(発明の詳細な説明)
本発明者らは、抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12など)が、他のADCC媒介抗体が有効性が低いか相対的に有効でない条件下で、CD40発現標的細胞の強力な抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介し得るという驚くべき所見を見出した。リツキシマブ(リツキサン(登録商標))などの他の抗体とは反対に、本発明に従って使用される抗CD40抗体は、ヒト患者のナチュラルキラー(NK)細胞上の2つのFcγRIIIaアミノ酸158アロタイプのいずれか(VまたはF)に、強力なADCCを引き起こすのに充分な結合特性で結合し得る。この所見は予想外であり、患者標本(cross−section)全体における癌および前悪性状態を処置するための本発明者らの能力における進歩を表す。
したがって、CHIR−12.12などの抗CD40抗体は、FcγRIIIa−158Vについてホモ接合性(遺伝子型V/V)のヒト患者に加え、FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)のヒト患者におけるCD40発現細胞と関連している癌および前悪性状態の処置において使用され得る。
本発明は、したがって、ヒト患者を、CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態について処置する方法であって、前記ヒト患者がFcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)であり、前記ヒト患者に治療または予防有効量の抗CD40抗体を投与することを含む方法を提供する。本発明はまた、FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)のヒト患者におけるCD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態の処置のための医薬の製造における治療または予防有効量の抗CD40抗体の使用を提供する。
上記のように、NHLにおけるリツキシマブの臨床的活性は、患者のFcγRIIIa遺伝子型と相関することが示された。F/FのFcγRIIIa 158aa多型を有する患者は、V/VまたはV/Fを有する患者よりもリツキシマブに対して応答性が低い(例えば、Cartronら(2002)Blood 99(3):754−758またはDall’Ozzoら(2004)Cancer Res.64:4664−4669参照のこと)。したがって、本発明は、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))などの抗CD20抗体での処置に応答性でない癌および前悪性状態の処置に特に好都合である。
CHIR−12.12などの抗CD40抗体は、FcγRIIIa−158Vについてホモ接合性(遺伝子型V/V)のヒト患者に加え、FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)のヒト患者においてB細胞による抗体産生を阻害するための方法において使用され得る。
したがって、本発明は、ヒト患者に有効量の抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12など)を投与することを含む、FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)のヒト患者においてB細胞による抗体産生を阻害する方法を提供する。本発明はまた、FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(V/FまたはF/F)のヒト患者においてB細胞による抗体産生を阻害するための医薬の製造における有効量の抗CD40抗体の使用を提供する。
当業者には、FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)のヒト患者においてB細胞による抗体産生が阻害され得ることは予測され得なかったであろう。
本発明により、個々のヒト患者に対して、該患者のFcγRIIIa−158遺伝子型に基づいて選択された、ADCC媒介抗CD40抗体を投与することによる処置レジメンが可能になる。
本発明は、抗CD40抗体で処置可能であり、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))での処置に不応性である癌または前悪性状態を有するヒト患者の同定方法であって、
a)CD40発現細胞と関連し、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))での処置に不応性である癌または前悪性状態を有するヒト患者を同定すること;および
b)前記ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型(V/V、V/FまたはF/F)を決定すること
を含み、ここで、前記癌または前悪性状態は、前記ヒト患者がFcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)である場合、抗CD40抗体で処置可能である方法を提供する。本発明は、この方法を用いて同定されたヒト患者に治療または予防有効量の抗CD40抗体を投与する工程をさらに含むものであり得る。
この抗CD40抗体で処置可能な癌または前悪性状態を有するヒト患者を同定する方法は、当業者によって適当な診断キットを用いて容易に行なわれ得る。該キットは、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するのに適した試薬を含むものであるのがよい。したがって、本発明はまた、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するための試薬を含む、抗CD40抗体で処置可能な癌または前悪性状態を有するヒト患者を同定するためのキットを提供する。好適なキットは、本明細書中のどこかでより詳細に記載している。
本発明はまた、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))での処置に不応性である癌または前悪性状態を有するヒト患者の処置のための抗体療法の選択方法であって、
a)CD40発現細胞と関連し、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))での処置に不応性である癌または前悪性状態を有するヒト患者を同定すること;および
b)前記ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型(V/V、V/FまたはF/F)を決定すること
を含み、ここで、前記ヒト患者がFcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)である場合、抗CD40抗体が前記癌または前悪性状態の処置のために選択される方法を提供する。特に、抗CD40抗体は、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))での処置に優先して選択され得る。本発明は、この方法を用いて同定されたヒト患者に治療または予防有効量の抗CD40抗体を投与する工程をさらに含むものであり得る。
この癌または前悪性状態を有するヒト患者の処置のための抗体療法を選択する方法は、当業者によって適当な診断キットを用いて容易に行なわれ得る。該キットは、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するのに適した試薬を含むものであるのがよい。したがって、本発明はまた、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するための試薬を含む、CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態を有するヒト患者の処置のための抗体療法を選択するためのキットを提供する。
本発明者らはまた、CHIR−12.12などの抗CD40抗体が、投与後、CD40発現細胞によって有意に内在化されないという驚くべき所見を見出した。それどころか、CHIR−12.12などの抗CD40抗体は、投与後、相当な期間、CD40発現細胞の表面上に実質的に均一に分布される。これは、他の抗体、特に、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))などの抗CD20抗体とは対照的である。
CD40発現細胞の表面におけるCD40結合の持続期間、およびCD40発現細胞の表面上での抗CD40抗体の均一な分布により、抗CD40抗体が、ナチュラルキラー(NK)細胞上のFcR、例えば、FcγRIIIaへの結合により、CD40発現標的細胞の強力な抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介することが可能になる。
したがって、本発明は、ヒト患者に治療または予防有効量の抗CD40抗体を、投与後、抗CD40抗体がCD40発現細胞によって有意に内在化されないように投与することを含む、ヒト患者を、CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態について処置する方法を提供する。
本発明はまた、ヒト患者に治療または予防有効量の抗CD40抗体を、投与後、抗CD40抗体がCD40発現細胞の表面上に実質的に均一に分布されたままであるように投与することを含む、ヒト患者を、CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態について処置する方法を提供する。
本発明はまた、ヒト患者に抗CD40抗体を、投与後、前記ヒト患者において治療または予防有効量の抗CD40抗体がCD40発現細胞の表面に存在するように投与することを含む、ヒト患者を、CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態について処置する方法を提供する。
本発明のこれらの態様は、したがって、患者に低速内在化抗体抗体を投与することを伴う。「低速内在化抗体」により、細胞表面上に相当な期間、位置したままである抗体が意図される。当業者には認識されるように、この性質は、治療が有効となるために抗体−受容体複合体の内在化が現に必要とされる多くの治療的適用に対して好都合であるとみなされる性質とは対照的である。この状況において、相当な期間は、一般的に、3時間を超え、好ましくは6時間、より好ましくは12時間、より好ましくは24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、168時間またはそれ以上である。
好ましくは、CD40発現細胞の表面上に最初に位置していた抗体の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上が、上記の相当な期間後、該細胞の表面上に位置したままである。
抗体の内在化は、種々のアッセイによって評価され得る。例えば、Daudiリンパ腫細胞株またはARH77 MM細胞株などの細胞株が、内在化に対する候補抗体結合の効果を評価するために使用され得る。細胞は、ヒトIgG1(対照抗体)または候補抗体とともに、氷上(内在化を阻止するための0.1%アジ化ナトリウムとともに)または37℃(アジ化ナトリウムなし)である期間、好適には3時間インキュベートされる。冷染色バッファー(例えば、PBS+l%BSA+0.1%アジ化ナトリウム)での洗浄後、細胞は、例えばヤギ抗ヒトIgG−FITCで30分間、氷上にて染色される。次いで、染色の程度が評価され得る。この例では、幾何平均蛍光強度(MFI)が、FACS Caliburなどによって記録され得る。他の適当なアッセイは、当業者にはわかるであろう(例えば、http://www.abgenix.com/documents/SBS2003%20poster.pdfを参照のこと)。
本明細書の実施例4および5に示した実験では、CH12.12とともに氷上にてアジ化ナトリウムの存在下で、または37℃にてアジ化ナトリウムの非存在下でインキュベートした細胞間で、MFIにおける差は観察されなかった(図7〜10を参照のこと)。これらのデータは、CH12.12が、CD40に結合すると内在化されず、リツキシマブよりも長期間、継続して細胞表面上にディスプレイされることを示す。
本発明を利用するために使用され得る標準的な手法および手順の概要を以下に示す。本発明が、記載の特定の方法論、プロトコル、細胞株、ベクターおよび試薬に限定されないことは理解されよう。また、本明細書で用いる専門用語は、具体的な実施形態を説明する目的のためにすぎないことも理解され、この専門用語によって本発明の範囲が限定されるべきでないことを意図する。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。
本明細書では、ヌクレオチドおよびアミノ酸に対して標準的な略号を用いる。
本発明の実施には、特に記載のない限り、当業者の技量の範囲である分子生物学、微生物学、組換えDNA手法および免疫学の慣用的な手法が使用される。
かかる手法は、文献に充分説明されている。参照するのに特に適当なテキストの例としては、以下のもの:Sambrookら(1989)Molecular Cloning;A Laboratory Manual(第2版);D.N Glover編(1985)DNA Cloning、第IおよびII巻;M.J.Gait編(1984)Oligonucleotide Synthesis;B.D.Hames & S.J.Higgins編(1984)Nucleic Acid Hybridization;B.D.Hames & S.J.Higgins編(1984)Transcription and Translation;R.I.Freshney編(1986)Animal Cell Culture;Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press、1986);B.Perbal(1984)A Practical Guide to Molecular Cloning;the Methods in Enzymology series(Academic Press、Inc.)、特に第154および155巻;J.H.MillerおよびM.P.Calos編(1987)Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(Cold Spring Harbor Laboratory);MayerおよびWalker編(1987)Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology(Academic Press、London);Scopes(1987)Protein Purification:PrinciplesおよびPractice(第2版;Springer Verlag、N.Y.);ならびにD.M.WeirおよびC.C.Blackwell編(1986)Handbook of Experimental Immunology、第I〜IV巻が挙げられる。
本発明の方法は、CD40発現細胞と関連している癌および前悪性状態の処置における抗CD40抗体の使用を伴う。
「CD40」、「CD40抗原」または「CD40受容体」により、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーの50〜55kDaの膜貫通糖タンパク質が意図される(例えば、米国特許5,674,492号および同第4,708,871号;Stamenkovicら(1989)EMBO 8:1403;Clark(1990)Tissue Antigens 36:33;Barclayら(1997)The Leucocyte Antigen Facts Book(第2版;Academic Press、San Diego)を参照のこと)。この遺伝子の選択的スプライシング転写物バリアントにコードされたヒトCD40の2つのアイソフォームが同定されている。第1のアイソフォーム(「ロングアイソフォーム」または「アイソフォーム1」としても知られる)は、277アミノ酸の前駆体ポリペプチド(配列番号9;最初はGenBank受託番号CAA43045として報告され、アイソフォーム1としてGenBank受託番号NP_001241で特定される)として発現され、配列番号8(GenBank受託番号X60592およびNM_001250を参照のこと)にコードされ、これは、最初の19残基で表されるシグナル配列を有する。第2のアイソフォーム(「ショートアイソフォーム」または「アイソフォーム2」としても知られる)は、203アミノ酸の前駆体ポリペプチド(配列番号7;GenBank受託番号NP_690593)として発現され、配列番号6(GenBank受託番号NM_152854)にコードされ、これもまた、最初の19残基で表されるシグナル配列を有する。ヒトCD40のこれらの2つのアイソフォームの前駆体ポリペプチドは、共通するその最初の165残基(すなわち、配列番号7および配列番号9の残基1〜165)を共有する。ショートアイソフォームの前駆体ポリペプチド(配列番号7に示す)は、コードセグメントを欠き、翻訳フレームシフトをもたらす転写物バリアント(配列番号6)にコードされている。得られるCD40アイソフォームは、より短く、CD40のロングアイソフォームに含まれるもの(配列番号9の残基166〜277に示されるC末端)とは異なるC末端(配列番号7の残基166〜203)を含む。本発明の目的のため、用語「CD40」または「CD40抗原」、「CD40細胞表面 抗原」または「CD40受容体」には、CD40のショートおよびロング両方のアイソフォームが包含される。CD40抗原は、完全または部分的にグリコシル化されたものであり得る。
本明細書中のどこかで記載のように、CD40は、正常および新生物形成性両方のヒトB細胞、樹状細胞、単球、マクロファージ、CD8+ T細胞、内皮細胞、単球様上皮細胞、ならびに多くの充実腫瘍、例えば、肺、乳房、卵巣、膀胱および結腸癌の表面上に見られる。B細胞系統の腫瘍型由来の悪性B細胞は、CD40を発現し、生存および増殖に関してCD40シグナル伝達に依存するようである。低−および高−悪性度B細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、およびホジキン病を有する患者由来の形質転換細胞は、CD40を発現する。CD40発現はまた、急性骨髄芽球性白血病およびAIDS関連リンパ腫の50%においても検出される。いくつかの癌腫および肉腫もまた高レベルのCD40発現を示すが、これらの癌細胞におけるCD40発現と関連したCD40シグナル伝達の役割は、あまり充分理解されていない。CD40発現癌腫としては、膀胱癌腫、乳癌腫、前立腺癌、腎細胞癌腫、未分化鼻咽頭癌腫(UNPC)、扁平上皮細胞癌腫(SCC)、甲状腺乳頭癌腫、皮膚の悪性黒色腫、胃癌腫および肝臓癌腫が挙げられる。
「CD40発現細胞」により、本明細書では、検出可能なレベルのCD40抗原を発現する任意の正常または悪性細胞が意図される。好ましくは、CD40発現細胞は、検出可能なレベルの細胞表面CD40抗原を発現する細胞である。細胞内におけるCD40発現を検出するための方法は当該技術分野でよく知られており、限定されないが、PCR手法、免疫組織化学検査、フローサイトメトリー、ウエスタンブロット、ELISAなどが挙げられる。これらの方法により、CD40mRNA、CD40抗原および細胞表面CD40抗原の検出が可能になる。細胞表面CD40発現の検出は、本明細書の実施例3に記載のようにして、または他の適当な方法によって行なわれ得る。
悪性細胞は悪性B細胞であり得る。「悪性B細胞」により、任意の新生物形成性B細胞、例えば、限定されないが、リンパ腫(例えば、低−、中−および高−悪性度B細胞リンパ腫)、免疫芽球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、エプスタイン‐バーウイルス(EBV)誘導性リンパ腫およびAIDS関連リンパ腫、ならびにB細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄腫、慢性リンパ性白血病などに由来するB細胞が意図される。
「CD40リガンド」または「CD40L」により、主に、32〜33kDaの膜貫通タンパク質が意図され、これはまた、それぞれ18kDaおよび31kDaの2つのより小さな生物学的に活性な可溶性形態で存在する(Grafら(1995)Eur.J.Immunol.25:1749−1754;Mazzeiら(1995)J.Biol.Chem.270:7025−7028;Pietravalleら(1996)J.Biol.Chem.271:5965−5967)。ヒトCD40Lはまた、CD154またはgp39としても知られている。また、「CD40リガンド」または「CD40L」により、1つ以上のCD40シグナル伝達経路に結合して活性化し得る任意の他のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が意図される。したがって、「CD40リガンド」としては、限定されないが、完全長CD40リガンドタンパク質、ならびにCD40発現細胞におけるCD40シグナル伝達に結合して刺激する機能を果たすのに充分な活性を保持しているそのバリアントおよび断片が挙げられる。天然CD40リガンド(例えば、ヒトCD40L)に対する修飾としては、限定されないが、置換、欠失、切断、伸長、融合タンパク質、断片、ペプチド模倣物などが挙げられる。
「CD40シグナル伝達」により、細胞表面CD40とCD40リガンドまたは他のアゴニスト(例えば、アゴニスト抗体など)との相互作用に起因する任意の生物学的活性が意図される。CD40シグナル伝達の例は、CD40発現細胞の増殖および生存、ならびにCD40発現細胞内での1つ以上のCD40シグナル伝達経路の刺激をもたらすシグナルである。CD40「シグナル伝達経路」または「シグナル伝達経路」は、CD40受容体とCD40リガンド(例えば、CD40L)との相互作用に起因する少なくとも1つの生化学反応または一群の生化学反応であって、そのシグナル経路を経由して伝達されると、該シグナル伝達カスケードの1種類以上の下流分子の活性化をもたらすシグナルを生成させる反応を意味することが意図される。シグナル伝達経路は、細胞表面CD40受容体から細胞の原形質膜を通過する、一連のシグナル伝達分子の1つ以上を経由する、細胞の細胞質を経由する、および場合によっては細胞の核内へのシグナルの伝達をもたらすいくつかのシグナル伝達分子を伴う。本発明に対して特に重要であるのは、CD40シグナル伝達経路、例えば、AKTシグナル伝達経路(これは、AKTの活性化、および最終的に、NF−κBシグナル伝達経路を経由するNF−κBの活性化をもたらす);ならびにマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路、例えば、MEK/ERKシグナル伝達経路およびMEK/p38シグナル伝達経路(これらは、それぞれERKおよびp38の活性化をもたらす)である。
上記のように、本発明は、ヒト患者に治療または予防有効量の抗CD40抗体を投与することを含む、FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)である、ヒト患者を、CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態処置する方法を提供する。
「ヒト患者」により、任意のCD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態に罹患した、その発症もしくは再発のリスクがあるヒト患者が意図される。
「CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態」により、CD40発現細胞と関連していることがわかっている任意のB細胞系統の癌、非B細胞血液学的悪性疾患および充実腫瘍が意図される。
本発明の方法は、B細胞系統の癌の治療的処置に有用である。CD40発現細胞と関連しているB細胞系統の癌としては、限定されないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ性白血病(PLL)、小リンパ球性白血病(SLL)、へアリーセル白血病、ホジキン病、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、およびリンパ腫、例えば限定されないが、びまん性小リンパ球性リンパ腫、濾胞性、DLBCL、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾原発リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、脈管内リンパ腫症、免疫芽球性リンパ腫、AIDS関連リンパ腫などが挙げられる。
したがって、本発明は、異常で制御不能なB細胞増殖または蓄積に関する非ホジキンリンパ腫を有する被験体の処置における用途が見出される。本発明の目的のため、かかるリンパ腫は、Working Formulation分類スキームに従って表示する、すなわち低悪性度、中悪性度および高悪性度に分類されるB細胞リンパ腫と表示する(「The Non−Hodgkin’s Lymphoma Pathologic Classification Project」、Cancer 49(1982):2112−2135を参照のこと)。したがって、低悪性度B細胞リンパ腫としては、小リンパ球性、濾胞性小切れ込み核細胞、ならびに濾胞性混合型切れ込み核小および大細胞リンパ腫が挙げられ、中悪性度リンパ腫としては、濾胞性大細胞、びまん性小切れ込み核細胞、びまん性混合型小および大細胞、ならびにびまん性大細胞リンパ腫が挙げられ、高悪性度リンパ腫としては、大細胞免疫芽球性、リンパ芽球性、ならびにバーキットおよび非バーキット型の非切れ込み核小細胞リンパ腫が挙げられる。
本発明の方法は、Revised European and American Lymphoma Classification(REAL)システムに従って分類されるB細胞リンパ腫の治療的処置に有用である。かかるB細胞リンパ腫としては、限定されないが、前駆体B細胞新生物に分類されるリンパ腫、例えば、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫;末梢B細胞新生物、例えば、B細胞慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫/免疫細胞種、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞中心リンパ腫(濾胞性)(例えば、びまん性小細胞、びまん性混合型小および大細胞ならびにびまん性大細胞リンパ腫)、辺縁層リンパ腫リンパ腫(例えば、節外性、節性および脾臓原発型)、形質細胞種/骨髄腫、亜型縦隔原発(胸腺)のびまん性大細胞B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、ならびにバーキット様高悪性度B細胞リンパ腫;ならびに分類不能な低悪性度または高悪性度B細胞リンパ腫などが挙げられる。
本発明の方法は、MGUS(意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance))として知られる前悪性状態の治療的処置に有用である。MGUSを有する患者のほぼ25%が、最終的に、多発性骨髄腫(MM)または関連形質細胞障害を発症する(Kyle(1993)Mayo Clinic.Proc.68:26−36)。骨髄内での悪性形質細胞の増殖、血清または尿中モノクローナルタンパク質(Mタンパク質)、貧血、高カルシウム血症、腎不全および溶解性骨病変の検出は、MMの臨床症状発現であるが、MGUSは、臨床的には、他のMMの臨床徴候はない血清または尿中におけるMタンパク質の存在と認識されている(例えば、KyleおよびLust(1989)Semin.Hematol 26:176−200;GreippおよびLust Stem Cells(1995)13:10−21を参照のこと)。MGUS患者は無症候性であり、Mタンパク質の安定な測定値を有する(Kyle(1993)Mayo Clinic.Proc.68:26−36)。被験体においてMGUSが同定されたら、適切な抗CD40抗体、例えばアンタゴニスト抗CD40抗体を用いた維持療法により、これらの患者において多発性骨髄腫の発達が阻止され得る。
本発明の方法はまた、CD40発現細胞と関連している非B細胞関連造血器悪性疾患、例えば、急性骨髄性白血病などの治療的処置に有用である。
本発明の方法はまた、充実腫瘍の治療的処置に有用である。CD40発現細胞と関連している充実腫瘍としては、限定されないが、卵巣、肺(例えば、扁平上皮細胞癌腫の非小細胞肺癌、腺癌腫、ならびに大細胞癌腫型および小細胞肺癌)、乳房、結腸、腎臓(例えば、腎細胞癌腫など)、膀胱、肝臓(例えば、肝細胞癌腫など)、胃、頚部、前立腺、鼻咽頭癌、甲状腺(例えば、甲状腺乳頭癌腫)、皮膚癌、例えば、黒色腫および肉腫(例えば、骨肉腫やユーイング肉腫など)が挙げられる。
CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態は、CD40発現細胞上の望ましくないレベルのCD40シグナル伝達と関連している癌もしくは前悪性状態であり得るか、または該癌もしくは前悪性状態は、間接的にのみCD40発現細胞と関連しているものであり得る。「望ましくないレベルのCD40シグナル伝達と関連している癌または前悪性状態」により、その発達または進行が望ましくないレベルのCD40シグナル伝達と関連している癌または前悪性状態が意図される。
「望ましくないレベルのCD40シグナル伝達」により、癌または前悪性状態を有するヒト患者のCD40発現細胞内で起こり得る任意の生理学的に望ましくないレベルのCD40シグナル伝達が意図される。
該癌または前悪性状態は、CD20発現細胞と関連している癌または前悪性状態であり得る。かかる癌または前悪性状態としては、限定されないが、本明細書中のどこかで記載したB細胞悪性疾患が挙げられる。
本発明は、本明細書に開示されたCHIR−12.12などの抗CD40抗体の新規な用途が、リツキサン(登録商標)などの抗CD20抗体の使用に伴う問題に取り組むものであるため、CD40およびCD20の両方を発現する細胞と関連している癌および前悪性状態について特に好都合である。特に、本発明により、本明細書中のどこかでより詳細に記載したように、FcγRIIIa−158F(遺伝子型V/FまたはF/F)についてホモ接合性またはヘテロ接合性である患者に対して、他の癌療法剤、例えば、リツキサン(登録商標)などの抗(ani−)CD20抗体での治療に不応性である癌または前悪性状態を有する患者の処置が可能になる。
本発明の治療方法では、本明細書中のどこかで規定した少なくとも1種類の抗CD40抗体を用いて、癌または前悪性状態に関する正の治療応答を促進させる。
癌または前悪性状態に関する「正の治療応答」により、抗CD40抗体の治療活性と関連した該癌もしくは前悪性状態における改善および/または該癌もしくは前悪性状態と関連している症状における改善が意図される。すなわち、抗増殖効果であるさらなる腫瘍派生物(outgrowth)の抑制、腫瘍の大きさの縮小、癌細胞の数の減少および/またはCD40発現細胞と関連している1つ以上の症状の低減が観察され得る。したがって、例えば、正の治療応答は、該疾患における下記の改善:(1)腫瘍の大きさの縮小;(2)癌(すなわち、新生物形成性)細胞の数の減少;(3)新生物形成性細胞死の増大;(4)新生物形成性細胞の生存の阻害;(4)腫瘍増殖の阻害(すなわち、ある程度の遅滞、好ましくは停止);(5)末梢器官内への癌細胞浸潤の阻害(すなわち、ある程度の遅滞、好ましくは停止);(6)腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度の遅滞、好ましくは停止);(7)さらなる腫瘍派生物の抑制;(8)患者の生存率の増大;および(9)癌と関連している1つ以上の症状のある程度の緩和の1つ以上をいうものであり得る。
任意の所与の悪性疾患における正の治療応答は、その悪性疾患に対する具体的な標準化された応答基準によって決定され得る。腫瘍の応答は、腫瘍形態(すなわち、overall 腫瘍負荷量、腫瘍の大きさなど)の変化について、スクリーニング手法、例えば、磁気共鳴画像(MRI)スキャン、X線計測画像法、コンピュータ連動断層撮影(CT)スキャン、骨スキャン画像法、内視鏡検査、および腫瘍生検試料採取、例えば、骨髄穿刺(BMA)および循環血液中の腫瘍細胞の計数などを用いて評価され得る。これらの正の治療応答に加え、抗CD40治療用薬剤での治療を受けている被験体は、その疾患と関連している症状の改善という有益な効果を受けることがあり得る。したがって、B細胞腫瘍では、被験体は、いわゆるB症状、すなわち、寝汗、発熱、体重減少および/または蕁麻疹の低減を経験することがあり得る。前悪性状態では、抗CD40治療用薬剤での治療により、意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)に苦しむ被験体において、関連悪性状態の進展(例えば、多発性骨髄腫の進展)が阻止され得る、および/または該発達までの時間が延長され得る。
疾患の改善は、完全な応答として特性評価され得る。「完全な応答」により、任意の事前の異常放射線学的試験値(骨髄腫の場合は、骨髄および脳脊髄液(CSF)または異常なモノクローナルタンパク質)の標準化による臨床的に検出可能な疾患の非存在が意図される。かかる応答は、本発明による処置後、少なくとも4〜8週間、または特定の疾患では場合により6〜8週間持続するものでなければならない。あるいはまた、疾患の改善は、部分応答に分類されるものであり得る。「部分応答」により、新たな病変の非存在下における測定可能な全腫瘍負荷量(すなわち、被験体内に存在する悪性細胞の数または腫瘤の測定量または異常なモノクローナルタンパク質の量)の少なくとも約50%の低減および必要に応じて4〜8週間の持続が意図される。骨髄腫では、正常な応答(尿中骨髄腫タンパク質の25〜50%の減少)もまた応答とみなす。かかる応答は、測定可能な腫瘍にのみ適用可能である。
「治療または予防有効用量」または「治療または予防有効量」により、投与されると、CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態を有する患者の処置に関して正の治療応答をもたらす抗CD40抗体の量が意図される。好適な投薬量は、本明細書中のどこかでより詳細に記載している。該処置方法は、本明細書中のどこかでより詳細に記載した抗CD40抗体の治療有効用量の単回投与または治療有効用量の反復投与を含むものであり得る。
「腫瘍」は、本明細書で用いる場合、あらゆる新生物形成性細胞生長および増殖(悪性であろうと良性であろうと)ならびにあらゆる前癌性および癌性の細胞および組織をいう。「新生物形成性」は、本明細書で用いる場合、異常な組織増殖をもたらす任意の形態の調節異常または無秩序な細胞増殖(悪性であれ良性であれ)をいう。したがって、「新生物形成性細胞」には、調節異常または無秩序な細胞増殖を有する悪性および良性の細胞が含まれる。
用語「癌」および「癌性」は、典型的には無秩序な細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理学的状態をいうか、または示す。癌の例としては、限定されないが、リンパ腫および白血病、ならびに充実腫瘍が挙げられる。「B細胞関連癌」または「B細胞系統の癌」により、調節異常または無秩序な細胞増殖がB細胞と関連している任意の型の癌が意図される。
「処置」は、本明細書では、患者への抗CD40抗体の適用もしくは投与、または患者由来の単離された組織もしくは細胞株への抗CD40抗体の適用もしくは投与であって、該患者が疾患、疾患の症状または疾患に対する素因を有し、その目的が、該疾患、疾患の症状または疾患に対する素因を治療、治癒、軽減、緩和、改変、矯正、改善、向上または影響を与えることである投与と規定する。また、「処置」により、患者への抗CD40抗体を含む医薬組成物の適用もしくは投与、または患者由来の単離された組織もしくは細胞株への抗CD40抗体を含む医薬組成物の適用もしくは投与であって、該患者が疾患、疾患の症状または疾患に対する素因を有し、その目的が、該疾患、疾患の症状または疾患に対する素因を治療、治癒、軽減、緩和、改変、矯正、改善、向上または影響を与えることである投与が意図される。
「抗腫瘍活性」により、悪性CD40発現細胞増殖もしくは蓄積の速度の低下、したがって、既存の腫瘍の増殖速度の低下もしくは治療中に生じる腫瘍の低減および/または既存の新生物形成性(腫瘍)細胞もしくは新たに形成された新生物形成性細胞の破壊、したがって、治療中の腫瘍の総体的な大きさの減少が意図される。少なくとも1種類の抗CD40抗体での治療により、ヒトにおいて、CD40発現細胞におけるCD40シグナル伝達の刺激と関連している疾患状態の処置に関して有益な生理学的応答がもたらされる。
本発明の方法は、ファーストライン癌療法的処置に対して不応性である癌および前悪性状態(例えば、上記のもの)の処置に特に有用である。用語「癌療法的」は、任意の癌処置、例えば、化学療法、外科手術、放射線療法、抗癌抗体療法およびその組合せなどを意味することが意図される。癌療法的処置の例は、本明細書中のどこかでより詳細に記載している。「不応性の」により、その特定の癌が、ある特定の癌療法剤による治療に対して抵抗性であるか、または非応答性であるが意図される。癌は、ある特定の治療用薬剤での治療に対して、該特定の治療用薬剤での処置の開始から不応性(すなわち、該治療用薬剤への初期曝露に対して非応答性)、または該治療用薬剤に対して抵抗性を発現した結果として不応性のものであり得、該治療用薬剤での第1の処置期間の過程において、または該治療用薬剤でのその後の処置期間の間のいずれかで不応性であり得る。したがって、本発明は、抗癌剤での治療に不応性であって、治療に対して抵抗性または該抗癌剤での治療に非応答性のいずれかで場合のヒト患者の処置に有用である。
本発明の方法は、抗CD40抗体の使用を伴う。「抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖で構成された約150,000ダルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質である。各軽鎖は重鎖に1つの共有結合性ジスルフィド結合によって連結されているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で種々である。各重鎖および軽鎖はまた、規則正しく間隔の空いた鎖内ジスルフィド結合を有する。各重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)、続いていくつかの定常ドメインを有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)および他端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の最初の定常ドメインと並んでおり、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並んでいる。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメイン間の界面を形成していると考えられる。用語「可変」は、可変ドメインの特定のある部分が抗体間で配列が広く異なることをいう。可変領域は、抗原結合特異性を付与する。定常ドメインは、抗原への抗体の結合に直接関与していないが、種々のエフェクター機能、例えば、Fc受容体(FcR)結合、抗体依存性細胞傷害における当該抗体の関与、補体依存性細胞傷害性の起始、および肥満細胞脱顆粒などを示す。
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる明白に異なる2つの型の一方に割り当てられ得る。
その「重鎖」の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラスに割り当てられ得る。ヒト免疫グロブリンには主に5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2に分けられ得る。免疫グロブリンの種々のクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。種々のクラスの免疫グロブリンのサブユニットの構造および3次元立体配置はよく知られている。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有する。例えば、ヒトIgG1およびIgG3アイソタイプは、ADCC(抗体依存性細胞媒介型細胞傷害性)活性を有する。IgG1抗体、特にヒトIgG1抗体は、本発明の方法において特に有用である。
「ヒトエフェクター細胞」は、1種類以上のFcRを発現し、エフェクター機能を発揮する白血球である。好ましくは、該細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、抗原依存性細胞媒介型細胞傷害性(cyotoxicity)(ADCC)エフェクター機能を発揮する。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、マクロファージ、好酸球および好中球が挙げられ、PBMCおよびNK細胞が好ましい。ADCC活性を有する抗体は、典型的には、IgG1またはIgG3アイソタイプのものである。IgG1およびIgG3抗体を単離することに加え、かかるADCC媒介抗体は、非ADCC抗体由来の可変領域または可変領域断片を、IgG1またはIgG3アイソタイプ定常領域に操作することにより作製され得ることに注意されたい。
用語「Fc受容体」または「FcRは、抗体のFc領域に結合する受容体を示すために用いる。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(γ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体(これらの受容体の対立遺伝子バリアントおよび選択的スプライシング形態を含む)が挙げられる。FcγRII受容体としては、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)が挙げられ、これらは、主にその細胞質ドメインが異なる類似したアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、イムノレセプターチロシン系活性化モチーフ(ITAM)をその細胞質ドメイン内に含む。阻害受容体FcγRIIBは、イムノレセプターチロシン系阻害モチーフ(ITIM)をその細胞質ドメイン内に含む(Daeron(1997)Annu.Rev.Immunol.15:203−234を参照のこと)。FcRは、RavetchおよびKinet(1991)Annu.Rev.Immunol.9:457−492(1991);Capelら(1994)Immunomethods 4:25−34;およびde Haasら(1995)J.Lab.Clin.Med.126:330−341
に概説されている。他のFcRも、将来同定されるものも含め、本明細書における用語「FcR」に包含される。また、該用語には新生児受容体FcRnも含まれ、これは、母体IgGの胎児への移行を担う(Guyerら(1976)J.Immunol.117:587およびKimら(1994)J.Immunol.24:249(1994))。
用語「抗体」は、本明細書では最も広い意味において用い、完全に合成された抗体、CD40抗原に特異的に結合する能力を保持している抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、Fvおよび他の断片)、単鎖抗体、ダイアボディ、抗体キメラ、ハイブリッド抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体など)、ならびに前述のものを構成する組換えペプチドを包含する。用語「抗体」は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方を包含する。
本明細書で用いる場合、「抗CD40抗体」には、CD40抗原を特異的に認識する任意の抗体が包含される。一部のある実施形態において、本発明の方法における使用のための抗CD40抗体、特に、モノクローナル抗CD40抗体は、CD40抗原に対して強力な単一部位結合親和性を示す。かかるモノクローナル抗体は、BiacoreTMなどの標準的なアッセイを用いて測定した場合、少なくとも10−5M、少なくとも3×10−5M、好ましくは少なくとも10−6Mまたは少なくとも10−7Mまで、より好ましくは少なくとも10−8Mまたは少なくとも10−12MのCD40に対する親和性(KD)を示す。Biacore解析は当該技術分野で知られており、詳細は、「BIAapplications handbook」に示されている。WO01/27160に記載された方法を用いて結合親和性がモジュレートされ得る。
「を特異的に認識する」または「に特異的に結合する」により、抗CD40抗体がCD20抗原などの無関連の抗原に結合しないことが意図される。
一部のある実施形態において、本発明の方法における使用のための抗CD40抗体、特にモノクローナル抗体は、ヒトFcγRIIIa−158Vに対する強力な結合親和性を示す。好ましくは、本発明における使用のための抗CD40抗体はヒトFcγRIIIa−158Vに、BiacoreTMなどの標準的なアッセイを用いて測定した場合、少なくとも約0.5μMの親和性(KD)で結合する。本明細書の実施例6に開示するように、CHIR−12.12抗体はヒトFcγRIIIa−158Vに、492nMの親和性(KD)で結合する。
一部のある実施形態において、本発明の方法における使用のための抗CD40抗体、特にモノクローナル抗体は、ヒトFcγRIIIa−158Fに対する強力な結合親和性を示す。好ましくは、本発明における使用のための抗CD40抗体はヒトFcγRIIIa−158Fに、BiacoreTMなどの標準的なアッセイを用いて測定した場合、少なくとも約12μMの親和性(KD)で結合する。好ましくは、本発明における使用のための抗CD40抗体はヒトFcγRIIIa−158Fに、少なくとも約10μM、少なくとも約8μM、少なくとも約6μM、少なくとも約5μM、少なくとも約4μMまたは少なくとも約3μMの親和性(KD)で結合する。本明細書の実施例6に開示するように、CHIR−12.12抗体はヒトFcγRIIIa−158Fに、2.8μMの親和性(KD)で結合する。
一部のある実施形態において、本発明の方法における使用のための抗CD40抗体、特にモノクローナル抗体は、ヒトFcγRIIIa−158VおよびFcγRIIIa−158Fの両方に対する強力な結合親和性を示す。好ましくは、本発明における使用のための抗CD40抗体は、BiacoreTMなどの標準的なアッセイを用いて測定した場合、ヒトFcγRIIIa−158Vに少なくとも約0.5μMの親和性(KD)で結合し、ヒトFcγRIIIa−158Fに少なくとも約12μMの親和性(KD)で結合する。
本発明の方法における使用のための抗体は、当業者に知られた任意の適当な抗体生成方法を用いて生成させ得る。
本発明の方法において使用される抗CD40抗体はポリクローナル抗体であり得る。したがって、ポリクローナル血清は、慣用的な方法によって調製され得る。一般に、目的の抗原(この場合、CD40抗原)を含有する溶液を用いて、まず、適当な動物、好ましくは、マウス、ラット、ウサギまたはヤギを免疫処置する。ウサギまたはヤギは、得られ得る血清の容量ならびに標識された抗ウサギおよび抗ヤギ抗体の入手可能性のため、ポリクローナル血清の調製に好ましい。
免疫処置動物由来の血清は、初期抗原に対する抗体反応性に関してスクリーニングされ得る。リンパ球がリンパ節または脾臓細胞から単離され得、さらに、CD138陰性およびCD19陽性の細胞を選択することによりB細胞に関して選択され得る。一態様において、かかるB細胞培養物(BCC)を骨髄腫細胞と融合させ、本明細書において詳述するハイブリドーマが作製され得る。
ポリクローナル血清はまた、トランスジェニック動物、好ましくは、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を有するマウス内で調製され得る。好ましい実施形態において、目的のタンパク質(この場合、CD40抗原)を発現するSf9細胞が免疫原として使用される。免疫処置はまた、抗原含有溶液を生理食塩水中、好ましくはアジュバント(例えば、完全フロイントアジュバント)中で混合または乳化し、該混合物または乳剤を非経口で(一般的には皮下または筋肉内)注射することにより行なわれ得る。典型的には、50〜200μg/注射の用量で充分である。免疫処置は、一般的に、2〜6週間後に該タンパク質含有生理食塩水の1回以上の注射により、好ましくは不完全フロイントアジュバントを用いて追加免疫される。あるいはまた、抗体は、当該技術分野で知られた方法を用いたインビトロ免疫処置によって調製され得、これは、本発明の目的のため、インビボ免疫処置と等価とみなす。ポリクローナル抗血清は、免疫処置動物からガラスまたはプラスチック容器内に採血し、その血液を25℃で1時間インキュベートした後、4℃で2〜18時間インキュベートすることにより得られる。血清は、遠心分離(例えば、1,000×gで10分間)によって回収される。採血1回あたり約20〜50mlがウサギから得られ得る。
Sf9(Spodoptera frugiperda)細胞の調製は、米国特許第6,004,552号(引用により本明細書に組み込まれる)に開示されている。CD40の場合、簡単には、ヒトCD40をコードする配列をバキュロウイルス内に、転移ベクターを用いて組み換えを行なった。プラスミドを野生型バキュロウイルスDNAによりSf9細胞内にコトランスフェクトした。組換えバキュロウイルス感染Sf9細胞を同定し、クローン精製した。
本発明の方法において使用される抗CD40抗体はモノクローナル抗体であり得る。用語「モノクローナル抗体」(および「mAb」)は、本明細書で用いる場合、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体をいう、すなわち、該集団を構成する個々の抗体は、考えられ得る天然の微量で存在し得る変異を除き、同一である。該用語は、抗体の種に関して限定されず、なんら特定の方法による抗体の生成を要するものではない。
典型的には異なる抗原性決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基(エピトープ)に対して指向される。
「エピトープ」により、抗原性の分子の一部分であって、それに対して抗体が生成され、該抗体が結合する一部分が意図される。エピトープは、線状アミノ酸残基(すなわち、エピトープ内の残基は、連続的に次々に線状様式で配置されている)、非線状アミノ酸残基(本明細書では「非線状エピトープ」という;これらのエピトープは、連続的に配置されたものでない)、または線状と非線状両方のアミノ酸残基を含むものであり得る。本発明の方法における使用に適した抗CD40モノクローナル抗体は、ヒト細胞の表面上に発現されたヒトCD40抗原上のエピトープ、すなわち、該細胞の外部に露出したエピトープに特異的結合し得るものである。
本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature 256:495によって最初に報告されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、McCaffertyら(1990)Nature 348:552−554(1990)および米国特許第5,514,548号に記載された手法を用いて作製された抗体ファージライブラリーから単離されたものであり得る。Clacksonら(1991)Nature 352:624−628およびMarksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597には、ファージライブラリーを用いたマウスおよびヒト抗体の単離がそれぞれ記載されている。その後の刊行物には、鎖シャッフリング(Marksら(1992)Bio/Technology 10:779−783)、ならびにコンビナトリアル感染およびインビボ組換えによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の作製が、非常に大きなファージライブラリー(Waterhouseら(1993)Nucleic.Acids Res.21:2265−2266)を構築するためのストラテジーとして記載されている。したがって、これらの手法は、モノクローナル抗体の単離のための、従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ手法の実現可能な代替法である。
Kohlerら(1975)Nature 256:495−496従来法では、典型的には、マウスを抗原含有溶液で免疫処置する。免疫処置は、抗原含有溶液を生理食塩水中、好ましくは完全フロイントアジュバントなどのアジュバント中で混合または乳化し、該混合物または乳剤を非経口で注射することにより行なわれ得る。当該技術分野で知られた任意の免疫処置法を用いて本発明のモノクローナル抗体が得られ得る。動物の免疫処置後、脾臓(および任意選択で、いくつかの大リンパ節)を取り出し、単一の細胞に解離させる。脾臓細胞は、細胞懸濁液を、目的の抗原でコートされたプレートまたはウェルに塗布することによりスクリーニングされ得る。抗原に特異的な膜結合型免疫グロブリンを発現するB細胞は該プレートに結合し、リンス処理で除去されない。得られたB細胞、または解離させたすべての脾臓細胞を、次いで、骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマを形成するように誘導し、選択培地中で培養する。得られた細胞を連続希釈によってプレーティングし、目的の抗原に特異的に結合する(そして無関連の抗原には結合しない)抗体の産生についてアッセイする。選択されたモノクローナル抗体(mAb)分泌ハイブリドーマを、次いで、インビトロ(例えば、組織培養ボトルもしくは中空ファイバー反応器内)、またはインビボ(マウスの腹水として)のいずれかで培養する。
別の態様において、B細胞培養物は、さらに、初期抗原(好ましくは)に対する反応性に関してスクリーニングされ得る。かかるスクリーニングとしては、標的/抗原タンパク質を用いる酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、目的の抗原に結合する既知抗体を用いる競合アッセイ、および標的抗原を発現する一過的にトランスフェクトされたCHO細胞または他の細胞に対するインビトロ結合が挙げられる。
本発明における使用のための抗CD40抗体が組換えDNA法を用いて作製される場合、該モノクローナル抗体をコードするDNAは、慣用的な手順を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離され、配列決定される。本明細書に記載のハイブリドーマ細胞は、かかるDNAの好ましい供給源として供される。単離されたら、該DNAを発現ベクター内に配置し、次いで、これを、他の場合では免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞内(例えば、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などなど)にトランスフェクトすると、組換え宿主細胞内でのモノクローナル抗体の合成が得られ得る。細菌における抗体コードDNAの組換え発現に関する概説論文としては、Skerraら(1993)Curr.Opinion in Immunol.5:256およびPhickthun(1992)Immunol.Revs.130:151が挙げられる。あるいはまた、抗体は、CHO細胞株などの細胞株において産生されるものであり得る(米国特許第5,545,403号;同第5,545,405号;および同第5,998,144号に開示;引用により本明細書に組み込まれる)。簡単には、該細胞株を、それぞれ軽鎖および重鎖を発現し得るベクターでトランスフェクトする。2種類のタンパク質を別々のベクターにおいてトランスフェクトすることにより、キメラ抗体が作製され得る。別の利点は、抗体の正確なグリコシル化である。
「宿主細胞」は、本明細書で用いる場合、組換えベクターまたは他の転移ポリヌクレオチドのレシピエントとして使用され得る、または使用されことのある単細胞の存在体として培養された微生物または真核生物細胞もしくは細胞株をいい、トランスフェクトされた元の細胞の子孫を含む。単一の細胞の子孫は、自然な、偶発的または意図的な変異のため、必ずしも元の親と形態学またはゲノムもしくは全DNA完全体(complement)において完全に同一とは限らないことを理解されたい。
一部のある実施形態において、CHIR−12.12などの抗CD40抗体は、マーカーとしてグルタミンシンテターゼが使用されるGS遺伝子発現系(Lonza Biologies、Portsmouth、New Hampshire)を用いてCHO細胞において産生されたものであり得る。また、米国特許第5,122,464号;同第5,591,639号;同第5,658,759号;同第5,770,359号;同第5,827,739号;同第5,879,936号;同第5,891,693号;および同第5,981,216号(その内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)も参照のこと。
CD40に対するモノクローナル抗体は当該技術分野で知られている。例えば、McMichael編(1987;1989)Leukocyte Typing III and IV(Oxford University Press、New York)について記載されたセクションB細胞抗原;米国特許第5,674,492号;同第5,874,082号;同第5,677,165号;同第6,056,959号;WO00/63395;国際特許出願公報番号WO02/28905およびWO02/28904;Gordonら(1988)J.Immunol.140:1425;Valleら(1989)Eur.J.Immunol.19:1463;Clarkら(1986)PNAS 83:4494;Paulieら(1989)J.Immunol.142:590;Gordonら(1987)Eur.J.Immunol.17:1535;Jabaraら(1990)J.Exp.Med.172:1861;Zhangら(1991)J.Immunol.146:1836;Gascanら(1991)J.Immunol.147:8;Banchereauら(1991)Clin.Immunol.Spectrum 3:8;およびBanchereauら(1991)Science 251:70(これらはすべて、引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
上記のように、用語「抗体」は、本明細書で用いる場合、キメラ抗体が包含される。「キメラ」抗体により、最も好ましくは、組換えデオキシリボ核酸手法を用いて誘導され、ヒト成分(免疫学的に「関連する」種、例えばチンパンジーを含む)と非ヒト成分の両方を含む抗体が意図される。したがって、キメラ抗体の定常領域は、最も好ましくは、天然ヒト抗体の定常領域と実質的に同一であり、キメラ抗体の可変領域は、最も好ましくは、非ヒト供給源に由来し、目的の抗原(CD40)に対する所望の抗原性の特異性を有するものである。非ヒト供給源は、CD40抗原に対する抗体を生成させるために使用され得る任意の脊椎動物供給源であり得る。かかる非ヒト供給源としては、限定されないが、齧歯類(例えば、ウサギ、ラット、マウスなど;例えば、米国特許第4,816,567号(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)および非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など;例えば、米国特許第5,750,105号および同第5,756,096号を参照のこと;引用により本明細書に組み込まれる)が挙げられる。
上記のように、用語「抗体」は、本明細書で用いる場合、ヒト化抗体が包含される。「ヒト化」により、非ヒト免疫グロブリン配列由来の最小限の配列を含有する抗体の形態が意図される。たいてい、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域(相補性決定領域またはCDRとしても知られる)由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類など)(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基で置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。語句「相補性決定領域」は、一緒になって天然免疫グロブリン結合部位の天然Fv領域の結合親和性および特異性を規定するアミノ酸配列をいう。例えば、Chothiaら(1987)J.Mol.Biol.196:901−917;Kabatら(1991)U.S.Dept.of Health and Human Services、NIH刊行物番号91−3242)を参照のこと。語句「定常領域」は、エフェクター機能を付与する抗体分子の一部分をいう。ヒト疾患の治療における使用のための非免疫原性抗体の作製に関するこれまでの研究では、マウス定常領域をヒト定常領域で置き換えていた。該当するヒト化抗体の定常領域は、ヒト免疫グロブリンから誘導されたものであった。しかしながら、このようなヒト化抗体は、望ましくない潜在的に危険な免疫応答をヒトにおいてを誘発し得、親和性の低下が見られた。
ヒト化は、Winterおよび共同研究者(Jonesら(1986)Nature 321:522−525;Riechmannら(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyenら(1988)Science 239:1534−1536)の方法に従って、ヒト抗体の対応する配列の代わりに齧歯類または変異型齧歯類CDRまたはCDR配列を用いることにより行なわれ得る。米国特許第5,225,539号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,859,205号(引用により本明細書に組み込まれる)もまた参照のこと。場合によっては、ヒト免疫グロブリンの1つ以上の可変領域のフレームワーク領域内の残基が、対応する非ヒト残基で置き換えられる(例えば、米国特許第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;および同第6,180,370号を参照のこと)。さらにまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見られない残基を含むものであり得る。このような修飾を行ない、抗体性能がさらに精巧になる(例えば、所望の親和性を得るため)。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含み、超可変領域の全部または実質的に全部は、非ヒト免疫グロブリンものに対応し、フレームワーク領域の全部または実質的に全部は、ヒト免疫グロブリン配列のものである。任意選択で、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部を含むものである。さらなる詳細については、Jonesら(1986)Nature 331:522−525;Riechmannら(1988)Nature 332:323−329;およびPresta(1992)Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。したがって、かかる「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変ドメインより相当少ない該ドメインが非ヒト種由来の対応する配列で置換された抗体を含み得る。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、一部のCDR残基およびおそらく一部のフレームワーク残基が齧歯類抗体の同様の部位由来の残基で置換されたヒト抗体である。例えば、米国特許第5,225,539号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,859,205号を参照のこと。所定の抗原に対して改善された親和性を有するヒト化抗体を作製するためのヒト化抗体および手法が開示された米国特許第6,180,370号および国際特許出願公報番号WO01/27160もまた参照のこと。
ヒト化抗CD40抗体はまた、Human EngineeringTM手法(Xoma Ltd.、Berkeley、California)を用いて作製され得る。
ヒト化抗CD40モノクローナル抗体には、SGN−40(Taiら(2004)Cancer Res.64:2846−52;米国特許第6,838,261号)(これは、マウス抗CD40抗体SGN−14(Franciscoら(2000)Cancer Res.60:3225−31)のヒト化形態である)、および米国特許出願公開公報第2004/0120948号(引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示された抗体などの抗体が含まれる。
本発明はまた、内在性免疫グロブリン(Ig)遺伝子座が不活性化されていることを特徴とする非ヒト哺乳動物宿主、より特別にはトランスジェニックマウスにおいて産生される異種抗体または修飾抗体を用いて実施され得る。かかるトランスジェニック動物では、宿主の免疫グロブリンの軽鎖および重鎖のサブユニットの発現に対してコンピテントな内在性遺伝子が、非機能性になっており、同様のヒト免疫グロブリン遺伝子座で置換されている。このようなトランスジェニック動物は、実質的に宿主の免疫グロブリンサブユニットの軽鎖または重鎖の非存在下でヒト抗体を産生する。例えば、米国特許第5,877,397号および同第5,939,598号(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
したがって、一部のある実施形態において、例えば、CD40に対する完全ヒト抗体は、トランスジェニックマウスを免疫処置することにより得られる。かかるマウスの一例は、XenoMouse(登録商標)手法(Abgenix;Fremont、California)を用いて得られ、米国特許第6,075,181号、同第6,091,001号および同第6,114,598号(これらはすべて、引用により本明細書に組み込まれる)に開示されている。例えば、CHIR−12.12抗体を作製するため、ヒトIgG1重鎖遺伝子座およびヒトκ軽鎖遺伝子座が組み換えられたマウスが、ヒトCD40発現Sf9細胞で免疫処置された。マウスはまた、他のアイソタイプが組み換えられたものであってもよい。本発明の方法に有用な完全ヒト抗CD40抗体は、CHIR−12.12モノクローナル抗体によって示されるものと類似した結合特性を特徴とする。
上記のように、用語「抗体」はまた、本明細書で用いる場合、抗原に結合し得る抗体断片を包含する。「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合または可変領域を含むものである。抗体断片の例としては、Fab、Fab、F(ab’)2およびFv断片;ダイアボディ;線状抗体(Zapataら(1995)Protein Eng.10:1057−1062);単鎖抗体分子;および抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、および残部「Fc」断片(その名称は、容易に結晶化する能力を反映している)がもたらされる。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原架橋能を有するF(ab’)2断片がもたらされる。
「Fv」は、完全な抗原認識および結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインが強固に非共有結合された二量体からなる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してVH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を画定するのは、この立体配置においてである。集合的に、この6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(すなわち、抗原に特異的な3つだけのCDRを含むFvである半分)であっても、抗原を認識して結合する能力を有するが、結合部位全部よりも低い親和性で認識して結合する。
また、Fab断片は、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)を含む。Fab断片はFab’断片と、該抗体のヒンジ領域の1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基が付加されていることで異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基(1つまたは複数)が遊離チオール基を有するFab’に対する本明細書における命名である。Fab’断片は、F(ab’)2断片の重鎖ジスルフィド結合を還元することにより生成される。抗体断片の他の化学的カップリングもまた知られている。
抗CD40抗体の断片は、完全長抗体の所望の親和性を保持している限り、本発明における使用に適している。したがって、例えば、抗CD40抗体の断片は、CD40抗原に結合する能力を保持している。かかる断片は、対応する完全長抗体と類似した特性を特徴とする。したがって、例えば、完全長アンタゴニスト抗CD40抗体の断片は、好ましくは、ヒト細胞の表面上に発現されたヒトCD40抗原に特異的に結合し得、有意なアゴニスト活性がないが、ヒトCD40発現細胞上のCD40抗原に結合すると、アンタゴニスト活性を示すものである。かかる断片を、本明細書において、「抗原結合」断片という。本発明における使用のための抗CD40抗体の断片はまた、好ましくは、該当するFcRまたはFcRに結合する能力を保持している。したがって、例えば、抗CD40抗体の断片は、FcγRIIIaに結合する能力を保持しているものであり得る。したがって、例えば、完全長抗CD40抗体の断片は、細胞表面CD40抗原に特異的に結合し得るもの、また、ヒトエフェクター細胞(ナチュラルキラー(NK)細胞など)上のFcγRIIIaに結合し得るものであり得る。かかる断片を、本明細書において、「FcR結合」断片という。かかる断片は、一般的に、重鎖の定常ドメインの少なくとも一部分を含む。
抗体断片の作製のための種々の手法が、開発されている。従来より、このような断片は、インタクトな抗体のタンパク質分解的消化により誘導されたものであった(例えば、Morimotoら(1992)Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992)およびBrennanら(1985)Science 229:81を参照のこと)。しかしながら、このような断片は、現在では、組換え宿主細胞によって直接産生され得る。例えば、抗体断片は、前述の抗体ファージライブラリーから単離され得る。あるいはまた、Fab’−SH断片を大腸菌から直接回収し、化学的カップリングによりF(ab’)2断片が形成され得る(Carterら(1992)Bio/Technology 10:163−167)。別のアプローチによれば、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離され得る。抗体断片の作製のための他の手法は、当業者に自明であろう。
好適な抗体の抗原結合断片は、完全長抗体の一部、一般的にはその抗原結合または可変領域を含むものである。抗体断片の例としては、限定されないが、Fab、F(ab’)2およびFv断片ならびに単鎖抗体分子が挙げられる。「Fab」により、軽鎖と重鎖の一部で構成された免疫グロブリンの一価の抗原結合断片が意図される。F(ab’)2により、両方の軽鎖と両方の重鎖の一部を含む免疫グロブリンの二価の抗原結合断片が意図される。「単鎖Fv」または「sFv」抗体断片により、抗体のVHおよびVLドメインを含む断片であって、これらのドメインが単一のポリペプチド鎖内に存在する断片が意図される。例えば、米国特許第4,946,778号、同第5,260,203号、同第5,455,030号および同第5,856,456号(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。一般的に、Fvポリペプチドは、さらに、VHおよびVLドメイン間にポリペプチドリンカーを含み、これにより、sFvが、抗原結合のための所望の構造を形成すること可能になる。sFvの概説については、Pluckthun(1994)、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、RosenburgおよびMoore編(Springer−Verlag、New York)、pp.269−315を参照のこと。また、本明細書に開示されたアンタゴニスト抗CD40抗体の抗原結合断片は、標的癌細胞の致死を行なうように細胞毒素にコンジュゲートされたものであり得る(本明細書において後述する)。
本発明の一部のある実施形態において、抗CD40抗体は、アンタゴニスト抗CD40抗体である。かかる抗体が、ヒト細胞の表面上(ヒトB細胞など)にディスプレイされたCD40に結合すると、有意なアゴニスト活性はもたらされなくなる。一部のある実施形態において、該抗体がヒト細胞の表面上にディスプレイされたCD40に結合すると、該ヒト細胞の増殖および分化阻害がもたらされる。本発明における使用に適した抗CD40抗体としては、細胞表面CD40抗原を発現する正常および悪性ヒト細胞に対してアンタゴニスト活性を示し得る抗体が挙げられる。
「アゴニスト活性」により、物質が、アゴニストとしても機能を果たすことが意図される。アゴニストは、細胞上の受容体と結合し、該受容体の天然リガンドによって開始されるものと類似または同じ反応または活性を起始させる。CD40のアゴニストとしては、限定されないが、以下の応答:B細胞増殖および/または分化;ICAM−1、E−セレクチン、VCAMなどの分子による細胞内接着の上方調節;炎症誘発性サイトカイン、例えば、IL−1、IL−6、IL−8、IL−12、TNFなどの分泌;CD40受容体を介し、TRAF(例えば、TRAF2および/またはTRAF3)、MAPキナーゼ(NIK(NF−κB誘導キナーゼ)、I−κBキナーゼ(IKK α/β)など)、転写因子NF−κB、RasおよびMEK/ERK経路、PI3K/AKT経路、P38 MAPK経路などの経路によるシグナル伝達;XIAP、mcl−1、bcl−xなどの分子による抗アポトーシスシグナルの伝達;Bおよび/またはT細胞記憶の生成;B細胞抗体産生;B細胞アイソタイプスイッチ、MHCクラスIIやCD80/86などの細胞表面発現の上方調節のいずれかまたはすべてが挙げられる。
「有意な」アゴニスト活性により、B細胞応答のアッセイにおいて測定したとき、天然物質または陰性対照によって誘導されるアゴニスト活性より少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%大きいアゴニスト活性が意図される。好ましくは、「有意な」アゴニスト活性は、B細胞応答のアッセイにおいて測定したとき、天然物質または陰性対照によって誘導されるアゴニスト活性よりも少なくとも2倍大きいか、または少なくとも3倍大きいアゴニスト活性である。したがって、例えば、対象のB細胞応答がB細胞増殖である場合、「有意な」アゴニスト活性は、天然物質または陰性対照によって誘導されるB細胞増殖のレベルよりも少なくとも2倍大きいか、または少なくとも3倍大きいレベルのB細胞増殖の誘導であり得る。一実施形態において、CD40に結合しない非特異的免疫グロブリン、例えばIgG1が陰性対照として供される。「有意なアゴニスト活性がない」物質は、B細胞応答のアッセイにおいて測定したとき、天然物質または陰性対照によって誘導されるアゴニスト活性よりも約25%より大きくない、好ましくは、天然物質または陰性対照によって誘導されるアゴニスト活性よりも約20%より、15%より、10%より、5%より、1%より、0.5%より大きくない、または約0.1%すらより大きくないアゴニスト活性を示すものであり得る。
「アンタゴニスト活性」により、物質が、アンタゴニストとしての機能を果たすことが意図される。CD40のアンタゴニストは、CD40受容体がアゴニストリガンド、特にCD40Lに結合することによって誘導される任意の応答の誘導を抑制または低減させる。該アンタゴニストは、アゴニスト結合に対する応答の任意の1つ以上の誘導を、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、好ましくは、40%、45%、50%、55%、60%、より好ましくは70%、80%、85%、最も好ましくは、90%、95%、99%または100%低減させるものであり得る。CD40リガンドの結合特異性および抗CD40治療用薬剤、例えば抗CD40抗体のアンタゴニスト活性を測定するための方法は、当該技術分野で知られており、限定されないが、標準的な競合的結合アッセイ、B細胞による免疫グロブリン分泌をモニタリングするアッセイ、B細胞増殖アッセイ、Banchereau−Like−B細胞増殖アッセイ、抗体産生のT細胞ヘルパーアッセイ、B細胞増殖共刺激アッセイ、およびB細胞活性化マーカーの上方調節アッセイが挙げられる。例えば、WO00/75348および米国特許第6,087,329号(引用により本明細書に組み込まれる)に開示されたかかるアッセイを参照のこと。また、WO2005/044854、WO2005/044304、WO2005/044305、WO2005/044306、WO2005/044855、WO2005/044307、およびWO2005/044294WO(これらの各々の内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)も参照のこと。
アンタゴニスト/アゴニスト活性の欠如は、CHIR−12.12がアゴニスト活性を欠くことを示すアッセイによって評価され得る。好適なアッセイは、US5677165(Chiron Corporation)に記載されたアッセイに示されている。
本発明の一実施形態において、アンタゴニスト抗CD40抗体には、1つの細胞応答において有意なアゴニスト活性がない。本発明の別の実施形態では、アンタゴニスト抗CD40抗体には、1つより多くの細胞応答(例えば、増殖および分化、または増殖、分化、ならびにB細胞、抗体産生)のアッセイにおいて有意なアゴニスト活性がない。
特に重要なのは、本明細書に規定の有意なアゴニスト活性がないが、ヒトB細胞上のCD40抗原に結合するとアンタゴニスト活性を示すアンタゴニスト抗CD40抗体である。本発明の一実施形態において、アンタゴニスト抗CD40抗体には、1つのB細胞応答において有意なアゴニスト活性がない。本発明の別の実施形態では、アンタゴニスト抗CD40抗体には、1つより多くのB細胞応答(例えば、増殖および分化、または増殖、分化、ならびに抗体産生)のアッセイにおいて有意なアゴニスト活性がない。
当該技術分野で知られた任意のアッセイを用いて、抗CD40抗体が1つ以上のB細胞応答のアンタゴニストとしての機能を果たすか否かが測定され得る。一部のある実施形態において、抗CD40抗体は、B細胞増殖、B細胞分化、抗体産生、細胞内接着、B細胞記憶の生成、アイソタイプスイッチ、MHCクラスIIおよびCD80/86の細胞表面発現の上方調節、ならびに炎症誘発性サイトカイン、例えば、IL−8、IL−12およびTNFなどの分泌からなる群より選択される少なくとも1つのB細胞応答のアンタゴニストとしての機能を果たす。特に重要なのは、ヒトB細胞の表面上のヒトCD40抗原に結合したとき、B細胞増殖に関して有意なアゴニスト活性がないアンタゴニスト抗CD40抗体である。
抗CD40抗体は、B細胞増殖アッセイにおいて測定される、可溶性または細胞表面CD40Lによって誘導されるB細胞増殖のアンタゴニストであり得る。好適なB細胞増殖アッセイは、当該技術分野で知られている。また、好適なB細胞増殖アッセイも後述する。一部のある実施形態において、アンタゴニスト抗CD40抗体はB細胞増殖を、天然物質または陰性対照によって誘導されるB細胞増殖よりも約25%より大きくないレベルで、好ましくは、天然物質または陰性対照によって誘導されるB細胞増殖よりも約20%より、15%より、10%より、5%より、1%より、0.5%より、または約0.1%すらより大きくないレベルで刺激する。
他の実施形態において、抗CD40抗体は、B細胞増殖において測定される、別の抗CD40抗体(例えば、S2C6抗CD40抗体)によって誘導されるB細胞増殖のアンタゴニストであり、アンタゴニスト抗CD40抗体の存在下で該別の抗CD40抗体によって刺激されるB細胞増殖のレベルは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下で該別の抗CD40抗体によって誘導されるB細胞増殖の約25%より大きくない(すなわち、少なくとも75%阻害)、好ましくは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下で該別の抗CD40抗体によって誘導されるB細胞増殖の約20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、または約0.1%すらより大きくない。
また他の実施形態において、抗CD40抗体は、B細胞活性化アッセイにおいて測定される、細胞株EL4B5によって誘導されるB細胞増殖のアンタゴニストであり、アンタゴニスト抗CD40抗体の存在下でEL4B5細胞株によって刺激されるB細胞増殖のレベルは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下でこの細胞株によって誘導されるB細胞増殖の約25%より大きくない(すなわち、少なくとも75%阻害)、好ましくは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下でこの細胞株によって誘導されるB細胞増殖の約20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、または約0.1%すらより大きくない。
さらに他の実施形態において、抗CD40抗体は、B細胞による抗体産生に関するヒトT細胞ヘルパーアッセイにおいて測定される、ヒトB細胞によるヒトT細胞誘導性抗体産生のアンタゴニストである。この様式では、アンタゴニスト抗CD40抗体の存在下でT細胞によって刺激されるB細胞によるIgG抗体産生、IgM抗体産生、またはIgGおよびIgM両方の抗体産生のレベルは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下でT細胞によって刺激されるB細胞によるそれぞれの抗体産生の約50%より大きくない(すなわち、少なくとも75%阻害)、好ましくは、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下でT細胞によって刺激されるB細胞によるそれぞれの抗体産生の約25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、または約0.1%すらより大きくない。さらなるアンタゴニスト抗CD40抗体としては、5D12、3A8および3C6と称されるモノクローナル抗体が挙げられ、これらは、それぞれ、ATCC受託番号HB 11339、HB 12024およびHB 11340を有するハイブリドーマによって分泌される。例えば、米国特許第6,315,998号(引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
例えば、以下のアッセイを用いて、抗CD40抗体のアンタゴニスト活性が評価され得る。これらのアッセイのためのヒトB細胞は、例えば、本質的にDe Grootら(1990)Lymphokine Research(1990)9:321に記載のようにして、扁桃摘出術を受けた個体から採取された扁桃腺からの単離によって得られ得る。簡単には、組織を外科用メスで分散させ、5mM L−ロイシンメチルエステルでの処置によって食細胞およびNK細胞を枯渇させ、2−アミノエチルイソチオウロニウムブロミドで処理した。ヒツジ赤血球(SRBC)を用いた1サイクルのロゼッティングによってT細胞を除去する。得られたBリンパ球調製物の純度は、抗(CD20)mAb B1(Coulter Clone、Hialeah、FA)または抗(CD3)mAb OKT3(Ortho、Raritan、NJ)およびウサギ 抗(マウスIg)のFITC−コンジュゲートF(ab’)2断片(Zymed、San Francisco、CA)を用いた間接免疫蛍光標識、ならびにFACS解析によって確認され得る。
B細胞増殖アッセイ
B細胞(4×104/ウェル)を、平底96ウェルマイクロプレート内の10%ウシ胎仔血清を補給した200μlのIMDM中で培養する。該B細胞を、固定化抗(IgM)抗体(イムノビーズ;5μg/ml;BioRad、Richmond、California)の添加によって刺激する。所望の場合は、100U/mlの組換えIL−2を添加する。種々の濃度の試験モノクローナル抗体(mAb)をミクロ培養の開始時に添加し、増殖を、第3日に、18時間のパルシング後(pulsing)の(3H)−チミジンの取込みの測定によって評価する。アンタゴニスト抗CD40抗体は、固定化抗IgMの存在下、または固定化抗IgMおよびIL−2の存在下では、ヒトB細胞増殖を有意に共刺激しない。
Banchereau−Like B細胞増殖アッセイ
抗CD40モノクローナル抗体が、Banchereauら(1991)Science(1991)251:70に記載されたものと同様の培養系においてB細胞増殖を刺激する能力を試験するため、ヒトFcγRIIのHR対立遺伝子形態を発現するマウス3T6形質転換体細胞を使用する。B細胞(2×104/ウェル)を、平底マイクロウェル内で1×104形質転換体細胞(5000Radを照射)の存在下、10%ウシ胎仔血清および100U/mlの組換えIL−4を補給した200μのIMDM中で培養する。B細胞の添加前、3T6細胞を培養プラスチック器に少なくとも5時間付着させる。抗CD40mAbを15ng/ml〜2000ng/mlの種々の濃度で添加し、B細胞の増殖を、第7日に、[3H]チミジンでの18時間のパルシングの際のチミジン取込みの測定によって評価する。
アンタゴニスト抗CD40mAbを用いたS2C6刺激型B細胞増殖の阻害
アンタゴニスト抗CD40モノクローナル抗体(mAb)はまた、S2C6(SGN−14としても知られ、これは、正常B細胞増殖のCD40刺激のアゴニストであると報告されている;Franciscoら(2000)Cancer Res.60:3225−3231)などの抗CD40抗体によるB細胞増殖の刺激を阻害する能力を特徴とする(上記のB細胞増殖アッセイを使用)。ヒト扁桃B細胞(4×104/ウェル)を200μlで、マイクロウェル内にてセファロースビーズ(5μg/ml)にカップリングさせた抗IgMおよび抗CD40mAb S2C6(1.25μg/ml)の存在下で培養する。種々の濃度の目的の抗CD40mAbを添加し、3日後、[3H]−チミジン取込みを評価する。対照として、抗(グルコセレブロシダーゼ)mAb 8E4が同様の濃度で添加され得る。Barneveldら(1983)Eur.J.Biochem.134:585。アンタゴニスト抗CD40抗体は、mAb S2C6による抗IgM誘導性ヒトB細胞増殖の共刺激を、例えば少なくとも75%以上阻害し得る(すなわち、アンタゴニスト抗CD40抗体の存在下でのS2C6刺激性増殖は、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下で観察されるものの25%以下である)。対照的に、β−グルコセレブロシダーに指向される同等量の非関連mAb 8E4では、有意な阻害は見られ得ない。Barneveldら、前掲。かかる結果は、抗CD40mAbがヒトB細胞の増殖のための刺激性シグナルを送達しないのではなく、逆に、別のmAbによってCD40が誘発されることによりもたらされる刺激性シグナルを阻害し得ることを示し得る。
EL4B5細胞を用いたB細胞活性化アッセイ
Zublerら(1985)J.Immunol.(1985)134:3662において、マウス胸腺腫EL−4細胞株の変異型サブクローン(EL4B5として知られる)は、インビトロで、マウス起源およびヒト起源両方のB細胞を強力に刺激して増殖させ、免疫グロブリン分泌形質細胞に分化させ得ることが観察された。この活性化は、抗原非依存性であり、MHC拘束性でないことがわかった。最適なヒトB細胞刺激のためには、活性化されたヒトT細胞由来の上清みの存在が必要であったが、EL4B5細胞をホルボール−12−ミリステート13−アセテート(PMA)またはIL−1で予備活性化すると、B細胞応答も起こった。Zublerら(1987)Immunological Reviews 99:281;およびZhangら(1990)J.Immunol.144:2955。この培養系におけるB細胞活性化は、効率的なである。限界希釈実験により、大部分のヒトB細胞が活性化されて増殖し、抗体分泌細胞に分化することが示された。Wenら(1987)Eur.J.Immunol.17:887。
B細胞(1000/ウェル)を照射(5000Rad)EL4B5細胞(5×104/ウェル)と一緒に、平底マイクロプレート内にて、10%熱不活化ウシ胎仔血清、5ng/mlホルボール−12−ミリステート13−アセテート(Sigma)および5%ヒトT細胞上清みを補給した200μlのIMDM中で培養する。mAbを種々の濃度で培養の開始時に添加し、第6日に、[3H]−チミジンでの18時間のパルシング後のチミジン取込みを評価する。T細胞上清みの調製のため、精製T細胞を106/mlの密度で36時間、1μg/mlのPHAおよび10ng/mlのPMAの存在下で培養する。Wenら(1987)Eur.J.Immunol(1987)17:887。T細胞上清みを細胞の遠心分離によって取得し、−20℃で保存する。EL4B5−B細胞培養物におけるヒトB細胞の増殖の増強におけるT細胞上清みの有効性を試験し、最も有効な上清みを実験における使用のためにプールする。EL4B5誘導型ヒトB細胞増殖に対する抗CD40抗体の効果を評価する際、などのモノクローナル抗体がMOPC−141(IgG2b)が対照として添加され得る。
アンタゴニスト抗CD40抗体は、EL4B5細胞株によって刺激されるB細胞増殖を、例えば少なくとも75%以上阻害し得る(すなわち、アンタゴニスト抗CD40抗体の存在下でのEL4B5誘導型B細胞増殖は、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下で観察されるものの25%以下である)。対照的に、MOPC−141などの対照抗体は、EL4B5誘導型B細胞増殖に対して有意な効果を有しないものであり得る。
B細胞による抗体産生に対するヒトT細胞ヘルパーアッセイ
アンタゴニスト抗CD40抗体は、B細胞による免疫グロブリン産生のアンタゴニストとしての機能を果たし得る。抗CD40抗体は、この型のアンタゴニスト活性について、T細胞ヘルパーアッセイで活性化T細胞により接触依存的様式に刺激された該抗体がB細胞による免疫グロブリン産生を阻害する能力を評価することにより試験され得る。この様式では、96ウェル組織培養プレートを抗CD3 mAb CLB−T3/3(CLB、Amsterdam、The Netherlands)の1:500希釈度の腹水液でコートする。指示どおりに、共刺激性mAb:抗CD2 mAb CLB−T11.1/1およびCLB−T11.2/1(CLB、Amsterdam、The Netherlands)、ともに腹水1:1000ならびに抗CD28 mAb CLB−28/1(CLB、Amsterdam、The Netherlands)を添加する。続いて、扁桃T細胞(照射3000Rad;105/ウェル)、扁桃B細胞(104/ウェル)およびrIL−2(20U/ml)を添加する。各細胞培養物の最終容量は200μlである。8日後、細胞をスピンダウンし、細胞無含有上清みを回収する。(希釈)試料中のヒトIgMおよびIgGの濃度をELISAにより下記のようにして測定する。
一実施形態において、ヒト扁桃B細胞(104/ウェル)を照射精製T細胞(3000rad、105/ウェル)と一緒に、抗CD3 mAbでコートされ、さらにT細胞を共刺激する異なるmAbでコート、またはコートなしの96ウェルプレート内で培養する。8日間の培養後、B細胞による免疫グロブリン産生のために上清みを回収する。B細胞による免疫グロブリン産生をELISAアッセイによって下記のようにして評価する。目的の抗CD40抗体を培養の開始から種々の濃度で添加する。対照として、mAb MOPC−141が添加され得る。
アンタゴニスト抗CD40抗体は、ヒトT細胞によって刺激されるB細胞のIgGおよびIgM抗体産生を少なくとも50%以上阻害し得る(すなわち、アンタゴニスト抗CD40抗体の存在下でのT細胞誘導性のB細胞による抗体産生は、アンタゴニスト抗CD40抗体の非存在下で観察されるものの50%以下である)。対照的に、MOPC−141などの対照抗体は、T細胞誘導性のB細胞による抗体産生に対して有意な効果を有しないものであり得る。
免疫グロブリン定量のためのELISAアッセイ
ヒトIgMおよびIgGの濃度は、ELISAによって測定される。96ウェルELISAプレートを4μg/mlのマウス抗ヒトIgG mAb MH 16−01(CLB、Amsterdam、The Netherlands)または1.2μg/mlのマウス抗ヒトIgM mAb 4102(Tago、Burlingame、CA)含有0.05M炭酸バッファー(pH=9.6)で、4℃で16時間のインキュベーションによってコートする。プレートを3回PBS−0.05%Tween−20(PBS−Tween)で洗浄し、BSAで1時間飽和させる。2回洗浄後、プレートを1時間37℃で、異なる希釈度の試験試料とともにインキュベートする。3回洗浄後、結合されたIgを、1時間37℃で、1μg/mlのペルオキシダーゼ標識マウス抗ヒトIgG mAb MH 16−01(CLB)またはマウス抗ヒトIgM mAb MH 15−01(CLB)とのインキュベーションによって検出する。プレートを4回洗浄し、結合されたペルオキシダーゼ活性を、基質としてO−フェニレンジアミンの添加によって顕現させる。ヒト標準血清(H00、CLB)を用いて、各アッセイのための標準曲線を確立する。
アンタゴニスト抗CD40抗体は当該技術分野で知られている。例えば、米国特許出願公開公報第20020142358号および同第20030059427号(引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)開示されたF4−465で指定されるハイブリドーマによって産生されるヒト抗CD40抗体を参照のこと。F4−465は、HACマウス(Kuroiwaら(2000)Nature Biotech 10:1086(2000))から得られたものであり、したがって、ヒトλ軽鎖を発現する。WO2005/044854、WO2005/044304、WO2005/044305、WO2005/044306、WO2005/044855、WO2005/044307、およびWO2005/044294 WO(これらの各々の内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)もまた参照のこと。
アンタゴニスト活性に加え、本発明の方法における使用のための抗CD40抗体は、好ましくは、標的細胞に対して別の作用機構を有する。例えば、抗CD40抗体は、好ましくはADCC活性を有する。あるいはまた、抗CD40抗体の可変領域は、ADCC活性を有する別の抗体アイソタイプ上に発現され得る。また、本明細書中のどこかでさらに記載しているように、抗CD40抗体の天然形態、組換え形態または抗原結合断片を、細胞毒素、治療用薬剤または放射性金属イオンもしくは放射性同位体にコンジュゲートさせることも可能である。
本明細書中のどこかで説明しているように、本発明者らは、他の抗体とは反対に、CHIR−12.12などの抗CD40抗体は、ヒト患者のナチュラルキラー(NK)細胞上の2つのFcγRIIIaアミノ酸158アロタイプのいずれか(VまたはF)に結合することにより、CD40発現標的細胞の強力な抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介し得るという驚くべき所見を見出した。したがって、CHIR−12.12などの抗CD40抗体は、FcγRIIIa−158Vについてホモ接合性(遺伝子型V/V)のヒト患者に加え、FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)のヒト患者における、CD40発現細胞と関連している癌および前悪性状態の処置において使用され得る。本発明は、NHLにおけるリツキシマブの臨床的活性が患者のFcγRIIIa遺伝子型と相関することが示されたため、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))での処置に応答性でない癌および前悪性状態の処置に特に好都合である。
したがって、特に好ましい本発明の方法における使用のための抗CD40抗体は、アンタゴニスト活性に加え、FcγRIIIaを発現するヒトエフェクター細胞(ナチュラルキラー細胞(NK細胞)など)によるCD40発現細胞のADCCを媒介し得るものである。最も好ましいのは、本明細書中のどこかでさらに記載しているように、FcγRIIIa−158FおよびFcγRIIIa−158Vの両方に高親和性で結合し得る抗CD40抗体である。
特に好ましい抗CD40抗体は、WO2005/044854、WO2005/044304、WO2005/044305、WO2005/044306、WO2005/044855、WO2005/044307、およびWO2005/044294WO(これらの各々の内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されたものである。
本発明に特に重要なのは、WO2005/044854、WO2005/044304、WO2005/044305、WO2005/044306、WO2005/044855、WO2005/044307、およびWO2005/044294に記載されたCHIR−12.12モノクローナル抗体の結合特性を共有するアンタゴニスト抗CD40抗体である。かかる抗体としては、限定されないが、以下のもの:
a)モノクローナル抗体CHIR−12.12;
b)ハイブリドーマ細胞株12.12によって産生されるモノクローナル抗体;
c)配列番号2に示された配列、配列番号4に示された配列、配列番号5に示された配列、配列番号2および配列番号4に示された両方の配列ならびに配列番号2および配列番号5に示された両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
d )配列番号1に示された配列、配列番号3に示された配列ならびに配列番号1および配列番号3に示された両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子にコードされたアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
e)ハイブリドーマ細胞株12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
f)配列番号7または配列番号9に示されたヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
g)配列番号7または配列番号9に示されたヒトCD40配列の残基82〜89を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
h)競合的結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
i)前記項目a)のモノクローナル抗体または前記項目c)〜h)いずれか1つのモノクローナル抗体であって、組換えにより作製された抗体;ならびに
j)前記項目a)〜i)いずれか1つのモノクローナル抗体の抗原結合断片であって、ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持している断片であるモノクローナル抗体
が挙げられる。
モノクローナル抗体CHIR−12.12は、本発明の方法における使用に特に好ましい。
モノクローナル抗体CHIR−12.12は、WO2005/044854、WO2005/044304、WO2005/044305、WO2005/044306、WO2005/044855、WO2005/044307、およびWO2005/044294に詳細に記載されている。CHIR−12.12抗体は、ハイブリドーマ細胞株153.8E2.D10.D6.12.12(細胞株12.12とも称される)により産生されるIgG1アイソタイプの完全ヒト抗CD40モノクローナル抗体である。該細胞株は、ヒトIgG1重鎖遺伝子座およびヒトκ鎖遺伝子座を含む免疫処置された異種型マウス(XenoMouse(登録商標)technology;Abgenix;Fremont、California)由来の脾細胞を用いて創製されたものである。該脾臓細胞をマウス骨髄腫SP2/0細胞(Sierra BioSource)と融合させた。得られたハイブリドーマを数回サブクローーニングし、安定なモノクローナル細胞株12.12が創製された。本発明における使用に適した他の抗体は、本明細書中のどこかで記載したようなヒト免疫グロブリン遺伝子座が組み換えられたマウスを用い、同様に調製され得る。
CHIR−12.12モノクローナル抗体は、ELISA型アッセイにおいて可溶性CD40に結合し、細胞表面CD40へのCD40−リガンドの結合を妨げ、予め結合されたCD40−リガンドを移動させる(フローサイトメトリーアッセイによって測定)。抗体CHIR−5.9およびCHIR−12.12は、CD40への結合に関して互いに競合するが、米国特許仮出願第60/237,556号(発明の名称「ヒト抗CD40抗体」、2000年10月2日出願)およびPCT国際特許出願番号PCT/US0l/30857(これも発明の名称「ヒト抗CD40抗体」、2001年10月2日出願(代理人整理番号PP 16092.003)、WO2002/028904として公開)(これらはともに、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載された抗CD40モノクローナル抗体である15B8とは競合しない。インビトロで正常なヒト被験体由来のB細胞の増殖に対する効果について試験すると、CHIR−12.12 は、アンタゴニスト抗CD40抗体としての機能を果たす。さらにまた、CHIR−12.12は、正常な被験体由来のヒトリンパ球の強力な増殖を誘導しない。該抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)によってCD40発現標的細胞を死滅させ得る。ヒトCD40に対するCHIR−12.12の結合親和性は、BiacoreTMアッセイによって測定した場合、5×10−10Mである。
CHIR−12.12抗体の可変領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を本明細書に示す。より詳しくは、mAb CHIR−12.12の軽鎖および重鎖のリーダー領域、可変領域および定常領域のアミノ酸配列を、配列番号2(mAb CHIR−12.12の軽鎖の完全配列)、配列番号4(mAb CHIR−12.12の重鎖の完全配列)、および配列番号5(配列番号4に示すmAb CHIR−12.12の重鎖のバリアントの完全配列、ここで、該バリアントは、残基配列番号4の153位のアラニンの代わりにセリン置換を含む)に示す。mAb CHIR−12.12の軽鎖および重鎖をコードするヌクレオチド配列を、配列番号1(mAb CHIR−12.12の軽鎖のコード配列)および配列番号3(mAb CHIR−12.12の重鎖のコード配列)に示す。CHIR−12.12抗体を発現するハイブリドーマは、ATCCに、特許寄託表示PTA−5543で寄託されている。
本発明の方法における使用のための抗CD40抗体としては、CHIR−12.12モノクローナル抗体とは異なるが、CDRを保持している抗体、および1つ以上のアミノ酸付加、欠失または置換を有する抗体が挙げられる。本発明の方法における使用のための抗CD40抗体はまた、脱免疫化抗体、特に脱免疫処理されたアンタゴニスト抗CD40抗体であり得、これは、例えば、国際特許出願公報番号WO98/52976およびWO0034317(引用により本明細書に組み込まれる)に記載のようにして作製され得る。この様式では、本発明のアンタゴニスト抗CD40抗体内の残基は、該抗体が、ヒトCD40発現細胞に対するそのアンタゴニスト活性(かかる活性は、本明細書中のどこかで示したアッセイによって測定される)を保持したまま、ヒトに対して非疫原性または低免疫原性となるように修飾される。また、目的の抗体、例えばアンタゴニスト抗CD40抗体もしくはアンタゴニスト抗CD40L抗体またはその断片を含み、対応するポリヌクレオチドベクターから合成または発現され得る(当該技術分野で知られている)融合タンパク質も本発明の範囲内に含まれる。かかる融合タンパク質は、本明細書中のどこかで示した抗体のコンジュゲーションに関して記載されている。
目的の結合特異性を有する任意の既知の抗体は、例えば、特許公開公報番号EP0983303 A1、WO00/34317およびWO98/52976(引用により本明細書に組み込まれる)に記載された方法を用いてもたらされる配列変異を有するものであり得る。例えば、CDR内の配列によって、MHCクラスIIへの抗体の結合が引き起こされ、望ましくないヘルパーT細胞応答が誘発され得ることが示されている。同類置換により、抗体が、望ましくないT細胞応答を誘発する能力を失うが結合活性を保持することが可能になる。任意のかかる同類または非同類置換は、当該技術分野で認識された方法、例えば、本明細書中のどこかで示したものを用いて行なわれ得、得られる抗体もまた本発明の方法において使用され得る。バリアント抗体は、特定の活性、例えば、アンタゴニスト活性、親和性および特異性について、本明細書に記載された方法を用いて常套的に試験され得る。
例えば、アンタゴニスト抗CD40抗体、例えばCHIR−12.12モノクローナル抗体のアミノ酸配列バリアントは、目的の抗体をコードするクローニングされたDNA配列における変異によって調製され得る。変異誘発のための方法およびヌクレオチド配列の改変は、当該技術分野でよく知られている。例えば、WalkerおよびGaastra編(1983)Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company、New York);Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492;Kunkelら(1987)Methods Enzymol.154:367−382;Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor、New York);米国特許第4,873,192号;およびそこに挙げられた引用文献(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。目的のポリペプチドの生物学的活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸置換に関する手引きは、Dayhoffら(1978)in Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.、Washington、D.C.)(引用により本明細書に組み込まれる)のモデルを見るとよい。1つのアミノ酸を同様の特性を有する別のものと交換するなどの同類置換なども好ましい場合があり得る。同類置換の例としては、限定されないが、Gly⇔Ala、Val⇔Ile⇔Leu、Asp⇔Glu、Lys⇔Arg、Asn⇔Gln、およびPhe⇔Trp⇔Tyrが挙げられる。
目的の抗体、例えば、目的のアンタゴニスト抗CD40抗体ポリペプチドのバリアントの構築において、修飾は、バリアントが継続して所望の活性、すなわち、同様の結合親和性を有するように、およびアンタゴニスト抗CD40抗体の場合は、ヒト細胞の表面上に発現されたヒトCD40抗原に特異的結合し得、有意なアゴニスト活性がないが、ヒトCD40発現細胞上のCD40抗原に結合するとアンタゴニスト活性を示し得るように行なわれる。明らかに、バリアントポリペプチドをコードするDNA内になされた任意の変異は、該配列をリーディングフレーム外に配置するものであってはならず、好ましくは、二次mRNA構造をもたらし得る相補領域を生成しないものである。EP特許出願公開公報第75,444号を参照のこと。
また、抗体、例えばアンタゴニスト抗CD40抗体の定常領域は、いくつかの様式で、エフェクター機能を改変するように変異され得る。例えば、米国特許第6,737,056B1号および米国特許出願公開公報第2004/0132101 A1号を参照のこと。これらには、Fc受容体への抗体結合を最適化するFc変異が開示されている。
好ましくは、参照抗体、例えばアンタゴニスト抗CD40抗体のバリアントは、該参照抗体、例えばアンタゴニスト抗CD40抗体分子、例えば、本明細書に記載のCHIR−12.12モノクローナル抗体のアミノ酸配列、または該参照抗体分子のより短い一部分と、少なくとも70%または75%の配列同一性、好ましくは少なくとも80%または85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。より好ましくは、該分子は、少なくとも96%、97%、98%または99%の配列同一性を共有する。本発明の目的のため、配列同一性の割合は、ギャップ開始ペナルティ12およびギャップ伸張ペナルティ2、BLOSUMマトリックス62でアフィンギャップ検索を用い、Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムを用いて決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482−489に教示されている。バリアントは参照抗体、例えばアンタゴニスト抗CD40抗体と、例えば、1〜15アミノ酸残基程度の少数、1〜10アミノ酸残基程度の少数、例えば、6〜10、5程度の少数、4、3、2程度の少数、または1アミノ酸残基すらだけ異なるものであり得る。
2つのアミノ酸配列の最適なアラインメントに関して、バリアントアミノ酸配列の連続するセグメントは、参照アミノ酸配列に対して付加アミノ酸残基または欠失アミノ酸残基を有するものであり得る。参照アミノ酸配列との比較に使用される連続セグメントは、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むものであり、30、40、50アミノ酸残基またはそれ以上であり得る。同類の残基置換またはギャップと関連している配列同一性に対する補正が行なわれ得る(Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムを参照のこと)。
CD40に特異的に結合し、アンタゴニスト活性を保持したものであり得る(特に悪性B細胞上のCD40抗原に結合したとき)ポリペプチドの正確な化学構造は、いくつかの要素に依存する。イオン化性のアミノ基およびカルボキシル基が分子内に存在するため、具体的なポリペプチドは、酸性もしくは塩基性の塩として、または天然形態で得られ得る。適当な環境条件内に置かれたとき、その生物学的活性を保持しているかかる調製物はすべて、本明細書で用いるアンタゴニスト抗CD40抗体の定義に含まれる。さらに、該ポリペプチドの一次アミノ酸配列は、糖部分(グリコシル化)を用いた誘導体化によって、または他の補助分子、例えば、脂質、リン酸基、アセチル基などによって増大され得る。また、該配列は、糖類とのコンジュゲーションによって増大され得る。かかる増大の特定のある態様は、産生宿主の翻訳後プロセッシング系により行なわれ得、他のかかる修飾は、インビトロで導入され得る。任意の事象において、かかる修飾は、抗CD40抗体のアンタゴニスト特性が破壊されていない限り、本明細書で用いる抗CD40抗体の定義に含まれる。かかる修飾は、該種々のアッセイにおいて、該ポリペプチドの活性を増強するか、または低下させるかのいずれかにより、定量的または定性的に該活性に影響し得ることが予測される。さらに、鎖内の個々のアミノ酸残基は、酸化、還元または他の誘導体化によって修飾され得、該ポリペプチドは、活性を保持している断片を得るために切断され得る。アンタゴニスト活性を破壊しないかかる改変は、該ポリペプチド配列を本明細書で用いる目的の抗CD40抗体の定義から除外しない。
当該技術分野では、ポリペプチドバリアントの調製および使用に関する相当な手引きが示されている。抗CD40抗体バリアントの調製において、当業者は、天然タンパク質のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対して、どの修飾が、本発明の方法において使用される医薬組成物の治療上活性な成分としての使用に適したバリアントをもたらすかを容易に決定することができよう。
本発明における使用のための抗CD40抗体は、好ましくは、インビトロおよび/またはインビボで、以下の生物学的活性:T細胞によって刺激される正常なヒト末梢B細胞による免疫グロブリン分泌の阻害;CD40L発現細胞または可溶性CD40リガンド(sCD40L)によって刺激される正常なヒト末梢B細胞の生存および/または増殖の阻害;ジャーカットT細胞によって刺激される正常なヒト末梢B細胞の生存および/または増殖の阻害;sCD40Lまたは固相CD40Lによって刺激される任意の細胞における「生存」抗アポトーシスの細胞内シグナルの阻害;ならびにsCD40Lまたは固相CD40Lとのライゲーション時の任意の細胞におけるCD40シグナル伝達の阻害、CD40を有する標的細胞またはCD40に対するコグネートリガンドを有する細胞(例えば限定されないが、T細胞およびB細胞)の欠失、アネルギーおよび/または耐性誘導、CD4+CD25+調節T細胞の拡大または活性化の誘導の少なくとも1つを有する(例えば、CD40−CD40L干渉を介するドナーアロ抗原特異的組織拒絶、van Maurikら(2002)J.Immunol.169:5401−5404)、任意の機構(例えば、限定されないが、抗体依存性細胞媒介型細胞傷害性(ADCC)、補体依存性細胞傷害性(CDC)、増殖の下方調節および/または標的細胞におけるアポトーシス)を介する細胞傷害性、標的細胞サイトカイン分泌のモジュレーションおよび/または細胞表面分子発現、ならびにその組合せを参照のこと)。
かかる生物学的活性のためのアッセイは、本明細書に記載のようにして、およびそれぞれ、2003年11月4日、2003年11月26日および2004年4月27日に出願され、米国特許仮出願番号60/517,337(代理人整理番号PP20107.001(035784/258442))、60/525,579(代理人整理番号PP20107.002(035784/271525))、および60/565,710(代理人整理番号PP20107.003(035784/277214))が割り当てられた、発明の名称が「アンタゴニスト抗CD40モノクローナル抗体およびその使用方法」である仮出願;ならびに2004年11月4日に出願された国際特許出願番号PCT/US2004/037152(代理人整理番号PP20107.004(035784/282916))、WO2005/044854として公開(これもまた発明の名称が「アンタゴニスト抗CD40モノクローナル抗体およびその使用方法」である)(これらの各々の内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のようにして行なわれ得る。Schultzeら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci. USA 92:8200−8204;Dentonら(1998)Pediatr.Transplant.2:6−15;Evansら(2000)J.Immunol.164:688−697;Noelle(1998)Agents Actions Suppl. 49:17−22;Ledermanら(1996)Curr.Opin.Hematol.3:77−86;Coliganら(1991)Current Protocols in Immunology 13:12;Kwekkeboomら(1993)Immunology 79:439−444;および米国特許第5,674,492号および同第5,847,082号(引用により本明細書に組み込まれる)に記載されたアッセイもまた参照のこと。
本明細書において同定されたCD40−抗原エピトープに特異的なアンタゴニスト抗CD40抗体を検出するための代表的なアッセイは、「競合的結合アッセイ」である。競合的結合アッセイは、未知物質が、標識された既知リガンドのその特異的抗体への結合を阻害するその能力によって検出および定量される血清学的アッセイである。これはまた、競合的阻害アッセイとも称される。代表的な競合的結合アッセイでは、標識されたCD40ポリペプチドを試料中の候補抗体により、例えば、本発明のモノクローナル抗体の1つ以上のエピトープに対して生成させたモノクローナル抗体との組合せで沈殿させる。目的のエピトープと特異的に反応する抗CD40抗体は、目的のCD40タンパク質の特定のエピトープを含むCD40タンパク質または該タンパク質の断片に対して調製された一連の抗体をスクリーニングすることにより同定され得る。例えば、ヒトCD40では、目的のエピトープとしては、ヒトCD40のショートアイソフォームの線状および/または非線状アミノ酸残基を含むエピトープ(配列番号10に示すGenBank受託番号NP_690593)を参照のこと、配列番号9に示す配列にコードされる;GenBank受託番号NM_152854もまた参照のこと)、またはヒトCD40のロングアイソフォームのもの(配列番号12に示すGenBank受託番号CAA43045およびNP_001241を参照のこと、配列番号11に示す配列にコードされる;GenBank受託番号X60592およびNM_001250を参照のこと)が挙げられる。あるいはまた、以前に同定された適当なアンタゴニスト抗CD40抗体を用いる競合的結合アッセイを用い、その以前に同定された同定され抗体と同等のモノクローナル抗体が選択され得る。
かかるイムノアッセイに使用される抗体は、標識されたもの、または未標識のものであり得る。未標識抗体は、凝集において使用され得る。標識抗体は、多種多様な標識を用いて多種多様なアッセイにおいて使用され得る。抗CD40抗体と目的のエピトープ間の抗体−抗原複合体の形成の検出は、検出可能な物質を該抗体に結合することにより助長され得る。好適な検出手段としては、放射性核種、酵素、補酵素、蛍光剤、化悪発光剤、色原体、酵素基質または補因子、酵素阻害剤、補欠分子族複合体、フリーラジカル、粒子、色素などの標識の使用が挙げられる。適当な酵素の例としては、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる;適当な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる;適当な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニラミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられる;発光物質の一例はルミノールである;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられる;ならびに適当な放射性物質の例としては、125I、131I、35Sまたは3Hが挙げられる。かかる標識された試薬は、さまざまなよく知られたアッセイ、例えば、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、例えば、ELISA、蛍光イムノアッセイなどにおいて使用され得る。例えば、米国特許第3,766,162号;同第3,791,932号;同第3,817,837号;および同第4,233,402号を参照のこと。
また、抗体を、増大されたADCC活性を有するように操作することことも可能である。特に、CH2ドメインのカルボキシ末端側の半分は、FcRIII受容体により媒介されるADCCに必須である。CH2およびヒンジ領域は、エフェクター機能において重要な役割を有するため、余分なCH2および/またはヒンジ領域を含む一連の多ドメイン抗体が創製され、エフェクター効力における任意の変化について研究され得る(Greenwood,J.、Gorman,S.D.、Routledge,E.G.、Lloyd,I.S.およびWaldmann,H.、Ther Immunol.1994 Oct;1(5):247−55を参照のこと)。択一的なアプローチは、余分なドメインを平行して操作することであり得る(例えば、システインをキメラIgのH鎖に操作することによる二量体の創製によって)(Shopes B.(1992)J.Immunol.1992 1;148(9):2918−22を参照のこと)。さらにまた、ADCC活性を増大させるための変更は、変異をFc領域内に導入すること(例えば、US6,737,056 B1を参照のこと)、細胞をフコシルトランスフェラーゼ欠損細胞株内で発現させること(例えば、US2003/0115614を参照のこと)、または抗体グリコシル化に対して他の変更を行うこと(例えば、US 6,602,684を参照のこと)により操作され得る。
本発明は、患者がFcγRIIIa−158F遺伝子型についてホモ接合性またはヘテロ接合性である、CD40を発現する癌および前悪性状態の処置に好都合である。
本明細書で用いる場合、「抗CD20抗体」には、CD20細胞表面抗原を特異的に認識する任意の抗体、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体、およびその断片(例えば、Fab、F(ab’)2、Fvなど)、ならびに親の抗CD20抗体の抗原結合機能を保持している他の断片が包含される。本発明の方法との関連において特に重要なのは、IDEC−C2B8モノクローナル抗体(Biogen IDEC Inc.、Cambridge、MA)によって示される結合特性を有する抗CD20抗体またはその抗原結合断片である。
一部のある実施形態において、本発明において使用される抗CD40抗体は、キメラ抗CD20モノクローナル抗体IDEC−C2B8よりも強力な治療活性を示すものであり、ここで、抗腫瘍活性は、等量のこれらの抗体を、ヌードマウス異種移植片腫瘍モデル(ヒトリンパ腫または骨髄腫細胞株を使用)において用いてアッセイされる。IDEC−C2B8(IDEC Pharmaceuticals Corp.、San Diego、California;リツキサン(登録商標)の商標名で市販、リツキシマブとも称される)は、ヒトIgG1およびκ定常領域を、マウス抗CD20モノクローナル抗体IDEC−2B8(Reffら(1994)Blood 83:435−445)から単離されたマウス可変領域とともに含むキメラ抗CD20モノクローナル抗体である。リツキサン(登録商標)は、再発性のB細胞低悪性度または濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)の処置に対して許可されている。リツキサン(登録商標)と比べて卓越した治療活性、特に抗腫瘍活性を有する抗体を見い出すことにより、B細胞リンパ腫、特にB細胞非ホジキンリンパ腫などの癌および前悪性状態のための治療方法が劇的に改善され得る。
好適なヌードマウス異種移植片腫瘍モデルとしては、ナマルバおよびDaudiとして知られるヒトバーキットリンパ腫細胞株を用いたものが挙げられる。好ましい実施形態では、抗腫瘍活性は、Daudiヒトリンパ腫細胞株を用いた病期の(staged)ヌードマウス異種移植片腫瘍モデルにおいて、本明細書において以下の実施例7に記載のようにしてアッセイされる。Daudiリンパ腫細胞株を用いた病期のヌードマウス異種移植片腫瘍モデルは、非病期のモデルよりも、所与の抗体の治療有効性の識別に有効である、それは、病期モデルでは抗体投与が、腫瘍が測定可能な大きさに達した後にのみ開始されるためである。非病期モデルでは、抗体投与は、一般的に、腫瘍接種の1日以内で触診可能な腫瘍が存在する前に開始される。抗体が、病期モデルにおいてリツキサン(登録商標)より優れた性能を示す(すなわち、治療活性の増大を示す)能力は、該抗体がリツキサン(登録商標)よりも治療上有効であることの強力な表示である。さらに、Daudiモデルでは、リツキサン(登録商標)の標的である抗CD20は、細胞表面上にCD40よりも高レベルで発現される。
「等量」の本発明の抗CD40抗体とリツキサン(登録商標)により、同じmg用量が重量あたりの基準で投与されることが意図される。したがって、抗CD40抗体が、0.01mg/kg体重(腫瘍モデルに使用されたマウスの)が投与される場合、リツキサン(登録商標)もまた、0.01mg/kgマウス体重で投与される。同様に、抗CD40抗体が、0.1、1または10mg/kg体重(腫瘍モデルに使用されたマウスの)で投与される場合、リツキサン(登録商標)もまた、それぞれ、0.1、1または10mg/kgマウス体重で投与される。
ヌードマウス異種移植片腫瘍モデルに投与される場合、一部の抗CD40抗体は、等量のリツキサン(登録商標)よりも有意に縮小された腫瘍体積をもたらす。例えば、完全ヒトモノクローナル抗体CHIR−12.12は、Daudiヒトリンパ腫細胞株を用いた病期のヌードマウス異種移植片腫瘍モデルにおいて、本明細書の実施例7に記載の様式でアッセイした場合、等用量のリツキサンで観察されるものと比べて、少なくとも20%の抗腫瘍活性の増大を示し、このアッセイでは、50%〜60%もの抗腫瘍活性の増大が示され得る。この抗腫瘍活性の増大は、等用量のリツキサン(登録商標)と比べた場合、本発明の抗CD40抗体で観察されるものより大きな腫瘍体積の減少、またはより完全な応答の誘導に反映される。したがって、例えば、腫瘍接種後の時間の長さに応じて、モノクローナル抗体CHIR−12.12は、等用量のリツキサン(登録商標)で観察されるもの約3分の1から約2分の1の腫瘍体積を示し得る。
抗体有効性における別の差は、NK細胞の存在下、インビトロで腫瘍細胞の最大溶解を得るために必要とされる抗体の濃度をインビトロで測定されるものである。例えば、本発明の抗CD40抗体は、リツキサン(登録商標)の濃度の1/2、好ましくは1/4、最も好ましくは1/10のEC50で、Daudi細胞の最大溶解に達する。この型の測定もまた、本明細書の実施例に記載する。
上記のアッセイにおいて、等量のリツキサン(登録商標)有意に大きい有効性を有することの恩恵を受ける抗CD40抗体としては、
a)モノクローナル抗体CHIR−12.12;
b)ハイブリドーマ細胞株12.12によって産生されるモノクローナル抗体;
c)配列番号2に示された配列、配列番号4に示された配列、配列番号5に示された配列、配列番号2および配列番号4に示された両方の配列ならびに配列番号2および配列番号5に示された両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
d )配列番号1に示された配列、配列番号3に示された配列ならびに配列番号1および配列番号3に示された両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子にコードされたアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
e)ハイブリドーマ細胞株12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
f)配列番号7または配列番号9に示されたヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
g)配列番号7または配列番号9に示されたヒトCD40配列の残基82〜89を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
h)競合的結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
i)前記項目a)のモノクローナル抗体または前記項目c)〜h)いずれか1つのモノクローナル抗体であって、組換えにより作製された抗体;ならびに
j)前記項目a)〜i)いずれか1つのモノクローナル抗体の抗原結合断片であって、ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持している断片であるモノクローナル抗体
が挙げられ得る。
本発明は、抗CD40抗体で処置可能な癌または前悪性状態を有するヒト患者の同定方法であって、
a)CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態を有するヒト患者を同定すること;および
b)前記ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型(V/V、V/FまたはF/F)を決定すること
を含み、ここで、前記癌または前悪性状態は、前記ヒト患者がFcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)である場合、抗CD40抗体で処置可能である方法を提供する。該癌または前悪性状態は、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))での処置に対して不応性のものであり得る。
抗CD40抗体で処置可能な癌または前悪性状態を有するヒト患者が同定されたら、該ヒト患者は、次いで、抗CD40抗体で処置され得る。したがって、該方法は、さらなる工程(c)FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)と同定されたヒト患者に、治療または予防有効量の抗CD40抗体を投与することを含むものであり得る。
この抗CD40抗体で処置可能な癌または前悪性状態を有するヒト患者の同定方法は、当業者によって適当な診断キットを用いて容易に行なわれ得る。該キットは、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するのに適した試薬を含むものであるのがよい。したがって、本発明はまた、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するための試薬を含む、抗CD40抗体で治療可能な癌または前悪性状態を有するヒト患者を同定するためのキットを提供する。好適なキットは、本明細書中のどこかでより詳細に記載している。
本発明はまた、癌または前悪性状態を有するヒト患者の処置のための抗体療法の選択方法であって、
a)CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態を有するヒト患者を同定すること;および
b)前記ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型(V/V、V/FまたはF/F)を決定すること
を含み、ここで、前記ヒト患者がFcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)である場合、抗CD40抗体が前記癌または前悪性状態の処置のために選択される方法を提供する。該癌または前悪性状態は、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))での処置に対して不応性のものであり得る。
癌または前悪性状態を有するヒト患者の処置のための抗CD40抗体療法が選択されたら、該ヒト患者は、次いで、抗CD40抗体で処置され得る。したがって、該方法は、さらなる工程(c)FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)と同定されたヒト患者に、治療または予防有効量の抗CD40抗体を投与することを含むものであり得る。
この癌または前悪性状態を有するヒト患者の処置のための抗体療法選択方法もまた、当業者よって、適当な診断キットを用いて容易に行なわれ得る。該キットは、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するのに適した試薬を含むものであるのがよい。したがって、本発明はまた、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するための試薬を含む、CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態を有するヒト患者の処置のための抗体療法を選択するためのキットを提供する。
「抗CD40抗体で治療可能な」により、ヒト患者(すなわち、癌または前悪性状態を有する個体)が、抗CD40抗体で処置されると、該処置に求められる癌または前悪性状態に関する「正の治療応答」(本明細書中(herin)のどこかで規定)の成果を享受し得ることが意図される。
ヒト患者から採取された生物学的試料を用いるヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するための任意の方法が想定される。
例えば、本発明は、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型の決定における使用のためのキットであって、10ヌクレオチド長以上の少なくとも1つのプローブを含み、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するのに適した配列のマイクロアレイを含むキットを提供する。標識したRNAまたはDNAを、アレイ上の相補的なプローブにハイブリダイズさせ、次いで、レーザースキャニングによって検出する。アレイ上の各プローブに対するハイブリダイゼーション強度を測定し、相対遺伝子発現レベルを表す定量的な値に変換する。プローブの配列および長さの選択は、当業者によって容易に行なわれ得る。FcγRIIIa−158 FおよびVアロタイプをコードするヒト遺伝子およびmRNAのヌクレオチド配列は既知である。したがって、当業者は、適切な実験条件下で標的配列のFcγRIIIa−158遺伝子型の決定を可能にするプローブ(1種類または複数種)を選択することができよう。
機械的合成法を用いたこれらのアレイ合成のための手法は、例えば、米国特許第5,384,261号(引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。平面状のアレイ表面が好ましいが、アレイは、事実上任意の形状の表面上、または多数の表面上に作製されたものであってもよい。アレイは、ビーズ、ゲル、ポリマー表面、繊維(例えば、光ファイバーなど)、ガラスまたは任意の他の適切な基材上のペプチドまたは核酸であり得る。米国特許第5,770,358号、同第5,789,162号、同第5,708,153号、同第6,040,193号および同第5,800,992号(これらの各々は、あらゆる目的のために、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。アレイは、診断学または包括的デバイスの他の操作を可能にするような様式でパッケージングされたものであってもよい。例えば、米国特許第5,856,174号および同第5,922,591号(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
例えば、本発明はまた、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型の決定における使用のためのキットであって、FcγRIIIaのアミノ酸158をコードする遺伝子またはmRNAの領域のポリメラーゼ触媒型増幅におけるプライマーとしての使用に適したオリゴヌクレオチドを含むキットを提供する。プライマーの配列および長さの選択は、当業者によって容易に行なわれ得る。FcγRIIIa−158 FおよびVアロタイプをコードするヒト遺伝子およびmRNAのヌクレオチド配列は既知である。したがって、当業者は、適切な実験条件下でFcγRIIIaのアミノ酸158をコードする遺伝子またはmRNAの領域の増幅を可能にするプライマーを選択することができよう。増幅された配列は、次いで、患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するための既知の方法を用いて配列決定され得る。
ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するための別の方法は、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型に特徴的なDNA断片化が検出される核酸系の方法を使用することである。アガロースゲル上での電気泳動を用いて分離した場合、
各FcγRIIIa−158遺伝子型のDNAは、特徴的なパターンを有する。したがって、本発明はまた、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型の決定における使用のためのキットであって、ヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するのに適した1種類以上の制限酵素を含むキットを提供する。好適な制限酵素は当該技術分野で知られている(例えば、Koeneら(1997)Blood 90(3):1109−1114を参照のこと)。
また、本発明のキットは、キットをどのように使用してヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するかが示された使用説明書を含むものであり得る。キットはまた、例えば、緩衝剤、保存剤またはタンパク質安定化剤を含むものであり得る。キットの各成分は、通常、個々の容器内に封入されており、これらの種々の容器がすべて単一のパッケージ内に、使用説明書(キットをどのように使用してヒト患者のFcγRIIIa−158遺伝子型を決定するかが示されている)とともに存在している。
本発明は、本明細書中のどこかで記載した、CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態を処置するための医薬の製造における抗CD40抗体の使用を提供する。
本発明の抗CD40抗体は、CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態を予防または処置するのに治療上有効である濃度で投与される。この目的を達成するため、該抗体は、当該技術分野で知られたさまざまな許容され得る担体および/または賦形剤を用いて製剤化され得る。抗CD40抗体は、非経口投与経路によって投与され得る。典型的には、該抗体は、静脈内または皮下いずれかの注射によって投与される。この投与を行なうための方法は、当業者にはわかる。
静脈内投与は、好ましくは、約1時間未満〜約10時間(1、2、3、4、5、6、7、8、9または10時間未満)の期間にわたる注入によって行なわれる。その後の注入は、約1時間未満〜約6時間、例えば、約1〜約4時間、約1〜約3時間もしくは約1〜約2時間または1時間未満などの期間にわたって投与され得る。あるいはまた、用量は皮下投与され得る。
本発明の医薬組成物は、その意図される投与経路と適合性となるように製剤化される。非経口適用に使用される液剤または懸濁剤は、以下の成分:滅菌希釈剤(注射用水、生理食塩水溶液など);抗菌剤(ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなど);抗酸化剤(アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなど);キレート化剤(エチレンジアミン四酢酸など);バッファー(酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩など)および張性を調整するための薬剤(塩化ナトリウムまたはデキストロースなど)を含有するものであり得る。pHは、酸または塩基(例えば、塩酸または水酸化ナトリウムなど)で調整され得る。非経口用調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラスもしくはプラスチック製の反復投与用バイアル内に封入され得る。
抗CD40抗体は、典型的には、標準的な手法によって、薬学的に許容され得るバッファー、例えば、滅菌生理食塩水、滅菌緩衝水、前述のものの組合せ中に提供される。非経口投与可能な薬剤の調製方法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版;Mack Publishing Company、Eaton、Pennsylvania、1990)(引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。また、例えば、WO98/56418も参照のこと。これには、本発明の方法における使用に適した安定化された抗体医薬製剤が記載されている。
投与される少なくとも1種類の抗CD40抗体の量は、当業者によって容易に決定される。投与様式および少なくとも1種類の抗CD40抗体のそれぞれの量に影響する要素としては、限定されないが、疾患の重症度、疾患の既往歴、治療を受けている個体の年齢、身長、体重、健康、疾患の型、および体調、または抗体注入に対する応答が挙げられる。同様に、投与される抗CD40抗体の量は、投与様式および被験体がこの抗腫瘍剤を単回投与または反復投与のいずれで受けているかに依存性である。一般的に、抗CD40抗体の投薬量が多いほど好ましく、治療を受けている被験体の体重の増加を伴う。
投与される抗CD40抗体の単回投与では、約0.3mg/kg〜約50mg/kg、約0.1mg/kg〜約40mg/kg、約0.01mg/kg〜約30mg/kg、約0.1mg/kg〜約30mg/kg、約0.5mg/kg〜約30mg/kg、約1mg/kg〜約30mg/kg、約3mg/kg〜約30mg/kg、約3mg/kg〜約25mg/kg、約3mg/kg〜約20mg/kg、約5mg/kg〜約15mg/kgの範囲である。
したがって、例えば、用量は、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、もしくは50mg/kg、または約0.3mg/kg〜約50mg/kgの範囲内に含まれる他のかかる用量であり得る。
治療有効量の抗体での被験体の処置は、単回処置を含むものであり得、または好ましくは、一連の処置を含むものであり得る。したがって、本発明の別の実施形態において、該方法は、反復投与での抗CD40抗体の投与を含む。該方法は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40回またはそれ以上の治療有効用量の抗CD40抗体を含む医薬組成物の投与を含むものであり得る。反復投与での抗CD40抗体含有医薬組成物の投与頻度および持続期間は、当業者によって、必要以上に実験を行なうことなく容易に決定され得る。同じ治療有効用量の抗CD40抗体が処置期間の過程にわたって投与され得る。あるいはまた、異なる治療有効用量の抗CD40抗体が、処置期間の過程にわたって使用され得る。
一例において、被験体は、約0.1〜20mg/kg体重の範囲の抗CD40抗体で、1週間に1回で約1〜10週間、好ましくは約2〜8週間、より好ましくは約3〜7週間、さらにより好ましくは約4、5または6週間処置される。処置は、再発を予防するため、または再発の徴候時に、2〜12ヶ月毎に行なわれ得る。処置に使用される抗体の有効な投薬量は、具体的な処置の過程において増減され得ることは認識されよう。投薬量の変更は、本明細書に記載された診断用アッセイの結果であり得、該アッセイの結果から明白となるものであり得る。
したがって、一実施形態において、投与レジメンは、処置期間の第1、8、15および22日における治療有効用量の少なくとも1種類の抗CD40抗体の第1の投与を含む。
別の実施形態において、投与レジメンとしては、毎日、または処置期間の1週間のうちの第1、3、5および7日における治療有効用量の少なくとも1種類の抗CD40抗体の第1の投与を有する投与レジメン;処置期間の1週間のうちの第1および3〜4日における治療有効用量の少なくとも1種類の抗CD40抗体の第1の投与を含む投与レジメン;および処置期間の1週間のうちの第1日における治療有効用量の少なくとも1種類の抗CD40抗体の第1の投与を含む好ましい投与レジメンが挙げられる。処置期間は、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月または1年を含むものであり得る。処置期間は、次に1週間、2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月または1年後に行なわれるか、または該期間、互いに間隔が空けられ得る。
他の実施形態において、本明細書中のどこかで規定した抗CD40抗体の初期治療有効用量は、より少ない用量範囲(すなわち、約0.3mg/kg〜約20mg/kg)であり得、その後の用量は、より多い用量範囲(すなわち、約20mg/kg〜約50mg/kg)に含まれる。
択一的な実施形態において、本明細書中のどこかで規定した抗CD40抗体の初期治療有効用量は、上限用量範囲(すなわち、約20mg/kg〜約50mg/kg)であり得、その後の用量は、下限用量範囲(すなわち、0.3mg/kg〜約20mg/kg)に含まれる。したがって、本発明の一部のある実施形態において、抗CD40抗体療法は、「負荷用量」の該抗体を、治療を必要とする被験体に投与することにより開始され得る。「負荷用量」により、被験体に投与される抗CD40抗体の初期用量が意図され、ここで、投与される該抗体の用量は、高用量範囲(すなわち、約20mg/kg〜約50mg/kg)に含まれる。「負荷用量」は、完全な「負荷用量」が約24時間の期間に投与される限り、単回投与、例えば、該抗体をIV投与する単回注入として投与されても、反復投与、例えば、該抗体をIV投与する反復注入として投与されてもよい。「負荷用量」の投与後、次いで、被験体には、1回以上のさらなる治療有効用量の抗CD40抗体が投与される。その後の治療有効用量は、例えば、毎週投薬スケジュールに従って、または2週間に1回、3週間に1回もしくは4週間1回投与され得る。かかる実施形態において、その後の治療有効用量は、一般的に、低用量範囲(すなわち、0.3mg/kg〜約20mg/kg)に含まれる。
あるいはまた、一部のある実施形態において、「負荷用量」後、その後の治療有効用量の抗CD40抗体は、「維持スケジュール」に従って投与され、この場合、治療有効用量の該抗体は、1ヶ月に1回、6週間に1回、2ヶ月に1回、10週間に1回、3ヶ月に1回、14週間に1回、4ヶ月に1回、18週間に1回、5ヶ月に1回、22週間に1回、6ヶ月に1回、7ヶ月に1回、8ヶ月に1回、9ヶ月に1回、10ヶ月に1回、11ヶ月に1回、または12ヶ月に1回投与される。かかる実施形態において、抗CD40抗体の治療有効用量は、低用量範囲(すなわち、0.003mg/kg〜約20mg/kg)に含まれる(特に、その後の用量が高頻度な間隔で、例えば、2週間に1回〜1ヶ月に1回投与される場合)か、または高用量範囲(すなわち、約20mg/kg〜約50mg/kg)に含まれる(特に、その後の用量が低頻度な間隔で、例えば、その後の用量が約1ヶ月〜約12ヶ月空けて投与される場合)。
本発明における使用のための本明細書に記載の医薬組成物中に存在させる抗CD40抗体は、天然のものであり得るか、または組換え手法によって得られるものであり得、任意の供給源、例えば、哺乳動物供給源(例えば、マウス、ラット、ウサギ、霊長類、ブタおよびヒトなど)のものであり得る。好ましくは、かかるポリペプチドは、ヒト供給源に由来するものであり、より好ましくはハイブリドーマ細胞株由来の組換えヒトタンパク質である。
本発明に有用な医薬組成物は、本明細書中のどこかで記載した本発明のアンタゴニスト抗CD40抗体の生物学的に活性なバリアントを含むものであり得る。
本明細書に記載の結合特性を有する抗CD40抗体を、治療上活性な成分として含む任意の医薬組成物が、本発明において使用され得る。したがって、1種類以上の抗CD40抗体を含む、液状、凍結乾燥、または噴霧乾燥組成物が、本発明に従う被験体へのその後の投与のための水性もしくは非水性液剤または懸濁剤として調製され得る。これらの組成物は各々、少なくとも1種類の抗CD40抗体を治療または予防上活性な成分成分として含む。「治療または予防上活性な成分成分」により、医薬組成物が被験体に投与されると、該被験体の疾患または状態の処置、予防または診断に関して所望の治療応答または予防応答がもたらされるように、抗CD40抗体が該組成物内に特異的に組み込まれることが意図される。好ましくは、該医薬組成物は、調製および保存中でのタンパク質の安定性および生物学的活性の低下に伴う問題を最小限にするため、適切な安定化剤、増量剤、ならびに両方を含む。
製剤化剤が、本発明の抗CD40抗体を含む医薬組成物添加され得る。このような製剤化剤としては、限定されないが、油類、ポリマー、ビタミン類、炭水化物、アミン酸、塩、バッファー、アルブミン、界面活性剤または増量剤が挙げられ得る。好ましくは、炭水化物としては、糖または糖アルコール、例えば、単−、二−または多糖類、または水可溶性グルカンが挙げられる。糖類またはグルカンとしては、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、αおよびβシクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、およびカルボキシメチルセルロース、またはその混合物が挙げられ得る。「糖アルコール」は、ヒドロキシル基を有するC4〜C8炭化水素と規定し、ガラクチトール、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロール、およびアラビトールが挙げられる。これらの糖類または糖アルコールは、個々に、または組合せで使用され得る。糖または糖アルコールの濃度は、1.0%〜7%w/v、より好ましくは2.0%〜6.0%w/vである。好ましくは、アミノ酸としては、左旋性(L)形態のカルニチン、アルギニンおよびベタインが挙げられる;しかしながら、他のアミノ酸を添加してもよい。好ましいポリマーとしては、2,000〜3,000の平均分子量を有するポリビニルピロリドン(PVP)、または3,000〜5,000の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。製剤に添加され得る界面活性剤は、EP270,799および268,110に示されている。
さらに、抗体は、例えば、その循環半減期を増大させるため、ポリマーへの共有結合性コンジュゲーションにより化学的に修飾されたものであってもよい。好ましいポリマー、およびそのペプチドへの結合方法は、米国特許第4,766,106号;同第4,179,337号;同第4,495,285号;および同第4,609,546号(これらはすべて、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に示されている。好ましいポリマーは、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)である。PEGは、室温で水に可溶性であり、一般式:R(O−CH2−CH2)nO−R(式中、Rは、水素、またはアルキルもしくはアルカノール基などの保護基であり得る)を有する。好ましくは、保護基は、1〜8個の炭素を有し、より好ましくはメチルである。記号nは正の整数、好ましくは1〜1,000、より好ましくは2〜500である。PEGは、好ましい平均分子量1,000〜40,000を有し、より好ましくは2,000〜20,000、最も好ましくは3,000〜12,000である。好ましくは、PEGは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有し、より好ましくは、それは末端ヒドロキシ基である。このヒドロキシ基が、好ましくは活性化されて阻害剤上の遊離アミノ基と反応する。しかしながら、該反応性基の型および量は、共有結合によりコンジュゲートされた本発明のPEG/抗体を得るために変更され得ることは理解されよう。
水溶性のポリオキシエチル化ポリオールもまた、本発明において有用である。これらとしては、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)などが挙げられる。POGが好ましい。理由の1つは、ポリオキシエチル化グリセロールのグリセロール主鎖が、例えば動物およびヒトのモノ−、ジ−、トリグリセリドに天然に存在する主鎖と同じであるためである。したがって、この分枝は、体内では、必ずしも外来因子とみなされ得ない。POGは、PEGと同じ範囲の好ましい分子量を有する。POGの構造は、Knaufら(1988)J.Bio.Chem.263:15064−15070に示されており、POG/IL−2コンジュゲートの論考については、米国特許第4,766,106号をみるとよい(これらはともに、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
循環半減期を増大させるための別の薬物送達系はリポソームである。リポソーム送達系の作製方法は、Gabizonら(1982)Cancer Research 42:4734;Cafiso(1981)Biochem Biophys Acta 649:129;およびSzoka(1980)Ann.Rev.Biophys.Eng.9:467に論考されている。他の薬物送達系は、当該技術分野で知られており、例えば、Poznanskyら(1980)Drug Delivery Systems(R.L.Juliano編、Oxford、N.Y.)pp.253−315;Poznansky(1984)Pharm Revs 36:277に記載されている。
医薬組成物内に組み込まれる製剤化剤は、抗CD40抗体の安定性をもたらすものであるのがよい。すなわち、抗CD40抗体は、その物理的および/または化学安定性を保持しており、所望の生物学的活性、すなわち、本明細書において上記に規定のアンタゴニスト活性の1つ以上、例えば、限定されないが、T細胞によって刺激される正常なヒト末梢B細胞による免疫グロブリン分泌の阻害;ジャーカットT細胞によって刺激される正常なヒト末梢B細胞の生存および/または増殖の阻害;CD40L発現細胞または可溶性CD40リガンド(sCD40L)によって刺激される正常なヒト末梢B細胞の生存および/または増殖の阻害;sCD40Lまたは固相CD40Lによって刺激される任意の細胞における「生存」抗アポトーシスの細胞内シグナルの阻害;sCD40Lまたは固相CD40Lとのライゲーション時の任意の細胞におけるCD40シグナル伝達の阻害;および本明細書中のどこかで示したヒト悪性B細胞の増殖の阻害を有するものであるのがよい。
タンパク質の安定性のモニタリング方法は、当該技術分野でよく知られている。例えば、Jones(1993)Adv.Drug Delivery Rev.10:29−90;Lee編(1991)Peptide and Protein Drug Delivery(Marcel Dekker、Inc.、New York、New York);および本明細書において以下に開示する安定性アッセイを参照のこと。一般的に、タンパク質の安定性は、選択した温度において指定した期間で測定される。好ましい実施形態では、安定な抗体医薬製剤は、室温(約25℃)で保存した場合、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月もしくは少なくとも6ヶ月の抗CD40抗体の安定性をもたらす、および/または約2〜8℃で、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月安定である。
抗体などのタンパク質は、医薬組成物に製剤化されている場合、時間が経過した所与の時点で、その医薬組成物において沈殿、凝集および/または変性の視覚的表示(すなわち、変色または透明性の低下)または測定可能な表示(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)もしくはUV光散乱を使用)が示されないならば、その物理的安定性を保持しているとみなされる。化学安定性に関して、抗体などのタンパク質は、医薬組成物に製剤化されている場合、時間が経過した所与の時点で、化学安定性の測定により、その医薬組成物において該タンパク質(すなわち、抗体)が目的の生物学的活性を保持していることが示されるならば、その化学安定性を保持しているとみなされる。化学安定性の変化をモニタリングするための方法は、当該技術分野でよく知られており、限定されないが、クリッピング(clipping)の結果などのタンパク質の化学的に改変された形態を検出するための方法(例えば、SDS−PAGE、SECおよび/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化法/飛行時間型質量分析解析を使用);ならびに分子変化の変化に伴う(例えば、脱アミド化に伴う)分解を検出するための方法(例えば、イオン交換クロマトグラフィーを使用)が挙げられる。例えば、本明細書において以下に開示する方法を参照のこと。
抗CD40抗体は、医薬組成物に製剤化されている場合、時間が経過した所与の時点で、その時点の所望の生物学的活性が、所望の生物学的活性に対する適当なアッセイで測定したとき、該医薬組成物が調製された時点で示される所望の生物学的活性の約30%以内、好ましくは約20%以内であるならば、所望の生物学的活性を保持しているとみなされる。抗CD40抗体の所望の生物学的活性を測定するためのアッセイは、本明細書の実施例に記載のようにして行なわれ得る。Schultzeら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci. USA 92:8200−8204;Dentonら(1998)Pediatr.Transplant.2:6−15;Evansら(200O)J.Immunol.164:688−697;Noelle(1998)Agents Actions Suppl.49:17−22;Ledermanら(1996)Curr.Opin.Hematol.3:77−86;Coliganら(1991)Current Protocols in Immunology 13:12;Kwekkeboomら(1993)Immunology 79:439−444;ならびに米国特許第5,674,492号および同第5,847,082号(引用により本明細書に組み込まれる)に記載されたアッセイもまた参照のこと。
本発明の一部のある実施形態において、抗CD40抗体は液状医薬製剤に製剤化される。抗CD40抗体は、当該技術分野で知られた任意の方法、例えば、本明細書において上記に開示した方法を用いて調製され得る。一実施形態において、抗CD40抗体は、CHO細胞株において組換えにより作製されたものである。
抗CD40抗体がその製剤化の前に保存される場合、これは、例えば≦−20℃で凍結され、次いで、室温で解凍され、さらに製剤化され得る。液状医薬製剤は、治療有効量の抗CD40抗体を含む。製剤中に存在させる該抗体の量には、投与経路および所望の投与容量が考慮される。
この様式では、液状医薬組成物は抗CD40抗体を、約0.1mg/ml〜約50.0mg/ml、約0.5mg/ml〜約40.0mg/ml、約1.0mg/ml〜約30.0mg/ml、約5.0mg/ml〜約25.0mg/ml、約5.0mg/ml〜約20.0mg/ml、または約15.0mg/ml〜約25.0mg/mlの濃度で含む。一部のある実施形態において、液状医薬組成物は抗CD40抗体を、約0.1mg/ml〜約5.0mg/ml、約5.0mg/ml〜約10.0mg/ml、約10.0mg/ml〜約15.0mg/ml、約15.0mg/ml〜約20.0mg/ml、約20.0mg/ml〜約25.0mg/ml、約25.0mg/ml〜約30.0mg/ml、約30.0mg/ml〜約35.0mg/ml、約35.0mg/ml〜約40.0mg/ml、約40.0mg/ml〜約45.0mg/ml、または約45.0mg/ml〜約50.0mg/mlの濃度で含む。他の実施形態において、液状医薬組成物は抗CD40抗体を、約15.0mg/ml、約16.0mg/ml、約17.0mg/ml、約18.0mg/ml、約19.0mg/ml、約20.0mg/ml、約21.0mg/ml、約22.0mg/ml、約23.0mg/ml、約24.0mg/ml、または約25.0mg/mlの濃度で含む。液状医薬組成物は、抗CD40抗体、ならびに製剤のpHをpH約5.0〜pH約7.0の範囲(例えば、pH約5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、およびpH約5.0〜pH約7.0の範囲内の他のかかる値)に維持するバッファーを含む。一部のある実施形態において、バッファーは、製剤のpHをpH約5.0〜pH約6.5、pH約5.0〜pH約6.0、pH約5.0〜pH約5.5、pH約5.5〜約7.0、pH約5.5〜pH約6.5、またはpH約5.5〜pH約6.0の範囲に維持する。
該抗体の物理化学的安定性および所望の生物学的活性が本明細書において上記に示したように保持される限り、液状抗CD40抗体製剤のpHをpH約5.0〜pH約7.0の範囲に維持する任意の適当なバッファーが、製剤に使用され得る。好適なバッファーとしては、限定されないが、慣用的な酸およびその塩(この場合、その対イオンは、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたはマグネシウムであり得る)が挙げられる。液状医薬製剤に対するバッファーに使用され得る慣用的な酸およびその塩の例としては、限定されないが、コハク酸またはコハク酸塩、クエン酸またはクエン酸塩、酢酸または酢酸塩、酒石酸または酒石酸塩、リン酸またはリン酸塩、グルコン酸またはグルコン酸塩、グルタミン酸またはグルタミン酸塩、アスパラギン酸またはアスパラギン酸塩、マレイン酸またはマレイン酸塩、およびリンゴ酸またはリンゴ酸塩バッファーが挙げられる。製剤中のバッファー濃度は、約1mM〜約50mM、例えば、約1mM、2mM、5mM、8mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、または約1mM〜約50mMの範囲内の他のかかる値であり得る。一部のある実施形態において、製剤中のバッファー濃度は、約5mM〜約15mM、例えば、約5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、または約5mM〜約15mMの範囲内の他のかかる値である。
本発明の一部のある実施形態において、液状医薬製剤は、治療有効量の抗CD40抗体、および製剤のpHをpH約5.0〜pH約7.0、好ましくはpH約5.0〜pH約6.5の範囲に維持する濃度のコハク酸バッファーまたはクエン酸バッファーを含む。「コハク酸バッファー」または「クエン酸バッファー」により、それぞれ、コハク酸の塩またはクエン酸の塩を含むバッファーが意図される。好ましい実施形態において、コハク酸塩またはクエン酸塩の対イオンはナトリウムカチオンであり、したがって、バッファーは、それぞれ、コハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムである。しかしながら、任意のカチオンが有効であることが予測される。他の可能なコハク酸塩またはクエン酸塩のカチオンとしては、限定されないが、カリウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウムが挙げられる。上記のように、製剤中のコハク酸またはクエン酸バッファーの濃度は、約1mM〜約50mM、例えば、約1mM、2mM、5mM、8mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、または約1mM〜約50mMの範囲内の他のかかる値であり得る。一部のある実施形態において、製剤中のバッファー濃度は、約5mM〜約15mM、例えば、約5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mMまたは約15mMである。他の実施形態において、液状医薬製剤は、抗CD40抗体を約0.1mg/ml〜約50.0mg/ml、または約5.0mg/ml〜約25.0mg/mlの濃度で、およびコハク酸塩またはクエン酸バッファー、例えば、コハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムバッファーを約1mM〜約20mM、約5mM〜約15mM、好ましくは約10mMの濃度で含む。
液状医薬製剤がほぼ等張性であることが望ましい場合、抗CD40抗体およびバッファーを含む液状医薬製剤は、該製剤をほぼ等張性にするのに充分な量の等張剤をさらに含むものであり得る。「ほぼ等張性」により、水性の製剤が約240mmol/kg〜約360mmol/kg、好ましくは約240〜約340mmol/kg、より好ましくは約250〜約330mmol/kg、さらにより好ましくは約260〜約320mmol/kg、なおより好ましくは約270〜約310mmol/kgの容量オスモル濃度を有することが意図される。溶液の等張性の測定方法は、当業者にはわかる。例えば、Setnikarら(1959)J.Am.Pharm.Assoc.48:628を参照のこと。
当業者は、医薬組成物に等張性をもたらすのに有用なさまざまな薬学的に許容され得る溶質について熟知している。等張剤は、本発明の液状医薬製剤の浸透圧を体液のものにほぼ等しい値に調整し得る任意の試薬であり得る。生理学的に許容され得る等張剤使用することが望ましい。したがって、治療有効量の抗CD40抗体およびバッファーを含む液状医薬製剤は、さらに、等張性をもたらすために使用され得る成分、例えば、塩化ナトリウム;アミノ酸、例えば、アラニン、バリンおよびグリシンなど;糖類および糖アルコール(ポリオール)、例えば、限定されないが、グルコース、デキストロース、フルクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、トレハロース、グリセロール、ソルビトールおよびキシリトール;酢酸、他の有機酸またはその塩、ならびに相対的に少量のクエン酸塩またはリン酸塩を含むものであり得る。当業者なら、最適な張性の液状製剤を提供するのに適したさらなる薬剤がわかるだろう。
一部のある好ましい実施形態では、抗CD40抗体およびバッファーを含む液状医薬製剤は、さらに、等張剤として塩化ナトリウムを含む。製剤中の塩化ナトリウムの濃度は、張性への他の成分寄与に依存する。一部のある実施形態において、塩化ナトリウムの濃度は、約50mM〜約300mM、約50mM〜約250mM、約50mM〜約200mM、約50mM〜約175mM、約50mM〜約150mM、約75mM〜約175mM、約75mM〜約150mM、約100mM〜約175mM、約100mM〜約200mM、約100mM〜約150mM、約125mM〜約175mM、約125mM〜約150mM、約130mM〜約170mM、約130mM〜約160mM、約135mM〜約155mM、約140mM〜約155mMまたは約145mM〜約155mMである。かかる一実施形態において、塩化ナトリウムの濃度は約150mMである。他のかかる実施形態では、塩化ナトリウムの濃度が約150mMであり、バッファーが、約5mM〜約15mMの濃度のコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムバッファーであり、液状医薬製剤が治療有効量の抗CD40抗体を含み、該製剤は、pH約5.0〜pH約7.0、pH約5.0〜pH約6.0またはpH約5.5〜pH約6.5のpHを有する。他の実施形態において、液状医薬製剤は、抗CD40抗体を約0.1mg/ml〜約50.0mg/mlまたは約5.0mg/ml〜約25.0mg/mlの濃度で含み、約150mMの塩化ナトリウムおよび約10mMのコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムを含み、pH約5.5のpHである。
本発明の液状医薬製剤の加工処理中の凍結解凍または機械的剪断によるタンパク質の分解は、溶液−空気界面における表面張力を低下させるための界面活性剤を製剤中に組み込むことによって抑制され得る。したがって、一部のある実施形態において、液状医薬製剤は、治療有効量の抗CD40抗体、バッファーを含み、さらに界面活性剤を含む。他の実施形態において、液状医薬製剤は、抗CD40抗体、バッファー、等張剤を含み、さらに界面活性剤を含む。
使用される典型的な界面活性剤は、非イオン界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールエステル(ポリソルベート80(Tween80)およびポリソルベート20(Tween20)など);ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンエステル(Pluronic F68など);ポリオキシエチレンアルコール(Brij 35など);シメチコン;ポリエチレングリコール(PEG400など);リゾホスファチジルコリン;ならびにポリオキシエチレン−p−t−オクチルフェノール(Triton X−100など)である。界面活性剤または乳化剤による医薬品の古典的な安定化は、例えば、Levineら(1991)J.Parenteral Sci.Technol.45(3):160−165(引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。本発明の実施において使用される好ましい界面活性剤は、ポリソルベート80である。界面活性剤を含める場合、典型的には、約0.001%〜約1.0%(w/v)、約0.001%〜約0.5%、約0.001%〜約0.4%、約0.001%〜約0.3%、約0.001%〜約0.2%、約0.005%〜約0.5%、約0.005%〜約0.2%、約0.01%〜約0.5%、約0.01%〜約0.2%、約0.03%〜約0.5%、約0.03%〜約0.3%、約0.05%〜約0.5%、または約0.05%〜約0.2%の量で添加される。
したがって、一部のある実施形態において、液状医薬製剤は、治療有効量の抗CD40抗体を含み、バッファーが、約1mM〜約50mM、約5mM〜約25mMまたは約5mM〜約15mMの濃度のコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムバッファーである;該製剤は、pH約5.0〜pH約7.0、pH約5.0〜pH約6.0またはpH約5.5〜pH約6.5のpHを有する;および該製剤は、さらに界面活性剤、例えばポリソルベート80を約0.001%〜約1.0%または約0.001%〜約0.5%の量で含む。かかる製剤は、任意選択で、塩化ナトリウムなどの等張剤を、約50mM〜約300mM、約50mM〜約200mMまたは約50mM〜約150mMの濃度で含むものであってもよい。他の実施形態において、液状医薬製剤は、約0.1mg/ml〜約50.0mg/mlまたは約5.0mg/ml〜約25.0mg/ml(例えば、約20.0mg/ml)の濃度の抗CD40抗体;約50mM〜約200mM 塩化ナトリウム(例えば、約150mM 塩化ナトリウム);約5mM〜約20mMのコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム(例えば、約10mMのコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム);約50mM〜約200mM(例えば、約150mM)の濃度の塩化ナトリウム;および任意選択で、約0.001%〜約1.0%(例えば、約0.001%〜約0.5%)の量の界面活性剤、例えばポリソルベート80を含み、ここで、該液状医薬製剤は、pH約5.0〜pH約7.0、pH約5.0〜pH約6.0、pH約5.0〜pH約5.5、pH約5.5〜pH約6.5またはpH約5.5〜pH約6.0のpHを有する。
液状医薬製剤は、本明細書において上記に示した保存剤および他の担体、賦形剤または安定剤をいずれも本質的に含まないものであり得る。あるいはまた、該製剤は、本明細書において上記の1種類以上の保存剤、例えば、抗菌剤、薬学的に許容され得る担体、賦形剤または安定剤を含むものであり得るが、これらは、抗CD40抗体の物理化学的安定性に悪影響を及ぼさないものとする。許容され得る担体、賦形剤および安定剤の例としては、限定されないが、さらなる緩衝剤、補助溶媒、界面活性剤、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸およびメチオニン)、キレート化剤(EDTAなど)、金属複合体(例えば、Zn−タンパク質複合体)、ならびに生分解性ポリマー(ポリエステルなど)が挙げられる。製剤化ならびに薬学的に許容され得る担体、安定剤およびイソモライト(isomolyte)の選択の充分な論考については、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版;Mack Publishing Company、Eaton、Pennsylvania、1990)(引用により本明細書に組み込まれる)をみるとよい。
「担体」は、本明細書で用いる場合、使用される投薬量および濃度において、曝露させる細胞または哺乳動物に対して無毒性である薬学的に許容され得る担体、賦形剤または安定剤を包含する。多くの場合、生理学的に許容され得る担体は、水性のpH緩衝溶液である。生理学的に許容され得る担体の例としては、バッファー(リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩および他の有機酸など);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど);親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなど);単糖類、二糖類および他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノースまたはデキストリン);キレート化剤(EDTAなど);糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);塩形成性対イオン(ナトリウムなど);および/または非イオン界面活性剤(TWEEN、ポリエチレングリコール(PEG)およびPluronicsなど)が挙げられる。
1種類以上のさらなる治療用薬剤「との組合せで」の投与としては、同時(simultaneous)(並行(concurrent))および任意の順序の連続投与が挙げられる。
本明細書に記載の液状医薬製剤または他の医薬組成物は、調製された後、分解を抑制するために凍結乾燥され得る。液状組成物の凍結乾燥方法は、当業者にはわかる。使用直前、組成物は、滅菌希釈剤(例えば、リンゲル液、蒸留水または滅菌生理食塩水)(これらは、さらなる成分を含むものであってもよい)を用いて再構成され得る。再構成されたら、組成物は、好ましくは、被験体に、当業者に知られた方法を用いて投与される。
一部のある実施形態において、抗CD40抗体は、少なくとも1種類の他の癌療法、例えば、限定されないが、外科手術、放射線療法、化学療法、サイトカイン療法、または対象の充実腫瘍の処置における使用が意図される他のモノクローナル抗体と組合せて投与され得る。この場合、該さらなる癌療法は、抗CD40抗体療法の前、該療法中またはその後に投与される。したがって、併用療法が、別の治療用薬剤(化学療法、サイトカイン療法または他のモノクローナル抗体など)の投与との組合せでの抗CD40抗体の投与を含むものである場合、本発明には、別々の製剤または単一の医薬製剤、およびいずれかの順序の連続投与を用いた共投与が包含され、この場合、好ましくは、期間は、両方(またはすべての)活性剤が同時にその治療活性を発揮するものである。本発明の方法が併用療法レジメンを含む場合、これらの治療法は、同時に行なわれ得る、すなわち、抗CD40抗体が他の癌療法と同時進行で(concurrently)投与されるか、または同じ時間枠内(すなわち、複数の治療法が並行して行なわれるが、抗CD40抗体は、他の癌療法と正確に同時に投与されない)で投与される。あるいはまた、本発明の抗CD40抗体は、その他の癌療法の前または後に投与されることもあり得る。異なる癌療法のその後の投与は、処置されている被験体が第1の治療過程に応答して寛解または再発の可能性が減少しているか否かとは無関係に行なわれ得る。併用療法が細胞傷害剤の投与との組合せでの抗CD40抗体の投与を含む場合、好ましくは、抗CD40は、細胞傷害剤を投与する前に投与される。
この様式では、抗CD40抗体は、少なくとも1種類の他の癌療法、例えば、限定されないが、外科手術または外科的手順(例えば、脾臓摘出術、肝切除術、リンパ節切除術、白血球除去(leukophoresis)、骨髄移植など);放射線療法;化学療法と組合せて、任意選択で自己骨髄移植と組合せて投与され、ここで、適当な化学療法用薬剤としては、限定されないが、リン酸フルダラビンまたはフルダラビン、クロラムブシル、ビンクリスチン、ペントスタチン、2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン)、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン、およびその組合せ、例えば、アントラサイクリンを含むレジメン、例えば、CAP(シクロホスファミド、ドキソルビシン+プレドニゾン)、CHOP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン+ドキソルビシン)、VAD(ビンクリスチン、ドキソルビシン+デキサメタゾン)、MP(メルファラン+プレドニゾン)、ならびに化学療法に使用される他の細胞傷害剤および/または治療用薬剤、例えば、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、アスパラギナーゼ、ならびに代謝拮抗剤、例えば限定されないが、シタラビン、メトトレキセート、5−フルオロウラシル デカルバジン、6−チオグアニン、6−メルカプトプリンおよびネララビン;他の抗癌モノクローナル抗体療法(例えば、アレムツズマブ(Campath(登録商標))または悪性B細胞上のCD52細胞表面糖タンパク質を標的化する他の抗CD52抗体;リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、完全ヒト抗体HuMax−CD20、R−1594、IMMU−106、TRU−015、AME−133、トシツモマブ/I−131トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、または悪性B細胞上のCD20抗原を標的化する任意の他の治療用抗CD20抗体;抗CD19抗体(例えば、MT103、二重特異性抗体);抗CD22抗体(例えば、ヒト化モノクローナル抗体エプラツズマブ);ベバシズマブ(Avastin(登録商標))またはヒト血管内皮増殖因子を標的化する他の抗癌抗体;悪性B細胞上のCD22抗原を標的化する抗CD22抗体(例えば、モノクローナル抗体BL−22、αCD22毒素);マクロファージコロニー刺激因子を標的化するα−M−CSF抗体;核因子−κBの受容体活性化因子を標的化する抗体(RANK)およびそのリガンド(RANKL)(これらは、多発性骨髄腫において過剰発現される);悪性B細胞上のCD23抗原を標的化する抗CD23抗体(例えば、IDEC−152);CD80抗原を標的化する抗CD80抗体(例えば、IDEC−114);悪性B細胞上のCD38抗原を標的化する抗CD38抗体;悪性B細胞上に発現される主要組織適合複合体クラスII受容体(抗MHC抗体)を標的化する抗体;悪性B細胞上のCD40抗原を標的化する他の抗CD40抗体(例えば、SGN−40);ならびに腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導性リガンド受容体1(TRAIL−R1)を標的化する抗体(例えば、アゴニストヒトモノクローナル抗体HGS−ETR1)およびいくつかの充実腫瘍および造血系起源の腫瘍上に発現されるTRAIL−R2を標的化する抗体);小分子系癌療法、例えば、限定されないが、微小管および/またはトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、有糸分裂阻害剤ドラスタチンおよびドラスタチン類縁体;チューブリン結合剤T900607;XL119;およびトポイソメラーゼ阻害剤アミノカンプトセシン)、SDX−105(塩酸ベンダムスチン)、イクサベピロン(エポシロン類縁体、BMS−247550とも称される)、プロテインキナーゼC阻害剤、例えば、ミドスタウリン((PKC−412、CGP 41251、N−ベンゾイルスタウロスポリン)、ピキサントロン、エロキサチン(抗新生物形成剤)、ガナイト(硝酸ガリウム)、Thalomid(登録商標)(サリドマイド)、サリドマイドの免疫調節性誘導体(例えば、レブリミド(以前はレビミド))、AffinitakTM(プロテインキナーゼC−αのアンチセンス阻害剤)、SDX−101(R−エトドラク、悪性リンパ球のアポトーシスを誘導)、第2世代プリンヌクレオシド類縁体、例えば、クロファラビン、癌細胞によるタンパク質Bcl−2産生の阻害剤(例えば、アンチセンス薬剤オブリメルセンおよびGenasense(登録商標))、プロテオソーム阻害剤(例えば、VelcadeTM(ボルテゾミブ))、小分子キナーゼ阻害剤(例えば、CHIR−258)、小分子VEGF阻害剤(例えば、ZD−6474)、熱ショックタンパク質(HSP)90の小分子阻害剤(例えば、17−AAG)、ヒストンデアセチラーゼの小分子阻害剤(例えば、ハイブリッド/極性細胞分化HPC)スベロイルアニリドヒドロキサム(suberanilohydroxamic)酸(SAHA)およびFR−901228等の薬剤)ならびにアポトーシス剤、例えば、Trisenox(登録商標)(三酸化ヒ素)およびXcytrin(登録商標)(モテクサフィンガドリニウム);ワクチン/免疫療法系癌療法、例えば、限定されないが、ワクチンアプローチ(例えば、Id−KLH、オンコファージ、ビタレチン(vitalethine))、個別免疫療法または活性イディオタイプ免疫療法(例えば、MyVax(登録商標)個別免疫療法、以前はGTOP−99と表示)、Promune(登録商標)(CpG 7909、合成アゴニスト for toll−like受容体9(TLR9))、interferon−alph治療、インターロイキン−2(IL−2)療法、IL−12療法、IL−15療法およびIL−21療法;ステロイドIL−21療法;または他の癌療法が挙げられる;この場合、さらなる癌療法は、アンタゴニスト抗CD40抗体療法の前、該療法中またはその後に投与される。
一実施形態において、抗CD40抗体は、特に、多発性骨髄腫の処置のためにボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))と組合せて投与される。WO2005/044855 A2には、CHIR−12.12とボルテゾミブ療法との併用により、実験的多発性骨髄腫モデルにおいて腫瘍増殖の阻害の有効性が増大することが開示されている。
一実施形態において、抗CD40抗体は、特に、B細胞リンパ腫の処置のためにIL−2と組合せて投与される。WO2005/044294 A2には、CHIR−12.12とIL−2処置との併用により、ナマルバ腫瘍に対して相加的な抗腫瘍活性がもたらされたことが開示されている。
したがって、本発明は、FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)のヒト患者における、CD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態の処置のための医薬の製造における治療または予防有効量の抗CD40抗体の使用を提供し、ここで、該医薬は、少なくとも1種類の他の癌療法での処置とコーディネートされるものである。
「コーディネートされる」により、抗CD40抗体を含む医薬が、少なくとも1種類の他の癌療法での被験体の処置の前、該処置中またはその後のいずれかで使用されることが意図される。
本発明はまた、FcγRIIIa−158Fについてヘテロ接合性またはホモ接合性(遺伝子型V/FまたはF/F)であり、少なくとも1種類の他の癌療法的で前処置されたことがあるヒト患者をCD40発現細胞と関連している癌または前悪性状態について処置するための医薬の製造における抗CD40抗体の使用を提供する。
「前処置された」または「前処置」により、被験体が、抗CD40抗体を含む医薬を受ける前に1種類以上の他の癌療法を受けたことがある(すなわち、少なくとも1種類の他の癌療法で処置されたことがある)ことが意図される。「前処置された」または「前処置」には、抗CD40抗体を含む医薬での処置の開始前に、2年以内、18ヶ月以内、1年以内、6ヶ月以内、2ヶ月以内、6週間以内、1ヶ月以内、4週間以内、3週間以内、2週間以内、1週間以内、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内、または1日以内すらに、少なくとも1種類の他の癌療法で処置されたことがある被験体が含まれる。被験体が先の1種類以上の癌療法での前処置に対するレスポンダーであったことは必要ではない。したがって、アンタゴニスト抗CD40抗体を含む医薬を受ける被験体は、先の癌療法での前処置または前処置が多数の癌療法で構成される先の癌療法の1つ以上に対して応答し得た、または応答し得なかった(すなわち、癌が不応性であった)被験体である。抗CD40抗体を含む医薬を受ける前に被験体が受けたことがあり得る前処置のための他の癌療法の例としては、限定されないが、外科手術;放射線療法;化学療法(任意選択で、自己骨髄移植との組合せで)が挙げられ、ここで、適当な化学療法用薬剤としては、限定されないが、本明細書ならびにWO2005/044854、WO2005/044304、WO2005/044305、WO2005/044306、WO2005/044855、WO2005/044307、およびWO2005/044294に記載のものが挙げられる;他の抗癌モノクローナル抗体療剤としては、限定されないが、本明細書ならびにWO2005/044854、WO2005/044304、WO2005/044305、WO2005/044306、WO2005/044855、WO2005/044307、およびWO2005/044294に記載の抗癌抗体が挙げられる;小分子系癌療剤としては、限定されないが、本明細書ならびにWO2005/044854、WO2005/044304、WO2005/044305、WO2005/044306、WO2005/044855、WO2005/044307、およびWO2005/044294に記載の小分子が挙げられる;ワクチン/免疫療法系癌療剤としては、限定されないが、本明細書ならびにWO2005/044854、WO2005/044304、WO2005/044305、WO2005/044306、WO2005/044855、WO2005/044307、およびWO2005/044294に記載のもの;ステロイド療法;他の癌療法;またはその任意の組合せが挙げられる。
「処置」は、抗CD40抗体と1種類以上の他の癌療法とのコーディネート使用の状況において、本明細書では、抗CD40抗体もしくは他の癌療剤の患者への適用もしくは投与、または患者由来の単離された組織もしくは細胞株への適用または投与であって、該患者が疾患、疾患の症状または疾患に対する素因有し、その目的が、該疾患、疾患の症状または疾患に対する素因を治療、治癒、軽減、緩和、改変、矯正、改善、向上または影響を与えることである適用または投与と規定する。また、「処置」により、抗CD40抗体もしくは他の癌療剤を含む医薬組成物の患者への適用もしくは投与、または抗CD40抗体もしくは他の癌療剤を含む医薬組成物の患者由来の単離された組織もしくは細胞株への適用もしくは投与であって、該患者が疾患、疾患の症状、or 疾患に対する素因を有し、その目的が、該疾患、疾患の症状または疾患に対する素因を治療、治癒、軽減、緩和、改変、矯正、改善、向上または影響を与えることである適用または投与が意図される。
一部のある実施形態において、併用療法は、単独で投与された場合の個々の治療用薬剤と比べて、治療有効性に相乗的な改善をもたらすものである。用語「相乗」は、それぞれの各活性剤の個々の効果の和よりも大きい2種類以上の活性剤の複合効果を示すために用いる。したがって、2種類以上の薬剤の複合効果により、活性またはプロセス(例えば、腫瘍増殖)の「相乗的な阻害」がもたらされる場合、該活性またはプロセスの阻害が、それぞれの各活性剤の阻害性効果の和より大きいことが意図される。用語「相乗的な治療効果」は、2種類以上の治療剤の組合せで観察される治療効果であって、それぞれの個々の治療剤で観察される個々の治療効果の和より大きい治療効果(任意のいくつかのパラメータによって測定)をいう。
次に、本発明の種々の態様および実施形態を、ほんの一例として詳細に記載する。本発明の範囲を逸脱することなく詳細の変形が行なわれ得ることは認識されよう。
実験
以下の実施例に用いた抗CD40抗体は、CHIR−12.12である。CHIR−12.12抗体の作製、配列決定およびキャラクタライゼーションは、WO2005/044854、WO2005/044304、WO2005/044305、WO2005/044306、WO2005/044855、WO2005/044307、およびWO2005/044294として公開された国際特許出願に詳細に記載されている。CHIR−12.12抗体を発現するハイブリドーマ株153.8E2.D10.D6.12.12(CMCC#12056)は、American Type Culture Collection[ATCC;10801 University Blvd.、Manassas、Virginia 20110−2209(USA)]に、特許寄託番号PTA−5543で寄託されている。