JP2009523563A - 眼を光コヒーレンス断層撮影によって検査する方法 - Google Patents

眼を光コヒーレンス断層撮影によって検査する方法 Download PDF

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Abstract

OCT画像スキャンを実行する方法が提供される。他の画像を撮影し、そしてテンプレートを形成してOCT画像を、例えば眼の動き、血管の走行、及び中心のずれに関して補正する。或る実施形態では、ビデオ画像をOCT画像と同時に撮影し、そして利用してOCT画像を補正する。或る実施形態では、テンプレート画像をOCT画像を取得する前に形成し、そしてテンプレートOCT画像をテンプレートとして利用し、このテンプレートに基づいて、OCT画像の全てを補正する。
【選択図】図10

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2006年1月19日出願のJay Wei,Ben Jang,及びDavid Huangによる米国仮特許出願第60/760,046号、及び2006年3月17日出願のJay Wei,Ben Jang,David Huang,及びYonghua Zhaoによる米国仮特許出願第60/782,888号の優先権を主張するものであり、上記仮特許出願の各々は、本明細書において参照することにより当該仮特許出願の内容全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、眼の検査を光コヒーレンス断層撮影(optical coherenc tomography:OCT)を利用して行なう方法に関する。
眼底カメラ撮影及び間接的検眼鏡による撮影のような従来の光学画像測定による網膜撮影は、網膜構造の変化を分析するために臨床上、日常的に利用されている。網膜撮影を日常的に行なうことにより、臨床医が緑内障を含む多数の眼疾患を診断するための貴重な情報が得られる。眼疾患を抱える患者の視神経乳頭組織構造の変化を分析する必要がある場合、立体網膜画像が3次元視神経乳頭構造の体積の変化を検出するために必要になる。しかしながら、今日、経験豊富な臨床医は眼構造の変化についての定性的な解釈を網膜写真に基づいて行なっているに過ぎない。
幾つかの撮影方法を利用して、視神経乳頭の3次元構造が定量的に測定されている。カリフォルニア州サクラメント市に本拠を置くOphthalmic Imaging Systemsが製造する画像解析装置Glaucoma Scopeは、計算によってラスタデータから立体視した画像を生成する技術(technique of computed raster stereography)を使用している。画像解析装置Glaucoma Scopeは、一連の等幅間隔の平行な直線状の光ビームを視神経乳頭に斜めから投影する。視線の変位量を測定することにより、視神経乳頭の構造を求めることができる。視神経乳頭の構造断面図に基づいて、乳頭の面積(disk area)、乳頭陥凹の面積(cup area),乳頭辺縁部面積(disk rim area),及び乳頭縁の網膜神経線維層(retinal nerve fiber layer:RNFL)の厚みのような多くの臨床学的に重要な体積パラメータを求めることができる。
ドイツに本拠を置くHeidelberg Engineeringが製造するHeidelberg Retinal Tomography(HRT)装置は、走査レーザ検眼鏡(Laser Scanning Ophthalmoscope)SLOを利用している。走査レーザ検眼鏡SLOの走査ビームの集光面を移動させることにより、視神経乳頭の構造を測定することができる。しかしながら、網膜表層の下に位置する脈絡膜層のような組織は、走査レーザ検眼鏡SLOを用いる方法では観察することができない。その結果、視神経線維層の構造は、人工的な基準面を利用して間接的に測定される。これらの最先端技術を用いても、視神経線維層を十分にマッピングする能力には限界がある。更に、網膜神経線維層の内部にも位置する乳頭縁の形状を、SLO(走査レーザ検眼鏡)画像によって正確に求めるのは困難である。視神経乳頭の変化を捉える精度には限界がある。
カリフォルニア州サンディエゴ市に本拠を置くLaser Diagnosis Technologyが製造する緑内障診断装置GDxは、RNFL(網膜神経線維層)の厚みをマッピングする別の方法である。GDxによる検査では、偏光分析法を利用する。RNFL(網膜神経線維)組織は光学的複屈折性を示し、そして検査光ビームがRNFLを通過すると光の偏光回転を起こすように作用する。RNFL(網膜神経線維層)の厚みは、光ビームを網膜に照射してスキャンするときの偏光回転の大きさを測定することにより間接的に測定される。RNFL(網膜神経線維層)の厚みマップは、レーザビームを視神経乳頭領域に照射してスキャンすることにより得られる。緑内障診断装置GDxによる診断には不具合も伴なう。角膜組織も光学的複屈折性を示し、これによって更に偏光回転が大きくなる。角膜によって起こる偏光回転の大きさは、角膜の厚み、及び光ビームの入射角によって変わる。RNFLの厚みの正確さは、測定対象の個々の被験者によって大きく変わる。
光コヒーレンス断層撮影(OCT)は新規の画像モダリティであり、この画像モダリティは、非侵襲的手法により人間の眼の網膜の視細胞像を撮影するために用いられてきた。ビームを網膜に照射してスキャンしながら網膜断面像を撮影することにより、臨床医は網膜神経線維層及び網膜の厚みを定量的に分析することができる。放射状ラインスキャンパターンを構成することにより、3次元的な視神経乳頭の構造を求めることができる。カリフォルニア州ダブリン市に本拠を置くCarl Zeiss Meditecが製造するOCT(光コヒーレンス断層撮影)システムは、例えば6本の放射状ライン光を視神経乳頭に照射してスキャンする。乳頭の面積(disk area)、乳頭陥凹の面積(cup area)、及び乳頭辺縁部面積(disk rim area)のような体積パラメータは、これらの放射状ライン光による画像から求めることができる。従来、RNFL(網膜神経線維層)の厚みは、乳頭の中心を中心とする3.45mmの直径の円形スキャンによって測定される。OCT(光コヒーレンス断層撮影)は、OCTが組織の厚みの直接測定を可能にし、かつ他の眼組織の状態によって大きく左右されることがないので、これまでの方法よりも優れている。しかしながら、サンプリング密度が他の撮影方法よりも低く、そして測定結果にアーチファクトが、スキャン速度が遅いことにより混入する。また、乳頭の周りの円形スキャンによって得られるRNFL(網膜神経線維層)の厚みは多くの場合、スキャンの中心が、不正確な目視位置合わせ、及び眼の動きによってずれるために、高信頼度に計測されない。網膜視神経乳頭の体積パラメータ、及び視神経乳頭領域の周りのRNFL(網膜神経線維層)の厚みの完全なマッピングは普通、スキャン中に眼が動くので得ることができない。
OCTイメージングによる視神経乳頭の完全なマッピングは、眼が全く動くことがなく固定され、かつOCTスキャンビームの輪郭が不明瞭にならないことにより、重要な視神経乳頭組織を全て、OCT画像の中で観察することができる場合にしか可能にならない。しかしながら、これらの前提はいずれも、ヒト被験者においては成り立たない。
スキャンビームを網膜で追いかけて眼の動きによる影響を無くそうとする幾つかの試みが為されている。Dan Ferguson氏(マサチューセッツ州アンドーバー市に本拠を置くPhysical Science Incの)は、アクティブフィードバックを用い、網膜上のスキャンビームを反射率測定の原理を利用してトラッキングしている。この方法は、リアルタイムトラッキング機能を実現し、そして視神経乳頭を完全にスキャンする可能性を実現する。しかしながら、このトラッキング方法を実行するためにOCT(光コヒーレンス断層撮影)スキャナに追加する必要がある更に別の走査型共焦点レーザのハードウェアは複雑であり、かつ高価である。更に、患者の眼が瞬きしている間に、トラッキング信号が見失なわれ、そしてトラッキング信号を前のスキャンシーケンスから捕捉し直すことができない恐れがある。
眼の動きによる影響を無くす別の方法が、Dara Koozekanani氏(オハイオ州コロンバス市のオハイオ州立大学の)によって提案されている。この方法では、スキャンビームの反射信号、及びビデオ画像の組み合わせを使用して網膜の位置を把握する。しかしながら、この方法を使用して臨床的に重要な視神経乳頭パラメータをマッピングする操作に関しては明らかにされていない。ラスタラインOCTスキャンを使用して3次元データセットを取得し、網膜神経線維層の厚みをマッピングする方法がMujatらによってOptical Expressに発表されている。しかしながら、全ての視神経乳頭形態パラメータを導出するための基準として重要となる視神経乳頭の境界の輪郭(nerve head boundary contour)をどのようにマッピングするかについての記載がどこにも無い。
全ての視神経乳頭の体積パラメータを、視神経乳頭の周りのRNFL(網膜神経線維層)の厚みを完全にマッピングしながら直接測定する必要がある。更に、視神経乳頭形態に対応し、かつ緑内障のような疾患を診断する臨床医が切実に求めている全ての臨床的に重要な情報を取得し、そして表示する必要がある。
本発明の実施形態によれば、スキャンパターンで撮影されるOCT(光コヒーレンス断層撮影)画像は一つ以上の画像を利用して補正される。従って、本発明の或る実施形態による眼を検査する方法では、スキャンパターンに対応するOCT画像を取得し、スキャンパターンは視神経乳頭領域をほぼ覆い;乳頭の境界ポイントをOCT画像から導出し;乳頭の境界ポイントを、一つ以上のテンプレート画像から導出した乳頭の境界と一致させ;乳頭の境界ポイントを補正し;そして少なくとも一つの視神経乳頭の形態的特徴を求める。
或る実施形態では、スキャンパターンは複数の同心円、及び複数の放射状ラインを含む。或る実施形態では、乳頭の境界ポイントを補正する操作では血管領域の補正を行なう。或る実施形態では、乳頭の境界ポイントを補正する操作では乳頭中心を求める。或る実施形態では、少なくとも一つの視神経乳頭の形態的特徴を求める操作では、網膜神経線維層の厚みを、乳頭中心を中心とする円の中で求める。或る実施形態では、一つ以上のテンプレート画像は、OCT画像と同時に撮影されるビデオ画像である。或る実施形態では、乳頭の境界ポイントを補正する操作では、眼の動きに関する補正を行なう。或る実施形態では、一つ以上のテンプレート画像は、ラスタスキャンパターンで撮影されるテンプレートOCT画像である。或る実施形態では、視神経乳頭の境界をテンプレートOCT画像の中に求める。
本発明のこれらの実施形態、及び他の実施形態について、次の図を参照しながら以下に更に議論する。これまでの概要説明及び以下の詳細説明はともに一例として捉えられ、かつ例示に過ぎず、請求する本発明を制限するものではないことを理解されたい。更に、特定の説明、または堆積プロセス中の所定の層の堆積または特性に関する理論、またはこれらの層を組み込んだデバイスの特性における理論は、説明のためにのみ提示され、そして本開示または請求項の技術範囲に関して制限的に捉えられるべきではない。
これらの図では、同じ指示記号が付された構成要素は同じ、または同様の機能を有する。
本発明の実施形態は、眼の組織構造を分析して眼疾患を診断するために利用することができる。或る実施形態では、光コヒーレンス断層撮影(optical coherence tomography:OCT)画像、眼底画像、及び両方の撮画手段(image modalities)に関連するアルゴリズムを利用して、眼の組織構造を正確に表現する。本発明の或る実施形態では、眼の動きによって生じるアーチファクトがほとんどない、または網膜血管の光吸収によって生じる画像歪みがほとんどない眼の組織構造の画像が提供される。ここに開示する眼を検査する方法は、視神経乳頭の病変、例えば緑内障の診断に利用することができる。
上に議論したように、網膜病変の診断は、視神経乳頭領域の正確かつ完全な撮影に依存する。視神経乳頭領域の画像を図1A,1B,2A,2B,及び3に示す。図1A及び1Bは、HRT(視神経乳頭形状解析装置)によって取得され、図2A及び2Bは、緑内障診断装置GDxによって取得され、そして図3は、光コヒーレンス断層撮影(OCT)法によって取得された。これらの画像の各画像は、視神経乳頭を特徴付ける異なる形態を示している。
図1A及び1Bは、乳頭輪郭111、及び乳頭陥凹112によって特徴付けられる視神経乳頭の画像110を示している。図1A及び1Bに示す乳頭及び乳頭陥凹の形状は、HRT(Heiderberg Retinal Tomography:ドイツのハイデルベルグエンジニアリング社製の視神経乳頭形状解析装置)と表記される共焦点レーザ走査型断層画像測定装置により得られる。上に議論したように、HRT(視神経乳頭形状解析)検査では、走査型レーザ検眼鏡(Laser Scanning Opthalmoscope:SLO)の焦点面を視神経乳頭の上で動かしてスキャンする。
図1Bに示す乳頭輪郭102は、オペレータによって共焦点網膜画像101の上に描かれる。乳頭陥凹112の形状は、基準平面、及び当該平面での乳頭輪郭によって生成される。図1Aの画像110に示される辺縁部領域113は、乳頭輪郭111(網膜画像101上の輪郭102として描かれる)と、乳頭陥凹112との間の領域である。辺縁部領域113と乳頭輪郭111によって囲まれる領域、すなわち乳頭領域との比は、緑内障を診断するために臨床上、重要なパラメータである。しかしながら、基準平面は、乳頭領域を画定することにより辺縁部対乳頭面積比計算値を導出するために重要なパラメータであり、そして当該基準平面は、乳頭周囲の網膜表面の下方50μmに位置するものとして任意に定義される。眼疾患に観察されることが多い網膜表面の高さの変化によって、基準平面の変化が生じるので、計算による乳頭パラメータ及び乳頭陥凹パラメータが変化する。従って、乳頭パラメータ及び乳頭陥凹パラメータの計算は、この方法を利用すると信頼性が低くなる。
視神経病変の診断に利用される別の重要なパラメータは、網膜神経線維層(retinal nerve fiber layer:RNFL)の厚みである。RNFLの厚みは通常、基準平面上方の網膜表面の高さによって決まる。乳頭縁に沿った網膜表面の高さの表示(図1A及び1Bには示されず)は普通、当該高さを、RNFLの厚みプロットの変化としてプロットすることにより行なわれる。従って、HRT(視神経乳頭形状解析)検査によって得られるRNFLの厚みプロットは正確ではない。
図2A及び2Bは、早期緑内障患者の症状の進行を表わし、かつカリフォルニア州サンディエゴ市に本拠を置くLaser Diagnosis Technologies(現在では、カリフォルニア州ダブリン市に本拠を置くCarl Zeiss Meditecによって買収されている)が製造する走査レーザ偏光計GDxによって生成されるRNFLの厚みマップ200及び201を示している。偏光計GDxによる偏光測定では、光ビームの偏光回転角を、ビームを視神経乳頭に照射してスキャンしながら測定する。RNFL(網膜神経線維)組織は複屈折性を示すので、偏光回転角がRNFLの厚みの指標となる。
図2Aに示すRNFLの厚みマップ200は早期緑内障を示し、図2Bに示すRNFLの厚みマップ201は図2Aに示す障害が進行した段階での緑内障を示す。網膜神経線維層(RNFL)の複屈折性によって入射ビームの偏光状態が変化し、当該ビームの偏光方向が、当該ビームが通過するRNFLの厚みによって変わる形でずれた。反射ビームの偏光の回転角を測定することにより、RNFLの相対的な厚みを計算することができる。早期緑内障患者のRNFL200の上下のRNFL(網膜神経線維)束202は依然として非常にはっきり見えている。しかしながら、末期では、上下のRNFL(網膜神経線維)束203はRNFLマップ201では非常に細くなっている。画像200及び画像201の下方には、RNFLの厚み205の変化を、神経陥凹を中心とする従来から選択されてきた3.45mmの直径の円204の外周に沿ってプロットしている。正常なRNFLの厚み206の領域を表示することにより統計的な危険性を、患者に関して測定したRNFLの厚みに基づいて推定する。しかしながら、体積パラメータ値、例えば乳頭形状及び乳頭陥凹形状はこの画像方法からは得られない。従って、乳頭形状及び乳頭陥凹形状を求めることにより得られる普通の診断パラメータが得られない。
図3は、カリフォルニア州ダブリン市に本拠を置くCarl Zeiss Meditecが製造するStratus(商標)OCT(光コヒーレンス断層撮影)装置を使用して得られる視神経乳頭形態の分析結果のグラフィックス表示300を示している。Stratus(商標)OCT装置による撮影では、6回の断面OCTスキャン307を視神経乳頭に対して行なう。1回のスキャン、スキャン301の画像をグラフィックス表示300に示す。乳頭縁302の両側が確認される。スキャン301に示される乳頭縁302(網膜色素上皮(rentinal pigment epitheal:RPE)の縁としても知られる)は、乳頭の縁(エッジ)を示す密度の変化によって確認される。また、断面301に観察されるのは、乳頭陥凹に入る神経線維である。乳頭陥凹縁303は従来から、スキャン301に示すように、乳頭縁302の両側を結ぶラインの上方150μmに位置し、かつ当該ラインに平行な基準ラインを、視神経乳頭の最も内側の境界と交差させることにより定義される。
次に、乳頭輪郭305は、6回の断面スキャン307の各スキャンの12個の乳頭縁ポイントを結ぶことにより得られる。同様に、乳頭陥凹輪郭306は、6回の断面スキャン307の各スキャンの12個の乳頭陥凹縁ポイントを結ぶことにより得られる。
本例では、乳頭陥凹縁ポイントの内の一つのポイント、すなわちポイント304は明らかに、乳頭輪郭とは連結されない。このポイントは通常、血管の影に隠れてしまう現象によって生じ、この現象については以下に更に議論する。この方法の別の不具合は、目印が少ないために、スキャンの位置を乳頭中心308に合わせすることが非常に困難であることである。この様子は、乳頭中心308がスキャン307の中心に一致しないので画像300の中に明確に表わされている。
これらの方法の各々から得られるデータを分析して判明することであるが、これらの方法のいずれの方法においても、視神経乳頭に関する完全な、信頼性の高い、または正確な分析結果が得られることがない。これらの方法の各方法では、一つ以上のパラメータを、高い信頼度で導出することができていない。
本発明の或る実施形態による、網膜をスキャンする方法では、眼の動き、及び血管の走行の問題を解決しながら、視神経乳頭を特徴付けるパラメータを導出することができる。図11は、本発明の或る実施形態による眼検査に利用することができるOCT(光コヒーレンス断層撮影)装置1100の一例を示している。OCT装置1100は、光を結合器1003に供給する光源1101を含み、結合器1003は光をサンプリングアームを介してXYスキャン手段1104に振り向け、そして基準アームを介して光遅延手段1105に振り向ける。XYスキャン手段1104は光を眼1109に照射してスキャンし、そして反射光を眼1109から収集する。眼1109から反射された光は、XYスキャン手段1104に捕捉され、そして光遅延手段1105から反射される光と結合器1103において合成されて、干渉信号を生成する。干渉信号は検出器1102に結合される。OCT装置1100はタイムドメインOCT装置とすることができ、この場合、深さ(またはA−スキャン)は光遅延1105を調査することにより得られる、またはOCT装置1100はフーリェドメイン撮影装置とすることができ、この場合、検出器1102は、干渉信号を波長の関数として捕捉する分光計である。いずれの場合においても、OCT(光コヒーレンス断層撮影)A−スキャンはコンピュータ1108によって収集される。XYパターンに沿って行なわれる一連のA−スキャンを利用してOCT画像を生成する。OCT装置の一例が、本出願と同時に出願された米国特許出願(弁護士整理番号09433.0005−00)に記載されており、この出願をここで参照することにより、当該出願の内容全体が本明細書に組み込まれる。
OCT装置1100の他に、本発明による眼検査装置はカメラ1106を含み、カメラ1106は眼底カメラとすることができる。カメラ1106からの光はOCT装置1100のサンプルアームに結合器1107によって結合される。結合器1107は、カメラ1106から放出され、そして眼1109から反射される光を、カメラ1106に戻るように振り向けるとともに、カメラ1106からの光が結合器1103に入射するのを防止する。コンピュータ1108はカメラ1106からの画像、及びOCT装置1100からの画像の両方を受信し、そして分析する。画像の合成版を利用して、視神経乳頭の正確かつ完全なOCT画像を取得することができる。
図4はOCTスキャンパターン400を示し、OCTスキャンパターンを本発明の実施形態において利用することにより、視神経乳頭形態及び網膜神経線維層(RNFL)を高精度に撮影することができる。スキャンパターン400は、複数の同心円状スキャン401、及び同心円状スキャン401の中心を中心とする複数の放射状ラインスキャン402を含む。同心円状スキャン401は、ヒトの眼の視神経乳頭(disk)の大きさの範囲を、全てではないが、ほとんどをカバーする。乳頭縁403の直ぐ外側にあって、従来の3.45μmの半径位置における網膜神経線維層(RNFL)の厚みは、緑内障患者の徐々に薄くなっていくRNFLの厚みに関する最も望ましい臨床上の情報を含んでいる。
しかしながら、患者の眼の動きによって、スキャン400を患者の視神経乳頭の中心に位置合わせすることは非常に困難である。しかしながら、スキャンパターン400は患者の視神経乳頭に対して正確に位置決めする必要はない。スキャンパターン400は、或る長さの放射状ライン402が、円形スキャン401の内の少なくとも一つのスキャンによってカバーされる領域と重なるように設計される。スキャンパターン400が注目領域をカバーするために十分大きくなると直ぐに、取得画像を以下に更に議論するように処理することにより、乳頭の中心の位置を複数の放射状ラインスキャンで求め、そしてデータを複数の円形スキャンから選択して、乳頭から適切な距離の、かつ乳頭を中心とする適切な距離の位置のRNFLの厚みを求めることができる。
図5は、本発明の或る実施形態による図4のスキャン400で撮影されるOCT画像500を示している。乳頭縁の直ぐ外側に位置する、例えば従来の3.45mmの直径を持つ円の中でのセグメントRNFL(網膜神経線維層)の平均厚みを、RNFLマップ502の周りの各セグメント501の中に示す。辺縁部領域503は、乳頭縁の輪郭504及び乳頭陥凹境界505によって取り囲まれる。この単一のグラフィックプロットには、乳頭領域の神経線維に関する臨床上の全ての重要な情報が同時に表示されて臨床診断を容易にする。
これまで、図5に示す情報を取得するために、少なくとも2つの個別システムが、視神経線維マップ、及び視神経乳頭/乳頭陥凹の輪郭を別々に実行する必要があった。例えば、Stratus(商標)OCTシステム(カリフォルニア州ダブリン市に本拠を置くCarl Zeiss Meditecが製造する)、及びGDxシステム(カリフォルニア州サンディエゴ市に本拠を置くLaser Diagnosis Technologyが製造する)、またはHRTシステム(ドイツに本拠を置くHeidelberg Engineeringが製造する)、及びGDXシステムが必要であった。
しかしながら、入射ビームが血管によって吸収されるために、OCT信号は血管が邪魔をして非常に微弱になる。従って、OCT信号が微弱になることによって脈絡膜組織に陰影が生じる。網膜色素上皮(rentinal pigment epitheal:RPE)の先端とも表記される脈絡膜層の先端を使用して乳頭縁の輪郭が描かれるので、図5に示すようなOCT画像を利用する乳頭形状の信頼度は低い。血管によって光が吸収される(血管シャドウイング効果とも表記される)様子を図6に示す。
図6は、視神経乳頭をOCTスキャン600して得られる視神経乳頭の断面を示している。乳頭縁602は、当該乳頭縁の真上に位置する血管の影に隠れ、当該乳頭縁をOCT画像自体の中に観察することができない。OCTスキャン600からだけでは、脈絡膜601の境界は、乳頭縁として間違って認識される恐れがある。この間違って認識されるポイントを利用して乳頭輪郭を求めると、乳頭輪郭がゆがんでしまう。
眼の動きは、乳頭形態を間違って表示してしまう別の要因となる。眼の動きによる影響を図7に示す。図7に示すように、乳頭輪郭706は、図7のスキャン701,702,703,及び704で確認される少なくとも4つの放射状OCTラインスキャンにより得られる乳頭縁に基づいて作成される。眼の動きが原因で、スキャン702及び703がシフトし、そしてこれらのスキャンを使用することにより、乳頭輪郭705がゆがんでしまう。
これらの問題を解決するために、図10に示す画像に示すように、本発明による眼検査では、一連のOCTスキャンによるデータ取得期間中に記録されるビデオ乳頭画像のストリームを使用して、乳頭形態のスキャンパターンの位置を再調整する。このような再調整済みスキャン画像が図5に示される。近赤外線波長領域の光を使用して網膜をOCTスキャン中に照明する。乳頭から反射される光は非常に明るく、そして血管はこれらの波長領域では非常に見え難い。従って、乳頭輪郭はビデオ画像の中に明確に画定され、そして血管が邪魔になって観察し難くなるということがない。次に、ビデオ画像から得られる乳頭形状を使用して、血管が障害物となって観察し難くなった脈絡膜組織の先端(RTE(網膜色素上皮)の先端)を補正する。ビデオ画像のストリームから検出される網膜の動きを使用して、パターン400のようなパターンを互いに対してスキャンしながらOCT画像を描出することにより、正確な補完OCT画像を構築することができる。
図8は、本発明の或る実施形態による画像処理方法のステップを示すブロック図を示している。本発明による画像処理方法の実施形態は次のステップを含む:(1)OCT画像取得ステップ801;(2)ビデオ画像取得ステップ802;(3)網膜色素上皮(RPE)の先端を検出するステップ803;(4)RPEの先端を表示するステップ804;(5)ビデオ画像サイズ拡大縮小ステップ805;(6)乳頭の境界検出ステップ806;(7)乳頭の境界及びRPEの先端を一致させるステップ807;(8)乳頭中心を求めるステップ808;(9)血管補正ステップ809;(10)モーション補正ステップ810;(11)補正済みのRPEの先端を表示するステップ811;及び(12)及び視神経乳頭形態を特徴付けるステップ812である。
本発明の画像処理方法の第1ステップでは、OCT画像をOCT画像取得ステップ801において取得する。或る実施形態では、OCT画像は、図4に示すスキャンパターン400を利用して取得されるが、同じようにデータの量が豊富な他のスキャンパターンを利用することができる。複数の放射状ラインスキャン画像を使用して、RPEの先端の位置を検出し、次に視神経乳頭形態を特徴付ける。乳頭の境界の位置、及びこれらの位置の中心を求めた後に、複数の同心円状スキャン画像を使用して、乳頭縁の外側のRNFL(網膜神経線維層)の厚みを検出する。OCT画像の取得と同時に、画像をビデオカメラ(図10のカメラ1006のような)でステップ802において取得する。眼底ビデオ画像とすることができるビデオ画像を使用して、RPE(網膜色素上皮)の先端をOCT画像の中に検出し易いようにする。
ステップ803では、RPE(網膜色素上皮)の先端を、ステップ801で取得したOCT画像の中から検出する。OCT画像の垂直方向に沿った強度変化のエッジを検出することにより、各OCT画像に関して、RPEの上縁をまず抽出し、次に平滑化処理して、図6の603で示す乳頭の陥没によって分離される2つのRPEの上縁曲線を作成する。2つのRPEの上縁曲線の始点は、OCT画像の第1ライン及び最終ラインにそれぞれ位置する。2つのRPEの上縁曲線の終点がRPEの先端として検出される。このようにして検出されるRPEの先端は一般的に正確ではない、というのは、血管のねじれ、及び/又は眼の動きが発生するからである。
各OCT画像はx−θ平面で取得されるので、RPE(網膜色素上皮)の先端は同じx−θ平面で検出され、そして表示される。ビデオ画像の中の乳頭輪郭と連続的に最も良く一致するようにするために、RPEの先端をx−y平面表示にステップ804で変換して、図3に示す表示と同様の表示にする。x−y平面表示において利用される輪郭ポイントの数は、ステップ801で取得される放射状ラインスキャン画像の数の2倍である。
ステップ805では、ステップ802で取得されるビデオ画像のサイズを、これらの画像のx−yピクセル分解能が、ステップ804におけるRPEの先端に関するx−y平面表示のピクセル分解能と同じになるように拡大縮小する。ステップ805では、一般的に異なるOCT画像及びビデオ画像のピクセル分解能を一致させる。
ステップ806では、乳頭の境界の検出をビデオ画像に基づいて行なう。適応的閾値アルゴリズムを使用して乳頭領域を当該領域の背景から分割し、そして境界曲線を抽出することができる。
ステップ807では、ステップ804で求めたRPE(網膜色素上皮)の先端を、ステップ806で求めた乳頭の境界の曲線に一致させる。別の表現をすると、結果的にRPEの先端をステップ804で同定する操作に結び付く各横方向OCTスキャンを、ステップ806で求めた乳頭の境界の曲線のポイントとペアリングする。
乳頭中心は、乳頭の境界の曲線の重心、または幾何学的中心によって計算することができる。しかしながら、スキャンパターン400の中心である目標中心は乳頭中心と一致しない可能性がある。ビデオ画像の目標中心位置を(xa,ya)、そして所定のスキャン角度をθと仮定すると、該当する境界ポイントから目標中心までの2つの距離指標を求めることができる。これらの指標は、OCT画像を利用して計算される距離指標と、血管のねじれ、及び/又は眼の動きが無いと仮定した場合に良好に一致する。血管のねじれによって、距離指標が相対的に大きくなる、というのは、RPE(網膜色素上皮)の先端が、図6に示すように、画像中心から遠く離れたポイントで不正に検出されてしまうからである。しかしながら、距離の伸張が、OCT画像におけるRPEの両方の先端ではなく、RPEの一方の先端のみに関して発生する恐れがあるという意味で、ねじれは局部的であると予測される。更に、距離の伸張は一般的に、連続する画像に亘って滑らかに変化する訳ではない。これとは異なり、眼の動きによって発生するRPE(網膜色素上皮)の先端の不正検出位置は、ずっと異なる態様で変化する。第1に、ねじれは、距離変化が必ず、OCT画像におけるRPEの両方の先端に関して発生するという意味で、広い範囲の現象であると予測される。眼の動きによって、RPEの両方の先端が同じ方向に移動するので、RPEの一方の先端が距離の伸張を起こすと、RPEの他方の先端は距離の縮小を起こす必要があることを意味するが、これは、一方の先端が画像中心から離れて移動するとともに、他方の先端が画像中心に近付くように移動するからである。第2に、距離の伸張及び縮小は連続する画像に亘って滑らかに変化する。これらの観察情報を利用する好適なマッチング方法を使用して、血管のねじれ、及び/又は眼の動きによって生じるRPEの先端の位置ずれを計算する。
乳頭の中心は普通、補正ステップ809及び810を行なった後に、ビデオ画像における乳頭の境界の曲線の幾何学的中心によってステップ808で導出される。乳頭中心の導出は、図5に関して前に説明したように、好適な臨床情報を表示する際に重要となる。血管のねじれによって生じる局所的なRPE(網膜色素上皮)の先端の位置ずれは、前述のマッチングプロセスにおいて導出されており、そしてRPEの先端の位置を決め直して、局所的なずれをステップ809で補正することができる。眼の動きによって生じる広い範囲のRPEの先端の位置ずれも前述のマッチングプロセスにおいて導出されており、そしてRPEの先端の位置を決め直して、広い範囲のずれをステップ810で補正することができる。これらのステップによって、視神経乳頭撮影システムではこれまで実行されなかった解決策を要する3つの基本的な問題を効率的に解決することができる:すなわち、乳頭中心の導出、血管のねじれ、及び眼の動きの問題を同時に解決することができなかったという課題を効率的に解決することができる。
ステップ811では、x−y平面において前に計算された位置ずれに従って補正されたPE(網膜色素上皮)の先端を求める。RPEの先端の正しい位置に基づいて、図4及び5に関して前に説明した視神経乳頭マップの作成、及び視神経乳頭の形態的な特徴付けをステップ812で更に正確に行なうことができる。
図8に示すステップの多くが自動的にコンピュータによって実行されるが、これらのステップの内の幾つかのステップは、オペレータが実行する、または支援することができる。例えば、乳頭の境界を検出するステップ806では、オペレータによる入力を使用することができる。更に、RPEの先端の検出では、オペレータによる入力を使用することができる。或る実施形態では、これらのステップの全てが、コンピュータによって実行される。
図8に示す実施形態は、ビデオ画像を利用して、ステップ801において取得される個々のOCT画像から導出されるRPE(網膜色素上皮)の先端を補正する様子を示している。しかしながら、他の画像を本発明の実施形態において利用することもできる。例えば、別のOCT画像は、OCT画像を図4のスキャンパターンでステップ801において取得する前に、非常に高密度のスキャンパターン、例えばラスタスキャンパターンで撮影することができる。高密度のOCT画像を利用して、乳頭輪郭が特定されるテンプレートOCT画像を生成することができる。このテンプレートOCT画像は、ステップ802において撮影されるビデオ画像の代わりに用いることができ、そしてRPE(網膜色素上皮)の先端を、ステップ807においてテンプレートOCT画像の中に特定される境界に一致させる。この方法の一つの利点は、テンプレートOCT画像を、該当する患者が次に訪問するときに再利用することができることである。
図9はテンプレートOCTスキャンを示し、このスキャンでは、視神経乳頭の境界が導出されている。図9に示す画像では、ラスタスキャンパターンを使用して、視神経乳頭領域の3次元データセットを生成する。例えば、4mmx4mmの領域は100フレームのOCT画像で調査することができ、そして各OCT断面画像は、512回の軸方向スキャンで生成することができる。Y方向にスキャンされるフレームの数を増やし、画像分解能を、スキャン時間が長くなることと、眼の動きによるアーチファクトが多くなることとの間のトレードオフ関係を解消することにより高めることができる。
次に、OCTスキャンデータを3次元再構成法(x,y,z)で再構成する。図9に示す視神経乳頭901の正面視画像は、各ピクセル(x,y)に対応するZ方向の信号の合計である、または次式により表わされる。
sum=Σz(i=k,j),
上の式では、k及びjを調整することにより、視神経乳頭の境界をはっきりと映し出す正面視画像が得られる。調整は、オペレータがマニュアル調整可能なスライド910及び911を使用して行なうことができる、または調整は、最高のコントラストを境界に付けるアルゴリズムを用いて行なうことができる。
視神経乳頭の境界のコントラストを高めるために、網膜の前面を、画像処理アルゴリズムを用いて種々の方法によりセグメント化することができる。本発明の或る実施形態による一つの方法では、正面視画像をRPE(網膜色素上皮)層に平行な平面において分析する。層k〜層jからの信号の合計を調整して、正面視画像の中に観察される視神経乳頭の境界の輪郭が、X−Z平面の断面画像の中に観察されるRPE(網膜色素上皮)の先端との間に強い関連性を持つようにする。
視神経乳頭は普通、側頭部方向に傾いているので、OCT信号強度は普通、網膜の鼻側で弱くなる。正面視画像のコントラスト及び均一性を高めるために、視神経乳頭の境界を見付け出す前に、画像の不均一な輝度をまず均一にすると有利である。輝度を均一にするための種々の方法が知られている。本発明の実施形態において利用することができ、かつ図10に示されるこのような一つの方法では、次のような処理を行なう:F1及びF2をx方向に関して、次式に基づいて計算する。
F1=f(x,y)の平均、x<2/D
F2=f(x,y)の平均、x>2/D
上の式では、fは、x及びyを関数とする輝度であり、そしてDは表示の範囲である。次に、輝度の差を次式に従って計算することができる。
Δf=F1−F2
次に、補正係数を次式に従って導出することができる。
K=Δf/(D/2)
次に、X−Y平面におけるx方向のOCT画像全体の信号強度を次式に従って計算することができる。
f´(x,y)=f(x,y)−xK
視神経乳頭の境界は、上述のアルゴリズムによって自動的にセグメント化することができる、またはオペレータが補助画面903を見ながら描画することができる。視神経乳頭の境界は、903の断面図におけるRPE(網膜色素上皮)の先端として表示される。或るスキャンにおける先端は、先端上方の網膜血管の影に隠れることになる。正面視画像901の黒色領域が、RPEの先端が位置する場所を明確に示している。オペレータは各断面画像を、ライン906及び908をスライダ905及び907でスライドさせることにより閲覧することができる。
境界の位置を各断面画像に関して確認した後、2つのRPE(網膜色素上皮)の先端の位置が記録され、そして正面視画像901に表示される。次に、オペレータはこのプロセスを各断面画像に関して、十分な数のデータポイントを取得して視神経乳頭の境界を正面視画像901の上に完全に特定するまで繰り返すことができる。十分に多くの断面画像があるので、オペレータは、RPEの先端が位置する場所が不明瞭な断面画像を飛ばすことができ、更にはRPEの先端を隣接する領域に見付け出すことができる。従って、視神経乳頭の境界を十分高い精度で求めることができる。オペレータは更に、同じプロセスを、X−Z平面902の断面画像に対して実行することができる。3次元画像904は、画面901,902,903における断面画像の内の該当する画像である。
視神経乳頭の境界は普通、緑内障患者に関して変化することがないので、境界輪郭をベースラインとして保存することができる。この方法は、図8に示すビデオベースラインを利用する方法と同様であるが、このベースラインはOCT画像に基づいて、オペレータ入力によってのみ描画される。
患者が次に訪問する場合、ベースラインの輪郭を持つ正面視画像を基準として使用して、視神経乳頭の境界を新規スキャンで見付け出すことができる。網膜血管は非常に高いコントラストで正面視画像に現われ、そして網膜血管の位置は普通、複数の緑内障患者の中で変わることはない。相互相関アルゴリズムを使用して新規スキャンをベースライン正面視画像で記録することができる。正面視画像をベースライン正面視画像に位置合わせした後、視神経乳頭の境界のベースラインを、新規スキャンにより得られる正面視画像に重ねることができ、そして新規の正面視画像における視神経乳頭の境界をアルゴリズムによって描画することができる。これらのベースラインの境界輪郭に基づき、アルゴリズムを利用してRPE(網膜色素上皮)の先端を、X−Y平面における所定のピクセルに近い狭い範囲内に、図8に一部が既に記述されているプロセスを使用して見付け出すことができる。
図9において求めた視神経乳頭の境界のベースラインを利用して、ステップ802で撮影し、かつステップ805及び806で処理されたビデオ画像を入れ替えることができる。図8のステップ801で撮影されたOCT画像から得られるRPE(網膜色素上皮)の先端は、眼の動きに関して、この方法を利用して補正することはできないが、血管による影響の補正、及び視神経乳頭中心の導出は行なうことができる。OCT画像を図4のスキャンパターン400を利用して取得する際の速度が速いために、眼の動きは或る場合においては、検査中は無視することができる。
本発明による撮影方法の一の実施形態について上に説明してきたが、本発明は開示した実施形態には制限されず、非常に多くの再調整及び変更を部品及び要素に本発明の技術範囲から逸脱しない限り加えることができることを理解されたい。上に説明した実施形態は例示に過ぎず、決して制限的な意味に解釈されるべきではない。この技術分野の当業者であれば、非常に多くの変更を説明したシステムに加え得ることが理解できるであろう。これらの変更は本開示の範囲に含まれるべきものである。従って、本発明は以下の請求項によってのみ制限される。
図1A及び1Bは、ハイデルベルクレチナトモグラフィ(HRT)によって撮影される視神経乳頭の画像を示す。 図2A及び2Bは、緑内障診断装置GDxによって得られる早期緑内障及び末期緑内障のそれぞれにおけるRNFLの厚みのプロットを示す。 OCT法によって撮影される視神経乳頭の画像を示す。 乳頭の周りの網膜神経線維層の厚みをマッピングするために本発明の実施形態において利用されるスキャンによる画像パターン、及び視神経乳頭形態を示す。 本発明の一の実施形態によって生成される、緑内障診断に関連する視神経乳頭形態を表示するグラフィックの一例を示す。 視神経乳頭の周りの血管組織による光吸収によって生じる、OCTスキャンにおける画像歪みの一例を示す。 画像取得中の眼の動きによって生じる乳頭縁の歪みの一例を示す。 本発明の実施形態による自動画像処理方法のステップを示すブロック図を示す。 視神経乳頭の境界をマッピングする本発明の実施形態によるスキャンパターン及びグラフィック表示を示す。 本発明の或る実施形態において利用することができる輝度補正ルーチンを示す。 本発明の或る実施形態による眼の検査を行なうために利用することができるOCT装置の一の実施形態を示す。

Claims (17)

  1. 眼を検査する方法であって:
    スキャンパターンに対応するOCT画像を取得するステップであって、前記スキャンパターンは視神経乳頭領域をほぼ覆う、ステップと、
    視神経乳頭の境界ポイントを前記OCT画像から導出するステップと、
    前記視神経乳頭の境界ポイントを、一つ以上のテンプレート画像から導出した視神経乳頭の境界と一致させるステップと、
    前記視神経乳頭の境界ポイントを補正するステップと、
    少なくとも一つの視神経乳頭の形態的特徴を求めるステップと、を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記スキャンパターンは複数の同心円、及び複数の放射状ラインを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記視神経乳頭の境界ポイントを補正するステップは、血管による影響を補正するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 前記視神経乳頭の境界ポイントを補正するステップは、視神経乳頭の中心を求めるステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 前記少なくとも一つの視神経乳頭の形態的特徴を求めるステップは、網膜神経線維層の厚みを前記視神経乳頭の中心を中心とする円の中で求めるステップを含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
  6. 前記一つ以上のテンプレート画像は、前記OCT画像と同時に撮影されるビデオ画像であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 前記視神経乳頭の境界ポイントを補正するステップは、眼の動きに関する補正を行なうステップを含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 前記一つ以上のテンプレート画像は、ラスタスキャンパターンで撮影されるテンプレートOCT画像であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 視神経乳頭の境界を前記テンプレートOCT画像において決定することを特徴とする請求項8記載の方法。
  10. 前記スキャンパターンは、複数の同心円と、同心円の中心で交わり、かつ同心円の内の少なくとも一つの円と交わる複数の放射状ラインとを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  11. 前記スキャンパターンは、前記視神経乳頭領域を包み込む十分に大きい領域を覆うことを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 網膜神経線維層の厚みは、前記視神経乳頭を中心とする特定の直径の円上の位置で計算されることを特徴とする請求項10記載の方法。
  13. 前記ビデオ画像は近赤外光を利用して取得されることを特徴とする請求項6記載の方法。
  14. 視神経乳頭の境界を前記ビデオ画像の各々において決定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. 前記視神経乳頭の境界を決定するステップは自動的に行なわれることを特徴とする請求項14記載の方法。
  16. 前記複数の視神経乳頭の境界の内の少なくとも一つの視神経乳頭の境界を求めるステップはオペレータによって行なわれる、請求項14記載の方法。
  17. 前記視神経乳頭の境界は、
    正面視画像を前記テンプレートOCT画像に基づいて形成するステップと、
    前記境界を前記正面視画像から求めるステップ、
    とによって決定されることを特徴とする請求項9記載の方法。
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