JP2009518019A - mRNAの安定化方法 - Google Patents

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Abstract

ステムループを形成することができ、そして1つ以上の遺伝子からのmRNA転写物の安定性を増大することができるDNA配列を、コード化DNA遺伝子配列の5’末端に導入することによって、微生物における所望の化合物の産生を増大するための方法、このようにして安定化されたmRNA、対応するDNA配列および微生物。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
パントテネートはビタミンB群の一員であり、人間および家畜を含む哺乳類のための栄養的な要件である。細胞内でパントテネートは、補因子の生物学的に活性な形態である補酵素A(CoA)およびアシルキャリアタンパク質に転化される。これらの2つの補酵素は、細胞内の100を超える様々な酵素反応に関与する。
公開されたPTC特許出願、国際公開第01/21772号パンフレット、国際公開第02/057474号パンフレット、国際公開第02/061108号パンフレット、および国際公開第04/005527号パンフレット(全て、米国のOmnigene Bioproducts Inc.による出願)には、パントテネート産生に関与する生合成遺伝子の発現レベルがより高い枯草菌(Bacillus subtilis)168の菌株を用いてパントテネートを産生するための方法が記載されている。これらの遺伝子には、panB、panC、panD、panE、ilvB、ilvN、ilvC、ilvD、glyA、およびserAが含まれる。これらの遺伝子のより高い発現レベルを達成するために、当該技術分野において既知の標準的な遺伝子組換え法を用いて、前記遺伝子の転写を制御するネイティブプロモーターが除去され、内在性バクテリオファージ、SPO1に由来するより強力な構成的プロモーターによって置換された。遺伝子の転写レベルの増大は当該技術分野においてよく知られており、過剰発現された遺伝子によりコードされるタンパク質をより高いレベルでもたらす。
また、転写過剰発現によるタンパク質の過剰産生が細胞代謝に対して望ましくない影響をもたらし得ることは当該技術分野においてよく知られている(国際公開第98/07846号パンフレット)。さらに、タンパク質の過剰産生が、宿主細胞の翻訳機構における有害な影響(ヘンジアン(Hengjiang)ら、1995年、J.Bacteriol.177:1497−1504頁)、および/またはストレス応答により仲介されるタンパク質分解活性の誘発(ラミレス(Ramirez)D.M.およびW.E.ベントリー(Bentley)、1995年、Biotechnol.Bioeng.47:596−608頁)(より低い産生力価の結果であり得る)をもたらし得ることも記載されている。従って、強力な構成的プロモーターの使用に代わるタンパク質過剰産生のための方法を考案することは、パントテネートなどのようなファインケミカルの工業規模での産生のために有利であろう。
転写物の分解は、細胞のタンパク質含量を制御するための手段として微生物によって利用される。一方、微生物は、所与の転写物の安定性を強化するメカニズムを発達させている。これを達成するために、転写物には、mRNA分解酵素がその作用を発揮することを妨害する二次構造を形成することができるヌクレオチド配列が備わっている。mRNAの分解および安定性についての十分な知識にもかかわらず、ファインケミカルの産生のための細菌の炭素流動を再指示するという明示された目的のためにこの知識が適用された例はほんのわずかしかない。
スモルク(Smolke)ら(2001年、Metabolic Engineering.3:313−321頁)は、大腸菌(Escherichia coli)におけるフィトエン産生を増大するために、2つのプラスミド由来のcrt遺伝子によりコードされる転写物の定常状態レベルを増大するためのmRNA安定性エレメントとして、ステムループ構造の形成能力がある人工的に作成された配列の使用について記載している。この方法が有用であるために、上記のmRNA安定性エレメントは、プロモーター転写開始部位からわずか1ヌクレオチドだけ離れて正確に配置されなければならない(キャリア(Carrier)およびキースリング(Keasling)1999年、Biotechnol.Prob.15:58−64頁)。あるいは、ネイティブなmRNA分子内の部位で切断が所望される場合には、mRNA安定化エレメントは、RNase E−特異的切断が同様の構造(すなわち、5’末端から1ヌクレオチドにおけるRNA安定性エレメントの配置)の新しいmRNA分子をもたらすように、RNase E切断部位と同時に導入されることが必要である。いずれの例も骨の折れる実験研究を必要とし、本方法の有用性が制限される。従って、プロモーターの転写開始部位に関係なく、あるいはRNase E切断に関係なく、mRNAの安定化の開発は、工業レベルでのファインケミカルおよび/またはタンパク質の製造のために興味深い微生物を設計するためのより優れた代替法を提供し得る。
大腸菌(E.coli)RNase Eに対する遺伝子オルソログは、工業規模での代謝産物および/またはタンパク質の製造のために興味深い微生物において発見されていない(コンドン(Condon)、2003年、Microbiol.Mol.Biol.Rev.67:157−174頁)。枯草菌(Bacillus subtilis)の場合、この細菌が、大腸菌(E.coli)RNase Eに対して機能的に相同であり得るが、顕著なヌクレオチドまたはアミノ酸配列の類似性を示さない2つの遺伝子(ykqC[RNAseJ1]およびymfA[RNAseJ2])を含有することは、証拠によって示唆される(エベン(Even)ら、2005年、Nucleic Acids Res.33:2141−2152頁)。従って、枯草菌(B.subtilis)の転写物の分解機構はかなり異なっており、枯草菌(B.subtilis)では、RNA分解活性に関与する大腸菌(E.coli)のような酵素であるとみなされる17の酵素のうち6つしか同定されていない。
上記のmRNA安定化方法を、まず1つの遺伝子のみを含有するプラスミドに基づくレプリコンに適用した。ウィドナー(Widner)ら(1999年、国際公開第99/43835号パンフレット)は、タンデムプロモーターとポリペプチドをコードする構造遺伝子との間に挿入されたB.チューリンゲンシス(thuringiensis)cryIIIA遺伝子からの安定化エレメントの付加によって、枯草菌(B.subtilis)においてポリペプチドを産生するための方法を開示する。しかしながら、2つのプロモーターの存在は、「mRNAの飽和レベル」を達成するために必要であった(国際公開第99/43835号パンフレット)。ヒュー(Hue)ら(1995年、J.Bacteriol.177:3465−3471頁)は、16SRNAの3’末端との相同性によってmRNA配列を安定化する5’mRNA安定剤を開示する。また、ダグエル(Daguer)ら(2005年、Lett.Appl.Microbiol.41:221−226頁)は、リボソームがリボソーム結合部位と結合してRNAの安定性が生じる、プラスミドに基づくmRNA安定化方法を開示する。この方法は、産物形成のかなりわずかな増大(すなわち、レバンスクラーゼ産生の1.5倍の増大)しか達成せず、場合によっては、タンパク質産物の形成は実際に減少した。
さらに、ファインケミカル、タンパク質、および他の化合物の生合成は、染色体上の異なる部位に位置し、多数のmRNA転写物を作成する複雑な多遺伝子集団(すなわち、オペロン)を利用することが多い。その結果、プラスミドからのクローン化多遺伝子集団の発現は不安定な場合があるので、このような前述のmRNA安定化方法はタンパク質合成を増大するために適さないであろう(キム(Kim)ら、1982年、Han’guk Saenghwa Hakhoechi 15:305−314頁、グリクザン(Gryczan)、1982年、The Molecular Biology of the Bacilli[ドゥブナウ(Dubnau)編]、Academic Press、ニューヨーク州ニューヨーク、307−329頁、ピース(Piece)およびガターリッジ(Gutteridge)、1985年、App.Environ.Microbiol.49:1094−1100頁、ニューウェル(Newell)ら、1987年、Biochem.Soc.Trans.15:281−282頁、ヘセリヤー(Haeseleer)、1994年、Res.Microbiol.145:683−387頁、アルアラフ(Al−Allaf)ら、2005年、J.Biochem.Biophys.Methods 64:142−146頁)。それにもかかわらず、親出願の国際公開第02/055711号パンフレットは、これらのmRNA転写物の寿命を延ばすことによって、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)のパントテネート産生に関与する遺伝子(すなわち、ilvBN、ilvC、ilvD、panB、panC、およびpanDのうちの少なくとも1つ)の発現を改善する可能性を開示しているが、これが達成され得る方法は開示されていない。
その結果、本発明の目的は、前記構造遺伝子配列の転写を制御するネイティブプロモーターシグナルを強化することなく、すなわち、ステムループを形成することができ、そして1つ以上の遺伝子からのmRNA転写物の安定性を増大することができるDNA配列をコード化DNA遺伝子配列の5’末端に導入することによって、微生物における所望の化合物の産生を増大するための方法を提供することである。この方法は、ループ形成DNA配列が、微生物の関連遺伝子の転写の開始部位から7DNA不対ヌクレオチド以上下流に導入されることを特徴とする。
本発明のさらなる目的は、その5’末端に安定化エレメントを含有する安定化mRNA配列を提供することである。安定化エレメントは、微生物の関連遺伝子の転写の開始点より7DNA不対ヌクレオチド以上下流に導入されたDNA配列から転写される。この安定化エレメントの付加は、mRNAがもはや酵素分解を利用できない、あるいはあまり利用できず、従って微生物における所望の化合物のより高い産生が得られるという効果をもたらす。
さらなる実施形態では、本発明は、これらのmRNA安定化配列を含有し、微生物による転写の際に安定化されたmRNA転写物をもたらす対応するDNA配列と、このようなDNA配列を含む形質転換微生物とに関する。
最後に、多数のmRNA転写物を作成し、染色体、プラスミドまたは他の自己複製DNA分子上に位置する1つ以上の遺伝子のmRNA転写物の安定性を増大するための方法、あるいは形質転換微生物による所望の化合物の産生を増大するための方法のそれぞれにおけるこのDNAまたは安定化mRNA転写物の使用も本発明の目的である。
「化合物」という用語は、細胞代謝、すなわち、生物活性を有する細胞内で1つ以上の酵素によって促進される反応における1つ以上の化学結合の切断および/または形成に由来する炭素に基づく物質を意味する。このような化合物の例は、タンパク質、酵素、ヌクレオチド、リボヌクレオチド、アミノ酸、ビタミン(例えば、アスコルビン酸、パントテン酸)、ビタミン様物質(例えば、補酵素Q10)、カロテノイド、脂質および脂肪酸である。
「微生物」という用語は、細菌、真菌(酵母を含む)および藻類を含むがこれらに限定されない微視的な自己再生する呼吸生物体を意味する。細菌という用語は、グラム陰性微生物およびグラム陽性微生物の両方を含む。グラム陰性細菌の例は、大腸菌属(Escherichia)、グルコノバクター属(Gluconobacter)、ロドバクター属(Rhodobacter)、シュードモナス属(Pseudomonas)、およびパラコッカス属(Paracoccus)からのいずれかの細菌である。グラム陽性細菌は、バチルス科(Bacillaceae)、ブレビバクテリウム科(Brevibacteriaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)、乳酸桿菌科(Lactobacillaceae)、および連鎖球菌科(Streptococaceae)のいずれかから選択されるが、これらに限定されず、特に、バチルス属(Bacillus)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、乳酸桿菌属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)およびストレプトミセス属(Streptomyces)に属する。バチルス属(Bacillus)の中で、枯草菌(B.subtilis)、B.アミロリケファシエンス(amyloliquefaciens)、B.リケニフォルミス(licheniformis)およびB.プミルス(pumilu)が本発明との関連において好ましい微生物である。グルコノバクター属、ロドバクター属およびパラコッカス属の中で、G.オキシダンス(oxydans)、R.スファエロイデス(sphaeroides)およびP.ゼアキサンチニファシエンス(zeaxanthinifaciens)がそれぞれ好ましい。酵母の例は、サッカロミセス(Saccharomyces)、特にS.セレビシア(cerevisiae)である。好ましい他の真菌の例は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)およびペニシリウム・クリソゲナム(Pencillium chrysogenum)である。
「ネイティブプロモーターシグナルの強化」という語句は、RNAポリメラーゼと相互に作用をする連続的なDNA配列(例えば、「−35」および「−10」結合部位であるがこれらに限定されない)内の1つ以上のヌクレオチドの遺伝子変化を指し、無改変DNA配列と比較してより多数のメッセンジャーRNA分子(すなわち、RNA転写物)の合成をもたらす。この語句は、より強いものによるプロモーターの置換も含む。ネイティブプロモーターシグナルを強化する方法は当該技術分野においてよく知られており、一般に使用されている。「ネイティブプロモーターシグナルを強化することなく」という語句は、本発明に従って微生物における所望の化合物の産生を増大する方法が、これらの周知の方法とは異なることを示すために使用される。しかしながら、この語句は、本発明の新しい方法と、周知の方法とを組み合わせた方法が本発明によって包含されないことは意味しない。
「プロモーターシグナル」という用語は、RNAポリメラーゼと特異的に相互に作用する連続的なDNAヌクレオチド配列(例えば、「−35」および「−10」結合部位であるが、これらに限定されない)を意味し、メッセンジャーRNAの合成(すなわち、RNA転写物の合成)の開始を可能にする。
「ネイティブプロモーターシグナル」という用語は、微生物において見られる天然に存在するプロモーターシグナルを意味する。
「DNA配列の導入」という用語は、DNA形質転換、接合(conjugation)または形質導入による微生物の染色体へのDNA配列の付加または挿入を示す。前記付加または挿入は、染色体DNAヌクレオチドの除去または欠失ももたらす、またはもたらさないDNA組換えによって生じる。特に部位特異的な導入によって微生物へのDNA配列の導入が達成される方法は、当該技術分野においてよく知られており、テキストブックおよび科学文献に記載されている。これらは、当業者によって実施される標準的な手順である。1つ以上のステムループを形成することができるDNA配列は、微生物の関連遺伝子の転写の開始部位より7不対DNAヌクレオチド以上(すなわち、少なくとも7、例えば8、9、10または11)下流に導入される。ヌクレオチド変化の数および種類は、RNase E特異的なヌクレアーゼ切断部位を表す配列が形成されないという事実によって制限される。
「mRNAの安定性の増大」という用語は、mRNA配列の半減期の延長またはその分解の遮断/遅延を意味する。
導入すべきDNA配列(すなわち、mRNA安定化エレメント)は二本鎖ステムループを形成することができるどんな配列でもよく、すなわち、天然に存在する配列、または天然に存在する配列に由来する配列、もしくは当該技術分野においてよく知られた方法を用いて完全または部分的に合成された配列である。配列は任意の長さでよいが、好ましくは、最低15ヌクレオチド、より好ましくは23〜100ヌクレオチドからなる。ステムは、少なくとも6塩基対、好ましくは少なくとも10塩基対(ミスマッチヌクレオチドまたはバルジループが存在する可能性がある)からなるべきであり、ループは3〜30ヌクレオチドからなり得る。ズーカー(Zuker)(2003年、Nucleic Acids Res.31:3406−3415頁)によって開発されたアルゴリズムに従って計算されるステムループの熱力学的な安定性(ΔG)は、−2.8kcal/mol以下、好ましくは−5kcal/mol以下でなければならず、好ましくはそれよりも低い、すなわち−3、−4、−5または−6であり、好ましくは−7よりも低く、例えば−8、−9、−10、−11または−12kcal/molである。本発明の好ましい実施形態では、導入すべきDNA配列は、ゲノム配列または微生物のゲノムに由来する配列であり、すなわち同じまたは異なる微生物が所望の化合物を産生するために使用される。
本発明の特定の/好ましい実施形態では、DNA配列は、バチルス属(Bacillus)、特に枯草菌(B.subtilis)のゲノムに由来する。このような配列の例は、枯草菌(B.subtilis)の遺伝子cggR〜遺伝子gapA、遺伝子hrcA〜遺伝子grpE、遺伝子ilvN〜遺伝子ilvC、遺伝子aprE〜遺伝子yhfO、遺伝子ybdA〜遺伝子gsiBおよび遺伝子ytxC〜遺伝子thrSの配列、特に配列番号1〜6で表される配列において生じる連続的な配列である。「遺伝子・・・〜遺伝子・・・の配列において生じる配列」という用語は、これらの2つの遺伝子の間の配列を意味し、すなわち完全な配列またはその一部であり、遺伝子自体まで広がる配列が含まれる。
一般に、mRNA安定化エレメントを作成することができる天然に存在する核酸配列に対して少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、または最も好ましくは少なくとも90%相同であれば、核酸は本発明の範囲内にあると考えられる。このような相同性は、以下の条件下でサザンハイブリダイゼーション分析によって実験的に決定することができる:37〜42℃において、5×SSC、10〜50%のホルムアミド、1×デンハート液、100μg/mlの変性サケ精子DNA中でのハイブリダイゼーション。
配列番号1 cggR〜gapA遺伝子配列を表す。
配列番号2 遺伝子cggRとgapAとの間の特定の配列を表す。
配列番号3 hrcA〜grpE遺伝子配列を表す。
配列番号4 遺伝子hrcAとgrpEとの間の特定の配列を表す。
配列番号5 cggR〜gapA安定化エレメントがオペロンilvBNCにおいてilvB遺伝子の5’リーダー配列内に挿入された染色体DNA配列を表す。
配列番号6 hrcA〜grpE安定化エレメントがilvD遺伝子の5’リーダー配列内に挿入された染色体DNA配列を表す。
本発明の方法はパントテン酸の発現に関連して詳細に記載されるが、当業者は、微生物の代謝産物の産生、もしくは基質(例えば、グルコース)または前駆体(たとえば、ピルベート)を化合物に転化する遺伝子コードされた生合成酵素を利用する微生物細胞により合成される化合物および/またはタンパク質の産生を増大するため、あるいは任意のタンパク質の産生を増大するためにこの方法を広く適用できることを認識するであろう。
[実施例]
[一般的な方法論]
[菌株およびプラスミド]
本発明の枯草菌(Bacillus subtilis)株は、枯草菌(B.subtilis)168(trpC2)の誘導体である菌株CU550(trpC2 ilvC leuC)および1A747(SPβ、原栄養体)に由来する。菌株は両方とも、米国43210オハイオ州、コロンバスのオハイオ州立大学のBacillus Genetic Stock Centerから入手した。定型的なクローニングのために大腸菌(E.coli)株Top10(インビトロジェン(Invitrogen))を用いた。汎用性のクローニングベクターとしてプラスミドpUC18、pUC19、およびpBR322(New England Biolabs)を用いた。クロラムフェニコール(cat)、テトラサイクリン(tet)、エリスロマイシン(erm)、およびスペクチノマイシン(spec)に対する耐性を与える抗生物質耐性遺伝子は、プラスミドpC194(GeneBank M19465、Cat#1E17 米国43210オハイオ州、コロンバスのオハイオ州立大学のBacillus Genetic Stock Center)、pBC16(GeneBank X51366、Cat#1E9 Bacillus Genetic Stock Center)、pDG646およびpDG1726(グロット−フロイリー(Guerot−Fleury)ら、1995年、Gene 167:335−336頁)から得た。枯草菌(B.subtilis)バクテリオファージSPO1のP26およびP15プロモーター(リー(Lee)ら、1980年、Mol.Gen.Genet.180:57−65頁)はそれぞれ、プラスミドpUC18SP01−26およびプラスミドpX12の誘導体であるpXI23roDTD−SPO1−15から得た(ハムベリン(Huembelin)ら、1999年、J.Ind.Microbiol.Biotech.22:1−7頁)。
[培地]
枯草菌(B.subtilis)のための標準的な最少培地(MM)は、1×Spizizen塩、0.04%のグルタミン酸ナトリウム、および0.5%のグルコースを含有する。標準的な固体完全培地は、Tryptose Blood Agar Broth(TBAB、Difco)である。標準的な液体完全培地は、Veal Infusion−Yeast Extract broth(VY)である。これらの培地の組成は以下に記載される。
TBAB培地:33gのDifco Tryptose Blood Agar Base(カタログ#0232)、1Lの水、オートクレーブ処理。
VY培地:25gのDifco Veal Infusion Broth(カタログ#0344)、5gのDifco Yeast Extract(カタログ#0127)、1Lの水、オートクレーブ処理。
最少培地(MM):100mlの10×Spizizen塩、10mlの50%グルコース、1mlの40%グルタミン酸ナトリウム、qsp1Lの水。
10×Spizizen塩:140gのKHPO、20gの(NHSO、60gのKHPO、10gのクエン酸Na・2HO、2gのMgSO・7HO、水によりqsp1L。
VFB MMGT培地:100mlの10×VFB MM、100mlの0.5MTris(pH6.8)、44mlの50%グルコース、2mlの微量元素溶液、2mlのFe溶液、2mlのCaCl溶液、2mlのMg/Zn溶液、748mlの無菌蒸留水。
10×VFB最少培地(10×VFB MM):2.5gのNa−グルタミン酸、15.7gのKHPO、15.7gのKHPO、27.4gのNaHPO・12HO、40gのNHCl、1gのクエン酸、68gの(NHSO、qsp1Lの水。
微量元素溶液:1.4gのMnSO・HO、0.4gのCoCl・6HO、0.15gの(NHMo24・4HO、0.1gのAlCl・6HO、0.075gのCuCl・2HO、qsp200mlの水。
Fe溶液:0.21gのFeSO・7HO、qsp10mlの水。
CaCl溶液:15.6gのCaCl・2HO、qsp500mlの水。
Mg/Zn溶液:100gのMgSO・7HO、0.4gのZnSO・7HO、qsp200mlの水。
SMG培地:62.78gのMOPS、20gのCargill大豆粉(soy four)(200/20)、1mlのPSTE−1000X溶液、5gのNa−グルタミン酸および8gの(NHSO、735mlまでの水(pH7.2)、オートクレーブ処理(121℃で30分)。オートクレーブ処理の後、100mlの1MのK−リン酸緩衝液(pH7.2)、120mlの50%グルコース、10mlの1MのMgSO・7HO、1.4mlの1MのCaCl・2HOおよび35mlの無菌蒸留水を添加した。
PSTE−1000X溶液:0.2gのMnC1・4HO、0.15gのZnSO・7HO、0.2gのCoCl・6HO、0.025gのCuSO・5HO、NaMoO・2HO、qsp100mlの水。
抗生物質:アンピシリン(Amp)またはカナマイシン(Km)をそれぞれ100μg/mlおよび50μg/mlの濃度で用いて、LB複合培地で成長させた大腸菌(E.coli)細胞においてプラスミドを形質転換および増殖させた。抗生物質遺伝子含有DNAフラグメントを枯草菌(B.subtilis)に形質転換するために、5μg/mlのクロラムフェニコール(Cm)、15μg/mlのテトラサイクリン(Tc)および50μg/mlのスペクチノマイシン(Spec)を培地に添加した。エリスロマイシン(Erm)遺伝子選択のためには、1μg/mlのエリスロマイシン/25μg/mlのリンコマイシンの混合物を使用した。
[振とうフラスコにおけるパントテネートアッセイ:]
振とうフラスコ培養条件:VY豊富な培地中で一晩成長させた細胞培養物を用いて、VFB MMGT培地(1:100希釈)に播種した。細胞が約0.6〜0.8のOD600に到達するまで成長を監視し、その時点で同じ培地中にもう一度希釈し、OD600を0.03にした。さらに18時間成長を続行させ、その後サンプルを採取し、細胞を除去し、HPLCにより上澄みを分析した。あるいは、一晩成長させた細胞培養物を用いて、SMG培地に播種し、24時間成長させた後、HPLCにより上澄みを分析することもできる。
HPLCアッセイ:フェノメネックス(Phenomenex)LUNA C8カラムにおいて、サーモスタットで維持されたオートサンプラーおよびダイオードアレイ検出器を備えたアジレント(Agilent)1100HPLCシステムを用いてサンプルのクロマトグラフィを実施した。カラムの寸法は、150×4.6mm、粒径5ミクロンである。カラム温度は20℃で一定に保持した。移動相は、0.1%の酢酸(A)およびメタノール(B)の混合物である。15分間に1%のBから45%のBまで至る勾配溶離が適用される。流速は1ml/分である。220nmにおけるUV吸収を用いてパントテネートを監視し、約9.6分で溶出した。本方法の較正範囲は、1〜100mg/lのパントテネートである。
[分子および遺伝子技法]
標準的な遺伝子および分子生物学的技法は当該技術分野において一般に知られており、既に記載されている。DNA形質転換、PBS1普遍形質導入、および他の標準的な枯草菌(B.subtilis)遺伝子技法も当該技術分野において一般に知られており、既に記載されている(ハーウッド(Harwood)およびカッティング(Cutting)(編)、1992年、Molecular biological methods for Bacillus、ニューヨーク、John Wiley and Sons)。
[ノーザンブロット分析]
対数期のVFB MMGT培地において成長させた細胞(OD600=約0.6)を4℃で収集し、上澄みをデカントした後液体窒素中で直ちに凍結させた。全RNAを以下のように抽出した。氷冷したTE緩衝液(10mMのTris、1mMのEDTA、pH8.0)中にペレットを再懸濁させた。ビードビーター(bead beater)(BioSpec)内で2分間振とうさせることによって、マカロイド(macaloid)、フェノール/クロロホルム、SDSおよび酸洗浄したガラスビーズを含有する混合物中に細胞を溶解した。遠心分離の後、上澄みにフェノール/クロロホルム抽出を3回行った。2段階の沈殿および洗浄の後、全RNAをジエチルピロカーボネート(DEPC)処理したHO中に再懸濁した。デオキシリボヌクレアーゼI処理の後、RNeasy Midi Kit(キアゲン(Qiagen))を用いて全RNAを精製した。このステップで、tRNAのようなより小さいRNA分子を除去した。品質管理のために、一定分量の全RNAに1.2%アガロースゲル分析を行い、そして/あるいはRNA6000NanoChip(Agilent BioAnalyzer)において分析した。等量の全RNAを1.2%アガロースゲルに負荷し、電気泳動法により転写物を分離した。RNAをアガロースゲルからナイロン膜へ移した後、これらをDIG−標識化アンチセンスmRNAプローブに対して探索した。プローブは、プライマー対の使用によって、適切なT7ポリメラーゼ結合部位を含むPCR断片から作成した。これらのPCR断片からのプローブの作成、およびブロット化膜試験(blotted membrane testing)は、製造者の使用説明書に従ってDIGノーザン・スターター・キット(Northern Starter Kit)(Roche Diagnostics)を使用することにより開発した。
[実施例I]
[タンパク質合成の増大をもたらす枯草菌(B.subtilis)ilvDのネイティブプロモーターの下流でのmRNA安定化エレメントの導入]
安定化転写物から翻訳すべき遺伝子を発現する無改変プロモーターによって仲介されるタンパク質の過剰産生の可能性を分析するために、ネイティブilvDプロモーターとilvD遺伝子との間の5’非翻訳リーダー領域としてmRNA安定化エレメントを挿入した。PCRを用いて、枯草菌(B.subtilis)遺伝子ypgRとilvDとの間に存在する遺伝子間領域を含むDNA断片を作成した。ilvD翻訳開始コドンより21bp上流にBglIIおよびHindIII連続制限部位を含むように、519bpのこの断片を操作した。プライマーPilvD+7およびPilvD−2(表1)を用いて、ilvD翻訳開始コドンから250bpで始まるypgR−ilvD遺伝子間領域全体に及ぶ枯草菌(B.subtilis)DNAからの断片を増幅した。pCRXLTOPO(インビトロジェン)においてDNA断片をクローニングし、配列解析によってその同一性を確認し、EcoRI/BamHIカセットとしてベクター骨格から単離した。同様に消化されたプラスミドpDG1728(グロウト−フロイリー(Guerout−Fleury)ら、1996年、Gene 180:57−61頁)と連結した後、得られたpPA475プラスミドを枯草菌(B.subtilis)1A747において形質転換して菌株PA494をもたらし、これは、ilvDの推定上のRBSより上流にBglIIおよびHindIII部位を含む、amyE遺伝子内に組み込まれたlacZ遺伝子に転写的に融合されたilvDプロモーター領域の単一のコピーを含有した。第2のプロモータープローブを作成して、非翻訳リーダー配列としてのmRNA安定化エレメントの導入によるタンパク質産生における効果をさらに分析した。従って、プライマー2HrcLoop+および2HrcLoop−(表1)を用いるPCRによって、枯草菌(B.subtilis)染色体DNAからhrcA−grpE遺伝子間領域を含有するDNA断片を増幅した。合成した断片127bpをBglIIおよびHindIIIで消化し、BglII/HindIII消化pPA475DNAに連結した。次に、得られたプラスミドpPA477を1A747において形質転換し、スペクチノマイシン耐性について選択した。これにより、菌株PA517が産生された。菌株PA494およびPA517は、PA494が野生型5’非翻訳リーダー領域とのilvD−lacZ融合物を含有し、PA517が、hrcA−grpE RNA安定化エレメントを有する5’非翻訳リーダー領域とのilvD−lacZ融合物を含有することを除いて、同質遺伝子的な菌株である。当業者によく知られている標準的なONPGアッセイでは、最少培地の振とうフラスコ培養において48時間の成長の後、菌株PA517は、菌株PA494よりも4倍多いβ−ガラクトシダーゼ活性を産生した。β−ガラクトシダーゼ活性のこの増大は、ilvD構造遺伝子の前のhrcA−grpE安定化エレメントの存在にのみ起因し得る。
Figure 2009518019
[実施例II]
[高いパントテネート産生力価は、構成的に発現される外因性プロモーターまたはmRNA安定化エレメントを含有するネイティブプロモーターのいずれかを用いてIlvDタンパク質が過剰産生される場合に達成され得る。]
ネイティブプロモーターの制御下で発現されるmRNAの安定化により仲介される酵素過剰発現の代謝産物の産生における効果を、構成的に発現された強力なものの代わりにネイティブプロモーターを用いる従来技術において十分に記載されている方法と比較するために、枯草菌(B.subtilis)ilvD遺伝子より上流の染色体DNA領域を操作することによって2つの菌株を得た。第1の菌株を構築して、強力な構成的なSP01−26プロモーターの制御下でIlvDタンパク質を過剰発現させた。そうするために、パントテネートの生合成遺伝子panBCDおよびpanEのSP01−15プロモーター改変を含有する菌株CU550の誘導体である枯草菌(B.subtilis)PA49(P15panBCD P15panE)(国際公開第2004/113510号パンフレット)をさらに改変して、ilvD遺伝子(その発現はSP01−26プロモーターによって制御される)を含有させた。これを達成するために、ロング・フランキング・ホモロジー(Long Flanking Homology)PCR(LFH−PCR)の使用によって、まず枯草菌(B.subtilis)株1A747からilvDのプロモーター領域(ilvD)を欠失させた。プライマー対P1/ilvD/for、P2/ilvD/r/spおよびP3/ilvD/f/sp、P4/ilvD/rev(表2)、ならびにテンプレートとしての枯草菌(B.subtilis)1A747染色体DNAを用いて、PCR作成断片F1およびF2を得た。次に、これらの断片を、テンプレートとしてプラスミドpSPEC12flipからのスペクチノマイシン耐性遺伝子カセット(ウェイド(Wade)ら、1999年、J Bacteriol.181:4365−4373頁)を用いる第2のPCR反応においてプライマーとして用いた。この最終PCRのDNA産物を枯草菌(B.subtilis)1A747に形質転換し、スペクチノマイシン耐性(Spec)について選択した。多くのSpecコロニーを回収し、いくつかは、プライマーP1ilvD/forおよびP4ilvD/revを用いるPCR分析によってilvDプロモーター領域の欠失を有することを確認した。Specコロニーから単離したDNAを用いて4000bpのPCR断片(ilvDプロモーター領域の欠失の表示)を検出したが、非形質転換細胞からのDNA(欠失なし)は3000bp断片を生じた。また、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、およびバリン(Val)アミノ酸に対する予想される栄養要求性についてコロニーを試験し、全てのSpec、PCR陽性コロニーは、Ile、Leu、およびValアミノ酸が欠乏した最少培地において成長できなかった。1つのSpec、PCR陽性のIlv栄養要求体をPA24(P15panBCD P15panE ΔilvD::spec)と名づけ、さらなる使用のために保存した。次に、PA24のPBS1ライセートでPA49を形質導入し、スペクチノマイシン耐性(Spec)について選択した。Specコロニーを回収し、1つは、PCRおよびIlv栄養要求体によってΔilvD::spec変異を含有することを確認した。このコロニーは新たにPA60(P15panBCD P15panE ΔilvD::spec)と命名した。
次に、菌株PA24を用いて、SP01−26プロモーターの発現下でilvD遺伝子を作成した。プライマー対P1/ilvD/forおよびP2/ilvD/f/26、ならびにP3/ilvD/r/26およびP4/ilvD/rev(表2)をそれぞれ用い、枯草菌(B.subtilis)1A747染色体DNAをテンプレートとして用いるLFH−PCRによって、2つのDNA断片F1およびF2を作成した。次に、これらの断片を、テンプレートとしてSP01−26含有プラスミドpUC18SP01−26を用いる第2のPCR反応において用いた。この最終PCRのDNA産物をPA24に形質転換し、Ilv原栄養性について選択した。多くのIlvコロニーを回収し、P26プロモーター断片によるspec遺伝子の置換によって予想されるようにスペクチノマイシン耐性の耐性を失った(すなわち、Spec)ことを示した。さらに、プライマーP26−seqおよびP4ilvD/revを用いるいくつかのIlvSpecコロニーの診断PCR分析によりilvD構造遺伝子に隣接するP26プロモーターの存在を確認した。IlvSpecコロニーから単離したDNAを用いて2000bpのPCR断片(P26の存在の表示)を検出したが、非形質転換細胞からのDNA(SP01−26プロモーターなし)は、同じプライマーでPCR断片を生じなかった。非形質転換細胞からのDNAは、プライマーilvDwt−promおよびP4ilvD/revで2000bpのPCR断片(Pwtの存在の表示)を生じたが、IlvSpecコロニーからのDNAは、PCR産物を生じなかった。1つのIlvSpecPCR陽性コロニーを新たにPA27(P26ilvD)と命名した。次に、当業者によって既知の方法を用いるPBS1形質導入によって、P26ilvD改変遺伝子を枯草菌(B.subtilis)PA60(P15panBCD P15panE ΔilvD::spec)に移した。Ilv原栄養性について選択し、Specコロニーから選別することによって、ΔilvD::specをP26ilvDで置換し、菌株PA62(P15panBCD P15panE P26ilvD)をもたらした。PA62の染色体P26ilvD領域のDNA配列決定はilvDコード領域内の単一の点変異を検出し、これは、残基320にGlyからAspへのアミノ酸変化を生じた。次に、当業者によく知られた方法を用いて、まずこの変異を包含するilvD遺伝子の内部セグメントを除去し、PA62の栄養要求性のIlvD変異体(PA64と改名)を作成し、次に、野生型染色体DNAを用いてPA64をIlv原栄養性に換えることによって、ilvDコード配列を野生型に回復させた。これにより、菌株PA73(P15panBCD Pl5panE P26ilvD)が作成された。
PA73と同質遺伝子的であるが、ilvD遺伝子とそのネイティブプロモーター(強力な構成的なプロモーターの代わりに)との間に無改変ilvD遺伝子プロモーター領域およびmRNA安定化エレメントを含有する第2の菌株は、以下のように構築した。3つの重複DNA断片、272bp断片F1、1683bp断片F2および1102bp断片F3をそれぞれPCRによって作成した。断片F1は、テンプレートとしてプラスミドpPA477、そしてプライマーとして合成オリゴヌクレオチドPilvDHrcLoop−およびPilvDUP+(表2)を用いることによって得た。断片F2は、テンプレートとして枯草菌(B.subtilis)168染色体DNA、そしてプライマーとして合成オリゴヌクレオチドP4/ilvD/revおよびHrcALoopPilvD+(表2)を用いることによって得た。断片F3は、テンプレートとして枯草菌(B.subtilis)168、そしてプライマーとして合成オリゴヌクレオチドPilvDUP−およびP1/ilvD/for(表2)を用いることによって得た。断片F1およびF3をアガロースゲルにより精製し、混合し、プライマーとしてオリゴヌクレオチドPilvDHrcLoop−およびP’1ilvDを含むさらに第4のPCR反応においてテンプレートとして使用した。これにより、1354bpの断片F13が作成された。断片2をゲル精製し、断片F1と混合し、プライマーとしてオリゴヌクレオチドPilvDUP+およびP’4ilvDを含む第5の反応において混合物をテンプレートとして用いた。これにより、1935bpの断片F12が作成された。断片F12およびF13をpCRXLTOPO(インビトロジェン)において製造業者の使用説明書に従ってクローニングした。これにより、プラスミドpF12(pCRXLTOPOにおいてクローニングされた断片F12)およびpF13(pCRXLTOPOにおいてクローニングされた断片F13)が作成された。テンプレートとしてpF13、そしてプライマーとしてオリゴヌクレオチドPilvDHcrl3+およびPilvDHcr13−を用いてもう一度断片F13を増幅した。これにより、断片F13 2が作成された。断片F13 2をPstIおよびXbaIで消化し、同様に消化されたpUC19プラスミド(New England Biolabs)に連結した。これによって、プラスミドpUCPilvDHcr13が得られた。KpnIおよびXbaIによる消化の後、断片F12を同様に消化されたプラスミドpUCPilvDHcr13に連結した。連結混合物をPA60コンピテント細胞内に直接形質転換し、このように菌株PA590が得られた。SMG培地における振とうフラスコ分析によって、PA49については1.7g/l、PA73については2.5g/l、そしてPA590については2.6g/lの産生力価が明らかになり、安定化転写物を有する操作菌株は、構成的に発現された強力なプロモーターで操作されたものと同様の力価をもたらすことができると証明された。
Figure 2009518019
[実施例III]
[ilvオペロンのネイティブプロモーターより下流でのmRNA安定化エレメントの導入は、タンパク質の合成を増大する。]
mRNA安定化エレメントがタンパク質の過剰産生を誘発する能力は、もう1つのネイティブプロモーター発現遺伝子がパントテネート合成に関与する環境下で試験した。そうするために、非翻訳リーダー領域を含むilvBのプロモーター領域(ilvB)を操作して、その後の改変を可能にする2つの制限部位を含有させた。2つの制限部位は、ilvB構造遺伝子翻訳開始コドンより474bp(PshAI)および7bp(NheI)上流に位置した。プライマー対PilvUP2+、PilvUP−およびPilv+、Pilv−(表3)によって枯草菌(B.subtilis)168染色体DNAから2つの重複PCR断片を作成した。第3のPCR反応によりプライマーとして2つのより短い重複断片を用いて単一のDNA断片を作成するように構築した後、製造業者の使用説明書に従ってpCRXLTOPO(インビトロジェン)において、得られた断片をTAクローニングし、その配列を確認した。次に、EcoRI/BamHI消化によってクローン化断片を除去し、当業者に既知の手順に従ってlacZプロモータープローブベクターpDG1728にサブクローニングし(グロウト−フロイリー、1996年、Gene 180:57−61頁)、プラスミドpPA415が得られた。このプラスミドを次に枯草菌(B.subtilis)1A747において形質転換し、スペクチノマイシン耐性について選択し、PilvB*−lacZ融合物をamyE染色体座位に組み込み、菌株PA431を作成した。
mRNA安定化エレメントを含有するようにプラスミドpPA415をさらに改変した。これを達成するために、このプラスミドをPshAI/NheIで消化して、ilv−leuリーダー領域を、ベクター配列の残部、ilvBネイティブプロモーター領域および上流領域、ならびにlacZ構造遺伝子セグメント(すなわち、骨格断片)から解放した。この骨格DNA断片を精製し、mRNA安定化DNA配列(すなわち、安定化エレメント、メインケン(Meinken)ら、2003年、Microbiology 149:751−76頁)を内部に有する枯草菌(B.subtilis)cggR−gapA領域を含有する配列に連結した。プライマー対CggRLoop+/CggRLoop−(表3)を用いることにより枯草菌(B.subtilis)168からこの断片をPCR増幅し、精製し、PshAIおよびNheIにより消化した。連結したDNAを、アンピシリン耐性について選択する大腸菌(E.coli)コンピテント細胞に形質転換した。この結果、ilvBプロモーターとlacZレポーター遺伝子との間の非翻訳リーダー領域がcggR−gapA RNA安定化エレメント(すなわち、PilvΩcggR−gapA−lacZ)によって置換されたプラスミドpPA422がもたらされた。PilvΩcggR−gapA−lacZカセットを枯草菌(B.subtilis)のamyE染色体座位に挿入するために、次に、pPA422プラスミドDNAを1A747に形質転換し、スペクチノマイシン耐性について選択した。これによって、菌株PA432がもたらされた。指数関数的に成長させた最少培地を含有する振とうフラスコ培養物と共に開発された標準的なONPGアッセイにおいて、菌株PA432は、cggR−gapA遺伝子間領域がなくても、野生型プロモーター融合物(すなわち、PilvB*−lacZ)を含有する同質遺伝子的な菌株PA431よりも7倍高いβ−ガラクトシダーゼレベルを産生した。
Figure 2009518019
[実施例IV]
[そのネイティブプロモーター、および5’リーダー領域を有する外因性mRNA安定化エレメントを用いてilvBNC−leuABCDオペロンを発現する菌株は、構成的に強力な外因性プロモーターの転写制御下でilvBNC−leuABCDオペロンを含有する菌株と同様のタンパク質レベルを達成することができる。]
ネイティブilvBプロモーターを強力な構成的プロモーターで置換するために、あるいはネイティブilvBプロモーター領域とilvB構造遺伝子との間にmRNA安定化エレメントを導入するために、まずネイティブilvBプロモーター領域(PilvB)の欠失を以下のように構築した。PilvBの上流および下流の枯草菌(B.subtilis)染色体セクションによって隣接されたクロラムフェニコール(cat)耐性遺伝子カセットを含有するプラスミドを初めに構築した。これを達成するために、枯草菌(B.subtilis)168から、テンプレートとして染色体DNAおよびプライマーysnD3−およびysnD+(表4)を用いるPCRによって、ysnD遺伝子(PilvBプロモーターより上流に位置する)の5’末端を含有するDNA断片を合成した。第2のPCRで作成されたcat耐性コード化遺伝子を含む断片は、プライマーilvBCat+およびilvBCat−(表4)、ならびにプラスミドpDG1661(グロウト−フロイリーら、1996年、Gene 57−61頁)をテンプレートとして用いて調製した。この断片は、ysnD含有PCR断片の3’末端と重複する。精製した後、プライマーilvBCat+およびysnD3−による第3のPCR反応において両方のPCR断片をテンプレートとして使用して、ysdD’−cat断片が得られた。第4のPCR反応を用いて、PilvBより下流のilvB構造遺伝子の5’末端を増幅した。このようにしてプライマーilvB+およびilvB−(表4)の使用によって、枯草菌(B.subtilis)168染色体DNAからPCR産物を得た。製造業者の使用説明書に従い、pCXLTOPOキット(インビトロジェン)によってこのilvB’断片をクローニングした。クローン化断片を、KpnI/SacI断片としてpUC19(New England Biolabs)にサブクローニングした。制限分析によってその完全性を確認した後、ilvB’セグメントより上流に上記のysnD’−cat断片を挿入し(BamHI/KpnI部位を用いて)、最終プラスミドpPA401が得られた。cat遺伝子配列がKpnI/MluI消化によってysnD’−cat−ilvB’カセットから除去され、他の任意のDNAエレメントによって置換されるような形でこのプラスミドを操作した。次に、プラスミドpPA401を枯草菌(B.subtilis)原栄養性の野生型菌株(1A747)およびパントテネート産生株(PA73)に形質転換し、クロラムフェニコール耐性について選択した。Cmコロニーは、Ilv栄養要求体(すなわち、バリン、ロイシン、およびイソロイシンアミノ酸を添加しないと最少培地で成長することができない細菌)であることが分かった。得られた菌株をPA401(Δilv::cat)およびPA441(P15panBCD P15panE P26ilvD Δilv::cat)と名づけた。
そのネイティブプロモーター(しかし、改変されたリーダー領域を含む)の制御下でilv−leuオペロンを含有する菌株を作成するために、プライマーPilvUP3+およびCggRLoop2−、ならびにテンプレートとしてのpPA422プラスミドDNA(上記を参照)によるプラスミドpPA422(上記を参照)からのPCRによって、PilvΩcggR−gapAカセットを含有するDNA断片を増幅した。このようにして作成されたPCR断片をKpnI/MluIで消化し、pPA401の精製したKpnI/MluIcatを含有しない断片(すなわち、構造、5’−KpnI−ysnD−ベクター複製配列−ilvB’−MluI−3’を有するDNA断片)に連結した。連結混合物をPA441に直接形質転換し、Ile、Val、またはLeuアミノ酸の補給のない最少培地における成長についてコロニーを選択した。多くのIlvコロニーが得られ、いくつかの遺伝的背景をPCRにより確認した。これらに加えて、IlvPCRコロニーも、PilvBプロモーター−mRNA安定化エレメント領域によるcat遺伝子の置換の予想通りクロラムフェニコール(Cm)に対して感受性であった。1つのIlvPCRCmコロニーを更なる研究のために保存した(PA445)。
SP01−26(P26)の制御下でilv−leuオペロンを含有する菌株を作成するために、プライマーP26+1およびP26−ならびにテンプレートとしてpUC19SP01−26プラスミドDNAを用いて、P26プロモーターを含有するDNA断片をまずPCR増幅した。得られるDNA産物をKpnI/MluIで消化し、pPA401の精製KpnI/MluIcatを含まない断片(すなわち、厳密な、5’−KpnI−ysnD−ベクター複製配列−ilvB’−MluI−3’を有するDNA断片)に連結した。連結混合物をPA401(Δilv::cat)に直接形質転換し、Ile、Val、またはLeuが補充されない最少培地における成長についてコロニーを選択した。多くのIlvコロニーが得られ、いくつかの遺伝的背景をPCRにより確認した。これらに加えて、IlvPCRコロニーも、cggR改変PilvBプロモーター領域によるcat遺伝子の置換の予想通りクロラムフェニコール(Cm)に対して感受性であった。1つのIlvPCRCmコロニーを保存し、PA402と名づけた。DNA配列決定により、ilvBプロモーター領域(すなわち、PilvΩcggR−gapAilvBNC−leuABCD)より下流にcggR−gapA mRNA安定化エレメントが挿入された改変ilv−leuオペロンの存在が確認された。次に以下のような方法でPBS1普遍形質導入を用いて、PilvΩcggR−gapAilvBNC−leuABCDオペロンをパントテネート産生菌株PA73に移した:PA402および当業者に既知の方法を用いてPBS1ファージライセートを調製した。このライセートを用いてPA441を感染させ、Ile、Val、またはLeuの補給のない最少培地における成長についてコロニーを選択した。多くのIlvコロニーが得られ、いくつかの遺伝的背景をPCRにより確認した。これらに加えて、IlvPCRコロニーも、PilvBプロモーター−mRNA安定化エレメント領域によるcat遺伝子の置換の予想通りクロラムフェニコール(Cm)に対して感受性であった。さらなる研究のために1つのIlvPCRCmコロニーを保存した(PA444)。
二次元タンパク質ゲルを用いて、強力な構成的SP01−26プロモーターおよび野生型5’非翻訳リーダー領域を含有する菌株PA444と、野生型プロモーターおよびcggR−gapA RNA安定化エレメントで改変された5’非翻訳リーダー領域を含有する菌株PA445との間で、当業者に既知の方法を用いてilv−およびlew−コード化遺伝子のタンパク質合成のレベルを比較した。PA444およびPA445の両方において、親PA73菌株に関してタンパク質レベルの著しい増大が観察された。
PA444−IlvB56%、IlvC473%、LeuA271%、LeuB579%、LeuC153%、およびLeuD306%、
PA445、IlvB60%、IlvC648%、LeuA274%、LeuB499%、LeuC195%、およびLeuD523%。
これらの結果から、ilv−leuオペロンからの遺伝子によってコードされたタンパク質レベルの増大は、PA444およびPA445の両方の菌株について同じ範囲内であると結論付けることができる。
Figure 2009518019
[実施例V]
[内在性mRNA安定化エレメントの導入は、ネイティブプロモーターによりコードされるmRNAの転写物存在量を増大することができる。]
PA444およびPA455は、ilv−leuオペロンの転写を制御する、異なるDNAエレメントの存在を除いて同質遺伝子的な菌株である。PA444は強力な構成的SP01−26プロモーターおよび野生型5’非翻訳リーダー領域を含有し、PA445は、野生型プロモーターおよびcggR−gapA RNA安定化エレメントを有する改変5’非翻訳リーダー領域を含有する。ilv−leuオペロンの転写に対するに対する2つの異なるDNAエレメントの効果を分析するために、標準ノーザンブロットを用いて、両方の菌株のmRNA転写プロファイルを分析した。プライマーIlvBFor/IlvBRev(IlvBプローブ)、IlvCFor/IlvCRev(IlvCプローブ)、およびLeuDFor/LeuDRev(LeuDプローブ)(表5)を用いて得られるPCR断片からのilvB、ilvC、およびleuD遺伝子に対する標識化アンチセンスmRNAプローブを作成し、標準条件下、変性アガロースゲル上で分離される全RNAに対して別々にハイブリッド形成した。結果は、2つの菌株が異なる転写物プロファイルを生じたことを示した。ilvBおよびilvCプローブの両方とハイブリッド形成するが、leuDプローブとはハイブリッド形成しない高存在量の3.5kbのmRNA種をPA445全RNAにおいて検出したが、PA444全RNAでは検出しなかった。マーダー(Maeder)らによると、この3.5kb転写物はilvB、ilvN、およびilvC遺伝子を包含し、野生型細菌からの全RNAからは検出されない(マーダーら、2004年、J.Bacteriol.186:2240−2252頁)。さらに、このRNA種はPA445において検出されないので、当業者は、このmRNA種の存在量の増大が、cggR−gapA DNAエレメントによるmRNAメッセージの安定性を増大することによって生じたものであり、転写のレベルを増大することによってではないことを認識するであろう。
同様に、8.5kbおよび2.5kbの2つの付加的な転写物の存在量は、菌株PA444よりもPA445において大きかった。2.5kb転写物はilvBプローブとハイブリッド形成するがilvCおよびleuDプローブとはしないので、このmRNAはilvBおよびilvN遺伝子を包含すると結論付けることができる。8.5kb転写物はleuDプローブとハイブリッド形成するので、ilv−leuオペロン全体を包含するはずである。上記と同じ論拠を用いて、PA444よりもPA445においてより大きいこれらの2つのRNA種の存在量はこれらのより高い安定性にのみ起因し、そしてこれはilv−leuオペロンの5’リーダー配列へのcggR−gapAエレメントの導入の結果として生じるに違いない。
Figure 2009518019
[実施例VI]
[mRNA安定化エレメントの使用によるilvBNC−leuABCDオペロンでコードされたタンパク質のレベルの増大は、枯草菌(B.subtilis)細胞におけるパントテネートの産生を増大させる。]
菌株PA73、PA444、およびPA445をVFB MMGT最少培地を含有する振とうフラスコ培養におけるパントテネート産生について評価し、48時間成長させた。これらの振とうフラスコ培養から調製した無細胞の上澄みのHPLC分析によって、以下のレベルのパントテネートの存在が明らかになった。
PA73、550mg/l、
PA444、150mg/l、
PA445、750mg/l。
結果は、構成的な強力プロモーターによるilvBNC−leuABCDオペロンの転写レベルの増大は親菌株よりも低いパントテネートの産生をもたらすことを示した。逆に、cggR−gapA安定化エレメントによるilvBNC−leuABCDmRNA転写物の安定性の増大は、PA73親菌株により生じるよりも高いパントテネート力価をもたらした。タンパク質含量はPA444およびPA445の両方においてほぼ同一であることが示されたので、cggR−gapA安定化を用いるilvBNC−leuABCD転写物の安定性の増大は、パントテネート産生の強化において、構成的なSPO1プロモーターの使用により転写のレベルを増大するよりも効果的であった。この結論と十分に一致して、菌株PA444はPA445よりもゆっくり成長し、長期の成長の間に、より高い細胞溶解速度を有した。
[実施例VII]
[mRNAの安定化は、枯草菌(B.subtilis)におけるRNase E活性とは無関係である。]
枯草菌(B.subtilis)株168は、推定では大腸菌(E.coli)RNase Eの機能的相同体をコードする2つの遺伝子(ymfAおよびykqC)を含有すると記載されている。菌株SSB348は、野生型枯草菌(B.subtilis)168の誘導体であり、遺伝子ymfAが欠失され、ykqC発現は、IPTG(イソプロピルガラクトピラノシド)誘導性プロモーター(Pspac)の制御下に置かれる(エベン(Even)ら、2005年、Nucleic Acids Res 33:2141頁)。菌株PA431、PA432、PA494、およびPA517から抽出したDNAで菌株SSB348を形質転換し、それぞれ、菌株PA602(ネイティブilvBプロモーターシグナルの制御下で発現されたilvB−lacZ融合物)、PA603(ネイティブilvBプロモーターシグナルの制御下で発現された5’末端におけるcggR−gapA mRNA安定化エレメントの付加によって、安定化転写物として発現されたilvB−lacZ融合物)、PA604(ネイティブilvBプロモーターシグナルの制御下で発現された5’末端におけるcggR−gapA mRNA安定化エレメントの付加によって安定化転写物として発現されたilvB−lacZ融合物)、およびPA605(5’末端におけるhrcA−grpE安定化エレメントの組み込みによって安定化転写物としてネイティブプロモーターシグナルilvD遺伝子の制御下で転写されたilvD−lacZ融合物)をもたらした。37℃で18時間の25ml振とうフラスコ培養において各菌株を成長させ、標準(ONPGアッセイ)法を用いてβ−ガラクトシダーゼレベルを測定した。これらの結果は表6で要約される。各菌株において、IPTG誘発の存在または不在下で細胞が成長される場合に、β−ガラクトシダーゼレベルの差は少しも観察されなかった。これらの結果は、遺伝子ymfAおよびykqCによりコードされる活性が、枯草菌(B.subtilis)におけるmRNA安定化エレメントの機能のために必要とされないことを実証する。
Figure 2009518019
[実施例VIII]
[mRNA安定化により仲介される強化されたタンパク質合成に対する安定化エレメントの二次構造および不対5’配列の長さの効果。]
シャープ(Sharp)およびベックホファー(Bechhofer)(2005年、Molecular Microbiology 57:484−495頁)は、枯草菌(B.subtilis)における効率的なmRNAの安定化のために、(i)5’末端二次構造が、極小値(−2.8および−4.7kcal/mol)未満の自由エネルギー(ΔG)を有さなければならないこと、ならびに(ii)転写物の5’末端から4および7不対ヌクレオチド(nt)に満たない位置にあることを実証した。4つの不対ヌクレオチド(ermC安定化エレメントにおいて)および7つの不対ヌクレオチド(SP82安定化エレメントにおいて)の存在は、安定化の完全な損失をもたらす。
実施例IIIにおいて、lacZレポーター遺伝子より上流にcggR−gapA mRNA安定化エレメントを含有するPA432(PilvΩcggR−gapA−lacZ)は、野生型ilvBプロモーターlacZ融合物(PilvB−lacZ)のみを含有する同質遺伝子的な菌株PA431よりも7倍多いβ−ガラクトシダーゼを産生することが示された。PA432において、cggR−gapA mRNA安定化エレメントの2つの安定化ステムループ構造はlacZ転写物の+1転写開始部位より93ヌクレオチド下流に位置した。cggR−gapA安定化エレメントの二次構造を予想するため、そして転写物の5’末端における不対配列の長さを決定するために、ズーカー(Zuker)(2003年、Nucleic Acids Research 31:3406−3415頁)のmfold構造予測プログラムを用いてPA432におけるlacZ mRNAのリーダー領域を分析した。260ntリーダー領域(+1転写開始からlacZの翻訳のためのspoVGRBS配列までであるが、これは含まない)は、8個の不対ヌクレオチドを転写物の5’末端に含有し、そして非常に弱いステムループ(ΔG=−0.5kcal/mol)が続く。cggR−gapA安定化エレメントの第1の安定化ステムループ(SL1)(ルートヴィヒ(Ludwig)ら、2001年、Molecular Microbiology 41:409−422頁における予測構造)は、PA432では切断された。切断されたSL1(SL1T)は、ΔG=−4.8kcal/mol、二本鎖ステムに8nt、1ntのバルジループ、および3ntのヘアピンループという特徴を有した。
mfoldプログラムを用いて、SL1安定化ステムループ(ΔG=−11.6kcal/mol、二本鎖ステムに11nt、2ntのバルジループ、および3ntのヘアピンループ)は、PA432においてlacZ mRNAの277ntのリーダー領域(配列番号47)から75nt(+19nt〜+93nt)を除去することによって回復され得ることが予測された。SL1がSL1Tよりも高いmRNA安定化レベルを与えるかどうかを試験するために、lacZより上流に、cggR−gapA#10と呼ばれるリーダー欠失誘導体を構築した。まず、cggR−gapA安定化エレメントを含有する130bpのPCR産物を、pPA422をテンプレートDNAとして用いてプライマーGAP#10−FORおよびGAP#10−REV(表7)により増幅した。PCR産物をPshAIおよびNheI酵素で消化し、pPA415プラスミドのPshAIおよびNheI部位にクローニングした。大腸菌(E.coli)TOP10の形質転換の後、AmpおよびSpec形質転換体を選択した。次に、得られたpBest10を枯草菌(B.subtilis)1A747に形質転換し、Specについて選択し、PilvΩcggR−gapA#10−lacZ融合物をamyE染色体座位に組み込んで、菌株BE10を作成した。振とうフラスコアッセイでは、培養物をLB培地および最少培地の両方において成長させ、BE10(PilvΩcggR−gapA#10−lacZ)菌株は、同質遺伝子的な菌株PA432(PilvΩcggR−gapA−lacZ)と同等レベルのβ−ガラクトシダーゼを産生した。データは、cggR−gapAエレメントにより仲介される効率的なmRNA安定化が、(i)5’終端から安定化配列までの距離(19nt対93nt)、および(ii)二次構造の強度(SL1T対SL1安定化ステムループ)に無関係であることを示した。
不対5’末端ヌクレオチドの効果を研究するために、PA432におけるlacZ mRNAの277ntリーダー領域から39nt(+180nt〜+218nt)を除去(配列番号47)し、cggR−gapA#14と呼ばれる238ntリーダー欠失誘導体の構造を、mfoldプログラムを用いて予想した。277ntのオリジナルリーダー配列は8個の不対ヌクレオチドを含有し、cggR−gapA#14欠失リーダーは転写物の5’末端に16個の不対ヌクレオチドを含有した。cggR−gapA#14欠失リーダーを有する枯草菌(B.subtilis)変異体を構築するために、まず、pPA422プラスミドにおいて安定化エレメントとlacZ遺伝子との間でBamHI消化により39bp断片を除去した。消化されたプラスミドの自己連結および大腸菌(E.coli)TOP10の形質転換の後、AmpおよびSpec形質転換体を選択した。次に、得られたpBest14を枯草菌(B.subtilis)1A747に形質転換してSpecについて選択し、PilvΩcggR−gapA#14−lacZ融合物をamyE染色体座位に組み込み、菌株BE14を作成した。振とうフラスコアッセイにおいてLB培地および最少培地の両方で細菌培養物を成長させ、BE14(PilvΩcggR−gapA#14−lacZ)菌株は、同質遺伝子的な菌株PA432(PilvΩcggR−gapA−lacZ)と同等レベルのβ−ガラクトシダーゼを産生した。データは、16の不対ヌクレオチドがBE14菌株においてlacZ転写物の5’末端にある場合に効率的なmRNAの安定化が達成されることを示した。
Figure 2009518019

Claims (20)

  1. ステムループを形成することができ、そして1つ以上の遺伝子からのmRNA転写物の安定性を増大することができるDNA配列を、コード化DNA遺伝子配列の5’末端に導入することによって、前記構造遺伝子配列の転写を制御するネイティブプロモーターシグナルを強化することなく、微生物における所望の化合物の産生を増大するための方法であって、
    ループ形成DNA配列が、微生物の関連遺伝子の転写の開始部位より7DNAヌクレオチドまたはそれ以上下流に導入されることを特徴とする方法。
  2. 前記ステムループ形成DNA配列が天然に存在する請求項1に記載の方法。
  3. 前記DNA配列が、以下の特性:
    少なくとも6塩基対の二本鎖ステム構造および3〜30ヌクレオチドのヘアピンループ構造と、
    −2.8kcl/mol以下である前記構造の計算された熱力学的安定性(ΔG)と
    を有する1つ以上のステムループ二次構造を形成する最低15ヌクレオチドからなる請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ループ形成DNA配列が、微生物の染色体に由来する請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記微生物がバチルス属(Bacillus)である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記微生物が枯草菌種(Bacillus subtilis)である請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記DNA配列が、遺伝子cggR〜遺伝子gapAの配列、遺伝子hrcA〜遺伝子grpEの配列、遺伝子ilvN〜遺伝子ilvCの配列、遺伝子aprE〜遺伝子yhfOの配列、遺伝子ybdA〜遺伝子gsiBの配列、および遺伝子ytxC〜遺伝子thrSの配列からなる群の一員において生じる連続的な配列からなる、枯草菌(Bacillus subtilis)の染色体ヌクレオチド領域であると定義される請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記DNA配列が、枯草菌(Bacillus subtilis)の天然に存在する遺伝子cggR〜遺伝子gapAの配列、好ましくは遺伝子cggRの3’末端およびcggR遺伝子の終止コドンより10ヌクレオチド以上下流の配列であり、配列番号1またはその一部によって表される請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記DNA配列が配列番号2である請求項8に記載の方法。
  10. 前記DNA配列が、配列番号3で表される枯草菌(Bacillus subtilis)の天然に存在する遺伝子hrcA〜遺伝子grpEの配列、好ましくはこれらの遺伝子の間の配列である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記DNA配列が配列番号4である請求項10に記載の方法。
  12. 前記DNA配列が配列番号5または配列番号6である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  13. 微生物の関連遺伝子の転写の開始点より7DNAヌクレオチドまたはそれ以上下流に導入されたDNA配列から転写される安定化エレメントをその5’末端に含有することを特徴とするmRNA配列。
  14. 前記安定化エレメントがステムループであり、以下の特性:
    少なくとも6塩基対の二本鎖ステム構造および3〜30ヌクレオチドのヘアピンループ構造と、
    −2.8kcal/mol以下である前記構造の計算された熱力学的安定性(ΔG)と
    を有する1つ以上のステムループ二次構造を形成する最低15ヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項13に記載のmRNA配列。
  15. 微生物による転写の際に、請求項13または14に記載の安定化mRNA配列を形成するDNA配列。
  16. 配列番号1〜6のいずれか1つを特徴とするDNA配列。
  17. 請求項15または16に記載のDNA配列を含む形質転換微生物。
  18. 微生物における所望の化合物の産生を増大するための請求項13または14に記載の安定化mRNA配列の使用。
  19. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法において、1つ以上の遺伝子からのmRNA転写物の安定性を増大するための請求項15または16に記載のDNA配列の使用。
  20. 特に実施例に関連して以下に記載されるような発明。
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