JP2009515787A - カップ状容器用蓋 - Google Patents

Abstract

発明は、中央蓋部（６）と、外側溝壁（８）と内側溝壁（９）との間に形成されカップ状容器（１）のビード輪縁（４）に固定される周縁固定溝（７）を有する蓋（５）に向けられている。外側溝壁（８）の少なくとも周縁部上に狭窄部（１０）が設けられ、この狭窄部（１４）は溝（７）の内部に突起（１４）を形成し、この突起（１４）が突起先端（１５）、上部壁（１６）及び下部壁（１７）を有し、突起先端（１５）が水平面（Ｈ）を規定する。本発明は、水平面（Ｈ）と突起先端（１５）の近傍で上部壁（１６）の端部に接する接平面（Ｔ１６）との間の角度（γ）を、水平面（Ｈ）と突起先端（１５）の近傍で下部壁（１７）に接する接平面（Ｔ１７）との間の角度（θ）より小さくして成ることを特徴とする。

Description

本発明は請求項１の前提部に記載の蓋に関する。

かかる蓋は例えば、ＥＰ１３６７００１Ａ１から知られている。これ等の蓋はカップ状容器にクリップ(clip)又はク案内用傾斜(clamp)固定され、容器を閉じるようになっており、容器に入っている流体が輪縁部を越えてこぼれる恐れが無く、容器の輸送を可能にしている。そのような蓋は多数の、時には矛盾する要求を満たさねばならない。例えば、使い捨て製品であるため、製造コストはできるだけ低い方が好ましい。輸送及び保管のコストを低減するため、蓋は詰まらずに積み重ね可能であるべきである。蓋の取り扱いができるだけ容易であるべきである。特に、蓋は積み重ねから容易に分離でき、対応する容器に容易にクリップ固定が可能であるべきである。蓋の重要な要求条件は蓋の液密性である。容器の輸送中だけでなく、容器が落下し、地面と衝突して僅かな変形を蒙る場合にも、蓋は容器にしっかりとクリップ固定されており、液体が漏れるのを阻止しなければならない。容器が傾くとき、蓋は少なくとも１５秒の間、好ましくはより長い時間、液体が漏れないようにすべきである。

本発明の目的は、上に列挙した要求条件の一つ又は数項に関して従来の蓋を改良した蓋を提供することにある。

この目的は請求項１の特徴を有する蓋により達成される。有利な実施態様は従属請求項に列挙されている。

本発明の蓋では、突起先端が水平面を画成する。水平面のこの画成は種々のの方法により、突起の形状に応じて得られる。突起先端が円形の線上又はその一部上、蓋の円周方向に延びていれば、水平面はこの円形線上の３つの異なる点で画成できる。突起が固定溝の異なる部分に設けられる場合は、水平面は突起先端の異なる部分の共通面で規定できる。

本発明によれば、この水平面と突起先端に隣接して突起の上部壁の端部に接する接平面との間の角度が、水平面と突起先端に隣接して突起の下部壁の端部に接する接平面との角度より小さくなるようにする。この特徴は次のような有利な効果をもたらす：容器のビード輪縁(beaded rim)が固定溝内に挿入されるとき、ビード輪縁はついには突起の下部壁に接触する。この下部壁はビード輪縁が更に固定溝内に挿入されるとき一種の案内用傾斜として働くので、容器のビード輪縁は固定溝の可撓性外壁を外側に押圧する。ビード輪縁が突起を通過したとき、固定溝の外部壁が跳ね返り、突起はビード輪縁をこの溝内に部分的に閉鎖する。そこで力が蓋に働いて蓋を容器から引き離す場合、ビード輪縁は突起の上部壁に接触する。だが、この上部壁が水平面で囲う角度は下部壁が囲う角度より小さい。従って、案内用傾斜として働く突起の能力は後方向で低減する。蓋を容器から引き離す代わりに、突起はビード輪縁を固定溝内にしっかりと保持する。つまり、水平面と突起先端に隣接して突起の上部壁の端部に接する接平面との間の角度が水平面と突起先端に隣接して突起の下部壁の端部に接する接平面との角度より小さいので、容器への蓋の取り付けが容易になると共に、容器から蓋が引き離されるのを阻止する力が増大する。従って、本発明によれば、蓋の取り扱いの容易化とその不正な開放の防止を同時に行える。

これ等の機能の達成のため、即ち、容器に対する蓋のクリップ固定を容易にすると共に同様に容易な引き離しを連続して阻止するようにするため、水平面と突起先端に隣接して突起の上部壁の端部に接する接平面との間の角度が平面と突起先端に隣接して突起の下部壁の端部に接する接平面との角度より１０°〜３５°小さいようにすると有利である。

本発明の好適な実施態様では、水平面と突起先端に隣接して突起の上部壁の端部に接する接平面との間の角度は値が０°〜２０°である。同様に、平面と突起先端に隣接して突起の下部壁の端部に接する接平面との角度は値を２０°〜４５°とすることができる。

突起の上部壁は種々の形状を取ることができる。例えば、平面とすることができる。だが、上部壁が蓋の縦断面で見たとき、零でない曲率で続くようにすると有利である。特に、上部壁は固定溝の内部に向かって凹面とすると良い。このような形状では、突起は容器のビード輪縁を固定溝内でその固定位置にしっかりと保持することができる。力が蓋に働いて蓋を容器から引き離す場合には、ビード輪縁は固定溝内で外側に向かって移動する。所定距離の後、ビード輪縁は突起の上部壁に接触する。上部壁のこの曲率のため、上部壁はそこでビード輪縁の移動の向きを固定溝の内部壁に向かう方向に変える。従って、ビード輪縁のそれ以上の外向き移動は弱まるか、停止し、蓋の容器からの引き離しを難しくする。

一方、下部壁は実質的に平面で良い。或いは、蓋の縦断面で少なくとも直線状の断面を有するようにする。そのような形状では、ビード輪縁が固定溝に挿入される間にビード輪縁と突起下部壁が接触すると固定溝の外部壁が外側に曲がり、ビード輪縁に道を譲るので、接触先端を越えるビード輪縁の移動が容易になる。

本発明によれば、固定溝のその上部から突起先端までの深さをカップ状容器のビード輪縁の対応する高さより大きくすると改良が更に得られる。即ち、輪縁が固定溝内の固定位置にあるとき、突起先端と輪縁の間に隙間が残る。輪縁が固定溝に挿入され、突起先端を越えて移動したとき、既に外側に曲がっている固定溝の外部壁はビード輪縁の後側で急に跳ね返る。突起先端とビード輪縁間に隙間があるため、外部壁はこの跳ね返り移動中にその最終静止位置以上に移動でき、その静止位置に最終的に戻る前にビード輪縁に接触する。だが、突起がビード輪縁に当たると、クリック音が生ずる。外側溝壁のスナップ移動とクリック音は、蓋を容器に取り付けようとするユーザにとって触覚を伴うものであり、且つ可聴指標となる。両指標は、蓋が容器のビード輪縁にしっかりと固定されていることを示す。これ等指標は信頼できるものなので、ユーザは蓋の容器への締まり嵌めをチェックする必要な無く、一体となった蓋と容器の取り扱いに移れば良い。要するに、蓋と容器の取り扱いが更に容易になる。更に、そのどちらかが、例えば容器が地面に当たって僅かに変形しても、隙間は輪縁が溝内に留まるのを助ける。

好ましくは、突起先端と内側溝壁間の距離は固定溝の、突起先端の上方、即ち固定溝の内側端に向かってその最広部の２／３以下である。固定溝のこの大きさのため、固定溝の、突起先端の上方におけるその最広部の幅はビード輪縁の幅に実質的に対応するので、容器に対して蓋が確実にフィットすることになる。

また、突起先端と内側溝壁間の距離は固定溝の、突起先端の上方のその最広部の幅の半分以上としても良い。固定溝の大きさをそのようにすると、ビード輪縁は蓋を容器に取り付ける際、突起先端を容易に通過できる。

本発明の一実施態様では、固定溝の上部と中央蓋部間の内側溝壁の高さは固定溝のその上部から突起先端までの距離と少なくとも同程度とする。つまり、内側溝壁は少なくとも突起先端まで、好ましくは突起先端の下まで延びる。この特徴により、内部壁の十分に大きい部分が容器壁に常に接触し、蓋と容器間に液密シールの形成することが可能になる。蓋と容器のこの接触は円周線上で生ずるようにして良い。だが、この液密性は接触が線上のみならず、平面又は曲面２次元接触面積でも生じるようにすると、著しく高まる。

蓋を特に液密にするため、内側溝壁の高さを外側溝壁の高さと少なくとも同程度とすることが考えられる。内側溝壁の高さを外側溝壁の高さより大きくすると、容器に蓋をするとき案内面の一種として働くことによる付加的利点を内側溝壁がもつことになる。容器の内壁と干渉することにより、蓋をその固定位置にもたらすため内側溝壁は蓋を容器上に案内するのを助ける。

狭窄部は蓋の外側溝壁上に間隔で設けて良い。外側溝壁上に等距離間隔で設ける場合、締付力は蓋の周囲に均等に分布される。

狭窄部を蓋の全周上に設け、それにより蓋の全周に強力な締付力を発生することができる。

本発明の好適な一実施態様において、蓋はプラスチック材料から成る。特に、蓋の材料は少なくとも第１のプラスチック材料と第２のプラスチック材料の混合物とし、第１の材料は第２の材料より剛性を高くする。そのような混合物では、十分剛性の高い蓋であって、同時に外側溝壁が外側に曲がり、ビード輪縁をパチンと入れるため十分高い可撓性を有し、この輪縁を固定溝内にしっかり固定する蓋が得られる。又、固定溝壁のわずかの変形が容器のビード輪縁に十分な締付力を発生させる。

製造コストの低減のため、第１と第２のプラスチック材料を同一種とすると良い。例えば、両材料ともポリスチレン材料とすることができる。

第１のプラスチック材料は好ましくは汎用ポリスチレン（ＧＰＰＳ）である。この材料は取り扱いが容易であるだけでなく、蓋に十分な安定性を与える。更に、それは透明度が極めて高い。

一方、第２のプラスチック材料には耐衝撃性ポリスチレン（ＨＩＰＳ）を選べる。この材料は衝撃下で耐久性が良い。この蓋で閉じた容器は落下しても破損することは無い。

試験によれば、第１の材料を混合物に３０〜５０％の百分率で含有させ、第２の材料を混合物に５０〜７０％の百分率で含有させると良い。特に、第１の材料の百分率を約４０％、第２の材料の百分率を約６０％とすることができる。そのような混合物は剛性及び耐久性に関して納得のいく結果を与える。混合物がＧＰＰＳ及びＨＩＰＳからなる場合、混合物の正確な含有率はその剛性のみならず、その透明度を決定する。ＧＰＰＳは透明度が極めて高い一方、ＨＩＰＳは半透明である。容器に内容物が入っているかどうか、内容物は何色かをユーザが判断できるようにするため、ある程度の透明度が望ましいかも知れない。

蓋を製造する好適な一方法は、シート又はフォイルからの深絞り成形及び／又は熱成形によるものである。そのような製造方法はかなり廉価である。

また、試験によれば、シート又はフォイルから蓋を深絞り成形するとき、シート又はフォイルの初期厚さ、即ち深絞り成形前の初期厚さを０．２４〜０．３６ｍｍ、好ましくは０．２７〜０．３３ｍｍのとすると、安定性と剛性の優れた蓋が得られる。その場合、蓋の異なる部分の高さに応じて、蓋の平均厚さは０．１７〜―０．２３ｍｍとなる。この厚さの結果、安定性は十分であり、同時に必要以上の材料の使用が避けられ、従って製造コストの低減が図れる。

容器は円錐状壁で形成されることが多いであろう。これ等の場合、蓋の内側溝壁も円錐状であると有利である。特に、蓋の内側溝壁の半円錐角の値を、蓋が用いられる容器の円錐度に応じて、３．５〜７°とすることができる。

一方、内側溝壁の円錐度が容器壁の円錐度に正確に対応する必要は無い。夫々の半円錐角において＋／−２°〜３°間での偏差は液密性に対して許容でき、側壁の円錐度が異なる、異なる容器に蓋が用いられるようにするため有利である。これは製造コストの低減にもつながる。

また、蓋を容器に固定した位置において、所定高さ位置における中央蓋部に跨る内側溝壁間の間隔を、水平面Ｈ又は面Ｈの上又は下の隣接領域での同一高さ位置における容器壁間の間隔より１％〜８％、好ましくは２％〜５％小さくすると有利である。この寸法差により、内側溝壁から容器壁にかかる十分高い締付力が確実に発生して、ビード輪縁を固定溝に押し込み、また内側溝壁と容器壁との間にある程度の摩擦をもたらし、更に蓋の容器からの引き離しを阻止することができる。

本発明はまた、容器と対応する蓋との組み合わせに関する。

実施態様

以下、本発明の好適な実施態様を、添付図面を参照して説明する。図面全体に亘って、同一構成部分には同一符号が付けられている。

図１に、カップ状容器１の前面図を示す。容器１は容器底部２と側壁３を含む。容器底部２の反対側で、側壁３がビード又はカール輪縁４で終わる。容器１の側壁３は一層以上の層から成り、容器１を単一壁、二重壁又は多層壁容器とする。これ等側壁には、複数の容器の積み重ねを容易にするため、嵌め外し手段（図示せず）が設けられている。

容器１から離して示されている、蓋５がある。この蓋５は、容器１の開口を覆うための中央蓋部６を含む。中央蓋部６蓋周縁に固定溝７が設けられ、この固定溝は後に示すように、容器１のビード輪縁４に固定することができる。このため、固定溝７の延長部は輪縁４の延長部に対応している。例えば、固定溝７と輪縁４の両者は水平面に円形延長部を有することができる。

蓋５の周縁固定溝７は外側溝壁８と内側溝壁９間に形成されている。外側溝壁８には一連の等距離間隔の狭窄部１０が設けられている。これ等狭窄部１０は外壁８の外側に凹部として形成されていて、後により詳細に説明するように固定溝７の内部に対応する突起部を形成する。固定溝７が狭窄部１０により狭くなるため、蓋５は容器１のビード輪縁４にパチン、カチッと嵌めこみ固定することができるが、これに付いても後述する。

外側溝壁８を中央蓋部６に連結する内側溝壁９は、外側溝壁８より高さが高い。この形状のため、中央蓋部６は蓋５の底側に外側溝壁８の下端を越えて突出している。内側溝壁９が円錐状であるので、中央蓋部６の横寸法は容器１の開口の横寸法より小さい。従って、蓋５を容器１上に設置すると、中央蓋部６を容器１の開口内により容易に設置することができ、そのとき内側溝壁９は蓋５を容器１上の固定位置に案内する案内面として作用する（図２に示すように）。

図１に示すように、固定溝７の寸法Ｄは容器１の開口部に越える輪縁４の寸法Ｄと略等しい。更に、内側溝壁９の円錐度は容器１の側壁３の円錐度に略等しい。内側溝壁９の半円錐角度αと容器側壁３の半円錐角度βは何れも３．５°〜７°の値として良い。内側溝壁９の半円錐角度αと側壁３の半円錐角度βの差が小さければ小さいほど、容器１に固定される蓋５の液密さが良くなる。一方、複数の容器を異なる体（容）積で形成するのに、これ等容器にそれ等の側壁３の異なる半円錐角度βを与えると共に容器の開口部の径を同一に維持するのが有利であろう。これにより、所定寸法の蓋５を異なる体（容）積の複数の容器１に設置することができる。このため、蓋の異なる寸法数を低減でき、それにより製造コストを低減することができる。それでも、異なる容積の容器１に付き十分な密封が得られるようにするため、多目的蓋５の内側溝壁９を、異なる容積の容器１の異なる半円錐角度β１、β２間の値の半円錐角度αで形成するのが有利である。例えば、中間寸法容器のその側壁における半円錐角度β１が３°で、大寸法容器１の側壁３の半円錐角度β２が４．３°の場合、両種の容器１に用いるように設計される蓋の内側溝壁９の半円錐角度αは５°〜５．３°の値を取れば良い。

図２は容器１上の固定位置にある蓋５を示す。この位置では、狭窄部１０は容器１のビード輪縁４の下側に嵌合しており、ビード輪縁４は固定溝７の上部にしっかりと位置付けられている。

図３は前図に示した蓋５の縦断面図を示す。既述のように、内側溝壁９は高さがｈ９と外側溝壁８の高さｈ８より大きく、内側溝壁９は容器１に蓋５をする際、案内面として作用するようにしている。図３に示す実施態様では、中蓋部６の中央部が高くなってドーム１１を形成している。ドーム１１により、蓋５の安定性が増大する。その中央部近傍には、ドームの上壁は材料への切り込み又は完全な切り抜きが設けられても良い。この切り目は図７に十字で示されているが、材料強度を弱め、ユーザが蓋５を容器１に配置した際、ストローで蓋５を突き通せるようにする。

２つの安定化凹部１２が中央蓋部６の下側に突き出ている。これ等凹部は平坦な中央蓋部６における不整部となって、中央蓋部６を安定化する。更に、蓋５をテーブルや他の平らな面に置くとき、凹部１２は平らな面上に蓋の他部の位置を高め、ユーザが蓋５を外側溝壁８の下でより容易に掴めるようにする。凹部１２にその標識ドーム１３が設けられている場合、安定化凹部１２でもう１つの作用効果が得られる。ユーザはこの標識ドーム１３を押しボタンとして用いることができる。安定化凹部１２の下側に押されて標識ドーム１３は、その形状のみならず、その色又は透明度が変化し、それにより容器１内にある液体の種類を標示する標示手段として役立てるようにする。

図４は図３に示した蓋５の左側の拡大図を示す。図示のように、外側溝壁の材料を固定溝７の内部に押し込むことにより狭窄部１０が形成される。即ち、狭窄部１０は溝７の内部に突き出た突起部１４を形成する。この突起部１４は突起先端１５を有し、そこで突起部は固定溝内に更に突出する。突起先端１５は突起部１４の上部壁１６と下部壁１７を分離する。突起先端１５の上方、即ち固定溝７の上部１８に向かって、固定溝７は再び広くなり、突起部１４の上の最広部では外側溝壁８と内側溝壁７の間の幅がＷとなる。ここで固定溝７は、固定位置の容器１のビード輪縁４を受け止めることができる。この幅と比較して、固定溝７は突起部１４により狭くなる。特に、突起先端１５とそれに対向する内側溝壁９との間の距離ｄは突起部１４の周辺のその最広部における固定溝７の幅Ｗの半分以上であるのが好ましく、幅Ｗの２／３以上であるのが更に好ましい。これ等の寸法では、固定溝７は蓋５を容器１に取り付ける際、ビード輪縁４を通すには十分広く、輪縁４を固定位置にしっかりと固定するのに十分な狭さである。

蓋５の固定溝７は図５のもう１つの断面図では更に拡大して示されている。特に図５は、蓋５を容器１に押し当てて、容器１のビード輪縁４が固定溝７に入っており、突起部１４の下部壁７に接している様子を示している。この断面図では、下部壁１７が直線状の断面を有する一方、突起部１４の上部壁１６は曲線状断面を有している。図３に示すように、蓋５の狭窄部１０の突起先端１５は水平面Ｈを規定している。これは、蓋５の周縁の周りの全突出先端１５が位置する共通面Ｈである。この水平面Ｈは図５で再度示されている。図５は、突起先端１５に隣接して上部壁１６の端部に接する接平面Ｔ１６の延長と、突起先端１５に隣接して下部壁１７の端部に接する面１７の延長を示す。さて、本発明に従って、水平面（Ｈ）と突起先端（１５）の近傍で上部壁（１６）の端部に接する接平面（Ｔ１６）との間の角度（γ）が、水平面（Ｈ）と突起先端（１５）の近傍で下部壁（１７）に接する接平面（Ｔ１７）との間の角度（θ）より小さくなっていることが理解されよう。

既に説明したように、これ等の角度γとθの差の効果を以下の通りである：容器１のビード輪縁４を固定溝７に押し込むとき、ビード輪縁４は図５に示すように突起１４の下部壁１７に接触する。この下部壁１７は案内用傾斜として作用し、ビード輪縁４を固定溝７の開口部に案内すると共に、可撓性の外側溝壁８を外方向に広げ、固定溝７の開口幅を増大する。突起先端１５とそれに対向する内側溝壁９間の距離が、ビード輪縁４が通れる程度まで大きくなると、容器１のビード輪縁４は突起１４を通って、固定溝７の上部１８内に入る。容器１に蓋５が固定される位置を図６に示す。さて図５に戻って、蓋５の下部壁１７と水平面Ｈ間の角度θの値は３８°である。この角度θは２０°〜５０°の範囲、更に大きくても良いが、下部壁１７がその案内用傾斜機能を果たすのを好ましく可能にする。一方、突起１４の上部壁１６に接する接平面と水平面Ｈ間の角度γの値は約１６°である。このやや小さい角度のため、上部壁は容器１が固定位置にあるとき、案内用傾斜として作用できず（図６参照）、ビード輪縁４を固定溝７から離そうとする力にさらされる。外側溝壁８を曲げることにより案内用傾斜として作用する代わりに、突起１４の上部壁１６はその時寧ろブロック様に作用し、容器１のビード輪縁４を固定溝内で固定位置にしっかりと保持する。

図５に示す蓋５の容器１に被せた位置では、容器壁３と内側溝壁９の間に未だエアギャップ１９がある。このエアギャップ１９は蓋５が容器１に押し付けられている間に、容器１を通気し、蓋５下の過剰圧力の発生を阻止する。

蓋５の容器１に固定した位置では、図６に示すように容器壁３と内側溝壁９間にエアギャップ１９はもはや無い。その代わり、同様の半円錐角α及びβがあるため（図１参照）内側容器壁３と内側溝壁９とは隙間の無い、２次元接触状態にあり、蓋５と容器１の間に強い密封を生じる。ここで図示のように、内側溝壁９の高さｈ９は、固定溝７のその上部から突起先端１５までの距離Ｇより大きい。つまり、内側溝壁９は突起先端１５の下まで延びている。これにより、容器壁３と内側溝壁９は比較的大きい接触面積で接触し、それにより封止効果が高まる。勿論、内側溝壁９の高さｈ９は固定溝７の深さＧと同程度である限り、図６に示すものより小さくしても良い。

図６に示すように、この固定位置では、所定高さ位置Ｐにおける中央蓋部６に跨る内側溝壁９の外側間の間隔は同一高さ位置Ｐにおける容器壁３の内側間の間隔より約１％〜８％大きい、好ましくは２％〜５％大きい。この寸法差のため、内側溝壁９は容器壁３に外に向かう圧力をかけ、それにより容器１のビード輪縁４を固定溝７内に強固に保持することになる。特に、図６に示すように、ビード輪縁４は外側溝壁８に外側部及び上部においてのみ接触する。固定溝７とビード輪縁４の間に締まり嵌めを作るためには、固定溝７の上部壁２０の形状をビード輪縁４の形状に適合させる。

固定位置において、ビード輪縁４と突起先端１５間には、突起先端の上の固定溝７の深さＧがビード輪縁４の対応する高さより大きいので、隙間Ｃが残る。隙間Ｃがあるため、外側溝壁８は外側溝壁８がビード輪縁４の後ろに跳ね返るとき輪縁４に当たるかも知れない。突起１４とビード輪縁４間のこの瞬間接触はノイズ（音）の発生並びにユーザに対する触感の発生をもたらす。触感とクリック音の両者はユーザに対して、蓋５がその固定位置に達したと云う標識となる。

図７に蓋５の上面図を示す。４つの凹部１２が中央ドーム１１と共に蓋部５の中央蓋部６上に設けられている。この中央ドーム１１の中心にはストローでの蓋５の突き通しを容易にする十字形の切り込み又は切り目２１がある。この上面図では、狭窄部１０は見えない。狭窄部は蓋５の周縁に等距離又は不等距離間隔で設けられている。単一の狭窄部１０が蓋５の全周に及ぶようにすることもできる。

中央蓋部６の周縁には、多数の積み重ね外し容易化段部２２が内側溝壁９に設けられている。ここで、これ等積み重ね外し容易化段部は等距離間隔で位置付けられている。

積み重ね外し容易化段部２２の効果を図８に示す。多数の蓋５を積み重ねる際、上部蓋５はその中央蓋部６が隣接する下方蓋５の積み重ね外し容易化段部２２で支えられるようにする。それにより、エアギャップが２つの隣接する中央蓋部６間に維持され、ユーザがこれ等２つの蓋５を互いに分離しようとするとき過小圧力の発生を阻止する。このようにして、積み重ね外し容易化段部は積み重ね蓋５の分離を容易にすることにより、蓋５の取り扱いを容易化する。

蓋は好ましくはプラスチック材料のシート又はフォイルから深絞り成形により形成される。１つの好適な実施態様では、プラスチック材料は、高剛性及び透過性を提供する汎用ポリスチレン（ＧＰＰＳ）と高耐破断性を提供する耐衝撃性ポリスチレン（ＨＩＰＳ）との混合物である。蓋５を深絞りで成形するシート又はフォイルの深絞り成形前の初期厚さは約０．３ｍｍである。深絞り成形後、蓋の平均厚さは値が０．１７〜０．２３ｍｍである。

図面に示した蓋５の好適な実施態様から出発すると、蓋５は種々の方法で修正が可能である。例えば、蓋５は中央ドーム１１又は安定化凹部１２を要せず、これ等部品の全ては中央蓋部６に対して異なる高さで成形することができる。蓋はプラスチック材料から成るようにすると製造コストの点で好ましいが、これを要しない。上記説明の寸法又は角度又はこれ等値間の関係も修正が可能である。更に、容器及び蓋は何れも四角等の異なる断面を有しても良い。

カップ状容器と本発明の一実施態様による蓋の前面図を示す。 固定位置にある図１の容器と蓋を示す。 蓋の縦断面図を示す。 図３に示す断面図の詳細を示す。 蓋の固定溝に挿入中の容器の輪縁を示す。 容器の輪縁に固定される蓋を示す。 蓋の上面図を示す。 ６個の積み重ね蓋の縦断面図を示す。

Claims (26)

1. 中央蓋部（６）と、外側溝壁（８）と内側溝壁（９）との間に形成されカップ状容器（１）のビード輪縁（４）に固定される周縁固定溝（７）とを有し、外側溝壁（８）の少なくとも周縁部上に狭窄部（１０）が設けられ、この狭窄部（１４）は溝（７）の内部に突起（１４）を形成し、この突起（１４）が突起先端（１５）、上部壁（１６）及び下部壁（１７）を有し、突起先端（１５）が水平面（Ｈ）を規定する蓋（５）であって、
   水平面（Ｈ）と突起先端（１５）の近傍で上部壁（１６）の端部に接する接平面（Ｔ１６）との間の角度（γ）を、水平面（Ｈ）と突起先端（１５）の近傍で下部壁（１７）に接する接平面（Ｔ１７）との間の角度（θ）より小さくして成ることを特徴とする蓋。
2. 水平面（Ｈ）と突起先端（１５）の近傍で上部壁（１６）の端部に接する接平面（Ｔ１６）との間の角度（γ）を、水平面（Ｈ）と突起先端（１５）の近傍で下部壁（１７）に接する接平面（Ｔ１７）との間の角度（θ）より１０°〜３５°小さくして成ることを特徴とする請求項１に記載の蓋。
3. 水平面（Ｈ）と突起先端（１５）の近傍で上部壁（１６）の端部に接する接平面（Ｔ１６）との間の角度（γ）を０°〜２０°とすることを特徴とする請求項の１又は２に記載の蓋。
4. 水平面（Ｈ）と突起先端（１５）の近傍で下部壁（１７）の端部に接する接平面（Ｔ１７）との間の角度（θ）を２０°〜４５°とすることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つに記載の蓋。
5. 上部壁（１６）の断面が曲線であることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１つに記載の蓋。
6. 上部壁（１６）が固定溝（７）の内部に向かって凹面であることを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載の蓋。
7. 下部壁（１７）の断面が直線であることを特徴とする請求項１〜６のいずれか１つに記載の蓋。
8. 固定溝（７）のその上部（１８）から突起先端（１５）までの深さ（Ｇ）をカップ状容器（１）のビード輪縁（４）までの対応高さより大きくして成ることを特徴とする請求項１〜７のいずれか１つに記載の蓋。
9. 突起先端（１５）と内側溝壁（９）間の距離（ｄ）を、固定溝（７）の、突起（１４）の上方のその最広部における幅（Ｗ）の２／３以下とすることを特徴とする請求項１〜８のいずれか１つに記載の蓋。
10. 突起先端（１５）と内側溝壁（９）間の距離（ｄ）を、固定溝（７）の、突起（１４）の上方のその最広部における幅（Ｗ）の１／２以上とすることを特徴とする請求項１〜９のいずれか１つに記載の蓋。
11. 固定溝（７）の上部（１８）と中央蓋部（６）間の内側溝壁（９）の高さ（ｈ９）を固定溝（７）のその上部から突起先端（１５）までの深さ（G）と少なくとも同程度とすることを特徴とする請求項１〜１０のいずれか１つに記載の蓋。
12. 内側溝壁（９）の高さ（ｈ９）を外側溝壁（８）の高さ（ｈ８）以上とすることを特徴とする上記請求項の１つに記載の蓋。
13. 複数の狭窄部（１０）を外側溝壁（８）上に等距離間隔で設けることを特徴とする請求項１〜１２のいずれか１つに記載の蓋。
14. 狭窄部（１０）を蓋（５）の全周に亘って設けることを特徴とする請求項１〜１２のいずれか１つに記載の蓋。
15. 蓋（５）の材料が少なくとも第１のプラスチック材料と第２のプラスチック材料の混合物であり、第１の材料が第２の材料より剛性が高いことを特徴とする請求項１〜１４のいずれか１つに記載の蓋。
16. 第１と第２のプラスチック材料が両方とのポリスチレン材料であることを特徴とする請求項１５に記載の蓋。
17. 第１のプラスチック材料が汎用ポリスチレン（ＧＰＰＳ）であることを特徴とする請求項１５又は１６に記載の蓋。
18. 第２のプラスチック材料が耐衝撃性ポリスチレン（ＨＩＰＳ）であることを特徴とする請求項１５〜１７の１つに記載の蓋。
19. 第１の材料が３０〜５０％の百分率で、第２の材料が５０〜７０％の百分率で混合物に含まれることを特徴とする請求項１５〜１８の１つに記載の蓋。
20. 蓋（５）がシート又はフォイルの深絞り成形及び／又は熱成形により形成されることを特徴とする請求項１〜１９のいずれか１つに記載の蓋。
21. 深絞り成形前のシート又はフォイルの初期厚さが０．２４〜０．３６ｍｍ、好ましくは０．２７〜０．３３ｍｍであるがことを特徴とする請求項２０に記載の蓋。
22. 蓋（５）の平均厚さが０．１７〜０．２３ｍｍであることを特徴とする請求項１〜２１のいずれか１つに記載の蓋。
23. 蓋（５）の内側溝壁（９）の半円錐角度（α）が３．５°〜７°であることを特徴とする請求項１〜２２のいずれか１つに記載の蓋。
24. 蓋（５）の内側溝壁（９）の円錐度が容器壁（３）の円錐度の＋／−２°に対応することを特徴とする請求項１〜２３のいずれか１つに記載の蓋。
25. 蓋（５）が容器（１）に固定される位置で、所定高さ位置における中央蓋部（６）に跨る内側溝壁（９）の外側間の間隔（Ｓ９）が、突起先端（１５）の規定する水平面（Ｈ）又は面（Ｈ）の上又は下の隣接領域での同一高さ位置における容器壁（３）の内側間の間隔（Ｓ３）より１％〜８％大きい、好ましくは２％〜５％大きいことを特徴とする請求項１〜２４のいずれか１つに記載の蓋。
26. 容器（１）と、請求項１〜２５のいずれか１つに記載の蓋との組み合わせ。

Images