JP2009506321A - 血液試料における赤血球の正確な測定 - Google Patents

血液試料における赤血球の正確な測定 Download PDF

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Abstract

血液試料の平均赤血球容積(MCV)、赤血球濃度(RBC)およびヘマトクリット(Hct)の測定への白血球干渉の予防および補正の方法を開示する。MCVへの干渉は、赤血球分布ヒストグラム上で赤血球と白血球モードの間の谷を同定し、その谷を用いて赤血球領域を定義し、定義された領域内のMCVを算定することによって予防できる。あるいは、赤血球分布ヒストグラム上の白血球集団の曲線当てはめが白血球を除外するために使用できる。白血球濃度(WBC)があらかじめ定められた判定基準を超えるときには、RBCは、第二アリコート試料の分析から得た白血球濃度を差し引くことによって補正することができる。血液試料のHctは、得られたMCVおよびRBCを使用して算定することができる。

Description

(発明の分野)
本発明は、血液試料における赤血球測定への白血球干渉を予防し、補正するための方法に関する。より詳細には、前記方法は、血液試料の平均赤血球容積、赤血球濃度およびヘマトクリット測定への白血球干渉を予防し、補正する。
(発明の背景)
血液試料の平均赤血球容積(MCV)、一般に赤血球数とも称される赤血球濃度(RBC)、赤血球分布幅(RDW)は、様々な血液分析装置での血球算定およびサイズ測定によって直接測定される赤血球パラメータである。これらのパラメータは、非焦点フローアパチャー(non−focused flow aperture)または焦点フローセル(focused flow cell)における直流インピーダンス(DC)または光散乱測定を用いて、等張血液希釈液中に実質的に希釈された全血試料に関して測定される。これらの血液分析装置では、ヘマトクリット(Hct)はRBCとMCVの派生パラメータである(Hct=RBC×MCV/10)。
正常母集団に関して、成人ではMCVは90.3±9.6flの平均値を有し、RBCは4.3×1012/lの平均値を有する。新生児は高いMCV、すなわち101±13を有する。鉄欠乏症、Hgb S−αまたはβサラセミア、Hgb H、葉酸またはビタミンB12欠乏症、鎌状赤血球貧血、免疫性溶血性貧血、前白血病などの多くの疾患は、正常値よりも高いまたは低い、異常MCV値を生じさせる。同様に、多くの疾患は異常に低いまたは高いRBCを生じさせる。これらは、次に、異常なヘマトクリットを生じさせる。それゆえ、MCV、RBCおよびHctは臨床的に重要なパラメータであり、これらのパラメータの測定の精度は臨床診断にとって必須である。
正常末梢血試料では、赤血球濃度は白血球濃度よりも約900倍高い。白血球は赤血球測定のために使用される試料混合物中に存在するが、MCV、RBCおよびHctなどの赤血球測定への白血球の寄与は無視し得るほどわずかである。しかし、白血球濃度が非常に高いとき、たとえば200,000/μl−500,000/μlであるときには、赤血球パラメータの測定への白血球の寄与はもはや無視できない。
白血球亜集団の中で、リンパ球の大きさは赤血球の大きさに最も近いので、リンパ球集団はMCV測定に干渉し得る。赤血球は90flの平均容積を有し、リンパ球は220flの平均容積を有する。典型的には、赤血球は0−360flの範囲内で測定され、MCVは約30fl−360flの範囲内で算定される。単球および顆粒球などのその他の白血球亜集団ははるかに大きく、赤血球サイズ測定の動的範囲の外側にあり、それゆえMCV算定には干渉しない。
しかし、白血球濃度が正常値より実質的に高いときには、すべての白血球亜集団が赤血球濃度測定に関与し得る。白血球からの干渉は誤ったMCV、RBCおよびHct値を生成し、診断に対する混乱または困難さを引き起こし得る。
現在、高WBC試料を取り扱うときの臨床慣例は、白血球濃度を130,000/μl以下に低下させるために全血試料を手操作で希釈することである。そのような希釈は、血球粒子によって引き起こされる混濁度を低下させることによってヘモグロビン測定への白血球干渉を低減できる。希釈すると、希釈試料混合物中の赤血球濃度も低下する。測定精度を維持するために、血液分析装置は、典型的には測定において計数される事象の十分な数を確保するために計数時間を延長する。赤血球対白血球の比率は同じままであるので、希釈試料混合物におけるMCV、RBCおよびHct測定への白血球の干渉は同じままである。
特許文献1(Chuppら)は、赤血球ヒストグラム上の赤血球集団に関して、左および右判別部(discriminants)を設定することによってMCVを算定する方法を教示する。より詳細には、この方法は、最初に赤血球ヒストグラムのモードを決定し、次にモードの両側で、モードの集団の4%以下の集団を有する第一ビン(またはチャネル)を同定する。モードの両側のこれらのチャネルを判別部と定義し、それらの間の集団だけを、MCVを算定するために使用する。それゆえ、Chuppらは、彼らの方法において、MCV=(判別部の間のヒストグラムの平均値)×(ビンにつき0.8fl)×(検量係数)の方程式でMCVを定義している。RBC数測定のために、Chuppらは、赤血球モードの左側にゼロ計数ビンを同定し、それを計数閾値として設定することを教示しており、この閾値より大きい数値が赤血球であるとみなされる。MCV算定に関するChuppらの方法には欠点がある。小リンパ球、または大球性貧血を有する白血球増加症の状況におけるように、リンパ球と赤血球が実質的な重複を有するとき、この方法は判別部の間のリンパ球を含むことがあり、それゆえ誤ったMCVを記録し得る。
米国特許第5,656,499号明細書
上記で論じた自動血液分析装置での赤血球測定への白血球干渉の予防および補正の必要性が存在することは明白である。
(発明の要旨)
1つの態様では、本発明は、白血球の干渉を防ぐ、血液試料において平均赤血球容積を測定する方法を対象とする。1つの実施形態では、本発明の方法は、第一試料混合物を形成するために血液試料の第一アリコートを等張血液希釈液と混合すること;第一試料混合物中の血球容積を測定し、赤血球分布ヒストグラムを得ること;赤血球分布ヒストグラム上で赤血球分布モードを決定すること;赤血球分布ヒストグラム上であらかじめ定められた限界を超える白血球分布モードを決定すること;白血球分布モードと赤血球分布モードの間の谷を決定すること;赤血球分布ヒストグラム上で赤血球領域を谷より下の領域として定義すること;赤血球領域内の平均赤血球容積を算定すること;および血液試料中の平均赤血球容積を記録すること、の工程を含む。
さらなる実施形態では、本発明の方法は、白血球干渉を防ぐための補正工程を開始する前に、赤血球を溶解するためおよび第二試料混合物を形成するために、血液試料の第二アリコートを溶解試薬系と混合すること;第二試料混合物中の白血球数を測定し、血液試料の白血球濃度を得ること;および得られた白血球濃度があらかじめ定められた判定基準を超える場合は、赤血球分布ヒストグラム上で白血球分布モードを決定することから出発する工程を開始すること、の工程をさらに含む。
もう1つの実施形態では、本発明の方法は、血液試料における平均赤血球容積の測定への白血球干渉を防ぐために曲線当てはめを用いる。この方法は、試料混合物を形成するために血液試料のアリコートを等張血液希釈液と混合すること;試料混合物中の血球容積を測定し、赤血球分布ヒストグラムを得ること;赤血球分布ヒストグラム上であらかじめ定められた限界を超える白血球集団を同定すること;赤血球分布ヒストグラム上で白血球集団の曲線当てはめを実施すること;赤血球分布ヒストグラムから当てはめた曲線より下の白血球を差し引くこと;赤血球分布ヒストグラムの残りの赤血球を使用して平均容積を算定すること;および血液試料における平均赤血球容積を記録すること、の工程を含む。
さらなる態様では、本発明は、血液試料における赤血球濃度の測定への白血球干渉を補正する方法を対象とする。1つの実施形態では、本発明の方法は、第一試料混合物を形成するために血液試料の第一アリコートを等張血液希釈液と混合すること;赤血球を溶解するためおよび第二試料混合物を形成するために血液試料の第二アリコートを溶解試薬系と混合すること;第一試料混合物中の血球数を測定し、血液試料の全血球濃度を得ること;第二試料混合物中の白血球数を測定し、血液試料中の白血球濃度を得ること;血液試料の赤血球濃度を得るために全血球濃度から得られた白血球濃度を差し引くこと;および血液試料の赤血球濃度を記録すること、の工程を含む。
もう1つの態様では、本発明は、血液試料においてヘマトクリットを測定する方法を対象とする。本発明の方法は、ヘマトクリットを算定するために、本発明の方法を用いて得られた平均赤血球容積および赤血球濃度を使用し、それゆえヘマトクリットへの白血球干渉を防ぐ。
(発明の詳細な説明)
1つの実施形態では、本発明は、血液試料における平均赤血球容積(MCV)の測定への白血球干渉を防ぐために補正工程を用いる方法を提供する。
ここで使用する補正工程という用語は、特定赤血球パラメータの測定への白血球の寄与を予防または補正する1またはそれ以上の試料分析工程を指す。
前記方法は、(a)試料混合物を形成するために血液試料のアリコートを等張血液希釈液と混合すること;(b)試料混合物中の血球容積を測定し、赤血球分布ヒストグラムを得ること;(c)赤血球分布ヒストグラム上で赤血球分布モードを決定すること;(d)赤血球分布ヒストグラム上であらかじめ定められた限界を超える白血球分布モードを決定すること;(e)白血球分布モードと赤血球分布モードの間の谷を決定すること;(f)赤血球分布ヒストグラム上で赤血球領域を谷より下の領域として定義すること;(g)赤血球領域内の平均赤血球容積を算定すること;および(h)血液試料中の平均赤血球容積を記録すること、の工程を含む。
赤血球を測定するために、典型的には血液試料を試料チェンバーまた浴において希釈剤で実質的に希釈する。非焦点フローアパチャーでのインピーダンス測定を用いて、血液試料を6250:1の希釈率で希釈することができる。測定のために焦点フローセルを使用するときは、希釈率は290:1のように実質的に低くなり得る。血液分析装置での測定の間赤血球の容積と形態を維持するため、血液試料を希釈するのに等張希釈液を使用する。典型的には、希釈液は1またはそれ以上のアルカリ金属塩を含む。様々な市販の等張血液希釈液が血液試料を希釈するために使用できる。適切な例は、米国特許第4,521,518号、同第4,528,274号、同第5,935,857号および同第6,706,526号に述べられている希釈液を含むが、これらに限定されない。
導電性溶液に懸濁した粒子または血球がフローセルまたはアパチャーを通過するとき、インピーダンスの上昇による電気シグナルまたはパルスを測定することができる。電気パルスは、血液試料の試料混合物中の赤血球、血小板および白血球の数を計数するために使用されてきた。
他方で、パルスの形状、高さおよび幅は粒子の容積またはサイズに直接関係し、測定される血球の容積に変換することができる。異なる容積を有する2またはそれ以上の異なる血球を含む試料を測定するとき、測定から得られるヒストグラムはこれらの血球の容積分布を表わし得る。DCインピーダンス測定装置を備えた血液分析器による血球算定およびサイズ測定のために使用される検出方法および装置は、一般に、それらの全体が参照によりここに組み込まれる、米国特許第2,656,508号、同第3,810,011号および同第5,125,737号に述べられている。ここでは、「血球サイズ測定」という語句は血球容積測定を指す。
あるいは、低角度光散乱測定も血球を計数し、サイズ測定するために使用できる。ここでは、「低角度光散乱」は、入射光から10°未満の範囲内で測定される光散乱シグナルを指す。
血球容積測定では、血球容積分布ヒストグラムが得られる。赤血球測定に関しては、得られるヒストグラムを赤血球分布ヒストグラムと称する。正常血液試料については、狭く、良好に定義された赤血球分布、典型的にはガウス分布が得られる。臨床的に異常な血液試料に関しては、より高いまたはより低い容積側への分布のシフト、非対称分布、より高いまたはより低い容積側または両側での集団拡大などの様々な分布の歪みが認められている。ある種の臨床条件または輸血患者に関しては、2つの別個の赤血球分布ピークが存在することがある。しかし、最も重度に歪んだ赤血球分布でも、赤血球は200フェムトリットル(fl)未満の範囲内に分布する。
血液試料中の白血球濃度が非常に高いとき、たとえば200,000/μl−500,000/μlであるとき、特に白血球増加症患者の血液試料におけるようにリンパ球パーセンテージも高いときには、リンパ球は、赤血球の右側の付加的な血球分布として現われ、約160flまたはそれ以上から始まって、典型的には約210flから約270flの範囲内にそのモードを有する。赤血球ヒストグラム内に付加的な白血球分布が存在する場合、赤血球の平均容積算定は付加的な血球分布によって干渉を受けることがあり、これは、得られるMCV値の実質的な上昇をもたらし得る。白血球濃度が130,000/μlまたはそれ以上であるとき、白血球の寄与がMCV測定の精度に影響を及ぼし始め得ることが認められている。
本発明の方法において使用する補正工程は、最初に赤血球分布モードを決定し、次に赤血球分布ヒストグラムであらかじめ定められた限界を超える白血球分布モードを探索し、同定するというアルゴリズムを使用する。白血球分布モードが決定されれば、アルゴリズムはさらに、赤血球分布モードと白血球分布モードの間の谷を探索し、同定する。ここで使用する「谷」という用語は、2つのモードの間の最小値を有する、リストモードデータのチャネルを指す。この谷は、MCVを算定するために赤血球領域の上端を定義するために使用される。赤血球領域は谷の下の領域として定義される。赤血球領域を定義した後、定義した領域内の赤血球だけを使用してMCVを算定する。それゆえ、白血球はMCVの算定から除外され、MCV算定へのそれらの干渉が予防される。
赤血球ヒストグラムの下端で、赤血球領域は容積測定の閾値から始まることがあり、またはそうでない場合もあり得ることが了解されるべきである。典型的には、血液試料中の血小板は赤血球と共に測定され、それゆえ赤血球領域は血小板領域の上で始まる。血小板と赤血球を1つの試料混合物中で一緒に測定するときに、それらを区別するための様々な手法および方法が当技術分野において公知である。
ここで使用する「あらかじめ定義された限界」という用語は、赤血球分布モードからまたはその上から始まり、白血球分布モードと赤血球分布モードの間の谷の下までの範囲内である、赤血球分布ヒストグラム上のチャネルを指す。このチャネルは、正常血液および様々な臨床異常血液試料を含む大きな血液試料データベースに基づいて決定できる。1つの好ましい実施形態では、あらかじめ定義された限界は、赤血球分布モードを上回る、約160flに設定される。あるいは、あらかじめ定義された限界は単に赤血球分布モードに設定することができる。極めて高い白血球を含む大部分の臨床試料についての谷は、約170flから約210flの範囲内で認められている。留意すべきは、赤血球分布ヒストグラム上の各々のチャネルは特定の血球容積に対応し、それゆえ、ここでは血球容積によって定義されることである。ヒストグラム内のチャネルの数は測定の動的範囲と分解能によって異なり、それゆえ、血球の容積は使用される特定測定条件に依存して種々のチャネル数によって表わすことができるが、血球の絶対容積はこれらの条件によって変化しないことが了解されるべきである。
実施例1は、2つの臨床血液試料のMCV測定への白血球干渉を防ぐために本発明の方法を使用した例を説明する。両方の血液試料が実質的に高い白血球濃度、すなわちそれぞれ247,500/μlおよび303,600/μlを有していた。図2Aおよび3Aに示すように、これらの血液試料はまた、極めて高いパーセンテージのリンパ球を有していた。図2Bおよび3Bは、これら2つの臨床試料の各々において赤血球ヒストグラム上に有意の白血球集団が存在することを示す。上述した方法を用いて、これら2つの血液試料の測定における白血球からの実質的な干渉、それぞれ19.2%および16.9%を有効に予防することができる。
さらなる実施形態では、本発明の方法は、MCVの算定への白血球の干渉を防ぐために曲線当てはめを利用する。より詳細には、前記方法は、(a)試料混合物を形成するために血液試料のアリコートを等張血液希釈液と混合すること;(b)試料混合物中の血球容積を測定し、赤血球分布ヒストグラムを得ること;(c)赤血球分布ヒストグラム上で赤血球分布モードを決定すること;(d)赤血球分布ヒストグラム上であらかじめ定められた限界を超える白血球集団の存在を判定すること;(e)赤血球分布ヒストグラム上で白血球集団の曲線当てはめを実施すること;(f)赤血球分布ヒストグラムから工程(e)で得た当てはめ曲線より下の白血球を差し引くこと;(g)工程(f)後に赤血球分布ヒストグラムの残りの赤血球から平均血球容積を算定すること;および(h)血液試料における平均赤血球容積を記録すること、の工程を含む。
これら2つのアプローチの工程(a)−(c)が同じであることは明白である。曲線当てはめ法では、工程(d)で、赤血球分布ヒストグラムにおける白血球集団の存在を、あらかじめ定められた限界を超えるヒストグラム上の白血球集団のモードを同定することによって決定できる。白血球集団の曲線当てはめは、ガウスフィットまたは他の適切な曲線当てはめ法であり得る。実施例2は、赤血球のMCV算定への白血球の干渉を防ぐためのガウスフィットの使用を説明する。図4Bおよび5Bに示すように、ガウスフィットを実施した後、当てはめ曲線より下の白血球集団を全ヒストグラムから差し引く。残りの赤血球だけをMCVの算定のために使用する。
曲線当てはめ法は、独立してまたは上述した方法と共に使用することができ、白血球が赤血球と実質的に重複する状況、および2つのモードの間の谷の決定が困難である状況において特に有用である。それゆえ、さらなる実施形態では、以下のフロー図に例示するように、上述した2つの方法の併用を提供する。
併用アプローチでは、許容される谷についてのあらかじめ定められた判定基準がさらに提供され得る。判定基準に適合する場合、本発明の方法は、上述したように赤血球領域を定義して、領域内の集団を用いてMCVを算定し、さもなければ、上述したように白血球を除外するための曲線当てはめを実施し、その後残りの赤血球を用いてMCVを算定する。1つの実施形態では、あらかじめ定められた判定基準は、谷の振幅対赤血球分布モードの振幅の比によって定義される。たとえば谷の振幅が赤血球分布モードの振幅の2%より高い場合は、曲線当てはめが使用される。他の適切な判定基準も使用できる。
Figure 2009506321
さらなる実施形態では、本発明の方法は、自動血液分析装置で一般的に実施される同時白血球測定からの情報をさらに利用することができる。この方法では、あらゆる試料に対して補正工程を実施するのではなく、白血球測定が血液試料中の実質的に高い白血球濃度を指示するときのみ、MCV算定への白血球干渉を予防するために上述した補正工程が開始される。この方法の工程は以下のように説明することができる:(a)第一試料混合物を形成するために血液試料の第一アリコートを等張血液希釈液と混合すること;(b)赤血球を溶解するためおよび第二試料混合物を形成するために血液試料の第二アリコートを溶解試薬系と混合すること;(c)第一試料混合物中の血球容積を測定し、赤血球分布ヒストグラムを得て、赤血球分布モードを決定すること;(d)第二試料混合物中の白血球数を測定し、血液試料の白血球濃度を得ること;(e)工程(d)で得た白血球濃度があらかじめ定められた判定基準を超える場合は、赤血球分布ヒストグラム上であらかじめ定められた限界を超える白血球分布モードを同定すること;(f)白血球分布モードと赤血球分布モードの間の谷を同定すること;(g)赤血球分布ヒストグラム上の赤血球領域を谷の下の領域として定義すること;(h)赤血球領域内の平均赤血球容積を算定すること;および(i)血液試料中の平均赤血球容積を記録すること。あるいは、曲線当てはめ法を、独立してまたは上述したように谷と赤血球領域を定義する方法と組み合わせて、使用することができる。
好ましくは、工程(e)で述べるあらかじめ定められた判定基準を、130,000/μlまたはそれ以上である白血球濃度と設定する。第二試料混合物の測定から得られる白血球濃度があらかじめ定められた判定基準を超えるときには、MCVの算定のための赤血球分布ヒストグラムの分析において補正工程が開始される。
典型的には、一般に白血球数(WBC)とも称される、血液試料の白血球濃度は、250:1の総希釈率で測定される。さらに、白血球亜集団の識別分析も同時に実施できる。識別分析の結果と総白血球濃度を組み合わせることによって白血球亜集団の絶対濃度を得ることができる。白血球濃度測定および識別分析は、インピーダンスまたは光散乱測定を用いて得られ得る。
第二試料混合物において赤血球を溶解するのに適した1つの溶解試薬系は、米国特許第4,521,518号、同第4,528,274号、同第5,935,857号および同第6,706,526号に述べられている希釈液などの等張血液希釈液、および米国特許第5,763,280号、同第5,834,315号および同第6,573,102号に述べられている溶解試薬などの溶解試薬を含み、これらはその全体が参照によりここに組み込まれる。あるいは、試薬系はまた、その全体が参照によりここに組み込まれる、米国特許第5,882,934号に述べられている等張溶解試薬であり得る。この試薬は、赤血球を溶解し、同時にその後の白血球分析のために血液試料を希釈する。
さらなる態様では、本発明は、血液試料における赤血球濃度(RBC)の測定への白血球干渉の補正の方法を提供する。より詳細には、前記方法は、(a)第一試料混合物を形成するために血液試料の第一アリコートを等張血液希釈液と混合すること;(b)赤血球を溶解するためおよび第二試料混合物を形成するために血液試料の第二アリコートを溶解試薬系と混合すること;(c)第一試料混合物中の血球数を測定し、血液試料の全血球濃度を得ること;(d)第二試料混合物中の白血球数を測定し、血液試料中の白血球濃度を得ること;(e)血液試料の赤血球濃度を得るために全血球濃度から工程(d)で得た白血球濃度を差し引くこと;および(f)血液試料の赤血球濃度を記録すること、の工程を含む。さらに、工程(e)は条件付きで開始することができ、たとえば白血球濃度があらかじめ定められた判定基準を超えるときにのみ、差し引きを実施する。
第一試料混合物中の全血球濃度は、赤血球測定において上述した希釈液および方法を用いて得ることができる。全血球濃度はまた、ここでは生RBCとも称する。正常血液試料に関しては、第一試料混合物中で得られる全血球濃度は、白血球濃度が無視し得るほど低いので、血液試料の赤血球濃度であると了解されるべきである。非常に高いWBCを有する臨床試料については、第一試料混合物中の全血球濃度は赤血球と白血球の両方からの寄与を含む。さらに、測定される第一試料混合物中の血球数および工程(c)で得られる全血球濃度は血小板を含まないことが了解されるべきである。血小板は第一試料混合物の同時測定において測定できるが、それらは赤血球とは識別される。
上述したように、赤血球測定と白血球測定のための希釈率は実質的に異なり得る。工程(e)において、白血球濃度と全血球濃度の両方が、それぞれ第二および第一試料混合物中の濃度ではなく、血液試料中のそれぞれの濃度である。
赤血球濃度の補正に関して、補正を開始するためのあらかじめ定められた判定基準は、50,000/μlの白血球濃度がRBC測定の精度に影響を及ぼし始め得るので、典型的にはMCV算定のために使用される判定基準よりも低い。
実施例1で詳述するように、例示的な実施形態では、第二アリコート血液試料は等張希釈液によって希釈され、第二試料混合物を形成するために溶解試薬と混合される。第二試料混合物は、真空源によって3つの非焦点フローアパチャーのセットに引き込まれ、インピーダンス測定によって白血球濃度が測定される。白血球はまた、インピーダンス測定を用いて3つの亜集団、すなわちリンパ球、単球および顆粒球に識別される。
実施例1は、赤血球濃度測定への白血球干渉を補正した結果を示す。示されているように、2つの臨床試料の白血球濃度は、それぞれ247,500/μlおよび303,600/μlであった。第一試料混合物中で測定された全血球濃度は、それぞれ1.97×1012/lおよび2.53×1012/lであった。白血球寄与の補正後、得られたRBCは、それぞれ1.72×1012/lおよび2.23×1012/lであった。補正は、第一試料混合物中に存在する白血球の、それぞれ14.5%および13.5%の寄与を有効に排除した。
もう1つの態様では、本発明は、血液試料のヘマトクリット(Hct)の測定への白血球干渉を防ぐ方法を提供する。この方法は、Hctを算定するために、上述したように本発明の方法を使用して得られるMCVとRBCを使用し、それゆえHctへの白血球干渉を排除する。
より詳細には、前記方法の工程は以下のように説明することができる:(a)第一試料混合物を形成するために血液試料の第一アリコートを等張血液希釈液と混合すること;(b)赤血球を溶解するためおよび第二試料混合物を形成するために血液試料の第二アリコートを溶解試薬系と混合すること;(c)第一試料混合物中の血球数およびサイズを測定し、血液試料の全血球濃度および赤血球分布ヒストグラムを得て、赤血球分布モードを決定すること;(d)第二試料混合物中の白血球数を測定し、血液試料中の白血球濃度を得ること;(e)第一試料混合物から得た赤血球分布ヒストグラム上であらかじめ定められた限界を超える白血球分布モードを同定すること;白血球分布モードと赤血球分布モードの間の谷を同定すること;赤血球分布ヒストグラム上の赤血球領域を谷の下の領域として定義すること;赤血球領域内の平均赤血球容積を算定すること;(f)血液試料の赤血球濃度を得るために工程(c)で得た全血球濃度から工程(d)で得た白血球濃度を差し引くこと;(g)工程(f)で得た赤血球濃度に工程(e)で得た平均赤血球容積を乗じることによって血液試料のヘマトクリットを得ること;および(h)血液試料のヘマトクリットを記録すること。あるいは、曲線当てはめ法を、独立してまたは上述したように谷と赤血球領域を定義する方法と組み合わせて、MCVの算定のために使用することができる。さらに、先に述べたように、工程(f)は、白血球濃度があらかじめ定められた判定基準を超えるときのみのように、条件付きで開始することができる。
認識され得るように、ヘマトクリットはMCVとRBCの派生パラメータであるので、MCVおよびRBCの測定のために本発明の方法を使用することによって血液試料におけるヘマトクリットの測定への白血球干渉を防ぐことができる。血液試料の自動血液分析装置における上述した3つの赤血球パラメータの測定に対する補正工程を実施するために、白血球数のあらかじめ定められた判定基準を選択するいくつかの選択肢が使用可能である。1つの選択肢は、白血球数に関する判定基準を設定しないことであり、それゆえ、上述した補正工程を各々の試料に適用する。もう1つの選択肢は、RBC補正についての判定基準がより低いので、RBCとMCVの両方の補正工程のためにRBCの補正についてのあらかじめ定められた判定基準を選択することである。さらなる選択肢は、RBCとMCVの補正工程のために2つの異なる判定基準を選択することであり、たとえばRBC補正を開始するためには50,000/μlのWBC、およびMCV補正を開始するためには130,000/μlのWBCをそれぞれ使用する。
本発明のさらなる態様として、本発明の方法によって得られるMCV、RBCおよびHctを使用して、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)および平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)などの他の派生パラメータへの白血球干渉も防ぐことができる。ここでは、MCH=Hgb/RBC;およびMCHC=Hgb/Hct(Hgbは血液試料のヘモグロビン濃度を指す)である。留意すべき点として、ヘモグロビン濃度は当技術分野で公知の方法を用いて得ることができる。
以下の実施例は本発明の例証であり、いかなる意味においても、特許請求の範囲において定義される本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。上記の開示に従って、様々な他の成分および比率を使用し得ることは了解される。
(実施例1)
各々3つの非焦点フローアパチャーを備えた、RBCチェンバーおよびWBCチェンバーを有する血液分析装置を血液試料の分析のために使用した。血液分析装置は、直流(DC)インピーダンス測定によって血液試料中の赤血球および白血球の数と容積を測定する。分析装置はまた、白血球を3つの亜集団、すなわちリンパ球、単球および顆粒球に識別する、血液試料中の白血球の3成分識別分析を提供する。等張希釈剤、Isoton(登録商標)3E(Beckman Coulter,Inc.,Floridaの製品)を、血液試料の第一および第二アリコートを希釈するために使用した。溶解試薬、Lyse S III diff(Beckman Coulter,Inc.,Floridaの製品)を、第二試料混合物中の赤血球を溶解するために使用した。
第一試料混合物を形成するため、血液試料の第一アリコート1.6μlを6250:1の希釈率でRBCチェンバーにおいてIsoton 3Eによって希釈した。赤血球分布ヒストグラムおよび赤血球数を得るため、第一試料混合物をDCインピーダンス測定によって測定した。第二試料混合物を形成するため、血液試料の第二アリコート28μlをIsoton 3E 6mlで希釈し、次にLyse S III diff 1mlと混合した。白血球分布ヒストグラムおよび白血球数を得るため、第二試料混合物をDCインピーダンス測定によって測定した。
図1Aおよび1Bは、血液分析装置で得た正常血液試料の白血球および赤血球ヒストグラムを示す。正常血液試料では、赤血球分布モード右側のテールが、血球がアパチャーを通過するときの軌道変化に起因する、非焦点フローアパチャーを使用するとき典型的に認められる歪みであることが留意される。ある種の臨床試料に関しては、大赤血球、鎌状赤血球等の存在のためにテールの振幅が上昇する。しかし、赤血球分布ヒストグラム上のテールの位置は白血球集団より下である。
2つの臨床全血試料を、上述したように血液分析装置で分析した。白血球測定は、これら2つの試料がそれぞれ247,500/μlおよび344,800/μlのWBCを有することを記録した。図2Aおよび3Aはこれら2つの試料の白血球ヒストグラムを示し、各々の場合に、リンパ球亜集団は異常に高いパーセンテージを有していた。白血球識別分析は、これら2つの試料においてそれぞれ60.6%と44.9%のリンパ球を記録した。図2Bおよび3Bはこれら2つの試料の赤血球ヒストグラムを示す。示されているように、各々ヒストグラム上で赤血球の右側に明らかな白血球集団が存在した。
赤血球ヒストグラムを、赤血球および白血球モードを決定し、2つのモードの間の谷を同定し(図2Bおよび3B上で点線によって指示される)、赤血球領域を定義し(点線の左側の領域)、および定義された赤血球領域内のMCVを算定するために、上述した補正工程を用いて分析した。他方で、血液試料の補正されたまたは真性RBCを生じるために、第一試料混合物の測定から得た全血球濃度(または生RBC)からWBCを差し引いた。次に、得られたMCVとRBCを用いて血液試料のHctを算定した。
表1は得られた結果を示し、MCV、RBCおよびHctへの白血球干渉の有効な予防および補正を例証する。
Figure 2009506321
(実施例2)
別の2つの臨床全血試料を実施例1で述べたように血液分析装置で分析した。白血球測定は、これら2つの試料がそれぞれ303,600/μlおよび309,900/μlのWBCを有することを記録した。図4Aおよび5Aはこれら2つの試料の白血球ヒストグラムを示す。白血球識別分析は、これら2つの試料においてそれぞれ50.1%と55.2%のリンパ球を記録した。
図4Bおよび5Bはこれら2つの試料の赤血球ヒストグラムを示す。示されているように、これらの2つの試料についての谷は実施例1で認められたものほど低くなく、各々のヒストグラム上で白血球集団と赤血球集団の間に一定レベルの重複が存在した。
赤血球ヒストグラムを、ガウスフィット法を用いて分析した。図4Bおよび5Bは白血球集団についてのガウスフィットを示す。当てはめた曲線より下の白血球を全体的分布曲線の下の全血球数から差し引き、残りの赤血球を、MCVを算定するために使用した。表2は得られた結果を示し、MCV、RBCおよびHctへの白血球干渉の有効な予防および補正を例証する。
Figure 2009506321
本発明を、詳細におよび付属の図面に示すように図式的に説明したが、これらは本発明の範囲への限定と解釈されるべきではなく、その好ましい実施形態の例示とみなされるべきである。しかし、様々な修正および変更が、上記明細書の中で述べる、および付属の特許請求の範囲およびそれらの正当な等価物において定義される、本発明の精神と範囲内で為され得ることは明白である。ここで引用するすべての特許および他の公表文献は、参照により明白にここに組み込まれる。
図1Aおよび1Bは、実施例1で述べる方法を用いて得られる正常血液試料の白血球および赤血球分布ヒストグラムである。 図2Aおよび2Bは、極めて高い白血球濃度および異常に高いリンパ球パーセンテージを有する臨床血液試料の白血球および赤血球分布ヒストグラムである。 図3Aおよび3Bは、極めて高い白血球濃度および異常に高いリンパ球パーセンテージを有するもう1つ別の臨床血液試料の白血球および赤血球分布ヒストグラムである。 図4Aおよび4Bは、極めて高い白血球濃度を有する臨床血液試料の白血球および赤血球分布ヒストグラムである。図4Bは、白血球集団のガウスフィットを示す。 図5Aおよび5Bは、極めて高い白血球濃度を有するもう1つ別の臨床血液試料の白血球および赤血球分布ヒストグラムである。図5Bは、白血球集団のガウスフィットを示す。

Claims (17)

  1. (a)第一試料混合物を形成するために血液試料の第一アリコートと等張血液希釈液とを混合すること;
    (b)前記第一試料混合物中の血球容積を測定し、赤血球分布ヒストグラムを得ること;
    (c)前記赤血球分布ヒストグラム上で赤血球分布モードを決定すること;
    (d)前記赤血球分布ヒストグラム上であらかじめ定められた限界を超える白血球分布モードを決定すること;
    (e)前記白血球分布モードと前記赤血球分布モードの間の谷を決定すること;
    (f)前記赤血球分布ヒストグラム上で赤血球領域を前記谷より下の領域として定義すること;
    (g)前記赤血球領域内の前記赤血球の前記平均容積を算定すること;および
    (h)前記血液試料中の前記平均赤血球容積を記録すること
    の工程を含む、血液試料において平均赤血球容積を測定する方法。
  2. 前記のあらかじめ定められた限界が、前記赤血球分布モードからまたはそれより上、および前記谷の下までのチャネルである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記のあらかじめ定められた限界が約160flである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記赤血球領域が血小板領域より上である、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(d)の前に工程(i)−(k):
    (i)赤血球を溶解するためおよび第二試料混合物を形成するために前記血液試料の第二アリコートと溶解試薬系とを混合すること;
    (j)前記第二試料混合物中の白血球数を測定し、前記血液試料の白血球濃度を得ること;および
    (k)工程(i)で得た前記白血球濃度があらかじめ定められた判定基準を超える場合は、工程(d)を開始すること
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記のあらかじめ定められた判定基準が、血液試料1μlにつき130,000白血球である、請求項5に記載の方法。
  7. (a)試料混合物を形成するために血液試料のアリコートと等張血液希釈液とを混合すること;
    (b)前記試料混合物中の血球容積を測定し、赤血球分布ヒストグラムを得ること;
    (c)前記赤血球分布ヒストグラム上であらかじめ定められた限界を超える白血球集団を同定すること;
    (e)前記赤血球分布ヒストグラム上で前記白血球集団の曲線当てはめを実施すること;
    (f)前記赤血球分布ヒストグラムから工程(e)で得た当てはめ曲線より下の白血球を差し引くこと;
    (g)工程(f)後に前記赤血球分布ヒストグラムの残りの赤血球を用いて平均血球容積を算定すること;および
    (h)前記血液試料における前記赤血球の前記平均容積を記録すること
    の工程を含む、血液試料において平均赤血球容積を測定する方法。
  8. 前記のあらかじめ定められた限界が、前記赤血球分布モードからまたはそれより上のチャネルである、請求項7に記載の方法。
  9. (a)第一試料混合物を形成するために血液試料の第一アリコートと等張血液希釈液とを混合すること;
    (b)赤血球を溶解するためおよび第二試料混合物を形成するために前記血液試料の第二アリコートと溶解試薬系とを混合すること;
    (c)前記第一試料混合物中の血球数を測定し、前記血液試料の全血球濃度を得ること;
    (d)前記第二試料混合物中の白血球数を測定し、前記血液試料中の白血球濃度を得ること;
    (e)前記血液試料の前記赤血球濃度を得るために工程(c)で得た前記全血球濃度から工程(d)で得た前記白血球濃度を差し引くこと;および
    (f)血液分析装置で前記血液試料の前記赤血球濃度を記録すること
    の工程を含む、自動血液分析装置で血液試料における赤血球濃度の測定への白血球干渉を補正する方法。
  10. 前記白血球濃度があらかじめ定められた判定基準を超えるときにのみ工程(e)を実施する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記のあらかじめ定められた判定基準が、血液試料1μlにつき50,000白血球である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記第一試料混合物における血球数の前記測定を、インピーダンス測定を用いて実施する、請求項9に記載の方法。
  13. 前記血液試料の前記第二アリコートと溶解試薬系とを混合することが、希釈血液試料を形成するために前記血液試料の前記第二アリコートを血液希釈液で希釈し、その後前記希釈血液試料と溶解試薬とを混合することを含む、請求項9に記載の方法。
  14. 前記血液試料の前記第二アリコートと溶解試薬系とを混合することが、前記血液試料の前記第二アリコートを希釈し、同時に前記赤血球を溶解するために前記血液試料の前記第二アリコートと溶解試薬とを混合することを含む、請求項9に記載の方法。
  15. (a)第一試料混合物を形成するために前記血液試料の第一アリコートと等張血液希釈液とを混合すること;
    (b)赤血球を溶解するためおよび第二試料混合物を形成するために前記血液試料の第二アリコートと溶解試薬系とを混合すること;
    (c)前記第一試料混合物中の血球数およびサイズを測定し、前記血液試料の赤血球分布ヒストグラムおよび全血球濃度を得ること;
    (d)前記第二試料混合物中の白血球数を測定し、前記血液試料中の白血球濃度を得ること;
    (e)前記赤血球分布ヒストグラム上で赤血球分布モードを決定すること;前記赤血球分布ヒストグラム上であらかじめ定められた限界を超える白血球分布モードを決定すること;前記白血球分布モードと前記赤血球分布モードの間の谷を決定すること;前記赤血球分布ヒストグラム上の赤血球領域を前記谷の下の領域として定義すること;前記赤血球領域内の前記赤血球の前記平均容積を算定すること;
    (f)前記血液試料の前記赤血球濃度を得るために工程(c)で得た全血球濃度から工程(d)で得た前記白血球濃度を差し引くこと;
    (g)工程(f)で得た前記赤血球濃度に工程(e)で得た前記平均赤血球容積を乗じることによって前記血液試料のヘマトクリットを得ること;および
    (h)前記血液試料のヘマトクリットを記録すること
    の工程を含む、血液試料においてヘマトクリットを測定する方法。
  16. 前記のあらかじめ定められた限界が、前記赤血球分布モードからまたはそれより上、および前記谷の下までのチャネルである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記のあらかじめ定められた限界が約160flである、請求項16に記載の方法。
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