ツール中でダイスによって引抜き加工し、そして、引抜き深さを介して、主な形状変化を調節することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 試験表面の領域中の基板の主な形状変化が、最大で7%に到達することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 試験表面の領域中の基板の追加的な形状変化が、−2%〜2%の間、好ましくは、ほぼ0%に到達することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 試験表面を成形後に磨耗することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 最大厚さ1.5mm(好ましくは、厚さ0.3mm〜1mm)と、最大強度500MPa(好ましくは、140〜500MPa)とを有するシートを、基板として使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 金属コーティング(特に、亜鉛めっき、又は、どぶ漬けガルバナイジングコーティング)の表面を試験することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 金属基板の金属表面の品質を決定する装置であって、
基板を成形して、引抜き加工された試験表面を製造するモールドと、シートホルダーと、ダイスとを有している、特に、請求項1〜7に記載の方法を実施するための前記装置であり、
前記装置において、
ダイス(1)を形成して、成形された基板の試験表面の領域中の主な形状変化が最大7%に到達し、そして、追加的な形状変化が−2%〜2%の間、好ましくは、ほぼ0%に到達することを特徴とする、前記装置。 - ダイス(1)が、長さ少なくとも400mm及び幅少なくとも250mmを有することを特徴とする、請求項8に記載の装置。
- ダイス(1)が正面(2)を有しており、前記正面(2)が、曲率半径(R3)500〜2000mm、好ましくは1000mmを伴う、主な形状変化に対する曲率を有することを特徴とする、請求項8又は9に記載の装置。
- ダイス(1)の正面(2)と、主な形状変化の方向に対して横断方向に延長している、ダイスの2つの側面(3)との間のエッジ半径(R2)が、20〜80mm、好ましくは40mmに到達することを特徴とする、請求項8に記載の装置。
- ダイス(1)の正面(2)と、主な形状変化の方向に対して平行に延長している、ダイスの2つの側面(4)との間のエッジ半径(R1)が、2〜10mm、好ましくは5mmに到達することを特徴とする、請求項8又は9に記載の装置。
- ダイス(1)の側面(3,4)の間の端部が、コーナー半径(R4)50〜100mm、好ましくは70mmを有することを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の装置。
- 主な形状変化の方向に対して横断方向に延長しており、そして、モールドの窪み(7)の両側面上に配置される2つの段差部(6)を、モールド(5)が有することを特徴とする、請求項8〜11のいずれか一項に記載の装置。
- 異なる引抜き深さが永久的に調節可能であることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか一項に記載の装置。
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