JP2009527243A - 動物飼料中のプロニュートリエントとしてのオリーブ抽出物の使用 - Google Patents

Abstract

本発明は動物飼料中のプロニュートリエントとして、専ら物理的方法を用いて得られるオリーブ抽出物を使用することに関するものである。前記抽出物は獣医科学における天然プロニュートリエントとして使用でき、トリ及びブタの飼育に関する飼育効率及びその他のパラメータを有意に改善する。前記抽出物は、マスリン酸、オレアノール酸、ヒドロキシチロソール及びチロソールのような主要生成物を遊離形又は生物学的に容認される塩の形で含むことを特徴とする。

Description

本発明は、動物を生産するための生成物に組み込まれ、経済的に非常に重要な家禽類及びブタ（哺乳子畜及び肥育用家畜）の要求指数及び幾つかの品質面の効率をかなり高める天然プロニュートリエントに関するものである。

オリーブの栽培はほぼ全世界の温帯性気候の国々において非常に重要である。オリーブの主用途はオリーブ油であり、それは現在百万ＭＴ以上がスペインで生産されている。オリーブの微粉砕及び油製造のための伝統的方法は、連続的及び不連続的いずれの方式においても“三相（ｔｈｒｅｅ−ｐｈａｓｅ）”と呼ばれる。これらの方法によると、油の他にオリーブ水、水の付加を伴う、又は伴わない水性オリーブフラクション、及び種々のタイプのしぼりかすなどの副産物が生ずる。これらは抽出されて油のまた別の用途に使用されるのが一般的である。現在、三相法の他に、“二相法（ｔｗｏ−ｐｈａｓｅ）”と呼ばれる方法が用いられ、この方法では、油の他にパルプ残渣と、必ずとは言えないが通常はオリーブピットとを、植物性水分と混合して含み、“アルペオルジョ(ａｌｐｅｏｒｕｊｏ)”の名称で知られる副産物を生ずる材料が得られる。グラナダ大学が開発し、所有する特許（Ｐ９６０１６５２、ＷＯ９８／０４３３１、オリーブ微粉砕副産物に含まれる３β−ヒドロキシオレアン−１２−エン−２８−オイック酸（オレアノール酸）及び（２α、３β）−２，３−ジヒドロキシ−オレアン−１２−エン−２８−オイック酸（マスリン（ｍａｓｌｉｎｉｃ））の工業的利用法）により、現在用いられる任意の方法（圧搾、連続的三相及びいわゆる二相法）による工業的オリーブ微粉砕によって得られる固体副産物からこれら２種類の酸を別々に、高純度で工業的に生産することが可能である。この固体副産物はこれらの酸を得るための無尽蔵の資源となる。この特許の最初の部分は、天然産物を使用する傾向にある現在の獣医科学において、プロニュートリエントとして試験された種々のオリーブ抽出物の製法を開示している。参考のために、ｈｔｔｐ：ｗｗｗ．ｒａｃｖｅ．ｅｓ／ａｃｔｉｖｉｄａｄｅｓ／ｚｏｏｔｅｃｎｉａ／ｂｏｒｒｅｌ＿ｐｒｏｎｕｔｒｉｅｎｔｅｓ＿ｖｅｔｅｒｉｎａｒｉａ．ｈｔｍｌを参照されたい。世界的レベルにおける現在の傾向は、予防的性質を有する化学物質の使用を減らしつつ、治療的性質を有する化学物質のみを使用できるようにすることである。このために有効な代案の研究が必要となった。これら代案の一つは、動物の健康状態を強化及び維持するための栄養上の最新の進歩を応用し、飼料組成物中に一成分として含まれる“プロニュートリエントの提供”を目的とする栄養補助食品を与えることである。用語“プロニュートリエント”は、もともと１９５０年代の中頃にゴードン・ローゼン博士（Ｄｒ．Ｇｏｒｄｏｎ Ｒｏｓｅｎ）によって、生理機能並びに固有の栄養価を改善し病原体の存在を回避する目的で、食物中に比較的少量含まれるミクロ成分と定義され、それらの起源及び機能によって以下の４群に分類された：
・微生物プロニュートリエント
・抗菌性プロニュートリエント
・食物コンディショナー（芳香剤、抗酸化剤、充填剤）
・予防薬
この最初の分類では細菌性、植物性及び鉱物性起源のプロニュートリエントが認められていた。

このようにゴードン・ローゼンが最初に定義して以来、食品工業及び法律はかなり変化し、プロニュートリエントのこの定義、分類及び起源の見直しに迫られ、ゴードン・ローゼン博士の定義の維持と、プロニュートリエントの分類及び起源の改定が必要と考えられる。このような経緯からプロニュートリエントは、引き続き、生理機能、及び固有の栄養価を改善し、病原体の存在を回避する目的で食物組成物中に比較的少量含まれるミクロ成分と定義されるものと考えられる。

最初の分類は起源及び機能などの概念を混同していた。このため、現代ではプロニュートリエントをそれらの機能によって次のように分類するのがより適切であると思われる：整腸剤、腸オプティマイザー、肝臓保護剤、免疫調節剤、ミネラル吸収促進剤、食物コンディショナー（香味料、酵素、抗酸化剤）、抗遊離ラジカル類、上皮オプティマイザー、下垂体コンディショナーならびに瘤胃及び腸のプレバイオティックス。

今日、プロニュートリエントの起源は植物及び微生物に限定すべきであるという考え方が一般的である。このため我々は、成分の薬理学的又は栄養的効果は持たず、生理機能を調節又は刺激することができる、複雑な有機分子類又はそれらの混合物だけをプロニュートリエントと考えるに至った。ビタミン類及びキレート化ミネラル類は概念的にこの群に入ると考えることができる。それらをヨーロッパの法律で認められた特定の群と共に添加剤に含めれば、それらは固有の特性を有するが類似の成分であると考えることができる。

この濃縮オリーブ抽出物の製法は特許Ｐ９６０１６５２、ＷＯ９８／０４３３１（“オリーブ微粉砕副産物に含まれる３-β−ヒドロキシオレアン−１２−エン−２８−オイック酸（オレアノール酸）及び（２α、３β）−２，３−ジヒドロキシ−オレアン−１２−エン−２８−オイック酸（マスリニック）の工業的使用法”と題する）の一部を含む。原料のオリーブに含まれる脂肪、テルペン類、フェノール類、ポリフェノール類、グリコシド類、ポリオール類及び砂糖類を含む生成した固体は、獣医科学において天然プロニュートリエントとして使用されてきたオリーブ抽出物である。

プロトン及び炭素１３一次元及び二次元ＮＭＲ法によって分析された概略の標準的組成物は、これに限定するものではないが、それが適切な条件で得られた場合、基本的に且つ主として、マスリン酸、ヒドロキシチロソール及び天然誘導体類、オレアノール酸及びチロソール及び天然誘導体類を、起源のオリーブ中に存在する油残渣、マンニトール、その他の砂糖類及び天然ポリフェノール類と共に含むことを示している。

この組成物は、起源のオリーブの多様性及び処理されたオリーブ微粉砕の工業的廃物バッチに依存する。個々の組成物の近似的偏差は３０％前後であることが観察されおり、一般に、４２％ないし８０％のマスリン酸、８％ないし２０％のヒドロキシチロソール及びその天然誘導体類、７％ないし１３％のオレアノール酸及び２％ないし６％のチロソール及びその天然誘導体類を含み、オリーブを起源とする非常に種々様々の天然副生成物（脂肪類、ポリオール類、砂糖類、その他のフェノール類など）を少なくとも８％伴った抽出物が生じる。

この濃縮物の標準組成は次のようである：マスリン酸（６５％）、ヒドロキシチロソール及び天然誘導体類（１２％）、オレアノール酸（１０％）、チロソール及び天然誘導体類（４％）。これはオリーブに含まれる多数の副生成物（脂肪類、ポリオール類、砂糖類、その他のフェノール類など）を最大８％伴う。

動物飼料にはこの抽出物が飼料Ｋｇあたりプロニュートリエント１０ｍｇないし２０ｇの濃度で補充され、これを食した動物の要求指数を改善し、ある場合には肉質パラメータを改善する。プロニュートリエント濃縮物のナトリウム塩で行った小規模試験では有意な変化は認められなかった。

（標準プロニュートリエントの使用による結果の実施例）実施した実験では、マスリン酸（６５％）、ヒドロキシチロソール及び天然誘導体類（１２％）、オレアノール酸（１０％）、チロソール及び天然誘導体類（４％）、及びオリーブに含まれるその他の副生成物を含む標準的抽出物を使用した。

１．交雑大白ブタ
２群の動物に対して次の条件で効力実験を行った。
群１：プロニュートリエントを含まない飼料で飼育した対照ブタ
飼育期間：１７０日
最初の平均体重：２１．５０ｋｇ
最終的平均体重：１２２．５０ｋｇ
体重増加：１０１．００ｋｇ
消費した飼料：２８５ｋｇ
体重増加／日：０．５９ｋｇ
要求指数：（体重増加ｋｇ／消費飼料ｋｇ）：０．３５
群２：プロニュートリエント（１２５ｇ／ＭＴ）を含む飼料で飼育した対照ブタ
飼育期間：１７０日
最初の平均体重：１８．２５ｋｇ
最終的体重：１１５．００ｋｇ
体重増加：９６．７５ｋｇ
消費した飼料：２４０ｋｇ
体重増加／日：０．５５ｋｇ
要求指数：（体重増加ｋｇ／消費飼料ｋｇ）：０．４０
筋肉に侵潤した脂肪の％：群２のブタには群１のそれらに比べて約１２％の増加が認められた。

２.ブロイラー
群１．−
プロニュートリエントを与えない場合の１ないし２１日間の体重検査
体重増加／日（平均）３９．１ｇ
食物摂取量／日（平均）：６５．８ｇ
要求指数（体重増加／食物摂取量）：０．５９
群２．−
プロニュートリエント（１２５ｇ／ＭＴ）を与えた場合の１ないし２１日の体重検査
体重増加／日（平均）３９．７ｇ
食物摂取量／日（平均）６２．６ｇ
要求指数（体重増加／食物摂取量）：０．６３
群３．−
プロニュートリエントを与えない場合の２２ないし４２日間の体重検査
体重増加／日（平均）７６ｇ
食物摂取量／日（平均）：５４．６ｇ
要求指数（体重増加／食物摂取量）：０．４６
群４．−
プロニュートリエント（１２５ｇ／ＭＴ）を与えた場合の２２ないし４２日間の体重検査
体重増加／日（平均）７４．２ｇ
食物摂取量／日（平均）：４７．５ｇ
要求指数（体重増加／食物摂取量）：０．５０

その他の対象の詳細：ブタの死亡率は両群共にゼロである。ブロイラーの死亡指数はすべての実験群で類似しており、６％の数字である。

プロニュートリエントを補充した飼料を与えた白ブタに、より多量の背中脂肪及び侵潤脂肪が認められる。

すべての場合に、“任意”という条件で消費される飼料の、単位あたりの効率指数の改善として最大の利益が認められる。これは動物によって消費される食物に対応する費用の節約に貢献する。

つまり、オリーブに含まれるマスリン酸、オレアノール酸、ヒドロキシチロソール、チロソール及びこれらの天然誘導体類又はこれらの生物学的に容認される塩類を主要成分として必ず含む組成物を有するオリーブ抽出物が本発明として提案される。特に、４５％より多いマスリン酸、８％より多いヒドロキシチロソール、７％より多いオレアノール酸、及び２％より多いチロソール及びオリーブに含まれるそれらの天然誘導体類、又は生物学的に容認されるそれらの塩類を含む前記抽出物が有効である。より詳細に言えば、これに限定されるものではないが、４２％ないし８０％のマスリン酸、８％ないし２０％のヒドロキシチロソール、７％ないし１３％のオレアノール酸及び２％ないし６％のチロソール及び、オリーブに含まれる３％以下のその他の副生成物を含むオリーブ抽出物により大きい効果が認められた。

このオリーブ抽出物は、飼料には通常補充される動物飼料プロニュートリエントとして使用されている。非制限的実施例により、飼料Ｋｇあたり１０ｍｇないし２０ｇ濃度のオリーブ抽出物を飼料に補充した。これらの動物に限らず、こうして補充された飼料はブタ及び家禽類の飼育のために適する。

ブタに使用する際に、この補充した飼料はブタ飼育過程における要求指数並びに白ブタの筋肉中の浸潤脂肪のパラメータを改善する。

家禽類に使用する場合には、前記飼料はニワトリ飼育過程における要求指数を改善することが判明した。

Claims (16)

1. マスリン酸、オレアノール酸、ヒドロキシチロソール、チロソール及びオリーブに含まれるそれらの天然誘導体類又は生物学的に容認されるそれらの塩類を主要成分として必ず含む組成物を有することを特徴とするオリーブ抽出物。
2. ４５％より多いマスリン酸、８％より多いヒドロキシチロソール、７％より多いオレアノール酸及び２％より多いチロソール及びオリーブに含まれるそれらの天然誘導体類又は生物学的に容認されるそれらの塩類を含むオリーブ抽出物。
3. ４２％ないし８０％のマスリン酸、８％ないし２０％のヒドロキシチロソール、７％ないし１３％のオレアノール酸及び２％ないし６％のチロソール及びオリーブに含まれる３％以下のその他の副生成物を含むオリーブ抽出物。
4. 動物飼料中のプロニュートリエントとしての請求項１〜３のいずれか１項に記載のオリーブ抽出物の使用。
5. 請求項１〜３のいずれかに記載のオリーブ抽出物を補充した動物飼料。
6. オリーブ抽出物を飼料Ｋｇあたり１０ｍｇないし２０ｇの濃度で含む請求項５に記載の動物飼料。
7. 請求項１〜３のいずれか１項に記載の動物生産用のオリーブ抽出物を補充したブタ飼料。
8. オリーブ抽出物を飼料Ｋｇあたり１０ｍｇないし２０ｇの濃度で含む請求項７に記載のブタ飼料。
9. ブタ飼育過程における要求指数を改善することを特徴とする請求項７に記載のオリーブ抽出物を補充した飼料。
10. 白ブタの筋肉における浸潤脂肪のパラメータを改善することを特徴とする請求項７又は９に記載のオリーブ抽出物を補充した飼料。
11. 請求項１〜３のいずれか１項に記載の動物生産用のオリーブ抽出物を補充したニワトリ飼料。
12. 飼料Ｋｇあたり１０ｍｇないし２０ｇ濃度のオリーブ抽出物を含む請求項１１に記載のニワトリ飼料。
13. ニワトリ飼育過程における要求指数を改善することを特徴とする請求項１１に記載のオリーブ抽出物を補充した飼料。
14. 請求項１〜３おいずれか１項に記載の動物生産用のオリーブ抽出物を補充した家禽類の飼料。
15. オリーブ抽出物を飼料Ｋｇあたり１０ｍｇないし２０ｇ濃度で含む請求項１４に記載の家禽類の飼料。
16. 家禽類の飼育過程において要求指数を改善することを特徴とする請求項１１に記載のオリーブ抽出物を補充した飼育。