JP2014241129A - スプリングバック量評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るスプリングバック量評価方法は、立体要素で構成されたプレス成形品の解析モデルの離型前状態を取得する離型前状態取得工程(S1)と、離型前状態の解析モデルについてスプリングバック解析を行うスプリングバック解析工程(S2)と、離型前状態の解析モデルに所定断面を設定する断面設定工程(S3)と、プリングバック解析後の解析モデルについて断面設定工程で設定された断面に対応する断面を特定する断面特定工程(S4)と、断面特定工程で特定された断面を剛体移動および剛体回転させて両断面をフィッティングさせるフィッティング工程(S5)と、該フィッティング工程時の剛体移動量及び剛体回転量をスプリングバック量として評価するスプリングバック量評価工程(S6)とを有することを特徴とするものである。
【選択図】 図1
Description
ここで金属平板とは、熱延鋼板、冷延鋼板、あるいは鋼板に表面処理(電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき、有機皮膜処理等)を施した表面処理鋼板をはじめ、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金等、各種金属類から構成される板でもよい。また本発明は、特に590MPa級以上の高強度鋼板や、その他、アルミニウム等、ヤング率が鋼系素材に比較して小さい素材に対しても有効な方法である。
一般的にはスプリングバック量は、プレス成形品の部位を特定して評価方向等の指標を決めてから判断される。このような指標は熟練した作業者によって決められているが、作業者ごとに指標が異なるのが現状である。そのため、スプリングバック量の指標が客観的なものになっていないという問題がある。
従って、反り変形と捩じり変形をそれぞれ定量的に明確に把握することが重要であるが、特に、捩じり変形を定量的に規定することは困難であり、指標を明確にすることの困難さに繋がっていた。
複数の要素で構成された前記プレス成形品の解析モデルの離型前状態を取得する離型前状態取得工程と、離型前状態の前記解析モデルについてスプリングバック解析を行い前記解析モデルのスプリングバック後の状態を取得するスプリングバック解析工程と、前記離型前状態の解析モデル又は前記スプリングバック解析後の解析モデルの一方に所定断面を設定する断面設定工程と、前記離型前状態の解析モデル又は前記スプリングバック解析後の解析モデルのうち前記断面設定工程で断面が設定されたもの以外の解析モデルについて前記断面設定工程で設定された断面に対応する断面を特定する断面特定工程と、前記断面設定工程で設定された断面又は前記断面特定工程で特定された断面のいずれか一方を剛体移動および/又は剛体回転させて両断面をフィッティングさせるフィッティング工程と、該フィッティング工程時の剛体移動量及び/又は剛体回転量をスプリングバック量として評価するスプリングバック量評価工程とを有することを特徴とするものである。
上記各工程について図1〜図9に基づいて以下に説明する。
離型前状態取得工程は、立体要素で構成されたプレス成形品の解析モデルの離型前状態を取得する工程である(S1)。
離型前状態は、立体要素で構成されたプレス成形品に対してプレス成形解析を行うことによって得られる下死点状態(下死点における形状情報、応力分布、歪分布等)を用いてもよいし、この下死点状態における応力分布を一部変更あるいは削除する等して用いてもよい。
スプリングバック解析工程は、離型前状態の解析モデル(離型前における形状情報、応力分布、歪分布、物性値等)についてスプリングバック解析を行い解析モデルのスプリングバック後の状態を取得する工程である(S2)。
スプリングバック解析を行うと、解析モデルの離型前状態に応じて、曲がり変形および捩じり変形が複合的に生じてスプリングバック後の状態になる。
断面設定工程は、離型前状態の解析モデルに所定断面を設定する工程である(S3)。
本実施の形態では、離型前状態のアウター部品1に、図3中の太線2に沿うようにxy平面に平行に断面3を設定した。図4にアウター部品1の断面3を示す。図4(a)はxy平面に表れた断面形状、図4(b)はyz平面に表れた断面形状、図4(c)はzx平面に表れた断面形状をそれぞれ表している。
この点を1つの立体要素に着目して図5に基づいて説明する。立体要素7は、図5に示すように、節点n1〜節点n8の8つの節点を有しており、節点n1〜節点n8の各座標はそれぞれ取得可能である。
立体要素7に断面を設定すると、上記8つの節点以外の点として、断面上に点x1、点x2、点x3、点x4の4点が設定され、立体要素7の断面はこれらの4点によって特定される。
解析モデルに設定した断面は、上記のような各立体要素の断面を連続させたものであるから、解析モデルに設定した断面は、断面上に設定される複数の点によって設定されていることになる。なお、以下の説明において、断面上に設定されるm個の点を点xI(I=1,2,3…,m)と表記する。
断面特定工程は、スプリングバック解析後の解析モデルについて断面設定工程で設定された断面に対応する断面を特定する工程である(S4)。
断面設定工程で設定した断面は、スプリングバック後において解析モデルの変形に伴って移動することになる。
上述したとおり、断面設定工程で設定した断面は、点xIによって設定されているので、点xIがどこに移動したかを追跡することによって、スプリングバック解析後の解析モデルについて断面設定工程で設定された断面に対応する断面を特定することができる。
図6は、図5に示す立体要素7のスプリングバック後の状態を示しており、図5の状態から、節点n1と節点n5の距離が縮まるように変形している。
なお、上記では、点x1について説明したが他の点x2〜点x4についても同様であり、また、断面上に位置する他の立体要素においても同様である。
図7(a)に示す通り、断面5はxy平面上において離型前の状態からy方向に大きく移動している。また、図7(b)、図7(c)に示す通り、yz平面上およびzx平面上においても離型前の状態から乖離している。
フィッティング工程は、スプリングバック後の断面を剛体移動および剛体回転させて離型前の断面にフィッティングさせる工程である(S5)。
図7に示すような乖離は、断面がスプリングバックによって平行移動および回転したことによると考えることができ、これらの平行移動量および回転量をスプリングバック量に相当すると評価できる。具体的には、平行移動量が曲がり(反り)変形量、回転量が捩じり変形量に相当する。
従って、スプリングバック量を求めるためには、スプリングバック前後における断面の平行移動量および回転量を求めればよい。
そして、フィッティング時の剛体移動量がスプリングバックによる断面の平行移動量に相当し、剛体回転量が断面の回転量に相当するものとして考えられる。つまり、剛体移動量が曲がり変形量、剛体回転量が捩じり変形量に相当する。
この場合、断面3上の点xI Aと、点xI Aに対応する断面5上の点xI Bとの距離の二乗和が最小化した状態を、断面5が断面3にフィッティングした状態とする。
以下、具体的に説明する。
点xI Bのフィッティング後の座標成分xI Bjとすると、xI Bjは式(1)で表される。
xI A:離型前の断面上に現れる点(N個)(I=1,2,3…,n)
xI B0:スプリングバック後の断面上に現れる点(フィッティング前)(N個)(I=1,2,3…,n)
xI B:スプリングバック後の断面上に現れる点(フィッティング後)(N個)(I=1,2,3…,n)
xC:回転中心点
xI Aj:xI Aの座標成分(j=1,2,3)
xI B0j:xI B0の座標成分(j=1,2,3)
xI Bj:xI Bの座標成分(j=1,2,3)
xCj:xCの座標成分(j=1,2,3)
u1,u2,u3:x方向、y方向、z方向の剛体移動量
θ,φ,ψ:x軸、y軸、z軸周りの回転角度(剛体回転量)
である。なお、式(1)は総和規約を適用している。なお、点xCは断面3の図心にとるのがよい。
スプリングバック量評価工程は、フィッティング工程時の剛体移動量(u1,u2,u3)及び/又は剛体回転量(θ,φ,ψ)をスプリングバック量として評価する工程である(S6)。
上述したとおり、剛体移動量(u1,u2,u3)および剛体回転量(θ,φ,ψ)は、それぞれが曲がり変形量および捩じり変形量であるから、これらスプリングバック量に基づけば、例えば断面においてどの様なスプリングバックが生じたかを評価できる。
また、断面5(断面特定工程で特定された断面)を剛体移動および剛体回転させて断面3(断面設定工程で設定された断面)にフィッティングさせた例を示したが、両断面をフィッティングさせればどちらを移動させてもよく、断面3(断面設定工程で設定された断面)を剛体移動および剛体回転させて断面5(断面特定工程で特定された断面)にフィッティングさせてもよい。
そして、断面特定工程は断面設定工程で設定された断面ごとに対応する断面を特定し、フィッティング工程は断面設定工程で設定された各断面とこれに対応して特定された断面にフィッティングを行い、スプリングバック量評価工程は各断面についての剛体移動量及び/又は剛体回転量、及び断面設定工程で設定された各断面間隔情報に基づいてスプリングバック量を評価する。
なお、評価にあたっては、断面毎の剛体移動量や剛体回転量を表すグラフを作成して、スプリングバック量を視覚的に把握できるようにしてもよい。この場合、グラフの作成は作業者がコンピュータを用いてもよいし、コンピュータ内にグラフ作成手段を設けて自動的に行うようにしてもよい。この評価により、プレス成形品のどの部分のスプリングバック(曲がり(反り)、捩じれ)が大きいのか、客観的かつ定量的に、一目で把握できる。
2 太線
3 断面(離型前)
5 断面(スプリングバック後)
7 立体要素
9 断面
11 スプリングバック量評価装置
13 離型前状態取得手段
15 スプリングバック解析手段
17 断面設定手段
19 断面特定手段
21 フィッティング手段
23 スプリングバック量評価手段
Claims (2)
- コンピュータによりプレス成形品の離型後のスプリングバック量を評価するスプリングバック量評価方法であって、
複数の要素で構成された前記プレス成形品の解析モデルの離型前状態を取得する離型前状態取得工程と、離型前状態の前記解析モデルについてスプリングバック解析を行い前記解析モデルのスプリングバック後の状態を取得するスプリングバック解析工程と、前記離型前状態の解析モデル又は前記スプリングバック解析後の解析モデルの一方に所定断面を設定する断面設定工程と、前記離型前状態の解析モデル又は前記スプリングバック解析後の解析モデルのうち前記断面設定工程で断面が設定されたもの以外の解析モデルについて前記断面設定工程で設定された断面に対応する断面を特定する断面特定工程と、前記断面設定工程で設定された断面又は前記断面特定工程で特定された断面のいずれか一方を剛体移動および/又は剛体回転させて両断面をフィッティングさせるフィッティング工程と、該フィッティング工程時の剛体移動量及び/又は剛体回転量をスプリングバック量として評価するスプリングバック量評価工程とを有することを特徴とするスプリングバック量評価方法。 - 前記断面設定工程は前記解析モデルについて所定間隔で複数の断面を設定し、前記断面特定工程は前記断面設定工程で設定された断面ごとに対応する断面を特定し、前記フィッティング工程は前記断面設定工程で設定された各断面とこれに対応して特定された断面にフィッティングを行い、前記スプリングバック量評価工程は各断面についての剛体移動量及び/又は剛体回転量及び、前記断面設定工程で設定された各断面間隔情報に基づいてスプリングバック量を評価することを特徴とする請求項1記載のスプリングバック量評価方法。
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