JP2009303403A - 発電機の制御装置及び制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電機出力を低下させることなく、発電機の永久磁石の不可逆減磁を回避する。
【解決手段】ロータ部に永久磁石を備えた発電機1と、発電機1を駆動する原動機である内燃機関7と、ベルト13を介して内燃機関7と連結され、内燃機関7と発電機1の間に介在し、発電機1の回転数を変化させる変速機8と、発電機1の永久磁石の温度と相関性を持つよう調整され、発電機1のレギュレータ部に設置された温度センサ14と、発電機1の出力電流値を検出する電流センサ10と、発電機1の出力電流値から発電機1の永久磁石温度が最も低下する回転数を演算し、発電機1の回転数が演算した回転数となるように変速機8の回転比を制御する制御装置9とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、永久磁石を備えた発電機の不可逆減磁を防止する発電機の制御装置及び制御方法に関する。
近年、車両装備の電動化、安全装備等新規電装部品の追加により、車両用発電機に要求される出力が増加傾向にある。また衝突時の安全性を向上させるため、エンジンルーム内のクラッシャブルゾーンを拡大、駐車時の車両の取り回し向上を目的としたハンドル切れ角拡大、エンジンルーム内への新規部品追加等により、エンジンルーム内の余剰空間は減少傾向にある。この結果、発電機を周囲温度が高い位置に配置せざるを得なくなる状況が発生し、空気の滞留による周囲温度上昇が生じることもある。
このような環境下では、発電機の永久磁石が不可逆減磁することを回避しなければならない。特許文献1では、磁石併用型又は磁石型発電機の永久磁石の不可逆減磁を防止しつつ、出力向上が可能な発電機装置を開示しており、この中で、発電機の界磁コイルへの界磁電流と、発電機の出力電流が所定値を超えた場合、磁石の不可逆減磁が発生する可能性があるとして、界磁電流を制限している。この結果、永久磁石の不可逆減磁を回避しつつ発電出力の向上が実現できるとしている。また、界磁電流及び出力電流が所定値を超えた場合だけでなく、永久磁石の温度等、磁石減磁に関連する状態量に基づき、磁石の不可逆減磁が発生し易い状態では、界磁電流を制限する手法も開示している。
特開平10−56799号公報
しかしながら上記従来技術では、永久磁石の不可逆減磁が発生する可能性がある場合、発電機の界磁コイルへの界磁電流値を制限する構成となっているため、磁石の不可逆減磁の可能性があると判断した場合には、発電機出力が制限されることとなり、その結果、車両電源電圧が低下することによる車両のランプ類の照度変化や、車両電装負荷に対しバッテリからの電力供給されることによるバッテリ充電不足が生じるという問題点があった。
以上の問題点に鑑み本発明は、検出した発電機の出力電流値に基づいて、この出力電流値を維持しながら発電機の永久磁石温度が低下する回転数を演算し、この回転数となるように発電機の回転数を調整するようにした。
本発明によれば、発電機の出力電流値を維持しつつ永久磁石温度が低下する回転数となるように、発電機回転数を調整しているため、出力電流低下による負荷の不具合や、バッテリ充電不足が発生することなく、永久磁石の不可逆減磁を回避することができるという効果がある。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、以下に説明する各実施例は、特に限定されないが車両用の発電機に好適な実施例である。
図1は、本発明に係る発電機の制御装置の実施例1を備えた発電システムを示す全体構成図を示す図であり、図2は、実施例1の制御装置の動作を説明する制御フローチャートである。
図1に示すように、発電システムは、ロータ部に永久磁石を備えた発電機1と、発電機1を駆動する原動機である内燃機関7と、ベルト13を介して内燃機関7と連結され、内燃機関7と発電機1の間に介在し、発電機1の回転数を変化させる発電機回転数調整手段としての変速機8と、発電機1の永久磁石の温度と相関性を持つよう調整され、発電機1のレギュレータ部に設置された温度センサ14と、発電機1の出力電流値を検出する電流センサ10と、発電機1の出力電流値から発電機1の永久磁石温度が最も低下する回転数を演算し、発電機1の回転数が演算した回転数となるように変速機8の回転比を制御する制御装置9と、発電機1の出力によって充電されるバッテリ11と、発電機1とバッテリ11との何れか一方または両方から電力供給される負荷12とを備えている。
制御装置9は、電流センサ10が検出した出力電流値に基づいて、この出力電流値を維持しながら発電機1の永久磁石温度が低下する回転数を演算する回転数演算部3と、発電機1の回転数が回転数演算部3が演算した回転数となるように変速機8を制御する制御部5とを備える。尚、制御装置9は、特に限定されないが本実施例では、CPUと、プログラムROMと、作業用RAMと、入出力インタフェースとを備えたマイクロプロセッサで構成されている。そして、制御装置9の制御機能は、プログラムROMに格納された制御プログラムをCPUが実行することにより達成されている。
回転数演算部3は、温度センサ14により得られた発電機1のレギュレータ温度から、永久磁石の温度を演算し、永久磁石が不可逆減磁に至る可能性があると判断した場合、電流センサ10より得られた発電機1の出力電流値に基づいて、この出力電流値を維持しながら、永久磁石温度が最も低下する発電機1の回転数r1を演算する。回転数r1は発電機1の熱モデルから計算によって求めても良いし、予め回転数演算部3に記憶した回転数と温度の関係を示す制御マップを用いて求めても良い。また回転数r1は必ずしも温度が最も低下する温度でなくても良く、永久磁石が不可逆減磁に至らない範囲において、効果や制御のしやすさ等を考慮して回転数を決定しても良い。
回転数演算部3が回転数の演算を行うと、次いで制御部5が発電機1の回転数が演算された回転数となるように変速機8に対し制御指令を出力する。この制御指令により、変速機8は発電機1の回転数を、回転数演算部3が演算した回転数r1となるよう調整を行う。この結果、発電機1の回転数が永久磁石温度を低減させる回転数となり、永久磁石の温度が低下し、永久磁石が不可逆減磁することを回避することができる。変速機8は、可変プーリやベルトやパワーローラー等を用いた無段変速機でも良いし、複数の変速ギアを用いた有段変速機でも良い。
次に、図2の制御フローチャートを参照して、実施例1の制御装置9が実行する制御内容を説明する。まずステップ(以下、ステップをSと略す)10で発電機1の発電を行う。次いでS12で、温度センサ14により発電機1のレギュレータ温度Trを検出して検出値を制御装置9へ読み込む。次いでS14で、制御装置9は、レギュレータ温度Trに定数Crを乗算することによって、磁石温度Tmを演算する。定数Crは固定値でも良いし、発電機1の回転数や周囲温度によって変化させてもよい。定数Crは、実車に温度計を取り付けて、一定刻み毎の出力電流値により、定常状態となったときの計測温度に基づいて設定する。
次いでS16で、制御装置9は、磁石温度Tmが不可逆減磁が発生する可能性がある閾値T0以上であるか否かを判定する。磁石温度Tmが閾値T0未満である場合には、磁石の不可逆減磁の可能性は無いとして、S10へ戻り発電を継続する。
S16の判定で、磁石温度Tmが不可逆減磁が発生する可能性がある閾値T0以上となった場合には、S18へ進む。S18では、電流センサ10により発電機1の出力電流値Igを検出して制御装置9へ読み込む。次いでS20で、制御装置9は、予め記憶した出力電流毎の回転数−永久磁石温度マップを参照して、出力電流値Igを維持しながら永久磁石の温度が最も低下する発電機1の回転数r1を演算する。次いでS22で、制御装置9は、発電機1の回転数が回転数r1となるように、変速機8を制御して、S10へ戻る。
この結果、発電機1の回転数が永久磁石温度が最も低下する回転数となり、永久磁石の温度が低下し、永久磁石が不可逆減磁することを回避することができる。
以上説明した本実施例によれば、発電機の出力電流値を維持しながら永久磁石の温度が最も低下するように発電機の回転数を制御しているので、出力電流低下による負荷の不具合や、バッテリ充電不足が発生することなく、永久磁石の不可逆減磁を回避することができるという効果がある。
また、本実施例によれば、発電機の出力電流値を維持しつつ、発電機回転数を温度が極小となる回転数に調整する構成となっているため、発電出力の向上を最大化することが可能となるという効果がある。
さらに、本実施例によれば、永久磁石の不可逆減磁が発生する可能性がある場合のみ発電機の回転数調整を行う構成となっているため、出力電流検出センサや回転数演算部が必要以上に作動することによる装置劣化や、エネルギーの損失を防ぐことができるという効果がある。
尚、本実施例のS20において、制御装置9は、予め記憶した出力電流毎の回転数−永久磁石温度マップを参照して、出力電流値を維持しながら永久磁石の温度が最も低下する発電機1の回転数r1を演算したが、永久磁石の温度が最も低下する発電機1の回転数r1に限らず、永久磁石の温度が低下する発電機1の回転数を演算することとしてもよい。
次に本発明の実施例2を説明する。図3は、本発明に係る発電機の制御装置の実施例2を備えた車両の発電システムを示す全体構成図を示す図であり、図4は、実施例2の制御装置の動作を説明する制御フローチャートである。
図3に示すように、発電システムは、ロータ部に永久磁石を備えた発電機1と、発電機1を駆動する原動機であるとともに発電機1の回転数を変化させる発電機回転数調整手段である内燃機関7と、内燃機関7の回転を発電機1に伝達するベルト13と、内燃機関7の回転数を無段階に変速して図示しない車軸に動力を伝達する無段変速機(CVT)15と、発電機1のロータ電流値を検出するロータ電流センサ16と、発電機1の出力電流値を検出する電流センサ10と、発電機1の出力電流値から発電機1の永久磁石温度が最も低下する回転数を演算し、発電機1の回転数が演算した回転数となるように内燃機関7の回転数及び無段変速機15の変速比を制御する制御装置9と、発電機1の出力によって充電されるバッテリ11と、発電機1とバッテリ11との何れか一方または両方から電力供給される負荷12とを備えている。
制御装置9は、電流センサ10が検出した出力電流値に基づいて、この出力電流値を維持しながら発電機1の永久磁石温度が低下する回転数を演算する回転数演算部3と、発電機1の回転数が回転数演算部3が演算した回転数となるように内燃機関7の回転数及び無段変速機15の変速比を制御する制御部5とを備える。尚、制御装置9は、特に限定されないが本実施例では、CPUと、プログラムROMと、作業用RAMと、入出力インタフェースとを備えたマイクロプロセッサで構成されている。そして、制御装置9の制御機能は、プログラムROMに格納された制御プログラムをCPUが実行することにより達成されている。
回転数演算部3は、発電機1の出力電流値とロータ部の電流値とから発電機1の永久磁石部の温度を推定し、永久磁石が不可逆減磁に至る可能性があると判断した場合、電流センサ10より得られた発電機1の出力電流値に基づいて、この出力電流値を維持しながら、永久磁石温度が最も低下する発電機1の回転数r1を演算する。回転数r1は発電機1の熱モデルから計算によって求めても良いし、予め回転数演算部3に記憶した回転数と温度の関係を示す制御マップを用いて求めても良い。また回転数r1は必ずしも温度が最も低下する温度でなくても良く、永久磁石が不可逆減磁に至らない範囲において、効果・制御のしやすさ等を考慮して回転数を決定しても良い。
回転数演算部3が回転数の演算を行うと、次いで制御部5が発電機1の回転数が演算された回転数となるように内燃機関7及び無段変速機15に対し制御指令を出力する。この制御指令により、内燃機関7の回転数及び無段変速機15の変速比が制御され、発電機1の回転数は、回転数演算部3が演算した回転数r1となるよう調整される。この結果、発電機1の回転数が永久磁石温度を低減させる回転数となり、永久磁石の温度が低下し、永久磁石が不可逆減磁することを回避することができる。
制御装置9は、電流センサ10より得られた発電機1の出力電流値及びロータ電流センサ16により得られた発電機1のロータ電流値から永久磁石の温度を演算し、永久磁石が不可逆減磁に至る可能性があると判断した場合、永久磁石温度が最も低下する発電機1の回転数r1を演算する。
発電機1の回転数r1を演算すると、次いで制御装置9は、内燃機関7、無段変速機15に対し指令を行い、内燃機関7、無段変速機15は発電機1の回転数を、制御装置9が演算した回転数r1となるよう調整を行うことにより、発電機1の永久磁石温度を低減させる。
次に、図4の制御フローチャートを参照して、実施例2の制御装置9が実行する制御内容を説明する。まずS30で発電機1の発電を行う。次いでS32で、制御装置9は、電流センサ10により発電機1の出力電流値Igを検出して制御装置9へ読み込む。次いでS34で、制御装置9は、ロータ電流センサ16により発電機1のロータ電流値Irを検出して制御装置9へ読み込む。次いでS36で、制御装置9は、出力電流値Igに定数Cgを乗算した値と、ロータ電流値Irに定数Crを乗算した値とを加算して、磁石温度Tmを演算する。定数Cg、Crは、固定値でもよいし、発電機1の回転数や周囲温度によって変化させてもよい。定数Cg、Crは、実車に温度計を取り付けて、一定刻み毎の出力電流値及びロータ電流値により、定常状態となったときの計測温度に基づいて設定する。
次いでS38で、制御装置9は、磁石温度Tmが不可逆減磁が発生する可能性がある閾値T0以上であるか否かを判定する。磁石温度Tmが閾値T0未満である場合には、磁石の不可逆減磁の可能性は無いとして、S30へ戻り発電を継続する。
S38の判定で、磁石温度Tmが不可逆減磁が発生する可能性がある閾値T0以上となった場合には、S40へ進む。S40では、制御装置9は、予め記憶した出力電流毎の回転数−永久磁石温度マップを参照して、出力電流値Igを維持しながら永久磁石の温度が最も低下する発電機1の回転数r1を演算する。次いでS42で、制御装置9は、発電機1の回転数が回転数r1となるように、内燃機関7の回転数及び無段変速機15の変速比を制御して、S30へ戻る。
この結果、発電機1の回転数が永久磁石温度が最も低下する回転数となり、永久磁石の温度が低下し、永久磁石が不可逆減磁することを回避することができる。
以上説明した本実施例によれば、発電機の出力電流値を維持しながら永久磁石の温度が最も低下するように発電機の回転数を制御しているので、出力電流低下による負荷の不具合や、バッテリ充電不足が発生することなく、永久磁石の不可逆減磁を回避することができるという効果がある。
また、本実施例によれば、発電機の出力電流値を維持しつつ、発電機回転数を温度が極小となる回転数に調整する構成となっているため、発電出力の向上を最大化することが可能となるという効果がある。
さらに、本実施例によれば、永久磁石の不可逆減磁が発生する可能性がある場合のみ発電機の回転数調整を行う構成となっているため、出力電流検出センサや回転数演算部が必要以上に作動することによる装置劣化や、エネルギーの損失を防ぐことができるという効果がある。
尚、本実施例のS40において、制御装置9は、予め記憶した出力電流毎の回転数−永久磁石温度マップを参照して、出力電流値を維持しながら永久磁石の温度が最も低下する発電機1の回転数r1を演算したが、永久磁石の温度が最も低下する発電機1の回転数r1に限らず、永久磁石の温度が低下する発電機1の回転数を演算することとしてもよい。
以上好ましい実施例を説明したが、これらは本発明を限定するものではない。例えば、本発明を、発電機の永久磁石だけでなく、例えばロータのコイル絶縁部等の故障防止にも適用できることは自明である。
実施例1の構成を説明するシステム構成図である。 実施例1の動作を説明するフローチャートである。 実施例2の構成を説明するシステム構成図である。 実施例2の動作を説明するフローチャートである。
符号の説明
1:発電機、3:回転数演算部、5:制御部、7:内燃機関、8:変速機、9:制御装置、10:電流センサ、11:バッテリ、12:負荷、13:ベルト、14:温度センサ、15:無段変速機、16:ロータ電流センサ。

Claims (4)

  1. 発電機の出力電流値を検出する出力電流検出手段と、
    該出力電流検出手段が検出した出力電流値に基づいて該出力電流値を維持しながら前記発電機の永久磁石温度が低下する回転数を演算する回転数演算部と、
    前記発電機の回転数を調整する発電機回転数調整手段と、
    該発電機回転数調整手段を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記発電機の回転数が前記回転数演算部が演算した回転数となるように前記発電機回転数調整手段を制御することを特徴とする発電機の制御装置。
  2. 前記回転数演算部は、前記永久磁石温度が最小となる回転数を演算することを特徴とする請求項1に記載の発電機の制御装置。
  3. 発電機の永久磁石温度を検出する温度検出手段と、
    前記発電機の出力電流値を検出する出力電流検出手段と、
    該出力電流検出手段が検出した出力電流値に基づいて該出力電流値を維持しながら前記発電機の永久磁石温度が低下する回転数または永久磁石温度が最小となる回転数を演算する回転数演算部と、
    前記発電機の回転数を調整する発電機回転数調整手段と、
    該発電機回転数調整手段を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記温度検出手段が検出した永久磁石温度に基づいて永久磁石の不可逆減磁が発生する可能性がある場合には、前記発電機の回転数が前記回転数演算部が演算した回転数となるように前記発電機回転数調整手段を制御することを特徴とする発電機の制御装置。
  4. 発電機の出力電流値を検出する出力電流検出過程と、
    前記出力電流値に基づいて該出力電流値を維持しながら前記発電機の永久磁石温度が低下する回転数を演算する回転数演算過程と、
    前記回転数となるように発電機の回転数を調整する回転数調整過程と、
    を備えたことを特徴とする発電機の制御方法。
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