JP2009503045A - 増殖性疾患または炎症に用いられる3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジン - Google Patents

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Abstract

本発明は、増殖性疾患または炎症性疾患の予防または治療のための医薬を製造するための化合物の使用であって、化合物が3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩である使用を提供する。

Description

発明の分野
本発明は、炎症性疾患および癌の予防または治療におけるジヒドロテトラベナジンの使用に関する。
発明の背景
癌は、異常かつ制御不能な細胞増殖を特徴とする疾患の集団に対する集合的用語である。通常は、身体が必要とするときにのみ細胞が増殖し分割して、新たな細胞を形成する。細胞が老化して死ぬと、新しい細胞がその代わりをする。細胞内の遺伝子の突然変異によって、この過程が破壊されて、身体が必要としないときに新たな細胞が形成されかつ老細胞が死ぬべきときに死ないことがときとしてある。余分な細胞は、増殖、新生物または腫瘍と呼ばれる組織の塊を形成する。腫瘍は、良性(癌性でない)または悪性(癌性)のいずれかであることができる。良性腫瘍は身体の他の部分に広がらず、生命を脅かすことはまれにしかないが、悪性腫瘍は広がる(転移する)可能性があり、生命を脅かすことがある。癌は単一の細胞内から発生し、従ってそれらが発生する細胞の種類および細胞の位置によって分類することができる。例えば、腺腫は腺組織に由来し、癌腫は上皮細胞に由来し、白血病は骨髄幹細胞で生じ、リンパ腫はリンパ組織に由来し、黒色腫はメラニン細胞で生じ、肉腫は骨または筋肉の結合組織で生じ、奇形腫は生殖細胞で生じる。
癌治療には様々な方法があり、最も普通に行われるものは手術、化学療法および放射線療法である。一般に、療法の選択は腫瘍の部位と悪性度分類、および疾患の病期によって変わる。腫瘍が限局性であれば、手術が好ましい治療法であることが多い。普通に見られる外科処置法の例としては、前立腺癌についての前立腺切除および乳癌についての乳房切除が挙げられる。手術の目的は、腫瘍のみまたは全器官の除去のいずれかであることができる。単一の癌細胞は相当の大きさの腫瘍に増殖する可能性があるので、腫瘍のみの除去では再発の可能性が大きくなる。化学療法は、癌細胞を破壊しまたは増殖を防止することができる薬剤を用いる癌の治療を包含する。癌の化学療法によって開発された代替機構としては、腫瘍に供給する血管を途絶させる作用をする抗脈管形成剤および腫瘍組織に対する宿主の免疫応答を高める作用をする免疫療法剤が挙げられる。正常細胞は、制御された過程で増殖し、死ぬ。癌が生じると、正常でない身体の細胞は制御なしに分割を続け、更に細胞を形成する。抗癌薬の1つのクラスは、分割細胞を殺すことによってまたは細胞の成長または増殖を停止することによって作用する。健常細胞、特に速やかに分割する細胞も損なわれる可能性があり、またこれは副作用を生じる可能性がある。放射線療法は、イオン化放射線を用いて癌細胞を殺して腫瘍を縮小させることを含む。放射線療法は、遺伝子材料を傷付けることによって治療を行う部位(「標的組織」)の細胞に損傷を与えまたは破壊し、これらの細胞が増殖または分割を続けることを不可能にする。放射線は癌細胞と正常細胞を両方とも損傷するが、ほとんどの正常細胞は放射線の影響から回復して適正に機能することができる。放射線療法の目的は、附近の正常組織に対する傷害を限定しながら、できるだけ多くの癌細胞に損傷を与えることである。放射線療法は、脳、乳房、頸部、喉頭、肺、膵臓、前立腺、皮膚、脊椎、胃、子宮の癌、または柔組織肉腫などほとんどあらゆる種類の固形腫瘍の治療目的に使用することができる。放射線は、白血病およびリンパ腫(それぞれ、血液形成細胞およびリンパ系の癌)の治療目的で用いることもできる。
シグマ(σ)受容体のリガンドが腫瘍細胞の増殖を阻害する能力を有することが報告されている(Berthois et al., British Journal of Cancer, (2003), 88, 438-446)。また、Bourrieらは(Current Opinion in Investigational Drugs, (2004) 5(11):1158-63)、2つのシグマ受容体サブタイプおよびそれらの2つの関連タンパク質も腫瘍細胞上で発現することを報告している。
シグマ受容体は、アヘン剤受容体のサブタイプであるとかつて考えられていた細胞表面受容体であるが、この受容体の特性決定および受容体に対する特異的リガンドの発見の後、それらはアヘン剤受容体とは異なることが明らかにされている(Bourrie et al., (2004))。
シグマ受容体は、シグマ−1(σ−1)およびシグマ−2(σ−2)サブタイプに分類することができる。σ−1受容体は、223個のアミノ酸を含んでいると考えられているが、クローニングされ(Hanner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1996) 93:8072-8077)、任意の他の受容体クラスとは一次配列相同性を示さないことが分かっている。しかしながら、これは真菌ステロールC8−C7イソメラーゼの配列に30.3%の同一性を有し、機能が未知の別のタンパク質SRBP2(SR−31747結合タンパク質2)に関係することも分かっており、この酵素と高い相同性を共有している。σ−2受容体は、未だクローニングされていない。
Wangらは(Breast Cancer Research & Treatment, (2004), 87(3):205-14)、ヒト乳癌におけるシグマ−1受容体の発現を検討し、正常組織と比較して乳癌の64%にシグマ−1受容体mRNAの過剰発現を見出し、幾つかの正常およびほとんどの腫瘍性乳房上皮細胞および細胞系は一般にシグマ−1受容体を発現すると結論した。彼らは、非特異的シグマ−1リガンドであるハロペリドールが高濃度でこれらの細胞の増殖を阻害し、イン・ビトロでの化学療法の効果を増強することも見出した。
Berthoisら(2003)は、ヒト上皮乳房および前立腺癌細胞系の増殖に対するシグマ受容体リガンドSR31747Aの効果を測定した研究を報告した。彼らは、イン・ビトロではナノモル濃度のSR31747Aがホルモン−応答性およびホルモン−非応答性癌細胞系のいずれにおいても細胞増殖を劇的に阻害することを報告した。彼らはまた、SR31747Aを処理されたことがあるマウスでは腫瘍の発生が有意に減少することも見出した。
Spruceら(Cancer Research, (2004), 64:4875-4886)は、小分子であるσ−1受容体拮抗薬が、免疫不全マウスにおける発達中および確立したホルモン感受性およびホルモン不感受性の乳癌キセノグラフ(xenographs)、正常位前立腺腫瘍およびp53−ヌル肺癌キセノグラフの増殖を副作用なしで阻害することを報告している。彼らは、σ−1拮抗薬が腫瘍細胞においてアポトーシス(プログラムされた細胞死)を誘導するが、ほとんどの正常細胞の種類では誘発されないことを見出した。Spruceらは、σ−1拮抗薬を用いることによって、正常組織を殺さずに腫瘍を殺す方法を提供できるであろうと結論した。
癌細胞の増殖の阻害におけるσ−1受容体リガンドの使用についての他の報告は、Spruce et al.(2004)に引用されている文献に見出すことができ、例えば、Brent et al., Eur. J. Pharmacol, (1995), 278:151-60およびCrawford et al. Cancer Research, (2002), 62:313-22を参照されたい。
従って、シグマ受容体リガンドが癌細胞系の増殖を阻害することができ、かつ癌細胞にアポトーシスを誘導することができることは詳細に確立されており、この証拠に基づいて、シグマ−1拮抗薬のようなシグマ受容体リガンドは癌の治療に有用であることが立証されると思われる。
シグマ受容体リガンドは、抗炎症作用を有することも報告されている。例えば、Bourrie et al., Eur. J. Pharmacol, (2002), 456(1-3):123-31には、Sanofi−Synthelabo Recherche化合物SSR125329A(化学名:[(Z)−3−(4−アダマンタン−2−イル−3,5−ジクロロ−フェニル)−アリル]−シクロヘキシル−エチルアミン)は強力な抗炎症特性を有する高親和性のシグマ受容体リガンドであることを報告されている。Bourrieらは、彼らの研究結果が、シグマ受容体リガンドが関節リウマチ治療の新たな効果的方法となり得ることの実質的な証拠を提供していると結論している。
もう一つのSanofiシグマ受容体拮抗薬(SR31747)は、現在関節リウマチの治療のための臨床試験中である。
テトラベナジン(化学名: 1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−9,10−ジメトキシ−3−(2−メチルプロピル)−2H−ベンゾ(a)キノリジン−2−オン)が、1950年代後期から医薬品として用いられてきている。テトラベナジンは、当初は抗精神病薬として開発されたが、現在ではハンチントン病、片側バリスム、老人性舞踏病、チック、遅発性ジスキネジーおよびツレット症候群のような多動運動障害の対症療法に用いられている。例えば、Jankovic et al., Am. J. Psychiatry. (1999) Aug; 156(8): 1279-81およびJankovic et al, Neurology (1997) Feb; 48(2):358-62を参照されたい。
テトラベナジンの化学構造は、下図1に示される通りである。
Figure 2009503045
図1 テトラベナジンの構造
この化合物は3および11b位の炭素原子にキラル中心を有しており、従って、理論上、図2に示されるように総数で4個の異性体形態を示すことができる。
Figure 2009503045
図2 可能なテトラベナジン異性体
図2では、それぞれの異性体の立体化学はCahn, Ingold and Prelogによって開発された「RおよびS」命名法を用いて定義されている。「Jerry Marchの最新有機化学(Advanced Organic Chemistry by Jerry March)」, 第4版, John Wiley & Sons, ニューヨーク, 1992年, 109-114頁を参照されたい。図2および本特許出願明細書の他の箇所において、「R」または「S」という名称は炭素原子の位置番号の順に付けられている。従って、例えばRSは3R,11bSの省略表記である。同様に、下記のジヒドロテトラベナジンのように3個のキラル中心が存在するときには、「R」または「S」という名称が炭素原子2、3および11bの順に付けられる。従って、2S,3R,11bR異性体は、略記形態ではSRRなどと呼ばれる。
市販のテトラベナジンはRRおよびSS異性体の異性体混合物であり、RRおよびSS異性体(3および11b位の水素原子がトランス相対配向を有するので、以後個別的にまたは集合的にトランス−テトラベナジンと呼ぶ)が最も熱力学的に安定な異性体と思われる。
テトラベナジンは、バイオアベイラビリティーが幾分乏しくかつ変化しやすい。これは初回通過代謝によって完全に代謝され、未変化テトラベナジンは典型的には尿中にほとんどまたは全く検出されない。主要代謝産物はテトラベナジンの2−ケト基の還元によって形成されるジヒドロテトラベナジン(化学名: 2−ヒドロキシ−3−(2−メチルプロピル)−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−9,10−ジメトキシ−ベンゾ(a)キノリジン)であり、この薬剤の活性に主として関与していると考えられる(Mehvar et al , Drug Metab. Disp, 15, 250-255 (1987)およびJ. Pharm. Sci., 76, No.6, 461-465 (1987)を参照されたい)。
4個のジヒドロテトラベナジン異性体は以前に同定され、特性決定されており、それらの総ては親テトラベナジンの更に安定なRRおよびSS異性体から誘導され、3および11b位の水素原子がトランス相対配向である(Kilbourn et al,Chirality, 9:59-62 (1997)およびBrossi et al, Helv. Chim. Acta., vol. XLI, No. 193, pp1793-1806 (1958)を参照されたい)。4個の異性体は(+)−α−ジヒドロテトラベナジン、(−)−α−ジヒドロテトラベナジン、(+)−β−ジヒドロテトラベナジンおよび(−)−β−ジヒドロテトラベナジンである。4種類の既知のジヒドロテトラベナジン異性体の構造は、図3に示される通りであると考えられる。
Figure 2009503045
図3 ジヒドロテトラベナジンの既知異性体の構造
Kilbourn et al.(Eur. J. Pharmacol, 278:249-252 (1995)およびMed. Chem. Res., 5:113-126 (1994)参照)は、意識のあるラット脳における個々の放射能標識したジヒドロテトラベナジン異性体の特異的な結合を検討した。彼らは、(+)−α−[11C]ジヒドロテトラベナジン(2R,3R,11bR)異性体がニューロン膜ドパミン輸送体(DAT)および小胞モノアミン輸送体(VMAT2)が一層高濃度であることと関連した脳の領域に蓄積されることを見出した。しかしながら、本質的に不活性な(−)−α−[11C]ジヒドロテトラベナジン異性体は脳にほぼ均一に分布し、DATおよびVMAT2への特異的な結合が起こっていないことを示唆した。イン・ビボ研究はイン・ビトロ研究と相関し、(+)−α−[11C]ジヒドロテトラベナジン異性体は、(−)−α−[11C]ジヒドロテトラベナジン異性体のKより>2000倍高い[H]メトキシテトラベナジンのkiを示すことを明らかにした。
本発明者らの先の国際特許出願PCT/GB2005/000464号明細書には、テトラベナジンの不安定なRSおよびSR異性体(3および11b位の水素原子はシス相対配向を有するので、以後個別的または集合的にシス−テトラベナジンと呼ぶ)から誘導される薬学用ジヒドロテトラベナジン異性体の調製および使用が開示されている。PCT/GB2005/00464号には、シス−ジヒドロテトラベナジン異性体がシグマ−1およびシグマ−2受容体に結合することを示す実験データーが含まれているが、シグマ受容体の結合活性を用いる治療的用途は開示されていない。
発明の概要
本発明は、本発明者らの先の出願PCT/GB2005/000464号に記載のシス−ジヒドロテトラベナジンの炎症性疾患および癌の治療における使用に関する。
従って、第一の態様では、本発明は、増殖性疾患または炎症性疾患の予防または治療に用いられる3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンを提供する。
1つの具体的態様では、増殖性疾患は癌である。
従って、本発明は、癌などの増殖性疾患の予防または治療に用いられる3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンを提供する。
本発明は、また、以下のものを提供する:
・癌などの増殖性疾患の治療のための医薬を製造するための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの使用。
・異常細胞増殖から生じる疾患状態または症状(例えば、癌)の予防または治療のための医薬を製造するためのシス−ジヒドロテトラベナジンの使用。
・哺乳類における異常細胞増殖を含んでなるまたはこれから生じる疾患または症状(例えば、癌)の治療方法であって、哺乳類に治療上有効量のシス−ジヒドロテトラベナジンの投与を含んでなる方法。
・哺乳類における異常細胞増殖を含んでなるまたはこれから生じる疾患または症状(例えば、癌)の治療方法であって、哺乳類に異常細胞増殖を阻害するのに有効な量のシス−ジヒドロテトラベナジンを投与することを含んでなる方法。
・哺乳類における異常細胞増殖を含んでなるまたはこれから生じる疾患または症状(例えば、癌)の発病率を緩和または減少する方法であって、哺乳類に異常細胞増殖を阻害するのに有効な量のシス−ジヒドロテトラベナジンを投与することを含んでなる方法。
本発明の化合物は、
腺腫、
癌腫、
白血病、
リンパ腫、
黒色腫、
肉腫、および
奇形腫
から選択される任意の1以上の癌の治療または予防に有用であると考えられる。
阻害または治療することができる癌の具体例としては、癌腫、例えば、膀胱、乳房、結腸(例えば、結腸腺癌および結腸腺腫のような結腸直腸癌腫)、腎臓、表皮、肝臓、肺、例えば、腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、食道、胆嚢、卵巣、膵臓、例えば、膵外分泌癌、胃、頸部、甲状腺、前立腺、または皮膚、例えば、扁平上皮癌;リンパ系の造血腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ性白血病、B−細胞リンパ腫、T−細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリーセルリンパ腫、またはバーキットリンパ腫;骨髄系の造血腫瘍、例えば、急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、または前骨髄性白血病;甲状腺小胞性癌;間葉起源の腫瘍、例えば、繊維肉腫または横紋筋肉腫;中枢または末梢神経系の腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、または神経鞘腫;黒色腫;精上皮腫;奇形癌;骨肉腫;キセノデローマ・ピグメントスム(xenoderoma pigmentosum);ケラトクタントーマ(keratoctanthoma);甲状腺小胞性癌;またはカポジ肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。
更に詳細には、シス−ジヒドロテトラベナジンの使用によって治療または阻害することができる癌は、シグマ受容体リガンド、例えばσ−1拮抗薬に感受性の癌である。
シス−ジヒドロテトラベナジンの使用によって治療または阻害することができる癌の他の例は、シグマ受容体が過剰発現する癌である。
1つの具体的態様では、癌は乳癌である。
もう一つの具体的態様では、癌は前立腺腫瘍、例えば正常位前立腺腫瘍である。
更にもう一つの具体的態様では、癌は肺癌である。
もう一つの一般的態様では、本発明は、炎症性疾患の治療に使用するための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンを提供する。
本発明は、また、以下のものを提供する:
・炎症性疾患の予防または治療のための医薬を製造するための3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの使用。
・患者(例えば、ヒトなどの哺乳類)の炎症性疾患または症状の予防または治療方法であって、哺乳類に治療上有効量の3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンを投与することを含んでなる、方法。
炎症性疾患および症状の例としては、関節リウマチ、変形性関節症、外傷性関節炎、痛風性関節炎、風疹関節炎、乾癬性関節炎、および他の関節炎症状;内毒素または炎症性腸疾患によって誘発される炎症性反応のような急性または慢性炎症性疾患状態;ライター症候群、痛風、リウマチ様脊椎炎、慢性肺炎症性疾患,クローン病および潰瘍性大腸炎が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の炎症性疾患および症状は、シグマ受容体リガンド、例えば、シグマ受容体拮抗薬に感受性のものである。
1つの特定の炎症性疾患は、関節リウマチである。
本発明で用いられるシス−ジヒドロテトラベナジンは、3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンである。
本発明で用いられる3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンは、実質的に純粋な形態、例えば異性体純度が90%を上回り、典型的には95%を上回り、更に好ましくは98%を上回ることがある。
本発明における「異性体純度」という用語は、ジヒドロテトラベナジンの総ての異性体形態の総量または濃度に対して存在する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの量を意味する。例えば、組成物中に含まれる総ジヒドロテトラベナジンの90%が3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンであれば、異性体純度は90%である。
本発明で用いられる11b−シス−ジヒドロテトラベナジンは、3,11b−トランス−ジヒドロテトラベナジンを実質的に含まない、好ましくは5%未満の3,11b−トランス−ジヒドロテトラベナジン、更に好ましくは3%未満の3,11b−トランス−ジヒドロテトラベナジン、最も好ましくは1%未満の3,11b−トランス−ジヒドロテトラベナジンを含む組成物の形態であることができる。
本明細書で用いられる「3,11b−シス」という用語は、ジヒドロテトラベナジン構造の3−および11b−位の水素原子がシス相対配向であることを意味している。従って、本発明の異性体は、式(I)の化合物およびその対掌体(鏡像)である。
Figure 2009503045
3,11b−シス配置を有するジヒドロテトラベナジンには4個の異性体の可能性があり、これらは2S,3S,11bR異性体、2R,3R,11bS異性体、2R,3S,11bR異性体および2S,3R,11bS異性体である。これら4個の異性体は単離されて特性決定されており、もう一つの態様では、本発明は3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの個々の異性体を提供する。詳細には、本発明は、
(a) 式(Ia)
Figure 2009503045
を有する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの2S,3S,11bR異性体、
(b) 式(Ib)
Figure 2009503045
を有する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの2R,3R,11bS異性体、
(c) 式(Ic)
Figure 2009503045
を有する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの2R,3S,11bR異性体、および
(d) 式(Id)
Figure 2009503045
を有する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの2S,3R,11bS異性体
を提供する。
本発明の個々の異性体は、それらの分光学的、光学的およびクロマトグラフィー特性によって、またX線結晶学によって決定されるそれらの絶対立体化学配置によっても特性決定することができる。
何ら特定の絶対配置または立体化学を含むことなく、4種類の新規異性体は下記のように特性決定することができる。
異性体A
ORD(メタノール, 21℃)によって測定した光学活性: 左旋性(−)
IRスペクトル(KBr 固体)、H−NMRスペクトル(CDCl)および13C−NMRスペクトル(CDCl)は実質的に表1に記載した通り。
異性体B
ORD(メタノール, 21℃)によって測定した光学活性: 右旋性(+)
IRスペクトル(KBr 固体)、H−NMRスペクトル(CDCl)および13C−NMRスペクトル(CDCl)は実質的に表1に記載した通りであり、およびX線結晶学的特性は実施例4に記載した通り。
異性体C
ORD(メタノール, 21℃)によって測定した光学活性: 右旋性(+)
IRスペクトル(KBr 固体)、H−NMRスペクトル(CDCl)および13C−NMRスペクトル(CDCl)は実質的に表2に記載した通り。
異性体D
ORD(メタノール, 21℃)によって測定した光学活性: 左旋性(−)
IRスペクトル(KBr 固体)、H−NMRスペクトル(CDCl)および13C−NMRスペクトル(CDCl)は実質的に表2に記載した通り。
それぞれの異性体についてのORD値は下記の実施例に示されているが、それらの値は例として挙げられており、異性体の純度や温度変動および残留溶媒分子の影響のような他の変量の影響によって変化することがあることが注目される。
鏡像異性体A、B、CおよびDは、それぞれ実質的に鏡像異性体的に純粋な形態でまたは本発明の他の鏡像異性体との混合物として存在することができる。
本発明に関連して「鏡像異性体純度」および「鏡像異性体的に純粋な」という用語は、ジヒドロテトラベナジンの総ての鏡像異性体および異性体の形態の総量または濃度に対して存在する3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンの所定の鏡像異性体の量を意味する。例えば、組成物に含まれる総ジヒドロテトラベナジンの90%が単一の鏡像異性体の形態であるときには、この鏡像異性体の純度は90%である。
一例として、本発明のそれぞれの態様および実施態様では、異性体A、B、CおよびDから選択される個々の鏡像異性体は、少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%または100%)の鏡像異性体純度で存在することができる。
本発明の異性体は、異性体A、B、CおよびDの1以上の混合物の形態で存在することもできる。このような混合物は、ラセミ混合物または非ラセミ混合物であってもよい。ラセミ混合物の例としては、異性体Aと異性体Bのラセミ混合物および異性体Cと異性体Dのラセミ混合物が挙げられる。
薬学上許容可能な塩
特に断らない限り、本出願明細書におけるジヒドロテトラベナジンおよびその異性体という表現は、その範囲内にジヒドロテトラベナジンの遊離塩基だけでなくその塩、詳細には酸付加塩も包含する。
酸付加塩が形成される特定の酸としては、pKa値が3.5未満、更に通常は3未満である酸が挙げられる。例えば、酸付加塩は、pKaが+3.5〜−3.5の範囲である酸から形成することができる。
好ましい酸付加塩としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸およびナフタレンスルホン酸等のスルホン酸を用いて形成されるものが挙げられる。
酸付加塩を形成することができる1つの特定の酸は、メタンスルホン酸である。
酸付加塩は、本明細書に記載の方法または「医薬品塩: 特性、選択および使用(Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use)」, P. Heinrich Stahl (編集者), Camille G. Wermuth (編集者), ISBN: 3-90639-026-8, Hardcover, 388頁, 2002年8月に記載されているような通常の化学的方法によって調製することができる。一般的には、このような塩は、この化合物の遊離塩基形態を適当な塩基または酸と水中または有機溶媒中で、またはこれら2種類の混合物中で反応させることによって調製することができ、一般的にはエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリル等の非水溶媒が用いられる。
これらの塩は、典型的には薬学上許容可能な塩である。しかしながら、薬学上許容可能でない塩を中間形態として調製し、次いでこれを薬学上許容可能な塩に転換することもできる。このような薬学上許容可能でない塩形態も、本発明の一部を形成する。
ジヒドロテトラベナジン異性体の調製方法
本発明のジヒドロテトラベナジンは、式(II)
Figure 2009503045
の化合物を、式(II)の化合物における2,3−二重結合の水和に適している試薬または試薬類と反応させた後、必要ならば所望のジヒドロテトラベナジン異性体形態を分離して単離することを含んでなる方法によって調製することができる。
2,3−二重結合の水和は、ジボランまたはボラン−エーテル(例えば、ボラン−テトラヒドロフラン(THF))のようなボラン試薬を用いるヒドロホウ素化によって中間体アルキルボラン付加物を得た後、アルキルボラン付加物の酸化および塩基の存在下での加水分解によって行うことができる。ヒドロホウ素化は、典型的にはエーテル(例えば、THF)のような乾燥した極性の非プロトン性溶媒中で非高温、例えば室温で行われる。ボラン−アルケン付加物は、典型的には水酸化アンモニウムまたはアルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムのような水酸化物イオンの供給源を提供する塩基の存在下にて過酸化水素のような酸化剤で酸化される。方法Aの反応をヒドロホウ素化−酸化−加水分解の順序で行うことによって、典型的には2−および3−位の水素原子がトランス相対配向を有するジヒドロテトラベナジン異性体が得られる。
式(II)の化合物は、テトラベナジンを還元してジヒドロテトラベナジンを得た後、このジヒドロテトラベナジンの脱水によって調製することができる。テトラベナジンの還元は、水素化アルミニウムリチウムのような水素化アルミニウム試薬、または水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムまたは水素化ホウ素誘導体、例えばトリ第二ブチル水素化ホウ素リチウムのようなアルキル水素化ホウ素などの水素化ホウ素試薬を用いて行うことができる。あるいは、還元工程を、例えばラネーニッケルまたは酸化白金触媒上での接触水素化を用いて行うことができる。還元工程を行うのに適する条件は、下記に更に詳細に説明しており、または米国特許第2,843,591号明細書(Hoffmann-La Roche)およびBrossi et al, Helv. Chim. Acta., vol. XLI, No. 193, ppl793-1806 (1958)に見出すことができる。
還元反応の出発材料として用いられるテトラベナジンは、典型的にはRRとSS異性体の混合物(すなわち、トランス−テトラベナジン)であるので、還元工程によって形成されたジヒドロテトラベナジンは3および11b位について同じトランス配置を有し、上記図3に示されている既知のジヒドロテトラベナジン異性体の1以上の形態をとる。従って、方法Aは、ジヒドロテトラベナジンの既知異性体をとり、それらを脱水してアルケン(II)を形成した後、本発明の求める新規なシスジヒドロテトラベナジン異性体を生じる条件を用いてアルケン(II)を「再水和する」ことを含むことがある。
ジヒドロテトラベナジンのアルケン(II)への脱水は、アルコールを脱水してアルケンを形成するための様々な標準的条件を用いて行うことができ、例えばJ. March (上記引用), 389−390頁およびそこに引用されている文献を参照されたい。このような条件の例としては、ハロゲン化リンまたはオキシハロゲン化リンのようなリンを基剤とする脱水剤、例えばPOClおよびPClの使用が挙げられる。直接脱水法に代わるものとしては、ジヒドロテトラベナジンのヒドロキシル基をハロゲン(例えば、塩素または臭素)のような脱離基Lに転換した後、H−Lを除去するための条件(例えば、塩基の存在)に付することができる。ヒドロキシル基のハロゲン化物への転換は、熟練化学者には周知の方法を用いて、例えばトリフェニルホスフィンまたはトリブチルホスフィンのようなトリアルキルまたはトリアリールホスフィンの存在下で四塩化炭素または四臭化炭素と反応させることによって行うことができる。
ジヒドロテトラベナジンを得る還元のための出発材料として用いられるテトラベナジンは、商業的に得ることができ、または米国特許第2,830,993号(Hoffmann-La Roche)に記載の方法によって合成することができる。
本発明のジヒドロテトラベナジンを調製するためのもう一つの方法(方法B)は、式(III)
Figure 2009503045
の化合物を、式(III)の化合物における2,3−エポキシド基を開環する条件に付した後、必要ならば所望のジヒドロテトラベナジン異性体形態を分離して単離することを含んでなる。
開環は、エポキシド開環の既知の方法によって行うことができる。しかしながら、エポキシドの開環の現在好ましい方法は、ボラン−THFのような還元剤を用いて行うことができる還元的開環である。ボラン−THFとの反応は、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)のような極性の非プロトン性溶媒中で通常は周囲温度で行い、このようにして生成したボラン複合体を次に水と塩基の存在下にて溶媒の還流温度で加熱することによって加水分解することができる。方法Bは、典型的には2−および3−位の水素原子がシス相対配向を有するジヒドロテトラベナジン異性体を生じさせる。
式(III)のエポキシド化合物は、上記式(II)のアルケンエポキシ化によって調製することができる。エポキシ化反応は、熟練化学者には周知の条件および試薬を用いて行うことができ、例えばJ. March (上記引用), 826-829頁およびそこに引用されている文献を参照されたい。典型的には、メタクロロ過安息香酸(MCPBA)のような過酸または過酸と過塩素酸のような別の酸化剤との混合物を用いて、エポキシ化を行うことができる。
上記方法AおよびBの出発材料が鏡像異性体の混合物であるときには、これらの方法の生成物は典型的には鏡像異性体の対、例えば、可能であれば、ジアステレオ異性体不純物とのラセミ混合物となる。好ましくないジアステレオ異性体はクロマトグラフィー(例えば、HPLC)のような手法によって除去することができ、個々の鏡像異性体は熟練化学者に知られている様々な方法によって分離することができる。例えば、それらは
(i) キラルクロマトグラフィー(キラル支持体上でのクロマトグラフィー)、または
(ii) 光学的に純粋なキラル酸と塩を形成し、2種類のジアステレオ異性体の塩を分別結晶によって分離した後、その塩からジヒドロテトラベナジンを放出すること、または
(iii) 光学的に純粋なキラル誘導剤(例えば、エステル化剤)を用いて誘導体(例えば、エステル)を形成し、生成されるエピマーを(例えば、クロマトグラフィーによって)分離した後、この誘導体をジヒドロテトラベナジンに転換すること
によって分離することができる。
方法AおよびBのそれぞれから得られる鏡像異性体の対を分離する1つの方法であって、特に有効であることが見出された方法は、ジヒドロテトラベナジンのヒドロキシル基をモッシャーの酸(Mosher’s acid)の光学活性形態、例えば下記に示されるR(+)異性体
Figure 2009503045
またはその活性形態でエステル化することである。
ジヒドロベナジンの2つの鏡像異性体の生成されるエステルはクロマトグラフィー(例えば、HPLC)によって分離することができ、分離したエステルをメタノールのような極性溶媒中でアルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH)のような塩基を用いて加水分解して個々のジヒドロベナジン異性体を得ることができる。
方法AおよびBにおいて出発材料として鏡像異性体の混合物を用いた後、続いて鏡像異性体を分離する方法の代替法として、方法AおよびBをそれぞれ単一の鏡像異性体出発材料について行うことで単一鏡像異性体が優勢である生成物を生じることができる。アルケン(II)の単一鏡像異性体は、RR/SSテトラベナジンにトリ第二ブチル水素化ホウ素リチウムを用いて立体選択的還元を行ってジヒドロテトラベナジンのSRRおよびRSS鏡像異性体の混合物を得て、鏡像異性体を(例えば、分別結晶によって)分離した後、ジヒドロテトラベナジンの分離した単一鏡像異性体を脱水し、式(II)の化合物の単一鏡像異性体を優勢にまたは独占的に得ることによって調製することができる。
方法AおよびBを、それぞれスキーム1および2で更に詳細に説明する。
Figure 2009503045
スキーム1は、2−および3−位に結合している水素原子がトランス相対配向で配列されている2S,3S,11bRおよび2R,3R,11bS配置を有する個々のジヒドロテトラベナジン異性体の調製を示す。この反応スキームは、上記で定義した工程Aを包含する。
スキーム1における反応の順序についての出発点は、テトラベナジンのRRおよびSS光学異性体のラセミ混合物である市販のテトラベナジン(IV)である。RRおよびSS異性体のそれぞれにおいて、3−および11b−位の水素原子はトランス相対配向に配列されている。市販の化合物を用いる代わりに、テトラベナジンを米国特許第2,830,993号に記載の手順に従って合成することができる(詳細には、実施例11を参照)。
RRおよびSSテトラベナジンのラセミ混合物を水素化ホウ素還元剤トリ第二ブチル水素化ホウ素リチウム(「L−セレクトリド」)を用いて還元すると、ジヒドロテトラベナジンの既知の2S,3R,11bRおよび2R,3S,11bS異性体(V)の混合物が得られるが、便宜上2S,3R,11bR異性体のみが示されている。水素化ホウ素ナトリウムよりも立体的要求の厳しいL−セレクトリドを水素化ホウ素還元剤として用いることによって、ジヒドロテトラベナジンのRRRおよびSSS異性体の形成は最小限になるかまたは抑制される。
ジヒドロテトラベナジン異性体(V)を、塩素化炭化水素(例えば、クロロホルムまたはジクロロメタン、好ましくはジクロロメタン)のような非プロトン性溶媒中で五塩化リンのような脱水剤と反応させて、不飽和化合物(II)を鏡像異性体の対として形成させるが、スキームにはそのR−鏡像異性体のみが示されている。脱水反応は、典型的には室温より低い温度、例えば約0−5℃で行われる。
次に、不飽和化合物(II)を立体選択的再水和に供し、ジヒドロテトラベナジン(VI)およびその鏡像または対掌体(図示せず)であって、3−および11b−位の水素原子がシス相対配向に配列されており、かつ2−および3−位の水素原子がトランス相対配向に配列されているものを生成する。立体選択的再水和は、テトラヒドロフラン(THF)中でボラン−THFを用いるヒドロホウ素化手順によって行って中間体ボラン複合体(図示せず)を形成させた後、水酸化ナトリウムのような塩基の存在下にて過酸化水素で酸化する。
次に、最初の精製工程を(例えば、HPLCによって)行って、再水和反応順序の生成物(V)を2S,3S,11bRおよび2R,3R,11bS異性体の混合物として得ることができるが、工程図には2S,3S,11bR異性体のみが示されている。異性体を分離するため、混合物をジクロロメタン中で塩化オキサリルおよびジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下でR(+)モッシャーの酸で処理して、ジアステレオ異性体エステル(VII)の対(1個のジアステレオ異性体のみが示されている)を得て、これを次にHPLCを用いて分離することができる。次いで、個々のエステルを水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物を用いて加水分解して、単一異性体(VI)を得ることができる。
スキーム1に示されている工程の順序の変形では、RR/SSテトラベナジンの還元の後に生成するジヒドロテトラベナジン(V)の鏡像異性体の混合物を分離して、個々の鏡像異性体を得ることができる。分離は、(+)または(−)カンファースルホン酸のようなキラル酸で塩を形成し、生成されたジアステレオ異性体を分別結晶によって分離し、単一鏡像異性体の塩を得た後、その塩から遊離塩基を取り出すことによって行うことができる。
分離したジヒドロテトラベナジン鏡像異性体を脱水して、アルケン(II)の単一鏡像異性体を得ることができる。次いで、アルケン(II)の再水和により、シス−ジヒドロテトラベナジン(VI)の単一鏡像異性体が優勢にまたは独占的に得られる。この変形の利点は、モッシャーの酸のエステルの形成を含まないので、モッシャーの酸のエステルを分離するのに典型的に用いられるクロマトグラフィー分離を行う必要がないことである。
スキーム2は、2−および3−位に結合した水素原子がシス相対配向で配列されている2R,3S,11bRおよび2S,3R,11bS配置を有する個々のジヒドロテトラベナジン異性体の調製を示している。この反応スキームは、上記で定義した工程Bを含む。
Figure 2009503045
スキーム2において、不飽和化合物(II)をテトラベナジンを還元して生成させてジヒドロテトラベナジンの2S,3R,11bRおよび2R,3S,11bS異性体(V)を得て、スキーム1に上記した方法でPClを用いて脱水する。しかしながら、化合物(II)をヒドロホウ素化に供す代わりに、2,3−二重結合をメタクロロ過安息香酸(MCPBA)と過塩素酸と反応させることによってエポキシドに転換する。エポキシ化反応は、メタノールのようなアルコール溶媒中で、典型的には室温附近で好都合に行われる。
次に、エポキシド(VII)に、ボラン−THFを親電子性還元剤として用いて還元的開環を行って中間体ボラン複合体(図示せず)を得て、これを次に水酸化ナトリウムのようなアルカリの存在下にて過酸化水素で酸化して開裂させ、ジヒドロテトラベナジン(VIII)を2R,3S,11bRおよび2S,3R,11bS異性体の混合物として得ることができるが、便宜上2R,3S,11bRのみが示されている。異性体(VIII)の混合物をジクロロメタン中で塩化オキサリルとジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下にてR(+)モッシャーの酸で処理すると、エピマーエステル(IX)の対(スキームには、1つのエピマーのみが示されている)が得られ、これを次にクロマトグラフィーによって分離し、スキーム1に関して上記した方法でメタノール中にて水酸化ナトリウムで加水分解することができる。
生物学的活性
本発明のシス−ジヒドロテトラベナジン化合物は、下記の実施例に例示されているように、シグマ−1およびシグマ−2受容体のいずれにも結合する。シス−ジヒドロテトラベナジンの4個の異性体は、シグマ−2に対するリガンドとしてほぼ等しい能力を有するが、異性体BとDは異性体AおよびCよりも強くシグマ−1受容体に結合する。
本発明のシス−ジヒドロテトラベナジン化合物は、そのシグマ受容体結合活性により、腫瘍細胞の増殖の阻害または予防に有用であると考えられる。
化合物が腫瘍細胞の増殖を阻害しまたは防止する能力は、例えば下記の実施例6に記載の方法でまたはSpruce et al., Cancer Research, (2004), 64:4875-4886に記載の方法を用いて、化合物を様々な腫瘍細胞系に対して試験することによって測定することができる。
細胞系に対するイン・ビトロでの検討に加えて、本発明の化合物は、免疫不全のマウスでのヒト腫瘍キセノグラフで、例えば、Spruce et al., (2004), p. 487で記載されているようにイン・ビボで試験することもできる。
本発明の化合物は、抗炎症薬としての活性を有するとも考えられる。化合物の抗炎症活性は、熟練者に周知の様々な方法を用いて試験することができる。
本発明の化合物の関節炎を治療する能力は、下記の検定法およびモデルの任意の1つ以上で明らかにすることができる:
(i) Kakimoto et al., Cell Immunol. 142: 326-337, 1992に記載のネズミコラーゲン誘導関節炎モデル。
(ii) Knoerzer et al., Toxicol. Pathol. 25:13-19, 1997に記載のラットコラーゲン誘導関節炎モデル。
(iii) Halloran et al., Arthritis Rheum. 39:810-819, 1996に記載のラットアジュバント関節炎モデル。
(iv) Schimmer, et al., J. Immunol. 160: 1466-1477, 1998に記載のラット連鎖球菌細胞壁誘導関節炎モデル。
(v) Oppenheimer-Marks et al., J. Clin. Invest. 101:1261-1272, 1998に記載のSCIDマウスヒト関節リウマチモデル。
本発明の化合物が炎症性肺損傷を治療する能力は、下記の分析法および検定モデルによって明らかにすることができる:
(vi) Wegner et al., Lung 170:267-279, 1992に記載のネズミ酸素誘導肺損傷モデル。
(vii) Mulligan et al., J. Immunol. 154:1350-1363, 1995に記載のネズミ免疫複合体誘導肺損傷モデル。
(viii) Nagase et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med. 154:504-510, 1996に記載のネズミ酸誘導肺損傷モデル。
本発明の化合物の炎症性腸疾患を治療する能力は、Bennet et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 280:988-1000, 1997に記載のウサギ化学誘導大腸炎モデルで明らかにすることができる。
本発明の化合物の炎症性肝臓損傷を治療する能力は、Tanaka et al., J. Immunol. 151:5088-5095, 1993に記載のネズミ肝臓損傷モデルで明らかにすることができる。
本発明の化合物の炎症性糸球体損傷を治療する能力は、Kawasaki, et al., J. Immunol 150:1074-1083, 1993に記載のラット腎毒性血清腎炎モデルで明らかにすることができる。
本発明の化合物の抗炎症活性は、下記の実施例に記載されているように炎症促進性サイトカインの産生を減少させ、かつT−細胞増殖を阻害する能力によっても示される。
医薬処方物
ジヒドロテトラベナジン化合物は、典型的には医薬組成物の形態で投与される。
医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻内、気管支内、眼、耳、直腸、膣内、または経皮投与に適する任意の形態とすることができる。組成物を非経口投与使用とする場合には、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下投与用に、または注射、輸液または他の送達手段によって標的器官または組織へ直接送達する目的で処方することができる。
経口投与に適する医薬の剤形としては、錠剤、カプセル、キャブレッツ、ピル、ロゼンジ、シロップ、溶液、スプレー、散剤、顆粒、エリキシルおよび懸濁液、舌下錠、スプレー、カシェ剤、またはパッチおよびバッカルパッチが挙げられる。
本発明のジヒドロテトラベナジン化合物を含有する医薬組成物は、既知手法によって処方することができ、例えば「レミントン薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」, Mack Publishing Company, イーストン, ペンシルバニア, 米国を参照されたい。
例えば、錠剤組成物は、単位投薬量の活性化合物を、糖または糖アルコール、例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトールのような不活性希釈剤またはキャリヤー、および/または炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、タルク、炭酸カルシウムのような糖以外から誘導した希釈剤、またはメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシ澱粉のような澱粉などのセルロースまたはその誘導体と共に含むことができる。錠剤は、ポリビニルピロリドンのような結合および造粒剤、崩壊剤(例えば、架橋カルボキシメチルセルロースのような膨潤性の架橋ポリマー)、滑沢剤(例えば、ステアレート)、防腐剤(例えば、パラベン)、酸化防止剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸またはクエン酸緩衝剤)、クエン酸/重炭酸塩混合物のような起泡剤などの標準的成分を含むこともできる。このような賦形剤は周知であり、本明細書で詳細に説明する必要はない。
カプセル処方物は硬質ゼラチンまたは軟質ゼラチンの種類であることがあり、活性成分を固体、半固体または液体形態で含むことができる。ゼラチンカプセルは、動物ゼラチンまたはその合成または植物由来の同等なものから形成することができる。
固体剤形(例えば、錠剤、カプセルなど)はコーティングを行ってもよく、またはコーティングを行わなくてもよいが、典型的にはコーティング、例えば保護フィルムコーティング(例えば、ワックスまたはワニス)または放出制御コーティングを有する。コーティング(例えば、Eudragit(登録商標)型ポリマー)は、消化管内の所望な部位で活性成分を放出するようにデザインすることができる。従って、コーティングは、消化管内の一定のpH条件下で崩壊させることによって化合物を胃、または回腸、または十二指腸に選択的に放出するように選択することができる。
コーティングの代わりに、または加えて、薬剤は、放出制御剤、例えば消化管での変化する酸性またはアルカリ性の条件下で化合物を選択的に放出するのに適合させることができる放出遅延剤、を含んでなる固体マトリックスで提示することができる。あるいは、マトリックス材料または放出遅延コーティングは、剤形が消化管を通過するときに実質的に連続的に侵食される侵食性ポリマー(例えば、無水マレイン酸ポリマー)の形態をとることができる。
局所使用の組成物としては、軟膏、クリーム、スプレー、パッチ、ゲル、液滴およびインサート(例えば、眼内インサート)が挙げられる。このような組成物は、既知の方法によって処方することができる。
非経口投与用の組成物は、典型的には滅菌水性または油性溶液または微細懸濁液として提示され、または注射用滅菌水でその場で作製するための細かく分割された滅菌粉末形態で提供することができる。
直腸または膣内投与用の処方物の例としては、例えば、活性化合物を含む成形可能なまたはワキシー材料から形成することができる膣座薬または座薬が挙げられる。
吸入投与用の組成物は、吸入可能な粉末組成物または液体もしくは粉末スプレーの形態をとることができ、粉末吸入装置またはエアゾール調剤装置を用いて標準的形態で投与することができる。このような装置は周知である。吸入による投与には、粉末化処方物は、典型的には活性化合物をラクトースのような不活性固体の粉末化希釈剤と共に含んでなる。
本発明の化合物は一般的には単位剤形で提示され、それ自体は所望なレベルの生物学的活性を提供するのに十分な化合物を含む。例えば、経口投与を目的とする処方物は、活性成分を2mg〜200mg、より普通には10mg〜100mg、例えば12.5mg、25mgおよび50mg含むことができる。
活性化合物は、それを必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に所望な治療効果を得るのに十分な量で投与される。
このような投与を必要としている人は、典型的には、上記で定義した癌のような増殖性疾患または炎症性疾患に罹っているまたは罹る危険性のある患者である。
化合物は、典型的には、治療上または予防上有用でありかつ通常は毒性のない量で投与される。しかしながら、状況によっては、特に癌治療の場合には、本発明のジヒドロテトラベナジン化合物を投与する利益は、如何なる毒性作用や副作用の不利益より重要であることがあり、このような場合には、毒性の程度と関連した量で化合物を投与するのが望ましいと考えることができる。
化合物の典型的な一日用量は1000mg/日以下、例えば、0.01mg〜10mg/kg体重、更に通常は0.025mg〜5mg/kg体重、例えば、3mg/kg体重、更に典型的には0.15mg〜5mg/kg体重の範囲とすることができるが、必要ならばこれより多いまたは少ない用量を投与することができる。
癌の治療には、式(I)の化合物を単独の治療薬として投与することができ、またはそれらを特定の疾患状態、例えば上記で定義した癌、の治療用の1以上の他の化合物との組合せ療法で投与することができる。式(I)の化合物と共に(同時にまたは異なる時間間隔で)用いるまたは投与することができる他の治療薬および方法の例としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない:
・トポイソメラーゼI阻害薬(例えば、トポテカン(Hycamtin)、イリノテカンおよびCPT11(Camptosar)のようなカンプトテシン化合物)。
・代謝拮抗薬(例えば、5−フルオロウラシル、ゲンシタビン(Gemzar)、ラルチトレキシド(Tomudex)、カペシタビン(Xeloda)、ペメトレキシド(Alimta)、シタラビンまたはシトシンアラビノシドまたはアラビノシルシトシン[AraC](Cytosar(登録商標))、メトトレキサート(Matrex)、フルダラビン(Fludara)、およびテガフールのような抗腫瘍ヌクレオシド)。
・チューブリンターゲッティング薬(例えば、ビンクリスチン(Oncovin)、ビノレルビン(Navelbine)、ビンブラスチン(Velbe)、パクリタキセル(Taxol)およびドセタキセル(Taxotere)のようなビンカアルカロイド、ビンブラスチンおよびタキサン化合物)。
・DNA結合薬およびトポII阻害薬(例えば、エトポシド(Eposin, Etophos, Vepesid, VP−16)、テニポシド(Vumon)、ダウノルビシン(Cerubidine, DaunoXome)、エピルビシン(Pharmorubicin)、ドキソルビシン(Adriamycine, Doxil, Rubex)、イダルビシン(Zavedos)、ペジル化リポソームドキソルビシン塩酸塩(Caeylx)、リポソームカプセル化ドキソルビシンクエン酸塩(Myocet)、ミトキサントロン(Novatrone, Onkotrone)のようなポドフィロトキシン誘導体およびアントラサイクリン誘導体)。
・アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド(Endoxana)、メルファラン(Alkeran)、クロラムブシル(Leukeran)、ブスルファン(Myleran)、カルムスチン(BiCNU)、ロムスチン(CCNU)、イフォスファミド(Mitoxana)、マイトマイシン(Mitomycin C Kyoma)のような窒素マスタードまたはニトロソウレアアルキル化剤およびアジリジン)。
・アルキル化剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン(Paraplatin)およびオキサリプラチン(Eloxatin)のような白金化合物)。
・モノクローナル抗体(例えば、EGFファミリーおよびその受容体、およびVEGFファミリーおよびその受容体、更に具体的にはトラスツヅマブ(Herceptin)、セツキシマブ(Erbitux)、リツキシマブ(Mabthera)、トシツモマブ(Bexxar)、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg)およびベバシツマブ(Avastin))。
・抗ホルモン薬(例えば、タモキシフェン(Nolvadex D, Soltamox, Tamofen)、フルベストラント(Faslodex)、ラロキシフェン(Evista)、トレミフェン(Fareston)、ドロロキシフェン、レトラゾール(Femara)、アナストラゾール(Arimidex)、エキセメスタン(Aromasin)、ボロゾール(Rivizor)、ビカルタミド(Casodex, Cosudex)、ルプロリド(Zoladex)、酢酸メゲストロール(Megace)、アミノグルテチミド(Cytadren)およびベキサロテン(Targretin)のような抗エストロゲン薬(例えば、アロマターゼ阻害薬)などの抗アンドロゲン薬)。
・シグナル伝達阻害薬(ゲフチニブ(Iressa)、イマチニブ(Gleevec)、エルロチニブ(Tarceva)およびセレコキシブ(Celebrex)など)。
・ボルテジミブ(Velcade)などのプロテアーゼ阻害薬。
・テモゾロミド(Temodar)などのDNAメチルトランスフェラーゼ。
・インターフェロンα(IntronA, Roferon−A)、インターロイキン2(Aldesleukin, Proleukin)および総てのトランスレチノイン酸[ATRA]またはトレチノイン(Vesanoid)などのサイトカインおよびレチノイド。
・放射線療法。
本発明の化合物を併用療法において他の治療薬または治療方法と共に投与する場合には、2以上の治療法を個々に種々の用量計画で、かつ異なる経路で行うことができる。
本発明の化合物を併用療法において1以上の他の治療薬と共に投与する場合には、化合物を同時にまたは順次に投与することができる。順次に投与する場合には、間隔を狭めて(例えば、5〜10分間以上)または長めの間隔で(例えば、1、2、3、4時間以上離して、または必要ならば更に長時間離して)投与することができるが、正確な投薬法は(複数の)治療薬の特性に対応する。
本発明の化合物は、放射線療法、光ダイナミック療法、遺伝子療法、手術および食事管理のような化学療法以外の治療法と共に投与することもできる。
別の化学療法薬と共に併用療法で用いるには、本発明の化合物と1、2、3、4種類以上の他の治療薬を、例えば2、3、4種類以上の治療薬を含む投薬形態で一緒に処方することができる。あるいは、個々の治療薬を別々に処方し、キットの形態で、場合によってはその使用説明書と共に提示することができる。
実施例
下記の非制限的実施例により、本発明のジヒドロテトラベナジン化合物の合成および特性を説明する。
実施例1
ジヒドロテトラベナジンの2S,3S11bRおよび2R,3R11bS異性体の調製
1A. RR/SSテトラベナジンの還元
Figure 2009503045
テトラヒドロフラン中の1M L−セレクトリド(登録商標)(135ml,135ミリモル,2.87当量)を、30分間かけてテトラベナジンRR/SSラセミ体(15g,47ミリモル)のエタノール(75ml)とテトラヒドロフラン(75ml)の攪拌溶液に0℃で徐々に加えた。添加を完了した後、混合物を0℃で30分間攪拌し、次いで室温まで温度を上昇させた。
混合物を粉砕氷(300g)上に空けて、水(100ml)を加えた。溶液をジエチルエーテル(2x200ml)で抽出し、合わせたエーテル抽出物を水(100ml)で洗浄し、無水炭酸カリウム上で部分乾燥した。無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥を完了し、濾過した後、溶媒を減圧留去し(遮光,槽温度<20℃)、淡黄色固形物を得た。
固体を石油エーテル(30〜40℃)でスラリー状にし、濾過して、白色粉末状固形物(12g,80%)を得た。
1B. 還元テトラベナジンの脱水
Figure 2009503045
五塩化リン(32.8g,157.5ミリモル,2.5当量)を、30分間かけて実施例1Aからの還元テトラベナジン生成物(20g,62.7ミリモル)のジクロロメタン(200ml)の攪拌溶液に0℃で分割して加えた。添加を完了した後、反応混合物を0℃で更に30分間攪拌し、溶液を粉砕氷を含む2M炭酸ナトリウム水溶液(0℃)に徐々に空けた。初期の酸ガス発生が止んだら、混合物を固形炭酸ナトリウムを用いて塩基性(約pH12)にした。
アルカリ性溶液を酢酸エチル(800ml)を用いて抽出し、合わせた有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。濾過後、溶媒を減圧留去して褐色油状生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル)によって精製し、半純粋アルケンを黄色固形物として得た(10.87g,58%)。
1C. 実施例1Bからの粗アルケンの水和
Figure 2009503045
実施例1Bからの粗アルケン(10.87g,36.11ミリモル)を乾燥THF(52ml)に室温で溶解したものに、1Mボラン−THF(155.6ml,155.6ミリモル,4.30当量)を滴加して処理した。反応を2時間攪拌し、水(20ml)を加え、溶液を30%水酸化ナトリウム水溶液でpH12の塩基性にした。
30%過酸化水素水溶液(30ml)を攪拌アルカリ性反応混合物に加え、溶液を加熱して1時間還流した後、放冷した。水(100ml)を加え、混合物を酢酸エチル(3x250ml)で抽出した。有機抽出物を合わせて、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去して黄色油状生成物(9g)を得た。
油状生成物を調製用HPLC(カラム:Lichrospher Si60,5μm,250x21.20mm,移動相:ヘキサン:エタノール:ジクロロメタン(85:15:5);UV 254nm,流速:10ml分−1)を用いて350mg/注入で精製した後、目的とする画分を真空濃縮した。生成された油状物を次にエーテルに溶解し、再度真空濃縮して、上記に示したジヒドロテトラベナジンラセミ体を黄色フォーム(5.76g,50%)として得た。
1D. モッシャーエステル誘導体の調製
Figure 2009503045
R−(+)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸(5g,21.35ミリモル)、塩化オキサリル(2.02ml)およびDMF(0.16ml)を無水ジクロロメタン(50ml)に加え、溶液を室温で45分間攪拌した。溶液を減圧濃縮し、残渣を再度無水ジクロロメタン(50ml)に溶解した。生成された溶液を氷−水槽を用いて冷却し、ジメチルアミノピリジン(3.83g,31.34ミリモル)を加えた後、実施例1Cの固体生成物(5g,15.6ミリモル)を予備乾燥した(4Å篩上)無水ジクロロメタンに溶解したものを加えた。室温で45分間攪拌した後、水(234ml)を加え、混合物をエーテル(2x200ml)で抽出した。エーテル抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカのパッドを通し、生成物をエーテルを用いて溶出させた。
集めたエーテル溶出物を減圧濃縮して油状生成物を得て、カラムクロマトグラフィー(シリカ,ヘキサン:エーテル(10:1))を用いて精製した。集めた目的のカラム画分を蒸発させて溶媒を減圧で留去したところ、固形物を得て、カラムクロマトグラフィー(シリカ,ヘキサン:酢酸エチル(1:1))を用いて更に精製し、3つの主成分が得られ、これらを部分的にモッシャーエステルピーク1および2に分割した。
300mgの装填量での3成分の調製用HPLC(カラム:2xLichrospher Si60,5μm,250x21.20mm,移動相:ヘキサン:イソプロパノール(97:3),UV 254nm;流速:10ml分−1)の後、目的画分を真空濃縮したところ、純粋なモッシャーのエステル誘導体を得た。
ピーク1 (3.89g,46.5%)
ピーク2 (2.78g,33%)
2つのピークに対応する画分に加水分解を施し、異性体AおよびBとして同定され特性決定された個々のジヒドロテトラベナジン異性体を遊離した。異性体AおよびBは、それぞれ下記の構造の1つを有すると思われる。
Figure 2009503045
更に具体的には、異性体Bは、下記の実施例4に記載のX線結晶学実験に基づいて2S,3S,11bR絶対配置を有すると思われる。
1E. ピーク1の加水分解による異性体Aの生成
20%水酸化ナトリウム水溶液(87.5ml)をモッシャーのエステルピーク1(3.89g,7.27ミリモル)をメタノール(260ml)に溶解したものに加え、混合物を攪拌加熱して150分間還流させた。室温まで冷却した後、水(200ml)を加え、溶液をエーテル(600ml)で抽出し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮した。
残渣を酢酸エチル(200ml)を用いて溶解し、溶液を水(2x50ml)で洗浄し、有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮し、黄色フォームを得た。この材料を、カラムクロマトグラフィー(シリカ,酢酸エチル:ヘキサン(1:1)−酢酸エチルの勾配溶出)によって精製した。目的の画分を合わせて、溶媒を減圧留去した。残渣をエーテルに溶解させ、溶媒を再度減圧留去し、異性体Aを灰白色フォーム(1.1g,47%)として得た。
2R,3R,11bS配置を有すると思われる(絶対立体化学は決定しなかった)異性体Aを、H−NMR、13C−NMR、IR、質量分析法、キラルHPLCおよびORDによって特性決定した。異性体AのIR、NMRおよびMSデータを表1に示し、キラルHPLCおよびORDデータを表3に示す。
1F. ピーク2の加水分解による異性体Bの生成
20%水酸化ナトリウム水溶液(62.5ml)をモッシャーのエステルピーク2(2.78g,5.19ミリモル)をメタノール(185ml)に溶解したものに加え、混合物を攪拌加熱して150分間還流させた。室温まで冷却した後、水(142ml)を加え、溶液をエーテル(440ml)で抽出し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮した。
残渣を酢酸エチル(200ml)を用いて溶解させ、溶液を水(2x50ml)で洗浄し、有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、減圧濃縮した。石油エーテル(30〜40℃)を残渣に加え、溶液を再度真空濃縮し、異性体Bを白色フォーム(1.34g,81%)として得た。
2S,3S,11bR配置を有すると思われる異性体Bを、H−NMR、13C−NMR、IR、質量分析法、キラルHPLC、ORDおよびX線結晶学によって特性決定した。異性体BのIR、NMRおよびMSデータは表1に示し、キラルHPLCおよびORDデータ表3に示す。X線結晶学データは、実施例4に示す。
実施例2
ジヒドロテトラベナジンの2R,3S,11bRおよび2S,3R,11bS異性体の調製
2A. 2,3−デヒドロテトラベナジンの調製
テトラヒドロフラン中にRRおよびSSテトラベナジン鏡像異性体のラセミ混合物(15g,47ミリモル)を含む溶液を実施例1Aの方法によってL−セレクトリド(登録商標)を用いて還元し、ジヒドロテトラベナジンの2S,3R,11bRおよび2R,3S,11bS鏡像異性体の混合物を白色粉末状固形物(12g,80%)として得た。次に、部分精製したジヒドロテトラベナジンを実施例1Bの方法に従ってPClを用いて脱水し、2,3−デヒドロテトラベナジン11bRおよび11bS異性体の半純粋混合物(その11bR鏡像異性体を下記に示す)を黄色固形物(12.92g,68%)として得た。
Figure 2009503045
2B. 実施例2Aからの粗アルケンのエポキシ化
Figure 2009503045
実施例2Aからの粗アルケン(12,92g,42.9ミリモル)をメタノール(215ml)に攪拌溶解したものに70%過塩素酸(3.70ml,43ミリモル)をメタノール(215ml)に溶解したものに加えた。77% 3−クロロ過安息香酸(15.50g,65ミリモル)を反応に加え、生成された混合物を室温遮光下で18時間攪拌した。
反応混合物を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(200ml)に空けて、水(200ml)を加えた。クロロホルム(300ml)を生成エマルションに加え、混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(400ml)で塩基性にした。
有機層を集めて、水相を追加のクロロホルム(2x150ml)で洗浄した。合わせたクロロホルム層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去して、褐色油状物(14.35g,収率>100% 溶媒が生成物に残っていると思われる)を得た。この材料を、更に精製することなく用いた。
2C. 2Bからのエポキシドの還元的開環
Figure 2009503045
実施例2Bからの粗エポキシド(14.35g,42.9ミリモル,100%収率と仮定)を乾燥THF(80ml)に攪拌溶解したものを、1Mボラン/THF(184.6ml,184.6ミリモル)で15分間かけて徐々に処理した。反応を2時間攪拌し、水(65ml)を加えて、溶液を攪拌加熱により30分間還流した。
冷却後、30%水酸化ナトリウム溶液(97ml)を反応混合物に加えた後、30%過酸化水素溶液(48.6ml)を加え、反応を攪拌および加熱により更に1時間還流した。
冷却した反応混合物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した酢酸エチル(500ml)で抽出し、濾過した後、溶媒を減圧留去し、油状物を得た。ヘキサン(230ml)を油状物に加え、溶液を再度減圧濃縮した。
油状残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル)によって精製した。目的の画分を合わせて、溶媒を減圧留去した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカ,勾配,ヘキサン−エーテル)を用いて再度精製した。目的の画分を合わせて、溶媒を減圧留去し、淡黄色固形物(5.18g,38%)を得た。
2D. ジヒドロテトラベナジンの2R,3S,11bRおよび2S,3R,11bS異性体のモッシャーエステル誘導体の調製
Figure 2009503045
R−(+)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸(4.68g,19.98ミリモル)、塩化オキサリル(1.90ml)およびDMF(0.13ml)を無水ジクロロメタン(46ml)に加え、溶液を室温で45分間攪拌した。溶液を減圧濃縮し、残渣を再度無水ジクロロメタン(40ml)に溶解した。生成する溶液を氷−水槽を用いて冷却し、ジメチルアミノピリジン(3.65g,29.87ミリモル)を加えた後、実施例2C(4.68g,14.6ミリモル)の固体生成物を予備乾燥した(4Å篩上)無水ジクロロメタン(20ml)に溶解したものを加えた。室温で45分間攪拌した後、水(234ml)を加えて、混合物をエーテル(2x200ml)で抽出した。エーテル抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、シリカのパッドを通し、生成物をエーテルを用いて溶出させた。
集めたエーテル溶出物を減圧濃縮して、油状物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(シリカ,ヘキサン:エーテル(1:1))を用いて精製した。集めた目的のカラム画分を蒸発させて溶媒を減圧で留去したところ、淡紅色固形物(6.53g)を得た。
100mgの装填量での固形物の調製用HPLC(カラム:2xLichrospher Si60,5μm,250x21.20mm,移動相:ヘキサン:イソプロパノール(97:3),UV254nm;流速:10ml分−1)の後、目的画分を真空濃縮したところ、固形物が得られ、これを石油エーテル(30〜40℃)でスラリー状にして、濾過によって集め、純粋なモッシャーのエステル誘導体を得た。
ピーク1 (2.37g,30%)
ピーク2 (2.42g,30%)
2つのピークに対応する画分を加水分解して、異性体CおよびDとして同定され特性決定された個々のジヒドロテトラベナジン異性体を遊離した。異性体CおよびDは、それぞれ下記の構造
Figure 2009503045
を有すると思われる。
2F. ピーク1の加水分解による異性体Cの生成
20%水酸化ナトリウム水溶液(53ml)を、モッシャーエステルピーク1(2.37g,4.43ミリモル)をメタノール(158ml)に攪拌溶解したものに加え、混合物を還流温度で150分間攪拌した。冷却後、水(88ml)を反応混合物に加え、生成する溶液をエーテル(576ml)で抽出した。有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去した。酢酸エチル(200ml)を残渣に加え、溶液を水(2x50ml)で洗浄した。有機溶液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去した。
この残渣を石油エーテル(30〜40℃)で処理し、生成する懸濁固形物を濾過によって集めた。濾液を減圧濃縮し、懸濁固形物の第二のバッチを濾過によって集めた。両方の集めた固形物を合わせて、減圧乾燥し、異性体C(1.0g,70%)を得た。
2R,3S,11bRまたは2S,3R,11bS配置(絶対立体化学は決定しなかった)のいずれかを有すると思われる異性体Cを、H−NMR、13C−NMR、IR、質量分析法、キラルHPLCおよびORDによって特性決定した。異性体CについてのIR、NMRおよびMSデータは表2に示し、キラルHPLCおよびORDデータは表4に示す。
2G. ピーク2の加水分解による異性体Dの生成
20%水酸化ナトリウム水溶液(53ml)を、モッシャーのエステルピーク2(2.42g,4.52ミリモル)をメタノール(158ml)に攪拌溶解したものに加え、混合物を還流温度で150分間攪拌した。冷却後、水(88ml)を反応混合物に加え、生成された溶液をエーテル(576ml)で抽出した。有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去した。酢酸エチル(200ml)を残渣に加え、溶液を水(2x50ml)で洗浄した。有機溶液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧留去した。
この残渣を石油エーテル(30〜40℃)で処理し、生成された懸濁橙色固形物を濾過によって集めた。この固形物を酢酸エチル:ヘキサン(15:85)に溶解し、カラムクロマトグラフィー(シリカ,勾配:酢酸エチル:ヘキサン(15:85)−酢酸エチル)によって精製した。目的の画分を合わせて、溶媒を減圧留去した。残渣を石油エーテル(30〜40℃)でスラリー状にし、生成する懸濁液を濾過によって集めた。集めた固形物を減圧乾燥し、異性体Dを白色固形物(0.93g,64%)として得た。
2R,3S,11bRまたは2S,3R,11bS配置(絶対立体化学は決定しなかった)のいずれかを有すると思われる異性体Dを、H−NMR、13C−NMR、IR、質量分析法、キラルHPLCおよびORDによって特性決定した。異性体DについてのIR、NMRおよびMSデータは表2に示し、キラルHPLCおよびORDデータは表4に示す。
表1および2において、赤外スペクトルはKBrディスク法を用いて決定した。H NMRスペクトルは、Varian Gemini NMR分光計(200MHz.)を用いて重水素化クロロホルムの溶液について測定した。13C NMRスペクトルは、Varian Gemini NMR分光計(50MHz)を用いて重水素化クロロホルムの溶液について測定した。質量スペクトルは、Micromass Platform II (ES条件)分光計を用いて得た。表3および4において、旋光分散曲線は、Optical Activity PolAAr 2001装置を用いてメタノール溶液中で24℃で得た。HPLC保持時間は、UV検出器を備えたHP 1050 HPLCクロマトグラフィー装置を用いて測定した。
表1および2: 分光データ
Figure 2009503045
Figure 2009503045
表3および4: クロマトグラフィーおよびORDデータ
Figure 2009503045
Figure 2009503045
実施例3
異性体Bの調製およびメシレート塩の調製の代替法
3A. RR/SS テトラベナジンの還元
Figure 2009503045
1M L−セレクトリド(登録商標)をテトラヒドロフランに溶解したもの(52ml,52ミリモル,1.1当量)を、テトラベナジンラセミ体(15g,47ミリモル)をテトラヒドロフラン(56ml)に攪拌溶解して冷却したもの(氷槽)に30分間かけて徐々に加えた。添加を完了した後、混合物を室温まで温度上昇させ、更に6時間攪拌した。TLC分析(シリカ,酢酸エチル)は、出発材料が極めて微量しか残っていないことを示していた。
混合物を、粉砕氷(112g)、水(56ml)および氷酢酸(12.2g)の攪拌混合物に空けた。生成される黄色溶液をエーテル(2x50ml)で洗浄し、固形炭酸ナトリウム(約13g)を徐々に加えて塩基性にした。石油エーテル(30〜40℃)(56ml)を混合物に攪拌しながら加え、粗β−DHTBZを濾過によって白色固形物として集めた。
粗固形物をジクロロメタン(約150ml)に溶解し、生成される溶液を水(40ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過して、約40mlまで減圧濃縮した。白色固形物の粘稠な懸濁液が、形成された。石油エーテル(30〜40℃)(56ml)を加え、懸濁液を実験室温度で15分間攪拌した。生成物を濾過によって集め、フィルター上で石油エーテル(30〜40℃)(40〜60ml)を用いて純白になるまで洗浄した後、室温で風乾し、β−DHTBZ(10.1g,67%)を白色固形物として得た。TLC分析(シリカ,酢酸エチル)は、1成分のみを示していた。
3B. ラセミβ−DHTBZのカンファースルホン酸塩の調製および分別結晶
実施例3Aの生成物と1当量の(S)−(+)−カンファー−10−スルホン酸を、最小限の量のメタノールに加熱しながら溶解した。生成される溶液を冷却した後、生成される固形物沈澱の形成が完了するまでエーテルで徐々に希釈した。生成される白色結晶性固形物を濾過によって集め、エーテルで洗浄した後、乾燥した。
カンファースルホン酸塩(10g)を、高温絶対エタノール(170ml)およびメタノール(30ml)の混合物に溶解した。生成される溶液を、攪拌して冷却した。2時間後、形成された沈澱を、白色結晶性固形物(2.9g)として濾過によって集めた。結晶性材料の試料を、過剰の飽和炭酸ナトリウム水溶液およびジクロロメタンと共に分液漏斗中で振盪した。有機相を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。残渣を石油エーテル(30〜40℃)を用いて磨砕し、有機溶液を再度濃縮した。この塩のChirex(S)−VALおよび(R)−NEA 250x4.6mmカラム、およびヘキサン:エタノール(98:2)溶離剤を流速が1ml/分で用いるキラルHPLC分析では、単離したβ−DHTBZは一方の鏡像異性体が豊富であった(e.e.約80%)。
豊富なカンファースルホン酸塩(14g)を高温の絶対エタノール(140ml)に溶解し、プロパン−2−オール(420ml)を加えた。生成される溶液を攪拌し、1分以内に沈澱が形成し始めた。混合物を室温まで冷却し、1時間攪拌した。形成された沈澱をを濾過によって集め、エーテルで洗浄し、乾燥して、白色結晶性固形物(12g)を得た。
結晶性材料を、過剰量の飽和炭酸ナトリウム水溶液とジクロロメタンと共に分液漏斗中で振盪した。有機相を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。残渣を石油エーテル(30〜40℃)を用いて磨砕し、有機溶液を再度濃縮し、(真空乾燥後に)(+)−β−DHTBZ(6.6g,ORD+107.8°)を得た。単離された鏡像異性体はe.e.>97%である。
3C. 異性体Bの調製
五塩化リン(4.5g,21.6ミリモル,1.05当量)をジクロロメタン(55ml)に溶解したものを、実施例3Bの生成物(6.6g,20.6ミリモル)をジクロロメタン(90ml)に溶解して攪拌冷却したもの(氷水槽)に一定速度で10分間かけて加えた。添加を完了したならば、生成される黄色溶液を更に10分間攪拌した後、炭酸ナトリウム(15g)を水(90ml)および粉砕氷(90g)に混合攪拌したものに素早く空けた。混合物を更に10分間攪拌した後、分液漏斗に移した。
相を分離したならば、褐色ジクロロメタン層を採りだし、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、粗アルケン中間体を褐色油状物(約6.7g)として得た。TLC分析(シリカ,酢酸エチル)は、(+)−β−DHTBZが粗生成物に残っていないことを示していた。
粗アルケン(乾燥窒素雰囲気中)を無水テトラヒドロフラン(40ml)に溶解し、ボランをTHFに溶解したもの(1M溶液,2.5当量,52ml)を攪拌しながら15分間かけて加えた。反応混合物を、次に室温で2時間攪拌した。TLC分析(シリカ,酢酸エチル)は、アルケン中間体が反応混合物に残っていないことを示していた。
水酸化ナトリウム(3.7g)を水(10ml)に溶解したものを攪拌反応混合物に加えた後、過酸化水素水溶液(50%,約7ml)を加え、形成された二相混合物を還流温度で1時間攪拌した。この時点での有機相のTLC分析(シリカ,酢酸エチル)は、異性体Bについて予想したRfを有する生成物の出現を示していた。特徴的な無極性成分も見られた。
反応混合物を室温まで冷却し、分液漏斗に空けた。上部の有機層を採りだして減圧濃縮し、大半のTHFを除去した。残渣をエーテル(安定化(BHT),75ml)に溶解し、水(40ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して、減圧濃縮し、淡黄色油状物(8.1g)を得た。
黄色油状物をカラムクロマトグラフィー(シリカ,酢酸エチル:ヘキサン(80:20),100%酢酸エチルまで増加)を用いて精製し、所望なカラム画分を集め、合わせて、減圧濃縮し、青白色油状物を得て、これをエーテル(安定化,18ml)で処理し、減圧濃縮し、異性体Bを淡黄色固形フォーム(2.2g)として得た。
実施例3Bに示した条件を用いるキラルHPLCにより、異性体Bは97%を上回る鏡像異性体過剰量(e.e.)で生成したことが明らかになった。
旋光度をBellingham Stanley ADP220旋光計を用いて測定し、[α]+123.5°を得た。
3D. 異性体Bのメシレート塩の調製
異性体Bのメタンスルホン酸塩は、実施例3Cからの1当量の異性体Bと1当量のメタンスルホン酸の混合物を最小限の量のエタノールに溶解した後、ジエチルエーテルを加えることによって調製した。形成される白色沈澱を濾過によって集め、真空乾燥して、メシレート塩を収率約85%および純度(HPLCによる)約96%で得た。
実施例4
異性体BについてのX線結晶学的検討
異性体Bの(S)−(+)−カンファー−10−スルホン酸塩を調製し、単結晶について下記の条件下でX線結晶学的検討を行った。
回折計: Nonius KappaCCD領域検出器(t/iスキャンおよびOJスキャンによる非対称性ユニットを満たす)
セル決定(Cell determination): DirAx (Duisenberg, A.J.M.(1992). J. Appl. Cryst. 25, 92-96.)
データ収集: Collect (Collect: Data collection software, R. Hooft, Nonius B. V5 1998)
データー還元およびセル微細化(refinement): Demo (Z. Otwinowski & W. Minor, Methods in Enzymology (1997) Vol. 276: Macromolecular Crystallography, part A, pp. 307- 326; C. W. Carter, Jr & R. M. Sweet, Eds., Academic Press).
吸収補正: Sheldrick, G. M. SADABS − Bruker Nonius領域検出器スケーリングおよび吸収補正 − V2.\0
構造説明: SHELXS97 (G. M. Sheldrick, Acta Cryst. (1990) A46 467-473).
構造精製: SHELXL97 (G. M. Sheldrick (1997), University of Goettingen, Germany)
グラフィック: Cameron − A Molecular Graphics Package (D. M. Watkin, L. Pearce and C K. Prout, Chemical Crystallography Laboratory, University of Oxford, 1993)
特殊な詳細: 総ての水素原子は、ディファレンス・マップに置かれ、レストレイント(restraints)を用いて微細化したNHおよびOHの水素原子を除き、理想化位置に置き、ライディングモデルを用いて微細化した。キラリティー: NI=R, CI2=S, CI3=S, CI5=R, C21=S, C24=R
検討の結果を、表A、B、C、DおよびEに示す。
表において、RUS0350というラベルは異性体Bを表す。
Figure 2009503045
Figure 2009503045
Figure 2009503045
Figure 2009503045
Figure 2009503045
Figure 2009503045
Figure 2009503045
Figure 2009503045
Figure 2009503045
Figure 2009503045
Figure 2009503045
30%の確率水準で描いた熱振動楕円体
上記のデーターに基づいて、異性体Bは2S,3S,11bR配置を有し、式(Ia)
Figure 2009503045
に対応していると思われる。
実施例5
シグマ受容体結合研究
4種類のジヒドロテトラベナジン異性体A、B、CおよびDに特異結合分析法を行い、シグマ−1およびシグマ−2受容体へのそれらの結合能力を試験した。結果を表5に示す。
(a) シグマσ受容体:
文献: Ganapathy et al., Pharmacol. Exp. Ther., 289:251-
260, (1999)
供給源: ヒトジャーカット細胞
リガンド: 8nM [H]ハロペリドール
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:4時間、25℃
インキュベーション緩衝液: 5mM KHPO/KHPO緩衝液 pH7.5
非特異的リガンド: 10μMハロペリドール
Kd: 5.8nM
max: 0.71ピコモル/mg タンパク質
特異的結合: 80%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の>50%

(b)シグマσ受容体:
文献: Hashimoto et al. , Eur. J. Pharmacol. , 236: 159-1
63, (1993)
供給源: ウィスターラット脳
リガンド: 3nM [H]イフェンプロジル
ビヒクル: 1% DMSO
インキュベーション時間/温度:60分間、37℃
インキュベーション緩衝液: 50mMトリス−HCl,pH7.4
非特異的リガンド: 10μMイフェンプロジル
Kd: 4.8nM
max: 1.3ピコモル/mg タンパク質
特異的結合: 85%
定量方法: 放射性リガンド結合
有意基準: 最大刺激または阻害の>50%
Figure 2009503045
データは、4種類総ての異性体がシグマ−1およびシグマ−2受容体のいずれにも結合することを示している。これら4種類の異性体はシグマ−2受容体での結合研究ではほぼ等しい効力を有するが、異性体BおよびDはシグマ−1受容体に対して一層強い結合を示す。
実施例6
抗増殖活性
本発明の化合物の抗増殖活性は、多数の細胞系における細胞増殖を阻害する化合物の能力を測定することによって決定することができる。細胞増殖の阻害は、アラマーブルー分析法(Nociari, M.M, Shalev, A., Benias, P., Russo, C. Journal of Immunological Methods 1998, 213, 157-167)を用いて測定される。この方法は、生存細胞がレサズリンをその蛍光生成物レゾルフィンに還元する能力に基づいている。それぞれの増殖分析に対して、細胞を96穴プレート上で培養し、16時間回復させた後、阻害薬化合物を更に72時間添加する。インキュベーション期間の終了時に、10%(v/v)アラマーブルーを加え、更に6時間インキュベーションした後、535nM ex/590nM emで蛍光生成物を測定した。非増殖細胞分析の場合には、細胞を96時間コンフルエンスに保持した後、阻害薬化合物を更に72時間添加する。生存細胞の数を、上記のアラマーブルー分析法によって測定する。総ての細胞系は、ECACC(European Collection of Cell Cultures)から得ている。このような細胞系の例は、ヒトSK−N−SH神経芽細胞腫およびラットC6神経膠腫細胞系である。
実施例7
ヒト単球によるサイトカインのLPS/IFN刺激産生に対する本発明の化合物の効果の測定
本発明の化合物を、ヒト単球によるサイトカインの産生を調節することができる範囲を決定する目的で試験した。単球はマクロファージの前駆体であり、広範囲の疾患状態における炎症性サイトカインの重要な供給源である。従って、単球産生に対する本発明の化合物の活性は、化合物が抗炎症活性を有する可能性の良好な指標を提供する。
下記の治療群を設定した。
Figure 2009503045
手順
ヒト単球のサイトカイン産生の調節
材料
MACS緩衝液:1xPBS pH7.2, 2mM EDTA(Sigma),5%ヒトAB血清
培地:500ml RPMI1640(Invitrogen),5ml Penstrep(Sigma),5ml L−グルタミン(Invitrogen),10ml HEPES(Sigma),5%自己血漿
化合物:無水エタノール中に10mMで保管
LPS:Salmonella abortis,1mg/ml(Sigma,製品番号L1887)
IFNγ:組換えヒト,10μg/ml(BD Pharmacia,製品番号554617)
MACS CD14正の選択ビーズおよびLSカラム(Miltenyi Biotech)
CD14:FITC抗体(Miltenyi Biotech)
軟膜(buffy coat)はBristol National Blood Servicesから入手。
血液1mlは、7x10個の全細胞を供給する。
自己血漿の調製
軟膜を3500rpmで10分間回転する。
上部血漿層を取りだし、56℃で30分間熱不活性化する。
3500rpmで10分間回転し、熱不活性化した補体タンパク質などを除去する。
末梢血単球細胞(PBMC)単離
1. 残っている軟膜を等容のRPMI1640培地に再懸濁し、反転混合する。
2. ヒストパーク(histopaque)(Sigma)を室温(RT)まで予備加温し、10mlを全体に加える。
3. 15mlの血液/培地混合物で徐々に被覆する。
4. RTにて1600rpmで25分間回転する(減速なし)。
5. PBMCを培地とヒストパークとの間の界面層に分離し、細胞を50ml ファルコン(Falcon)に移し、10ml培地を加える。
6. RTにて1800rpmで10分間回転する。
7. 40mlRPMI培地で3回洗浄し、培地に再懸濁する。
CD14 マイクロビーズを用いる正の選択によりCD14 細胞の単離
氷上で予め冷却した溶液を用いて作業する。
1. 細胞数(313x10x5x10=1.565x10全細胞)を決定する。
2. 蛍光活性化細胞選別(FACS)分析の目的で100μl細胞試料を取り出す(予備選択試料)。
3. 4℃にて1800rpmで10分間回転する。上清を除く。
4. ペレットを1x10個の全細胞当たり80μl緩衝液に再懸濁する(2400μl/全細胞)。
5. 20μlのCD14マイクロビーズ/1x10個の全細胞を加える(400μl/全細胞)。
6. 十分に混合し、4−8℃で15分間インキュベーションする。
7. 細胞を1〜2mlの緩衝液で洗浄し、4℃にて300xgで10分間回転する。
8. 1x10個の細胞/500μl緩衝液まで再懸濁する(1ml/全細胞)。
LSカラムを用いる磁気分離
1. MACS(登録商標)分離器の磁場にカラムを置く。カラムを3mlのMACS緩衝液で洗浄する。
2. 細胞懸濁液をカラムに加える。
3. 通過する未標識細胞を集める。カラムを3ml緩衝液で3回洗浄し、それぞれの洗浄の間にはカラム液溜めを空にする。全流出物を集める(未標識細胞画分)。
4. 分離器からカラムを外し、収集管上に置く。
5. 5mlの緩衝液をカラムに加え、カラムプランジャーを使用することによって磁気標識した細胞を含む画分を直ちに流し出す。
6. MACS緩衝液中の細胞を回転し、細胞ペレットを培地に再懸濁する。
7. 正に選択された細胞について細胞計数を行う。
71x20x5x10=7.1x10個の細胞/ml。1.75mlであるから、1.24x10個の全細胞となる。
8. 試料を採取してFACSによって純度をチェックする。10μlのCD14−FITC抗体を加え、4−8℃で5分間インキュベーションする。
化合物調製
無水エタノール中で10mMの化合物を調製する。培地中で培養する前に必要な濃度まで希釈する。
細胞培養
単離したCD14単球を、24穴プレートで1x10細胞/ml/ウェルで培養した。単球を、下表に示す様々な希釈度の試験化合物および対照化合物の存在下にて培養した。一晩インキュベーションした後、LPS(10μg/ml)およびIFNγ(100ng/ml)を加えて単球の活性化を刺激し、CB2発現を高めた。48時間後に、上清を採り出してCBAサイトカイン分析を行った。
CBAサイトカイン分析(BenderMedSystems ヒトTh1/Th2キット[製品番号BMS716FF])
使用前に、総ての緩衝液を室温にし、渦流混合する。
1. 450mlの蒸留水に加えて徐々に混合することによって、アッセイバッファーを作製する。4℃で保管する。
2. それぞれのビオチン接合体600μlを全体に加えることによって、ビオチン接合体混合物を作製する。
3. それぞれのビーズセット300μlを加えることによって、ビーズ混合物を作製する。
4. バイアルのラベルに推奨されているようにそれぞれの標準物を蒸留水で再構成する。100μlのアッセイバッファーを、標準物1とラベルが貼られたチューブに加える。それぞれの再構成した標準物10μlを加え、混合する。標準混合物を連続希釈する(100μlアッセイバッファーをチューブ2−7に入れ、50μl標準物1をチューブ2に加え、混合し、50μlをチューブ3に加える、など)。
5. FACSチューブをラベルし、標準物1−7 25μlを指定チューブ加える。25μlのアッセイバッファーをブランクチューブに加える。
6. 試料25μlを指定した試料チューブに加える。
7. ビーズ混合物25μlを総てのチューブに加える。
8. 50μlビオチン接合体を総てのチューブに加える。
9. 渦流によって混合した後、金属箔で被覆し、RTにて2時間インキュベーションする。
10. 176μlを5324μlアッセイバッファーに混合することによって、ストレプアビジン−PE溶液を調製する。アッセイバッファー1mlを総てのチューブに加え、200xgで5分間回転する。上清を捨てる。洗浄処置を繰り返し、上清を捨てる。
11. ストレプアビジン−PE 50μlを総てのチューブに加える。渦流混合の後、金属箔で被覆し、RTにて1時間インキュベーションする。
12. 洗浄処置を2回繰り返す。
13. アッセイバッファー500μlを総てのチューブに加える。
フローサイトメーターの設定
ポジティブおよびネガティブビーズ(キットで供給)を用いて設定を最適にし、補正などを決定する。試料の前に標準曲線を用い、ゲートされた集団について3000イベントを計数する(300イベント/検体)。
結果
結果を図1〜6に示す。図において、ラベルRU348は異性体Dを表す。
図1〜6から分かるように、2個のシス−ジヒドロテトラベナジン異性体BおよびDは、いずれもLPS/IFNによって刺激した単球における様々なサイトカインの産生を減少させた。
例えば、異性体Bは、サイトカインIL−2およびIL−12の産生を試験した総ての濃度で減少させ、サイトカインIL−4、IL−5およびIL−10の産生を試験した濃度の大半で減少させた。
異性体DはサイトカインIL−2、IL−4、IL−5およびIL−12の産生を試験したすべての濃度で減少させ、サイトカインTNFa、IL−4、IL−5およびIL−10の産生を試験した濃度の大半で減少させた。
実施例8
T細胞増殖に対する本発明の化合物の効果の測定
本発明の化合物を試験し、それらがT細胞増殖を阻害することができる程度を測定した。T細胞は適応免疫応答の調整(co−ordinating)に関係しており、広汎な疾患状態における炎症の駆動因子である。
従って、本発明の化合物のT細胞増殖に対する活性は、化合物が抗炎症活性を有する可能性の良好な指標を提供する。
材料
HBSS+2% HEPES緩衝液(500ml+10ml)、Alpha MEM(500ml)+2% HEPES(10ml)+1% Pen/strep(5ml)+2% L−グルタミン(l0ml)+50μM 2−ME(500μl)および正常マウス血清(NMS)
方法
1. 96穴プレートカラム1−8、列A−Hに100μl抗マウスCD3を1μg/ml PBSで3回コーティングする。全部で192穴であるので、1.44mg/mlのストックを17μl加えることによってPBSで24mlとする。37℃で2時間インキュベーションする。
2. NMS調製のため心臓穿刺後に2匹のbalb/cマウスからの血液をプールし、脾臓を取り出してHBSS+Hepesに移す。
3. 血液を37℃で30分間置いて凝固させ、3,000rpmで10分間Chilspinで回転する。血清を取りだし、滅菌濾過し、使用まで冷蔵庫に保管する。
4. 脾臓を10ml HBSSを入れたペトリ皿に移し、脾臓上に置かれた清浄な滅菌ワイヤーメッシュを用い、ガラス棒を用いて細胞を外す。パスツールピペットを用いて細胞をメッシュから洗い流し、15mlチューブに移す。室温(RT)、1000rpmにて10分間回転する。
5. 細胞を再懸濁させ、0.5mlの滅菌DWを加えてRBCを溶解し、混合し、直ちにHBSSで希釈し、50mlチューブに移し、細胞濾過器(70μM)を通過させて残屑を除去し、上記のようにして回転し、細胞を再度HBSSで洗浄し、最後に補体(上記)を含む2ml αMEMに再懸濁する。
6. 細胞計数−252細胞x2x5x10=4ml中に2.52x10細胞/ml=総数10細胞。2mlを25mlに希釈し、2x10細胞/mlの細胞濃度を得る。
7. 250μlのNMSを細胞に加え、濃度を1%とする。
8. 抗CD3をコーティングしたプレートをPBSで3回洗浄する。
9. 100μl分量の細胞を3x96穴プレートの列A−Hカラム1−8のコーティングしたウェルに移す。等容の化合物を加え、下記のように96穴プレートで希釈する。
化合物
10mMの化合物3.5μlを346.5μlの培地に移し(1/100)、1/100希釈液35μlを315μlの培地に移す(1/10)などによりプレートを引き下げ、化合物の連続1/10希釈液を得る。様々な化合物の希釈液の100μl分量を、T細胞を含むトリプリケートプレートのウェルに移す。
Figure 2009503045
48時間培養した後、それぞれのウェルにH−チミジンを滴加し(16μl)、37℃、5% COで一晩インキュベーションする。回収し、H−チミジン取り込みを測定する。
結果
H−チミジン取り込みのレベルによって示されるT細胞増殖の程度を、下表に示されるデータで示す。
Figure 2009503045
表において、「Nab」はナビロンを表し、「RU346」は異性体Dを表し、「RU350」は異性体Bを表す。
これらの結果は、最大濃度で試験した化合物のそれぞれがT細胞の増殖を阻害することを表している。
実施例9
医薬組成物
(i)錠剤処方物−I
本発明のジヒドロテトラベナジンを含む錠剤組成物を、ジヒドロテトラベナジン50mgを希釈剤としてのラクトース(BP)197mgおよび滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム3mgと混合し、圧縮して既知の方法で錠剤を成形することによって調製する。
(ii)錠剤処方物−II
本発明のジヒドロテトラベナジンを含む錠剤組成物を、化合物(25mg)を酸化鉄、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、白色トウモロコシ澱粉およびタルクと混合し、圧縮して既知の方法で錠剤を成形することによって調製する。
(iii)カプセル処方物
カプセル処方物は、本発明のジヒドロテトラベナジン100mgをラクトース100mgと混合し、生成される混合物を標準的な不透明硬質ゼラチンカプセルに充填することによって調製する。
同等物
本発明の具体的態様に対して多数の改質および変更を本発明の基礎となる原理から離反することなく行うことができることは、容易に明らかになるであろう。総てのこのような改質および変更は、本出願によって包含されることを意味するものである。
本発明の化合物である異性体B(RU350)および異性体D(RU346)の単球によるTNFαの産生に対する効果。 本発明の化合物である異性体B(RU350)および異性体D(RU346)の単球によるIL−4の産生に対する効果。 本発明の化合物である異性体B(RU350)および異性体D(RU346)のヒト単球によるIL−2の産生に対する効果。 本発明の化合物である異性体B(RU350)および異性体D(RU346)のヒト単球によるIL−5の産生に対する効果。 本発明の化合物である異性体B(RU350)および異性体D(RU346)のヒト単球によるIL−10の産生に対する効果。 本発明の化合物である異性体B(RU350)および異性体D(RU346)のヒト単球によるIL−12の産生に対する効果。

Claims (11)

  1. 増殖性疾患または炎症性疾患の予防または治療のための医薬を製造するための化合物の使用であって、化合物が3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンまたはその薬学上許容可能な塩である、使用。
  2. 医薬が、炎症性疾患の予防または治療に用いられる、請求項1に記載の使用。
  3. 炎症性疾患が、関節リウマチ、変形性関節症、外傷性関節炎、痛風性関節炎、風疹関節炎、乾癬性関節炎、および他の関節炎症状;内毒素または炎症性腸疾患によって誘発される炎症性反応のような急性または慢性炎症性疾患状態;ライター症候群、痛風、リウマチ様脊椎炎、慢性肺炎症性疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎から選択される、請求項2に記載の使用。
  4. 炎症性疾患が、関節リウマチである、請求項3に記載の使用。
  5. 炎症性疾患、例えば、請求項3または4に記載の炎症性疾患の予防または治療に用いられる化合物であって、化合物が3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンである、化合物。
  6. 患者(例えば、ヒトなどの哺乳類)における炎症性疾患または症状(例えば、請求項3または4に記載の炎症性疾患)を予防または治療する方法であって、哺乳類に治療上有効量の3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンを投与することを含んでなる、方法。
  7. 3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンが本明細書で定義された異性体Bまたは異性体Dである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用、使用のための化合物、または方法。
  8. 3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンが、式(Ia):
    Figure 2009503045
    を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用、使用のための化合物、または方法。
  9. 3,11b−シス−ジヒドロテトラベナジンが、酸付加塩の形態である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用または方法。
  10. 塩が、メタンスルホン酸塩である、請求項9に記載の使用、使用のための化合物、または方法。
  11. 実質的に実施例に関して本明細書に記載されている、使用、使用のための化合物、または方法。
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