JP2009523591A - 創傷被覆材 - Google Patents

Abstract

【解決手段】 本発明は、創傷被覆材（創傷ドレッシング材）（１０）に関する。当該創傷被覆材は、ビスコース繊維とポリエステル繊維との不織布でできた第１の吸収層および第２の吸収層（１２、１４）を含む。各吸収層は、機能的に内側の面（２０、２６）および機能的に外面（１８、２２）を有する。前記第１の吸収層および前記第２の吸収層は、各々の機能的に内側の面が互いに向かい合う関係で結合して合わさることにより１つのパッドを形成する。前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の結合はニードルパンチ処理によりもたらされ、このニードルパンチ処理におけるニードルパンチ密度は４００回／ｃｍ^２を超えない。前記創傷被覆材は、さらに、第１の吸収層と第２の吸収層に挟持され結合された第３の層（１６）を含む。この第３の層は、綿ガーゼの形態である。本発明は、創傷被覆材を作製する方法および創傷を治療する方法にも拡張される。
【選択図】 図２

Description

本発明は、創傷被覆材（創傷ドレッシング材）に関する。また本発明は、創傷被覆材を作製する方法および創傷を治療する方法にも関する。

本発明の一態様によれば、第１の吸収層および第２の吸収層を含む創傷被覆材（創傷ドレッシング材）創傷被覆材が提供され、その場合、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の各々は、ビスコース繊維とポリエステル繊維との不織布であり、各前記吸収層は、機能的に内側の面と機能的に外側の面とを有し、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層は、各々の機能的に内側の面が互いに向かい合う関係で、ともにパッドを形成するよう１つに結合され、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の結合はニードルパンチ処理によりもたらされ、このニードルパンチ処理におけるニードルパンチ密度は４００回／ｃｍ^２を超えない。

前記第１の吸収層および前記第２の吸収層は、どちらもニードルパンチを施した繊維バット（ｂａｔｔ）繊維マットの形態であってよい。

前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の各々は、６０〜８０体積％のビスコース繊維と２０〜４０体積％のポリエステル繊維とを有する。より具体的には、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の各々は、約７０体積％のビスコース繊維と約３０体積％のポリエステル繊維とを有する。

前記ニードルパンチ処理のニードルパンチ密度は、３００〜３５０回／ｃｍ^２（すなわち、３００００００〜３５０００００回／ｍ^２）にできる。

前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の前記ビスコース繊維およびポリエステル繊維は、２〜２．５デニールの繊度を有するようにできる。前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の前記ビスコース繊維および前記ポリエステル繊維は、４．５〜５．５ｃｍ、例えば約５ｃｍ（約０．０５ｍ）の長さを有するようにできる。前記ビスコース繊維および前記ポリエステル繊維は、多孔質繊維であってよい。

前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４の各々は、単位面積あたりの重量を２８０〜３２０ｇ／ｍ^２、例えば３００ｇ／ｍ^２（すなわち０．３ｋｇ／ｍ^２）にできる。

当該創傷被覆材には、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層に挟持され結合された第３の層を含めてもよく、これにより前記第１の吸収層と、前記第２の吸収層と、当該第３の層とが３層からなる積層パッドをともに形成するようにでき、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層への当該第３の層の結合は、前記第１の吸収層と前記第２の吸収層との間の結合をもたらす前記ニードルパンチ処理によりもたらされる。

前記第３の層は、綿繊維または綿糸で作製してよい。そのため、この第３の層は吸収性も備える。この第３の層は、綿ガーゼの形態であってよい。この第３の層の繊維密度または糸密度は、約１１５〜１２５本／インチ^２、例えば１２０本／インチ^２にできる。当該第３の層は、３５〜４５番手、例えば４０番手であってよい。この第３の層は、単位面積あたりの重量を５５〜６５ｇ／ｍ^２、例えば６０ｇ／ｍ^２（すなわち０．０６ｋｇ／ｍ^２）にできる。

当該創傷被覆材は、単位面積あたりの重量を６１５〜７０５ｇ／ｍ^２、例えば６６０ｇ／ｍ^２にすることができる。当該創傷被覆材は、厚さが３．５ｍｍを超えないようにでき、例えば約２．８〜３ｍｍ（すなわち約０．０２８〜０．０３ｍ）の厚さを有するようにできる。

前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の少なくとも一方の前記機能的に外側の面に熱処理を施すことにより、当該機能的に外側の面に実質的に滑らかな表面をもたらすことができる。前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の双方の前記機能的に外側の面に前記熱処理工程を施すことにより、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の双方の前記機能的に外側の面、したがって当該被覆材の外側の面（外面）が、前記実質的に滑らかな表面を有するようにできる。このため、当該創傷被覆材は、その機能的に外側の面のどちらが創傷へ向かうよう若しくはそれに接触するよう使用してもよい。

本発明の別の態様によれば、創傷被覆材を作製する方法が提供され、この方法は、
ニードル織機により、ビスコース繊維とポリエステル繊維とでできた２つのニードルパンチ繊維バット（ｂａｔｔ）作製する工程であって、各バットは機能的に内側の面と機能的に外側の面とを有するものである、前記作製する工程と、
前記２つの繊維バットを、それらの機能的に内側の面が互いに向かい合う関係で配置する工程と、
ニードルパンチ処理により前記２つの繊維バットを１つに結合する工程であって、前記ニードルパンチ処理において、そのニードルパンチ密度は、前記２つの繊維バットがともにパッドを形成するよう４００回／ｃｍ^２を超えないものである、前記結合する工程と
を含む。

前記２つの繊維バットの各々は、６０〜８０％のビスコース繊維および２０〜４０％のポリエステル繊維で作製できる。特に、前記２つの繊維バットの各々は、約７０％のビスコース繊維と約３０％のポリエステル繊維とで作製できる。

前記２つの繊維バットを１つに結合する前記ニードルパンチ処理のニードルパンチ密度は、３００〜３５０回／ｃｍ^２にできる。

前記２つの繊維バットの原材料となる繊維は、２〜２．５デニールの繊度を有するよう作製できる。前記２つの繊維バットの原材料となる繊維は、４．５〜５．５ｃｍ、例えば約５ｃｍの長さを有するよう作製できる。前記２つの繊維バットの原材料となる前記ビスコース繊維および前記ポリエステル繊維は、多孔質繊維であってよい。前記２つの繊維バットの各々は、単位面積あたりの重量が２８０〜３２０ｇ／ｍ^２、例えば約３００ｇ／ｍ^２になるよう作製できる。

前記方法には、前記２つの繊維バットを１つに結合する前に前記２つの繊維バット間に綿ガーゼ層を挟持する工程を含めることができ、これにより前記２つの繊維バットとその間に挟持された前記綿ガーゼ層とが結合され、３層からなる積層パッドが形成される。

前記綿ガーゼ層は、綿繊維または綿糸で作製でき、当該綿ガーゼ層の繊維密度または糸密度は約１１５〜１２５本／インチ^２にできる。前記綿ガーゼ層は、３５〜４５番手、例えば４０番手であってよい。当該綿ガーゼ層は、単位面積あたりの重量を５５〜６５ｇ／ｍ^２、例えば６０ｇ／ｍ^２にすることができる。

前記３層からなる積層パッドは、単位面積あたりの重量が６１５〜７０５ｇ／ｍ^２、例えば約６６０ｇ／ｍ^２になるよう作製できる。

この積層パッドは、厚さが３．５ｍｍを超えないように作製でき、例えば約２．８〜３ｍｍの厚さを有するよう作製できる。

前記方法には、前記２つの繊維バットの少なくとも一方の前記機能的に外側の面を熱処理する工程を含めることもでき、これにより前記機能的に外側の面に実質的に滑らかな表面がもたらされる。この方法には、双方の前記繊維バットの前記機能的に外側の面を熱処理する工程を有利に含めることができ、これにより双方の前記機能的に外側の面、したがって当該積層パッドの外側の面（外面）は、前記実質的に滑らかな表面を有する。

本発明のさらに別の態様によれば、創傷を治療する方法が提供され、この方法は上記の創傷被覆材を使用して創傷を覆う（ドレッシングする）工程を含む。

本発明のさらに別の態様によれば、創傷を治療する方法が提供され、この方法は上述した方法に従って作製した創傷被覆材を使用して創傷を覆う（ドレッシングする）工程を含む。

以下、非限定的な実施例により添付の図式的な図面を参照して本発明を説明する。

図１および図２を参照すると、本発明に係る創傷被覆材（創傷ドレッシング材）は、全体として参照番号１０で示されている。明瞭性のため、図２ではこの創傷被覆材１０の厚さが誇張されている。この創傷被覆材１０は、矩形の積層パッドの形態であり、第１の吸収層１２および第２の吸収層１４と、これら第１の吸収層１２および第２の吸収層１４に挟持されて結合された第３の層１６とを有する。これら３層１２、１４、１６は、本明細書で以下さらに詳しく説明するとおり、ニードルパンチ処理で１つに結合される。

前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４は、それぞれ不織布であり、約７０体積％のビスコース繊維と、約３０体積％のポリエステル繊維とを有する。これらのビスコース繊維およびポリエステル繊維は多孔質繊維で、長さ約５．０８ｃｍ（２インチ）、繊度２〜２．５デニールである。さらに、前記前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４は、それぞれ単位面積あたりの重量が約３００ｇ／ｍ^２である。

前記第３の層１６は、綿１００％の繊維または糸から作られた綿ガーゼの形態をしており、当該第３の層１６の繊維または糸の密度は約１２０本／インチ^２である。この第３の層１６は、４０番手で、単位面積あたりの重量は約６０ｇ／ｍ^２である。

これにより、当該創傷被覆材１０は、単位面積あたりの総重量が約６６０ｇ／ｍ^２で、厚さは合計約２．８〜３ｍｍとなる。

特に、前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４の各々は、繊維バット（ｂａｔｔ）または繊維マットの形態である。前記第１の吸収層１２は、機能的に外側の面１８および機能的に内側の面２０を有し、前記第２の吸収層１４は、機能的に外側の面２２および機能的に内側の面２４を有する。前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４は、それらの機能的に内側の面２０、２４が互いに向かい合う関係で前記第３の層１６に接触するよう配向される。これら３層１２、１４、１６は、３層からなる積層パッドまたは積層体をともに形成する。

上記のとおり、前記第１の吸収層１２、前記第２の吸収層１４、および前記第３の層１６は、ニードルパンチ処理により１つに結合され、前記層１２、１４、１６のこのような結合をもたらす前記ニードルパンチ処理のニードルパンチ密度は、約３００〜３５０パンチ／ｃｍ^２である。さらに、前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４の前記機能的に外側の層１８、２２には熱処理が施されているため、本明細書で以下、当該創傷被覆材１０の生産について詳述する際より明確に理解されるように、当該創傷被覆材１０の外面は、実質的に滑らかで非接着性（べたつかない）ものとなる。

別の実施形態（図示せず）では前記第３の層１６を省略することができ、その場合、前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４は、前記機能的に内側の面２０、２４が互いに接触するよう１つに結合される。

図３は、本発明に係る創傷被覆材を作製する方法に使用される工程のフローチャートを示したものである。この図においてブロック３０は混合工程を表し、この工程で、前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４の各々の原材料である７０％のビスコース繊維および３０％のポリエステル繊維が混合される。混合された繊維は、次に概念上の流れ線３２に沿ってブロック３４で表されたサイズ縮小工程へ移動し、この工程で混合繊維のタフト（塊）が小さくされる。このサイズ縮小後、前記繊維タフトは流れ線３６に沿って梳綿工程（ブロック３８）へ移動し、この工程で繊維はコーミング（櫛通し）され、もつれが取り除かれて、程度の差はあるが平行な繊維を有した繊維状の織布となる。梳綿後、前記繊維状の織布は、流れ線４０に沿ってクロスラッピング工程（ブロック４２）へ移動する。このクロスラッピング工程で、前記繊維ウェブは、積層化により形作られ望ましい仕上げ不織重量になる。クロスラッピング後、前記繊維ウェブは、流れ線４４に沿ってニードル織機へ移動し、ニードルパンチが行われて前記ウェブの繊維が結合される。

この例において、前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４の原材料となる前記繊維ウェブは、ブロック４６、５０、５４、および５８で表された種々のニードルパンチ処理を経る。このように、前記繊維ウェブは、４つのニードルボードを通過する。この例では、ニードルパンチ用に使用される前記ニードル織機は、フェルト製造機であり、前記繊維ウェブを一度入れるだけで済むよう４つのニードルボードを有している。流れ線４８、５２、および５６は、前記ニードルパンチ処理４６から前記ニードルパンチ処理５０へ、前記ニードルパンチ処理５０から前記ニードルパンチ処理５４へ、および前記ニードルパンチ処理５４から前記ニードルパンチ処理５８への前記繊維ウェブの移動をそれぞれ概念的に表している。

前記ニードル織機の各ニードルボードは、幅０．２５ｍ、長さ１ｍで、４，０００本のニードル（針部材）が取り付けられている。したがって、各ニードルボードは、１６，０００ニードル／リニアメートルを有する。各前記ニードルは直径０．５８ｍｍで、テーパーのかかった先端または円錐形の先端と、９つの係止爪を有する。前記繊維ウェブは、前記ニードル織機により送り速度３ｍ／分で供給され、各ニードルボードのパンチ（突き刺し）頻度は８００〜１，０００回／分である。パンチ密度は、各前記ニードルパンチ処理中４６、５０、５４、５８、前記パンチ頻度に応じて３００〜４２７回／ｃｍ^２である。前記ニードルパンチ処理４６、５０、５４、５８を施した前記繊維ウェブは、約１，２００〜１，７０７回／ｃｍ^２のニードルパンチ総密度で処理した繊維バットまたは繊維マットとなる。

前記第１のニードルパンチ処理４６中、前記ニードルが前記繊維ウェブに進入する深さは約５．４ｍｍで、前記第２のニードルパンチ処理５０中、前記ニードルが前記繊維ウェブに進入する深さは約４．６ｍｍで、前記第３のニードルパンチ処理５４中、前記ニードルが前記繊維ウェブに進入する深さは約４．３ｍｍで、前記第４の（最後の）ニードルパンチ処理５８中、前記ニードルが前記繊維ウェブに進入する深さは約３．２ｍｍである。

上述したとおり、前記繊維ウェブに上記のニードルパンチ処理を施すと、繊維バットまたは繊維マットが形成される。次いで前記繊維バットは、必要に応じ、流れ線６０に沿って化学処理工程（ブロック６２）へ移動され、化学的に処理される。前記バットの前記化学処理後、前記第１の吸収層１２の前記機能的に外側の面１８と、前記第２の吸収層１４の前記機能的に外側の面２２とのうちどちらか１つを形成するよう意図された前記繊維バットの主要な１面に熱処理が施され、滑らかで比較的毛羽立ちの少ない非接着性の外面が前記繊維マットにもたらされる。前記化学処理工程６２から前記熱処理工程への前記繊維ウェブの移動は流れ線６４で示しており、前記熱処理工程はブロック６６で表している。現在の例のように、前記繊維バットの化学処理が不要な場合、前記繊維バットは、前記ニードルパンチ処理５８から前記熱処理工程６６へ直接移動する。上記の熱処理に次いで前記繊維バットは、流れ線６８に沿って巻き取りおよび切断工程（ブロック７０）へ移動し、必要な幅に切断されてローラーに巻き取られる。

前記第３の綿ガーゼ層１６は、従来のガーゼ生産工程により作製されるため、その作製についての説明は省く。

ここで再び図３のフローチャートを参照すると、流れ線７２は、作製された繊維バットの２つのロールの積層化工程（ブロック７４）への移動を表しており、この工程で綿ガーゼ１６の層は、上記の繊維バットの形態である前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４に挟持される。特に、前記繊維バットまたは吸収層１２、１４は、滑らかにされた面すなわち熱処理を経た面が機能的に外側になるよう配向される。前記３つの層１２、１４、１６の積層後、これらの層は、流れ線７６に沿ってニードル織機へ移動し、結合用ニードルパンチ処理または処理（ブロック７８）を施される。この結合用ニードルパンチ処理または処理７８に使用される前記ニードル織機は、単一のニードルボードを有した織機である。このように、前記３つの層は、ブロック７８で表された前記ニードルパンチ処理により１つに結合される。この結合用ニードルパンチ処理７８中に使用される前記ニードルボードに装着されたニードルの送り速度、タイプ、および数と、当該ニードルボードの寸法とは、前記ニードルパンチ処理４６、５０、５４、５８中に使用されるものと同じである。この結合用ニードルパンチ処理７８中、前記ニードルボードのパンチ頻度は、約３００〜３５０パンチ／ｃｍ^２の結合用パンチ密度が得られるよう調整される。前記結合用ニードルパンチ処理７８後、３層からなる積層パッド形態のシートが得られる。次いで、この積層パッドまたは積層シートは、流れ線８０に沿って切断工程（ブロック８２）へ移動し、前記創傷被覆材１０の所要サイズが得られるよう切断される。前記創傷被覆材１０は、所要サイズに切断された後、流れ線８４に沿って梱包ステーション８６へ移動して梱包され、通常、別個に気密パッケージに梱包される。梱包された前記創傷被覆材は、次に、流れ線に沿って滅菌工程（ブロック９０）へ移動し、従来の態様で滅菌される。

当然のことながら、本発明に従って創傷被覆材を作製する上記の工程は、そのすべてを同じ生産ラインで実施する必要はない。実際、これらの全工程を同じ場所または製造工場で実施する必要もない。

以上、当該方法は、前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４の作製に関する限り、４つのニードルボードを含んだニードル織機を参照して説明してきたが、単一のニードルボードを有するニードル織機も有益に応用することができ、その場合、前記繊維ウェブは当該ニードル織機内へ４回供給されることを理解すべきである。

上述した方法および原材料を使用すると、約２．８〜３ｍｍの厚さを有する創傷被覆材が得られる。

以上説明および例示した本発明は、特に、ヒトおよび動物双方の熱傷創、感染創、外科創、糖尿病足創、外部癌創、菌状発育性創傷（ｆｕｎｇａｔｉｎｇ ｗｏｕｎｄｓ）、ＨＩＶに伴う創傷、褥創、下腿潰瘍、ハンセン病に伴う創傷、切断創、慢性創傷、表在性創傷を含めた広範囲の創傷を被覆（ドレッシング）するため使用できる創傷被覆材（創傷ドレッシング材）を提供する。本発明に係る創傷被覆材の使用は、外傷だけに限定されず、深い創傷または切り傷に挿入することもできる。さらに、本発明に係る創傷被覆材は、その特性に影響を及ぼすことなく望ましい任意のサイズまたは形状に切ることができる。

前記多孔質のビスコース繊維は、吸湿特性が高く通気性がある。一方、ポリエステル繊維は比較的強靭で高い耐摩耗性を有する。また、ポリエステル繊維は、熱処理後、滑らかまたは平坦にされた外形を保つ能力を有する。本創傷被覆材では、前記第１の吸収層１２および前記第２の吸収層１４にビスコース繊維およびポリエステル繊維を組み合わせることにより、これら外層１２、１４の各々は、通気性を有しながらひときわ優れた吸湿特性も有することにより、高い吸湿特性を備えた比較的強靭な創傷被覆材をもたらしている。さらに、多孔質ビスコース繊維の柔らかさにより、当該創傷被覆材１０は、比較的柔らかく、したがって本発明に係る創傷被覆材で創傷を被覆する患者の不快感を和らげる。

本発明に係る創傷被覆材は、その特有の構造および作製方法により創傷からの浸出液を吸収する能力を有するだけでなく、当該被覆材の構造がもたらす毛細管現象により、吸収された浸出液および細菌を創傷から遠ざけるよう方向付ける能力も有する。さらに、本発明に係る創傷被覆材は、前記毛細管現象により、不応性の創傷または死んだ創傷（ｕｎｒｅｓｐｏｎｓｉｖｅ ｏｒ ｄｅａｄ ｗｏｕｎｄｓ）と分類される水分または液が滲出しない創傷の回復を促進する能力を有する。さらに、当該創傷被覆材は、吸収された水分がそこから漏れず若しくは滴らないよう、吸収された浸出液を保つ能力を有する。

さらに、上記の熱処理工程により当該創傷被覆材１０の双方の外面を滑らかにしているため、当該被覆材には方向性がなく、すなわちどちらの面を創傷に接触させても使用することができる。当該創傷被覆材の外面は比較的非接着性であるため、本発明に係る被覆材は、創傷治療に使用する軟膏剤とともに快適に使用することができる。

本発明に係る２若しくはそれ以上の創傷被覆材は相互に重ねることができ、あるいは当該創傷被覆材１つだけと、若しくは１以上の当該創傷被覆材と重なり合うよう互いに接触した状態で、治療する創傷に直接接触させて配置することができる。いくつかの被覆材を同時に使用し、そのうちの１つだけが創傷に直接接触する場合、浸出液および細菌は、前記毛細管現象により、当該創傷に直接接触している創傷被覆材から、それに直接接触し若しくは１つまたは複数の中間被覆材を介して接触している１つまたは複数の他の創傷被覆材へ遊走する。

以上のとおり説明および図示した本発明は、良好な吸収特質を有するだけでなく、細菌も含めて吸収された浸出液を治療中の創傷から遠ざけるよう方向付ける役割も果たす創傷被覆材（創傷ドレッシング材）を提供するものであり、これにより当該創傷の治癒が速まることが理解されるであろう。

図面は、以下のとおりである。
図１は、本発明に係る創傷被覆材（創傷ドレッシング材）の正面立面図を概略的に示したものである。 図２は、本発明に係る創傷被覆材の、図１のＩＩ−ＩＩに沿った立断面を概略的に示した図である。 図３は、本発明に係る創傷被覆材を作製する方法の一部を形成する工程のフローチャートを概略的に示した図である。

Claims (34)

1. 第１の吸収層と第２の吸収層とを含む創傷被覆材（創傷ドレッシング材）であって、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の各々は、ビスコース繊維とポリエステル繊維との不織布であり、各前記吸収層は機能的に内側の面と機能的に外側の面とを有し、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層は、各々の機能的に内側の面が互いに向かい合う関係で結合して合わさることにより１つのパッドを形成し、前記第１の吸収層と前記第２の吸収層の結合はニードルパンチ処理によりもたらされ、このニードルパンチ処理におけるニードルパンチ密度は４００回／ｃｍ^２を超えないものである、創傷被覆材。
2. 請求項１記載の創傷被覆材において、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の各々は、６０〜８０％のビスコース繊維と２０〜４０％のポリエステル繊維とを有するものである。
3. 請求項２記載の創傷被覆材において、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の各々は、約７０％のビスコース繊維と約３０％のポリエステル繊維とを有するものである。
4. 請求項１〜３のいずれか一項に記載の創傷被覆材において、前記ニードルパンチ処理のニードルパンチ密度は、３００〜３５０回／ｃｍ^２である。
5. 請求項１〜４のいずれか一項に記載の創傷被覆材において、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の前記ビスコース繊維および前記ポリエステル繊維は、２〜２．５デニールの繊度を有するものである。
6. 請求項１〜５のいずれか一項に記載の創傷被覆材において、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の前記ビスコース繊維および前記ポリエステル繊維は、４．５〜５．５ｃｍの長さを有するものである。
7. 請求項１〜６のいずれか一項に記載の創傷被覆材において、前記ビスコース繊維および前記ポリエステル繊維は、多孔質繊維である。
8. 請求項１〜７のいずれか一項に記載の創傷被覆材において、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の各々は、単位面積あたりの重量が２８０〜３２０ｇ／ｍ^２である。
9. 請求項１〜８のいずれか一項に記載の創傷被覆材において、この創傷被覆材は、
   第３の層であって、前記第１の吸収層と前記第２の吸収層に挟持されこれらに結合することにより、前記２つの吸収層と当該第３の層が合わさり３層からなる積層パッドを形成するものであり、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層への当該第３の層の結合は、前記第１の吸収層と前記第２の吸収層との間の結合をもたらす前記ニードルパンチ処理によりもたらされるものである、前記第３の層を含むものである。
10. 請求項９記載の創傷被覆材において、前記第３の層は、綿繊維または綿糸で作製されるものである。
11. 請求項１０記載の創傷被覆材において、前記第３の層は、綿ガーゼの形態をしているものである。
12. 請求項１０または請求項１１に記載の創傷被覆材において、前記第３の層の繊維密度または糸密度は、約１１５〜１２５本／インチ^２である。
13. 請求項１０または請求項１１に記載の創傷被覆材において、前記第３の層の番手数は、３５〜４５番手である。
14. 請求項９〜１３を含むいずれか一項に記載の創傷被覆材において、前記第３の層の単位面積あたりの重量は、５５〜６５ｇ／ｍ^２である。
15. 請求項１４記載の創傷被覆材において、この創傷被覆材は、
    単位面積あたりの重量が６１５〜７０５ｇ／ｍ^２である。
16. 請求項１〜１５のいずれか一項に記載の創傷被覆材において、この創傷被覆材は、
    厚さが３．５ｍｍを超えないものである。
17. 請求項１〜１６のいずれか一項に記載の創傷被覆材において、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の少なくとも一方の前記機能的に外側の面には熱処理が施されることにより、前記機能的に外側の面に実質的に滑らかな表面がもたらされるものである。
18. 請求項１７記載の創傷被覆材において、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層は、その双方の前記機能的に外側の面に前記熱処理工程が施されているため、前記第１の吸収層および前記第２の吸収層の双方の前記機能的に外側の面である前記被覆材の外側の面（外面）は、前記実質的に滑らかな表面を有するものである。
19. 創傷被覆材を作製する方法であって、
    ニードル織機により、ビスコース繊維とポリエステル繊維とでできた２つのニードルパンチ繊維バット（ｂａｔｔ）を作製する工程であって、各バットは機能的に内側の面と機能的に外側の面とを有するものである、前記作製する工程と、
    前記２つの繊維バットを、それらの機能的に内側の面が互いに向かい合う関係で配置する工程と、
    ニードルパンチ密度が４００回／ｃｍ^２を超えないニードルパンチ処理により、前記２つの繊維バットを１つに結合する工程であって、これにより前記２つの繊維バットが合わさり１つのパッドを形成するものである、前記結合する工程と
    を含む方法。
20. 請求項１９記載の方法において、前記２つの繊維バットの各々は、６０〜８０％のビスコース繊維と２０〜４０％のポリエステル繊維とで作製されるものである。
21. 請求項２０記載の方法において、前記２つの繊維バットの各々は、約７０％のビスコース繊維と約３０％のポリエステル繊維とで作製されるものである。
22. 請求項１９〜２１を含むいずれか一項に記載の創傷被覆材において、前記２つの繊維バットを１つに結合する前記ニードルパンチ処理のニードルパンチ密度は、３００〜３５０回／ｃｍ^２である。
23. 請求項１９〜２２を含むいずれか一項に記載の方法において、前記２つの繊維バットの原材料となる繊維は、２〜２．５デニールの繊度を有するものである。
24. 請求項１９〜２３のいずれか一項に記載の方法において、前記２つの繊維バットの原材料となる繊維は、４．５〜５．５ｃｍの長さを有するものである。
25. 請求項１９〜２４を含むいずれか一項に記載の方法において、前記２つの繊維バットの原材料となる前記ビスコース繊維および前記ポリエステル繊維は、多孔質繊維である。
26. 請求項１９〜２５を含むいずれか一項に記載の方法において、前記２つの繊維バットの各々は、単位面積あたりの重量が２８０〜３２０ｇ／ｍ^２になるように作製されるものである。
27. 請求項１９〜２６を含むいずれか一項に記載の方法において、この方法は、
    前記２つの繊維バットを結合する前に、前記２つの繊維バット間に綿ガーゼ層を挟持する工程であって、これにより前記２つの繊維バットとその間に挟持された前記綿ガーゼ層とが結合されて３層からなる積層パッドを形成するものである、前記挟持する工程を含むものである。
28. 請求項２７記載の方法において、前記綿ガーゼ層は、綿繊維または綿糸で作製され、当該綿ガーゼ層の繊維密度または糸密度は約１１５〜１２５本／インチ^２である。
29. 請求項２７または請求項２８に記載の方法において、前記綿ガーゼ層の番手数は、３５〜４５番手である。
30. 請求項２７〜２９を含むいずれか一項に記載の方法において、前記綿ガーゼ層の単位面積あたりの重量は５５〜６５ｇ／ｍ^２である。
31. 請求項３０記載の方法において、前記３層からなる積層パッドは、単位面積あたりの重量が６１５〜７０５ｇ／ｍ^２になるよう作製されるものである。
32. 請求項１９〜３１を含むいずれか一項に記載の方法において、前記積層パッドは、厚さが３．５ｍｍを超えないよう作製されるものである。
33. 請求項１９〜３２を含むいずれか一項に記載の方法において、この方法は、
    前記２つの繊維バットの少なくとも一方の前記機能的に外側の面を熱処理することにより、前記機能的に外側の面に実質的に滑らかな表面をもたらすものである、前記熱処理する工程を含むものである。
34. 請求項３３記載の方法において、この方法は、
    双方の前記繊維バットの前記機能的に外側の面を熱処理することにより、双方の前記機能的に外側の面である前記積層パッドの外側の面（外面）が、前記実質的に滑らかな表面を有するようにする、前記熱処理する工程を含むものである。

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