JP2009524779A - 自動車両、特にオートバイ用の多板クラッチ - Google Patents
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Abstract
本発明は、自動車両、特にオートバイ用の、内燃機関のフライホイールに連結された、変速機入力軸(10)に回転自在に支承されているプライマリギヤ(11)と、前記プライマリギヤに堅く接続されたクラッチケージ(12)と、前記変速機入力軸に対して同心で配置されこれに堅く接続された駆動体(13)と、軸方向に変位可能であるように、しかし回転を防いで前記駆動体に接続されたプレッシャプレート(14)と、前記プレッシャプレートに堅く接続された鍋型押付け要素(16)と、外周領域のところで前記駆動体に対して、内周領域のところで前記鍋型押付け要素に対して支持されたダイヤフラムスプリング(17)と、交互に内周側を前記駆動体に、外周側を前記ケージに、回転を防いで、しかし軸方向に変位可能であるように接続された、前記プレッシャプレートと前記駆動体との間に挟持されている多数の環状のクラッチディスク(18)から成るパッケージと、軸方向のクラッチ切断力をプレッシャプレートに伝達できるようにするために使用される、前記変速機入力軸に対して共軸で配置されたレリーズベアリング(19)と、前記レリーズベアリングの内輪にはめ込まれて、これに環状フランジにより当接しているトラス型押付け要素(20)とを有している、多板クラッチに関する。前記トラス型押付け要素(20)に、前記変速機入力軸(10)のボア(22)の内部で案内されてこれと共軸で運動する延長部(21)が備えられる。
Description
本発明は、自動車両(モータビークル)、特にオートバイ用の、内燃機関のフライホイールに連結された、変速機入力軸に回転自在に支承されているプライマリギヤと、プライマリギヤに堅く接続されたクラッチケージと、変速機入力軸に対して同心で配置されこれに堅く接続された駆動体と、軸方向に変位可能であるように、しかし回転を防いで駆動体に接続されたプレッシャプレートと、プレッシャプレートに堅く接続された鍋型押付け要素と、外周領域で駆動体に、内周領域で鍋型押付け要素に支持されたダイヤフラムスプリングと、交互に内周側を前記駆動体に、外周側を前記ケージに、回転を防いで、しかし軸方向に変位可能であるように接続された、プレッシャプレートと駆動体との間に挟持されている多数の環状のクラッチディスクから成るパッケージと、軸方向のクラッチ切断力をプレッシャプレートに伝達できるようにするために使用される、変速機入力軸に対して共軸で配置されたレリーズベアリングと、レリーズベアリングの内輪にはめ込まれて、これに環状フランジにより当接しているトラス型押付け要素とを有している、多板クラッチに関する。
このように構成された従来の多板クラッチの多くは、プラトーなばね特性を持つダイヤフラムスプリングを有している。そこでは、クラッチの作動点および切断点が、ばね特性線図が水平な直線を描く部分に位置している。これは、クラッチの作動点および切断点において有効となるばね力が等しいことを意味している。換言すれば、クラッチを切るために必要なばね力は、クラッチがつながった状態にあるときに有効となるばね力と同一になっている。
そのような多板クラッチでは、様々な構成部品の不可避である公差のために、クラッチを作動させるためのスレーブシリンダの作用点がクラッチの回転軸に正確に位置することはあり得ない。これは、マスタシリンダが偏心で、トラス型押付け要素およびレリーズベアリングを介して、プレッシャプレートを押し付けることを意味している。それにより、従来の線形特性を持つダイヤフラムスプリングの場合は、応答時の反力がプログレシブスプリングよりも小さいために、プレッシャプレートに来たす傾斜姿勢が微小にとどめられることになる。プラトーなばね特性を持つダイヤフラムスプリングについても、基本的にこれと同じことが言える。
高出力のオートバイでは、クラッチ切断のために必要なクラッチレバーに加えなければならない手の力が、かなり高い値となることがある。プラトーなばね特性を持つダイヤフラムスプリングが使用される場合は、クラッチレバーに加えなければならない手の力が、操作ストロークの全体にわたり定常となる。クラッチ切断のために必要な手の力と、その際に成し遂げられなければならない仕事を軽減するために、作動点以降は操作方向に向かってばね力が漸減するばね特性を持つダイヤフラムスプリングを使用することが提案される。このばね力が低下するばね特性により、クラッチレバーの変位に伴い手の力が軽減されるために、クラッチを切るために必要な仕事を、コスト面で有利な方法で低減することができる。これは、運転者にとり快適性が格段と向上することを意味している。しかし漸減特性を持つクラッチスプリングを、従来の多板クラッチに使用することは、上述の理由によるクラッチ切断時のプレッシャプレートの偏心負荷のために、不可能である。具体的に言うと、操作域において漸減特性を示すばねの場合は、ばねのより強い力で圧縮される方の側がより小さな反力で応答するために、この偏心負荷により、プレッシャプレートの傾斜姿勢がさらに増幅されることになる。プレッシャプレートの著しい傾斜姿勢により、結果としてクラッチの切り離し挙動が大幅に悪化することになる。運転者は、1速ギヤに入れる際の大きな騒音や、変速時の大きな騒音とならび、アイドリング回転状態の判断がつきにくくなることで、これに気付くことになる。それ以外にも、プレッシャプレートの傾斜姿勢の結果、クラッチディスクが揺動して切りにくくなるクラッチは、激しいジャダーを生じがちである。
ほかにも構成部品の不可避である公差のために、プレッシャプレートの傾斜姿勢を許すことになる、半径方向の遊びをある程度生じている。
本発明の課題は、操作時の傾斜姿勢ならびに偏心入力が阻止されるように、本発明に説明される多板クラッチを改良することにある。
この課題は、本発明にしたがって、トラス型押付け要素に、変速機入力軸のボアの内部で案内されてこれと共軸で運動する延長部を備えることにより解決される。この対策により、操作力が同心でクラッチに入力されることが保証される。それ以外にも、その他の構成部品の公差および半径方向の遊びに基づく傾斜姿勢が抑止される。このため本発明にしたがった多板クラッチは、作動点以降は操作方向に向かってばね力が低下するばね特性を持つダイヤフラムスプリングを使用するのに適したものとなっている。そのようなダイヤフラムスプリングにより、クラッチ操作時の手の力を軽減し、またそれにより運転者の快適性を大幅に向上させる、コスト面で有利な可能性がもたらされることになる。変速機入力軸の内部で案内されるトラス型押付け要素により、プレッシャプレートの心出しがコスト面で有利な方法で達成される。本発明にしたがった対策は、既存の取付け空間内で実現可能であり、それに伴う重量増大も極僅かである。
以下では本発明を図面に示される実施例に基づき詳しく説明する。
図面の唯一の図には、多板クラッチが縦断面図で概略的に示されている。
図示される多板クラッチは、特にオートバイにおいて導入されるように定められたものである。変速機入力軸10には、歯車、いわゆるプライマリギヤ11が、ころ軸受により回転自在に支承されている。プライマリギヤ11は、(図示されない)内燃機関のクランクシャフトにより駆動される。プライマリギヤ11には、ハウジング、いわゆるケージ12が、回転を防いで接続されている。駆動体13が、変速機入力軸10に、回転を防いで、かつ軸方向に位置を固定して接続されている。プレッシャプレート14は、駆動体13に、回転を防いで、しかし軸方向に変位可能であるように接続されている。プレッシャプレート14は、駆動体14のスポークとスポークの間に軸方向に延びる複数のドーム15を有している。プレッシャプレート14には、鍋型押付け要素16が堅く接続されている。正確に言うと、鍋型押付け要素16は、それぞれのドーム15に締結されている。環状のダイヤフラムスプリング17は、その外周領域のところで駆動体13に対して、内周領域のところで鍋型押付け要素16に対して支持されている。駆動体13とプレッシャプレート14との間には、複数の環状のクラッチディスク18から成るパッケージが挟持されている。これらのディスク18は、駆動側のディスクと被動側のディスクを交互にして、前後に並べて配置されている。駆動側のディスクの外周部には、歯切り部が設けられている。その歯は、クラッチケージ12の対応する溝にはまり込んでいる。被動側のディスクの歯は、変速機入力軸10に回転を防いで軸方向に位置を固定して接続された駆動体13の対応する溝にはまり込んでいる。これらのディスク18は、ケージ12ないしは駆動体13のそれぞれと組み合わされる溝の内部で軸方向に変位できるようになっている。ディスク18は油浴中で回転するために、湿式クラッチとも呼ばれる。変速機入力軸10に対して同心である鍋型押付け要素16の開口部には、レリーズベアリング19がはめ込まれて、環状フランジにより鍋型押付け要素16に対して支持されている。レリーズベアリング19の内輪には、円筒形状のトラス型押付け要素20がはめ込まれて、環状フランジにより内輪に対して支持されている。
図面の唯一の図には、多板クラッチが縦断面図で概略的に示されている。
図示される多板クラッチは、特にオートバイにおいて導入されるように定められたものである。変速機入力軸10には、歯車、いわゆるプライマリギヤ11が、ころ軸受により回転自在に支承されている。プライマリギヤ11は、(図示されない)内燃機関のクランクシャフトにより駆動される。プライマリギヤ11には、ハウジング、いわゆるケージ12が、回転を防いで接続されている。駆動体13が、変速機入力軸10に、回転を防いで、かつ軸方向に位置を固定して接続されている。プレッシャプレート14は、駆動体13に、回転を防いで、しかし軸方向に変位可能であるように接続されている。プレッシャプレート14は、駆動体14のスポークとスポークの間に軸方向に延びる複数のドーム15を有している。プレッシャプレート14には、鍋型押付け要素16が堅く接続されている。正確に言うと、鍋型押付け要素16は、それぞれのドーム15に締結されている。環状のダイヤフラムスプリング17は、その外周領域のところで駆動体13に対して、内周領域のところで鍋型押付け要素16に対して支持されている。駆動体13とプレッシャプレート14との間には、複数の環状のクラッチディスク18から成るパッケージが挟持されている。これらのディスク18は、駆動側のディスクと被動側のディスクを交互にして、前後に並べて配置されている。駆動側のディスクの外周部には、歯切り部が設けられている。その歯は、クラッチケージ12の対応する溝にはまり込んでいる。被動側のディスクの歯は、変速機入力軸10に回転を防いで軸方向に位置を固定して接続された駆動体13の対応する溝にはまり込んでいる。これらのディスク18は、ケージ12ないしは駆動体13のそれぞれと組み合わされる溝の内部で軸方向に変位できるようになっている。ディスク18は油浴中で回転するために、湿式クラッチとも呼ばれる。変速機入力軸10に対して同心である鍋型押付け要素16の開口部には、レリーズベアリング19がはめ込まれて、環状フランジにより鍋型押付け要素16に対して支持されている。レリーズベアリング19の内輪には、円筒形状のトラス型押付け要素20がはめ込まれて、環状フランジにより内輪に対して支持されている。
(図示されない)内燃機関から(同様に図示されない)変速機への力の流れを遮断するために、すなわちクラッチを切るために、矢印により示唆される力がトラス型押付け要素に軸方向に加えられるようになっている。この力は、レリーズベアリング19および鍋型押付け要素16を介して各ドーム15に伝達され、その結果プレッシャプレート14は左側に向かって移動される。それによりダイヤフラムスプリング17の力は、ディスク18には最早作用しなくなる。ディスク18は互いから引き離され、動力伝達は遮断される。トラス型押付け要素20に加えられた力が取り除かれると、鍋型押付け要素16およびこれに接続されたプレッシャプレート14は、ダイヤフラムスプリング17のプリロードにより右側に向かって移動するが、その結果ディスク18は、プレッシャプレート14と駆動体13との間で圧締め状態となり、それによりトルクをプライマリギヤ11から変速機入力軸10に伝達することができる。
上記で説明した構造を持つ多板クラッチは、広く一般に知られているために、これ以上詳しく説明するには及ばない。
新規であるのは、トラス型押付け要素20の構成および支承方式である。このトラス型押付け要素20は、変速機入力軸10の同心ボア22の内部で遊びなしで案内されて軸方向に変位する延長部21を有している。トラス型押付け要素20が変速機入力軸10の内部でこのように案内されることにより、三つのことが達成される。第1にプレッシャプレート14が心出しされ、第2にクラッチを切る際の切断力の同心入力が保証される。第3に傾動遊びが直接限定される。それにより、プレッシャプレート14の傾斜姿勢が高信頼度で阻止される。この事情から、作動点以降に操作方向に向かってばね力が低下するばね特性を持つダイヤフラムスプリング17を使用することが可能となる。そのようなダイヤフラムスプリングの長所は、クラッチ操作時の手の力が軽減され、それにより、運転者にとり快適性が向上する点にある。プレッシャプレート14の傾斜姿勢が阻止され、それによりディスク18の傾斜姿勢が阻止されることにより、特に1速ギヤに入れる際の大きな変速騒音、判断がつきにくいアイドリング回転状態、またはクラッチジャダーなどの問題が回避されるようになる。
新規であるのは、トラス型押付け要素20の構成および支承方式である。このトラス型押付け要素20は、変速機入力軸10の同心ボア22の内部で遊びなしで案内されて軸方向に変位する延長部21を有している。トラス型押付け要素20が変速機入力軸10の内部でこのように案内されることにより、三つのことが達成される。第1にプレッシャプレート14が心出しされ、第2にクラッチを切る際の切断力の同心入力が保証される。第3に傾動遊びが直接限定される。それにより、プレッシャプレート14の傾斜姿勢が高信頼度で阻止される。この事情から、作動点以降に操作方向に向かってばね力が低下するばね特性を持つダイヤフラムスプリング17を使用することが可能となる。そのようなダイヤフラムスプリングの長所は、クラッチ操作時の手の力が軽減され、それにより、運転者にとり快適性が向上する点にある。プレッシャプレート14の傾斜姿勢が阻止され、それによりディスク18の傾斜姿勢が阻止されることにより、特に1速ギヤに入れる際の大きな変速騒音、判断がつきにくいアイドリング回転状態、またはクラッチジャダーなどの問題が回避されるようになる。
10 変速機入力軸
11 プライマリギヤ
12 ケージ
13 駆動体
14 プレッシャプレート
15 ドーム
16 鍋型押付け要素
17 ダイヤフラムスプリング
18 クラッチディスク
19 レリーズベアリング
20 トラス型押付け要素
21 延長部
22 ボア
11 プライマリギヤ
12 ケージ
13 駆動体
14 プレッシャプレート
15 ドーム
16 鍋型押付け要素
17 ダイヤフラムスプリング
18 クラッチディスク
19 レリーズベアリング
20 トラス型押付け要素
21 延長部
22 ボア
Claims (1)
- 自動車両、特にオートバイ用の多板クラッチであって、内燃機関のフライホイールに連結され、かつ変速機入力軸(10)に回転自在に支承されているプライマリギヤ(11)と、当該プライマリギヤに堅く接続されたクラッチケージ(12)と、前記変速機入力軸に対して同心で配置され当該変速機入力軸に堅く接続された駆動体(13)と、軸方向に変位可能であるが回転不能に前記駆動体に接続されたプレッシャプレート(14)と、当該プレッシャプレートに堅く接続された鍋型押付け要素(16)と、外周領域のところで前記駆動体に対して、内周領域のところで前記鍋型押付け要素に対して支持されたダイヤフラムスプリング(17)と、交互に内周側を前記駆動体に、外周側を前記クラッチケージに、回転不能で軸方向に変位可能であるように接続され、かつ前記プレッシャプレートと前記駆動体との間に挟持されている複数の環状のクラッチディスク(18)から成るパッケージと、軸方向のクラッチ切断力をプレッシャプレートに伝達できるようにするために使用され、かつ前記変速機入力軸に対して共軸で配置されたレリーズベアリング(19)と、当該レリーズベアリングの内輪にはめ込まれて、これに環状フランジにより当接しているトラス型押付け要素(20)とを有している、多板クラッチにおいて、
前記トラス型押付け要素(20)に、前記変速機入力軸(10)のボア(22)の内部に案内されてこれと共軸で運動する延長部(21)が備えられることを特徴とする、多板クラッチ。
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