JP2006316869A - モータサイクル用クラッチ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 この装置は、クラッチハウジング1と、出力側回転体2と、クラッチハウジング1と出力側回転体2との間で動力の伝達及び遮断を行うための複数のクラッチプレートを有するクラッチ部3と、クラッチ部3のプレートを互いに押圧するためのプレッシャプレート4と、プレッシャプレートを押圧するダイヤフラムスプリング5と、ダイヤフラムスプリング5の押圧力を解除するためのレリーズ部材6と、出力側回転体2とプレッシャプレート4との間に配置されてダイヤフラムスプリング5の押圧荷重より小さい荷重でプレッシャプレート4をクラッチ部3から離す側に付勢するリターンスプリング7とを備えている。
【選択図】 図1
Description
図1及び図2に示すモータサイクル用クラッチ装置は、エンジンのクランク軸からの動力をトランスミッションに伝達するとともに、レリーズ機構の操作により、動力を遮断するためのものである。このクラッチ装置は、レリーズベアリングを軸方向内側に押すことによりクラッチオフとする構成であり、クラッチハウジング1と、出力側回転体2と、クラッチハウジング1と出力側回転体2との間で動力の伝達、遮断を行うためのクラッチ部3と、プレッシャプレート4と、ダイヤフラムスプリング5と、レリーズ部材6と、クラッチオフ時にプレッシャプレート4をクラッチ部3から離すための複数のリターンスプリング7とを備えている。
クラッチハウジング1は、円板状の部分10と、この円板部10の外周側から軸方向外側(図1の右方)に延びる筒状の部分11とを有している。円板部10には複数の環状のゴム部材12を介して入力ギア13が装着されている。この入力ギア13は、エンジン側のクランク軸に固定された駆動ギア(図示せず)に噛み合っている。なお、ゴム部材12は、エンジンからの振動を吸収するために設けられたものであり、他の例えばコイルスプリング等を用いても良い。筒状部11には、内周側の部分に径方向外方に凹む複数の凹部が形成されており、また筒状部11には軸方向に延びる複数の切欠きが円周方向に所定の間隔で形成されている。この切欠きは、内部の潤滑油を外周側に逃がすためのものである。
出力側回転体2はクラッチハウジング1の内周部に配置されている。この出力側回転体2、ほぼ円板状に形成されており、外周部にスプライン15が形成されるとともに、内周部にスプライン孔16が形成されている。そして、内周部のスプライン孔16はトランスミッションの入力軸17に噛み合っている。また、この出力側回転体2の外周部において、軸方向内側の端部には、さらに径方向外方に延びる円板状の摩擦フランジ18が形成されている。さらに、出力側回転体2の軸方向外側の面の外周端部には、円周方向に所定の間隔で、軸方向に突出する複数の支持用突起2aが形成されている。さらに、軸方向外側の面で支持用突起2aの内周側には、円周方向に所定の間隔で、軸方向に突出する複数のボス2bが形成され、このボス2bの内周端部には、軸方向にさらに突出するインロー突起2cが形成されている。
クラッチ部3は、2枚の第1クラッチプレート25と1枚の第2クラッチプレート26とを有している。これらの両クラッチプレート25,26はともに環状に形成されており、軸方向に交互に配置されている。また、第1クラッチプレート25の外周部には外方に突出する複数の係合突起が形成されており、この係合突起がクラッチハウジング1の筒状部11の内周部に形成された凹部に噛み合っている。また、第1クラッチプレート25は、両面に摩擦フェーシングが貼付されている。第2クラッチプレート26は内周部にスプラインが形成されている。そしてこの内周部のスプラインが出力側回転体2の外周に形成されたスプライン15に噛み合っている。
プレッシャプレート4は、環状の部材であり、最も外側に配置された第1クラッチプレート25のさらに軸方向外側に配置されている。このプレッシャプレート4の内周部には、軸方向内側に突出してスプライン4aが形成されており、このスプライン4aが出力側回転体2の外周スプライン15に噛み合っている。また、プレッシャプレート4の軸方向外側の面の外周部には、軸方向に突出する環状の突出部4bが形成され、さらに、この環状突出部4bの内周側には、軸方向に突出する押圧用突起4cが形成されている。なお、環状突出部4bの方が押圧用突起4cより軸方向外側により突出している。
ダイヤフラムスプリング5は、環状のプレート部材であって、外周部に皿ばねとしての押圧部5aを有し、内周部に押圧部5aの押圧を解除するためのレバー部5bを有している。また、レバー部5bの内周端部には、軸方向外側に突出する当接部5cが形成されている。ダイヤフラムスプリング5は、その外周部がプレッシャプレート4の環状突出部4bの内周側に位置するように配置されて、センタリングされている。そして、ダイヤフラムスプリング5の押圧部5aは、外周部がプレッシャプレート4の押圧用突起4cに当接し、内周部が出力側回転体2の支持用突起2aと支持プレート19の支持用突起19aとに挟持されて支持されている。このようなダイヤフラムスプリング5が図1に示すようにセットされた状態では、皿ばねの付勢力によってプレッシャプレート4を所定の押圧力で軸方向内側に押圧している。したがって、クラッチ部3の第1及び第2クラッチプレート25,26は出力側回転体2の摩擦部18とプレッシャプレート4との間に挟持されている。
レリーズ部材6は、環状のプレート部材であり、内周部にレリーズベアリング30を保持している。すなわち、レリーズ部材6の内周部において、軸方向外側には軸受保持部6aが形成されており、この軸受保持部6aにレリーズベアリング30の外輪の軸方向内側の肩部が嵌合している。
リターンスプリング7は、ダイヤフラムスプリング5の押圧力よりも小さい荷重でプレッシャプレート4をクラッチ部3から離す側に付勢するために設けられている。このリターンスプリング7は、出力側回転体2とプレッシャプレート4との間に配置されている。より詳細には、プレッシャプレート4の内周端部には、さらに径方向内方に突出する複数の突出部4dが形成されており、この複数の突出部4dは出力側回転体2の円板状の壁と対向している。そして各突出部4dと出力側回転体2の対向する部分とには、それぞれ凹部4e,2eが形成されており、複数のリターンスプリング7のそれぞれはこれらの凹部4e,2eに両端が挿入されて支持されている。
次に動作について説明する。
R=P×(L1/L2)
L1:押圧部内周部の支持部から押圧部外周部の押圧点までの距離
L2:押圧部内周部の支持部からレバー部のレリーズ部材との当接部までの距離
となる。すなわち、レバー比(L1/L2)の分だけ、レリーズ荷重は軽減される。したがって、従来装置と同様のレリーズ荷重に設定する場合は、押圧部5aの押圧荷重をレバー比の分だけ大きくすることができ、クラッチの伝達容量を同じにする場合は、クラッチプレートの枚数を減らすことができる。したがって、クラッチ装置をコンパクトにすることができる。
(a)前記実施形態では、本発明をレリーズ方式がいわゆるプッシュタイプのクラッチ装置に適用したが、レリーズ部材を引き操作することによってクラッチオフとするいわゆるプルタイプのクラッチ装置にも同様に適用することができる。
2,51 出力側回転体
2e 支持用凹部
3 クラッチ部
4 プレッシャプレート
4e 支持用凹部
5 ダイヤフラムスプリング
5a 押圧部
5b レバー部
6 レリーズ部材
7 リターンスプリング
30 レリーズベアリング
Claims (7)
- 入力側部材からの動力を出力側部材に伝達するとともに、レリーズ機構の作動により動力伝達を遮断するモータサイクル用クラッチ装置であって、
前記入力側部材及び出力側部材の一方に連結されたクラッチハウジングと、
前記クラッチハウジングの内周部に設けられ、前記入力側部材及び出力側部材の他方に連結された回転体と、
前記クラッチハウジングと前記回転体との間で動力の伝達及び遮断を行うための1枚以上のプレート部材を有するクラッチ部と、
前記クラッチ部のプレート部材を押圧するためのプレッシャプレートと、
前記プレッシャプレートを押圧する押圧部材と、
前記押圧部材の前記プレッシャプレートに対する押圧荷重を解除するためのレリーズ部材と、
前記回転体と前記プレッシャプレートとの間に配置され、前記押圧部材の押圧荷重より小さい荷重で前記プレッシャプレートを前記クラッチ部から離す側に付勢するリターン部材と、
を備えたモータサイクル用クラッチ装置。 - 前記押圧部材は、前記押圧部を外周部に有するとともに、前記レリーズ機構の作動力を所定のレバー比で増幅して前記押圧部による押圧力を解除するためのレバー部を内周部に有するダイヤフラムスプリングである、請求項1記載のモータサイクル用クラッチ装置。
- 前記ダイヤフラムスプリングは、
前記押圧部の外周部が前記プレッシャプレートを押圧し、前記押圧部の内周部が前記回転体に支持され、
前記レバー部の内周部が、前記レリーズ機構によって前記プレッシャプレート側に移動させられる、
請求項2に記載のモータサイクル用クラッチ装置。 - 前記プレッシャプレートは環状に形成されるとともに内周部に径方向内方に突出しかつ前記回転体に対向するように設けられた複数の突出部を有し、
前記リターン部材は前記複数の突出部と前記回転体とに形成された支持用凹部に支持されている、
請求項1から3のいずれかに記載のモータサイクル用クラッチ装置。 - 前記回転体は外周部に前記プレッシャプレートと対向する摩擦部を有し、
前記クラッチ部は、前記クラッチハウジングに係合する第1クラッチプレートと前記回転体に係合する第2クラッチプレートとを有し、前記第1及び第2クラッチプレートは前記回転体の摩擦部と前記プレッシャプレートとの間に挟持される、
請求項1から4のいずれかに記載のモータサイクル用クラッチ装置。 - 前記リターン部材は圧縮方向に弾性変更可能な弾性部材である、請求項1から5のいずれかに記載のモータサイクル用クラッチ装置。
- 前記リターン部材は圧縮コイルスプリングである、請求項6に記載のモータサイクル用クラッチ装置。
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