JP2009516526A - 組換え酵母におけるリンゴ酸の生産 - Google Patents

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Abstract

組換え酵母が開示され、該酵母は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素(PDC)活性陰性(PDC陰性)であり、かつ、ピルビン酸カルボキシラーゼ酵素(PYC)(このPYCはサイトゾルで活性である)をコードするコード領域;リンゴ酸デヒドロゲナーゼ酵素(MDH)(このMDHはサイトゾルで活性であり、グルコースの存在下で不活性化されない)をコードするコード領域;およびリンゴ酸輸送体タンパク質(MAE)をコードするコード領域で機能的に形質転換されている。また、このような酵母を炭素源および二酸化炭素源を含む培地で培養し、その培地からリンゴ酸を単離することによりリンゴ酸を生産する方法も開示される。

Description

発明の背景
本発明は一般に微生物の工業的使用に関する。より詳しくは、本発明は、酵母によるリンゴ酸またはコハク酸の生産に関する。
工業的プロセスの実施における酵母などの微生物の使用は何千年もかけて偶然の発見により行われてきたものであり、何十年も技術的探求の課題となっている。S.セレビシエ(S. cerevisiae)などの酵母は、有機酸を含む多くの様々な小分子を産生するために用いられている。
しかしながら、酵母、特にS.セレビシエから生産することが難しかった有機酸の1つにリンゴ酸がある。リンゴ酸Cは、青リンゴまたはワインなどの酸味のある、または酸っぱい多くの食品に酸味を付与するジカルボン酸有機酸である。リンゴ酸は様々な食品に用いるための酸味源として食品加工業に有用である。現時点で、酵母によるリンゴ酸の高収率生産は知られていない。
発明の概要
一つの実施態様において、本発明は組換え酵母に関し、該酵母は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素(PDC)活性陰性(PDC陰性)であり、かつ、ピルビン酸カルボキシラーゼ酵素(PYC)(このPYCはサイトゾルで活性である)またはホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシラーゼ(このPEPカルボキシラーゼはリンゴ酸塩、アスパラギン酸塩およびオキサロ酢酸塩による阻害に非感受性である)をコードするコード領域;リンゴ酸デヒドロゲナーゼ酵素(MDH)(このMDHはサイトゾルで活性であり、グルコースの存在下で不活性化されない)をコードするコード領域;およびリンゴ酸輸送体タンパク質(MAE)をコードするコード領域で機能的に形質転換されている。
別の実施態様において、本発明は、リンゴ酸またはコハク酸を製造する方法に関し、該方法は、組換え酵母であって、該酵母が、ピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素(PDC)活性陰性(PDC陰性)であり、かつ、ピルビン酸カルボキシラーゼ酵素(PYC)(このPYCはサイトゾルで活性である)またはホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシラーゼ(このPEPカルボキシラーゼはリンゴ酸塩、アスパラギン酸塩およびオキサロ酢酸塩による阻害に非感受性である)をコードするコード領域;リンゴ酸デヒドロゲナーゼ酵素(MDH)(このMDHはサイトゾルで活性であり、グルコースの存在下で不活性化されない)をコードするコード領域;およびリンゴ酸輸送体タンパク質(MAE)をコードするコード領域で機能的に形質転換されている前記組換え酵母を、炭素源と二酸化炭素源を含む培地で培養する工程;および培地からリンゴ酸またはコハク酸を単離する工程を含んでなる。
発明の具体的説明
添付の図面は本発明の一部をなし、本発明の特定の態様をさらに示すために含められる。本発明は、1以上のこれらの図面を本明細書に示されている特定の実施態様の詳細な記載と併せて参照することでより良く理解することができる。
一つの実施態様では、本発明は組換え酵母に関し、該酵母は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素(PDC)活性陰性(PDC陰性)であり、かつ、ピルビン酸カルボキシラーゼ酵素(PYC)(このPYCはサイトゾルで活性である)またはホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシラーゼ(このPEPカルボキシラーゼはリンゴ酸塩、アスパラギン酸塩およびオキサロ酢酸塩による阻害に非感受性である)をコードするコード領域;リンゴ酸デヒドロゲナーゼ酵素(MDH)(このMDHはサイトゾルで活性であり、グルコースの存在下で不活性化されない)をコードするコード領域;およびリンゴ酸輸送体タンパク質(MAE)をコードするコード領域で機能的に形質転換されている。
工業プロセスに用いるための当技術分野で公知の酵母はいずれも、本開示の利益を有する当業者によって慣用されている実験に関する方法において使用することができる。形質転換する酵母は酵母の既知の属および種から選択することができる。酵母についてはN. J. W. Kreger-van Rij, “The Yeasts,” Vol. 1 of Biology of Yeasts, Ch. 2, A. H. Rose and J. S. Harrison, Eds. Academic Press, London, 1987に記載されている。一つの実施態様では、酵母属はとりわけサッカロミセス(Saccharomyces)、ザイゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、デバロミセス(Debaromyces)、ナドソニア(Nadsonia)、リポミセス(Lipomyces)、トルロプシス(Torulopsis)、クロエケラ(Kloeckera)、ピキア(Pichia)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、トリゴノプシス(Trigonopsis)、ブレッタノミセス(Brettanomyces)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、オーレオバシジウム(Aureobasidium)、リポミセス(Lipomyces)、ファフィア(Phaffia)、ロドトルラ(Rhodotorula)、ヤロウィア(Yarrowia)またはシワンニモミセス(Schwanniomyces)であり得る。さらなる実施態様では、酵母はサッカロミセス、ザイゴサッカロミセス、クルイベロミセスまたはピキア種であり得る。さらなる実施態様では、酵母はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)であり得る。サッカロミセス・セレビシエは工業プロセスで汎用されている酵母であるが、本発明はこれに限定されない。
「組換え」酵母は、酵母には本来存在しない核酸配列または内在する核酸配列のさらなるコピーもしくは多コピーを含む酵母であり、この核酸は人為的にその酵母または祖先細胞に導入される。組換えDNA技術は周知であり、当技術分野で公知であり、本明細書でも論じる種々の技術に関してさらに詳しいことを示してあるSambrook et al., Molecular Genetics: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressなどに記載されている。この実施態様では、同種および/または異種遺伝子のコード領域は、その遺伝子を持っている生物から単離される。この生物は細菌、原核生物、真核生物、微生物、真菌、植物または動物であり得る。
コード領域を含む遺伝物質はその生物の細胞から既知の技術のいずれかにより抽出することができる。その後、このコード領域は適当な技術により単離することができる。1つの既知の技術では、このコード領域は、まず、ゲノムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリーを作製し、次に、例えばそのライブラリーをそのコード領域と少なくとも部分的に相同である選択または推定される標識ヌクレオチドプローブで釣り上げることによるなど、そのゲノムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリーにおいてコード領域を同定し、そのコード領域の発現が、そのコード領域を含むライブラリー微生物に検出可能な表現型を付与するかどうかを調べるか、またはPCRにより所望の配列を増幅することにより単離される。
本明細書において「PDC陰性」とは、van Maris, AJ.A., M.Ah. Luttik, A.A. Winkler, J.P. van Dijken, and J.T. Pronk. 2003が従前に記載している方法を用いたときに0.005マイクロモル/分mgタンパク質−1未満のピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する酵母を表す。このような酵母は「PDC活性無し」とみなし得る。Overproduction of Threonine Aldolase Circumvents the Biosynthetic Role of Pyruvate Decarboxylase in Glucose-grown Saccharomyces cerevisiae). Appl. Environ Microbiol. 69:2094-2099.このような酵母は本明細書では「PDC活性無し」とみなし得る。
PDC陰性の酵母は適当ないずれかの技術により単離または操作することができる。遺伝的に多様な酵母の最初の大集団には、PDC陰性の天然突然変異体が含まれることがある。最初の集団に対して突然変異誘発またはケモスタットに基づく選択を行うことができる。典型的なPDC陽性酵母株は、(A)その酵母株で発現され得る少なくとも1つのPDC構造遺伝子;(B)その酵母株で発現され得る少なくとも1つのPDC調節遺伝子;(C)PDC構造遺伝子のプロモーター;および(D)PDC調節遺伝子のプロモーターを含む。PDC陰性酵母では、(A)〜(D)の1以上の(i)突然変異、(ii)阻害または(iii)欠失があり得る。ある特定の実施態様では、(A)〜(D)の1以上の突然変異、阻害または欠失はピルビン酸デカルボキシラーゼ活性の欠如に寄与し得る。
一つの実施態様において、PDC陰性酵母は、S.セレビシエTAM株(検出可能なピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を持たず、独立のC炭素源、グルコース耐性である酵母「MATa pdcl(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52」尿素)である。
ピルビン酸カルボキシラーゼ(PYC)はピルビン酸塩からオキサロ酢酸塩への変換を触媒することができるいずれの酵素(EC6.4.1.1)であってもよく、このPYCはサイトゾルで活性である。酵素は本願の出願時点でのピルビン酸カルボキシラーゼとしてPYCの定義の範囲内にあることを文献で確認する必要はない。いずれの生物源のPYCを用いてもよく、PYCは野生型であっても、野生型から改変されたものであってもよい。PYCはS.セレビシエピルビン酸カルボキシラーゼであってもよい。一つの実施態様では、PYCは配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも75%の同一性を有する。一つの実施態様では、PYCは配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する。一つの実施態様では、PYCは配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有する。一つの実施態様では、PYCは配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する。一つの実施態様では、PYCは配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有する。もう1つの実施態様では、PYCは配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも96%の同一性を有する。さらなる実施態様では、PYCは配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも97%の同一性を有する。さらに別の実施態様では、PYCは配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも98%の同一性を有する。なおさらに別の実施態様では、PYCは配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を有する。なおさらに別の実施態様では、PYCは配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する。
同一性はClustalWプログラムおよびそのデフォルト値、すなわち、DNAギャップオープンペナルティー=15.0、DNAギャップエクステンションペナルティー=6.66、DNAマトリックス=同一性、タンパク質ギャップオープンペナルティー=10.0、タンパク質ギャップエクステンションペナルティー=0.2、タンパク質マトリックス=ゴンネットを用いて実行する配列アライメントにより調べることができる。同一性はClustalWの文書「アラインする配列対ごとにスコア対を算出する。これらのスコアは結果の表に示されている。スコア対は最良のアライメントにおける一致の数を比較した残基数(ギャップ部分は除く)で割ったものとして算出される。これらのスコアは双方ともまず同一性%スコアとして算出し、100で割って1.0から差し引くことで距離に換算し、部位当たりの相違数を求める。これらの最初の距離における複数の置換については補正を行わない。選択したマトリックスおよびギャップのスコア対は独立に算出されるので、特定の配列対では常に同じ値が得られる。」に記載されている手順に従って算出することができる。
コード領域は、それがある生物の細胞から精製された同じタンパク質と実質的に同一のタンパク質配列をコードしていれば、その生物のものである、またはその生物に由来するとみなされる。
一つの実施態様では、酵母は、PYC(EC4.1.1.38)の代わりにまたはそれに加えてホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシラーゼをコードするコード領域で形質転換することができる。PEPカルボキシラーゼはホスホエノールピルビン酸からオキサロ酢酸塩への変換を触媒することができる酵素であり得る。酵素は本願の出願時点でのピルビン酸カルボキシラーゼとしてPEPの定義の範囲内にあることを文献で確認する必要はない。いずれの生物源のPEPカルボキシラーゼを用いてもよく、PEPカルボキシラーゼは野生型であっても、野生型から改変されたものであってもよい。PEPカルボキシラーゼはリンゴ酸塩、アスパラギン酸塩およびオキサロ酢酸塩による阻害に非感受性でなければならない。大腸菌(E. coli)のPEPカルボキシラーゼはリンゴ酸塩により阻害されることが認められている。
リンゴ酸デヒドロゲナーゼ酵素(MDH)はオキサロ酢酸塩からリンゴ酸塩への変換を触媒することができるいずれの酵素(EC1.1.1.37)であってもよく、このMDHはサイトゾルで活性であり、グルコースの存在下で不活性化されない。(「リンゴ酸塩」および「リンゴ酸」は本明細書では、特定のイオン種を示す場合を除き、互換的に用いられる)。酵素は本願の出願時点でのリンゴ酸デヒドロゲナーゼとしてMDHの定義の範囲内にあることを文献で確認する必要はない。「サイトゾルで活性」とは、サイトゾルにその酵素の触媒活性型が存在することを意味する。「グルコースの存在下で不活性化されない」とは、グルコースが存在しない場合に比べ、グルコースに曝される場合にその酵素の触媒活性が低下しないことを意味する。いずれの生物源のMDHでも使用可能であり、MDHは野生型であっても、野生型から改変されたものであってもよい。一つの実施態様では、MDHはS.セレビシエMDH1またはS.セレビシエMDH3である。野生型S.セレビシエMDH2はサイトゾルで活性であるが、グルコースの存在下で不活性化される。一つの実施態様では、MDHはサイトゾルで活性となり、かつ、グルコースの存在下で不活性化されないように(遺伝子工学、翻訳後修飾または当技術分野で公知の他のいずれかの技術により)改変された改変型S.セレビシエMDH2であり得る。一つの実施態様では、MDHはシグナル伝達配列またはMDHを酵母のサイトゾルへターゲティングし得る配列を含むか、あるいはMDHはシグナル伝達配列またはMDHをサイトゾル以外の酵母の細胞内領域へターゲティングし得る配列を欠いている。一つの実施態様では、MDHはS.セレビシエMDH3ΔSKLであってよく、この場合、MDHをコードするコード領域は、通常MDH3をペルオキシソームへターゲティングする野生型S.セレビシエMDH3のカルボキシ末端SKL残基を欠くように変更されている。一つの実施態様では、MDHは配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも75%の同一性を有する。一つの実施態様では、MDHは配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する。一つの実施態様では、MDHは配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有する。一つの実施態様では、MDHは配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する。一つの実施態様では、MDHは配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有する。もう1つの実施態様では、MDHは配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも96%の同一性を有する。さらなる実施態様では、MDHは配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも97%の同一性を有する。さらに別の実施態様では、MDHは配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも98%の同一性を有する。さらに別の実施態様では、MDHは配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を有する。さらに別の実施態様では、MDHは配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する。
リンゴ酸輸送体タンパク質(MAE)は、酵母のサイトゾルから細胞膜を経て細胞外間隙へリンゴ酸塩を輸送し得るいずれのタンパク質であってもよい。タンパク質は本願の出願時点でのピルビン酸カルボキシラーゼとしてMAEの定義の範囲内にあることを文献で確認する必要はない。いずれの生物源のMAEでも使用可能であり、MAEは野生型であっても、野生型から改変されたものであってもよい。MAEはシゾサッカロミセス・ポンベSpMAE1であってもよい。一つの実施態様では、MAEは配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも75%の同一性を有する。一つの実施態様では、MAEは配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する。一つの実施態様では、MAEは配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有する。一つの実施態様では、MAEは配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する。一つの実施態様では、MAEは配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有する。もう1つの実施態様では、MAEは配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも96%の同一性を有する。さらなる実施態様では、MAEは配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも97%の同一性を有する。さらに別の実施態様では、MAEは配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも98%の同一性を有する。さらに別の実施態様では、MAEは配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも99%の同一性を有する。なおさらに別の実施態様では、MAEは配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する。
好ましくは、所望の酵素をコードするコード領域は、所望の酵素が酵母内で産生され、実質的に機能的であるような様式で酵母に組み込まれる。このような酵母は本明細書では「機能的に形質転換される」と言うことができる。
酵素またはタンパク質をコードするコード領域が生物の核酸から抽出されるか、または化学的手段によって合成されれば、酵母への形質転換または酵母での発現のために調製することができる。最低限、これにはコード領域をベクターへ挿入することと、ベクターに見られ、かつ、酵母で活性なプロモーターへ作動可能なように連結することを含む。いずれのベクター(組み込み型、染色体型またはエピソーム型)でも使用可能である。
標的宿主で活性ないずれのプロモーター(同種または異種、構成型、誘導型または抑制型)でも使用可能である。このような挿入は、プロモーターとの作動可能な連結が可能な所望の点でベクターを「開き」、その後、その所望の点にコード領域を連結するための制限エンドヌクレアーゼの使用を含み得る。所望により、ベクターに挿入する前に、コード領域を標的生物での使用のために調製することができる。これは、当技術分野で公知の他の可能性のある調製のなかでも、標的生物のコドン使用とよりよく適合させるためのコード領域に用いるコドンの変更;コード領域の転写もしくは翻訳またはコード領域のmRNA転写物の安定性を損なう可能性のあるコード領域の配列の変更;またはシグナル伝達ペプチドをコードする部分(タンパク質を特定の場所(例えば、オルガネラ、細胞もしくはオルガネラの膜、または細胞外分泌))に向けるコード領域によりコードされているタンパク質の領域の付加もしくは除去を含み得る。
コード領域が改変されているかどうかに関わらず、コード領域がベクターに挿入される場合には酵母内で活性なプロモーターと作動可能なように連結される。公知のように、プロモーターはコード領域付近の転写を命令することができるDNA配列である。既に記載したように、プロモーターは構成型でも誘導型でも抑制型であってもよい。構成型プロモーターはコード領域付近の転写を絶えず命令する。誘導型プロモーターは、そのプロモーターの属性により決定される適当なインデューサー分子を培地に加えることにより誘導することができる。抑制型プロモーターは、そのプロモーターの属性により決定される適当なレプレッサー分子を培地に加えることにより抑制することができる。一つの実施態様では、プロモーターは構成型である。例えば、さらなる実施態様では、構成型プロモーターはS.セレビシエトリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)プロモーターである。別の例として、別のさらなる実施態様では、プロモーターはS.セレビシエグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(アイソザイム3)THD3プロモーターである。
所望により、ターミネーター領域を用いることもできる。ターミネーター領域の例としては、S.セレビシエCYC1がある。
プロモーターに作動可能なように連結されたコード領域を含むベクターとしては、酵母での使用に適当であることが当技術分野で知られているものの中でも、プラスミド、コスミドまたは酵母人工染色体であり得る。プロモーターに作動可能なように連結されたコード領域に加え、ベクターは他の遺伝要素を含んでもよい。例えば、ベクターが酵母ゲノムに組み込まれると思われない場合には、ベクターは、そのベクターを含む酵母の後代細胞にベクターが受け渡されるように複製起点を含んでもよい。ベクターの酵母ゲノムへの組み込みが望まれる場合には、ベクターは酵母ゲノムに見られる配列と相同な配列を含んでもよく、また、組み込みを容易にすることができるコード領域を含んでもよい。どの酵母細胞が形質転換されているか判定するために、ベクターはそれを非形質転換細胞から区別する表現型を酵母に付与する(例えば、他の表現型の中でも、非形質転換酵母には致死的な抗生物質を含む培地で生存するか、または非形質転換酵母が代謝しない培地成分を生成物へと代謝する)選択可能なマーカーまたはスクリーニング可能なマーカーを含んでもよい。さらに、ベクターは、制限エンドヌクレアーゼ部位およびベクターに一般に見られる他のものなど、他の遺伝要素を含んでもよい。
コード領域がプロモーターに作動可能なように連結されてベクターが作製された後は、酵母をこのベクターで形質転換させることができる(すなわち、ベクターを酵母集団の少なくとも1つの細胞に導入することができる)。酵母の形質転換のための技術は十分確立されており、とりわけ、エレクトロポレーション、マイクロプロジェクティル・ボンバードメント(microprojectile bombardment)およびLiAc/ssDNA/PEG法が挙げられる。形質転換された酵母細胞は次にベクター上のスクリーニング可能なまたは選択可能なマーカーを用いることで検出することができる。「形質転換酵母」とは、上記で定義されたような「組換え酵母」と本質的に同じ意味を有する。形質転換酵母は形質転換技術でベクターを受容したものであっても、このような酵母の後代であってもよい。
PYC、MDHおよびMAEに関して、本開示の利益を受ける当業者ならば、遺伝コードの縮重という点で、特定のPYC配列、MDH配列またはMAE配列をコードする多数の可能性のあるコード領域が存在し得ることが分かるであろう。例としてのPYCコード領域は配列番号4で示され、例としてのMDHコード領域は配列番号5で示され、例としてのMAEコード領域は配列番号6で示される。所望のタンパク質配列をコードするコード領域はいずれも慣用的な実験において使用可能である。当業者ならば、特定のコドン(バイアスコドン(biased codons))は酵母において他の種々の縮重コドンよりも大きな対応tRNAプールを持ち得るので、酵母においてより急速なタンパク質翻訳を可能とすることが分かるであろう。
また、当業者ならば、当技術分野で公知の他のものの中でも、プロモーターおよびエンハンサーなどの種々の調節配列が機能的に形質転換された酵母の調製および使用における慣用的実験において使用可能であることが分かるであろう。
本発明は、植物、酵母または他の生物におけるリンゴ酸中間体またはリンゴ酸の生産に関して公知の経路の酵素に限定されない。
別の実施態様において、本発明は、リンゴ酸またはコハク酸を製造する方法に関し、該方法は、組換え酵母であって、該酵母が、ピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素(PDC)活性陰性(PDC陰性)であり、かつ、ピルビン酸カルボキシラーゼ酵素(PYC)(このPYCはサイトゾルで活性である)をコードするコード領域;リンゴ酸デヒドロゲナーゼ酵素(MDH)(このMDHはサイトゾルで活性であり、グルコースの存在下で不活性化されない)をコードするコード領域;およびリンゴ酸輸送体タンパク質(MAE)をコードするコード領域で機能的に形質転換されている前記組換え酵母を、炭素源と二酸化炭素源を含む培地で培養する工程;および培地からリンゴ酸またはコハク酸を単離する工程を含んでなる。
酵母およびそのコード領域は上記の通りであり得る。
組換え酵母が得られた後には、この酵母を培地で培養することができる。酵母を培養可能な培地は、この目的に好適であることが当技術分野で公知である培地であり得る。培養技術および培地は当技術分野で周知である。一つの実施態様では、培養は適当な容器内で水性発酵により行うことができる。典型的な酵母発酵容器の例としては、振盪フラスコまたはバイオリアクターが挙げられる。
培地はとりわけ、グルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトースまたは植物材料の加水分解物などの炭素源を含み得る。一つの実施態様では、培地はまた、有機分子または無機分子としての窒素源を含み得る。さらなる実施態様では、培地はまた、とりわけ、アミノ酸;プリン;ピリミジン;コーンスティープリカー(corn steep liquor);酵母抽出物;タンパク質加水分解物;B複合体ビタミンなどの水溶性ビタミン;またはCa、Mg、Na、K、Fe、Ni、Co、Cu、Mn、MoもしくはZnの塩化物、塩酸塩、リン酸塩類または硫酸塩などの無機塩を含み得る。酵母の培養または発酵に有用であることが当業者に知られているさらなる成分も含んでもよい。培地は緩衝させることができるが、必ずしも必要ではない。
二酸化炭素源は二酸化炭素気体(培地の上部空間に導入することもできるし、あるいは培地に散布することもできる)または炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)であってもよい。
発酵過程で、炭素源は酵母にインターナライズされ、何段階かでリンゴ酸へ変換される。MAEの発現により、このようにして生産されたリンゴ酸が酵母により培地中に分泌可能となる。一般に、いくらかの量の炭素源がコハク酸へ変換され、いくらかの量のコハク酸が酵母により培地中に分泌される。
培地例としては、50g/L CaCOおよび1g/L尿素を含む無機培地がある。
培地中に所望の濃度のリンゴ酸またはコハク酸が生産されるまで十分な時間培養を行った後、そのリンゴ酸またはコハク酸を単離することができる。本明細書において有機酸に関して「単離」とは、酵母または培地の少なくとも1種類の他の成分(別の有機酸またはそのカテゴリーにはない化合物)からその有機酸を分離することにより、より高い純度の状態をもたらすことを意味する。一つの実施態様では、単離された有機酸は少なくとも約95%の純度、例えば少なくとも約99%の純度である。
培地に集積したリンゴ酸を単離するため、単離は、とりわけイオン交換樹脂、活性炭、マイクロフィルトレーション、限外濾過、ナノフィルトレーション、液体−液体抽出、結晶化またはクロマトグラフィーなどの既知の技術により培地からリンゴ酸を精製することを含み得る。
コハク酸の単離も同様にして行うことができる。
本発明者らは、50g/L CaCOおよび1g/L尿素を含む無機培地中で本発明の組換え酵母を培養すると、培地中少なくとも1g/Lレベルのリンゴ酸(酸として)が得られることを見出した。一つの実施態様では、培地中少なくとも10g/Lレベルのリンゴ酸が得られる。さらなる実施態様では、培地中少なくとも30g/Lレベルのリンゴ酸(酸として)が得られる。
培養工程中、酵母が培地にリンゴ酸を集積すれば、そのリンゴ酸濃度が安定化されるか、または上昇されることが好ましい。
以下、本発明の詳細な説明を理解する上で当業者の助けとするために定義を示す。
「バックグラウンドレベルを超えるリンゴ酸の集積」とは、本明細書に記載の手順を用いて判定した場合に、検出不能なレベルを超えるリンゴ酸の集積」を意味する。
「増幅」とは、どんな手段であれ、所望の核酸分子のコピー数を高めること、または酵素の活性を高めることを意味する。
「コドン」とは、特定のアミノ酸を示す3つのヌクレオチドの配列を意味する。
「DNAリガーゼ」とは、2本の二本鎖DNAを共有結合させる酵素を意味する。
「エレクトロポレーション」とは、宿主細胞を透過してそれらに染色体外DNAを取り込ませるために短時間、高電圧のDC電荷を用いる、細胞への外来DNAの導入法を意味する。
「エンドヌクレアーゼ」とは、内部の位置で二本鎖DNAを加水分解する酵素を意味する。
「発現」とは、対応するmRNAを産生するための遺伝子の転写および対応する遺伝子産物、すなわち、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を生産するためのこのmRNAの翻訳を意味する。
「機能的に連結される」または「作動可能なように連結される」とは、プロモーターまたはプロモーター領域によりコード配列または構造配列の転写が命令されるような方向および距離にあるプロモーターまたはプロモーター領域とコード配列または構造配列を意味する。
「遺伝子」とは、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質またはRNA分子をコードする染色体DNA、プラスミドDNA、cDNA、合成DNAまたは他のDNA、および発現の調節に関与するコード配列の隣接領域を意味する。
「ゲノム」とは、宿主細胞内の染色体とプラスミドの双方を包含する。従って、宿主細胞に導入された本発明のDNAをコードしているものは染色体に組み込むことができるか、またはプラスミドに局在させることができる。
「異種DNA」とは、それを受容する細胞とは異なる供給源に由来するDNAを意味する。
「同種DNA」とは、それを受容する細胞と同じ供給源に由来するDNAを意味する。
「ハイブリダイゼーション」とは、ある核酸鎖が塩基対合により相補鎖と連結できることを意味する。ハイブリダイゼーションは、2本の核酸鎖の相補配列が他方と結合する際に起こる。
「培地」とは、酵母または組換え酵母の増殖に必要な成分とアスコルビン酸の生産のための1以上の前駆体を含む酵母の化学的環境を意味する。酵母の増殖のための成分とアスコルビン酸の生産のための前駆体は、同一であっても異なっていてもよい。
「オープンリーディングフレーム(ORF)」とは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードするDNAまたはRNAの領域を意味する。
「プラスミド」とは、環状の、染色体外の複製可能なDNA片を意味する。
「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)」とは、1つの核酸配列の複数のコピーを作り出す酵素的技術を意味する。DNA配列のコピーは、DNAポリメラーゼに2つのアンプリマーの間を往復させることにより製造される。この増幅法の基礎は、アンプリマーを変性させ、次いで再アニーリングし、その後、伸張させて、隣接するアンプリマー間に位置する領域で新たなDNA鎖を合成するための多数回の温度変化周期である。
「プロモーター」または「プロモーター領域」とは、RNAポリメラーゼの認識部位および/または適正な部位での転写の開始に必要な他の因子を提供することでメッセンジャーRNA(mRNA)の生産を制御することによりコード配列の発現を制御する、通常はコード配列の上流(5’側)に見られるDNA配列を意味する。
「組換え細胞」または「形質転換細胞」は、その細胞には本来存在しない核酸配列または内在する核酸配列のさらなるコピーもしくは多コピーを含む細胞であり、この核酸配列は人為的にその細胞または祖先に導入される。
「組換えベクター」または「組換えDNAまたはRNA構築物」は、1以上の配列が機能的に作動可能な様式で連結されている核酸分子を含む、ゲノム組み込みまたは自己複製可能な、いずれの供給源に由来してもよい、プラスミド、コスミド、ウイルス、自立複製配列、ファージまたは直鎖もしくは環状一本鎖もしくは二本鎖DNAもしくはRNAヌクレオチド配列などの因子を意味する。このような組換え構築物またはベクターは、5’調節配列またはプロモーター領域、および選択された遺伝子産物のDNA配列を、そのDNA配列が機能的mRNAへと転写される(翻訳されてもされなくてもよく、従って発現されてもされなくてもよい)ように細胞へ導入することができる。
「制限酵素」とは、二本鎖DNA中の特定のヌクレオチド配列を認識し、両鎖を切断する酵素を意味し、制限エンドヌクレアーゼとも呼ばれる。切断は一般に制限部位内またはそれと近接して起こる。
「選択可能なマーカー」とは、その発現がその核酸配列を含む細胞の同定を容易にする表現型を付与する核酸配列を意味する。選択可能なマーカーとしては、有毒化学物質(例えば、アンピシリン、カナマイシン)に対する耐性を付与する、または栄養欠乏(例えば、ウラシル、ヒスチジン、ロイシン)を補足するものが挙げられる。
「スクリーニング可能なマーカー」とは、その発現が視覚的に区別できる特徴(例えば、色の変化、蛍光)を付与する核酸配列を意味する。
「転写」とは、DNA鋳型からRNAコピーを生産するプロセスを意味する。
「形質転換」とは、外因性の核酸配列(例えば、ベクター、プラスミドまたは組換え核酸分子)を細胞に導入し、そこで外因性核酸が染色体に組み込まれるか、または自己複製可能でとなるプロセスを意味する。形質転換を受けた細胞またはこのような細胞の後代は「形質転換されている」かまたは「組換え型」である。外因性核酸が所望のタンパク質をコードするコード領域を含む場合、この所望のタンパク質は形質転換酵母内で生産され、実質的に機能的であり、このような形質転換酵母は「機能的に形質転換されている」。
「翻訳」とは、メッセンジャーRNAからのタンパク質の生産を意味する。
「収率」とは、生産されたリンゴ酸の量(モルまたは重量/容量)を消費された炭素源の量(モルまたは重量/容量)で割って100を掛けたものを意味する。
酵素の「単位」とは酵素活性を意味し、1分当たりの総細胞タンパク質1mg当たりの変換された基質のマイクロモル量を示す。
「ベクター」とは、核酸配列を宿主細胞へ運ぶDNAまたはRNA分子(とりわけ、プラスミド、コスミド、バクテリオファージ、酵母人工染色体またはウイルスなど)を意味する。ベクターまたはその一部を宿主細胞のゲノムに挿入することができる。
以下の実施例は本発明の好ましい実施態様を示すために記載される。当業者ならば、以下の実施例に開示される技術が本発明の実施上十分機能させるために本発明者らが開発した技術を表すことが分かるはずであり、従って、その実施の好ましい様式をなすと考えることができる。しかしながら、当業者ならば、本開示に関して、開示されている特定の実施態様において多くの変更をなし、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなお同様または類似の結果を得ることができることが分かるはずである。
実施例1
ピルビン酸カルボキシラーゼ(PYC)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)およびリンゴ酸塩輸送体タンパク質(MAE)をコードする遺伝子で形質転換されたS.セレビシエ株TAM(MATa pdcl(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52(PDC陰性))で出発して2つの酵母株を構築した。
TAM株はただ1つの栄養要求性マーカーを有するので、本発明者らは栄養要求性マーカーを有する1を超えるプラスミドを導入することができるようTRP1遺伝子座を分断し、RWB961(MATa pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP mutx uraS−52 trp1::Kanlox)を得た。
本発明者らが用いたMDHおよびPYC遺伝子をプラスミドp426GPDMDH3(S.セレビシエTHD3プロモーターおよびS.セレビシエCYC1ターミネーター、図3の間にMDH3ΔSKL遺伝子を含むURA3マーカーを有する2μプラスミド)およびpRS2(S.セレビシエPYC2遺伝子を含むURA3マーカーを有する2μプラスミド、図4)に従前にクローニングした。
S.ポンベMAEを有するPTDH3−SpMAE1カセットをYEplac112(2μ、TRP1)およびYIplac204(組込み、TRP1)に再クローニングし、YEplac112SpMAE1(図6)およびYIplac204SpMAE1を得た(示されていない)。
PYCおよびMDHベクターを作製した:pRS2MDH3ΔSKL(2μ、URA3、PYC2、MDH3ΔSKL)(図5)。
RWB961はpRS2MDH3ΔSKLおよびYEplac112SpMAE1(株1)またはpRS2MDH3ΔSKLおよびYIplac204SpMAE1(株2)で形質転換した。株1および株2は双方ともPYC2およびMDH3ΔSKLを過剰発現したが、MAE1の発現レベルは異なっており、これは発現レベルがプラスミドコピー数に比例しており、YEplac112SpMAE1(2μ系)では細胞当たり約10〜40およびYIplac204SpMAE1(組み込み型)では細胞当たり約1〜2であると推定される。
株1および株2の単離後、各株の0.04g/Lまたは0.4g/Lを、100mLの無機培地、50g/L CaCO、および1g/L尿素の入った500mLの振盪フラスコに導入した。フラスコを各実験期間、200rpmで振盪した。各培地のサンプルを種々の時点で単離し、グルコース、ピルビン酸塩、グリセロール、コハク酸塩およびリンゴ酸塩の濃度を測定した。約90〜160時間後、約250mMの細胞外リンゴ酸塩濃度を認めた。結果を図1〜2に示す。
これらの結果は、酵母の代謝経路に対する以下の改変が組換え酵母による高レベルの細胞外リンゴ酸塩集積を可能とすることを示す:
1.ピルビン酸流動をピルビン酸カルボキシラーゼに向けること(PDC活性の低減による);
2.PYCを過剰発現させることにより、ピルビン酸カルボキシラーゼへの流動を高めること;
3.PYCにより形成されたオキサロ酢酸塩を捕捉するためにサイトゾルに高いリンゴ酸デヒドロゲナーゼ活性を導入すること;
4.リンゴ酸塩の輸送を容易にするために異種リンゴ酸輸送体を導入すること。
図2は、上記のリンゴ酸塩生産と同時に細胞外コハク酸塩濃度約50mMが生産できたことも示す。
実施例2
発酵槽系におけるリンゴ酸塩生産に対する二酸化炭素の作用は、実施例1に記載のように、PYC2、サイトゾルMDH3およびS.ポンベMAE1輸送体(YEplac112SpMAE1)を過剰発現するTAM株を用いて研究した。3種類の発酵槽実験を行った:
A:完全好気性条件下でバッチ培養;
B:N/O/COが70%/20%/10%の混合物の完全好気性条件下でバッチ培養;
C:N/O/COが65%/20%/15%の混合物の完全好気性条件下でバッチ培養。
プロトコール
培地
無機培地は脱塩水1リットル当たり100gグルコース、3g KHPO、0.5g MgSO・7HOおよびVerduyn et al (Yeast 8: 501-517, 1992)に従う1ml微量元素溶液を含んだ。110℃で20分培地の熱滅菌を行った後、1リットル当たりVerduyn et al (Yeast 8: 501-517, 1992)に従う1mlの濾過除菌ビタミンおよび1g尿素を含む溶液を加えた。0.2ml/lの消泡剤(BDH)の添加も行った。CaCOは加えなかった。
発酵槽培養
発酵槽培養は、実施量1リットルでバイオリアクター(Applikon Dependable Instruments, Schiedam, The Netherlands)にて行った。pHは2M水酸化カリウムで滴定することによりpH5.0に自動制御した。30℃に維持する温度は、Pt100センサーで測定し、循環水がヒーティングフィンガー(heating finger)を経由する手段により制御した。攪拌速度は、2つのラシュトン・インペラー(rushton impeller)を用い、800rpmで一定に維持した。好気性条件では、Brooks 5876マスフローコントローラー(Brooks BV, Veenendaal, The Netherlands)を用いて0.5l/分の気流を維持し、大気圧下での空気飽和が60%を超える溶存酸素濃度を保持した。
バッチBおよびCでは、加圧空気79%N+21%Oと79%CO+21%Oを含んだガス混合物(Hoekloos, Schiedam, the Netherlands)とを混合することにより、良好な酸素供給を維持しつつ10%または15%の高い二酸化炭素濃度を達成した。Brooks 5876マスフローコントローラーを介して供給される10%または15%COという望ましいパーセンテージに、一定総流速0.5L/分となるまで加圧空気を供給した。
pH、DOTおよびKOH/H2SO4供給量はオンライン・データ・アクイジション・アンド・コントロース・システム(on-line data acquisition & control system) (MFCS/Win, Sartorius BBI Systems)を用いて絶えずモニタリングした。
オフガス分析
発酵槽培養の排気ガスを冷却器(2℃)で冷却し、Perma Pure dryer(PD−625−12P型)で乾燥させた。酸素および二酸化炭素の濃度をRosemount NGA 2000分析装置で測定した。排気ガスの流速はSaga Digital Flow meter(Ion Science, Cambridge)で測定した。二酸化炭素生産と酸素消費の固有速度をvan Urk et al (1988, Yeast 8: 501-517)が記載しているようにして算出した。
サンプル調製
バイオマス、基質および生成物のサンプルを氷上で採取した。発酵液サンプルおよび無細胞サンプル(10.000xgで10分間の遠心分離により調製)をその後の分析まで−20℃で保存した。
代謝産物の測定
HPLC測定
糖類、有機酸およびポリオールの測定は、Waters 2487 UV検出器およびWaters 2410屈折率検出器に接続したHPX−87H Aminexイオン排除カラム(300×7.8mm、BioRad)(6O℃、0.6ml/分 5mM H2SO4)を装備したWaters HPLC 2690システムを用いて同時に行った。
酵素代謝産物の測定
HPLC測定値を確認し、かつ/または分離誤差を排除するため、L−リンゴ酸を酵素キット(Boehringer-Mannheim, カタログ番号0 139 068)で測定した。
乾重の測定
培養物中の酵母の乾重は、培養物5mlを0.45μmフィルター(Gelman Sciences)で濾過することにより測定した。必要であれば、サンプルを終濃度5〜10g/lの間まで希釈した。これらのフィルターを、それらの使用前乾重を測定するため、使用前に少なくとも24時間80℃のインキュベーターで維持した。サンプル中の酵母細胞をフィルター上に保持し、10mlの脱塩水で洗浄した。次に、この細胞を含んだフィルターをマイクロ波オーブン(Amana Raderrange, 1500 Watt)にて50%出力で20分間乾燥させた。乾燥した細胞を含むフィルターを2分間冷却した後に秤量した。細胞を含むフィルターの重量からフィルターの重量を差し引いて乾重を算出した。
光学密度(OD 660 )の測定
酵母培養物の光学密度を4mlキュベット中、分光光度計;Novaspec II(Amersham Pharmasia Biotech, Buckinghamshire, UK)を用い、660nmで測定した。必要であれば、光学密度が0.1〜0.3の間となるようサンプルを希釈した。
バッチA:完全好気21%O (+79%N
図7および8は時間に対する代謝産物形成を示す。株ごとの代表的な1つのバッチ実験の結果を示す。反復実験でも本質的に同じ結果が得られた。図7は最初のバイオマス(◇)、グルコースの消費(▽)およびピルビン酸の生産(☆)を表す。図8はリンゴ酸塩の生産(□)、グリセロールの生産(上の半円)およびコハク酸塩の生産(八角形)を表す。図8に示されるように、酵母は24時間後に約25mMのリンゴ酸塩を、そして48時間後に約20mMのコハク酸塩を生産した。
バッチB:10%CO +21%O (+69%N
図9および10は時間に対する代謝産物形成を示す。図9は最初のバイオマス(◇)、グルコースの消費(▽)およびピルビン酸の生産(☆)を表す。図10はリンゴ酸塩の生産(□)、グリセロールの生産(上の半円)およびコハク酸塩の生産(八角形)を表す。図10に示されるように、酵母は24時間後に約100mMのリンゴ酸塩を、そして96時間後に約150mMのリンゴ酸塩を、ならびに96時間後に60mMのコハク酸塩を生産した。
バッチC:15%CO +21%O (+64%N
図11および12は時間に対する代謝産物形成を示す。図11は最初のバイオマス(◇)、グルコースの消費(▽)およびピルビン酸の生産(☆)を表す。図12はリンゴ酸塩の生産(□)、グリセロールの生産(上の半円)およびコハク酸塩の生産(八角形)を表す。図10に示されるように、酵母は24時間後に約45mMのリンゴ酸塩を、そして96時間後に約100mMのリンゴ酸塩を、ならびに96時間後に60mMのコハク酸塩を生産した。
本明細書に開示され、請求される組成物および方法は総て、本開示を鑑みて過度な実験を行わずに作製および実施することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施態様に関して記載したが、当業者には、本明細書に記載の組成物および方法、また、方法の工程または順序に、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく変更が行えることが明らかであろう。より具体的には、化学的関連および物理的関連双方の特定の薬剤を本明細書に記載の薬剤と置き換えても同じまたは同等の結果が達成されることは明らかである。このような当業者に明白な同等の置換および変更は総て、付属の特許請求の範囲で定義されるような本発明の精神、範囲および概念の範囲内にあるものとする。
実施例1に記載されている、グルコースおよびピルビン酸塩の濃度を培養時間の関数として示す。 実施例1に記載されている、リンゴ酸塩、グリセロールおよびコハク酸塩の濃度を培養時間の関数として示す。 実施例1に記載されているプラスミドp426GPDMDH3のマップ。 実施例1に記載されているプラスミドpRS2のマップ。 実施例1に記載されているプラスミドpRS2ΔMDH3のマップ。 実施例1に記載されているプラスミドYEplac112 SpMAE1のマップ。 実施例2バッチAにおける、最初のバイオマス、グルコースの消費およびピルビン酸塩の生産を示す。 実施例2バッチAにおけるリンゴ酸塩、グリセロールおよびコハク酸塩の生産を示す。 実施例2バッチBにおける、最初のバイオマス、グルコースの消費およびピルビン酸塩の生産を示す。 実施例2バッチBにおけるリンゴ酸塩、グリセロールおよびコハク酸塩の生産を示す。 実施例2バッチCにおける、最初のバイオマス、グルコースの消費およびピルビン酸塩の生産を示す。 実施例2バッチCにおけるリンゴ酸塩、グリセロールおよびコハク酸塩の生産を示す。

Claims (18)

  1. 組換え酵母であって、
    該酵母が、ピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素(PDC)活性陰性(PDC陰性)であり、かつ、ピルビン酸カルボキシラーゼ酵素(PYC)(このPYCはサイトゾルで活性である)またはホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシラーゼ(このPEPカルボキシラーゼはリンゴ酸塩、アスパラギン酸塩およびオキサロ酢酸塩による阻害に非感受性である)をコードするコード領域;リンゴ酸デヒドロゲナーゼ酵素(MDH)(このMDHはサイトゾルで活性であり、グルコースの存在下で不活性化されない)をコードするコード領域;およびリンゴ酸輸送体タンパク質(MAE)をコードするコード領域で機能的に形質転換されている、組換え酵母。
  2. 酵母がサッカロミセス・セレビシエ種である、請求項1に記載の組換え酵母。
  3. 酵母がS.セレビシエTAM株である、請求項2に記載の組換え酵母。
  4. PYCがS.セレビシエピルビン酸カルボキシラーゼであり、MDHがS.セレビシエMDH1またはS.セレビシエMDH3であり、MAEがシゾサッカロミセス・ポンベSpMAE1である、請求項1に記載の組換え酵母。
  5. MDHが、野生型MDHをコードするコード領域との比較におけるMDHをコードするコード領域の修飾により、酵母のサイトゾルにターゲティングされている、請求項4に記載の組換え酵母。
  6. PYCが配列番号1と少なくとも75%の同一性を有し、MDHが配列番号2と少なくとも75%の同一性を有し、MAEが配列番号3と少なくとも75%の同一性を有する、請求項1に記載の組換え酵母。
  7. PYCが配列番号1と少なくとも95%の同一性を有し、MDHが配列番号2と少なくとも95%の同一性を有し、MAEが配列番号3と少なくとも95%の同一性を有する、請求項6に記載の組換え酵母。
  8. PYCが配列番号1で示される配列を有し、MDHが配列番号2で示される配列を有し、MAEが配列番号3で示される配列を有する、請求項6に記載の組換え酵母。
  9. リンゴ酸を製造する方法であって、以下の工程:
    組換え酵母であって、該酵母が、ピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素(PDC)活性陰性(PDC陰性)であり、かつ、ピルビン酸カルボキシラーゼ酵素(PYC)(このPYCはサイトゾルで活性である)またはホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシラーゼ(このPEPカルボキシラーゼはリンゴ酸塩、アスパラギン酸塩およびオキサロ酢酸塩による阻害に非感受性である)をコードするコード領域;リンゴ酸デヒドロゲナーゼ酵素(MDH)(このMDHはサイトゾルで活性であり、グルコースの存在下で不活性化されない)をコードするコード領域;およびリンゴ酸輸送体タンパク質(MAE)をコードするコード領域で機能的に形質転換されている前記組換え酵母を、炭素源と二酸化炭素源を含む培地で培養する工程;および
    培地からリンゴ酸を単離する工程
    を含んでなる、方法。
  10. 炭素源がグルコースである、請求項9に記載の方法。
  11. 酵母がサッカロミセス・セレビシエ種である、請求項9に記載の方法。
  12. 酵母がS.セレビシエTAM株である、請求項11に記載の方法。
  13. 酵母が、S.セレビシエピルビン酸カルボキシラーゼをコードするコード領域、S.セレビシエMDH1またはS.セレビシエMDH3をコードするコード領域およびシゾサッカロミセス・ポンベSpMAE1をコードするコード領域で機能的に形質転換されている、請求項9に記載の方法。
  14. MDHが酵母のサイトゾルにターゲティングされている、請求項13に記載の方法。
  15. 酵母が、配列番号1と少なくとも75%の同一性を有するPYCをコードするコード領域、配列番号2と少なくとも75%の同一性を有するMDHをコードするコード領域および配列番号3と少なくとも75%の同一性を有するMAEをコードするコード領域で機能的に形質転換されている、請求項9に記載の方法。
  16. 酵母が、配列番号1と少なくとも95%の同一性を有するPYCをコードするコード領域、配列番号2と少なくとも95%の同一性を有するMDHをコードするコード領域および配列番号3と少なくとも95%の同一性を有するMAEをコードするコード領域で機能的に形質転換されている、請求項9に記載の方法。
  17. PYCが配列番号1で示される配列を有し、MDHが配列番号2で示される配列を有し、MAEが配列番号3で示される配列を有する、請求項16に記載の方法。
  18. 培地からコハク酸を単離することをさらに含んでなる、請求項9に記載の方法。
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