JP5641297B2 - 構成型プロモーター - Google Patents

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本発明は、放線菌より単離した誘導基質を必要としない構成型プロモーターを単離し、そのプロモーター遺伝子を含む組換えDNAベクター、該ベクターにより形質転換された宿主細胞によりタンパク質を産生させる方法に関する。
組換えタンパク質は、大腸菌をはじめとして原核細胞から真核細胞に至る異なる細胞を宿主としてその生産系が構築されており、多岐にわたる有用タンパク質の生産が行われている(Gellissen ed., “Production of Recombinant Proteins”, Wiley-VCH(2005))。
コリネバクテリウム亜目(Corynebacterineae)に分類されるロドコッカス属、マイコバクテリウム属及びゴルドニア属に属する細菌では各種ベクターが開発されているが、ロドコッカス属細菌であるロドコッカス・エリスロポリスでは、汎用型宿主-ベクター系が開発され、大腸菌等では生産が困難なタンパク質等の発現が可能であるほか(Nakashima and Tamura, Biotechnol. Bioeng., 86:136-148(2004); 特許第3793812号公報; Begum et al., Protein Pept. Lett., 15:709-712(2008); Okada et al., Acta Crystalogr. D Biol. Crystallogr., 64: 198-205(2008); Ota et al., FEBS J., 275:5865-5872(2008))、生産したタンパク質を回収するため細胞壁の破砕効率を高めたリゾチーム感受性株も発明されており (Mitani et.al., J. Bacteriol., 187(8), 2582-2591(2005); 特許3876310号公報)、大腸菌同様の汎用性が高い発現プラットフォームとしての利用が期待されている。
また、ロドコッカス属細菌は大腸菌では生存が困難な環境でも増殖可能であることから、細胞内に機能タンパク質を発現・蓄積させた高機能型細胞を構築し、難分解性化合物の分解をはじめとする環境浄化への利用(Kimura et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 73, 474-484(2006)))や化学物質の生産や変換など微生物変換技術への利用が期待できる(Yasutake et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 361:876-882 (2007); Fujii et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 385:170-175(2009)。
上記の用途を含め多様な目的に対応するロドコッカス属細菌を宿主とした宿主-ベクター系の開発が行われており(特許文献1〜8を参照)、外来タンパク質を発現するための発現ベクターに使用されるプロモーターとしては、例えば抗生剤チオストレプトンにより誘導される誘導型プロモーター(Ptipプロモーター)(非特許文献1及び特許文献9を参照)などが知られている。一方、遺伝子を恒常的に発現させる構成型プロモーターとしては、rRNAプロモーターや構成的に発現している任意の遺伝子から取得したプロモーターなどが使用されている。しかしながらそれらのプロモーター活性は誘導型プロモーターに比較して低く、タンパク質の発現量としても低い場合がある。実際、誘導型プロモーター(Ptipプロモーター)からの改変により得られた構成型プロモーター(Pnitプロモーター)を利用した発現系でも、誘導プロモーターに対してタンパク質発現量が約半分程度である事が確認されている(非特許文献2及び特許文献10を参照)。
ロドコッカス属細菌をタンパク質生産のプラットフォームとして使用した場合、大腸菌を宿主とした組換えタンパク質発現系と比較して細胞内発現量が低い場合が多く、タンパク質蓄積量を高めるための強いプロモーターの取得が必要である。
また、ロドコッカス属細菌を物質生産や分解のための触媒反応の場として利用した場合、効率よい触媒能を持たせるためには触媒酵素を単に過剰発現するだけでは済まない場合がある。特に、代謝系酵素は代謝産物によるフィードバック阻害を受けることがあるので、その際には触媒に関与する遺伝子発現量の高低を制御する必要がある。発現量の高低を長時間制御するには、誘導型プロモーターは容易ではなく発現量が一定である構成型プロモーターを使う方が望ましい。構成型プロモーターを利用した遺伝子発現量の制御には、トランスポゾンを利用した染色体DNAへの遺伝子挿入技術(非特許文献3を参照)を利用し、目的とする遺伝子の発現カセットをゲノムに挿入し(非特許文献4を参照)、更にはそのコピー数をコントロールすることで成し得ることが可能である(非特許文献5を参照)。
一方、例えば上記構成型プロモーター(Pnit)とは異なる活性を示す構成型プロモーターが取得できれば、ゲノム挿入型発現カセットへの応用のみならず細胞内コピー数が同等の2種の発現ベクターに転写活性の異なる構成型プロモーター支配下に遺伝子を発現することで発現量を調節することが可能になり、遺伝子発現量をより多様に制御できる。
特開2008-154552号公報 特開2006-180843号公報 特開2006-50967号公報 特表2004-517623号公報 特開2003-144166号公報 特開平10-248578号公報 特開平8-56669号公報 国際公開第WO2008/072547号パンフレット 特許第3793812号公報 特許第3944577号公報
Nakashima and Tamura, Biotechnol. Bioeng., 86, 136-148(2004) Nakashima and Tamura, Appl. Environ. Microbiol., 70, 5557-5568(2004) Sallam et al., J. Biotechnol., 121(1), 13-22(2006) Sallam et al., Gene, 386(1-2), 173-182(2007) Sallam et al., Appl. Environ. Microbiol., 76: 2531-2539(2010)
従って、本発明の目的は、ロドコッカス属細菌において発現ベクターやゲノム挿入型発現カセットを用いるにあたって、多様な発現制御ができるように、既に発明されている構成型プロモーターPnitに加えて転写活性の異なる新たな構成型プロモーターを提供することにある。
本発明者らは、放線菌ロドコッカス・エリスロポリスにおいて培地に有機溶媒を添加することによって発現が誘導される遺伝子を検索した。その結果、メタノールを(1〜5%終濃度)添加することで約45kDaのタンパク質が誘導されることを見出した。そこで、該タンパク質を質量分析にて解析したところ、得られた推定アミノ酸配列情報から、イソクエン酸リアーゼであることが判明した。さらに、得られた推定アミノ酸配列情報をもとに縮合プライマーを構築して精製ゲノムを鋳型にしてPCRを行い、該タンパク質をコードする遺伝子(以下iclと表す)をクローニングした。遺伝子発現解析の結果、icl遺伝子は4種の遺伝子(icl-crt-mhm-adh)からなるオペロン構造の最初にコードされている遺伝子であることが判明した(図1)。更にicl遺伝子がメタノールにより発現誘導されるか検証するために、icl遺伝子の開始コドンから300bp上流までの非翻訳領域をレポーター遺伝子と連結したベクターを構築してその転写活性を調べた。すると、メタノールによりレポーター遺伝子の発現が誘導されたことから、icl遺伝子プロモーターがメタノール誘導型であることが判明した(加川ら、日本農芸化学会北海道支部会要旨(2007);加川ら、日本農芸化学会2008年大会要旨; 加川ら、日本農芸化学会2009年大会要旨)。
icl遺伝子が培地中に添加する炭素源によってその発現が大きく変化することは知られており、コリネ型細菌(特開平5-56782号公報))、カンジダ菌(特開平7-59576号公報)あるいは酵母(特開2002-253235号公報)由来のicl遺伝子上流の非翻訳領域を利用した誘導型遺伝子発現系が構築されている(Umemura et. al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 43:489-492(1995); Kanai et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 44: 759-765(1996))。
ロドコッカス・エリスロポリスではicl遺伝子を筆頭に4種の遺伝子から構成されたオペロン構造をもつが、同じ放線菌に属するコリネバクテリウム属細菌では、icl遺伝子とリンゴ酸合成酵素遺伝子が逆向きに隣りあってコードされており、両遺伝子の転写活性は一括して調節を受けている。コリネバクテリウム属細菌のicl遺伝子の転写開始点は該遺伝子の開始コドンより112bp上流にあり、転写開始点より上流流域を含めた配列は、ロドコッカス・エリスロポリス由来icl遺伝子上流非翻訳領域とは構造的にも配列的にも保存性はかなり低い(相同性60%以下)。またコリネバクテリウム属細菌のicl遺伝子は発現の非誘導時でも弱いながらも恒常的に発現しているが、その恒常的発現レベルを著しく高めるような転写活性化領域は見つかっていない(Gerstmeier et al., J. Bacteriol., 186: 2798-2809(2004))。一方、icl遺伝子の上流非翻訳領域においては、カンジダ菌並びに酵母など真核生物でも、塩基配列の相同性は低く、コリネバクテリウム属細菌の場合と同様、誘導型プロモーターとして記載されているのみである。
そこで発明者らはロドコッカス・エリスロポリスのicl遺伝子上流非翻訳領域について遺伝子発現様式の研究を重ね、iclの開始コドンから102bp上流の非翻訳DNA領域のみを用いると、メタノール非依存的に恒常的な転写が起こることを見出した。さらに、その際の転写活性が著しく強いことも見出した。この102bpのDNA領域を構成型プロモーターとして利用することで、恒常的な遺伝子発現に使用する事が出来る。また本プロモーターの転写活性は、既知のPnitのそれと活性レベルが大きく異なることから、発現量を制御した多様な発現系構築が期待される。
即ち、本発明は、以下の通りである。
[1] 以下の(a)、(b)又は(c)のDNAからなるプロモーター:
(a) 配列番号1で示される塩基配列からなるDNA;
(b) 配列番号1で示される塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつプロモーター活性を有するDNA;及び
(c) 配列番号1で示される塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、かつプロモーター活性を有するDNA。
[2] ロドコッカス属細菌のイソクエン酸リアーゼをコードする遺伝子の開始コドンより上流非翻訳領域の一部からなり、基質による誘導を必要としない[1]の構成型プロモーター。
[3] [1]又は[2]のプロモーターを含む発現ベクター。
[4] [1]又は[2]のプロモーターを挿入した挿入配列(IS)又はトランスポゾンを含む発現ベクター。
[5] [1]又は[2]のプロモーターの下流に発現標的遺伝子を連結させた、遺伝子の発現カセット。
[6] [3]若しくは[4]の発現ベクター又は[5]の発現カセットを含む形質転換体。
[7] 宿主がコリネバクテリウム亜目(Corynebacterineae)に分類される微生物である、[6]の形質転換体。
[8] 宿主がロドコッカス属、ノカルジア属、マイコバクテリウム属、コリネバクテリウム属及びゴルドニア属からなる群のいずれか1つに属する微生物である、[6]の形質転換体。
[9] [6]〜[8]のいずれかの形質転換体であって、プロモーターの下流にアンチセンスRNAとして転写されるDNAを連結した構築物を含む形質転換体を用いて宿主細胞における遺伝子発現を抑制する方法。
[10] [6]〜[9]のいずれかの形質転換体を培養し、培養物から発現標的遺伝子がコードするポリペプチドを得ることを含む該ポリペプチドを生産する方法。
本発明により、実施例に示すようにロドコッカス属細菌において機能する構成型プロモーターが提供される。また既に発明されている構成型プロモーター(Pnit) (Nakashima and Tamura, Appl. Environ. Microbiol., 70, 5557-5568(2004); 特許第3944577号公報)支配下のタンパク質発現よりも著しく高い発現が可能である。このプロモーターを使用する事で、タンパク質の恒常的な高生産が期待できる他、異なる転写活性を持つPnitやPtipと組み合わせることで生体触媒を使用した効率よい物質変換システムを構築出来ると期待される。
pIcl-pipベクターの構築方法を示す図である。 Picl領域における転写活性の測定の結果を示す図である。 pIcl(102)-PIPベクターの構造を示す図である。 ロドコッカス属細菌におけるpCpi-pipを用いたレポーター遺伝子の発現を示す図である。 CpiプロモーターとNitプロモーターとの比較を示す図であり、発現したタンパク質の活性の比較を示す図である。 CpiプロモーターとNitプロモーターとの比較を示す図であり、発現したタンパク質の量の比較を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のプロモーターは、ロドコッカス・エリスロポリスPR4株(NBRC100887)より単離された新規なプロモーターであり、発現標的遺伝子上流に連結することで該標的遺伝子のmRNAを転写させることができる。本発明のプロモーターは、配列番号1で示される塩基配列からなる。本発明のプロモーターは構成型のプロモーターであり、基質等による誘導がなくてもプロモーター活性を発揮する。
本明細書においてプロモーター活性とは、遺伝子からmRNAへと転写する活性を意味する。
本発明において、プロモーター活性は、適当なレポーター遺伝子を用いることにより確認することが出来る。例えば、プロモーター配列の下流にレポーター遺伝子を連結したDNAを細胞内へ導入し、発現したタンパク質の量を免疫学的手法により定量することができる。レポーター遺伝子としては、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、β-ラクタマーゼ遺伝子、GFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子などの蛍光タンパク質遺伝子等を用いることができる。また発現したタンパク質が示す活性によって生化学的手法により定量しプロモーター活性を測定することが出来る。
本発明のプロモーターは、配列番号1で示される塩基配列と実質的に同一の塩基配列からなり、基質による誘導なしにプロモーター活性を有するDNAからなるプロモーターを含む。このようなプロモーターとして、配列番号1で示される塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、プロモーター活性を有するDNAが挙げられる。
ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、「1XSSC、0.1% SDS、37℃」程度の条件であり、より厳しい条件としては「0.5XSSC、0.1% SDS、42℃」程度の条件であり、さらに厳しい条件としては「0.2XSSC、0.1% SDS、65℃」程度の条件である。このようにハイブリダイゼーションの条件が厳しくなるほどプローブ配列と高い相同性を有するDNAの単離を期待し得る。ただし、上記のSSC,SDSや温度の条件の組み合わせは例示であり、当業者であればハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する上記もしくは他の要素(例えば、塩基の長さ、ハイブリダイゼーションの反応時間など)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
このようなポリヌクレオチドはその全長塩基配列が配列番号1で示されるプロモーターの塩基配列とBLAST等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータを用いて)を用いて計算したときに、少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上の配列同一性を有する塩基配列からなるプロモーターである。
さらに、配列番号1で示される塩基配列において、1又は数個の核酸に欠失、置換又は付加などの変異が生じた塩基配列を含有するDNAであり、プロモーター活性を有するDNAが含まれる。例えば、配列番号1で示される塩基配列中の1〜10塩基核酸(1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個)が欠失、置換、付加した塩基配列からなるDNA等が挙げられる。
本発明のプロモーターの塩基配列は、例えばチェーンターミネーション法(Sanger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74: 5463-5467 (1977))により決定することが出来る。
本発明のプロモーターは、ロドコッカス属放線菌で自律複製するプラスミドベクターの任意の場所に組み込み、プロモーター配列の下流に発現標的遺伝子の導入を容易にするマルチクローニングサイトや転写を終結させるためのターミネーターを配置した発現ベクターを構築することが出来る。また既存の発現プラスミドベクターのプロモーター領域を配列番号1で示される塩基配列からなるDNA又は配列番号1で示される塩基配列と実質的に同一の塩基配列からなり、プロモーター活性を有するDNAと置換することにより使用することも出来る。例えば、pTip, pNit発現プラスミドベクター(Nakashima and Tamura, Appl. Environ. Microbiol., 70, 5557-5568(2004))からそれぞれPtip又はPnit領域を制限酵素処理等で切り出し、そこに配列番号1で示される塩基配列からなるDNA又は配列番号1で示される塩基配列と実質的に同一の塩基配列からなり、プロモーター活性を有するDNAに制限酵素配列を付加したDNAを挿入してもよい。この様にして構築した発現ベクターのプロモーター下流に発現標的遺伝子を導入したプラスミドベクターを宿主細胞に形質転換し、ベクターの持つ選択マーカーに従って選択した形質転換体において標的タンパク質が恒常的に発現されることが期待できる。個々で使用されるシャトルベクターやマルチクローニングサイトそしてターミネーターは特に限定されるものではない。本発明は、このようなベクターも包含する。発現標的遺伝子は、本発明のプロモーターを利用して発現させようとする外来遺伝子であり、本発明のプロモーターの下流に連結すればよい。本発明は、発現標的遺伝子を上記プロモーターの下流に連結したプラスミドベクターも含む。
配列番号1で示される塩基配列からなるDNA又は配列番号1で示される塩基配列と実質的に同一の塩基配列からなり、プロモーター活性を有するDNAと発現標的遺伝子を含む発現カセットを調製すれば、発現プラスミドベクターを構築せずとも本発明のプロモーターを含む宿主細胞での組換えタンパク質発現系を構築出来る。本発明はこのような、プロモーターの下流に発現標的遺伝子を連結した発現カセットを包含する。
ロドコッカス属細菌を含むいくつかの細菌においては、遺伝子組換え実験において相同組換えの効率が低く、非特異部位での組換えが起こりやすい事が知られる。実際、例えば、ロドコッカス属細菌において、相同組換えによる遺伝子組換えを意図して構築したベクターや直鎖状のDNAをロドコッカス細胞に形質転換するとそれらDNAは該宿主細胞のゲノムに非特異的に組み込まれることが高頻度で起こりうる。このことから、例えば、配列番号1で示される塩基配列からなるDNA又は配列番号1で示される塩基配列と実質的に同一の塩基配列からなり、プロモーター活性を有するDNAの下流に標的遺伝子を連結し、さらにターミネーターや抗生剤耐性遺伝子等の選択マーカー遺伝子を連結した直鎖状のDNAを発現カセットとして構築し、該構築物を宿主細胞に形質転換することでゲノムの非特異部位に挿入することにより本発明のプロモーターを利用して該宿主細胞で発現標的遺伝子を発現させることが出来る。この場合、直鎖DNAは一般的な大腸菌用クローニングベクター上で構築後、PCRにより増幅することができる。また、ベクターから必要な部分を切り出して調製することも出来る。ロドコッカス属細菌には、ストレプトマイセス属細菌とは異なり細胞内に修飾制限系が無いため細胞内に導入するDNAを脱メチル化する必要もない。このため、クローニングを含めてベクター構築に使用する大腸菌はメチル化酵素変異株(あるいは欠失株)を使用する必要はない。
発現標的遺伝子の発現系をゲノムに挿入する方法として、公知の遺伝子導入方法を用いて行うことができるが、好適にはトランスポゾンベクターを利用して挿入する方法が挙げられる。トランスポゾンベクターは、転移に必要な酵素、トランスポゼース遺伝子の両側に局在する反復配列から構成されている。ロドコッカス属放線菌におけるトランスポゾンベクターはロドコッカス・エリスロポリスNI86/21由来の挿入配列IS1415をもとに発明されている。IS1415はトランスポゼース(istA)とそのヘルパー遺伝子(istB)の2遺伝子がオペロン構造を形成し、反復配列(IR1とIR2)に挟まれた構造をもつものである。このIR1とIR2そしてistABを組み込み、転移効率を著しく高めたベクターpTNRが開発されている(Sallam et al., J. Biotechnol., 121(1), 13-22(2006))。このトランスポゼースは、任意の5〜7塩基配列を認識してIR1とIR2に挟まれたDNA領域を宿主細胞のゲノムへ挿入することが可能である。よって、IR1とIR2の間に遺伝子発現システムを組み込めば、ゲノム挿入型発現系構築が可能なベクターへと改変することが出来る(Sallam et al., Gene, 386(1-2), 173-182(2007))。更に、ゲノムへ挿入されるIR1とIR2に挟まれた領域を複数コピー導入することで、コピー数に比例したタンパク質発現が期待できる(Sallam et al., Appl. Environ. Microbiol., 76: 2531-2539(2010))。
よって配列番号1で示される塩基配列からなるDNA又は配列番号1で示される塩基配列と実質的に同一の塩基配列からなり、プロモーター活性を有するDNAを導入した発現ベクターに標的遺伝子を組み込んだ後、配列番号1で示される塩基配列からなるDNA又は配列番号1で示される塩基配列と実質的に同一の塩基配列からなり、プロモーター活性を有するDNAから標的遺伝子下流にあるターミネーターまでを含んだDNAをトランスポゾンベクターに組み込んで、宿主細胞のゲノムへ転移させることにより、1コピーから多コピーまでの発現カセットコピー数をもつ組換え細胞を構築することが可能である。そしてゲノム挿入型発現系は、発現カセットのコピー数という点ではマルチコピーの発現ベクターに対して発現量という点では及ばないものの、ゲノム内に安定に保持されるため、ベクターを選択・保持するための抗生剤を培地に添加する必要が無いという利点がある。
このような遺伝子発現系の利用はタンパク質生産とは逆のタンパク質発現抑制へ応用することも可能である。宿主内標的遺伝子の開始コドンを含むアンチセンスRNAを細胞内に過剰に発現すると、細胞内では標的遺伝子mRNAに発現したアンチセンスRNAがハイブリダイズし、mRNAの翻訳が妨げられるとともに分解が促進され、結果として標的遺伝子由来タンパク質の生産を抑制することが可能である(Nakashima et al., Nucleic Acid Res., 34:e138 (2006); Nakashima and Tamura., Nucleic Acid Res., 37: e103 (2009))。従って、配列番号1で示される塩基配列からなるDNA又は配列番号1で示される塩基配列と実質的に同一の塩基配列からなり、プロモーター活性を有するDNAの下流に標的遺伝子のアンチセンスRNAとして転写されるDNAを連結した発現ベクターを宿主細胞に導入することで過剰のアンチセンスRNAを細胞内に蓄積させて標的遺伝子由来タンパク質の生産を抑制することができる。このようなアンチセンスRNA等の利用技術は、遺伝子破壊法とともに宿主細胞の機能改変に有効な方法であり、宿主細胞の代謝経路を人為的に改変する代謝工学が可能になる。
本発明のプロモーターを含むベクターや発現カセットを導入する宿主としては、例えば、コリネバクテリウム亜目(Corynebacterineae)に分類される微生物が挙げられる。コリネバクテリウム亜目(Corynebacterineae)に分類される微生物としては、ロドコッカス属、ノカルジア属、マイコバクテリウム属、コリネバクテリウム属及びゴルドニア属微生物が例示され、ロドコッカス属細菌としては、例えばR. erythropolisR. fascians、R. opacus、R. rhodochrous等が挙げられる。
本発明は、これらの微生物に本発明のプロモーターを含む発現ベクターや発現カセットを導入した宿主細胞である形質転換体を包含する。
該形質転換体を培養し、培養物から発現標的遺伝子がコードするポリペプチドを単離、精製することにより、ポリペプチドを生産することができる。ここで、培養物とは、菌を培養して得た菌体及び培養液の混合物を意味し、形質転換体は、使用する宿主に適した培地を用い、静置培養法、ローラーボトルによる培養法などにより培養することができる。培養は、公知の方法で行うことができ、用いる宿主細胞の種類により、適宜用いる培地や培養条件を決定することができる。標的ポリペプチドが菌体内又は細胞内に生産される場合には、宿主細胞を破砕することによりポリペプチドを採取することができる。また、標的ポリペプチドが宿主細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により宿主細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる各種クロマトグラフィーを用いた一般的な生化学的方法を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から標的ポリペプチドを単離精製することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例1 pIcl-pipの構築
Rhodococcus erythropolis PR4株をLB培地(1% Bacto(商標)Tryptone,0.5% Bacto(商標) Yeast extract,0.5%塩化ナトリウム)にて30℃で振とう培養し定常期まで増殖した菌液500μLを10 mLのLB培地にそれぞれ添加し、30℃で2日間振とう培養した後、終濃度600μg/mLになるようアンピシリンを添加し、さらに2時間振とう培養した。
培養後、菌を遠心分離(1,500 x g,10分,室温)で回収し、500μLのSTE buffer (75 mM 塩化ナトリウム、25 mM EDTA、20 mM Tris-HCl(pH 7.5))で再懸濁し、リゾチウム10 mgと1.0μLのRNase A (10 mg/mL)を添加し37℃、2時間インキュベートした。その後、28μLのプロテイナーゼK(600 mAU/mL)と60μLの10% SDSを添加し、55℃、2時間インキュベートした。反応後、200μLの5 M塩化ナトリウムを添加し、800μLのフェノール、クロロフォルム、イソアミルアルコール混合溶液(50 : 49 : 1)を添加し撹拌した後遠心分離(20,817 x g,10分,室温)を行った。得られた上清を別のチューブに移し、フェノール、クロロフォルム、イソアミルアルコール混合溶液で再抽出した後、得られた上清に500μLのイソプロパノールを添加しDNAを沈殿させ、回収したDNAに対して500μLの70%エタノールで2回洗浄した。DNAは室温で10分間風乾し、200μLのTE(10 mM Tris-HCl (pH 8.0)、1 mM EDTA)に溶解し、4℃に保管した。
精製DNAをテンプレートとして、配列表中の配列番号2、3に記載の合成オリゴデオキシリボヌクレオチドプライマー(以下プライマーと略記)を用いて、ポリメラーゼチェーンリアクション法(以下、PCRと略記: Saiki et al., Science, 239 487-491 [1988])によるDNAの増幅を行った。なお、用いたPCR用の酵素はPfu turbo DNA polymerase(STRATAGENE社製)である。その結果、両端にBsrGIとNcoI制限酵素サイトを付加した0.3 kbの増幅されたPicl断片を得た。このDNA断片を制限酵素BsrGIとNcoIで二重消化し、1.0%アガロースゲル電気泳動(100 V、30分)に供し、該DNA断片を切り出し、Wizard(登録商標) SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega社製)を用いて使用説明書に準じて精製した。
Pnitプロモーター下流にレポーター遺伝子(古細菌Thermoplasma acidophilum由来プロリンイミノペプチダーゼ(PIP))が連結したロドコッカス属細菌用発現ベクターpHN409(図1)(Nakashima and Tamura, Appl. Environ. Microbiol., 70, 5557-5568(2004))を制限酵素BsrGIとNcoIで二重消化し、上述したようにアガロースゲル電気泳動に供し、該DNA断片を切り出し精製した。この消化ベクターに対して上記制限酵素処理をしたPicl断片をLigation kit(宝酒造社製)を用いて連結し、pIcl-pipベクターを作製した(図1)。
実施例2 レポーター遺伝子による転写活性測定
実施例1で作製したpIcl-pipをテンプレートにPCRを行い、pip遺伝子に異なる長さのPiclが連結されたDNA断片を増幅した。すなわち、配列番号4と配列番号8のプライマーによりPiclが202bpに短くなったPicl(202)とpip遺伝子の連結したDNA断片を、配列番号5と配列番号8のプライマーによりPiclが102bpに短くなったPicl(102)とpip遺伝子の連結したDNA断片を、配列番号6と配列番号8のプライマーによりPiclが77bpに短くなったPicl(77)とpip遺伝子の連結したDNA断片を、そして配列番号7と配列番号8のプライマーによりPiclが52bpに短くなったPicl(52)とpip遺伝子の連結したDNA断片をそれぞれPCRにて増幅し、得られた各DNAをアガロースゲル電気泳動に供し、それぞれのDNA断片を切り出し精製した。各精製DNA断片は、BsrGIとSpeIで二重消化し、Wizard(登録商標) SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega社製)を用いて消化断片を除去した。
pIcl-pipを制限酵素BsrGIとSpeIで二重消化し、消化産物をアガロースゲル電気泳動に供し、ベクター断片を切り出し精製した。この消化ベクターに対して制限酵素処理をした異なる長さのiclプロモーターが連結したpip遺伝子断片をLigation kitを用いて連結し、pIcl(202)-pip、pIcl(102)-pip、pIcl(77)-pip、そしてpIcl(52)-pipを作製した(図2)。
Rhodococcus erythropolis PR4株を用いたコンピテントセルの作製及び形質転換は以下の通り行った。該菌株をLB培地100 mLにて対数増殖期に至るまで30℃で振とう培養した後、遠心分離にて菌体を回収した。回収した菌体に100 mlの氷冷滅菌水を加え、懸濁後再び遠心分離し菌体を回収した。この操作をもう一度繰り返した後、回収した菌体に100 mLの氷冷10%グリセリン溶液を加え、よく懸濁し、遠心分離により菌体を回収した。この氷冷10%グリセリン溶液での洗浄をもう一度繰り返し、菌体を5 mLの氷冷10%グリセリン溶液に懸濁した。400μLずつ分注し、液体窒素で瞬間冷凍し-80℃にて保存した。形質転換時に-80℃から菌体を取り出し、氷上にて融解し、プラスミドpIcl-pip、又はpIcl(202)-pip、又はpIcl(102)-pip、又はpIcl(77)-pip、又はpIcl(52)-pipを3μL(それぞれ約500 ng)加えた。この菌体とDNAの混合液をエレクトロポレーションキュベット(Bio-Rad社:0.2 cm ギャップキュベット)に移し、同社の遺伝子導入装置ジーンパルサーIIを用いて、電場強度12.5 kV/cmで、パルスコントローラーの設定はキャパシタンス25μF、外部抵抗400Ωにてそれぞれ電気パルスを与えた。電気パルス処理した菌体とDNAの混合液を1mLのLB培地に混合し、28℃にて2時間培養した後、100〜200μLの菌液を17μg/mLクロラムフェニコールを含むLB寒天培地(寒天は濃度1.5%)に塗布し、28℃にて3日培養し、それぞれの形質転換体を得た。
各ベクターにより形質転換されたR. erythropolis PR4形質転換体を、10 mLのLB培地(17μg/mLクロラムフェニコールを含む)に接種し、50 mLのバッフル付きフラスコ(柴田社製)で定常期になるまで28℃で振とう培養した。この菌体液全量を95 mLのLB培地を含む300 mLバッフル付きフラスコ(柴田社製)に添加し、28℃で20時間培養した後、メタノールを終濃度5%になるように添加し培養を継続した。メタノール添加時(0h)、添加後2時間と8時間にそれぞれ20 mL回収し、遠心分離により細胞を回収した。
回収した細胞を0.7 mLの25 mM Tris-HCl(pH 7.5)溶液に再懸濁し、懸濁液を2 mLのチューブ(アシスト社製)に移し、700 mgの直径0.1 mmガラスビーズを添加し、マルチビーズショッカー(M13C100、安井器械)を用いて4℃、20分間細胞を破砕した。破砕におけるマルチビーズショッカーのプログラムは、60秒振とうと60秒停止を1サイクルとし、4℃の条件下で10サイクル作動させた。その後、細胞破砕に使用したチューブのまま遠心分離(20,817 x g,10分,4℃)し、得られた上清を1.5 mLのチューブに移し再度同じ条件で遠心分離した。この遠心分離で得られた上清を粗タンパク質抽出液として回収し、レポーター遺伝子産物(PIP、プロリンイミノペプチダーゼ)の酵素活性測定に用いた。
PIPの酵素活性は、プロリンに対するアミノペプチダーゼ活性を調べることで測定できる。98μLの反応液(10μLのTric-HCl(pH 8.0)、10μLの10 mM H-Pro-AMC(Bachem社製)、58μLのウシ血清アルブミン(SIGMA社製;50μg/mLになるように水に溶解したもの)、20μLの水)を含む1.5 mLのチューブに、上記ウシ血清アルブミン溶液で適宜希釈し使用した粗タンパク質抽出液を2μL添加し、60℃、15分間反応させた。反応終了後、チューブを氷上で冷却し、反応を止めると共に100μLの10%SDS溶液を添加し反応を完全に終結させた。更に1 mLの0.1 M Tris-HCl (pH 9.0)を添加し攪拌後,Fluorescence spectrometer F-2500(HITACHI)を用い,励起光 380 nm,蛍光 460 nmの条件の下、H-Pro-AMCから切り出されたAMCの蛍光強度を測定した。本実施例に使用したPIPは高熱菌由来の遺伝子であるため、酵素活性測定は宿主細胞の内在性酵素が失活する温度で行っている。よって、上記反応条件下では宿主細胞由来のH-Pro-AMCを分解する活性はほぼ認められず、レポーター遺伝子由来の活性だけを見ることが出来る。
各ベクターそれぞれに対し、3個の形質転換体を培養し、上述した条件でレポーター遺伝子の転写活性を測定し得られたペプチダーゼ活性の平均値でグラフ化すると、pIcl-pipの形質転換体は、メタノール添加により時間依存的にPIPの発現が誘導されることが示された。同様の発現誘導はpIcl(202)-pipの形質転換体でも示された。しかしpIcl(102)-pipの形質転換体は、メタノール誘導時間に関係なく高い転写活性を示し、pIcl-pip やpIcl(202)-pip が示した最大誘導活性よりも2倍高いPIP活性を示した。そして一方この高い転写活性は、pIcl(77)-pip又はpIcl(52)-pipではほぼ消失することが示された。このことから、icl遺伝子の開始コドンから上流102bpの領域が強い構成型プロモーターとして機能することが示され、これをPcpiと名付けた。
実施例3 pCpi-pipによる他のロドコッカス・エリスロポリスでの発現
構成的にPIPの発現が確認されたベクター、pIcl(102)-PIPはPcpiプロモーター下流にpip遺伝子を連結したベクターであるので(図3A)、同ベクターをpCpi-pipと改名し以下の実施例を行った。
R. erythropolis DSM44306株、DSM20665株、JCM6824株、IAM1428株、DSM772株及びDSM7337株のそれぞれについて上述したようにコンピテントセルを調製し、pCpi-pipによる形質転換体を作製した。得られたコロニーを2個ずつ10 mLのLB培地(17μg/mLクロラムフェニコールを含む)に接種し、50 mLのバッフル付きフラスコ(柴田社製)で定常期になるまで28℃で振とう培養した。菌体がある程度増えた段階で5 mLの培養液を別のフラスコに移し20 mLにスケールアップし定常期まで培養を続けた。これら培養時にメタノールは添加せずに増殖した細胞を遠心分離で回収後、実施例2に記載されている方法で粗タンパク質抽出液を調整した。タンパク質濃度を測定後、15μgのタンパク質量を12.5% SDS-PAGEで分離しクーマシー・ブリリアントブルーG250を使用して染色した(図3B)。染色されたタンパク質のパターンをみると、対照として用意したpIcl(52)-PIPにより形質転換したR.erythropolis PR4株由来の粗タンパク質抽出液ではPIPはバンドとして確認できないが、その他のpCpi-pip形質転換体では明らかにPIPが発現していることが示された(図3B)。またPIP活性についても、例えば図3Bの右のゲル写真にある3株について測定すると、IAM1428(4315 nmol/mg/min)、DSM772(4203 nmol/mg/min)、DSM7337(3771 nmol/mg/min)それぞれについて高い活性が確認された。
実施例4 pNitプロモーターとの比較
発明者らが既に発明している構成型プロモーターPnitを使用したPIP発現ベクター、pHN409(Nakashima and Tamura, Appl. Environ. Microbiol., 70, 5557-5568(2004))とpCpi-pipを用いてPIPの発現レベルの比較を行った。実施例2に記載の方法で両ベクターによりR. erythropolis PR4をそれぞれ形質転換し、形質転換体から実施例3に示した内容で粗タンパク質抽出液を調製し、PIP活性を測定すると共に電気泳動で分離・染色した。この結果、pCpi-pipで形質転換した細胞ではpHN409で形質転換した細胞に比べて、PIP活性で約5倍高い活性を示すと共に、タンパク質も高い発現が確認された(図4A及び4B)。このことからpip遺伝子上流に連結したPcpiはPnitより強いプロモーター活性を持つことが示された。
本発明のプロモーターを用いることにより、タンパク質の恒常的な高生産が可能になり、さらに、異なる転写活性を持つPnitやPtipと組み合わせることで生体触媒を使用した効率よい物質変換システムを構築することが可能になる。
配列番号2〜8 プライマー

Claims (10)

  1. 以下の(a)又は(b)のDNAからなるプロモーター:
    (a) 配列番号1で示される塩基配列からなるDNA
    (b) 配列番号1で示される塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、かつプロモーター活性を有するDNA。
  2. ロドコッカス属細菌のイソクエン酸リアーゼをコードする遺伝子の開始コドンより上流非翻訳領域の一部からなり、基質による誘導を必要としない請求項1に記載の構成型プロモーター。
  3. 請求項1又は2に記載のプロモーターを含む発現ベクター。
  4. 請求項1又は2に記載のプロモーターを挿入した挿入配列(IS)又はトランスポゾンを含む発現ベクター。
  5. 請求項1又は2に記載のプロモーターの下流に発現標的遺伝子を連結させた、遺伝子の発現カセット。
  6. 請求項3若しくは4の発現ベクター又は請求項5記載の発現カセットを含む形質転換体。
  7. 宿主がコリネバクテリウム亜目(Corynebacterineae)に分類される微生物である、請求項6記載の形質転換体。
  8. 宿主がロドコッカス属、ノカルジア属、マイコバクテリウム属、コリネバクテリウム属及びゴルドニア属からなる群のいずれか1つに属する微生物である、請求項6記載の形質転換体。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載の形質転換体であって、プロモーターの下流にアンチセンスRNAとして転写されるDNAを連結した構築物を含む形質転換体を用いて非ヒト宿主細胞における遺伝子発現を抑制する方法。
  10. 請求項5に記載の遺伝子の発現カセットを含む請求項6〜9のいずれか1項に記載の形質転換体を培養し、培養物から発現標的遺伝子がコードするポリペプチドを得ることを含む該ポリペプチドを生産する方法。
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