JP2009303201A - コーリニアアンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】 多周波において通信に適する放射パターンを得ることができるコーリニアアンテナとする。
【解決手段】 5段スタックされた1段目スリーブ素子10ないし5段目スリーブ素子14における各段はダイポールアンテナを構成する上段スリーブと下段スリーブとから構成されている。各段のスリーブ素子には、アンテナ給電部92,93が接続されている2本の同軸ケーブル90,91からそれぞれ異なる周波数信号が給電され、異なる周波数信号により同相で励振されている。この場合、各段のスリーブ素子の給電点間の2本の同軸ケーブル90,91のそれぞれの電気長が、伝送される周波数信号の波長の略整数倍とされている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多周波で動作させることのできるコーリニアアンテナに関するものである。
従来のコーリニアアンテナの構成の一例を図52に示す。
図52に示す従来のコーリニアアンテナ200は、それぞれダイポールアンテナを構成するスリーブ素子が5段スタックされて構成されている。すなわち、1段目スリーブ素子210の上には2段目スリーブ素子211がスタックされ、2段目スリーブ素子211の上には3段目スリーブ素子212がスタックされ、3段目スリーブ素子212の上には4段目スリーブ素子213がスタックされ、4段目スリーブ素子213の上には5段目スリーブ素子214がスタックされている。1段目スリーブ素子210ないし5段目スリーブ素子214のほぼ中央部が同軸ケーブル220により励振されており、同軸ケーブル220の下端にはアンテナ給電部221が接続され、整合回路215を介して同軸ケーブル220は1段目スリーブ素子210内に導入されている。各スリーブ素子210〜214は円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプが向き合わされて構成されており、ダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの物理長ELは、アンテナ給電部221から給電される周波数信号の波長をλとした際に約λ/4とされている。また、各段のスリーブ素子210〜214が同相で励振されるように、給電部間の同軸ケーブル220の電気長は約1λとされている。この場合、同軸ケーブル220の誘電率εrが約2.2とされている場合には、その波長短縮率が約67%になることから、給電部間の間隔PLの物理長は約0.67λとされる。
5段目スリーブ素子214の詳細構成を示す断面図を図53に示す。図53に示す5段目スリーブ素子214は、円筒状の上段スリーブパイプ214aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ214cの上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ214aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント214bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ214cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント214dが嵌挿されている。下段スリーブパイプ214c内には、4段目スリーブ素子213から導出された同軸ケーブル220が挿通されており、同軸ケーブル220が下段ジョイント214dのほぼ中央部に形成されているほぼ円形の挿通孔内に挿通されて、その外部導体220cが下段ジョイント214dに電気的に接続されている。また、下段スリーブパイプ214cと上段スリーブパイプ214aとの境界部において同軸ケーブル220の外部導体220cは除去され、中心導体220aを外部導体220cのほぼ中心軸上に保持する絶縁筒体220bが露出されている。この絶縁筒体220bは、上記境界部を超えた部位において除去されて中心導体220aが露出されており、この中心導体220aが上段ジョイント214bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内に挿通されている。そして、上段ジョイント214bの上面から導出された中心導体220aが、上段ジョイント214bの上面に電気的に接続されている。この構成により、ダイポールアンテナを構成する5段目スリーブ素子214の下段スリーブパイプ214cと上段スリーブパイプ214aとが、同軸ケーブル220を伝達してきた周波数信号により励振されるようになる。
次に、1段目スリーブ素子210ないし4段目スリーブ素子213の詳細構成を示すが、1段目スリーブ素子210ないし4段目スリーブ素子213の詳細構成は同様とされていることから、ここではその内の4段目スリーブ素子213の詳細構成を断面図で図54に示す。図54に示す4段目スリーブ素子213は、円筒状の上段スリーブパイプ213aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ213cの上端面とが向き合わされて配置されており、その内部に中心軸にほぼ沿って同軸ケーブル220が挿通されている。上段スリーブパイプ213aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント213bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ213cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント213dが嵌挿されている。下段スリーブパイプ213c内には、隣接する下の段とされる3段目スリーブ素子212から導出された同軸ケーブル220が挿通されており、同軸ケーブル220が下段ジョイント213dのほぼ中央部に形成されているほぼ円形の挿通孔内に挿通されて、その外部導体220cが下段ジョイント213dに電気的に接続されている。下段スリーブパイプ213cから導出された同軸ケーブル220は上段スリーブパイプ213a内に挿通されて、この同軸ケーブル220が上段ジョイント213bのほぼ中央部に形成されているほぼ円形の挿通孔内に挿通されて、その外部導体220cが上段ジョイント213bに電気的に接続されている。
また、下段スリーブパイプ213cと上段スリーブパイプ213aとの境界部において同軸ケーブル220の外部導体220cは除去されて、絶縁筒体220bが露出されている。この絶縁筒体220bが露出されている内部に位置にする中心導体220aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント213bおよび下段ジョイント213dにより励振スロットとされるスリーブ給電部213eが構成されて、スリーブ給電部213eにより上段スリーブパイプ213aと下段スリーブパイプ213cとが、同軸ケーブル220を伝達してきた周波数信号により励振されている。同軸ケーブル220は、上段スリーブパイプ213aの上端から導出されて上の段とされる5段目スリーブ素子214に向かうようになる。
特開平5−267932号公報
従来のコーリニアアンテナ200において、アンテナ給電部221から供給する周波数信号を第1周波数f1(f1=1.00GHz)とし、1段目スリーブ素子210ないし5段目スリーブ素子214における各段の上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの長さを、第1使用周波数f1の波長をλ1とした際にλ1/4とし、各段におけるスリーブ給電部間の間隔PLを約0.67λ1とした際の垂直面内(Z−X平面)の放射パターンを図55に示す。この場合、各段におけるスリーブ給電部間における同軸ケーブル220の物理長は間隔PLと等しく約0.67λ1とされているが、同軸ケーブル220の比誘電率εrは約2.2とされていることから、物理長が0.67λ1の同軸ケーブル220の電気長は約λ1となり、1段目スリーブ素子210ないし5段目スリーブ素子214は同相で給電されるようになる。
図55を参照すると、1段目スリーブ素子210ないし5段目スリーブ素子214は同相で給電されることから、θが約90°および約270°の水平方向にほぼ同じ強さの放射ビームが発生しており、各放射ビームの3dB半値角は約15°と鋭くされていると共に、ピーク値とサイドローブの差が10dB以上得られており、通信に適する良好な放射パターンが得られている。
また、従来のコーリニアアンテナ200において、アンテナ給電部221から供給する周波数信号を第2周波数f2(f2=1.45GHz)とし、各段の上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの長さ、および、間隔PLを上記の通りの長さとした際の垂直面内(Z−X平面)の放射パターンを図56に示す。この場合、周波数f2の波長をλ2とすると、各段の上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの長さは約0.3625λ2(=0.25λ1)と1/4波長より長くなってしまう。また、各段におけるスリーブ給電部間における同軸ケーブル220の物理長は間隔PLと等しく約0.9715λ2(=0.67λ1)となると共に、同軸ケーブル220の比誘電率εrは約2.2とされていることから同軸ケーブル220の電気長は約1.45λ2となり、1段目スリーブ素子210ないし5段目スリーブ素子214は同相給電されなくなる。
図56を参照すると、1段目スリーブ素子210ないし5段目スリーブ素子214は同相で給電されないことから、各放射の3dB半値角は約15°〜30°と鋭いが、θ=約60°、約140°、約215°、約300°の4方向にほぼ同じ強さの放射が発生してしまい、大きなサイドローブがθ=約30°方向に約5.5dB、約95°方向に約3dB、約115°方向に約3dB、約245°方向に約3dB、約265°方向に約4dB、約325°方向に約4.5dBの強さで発生する。このように、サイドローブが6方向にも発生しているため、この放射パターンは通信に適さないようになる。
さらに、従来のコーリニアアンテナ200において、アンテナ給電部221から供給する周波数信号を第2周波数f2とし、各段の上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの長さをλ2/4とし、各段におけるスリーブ給電部間の間隔PLを約0.67λ2とした際の垂直面内(Z−X平面)の放射パターンを図58に示す。この場合、各段におけるスリーブ給電部間における同軸ケーブル220の物理長は間隔PLと等しく約0.67λ2とされているが、同軸ケーブル220の比誘電率εrは約2.2とされていることから同軸ケーブル220の電気長は約λ2となり、1段目スリーブ素子210ないし5段目スリーブ素子214は同相で給電されるようになる。
図58を参照すると、1段目スリーブ素子210ないし5段目スリーブ素子214は同相で給電されることから、θが約90°および約270°の水平方向にほぼ同じ強さの放射ビームが発生しており、各放射ビームの3dB半値角は約15°と鋭くされていると共に、ピーク値とサイドローブの差が10dB以上得られており、 通信に適する良好な放射パターンが得られている。
さらにまた、従来のコーリニアアンテナ200において、アンテナ給電部221から供給する周波数信号を第1周波数f1とし、各段の上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの長さ、および、間隔PLを上記の通りの長さとした際の垂直面内(Z−X平面)の放射パターンを図57に示す。この場合、各段の上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの長さは約0.1724λ1と1/4波長より短くなってしまう。また、各段におけるスリーブ給電部間における同軸ケーブル220の物理長は間隔PLと等しく約0.462λとなって、同軸ケーブル220の比誘電率εrは約2.2とされていることから同軸ケーブル220の電気長は約0.689λとなり、1段目スリーブ素子210ないし5段目スリーブ素子214は同相給電されなくなる。
図57を参照すると、1段目スリーブ素子210ないし5段目スリーブ素子214は同相で給電されないことから、2方向の放射はほぼ同じ強さで各放射の3dB半値角は約30°と鋭く、ピーク値とサイドローブの差は10dB以上と小さいが、2方向の放射は水平方向ではなくθが約125°および約235°方向の下向きとなっており、この放射パターンは通信に適さないようになる。
以上のように、従来のコーリニアアンテナ200では、スリーブ素子からなる放射素子を多段に重ねて指向性を鋭くして高い利得を得る際に、複数の周波数、例えば2つの周波数において、通信に適する放射パターンを得ることができないという問題点があった。
そこで、本発明は、多周波において通信に適する放射パターンを得ることができるコーリニアアンテナを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のコーリニアアンテナは、多段にスタックされている向かい合わされて配置された上段スリーブと下段スリーブとからなる複数段のスリーブ素子と、前記各スリーブ素子に給電するために前記スリーブ素子内に下から挿通されている複数本の伝送線路と、前記伝送線路のそれぞれに異なる周波数信号を供給する複数の給電部とを備え、前記多段にスタックされたそれぞれの前記各スリーブ素子は、前記複数本の伝送線路により伝達される前記異なる周波数信号により励振され、隣接する前記スリーブ素子における給電部間の前記複数の伝送線路のそれぞれの電気長が、伝達される周波数信号の波長の略整数倍とされて多周波で動作可能とされていることを最も主要な特徴としている。
本発明のコーリニアアンテナは、少なくとも2本の同軸ケーブルにはそれぞれ異なる周波数信号が伝送され、多段にスタックされたそれぞれの単位スリーブ素子に、少なくとも2本の同軸ケーブルから異なる周波数信号が給電され、単位スリーブ素子における隣接する給電点間の少なくとも2本の同軸ケーブルのそれぞれの電気長が、伝送される周波数信号の波長の略整数倍とされていることで、多段にスタックされたそれぞれの単位スリーブ素子がそれぞれ異なる周波数信号で同相給電されることから、多周波において通信に適する放射パターンを得ることができる。
本発明の第1実施例にかかるコーリニアアンテナの構成を示す図である。 本発明の第1実施例のコーリニアアンテナにおける5段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第1実施例のコーリニアアンテナにおける4段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 ダイポール素子を構成するスリーブ素子を2段スタックした原理的なコーリニアアンテナの構成を示す断面図である。 ダイポール素子を構成するスリーブ素子を2段スタックした原理的なコーリニアアンテナにおいて間隔PLを変えた際の利得特性を示す図である。 ダイポール素子を構成するスリーブ素子を2段スタックした原理的なコーリニアアンテナにおいてスリーブパイプの長さELを変えた際の利得特性を示す図である。 本発明の第1実施例のコーリニアアンテナにおいて2本の同軸ケーブルの誘電率を異ならせたことを説明するための図である。 本発明の第1実施例のコーリニアアンテナにおいて2本の同軸ケーブルの誘電率を異ならせたことを説明するための他の図である。 本発明の第2実施例にかかるコーリニアアンテナの構成を示す図である。 本発明の第2実施例のコーリニアアンテナにおける5段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第2実施例のコーリニアアンテナにおける4段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第2実施例のコーリニアアンテナにおける1段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第3実施例にかかるコーリニアアンテナの構成を示す図である。 本発明の第3実施例のコーリニアアンテナにおける6段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第3実施例のコーリニアアンテナにおける5段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第4実施例にかかるコーリニアアンテナの構成を示す図である。 本発明の第4実施例のコーリニアアンテナにおける2段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第4実施例のコーリニアアンテナにおける1段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第5実施例にかかるコーリニアアンテナの構成を示す図である。 本発明の第5実施例にかかるコーリニアアンテナにおける第1周波数信号時の垂直面内の放射パターンを示す図である。 本発明の第5実施例にかかるコーリニアアンテナにおける第2周波数信号時の垂直面内の放射パターンを示す図である。 本発明の第6実施例にかかるコーリニアアンテナの構成を示す図である。 本発明の第6実施例のコーリニアアンテナにおいてスリーブ給電部の高さを変化させた際のインピーダンス特性を示す図である。 本発明の第6実施例のコーリニアアンテナにおいてスリーブ給電部の高さを変化させた際の利得特性を示す図である。 本発明の第6実施例のコーリニアアンテナにおいてスリーブ給電部の高さを変化させた際のサイドローブレベル特性を示す図である。 本発明の第7実施例にかかるコーリニアアンテナの構成を示す図である。 本発明の第7実施例のコーリニアアンテナにおける6段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第7実施例のコーリニアアンテナにおける5段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第8実施例にかかるコーリニアアンテナの構成を示す図である。 本発明の第8実施例のコーリニアアンテナにおける6段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第8実施例のコーリニアアンテナにおける5段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 本発明の第9実施例にかかるコーリニアアンテナの構成を示す図である。 本発明の第9実施例のコーリニアアンテナにおいてスリーブ給電部間隔PLを変化させた際の利得特性を示す図である。 本発明の第9実施例のコーリニアアンテナにおいてスリーブ給電部間隔を変化させた際の最大利得方向を示す図である。 本発明の第10実施例にかかるコーリニアアンテナの構成を示す図である。 本発明の第10実施例にかかるコーリニアアンテナにおける第1周波数信号時の垂直面内の放射パターンを示す図である。 本発明の第10実施例にかかるコーリニアアンテナにおける第2周波数信号時の垂直面内の放射パターンを示す図である。 本発明の第10実施例の変形例にかかるコーリニアアンテナにおける第1周波数信号時の垂直面内の放射パターンを示す図である。 本発明の第10実施例の変形例にかかるコーリニアアンテナにおける第2周波数信号時の垂直面内の放射パターンを示す図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおける伝送線路をトリプレートラインとした構成を断面図で示す正面図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおける伝送線路をトリプレートラインとした構成を示す下面図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおける伝送線路をマイクロストリップラインとした構成を断面図で示す正面図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおける伝送線路をマイクロストリップラインとした構成を示す下面図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおける伝送線路を上下コプレーナラインとした構成を断面図で示す正面図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおける伝送線路を上下コプレーナラインとした構成を示す下面図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおける伝送線路を並列コプレーナラインとした構成を断面図示す正面図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおける伝送線路を並列コプレーナラインとした構成を示す下面図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおけるスリーブ素子の他の構成例を断面図で示す正面図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおけるスリーブ素子の他の構成例を示す下面図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおけるスリーブ素子のさらに他の構成例を断面図で示す正面図である。 本発明の実施例のコーリニアアンテナにおけるスリーブ素子のさらに他の構成例を示す下面図である。 従来のコーリニアアンテナの構成の一例を示す図である。 従来のコーリニアアンテナにおける5段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 従来のコーリニアアンテナにおける4段目スリーブ素子の詳細構成を示す断面図である。 従来のコーリニアアンテナにおいてスリーブパイプおよび給電部間の寸法を第1の寸法とした際の垂直面内の放射パターンを示す図である。 従来のコーリニアアンテナにおいてスリーブパイプおよび給電部間の寸法を第1の寸法とした際に周波数を変えたときの垂直面内の放射パターンを示す図である。 従来のコーリニアアンテナにおいてスリーブパイプおよび給電部間の寸法を第2の寸法とした際の垂直面内の放射パターンを示す図である。 従来のコーリニアアンテナにおいてスリーブパイプおよび給電部間の寸法を第2の寸法とした際に周波数を変えたときの垂直面内の放射パターンを示す図である。
本発明の第1実施例にかかるコーリニアアンテナの構成を図1に示す。
図1に示す第1実施例のコーリニアアンテナ1は、それぞれダイポールアンテナを構成するスリーブ素子が5段スタックされて構成されている。すなわち、1段目スリーブ素子10の上には2段目スリーブ素子11がスタックされ、2段目スリーブ素子11の上には3段目スリーブ素子12がスタックされ、3段目スリーブ素子12の上には4段目スリーブ素子13がスタックされ、4段目スリーブ素子13の上には5段目スリーブ素子14がスタックされている。1段目スリーブ素子10ないし5段目スリーブ素子14には、そのほぼ中央部に2本の第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91から給電されており、第1同軸ケーブル90の下端には第1アンテナ給電部92が接続され、第1整合回路15を介して第1同軸ケーブル90から1段目スリーブ素子10に給電されていると共に、第2同軸ケーブル91の下端には第2アンテナ給電部93が接続され、第2整合回路16を介して第2同軸ケーブル91から1段目スリーブ素子10に給電されている。第1アンテナ給電部92からは第1周波数f1の周波数信号が供給され、第2アンテナ給電部93からは第1周波数f1とは異なる第2周波数f2の周波数信号が供給される。
第1実施例のコーリニアアンテナ1を構成している各スリーブ素子10〜14は後述するように金属製とされた円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプが向き合わされて構成されており、ダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの物理長ELは約0.22λ〜約0.32λとされており、隣接するスリーブ素子10〜14の給電部間の間隔PLの物理長は約0.8λを超えない長さとされている。この波長λは、第1周波数f1の場合はその波長λ1となり、第2周波数f2の場合はその波長λ2となる。そして、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91から給電される1段目スリーブ素子10ないし5段目スリーブ素子14のそれぞれの給電部において第1周波数信号および第2周波数信号によりそれぞれ同相で励振されている。このため、1段目スリーブ素子10ないし5段目スリーブ素子14における隣接する各段の給電部間の第1同軸ケーブル90の電気長は約λ1あるいはその整数倍とされ、第2同軸ケーブル91の電気長は約λ2あるいはその整数倍とされている。
第1実施例のコーリニアアンテナ1における5段目スリーブ素子14の詳細構成を図2に断面図で示す。図2に示す5段目スリーブ素子14は、円筒状の上段スリーブパイプ14aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ14cの上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ14aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント14bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ14cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント14dが嵌挿されている。下段スリーブパイプ14c内には、4段目スリーブ素子13内に挿通された第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91が挿通されており、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91が下段ジョイント14dのほぼ中央部に形成されている挿通孔内に挿通されて、第1同軸ケーブル90の外部導体90cおよび第2同軸ケーブル91の外部導体91cが下段ジョイント14dに電気的に接続されている。また、下段スリーブパイプ14cと上段スリーブパイプ14aとの境界部において第1同軸ケーブル90の外部導体90cおよび第2同軸ケーブル91の外部導体91cが除去され、中心導体90a,91aを外部導体90c,91cのほぼ中心軸上に保持する絶縁筒体90b,91bが露出されている。この絶縁筒体90b,91bは、上記境界部を超えた部位において除去されて中心導体90a,91aが露出されており、この中心導体90a,91aが上段ジョイント14bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内に挿通されている。そして、上段ジョイント14bの上面から導出された中心導体90a,91aが、上段ジョイント14bの上面にそれぞれ電気的に接続されている。この構成により、ダイポールアンテナを構成する5段目スリーブ素子14の下段スリーブパイプ14cと上段スリーブパイプ14aとが、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91を伝達してきた第1周波数信号および第2周波数信号により励振されるようになる。
次に、第1実施例のコーリニアアンテナ1において、1段目スリーブ素子10ないし4段目スリーブ素子13の詳細構成を示すが、それぞれダイポールアンテナを構成する1段目スリーブ素子10ないし4段目スリーブ素子13の詳細構成は同様とされていることから、ここではその内の4段目スリーブ素子13の詳細構成を断面図で図3に示す。図3に示す4段目スリーブ素子13は、円筒状の上段スリーブパイプ13aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ13cの上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ13aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント13bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ13cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント13dが嵌挿されている。下段スリーブパイプ13c内には、隣接する下の段とされる3段目スリーブ素子12内から導出された第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91が挿通されており、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91が下段ジョイント13dのほぼ中央部に形成されている挿通孔内に挿通されて、その外部導体90c,91cが下段ジョイント13dに電気的に接続されている。下段スリーブパイプ13cから導出された第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91は上段スリーブパイプ13a内に挿通されて、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91が上段ジョイント13bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内に挿通されて、その外部導体90c,90dが上段ジョイント13bに電気的に接続されている。
また、下段スリーブパイプ13cと上段スリーブパイプ13aとの境界部において第1同軸ケーブル90の外部導体90cおよび第2同軸ケーブル91の外部導体91cが除去されて、絶縁筒体90b,91bが露出されている。この絶縁筒体90b,91bが露出されている内部に位置する中心導体90a,91aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント13bおよび下段ジョイント13dにより励振スロットとされるスリーブ給電部13eが構成されて、スリーブ給電部13eによりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ13aと下段スリーブパイプ13cとが、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91を伝達してきた第1周波数信号および第2周波数信号により励振されている。第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91は、上段スリーブパイプ13aの上端から上の段とされる5段目スリーブ素子14に向けて導出されている。
第1実施例のコーリニアアンテナ1において、第1周波数f1を1.00GHz(波長λ1≒300mm)、第2周波数f2を1.45GHz(波長λ2≒206.9mm)とした際の各部の寸法の一例を次に示す。各スリーブ素子10〜14における円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの長さELは約66mm(EL≒0.22λ1≒0.319λ2)とされ、スリーブ素子10〜14のスリーブ給電部間の間隔PLは約139.5mm(EL≒0.465λ1≒0.674λ2)とされる。また、長さELは、
EL=Sh+SL+Pt−Jt (1)
で表すことができる。ただし、図2,図3に示すようにShは上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの肩の長さであり、SLは上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの長さであり、Ptは上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの厚みであり、Jtは上段ジョイントおよび下段ジョイントの厚みとされている。そして、上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの外径は、例えば約27mmとされている際に、長さSLは約64.5mm、厚みPtは約0.5mmとされている。また、上段ジョイントおよび下段ジョイントの外径は約26mm、厚さJtは約9.5mmとされている。このとき、上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの肩の長さShは約10.2mmとされている。
また、第1同軸ケーブル90は、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体90bの比誘電率が約4.62とされ、第2同軸ケーブル91も、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体91bの比誘電率が約2.2とされており、1段目スリーブ素子10ないし5段目スリーブ素子14内に平行してほぼ垂直に配置されている。第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91の外部導体90c,91cの外径は約3.6mm、絶縁筒体90b,91bの外径は約3mm、外部導体90c,91cの肉厚は約0.3mmとされている。さらに、第1同軸ケーブル90の途中に挿入されている第1整合回路15と、第2同軸ケーブル91の途中に挿入されている第2整合回路16は、第1周波数f1および第2周波数f2のそれぞれのインピーダンスマッチングを行っている。第1整合回路15および第2整合回路16の整合回路としては、例えば、他に用意した同軸ケーブルの外部導体を除去して露出させた内部導体を外部導体に接続させてショートしたショートスタブや、他に用意した同軸ケーブルの内部導体と外部導体の径比を変化させたり誘電体の誘電率を変化させたりしたQマッチングなどを用いることができる。
第1実施例のコーリニアアンテナ1において、各段のスリーブ給電部では、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91の内部を通過する電流振幅を同位相とするため、間隔PLは使用する波長の約λとされている。第1同軸ケーブル90の絶縁筒体90bの比誘電率を約4.62とすると、波長λ1は約46.5%に波長短縮されて第1同軸ケーブル90の物理長が約139.5mmとされた際に電気長が1λ1の長さとなる。また、第2同軸ケーブル91の絶縁筒体91bの比誘電率が約2.2とされていると、波長λ2は約67.4%に波長短縮されて第2同軸ケーブル91の物理長が139.5mmとされた際に電気長が1λ2の長さとなる。このため、第1同軸ケーブル90のスリーブ給電部と、第2同軸ケーブル91のスリーブ給電部を同一の位置とすることができる。
第1実施例のコーリニアアンテナ1の放射パターンは、第1周波数f1を1.00GHzとして上記した寸法とした際に、前記図55に示す放射パターンと同様となり、第2周波数f2を1.45GHzとして上記した寸法とした際に、前記図58に示す放射パターンと同様となる。このため、第1実施例のコーリニアアンテナ1においては、ダイポールアンテナからなるスリーブ素子10〜14を5段に重ねて指向性を鋭くして利得を稼ぎながら、2つの周波数f1,f2において、水平方向に放射のピークを持ち、かつ、ピーク値とサイドローブの差を10dB以上とすることができるようになる。
なお、同軸ケーブルは、外径3.6mm以外のものを使用しても良いし、特性インピーダンスを75Ωやそれ以外のインピーダンスとしてもよい。また、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91に替えてセミリジットやセミフレキシブル、フレキシブルなどのケーブルや、基板を用いたマイクロストリップラインやコプレナーラインなどを使用しても良い。さらに、上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプは、外径27mm以外のものを使用しても良い。さらにまた、コーリニアアンテナ1の段数は5段以外の段数とすることができる。さらにまた、第1周波数f1=1.00GHzおよび第2周波数f2=1.45GHzはこれに限らず、他の周波数を使用してもよい。上記の説明ではコーリニアアンテナ1を2周波のアンテナとしたが、3周波以上の多周波コーリニアアンテナとすることができる。多周波以上とする場合は、多周波数に応じた本数の同軸ケーブルを多段に配置されたスリーブ素子内に挿通し、それぞれの同軸ケーブルの比誘電率を周波数に応じた比誘電率として、多周波のそれぞれにおいて各段のスリーブ給電部から同相で各段のスリーブ素子を励振するようにする。
次に、上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの長さELを約0.22λ〜約0.32λとする理由、および、スリーブ素子10〜14の給電部間の間隔PLの物理長を約0.8λを超えない長さとする理由を図4ないし図6を参照して説明する。図4はダイポール素子を構成するスリーブ素子を2段スタックした原理的なコーリニアアンテナ100の構成を断面図で示す図であり、図5は上記間隔PLの物理長を1.0λ〜0.6λに変えたときの頂点方向からの角度に対する利得特性を示す図であり、図6は上記ELの長さを0.21λ〜0.33λに変えたときの頂点方向からの角度に対する利得特性を示す図である。
図4に示すコーリニアアンテナ100は、1段目のスリーブ素子はダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプ101aと下段スリーブパイプ101bとから構成され、2段目のスリーブ素子はダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプ102aと下段スリーブパイプ102bとから構成されている。1段目のスリーブ給電部101cにおいて、1段目の下段スリーブパイプ101bは一端に給電部103が接続された同軸ケーブル104の外部導体104cに接続されていると共に、上段スリーブパイプ101aも同軸ケーブル104の外部導体104cに接続されている。また、2段目のスリーブ給電部102cにおいて、2段目の下段スリーブパイプ102bは1段目から延伸された同軸ケーブル104の外部導体104cに接続されていると共に、上段スリーブパイプ102aは同軸ケーブル104の中心導体104aに接続されている。給電部103は、周波数f(波長λ)の周波数信号を同軸ケーブル104に給電している。スリーブ給電部101c,102cにおいて同軸ケーブル104の外部導体104cは除去されて絶縁筒体104bが露出されて励振スロットが構成されている。これにより、スリーブ給電部101c,102cにおいて1段目のスリーブ素子および2段目のスリーブ素子が周波数fの周波数信号により励振される。
スリーブ給電部101cとスリーブ給電部102cとの間隔がPLとされ、各スリーブパイプの長さが上記(1)式で算出されるELとされる。間隔PLを1.0λ,0.9λ,0.8λ,0.7λ,0.6λと変化させた時の頂点方向からの角度θに対する利得特性が図5に示されている。ただし、図5においては角度θが90°の際の利得が0dBに正規化されている。図5を参照すると、PL=1.0λでは角度θが90°の時に利得がピークとなり、角度θが約112°の時に利得が約−22dBと落ち込むようになるが、角度θが増加するに従って利得が大きくなり、角度θが約137°の時に利得が約−1dBの大きなサイドローブが発生するようになる。また、PL=0.9λでは角度θが90°の時に利得がピークとなり、角度θが約118°の時に利得が約−12dBと落ち込むようになるが、角度θが増加するに従って利得が大きくなり、角度θが約140°の時に利得が約−5dBのやや大きなサイドローブが発生するようになる。さらに、PL=0.8λでは角度θが90°の時に利得がピークとなり、角度θが約128°の時に利得が約−16dBと落ち込むようになるが、角度θが増加するに従って利得が大きくなり、角度θが約147°の時に利得が約−12dBの小さなサイドローブが発生するようになる。
さらにまた、PL=0.7λでは角度θが90°の時に利得がピークとなり、角度θが約137°の時に利得が約−20dBと落ち込むようになるが、角度θが増加するに従って利得が大きくなり、角度θが約153°の時に利得が約−17dBの極小のサイドローブが発生するようになる。さらにまた、PL=0.6λでは角度θが90°の時に利得がピークとなり、角度θが増加するに従って利得は減少し、サイドローブは発生しない。ここで、ピーク値とサイドローブの利得の差は10dB以上であれば良好な通信が行えるため、間隔PLの長さは約0.8λ以下が適することになり、PL≦0.8λとするのが好適となる。
次に、上記(1)式により算出される各スリーブパイプの長さELを0.21λ,0.22λ,0.25λ,0.32λ,0.33λと変化させた時の頂点方向からの角度θに対する利得特性が図6に示されている。ただし、図6においては角度θが90°の際の利得が0dBに正規化されている。このとき、1段目のスリーブ素子における上段スリーブパイプ101aと2段目のスリーブ素子における下段スリーブパイプ102bとの間隙は0.1λに固定している。図6を参照すると、EL=0.21λでは、角度θが90°の時に利得がピークとなり、角度θが約121°の時に利得が約−19dBと落ち込むようになるが、角度θが増加するに従って利得が大きくなり、角度θが約148°の時に利得が約−3dBの大きなサイドローブが発生する。また、EL=0.22λでは、角度θが90°の時に利得がピークとなり、角度θが約132°の時に利得が約−26dBと落ち込むようになるが、角度θが増加するに従って利得が大きくなり、角度θが約153°の時に利得が約−11dBの小さなサイドローブが発生する。
さらに、EL=0.25λでは、角度θが90°の時に利得がピークとなり、角度θが約150°の時に利得が約−29dBと落ち込むようになるが、角度θが増加するに従って利得が大きくなり、角度θが約162°の時に利得が約−26dBの極小のサイドローブが発生する。さらにまた、EL=0.32λでは、角度θが90°の時に利得がピークとなり、角度θが増加するに従って利得は減少し、サイドローブは発生しない。さらにまた、EL=0.33λでは、角度θが90°の時に利得がピークとなり、角度θが約120°の時に利得が約−5dBと落ち込むようになるが、角度θが増加するに従って利得が大きくなり、角度θが約138°の時に利得が約−4dBの大きなサイドローブが発生する。ここで、ピーク値とサイドローブの利得の差は10dB以上であれば良好な通信が行えるため、ELの長さは0.22λ〜0.32λが適することとなり、EL=0.22λ〜0.32λとするのが好適となる。このELを満足する周波数範囲は、低い側の周波数をfとすれば高い側の周波数が約1.45fとされる周波数範囲となる。
次に、図1に示す第1実施例のコーリニアアンテナ1において第1同軸ケーブル90と第2同軸ケーブル91の比誘電率εrを異ならせた理由を図7および図8を参照して説明する。
図7(a)は、中心導体110a、絶縁筒体110bおよび外部導体110cからなる同軸ケーブル110に、第1周波数f1(波長λ1)の周波数信号を給電部103から給電した際の電流分布が示されている。図7(a)に示すように、第1周波数f1の電流が1波長分乗る同軸ケーブル110の長さがPL11とされている。また、図7(b)は、同軸ケーブル110に第2周波数f2(波長λ2)の周波数信号を給電部103から給電した際の電流分布が示されている。図7(b)に示すように、第2周波数f2の電流が1波長分乗る同軸ケーブル110の長さがPL12とされている。波長λ1と波長λ2とは異なっているため、PL11とPL12とは異なる長さとなる。すると、コーリニアアンテナの各給電部においては、同相で励振する必要があることから異なる2周波で動作させる場合に給電部間の間隔を2周波で同位置に設置することができないことになる。
図8(a)は、比誘電率がεrbの同軸ケーブル120に、第1周波数f1(波長λ1)の周波数信号を給電部103から給電した際の電流分布が示されている。図8(a)に示すように、第1周波数f1の波長は比誘電率εrbの影響により波長短縮され電流が1波長分乗る同軸ケーブル120の長さがPL12となっている。また、図8(b)は、比誘電率がεraの同軸ケーブル110に第2周波数f2(波長λ2)の周波数信号を給電部103から給電した際の電流分布が示されている。図8(b)に示すように、第2周波数f2の波長は比誘電率εraの影響を受けて波長短縮されるが、電流が1波長分乗る同軸ケーブル110の長さは図8(a)で示すPL12と同じとされている。このようになる比誘電率εrbと比誘電率εraの関係は次式(2)を満足すればよい。
εrb=εra(λ1/λ2)2=εra(f2/f1)2 (2)
すなわち、第1周波数f1が伝達される同軸ケーブル120と第2周波数f2が伝達される同軸ケーブル110の比誘電率εrの関係が上記(2)式を満足することにより、第1周波数f1の波長λ1と第2周波数f2の波長λ2が異なっていても、同軸ケーブル120上の第1周波数の波長λ1’と同軸ケーブル110上の第2周波数f2の波長λ2’は、それぞれの波長短縮率が異なることから等しくなる。これにより、コーリニアアンテナを異なる2周波で動作させる場合に各段のスリーブ給電部において2周波の信号により同相で励振させることができる。これが第1実施例のコーリニアアンテナ1において第1同軸ケーブル90と第2同軸ケーブル91の比誘電率εrを異ならせた理由である。
なお、第1周波数f1用と第2周波数f2用の同軸ケーブル110の誘電率がεraとされているときは、図7(a)(b)に示すように同軸ケーブル110上の第1周波数の波長λ1”と同軸ケーブル110上の第2周波数f2の波長λ2’は、波長短縮率が同様となることから等しくならない。そこで、例えば第1周波数f1用の同軸ケーブル110を図8(c)に示すようにらせん状に巻くなどして物理的に同軸ケーブル110の全長PL12を短くすれば、コーリニアアンテナを異なる2周波で動作させる場合に各段のスリーブ給電部において2周波の信号により同相で励振させることができる。この原理を利用した第2実施例ないし第4実施例のコーリニアアンテナを次に説明する。
本発明の第2実施例にかかるコーリニアアンテナ2の構成を図9に示す。
図9に示す第2実施例のコーリニアアンテナ2は、それぞれダイポールアンテナを構成するスリーブ素子が5段スタックされて構成されている。すなわち、それぞれダイポールアンテナを構成している1段目スリーブ素子20、2段目スリーブ素子21、3段目スリーブ素子22、4段目スリーブ素子23、5段目スリーブ素子24がスタックされてコーリニアアンテナ2が構成されている。コーリニアアンテナ2は、1段目スリーブ素子20の下から導入されている2本の第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91から給電されており、第1同軸ケーブル90の下端には第1アンテナ給電部92が接続され、第2同軸ケーブル91の下端には第2アンテナ給電部93が接続されている。第1アンテナ給電部92からは第1周波数f1の周波数信号が供給され、第2アンテナ給電部93からは第1周波数f1とは異なる第2周波数f2の周波数信号が供給されている。
第2実施例のコーリニアアンテナ2を構成している各段のスリーブ素子20〜24は後述するように金属製とされた円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプが向き合わされて構成されており、ダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの物理長ELは約0.22λ〜約0.32λとされており、隣接するスリーブ素子20〜24の給電部間の間隔PLの物理長は約0.8λを超えない長さとされている。この波長λは、第1周波数f1の場合はその波長λ1となり、第2周波数f2の場合はその波長λ2となる。そして、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91から給電される1段目スリーブ素子20ないし5段目スリーブ素子24のそれぞれの給電部において第1周波数信号および第2周波数信号によりそれぞれ同相で励振されている。このため、1段目スリーブ素子20ないし5段目スリーブ素子24における隣接する各段の給電部間の第1同軸ケーブル90の電気長は約λ1あるいはその整数倍とされ、第2同軸ケーブル91の電気長は約λ2あるいはその整数倍とされている。
第2実施例のコーリニアアンテナ2における5段目スリーブ素子24の詳細構成を図10に断面図で示す。図10に示す5段目スリーブ素子24は、円筒状の上段スリーブパイプ24aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ24cの上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ24aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント24bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ24cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント24dが嵌挿されている。下段ジョイント24dのほぼ中央に形成された挿通孔には絶縁性の保護パイプ26の上端部が嵌着されており、下段スリーブパイプ24c内から下方へ伸びる保護パイプ26内には、4段目スリーブ素子23から導出されたらせん状に巻かれた第1同軸ケーブル90および直線状の第2同軸ケーブル91が挿通されている。第1同軸ケーブル90の外部導体90cおよび第2同軸ケーブル91の外部導体91cは下段ジョイント24dに電気的に接続されており、下段スリーブパイプ24cと上段スリーブパイプ24aとの境界部において第1同軸ケーブル90の外部導体90cおよび第2同軸ケーブル91の外部導体91cが除去されて絶縁筒体90b,91bが露出されている。この絶縁筒体90b,91bは、上記境界部を超えた部位において除去されて中心導体90a,91aが露出されており、この中心導体90a,91aが上段ジョイント24bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内に挿通されている。そして、上段ジョイント24bの上面から導出された中心導体90a,91aが、上段ジョイント24bの上面にそれぞれ電気的に接続されている。この構成により、ダイポールアンテナを構成する5段目スリーブ素子24の下段スリーブパイプ24cと上段スリーブパイプ24aとが、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91を伝達してきた第1周波数信号および第2周波数信号により励振されるようになる。
次に、第2実施例のコーリニアアンテナ2において、2段目スリーブ素子21ないし4段目スリーブ素子23の詳細構成を示すが、それぞれダイポールアンテナを構成する2段目スリーブ素子21ないし4段目スリーブ素子23の詳細構成は同様とされていることから、ここではその内の4段目スリーブ素子23の詳細構成を断面図で図11に示す。図11に示す4段目スリーブ素子23は、円筒状の上段スリーブパイプ23aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ23cの上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ23aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント23bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ23cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント23dが嵌挿されている。下段ジョイント23dのほぼ中央に形成された挿通孔には絶縁性の保護パイプ26の上端部が嵌着されており、下段スリーブパイプ23c内から下方へ伸びる保護パイプ26内には、3段目スリーブ素子22から導出されたらせん状に巻かれた第1同軸ケーブル90および直線状の第2同軸ケーブル91が挿通されている。第1同軸ケーブル90の外部導体90cおよび第2同軸ケーブル91の外部導体91cは下段ジョイント23dに電気的に接続されている。
上段ジョイント23bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内には、上部が下段スリーブパイプ23c内に配置されている保護パイプ26の下端が嵌着されており、下段スリーブパイプ23cから導出された第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91の外部導体90c,91cが上段ジョイント23bに電気的に接続される。また、下段スリーブパイプ23cと上段スリーブパイプ23aとの境界部において第1同軸ケーブル90の外部導体90cおよび第2同軸ケーブル91の外部導体91cが除去されて、絶縁筒体90b,91bが露出されている。この絶縁筒体90b,91bが露出されている内部に位置にする中心導体90a,91aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント23bおよび下段ジョイント23dにより励振スロットとされるスリーブ給電部23eが構成されて、スリーブ給電部23eによりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ23aと下段スリーブパイプ23cとが、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91を伝達してきた第1周波数信号および第2周波数信号により励振される。そして、保護パイプ26内にらせん状に巻かれた第1同軸ケーブル90および直線状の第2同軸ケーブル91が挿通されて、上の段とされる5段目スリーブ素子24に向けて導出されている。
次に、第2実施例のコーリニアアンテナ2において、1段目スリーブ素子20の詳細構成を断面図で図12に示す。図12に示す1段目スリーブ素子20は、円筒状の上段スリーブパイプ20aの下端面と外径が大きくされた円筒状の下段スリーブパイプ20cの上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ20aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント20bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ20cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント20dが嵌挿されている。下段ジョイント20dのほぼ中央に形成された挿通孔には絶縁性の外径が大きくされた保護パイプ25の上端部が嵌着されており、下段スリーブパイプ20c内から下方へ伸びる保護パイプ25内には、第1整合回路27および第2整合回路28が内蔵されている。第1整合回路27には第1同軸ケーブル90を介して第1アンテナ給電部92から第1周波数信号が供給されており、第2整合回路28には第2同軸ケーブル91を介して第2アンテナ給電部93から第2周波数信号が供給されている。そして、第1整合回路27から導出された第1同軸ケーブル90の外部導体90cおよび第2整合回路28から導出された第2同軸ケーブル91の外部導体91cは下段ジョイント20dに電気的に接続されている。
上段ジョイント20bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内には、上部が2段目スリーブ素子の下段スリーブパイプ内に配置されている保護パイプ26の下端が嵌着されており、下段スリーブパイプ20cから導出された第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91が挿通されて、その外部導体90c,90dが上段ジョイント20bに電気的に接続される。また、下段スリーブパイプ20cと上段スリーブパイプ20aとの境界部において第1同軸ケーブル90の外部導体90cおよび第2同軸ケーブル91の外部導体91cが除去されて、絶縁筒体90b,91bが露出されている。この絶縁筒体90b,91bが露出されている内部に位置にする中心導体90a,91aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント20bおよび下段ジョイント20dにより励振スロットとされるスリーブ給電部20eが構成されて、スリーブ給電部20eによりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ20aと下段スリーブパイプ20cとが、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91を伝達してきた第1周波数信号および第2周波数信号により励振されるようになる。そして、保護パイプ26内にらせん状に巻かれた第1同軸ケーブル90および直線状の第2同軸ケーブル91が挿通されて、上の段とされる2段目スリーブ素子21に向けて導出されている。
第2実施例のコーリニアアンテナ2において、第1周波数f1を1.00GHz(波長λ1≒300mm)、第2周波数f2を1.45GHz(波長λ2≒206.9mm)とした際の各部の寸法の一例を次に示す。各スリーブ素子20〜24における円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの上記(1)式で示す長さELは約66mm(EL≒0.22λ1≒0.319λ2)とされ、スリーブ素子20〜24のスリーブ給電部間の間隔PLは約139.5mm(EL≒0.465λ1≒0.674λ2)とされる。また、下段スリーブパイプ20cを除く上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの外径は例えば約27mmとされ、この際に、長さSLは約66.25mm、厚みPtは約0.5mmとされている。また、上段ジョイントおよび下段ジョイントの外径は約26mm、厚さJtは約9.5mmとされている。このとき、上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの肩の長さShは約8.75mmとされている。
また、第1同軸ケーブル90は、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体90bの比誘電率εrが約2.2とされ、第2同軸ケーブル91も、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体91bの比誘電率εrが約2.2とされており、1段目スリーブ素子10ないし5段目スリーブ素子14内に第1同軸ケーブル90はらせん状に巻かれて第2同軸ケーブル91は直線状に配置されている。この場合、第1同軸ケーブル90を伝達する第1周波数信号の波長λ1は約67.4%に波長短縮されて第1同軸ケーブル90の物理長が約202.2mmとされた際に電気長が1λ1の長さとなり、第2同軸ケーブル91を伝達する第2周波数信号の波長λ2も約67.4%に波長短縮されて第2同軸ケーブル91の物理長が139.5mmとされた際に電気長が1λ2の長さとなる。そして、間隔PLが139.5mmとなるように第1同軸ケーブル90は保護パイプ26内においてらせん状に巻かれているため、第1同軸ケーブル90のスリーブ給電部と、第2同軸ケーブル91のスリーブ給電部を同一の位置とすることができる。
第2実施例のコーリニアアンテナ2の放射パターンは、第1周波数f1を1.00GHzとして上記した寸法とした際に、前記図55に示す放射パターンと同様となり、第2周波数f2を1.45GHzとして上記した寸法とした際に、前記図58に示す放射パターンと同様となる。このため、第1実施例のコーリニアアンテナ1においては、ダイポールアンテナからなるスリーブ素子20〜24を5段に重ねて指向性を鋭くして利得を稼ぎながら、2つの周波数f1,f2において、水平方向に放射のピークを持ち、かつ、ピーク値とサイドローブの差を10dB以上とすることができるようになる。
次に、本発明の第3実施例にかかるコーリニアアンテナ3の構成を図13に示す。
図13に示す第3実施例のコーリニアアンテナ3は、第2実施例のコーリニアアンテナ2の上端に、さらに、第1周波数信号用の6段目スリーブ素子を追加した構成とされている。すなわち、それぞれダイポールアンテナを構成している1段目スリーブ素子30、2段目スリーブ素子31、3段目スリーブ素子32、4段目スリーブ素子33、5段目スリーブ素子34、6段目スリーブ素子35がスタックされて6段構成のコーリニアアンテナ3が構成されている。コーリニアアンテナ3は、1段目スリーブ素子30の下から導入されている2本の第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91から給電されており、第1同軸ケーブル90の下端には第1アンテナ給電部92が接続され、第2同軸ケーブル91の下端には第2アンテナ給電部93が接続されている。第1アンテナ給電部92からは第1周波数f1の周波数信号が供給され、第2アンテナ給電部93からは第1周波数f1とは異なる第2周波数f2の周波数信号が供給されている。
第3実施例のコーリニアアンテナ3を構成する各段のスリーブ素子30〜35は後述するように円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプが向き合わされて構成されており、ダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの物理長EL,EL’は約0.22λ〜約0.32λとされており、隣接するスリーブ素子30〜35の給電部間の間隔PL,PL’の物理長は約0.8λを超えない長さとされている。この波長λは、第1周波数f1の場合はその波長λ1となり、第2周波数f2の場合はその波長λ2となる。そして、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91から給電される1段目スリーブ素子30ないし5段目スリーブ素子34のそれぞれの給電部、および、第1同軸ケーブル90から給電される6段目スリーブ素子35において、第1周波数信号、第2周波数信号によりそれぞれ同相で励振されている。このため、1段目スリーブ素子30ないし6段目スリーブ素子35における隣接する各段の給電部間の第1同軸ケーブル90の電気長は約λ1あるいはその整数倍とされ、第2同軸ケーブル91がある場合はその電気長は約λ2あるいはその整数倍とされている。
第3実施例のコーリニアアンテナ3における6段目スリーブ素子35は第1周波数信号用のスリーブ素子とされ、1段目スリーブ素子30ないし4段目スリーブ素子33の構成は、第2実施例のコーリニアアンテナ2における1段目スリーブ素子20ないし4段目スリーブ素子23と同様の構成とされているので、その説明は省略する。
ここで、第3実施例のコーリニアアンテナ3における6段目スリーブ素子35の詳細構成を図14に断面図で示す。図14に示す6段目スリーブ素子35は、円筒状の上段スリーブパイプ35aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ35cの上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ35aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント35bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ35cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント35dが嵌挿されている。下段ジョイント35dのほぼ中央に形成された挿通孔には5段目スリーブ素子34から導出された直線状の第1同軸ケーブル90が挿通されている。第1同軸ケーブル90の外部導体90cは下段ジョイント35dに電気的に接続されており、下段スリーブパイプ35cと上段スリーブパイプ35aの境界部において第1同軸ケーブル90の外部導体90cが除去されて絶縁筒体90bが露出されている。この絶縁筒体90bは、上記境界部を超えた部位において除去されて中心導体90aが露出されており、この中心導体90aが上段ジョイント35bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内に挿通されている。そして、上段ジョイント35bの上面から導出された中心導体90aが、上段ジョイント35bの上面に電気的に接続されている。この構成により、ダイポールアンテナを構成する6段目スリーブ素子35の下段スリーブパイプ35cと上段スリーブパイプ35aとが、第1同軸ケーブル90を伝達してきた第1周波数信号により励振されるようになる。
次に、第3実施例のコーリニアアンテナ3において、5段目スリーブ素子34の詳細構成を断面図で図15に示す。図15に示す5段目スリーブ素子34は、円筒状の上段スリーブパイプ34aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ34cの上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ34aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント34bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ34cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント34dが嵌挿されている。下段スリーブパイプ34c内には、4段目スリーブ素子33から導出されたらせん状に巻かれた第1同軸ケーブル90および直線状の第2同軸ケーブル91が導入されて、下段ジョイント34dのほぼ中央に形成された挿通孔に挿通されている。そして、第1同軸ケーブル90の外部導体90cおよび第2同軸ケーブル91の外部導体91cは下段ジョイント34dに電気的に接続されている。
また、上段ジョイント34bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内には、下段スリーブパイプ34cから導出された第1同軸ケーブル90が挿通されて外部導体90cが上段ジョイント34bに電気的に接続される。また、下段スリーブパイプ34cと上段スリーブパイプ34aの境界部において第1同軸ケーブル90の外部導体90cおよび第2同軸ケーブル91の外部導体91cが除去されて、絶縁筒体90b,91bが露出されている。第2同軸ケーブル91の絶縁筒体91bは上記境界部を越えると除去されて、露出された中心導体91aが上段ジョイント34bに形成されている挿通孔内に挿通されて、上段ジョイント34bの上面に電気的に接続されている。これにより、ダイポールアンテナを構成する5段目スリーブ素子34の下段スリーブパイプ34cと上段スリーブパイプ34aとが、第2同軸ケーブル91を伝達してきた第2周波数信号により励振されるようになる。さらに、絶縁筒体90bが露出されている内部に位置にする中心導体90aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント34bおよび下段ジョイント34dにより励振スロットとされるスリーブ給電部34eが構成されて、スリーブ給電部34eによりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ34aと下段スリーブパイプ34cとが、第1同軸ケーブル90を伝達してきた第1周波数信号により励振される。そして、上段スリーブパイプ34a内に直線状とされた第1同軸ケーブル90のみが挿通されて、上の段とされる6段目スリーブ素子35に向けて導出されている。
第3実施例のコーリニアアンテナ3において、第1周波数f1を1.00GHz(波長λ1≒300mm)、第2周波数f2を1.45GHz(波長λ2≒206.9mm)とした際の各部の寸法の一例を次に示すが、第1周波数信号用の6段目スリーブ素子35を除く1段目スリーブ素子30ないし5段目スリーブ素子34の各部の寸法は、第2実施例のコーリニアアンテナ2におけるスリーブ素子20〜24の寸法と同様とされているので省略する。
第1周波数信号用の6段目スリーブ素子35における円筒状の上段スリーブパイプ35aと下段スリーブパイプ35cの上記(1)式で示す長さEL’は約75mm(EL’=0.25λ1)とされ、5段目スリーブ素子34のスリーブ給電部34eとの給電部間の間隔PL’は約202.2mm(EL≒0.674λ1)とされる。また、6段目スリーブ素子35の上段スリーブパイプ35aと下段スリーブパイプ35cの外径は例えば約27mmとされ、この際に、長さSL’は約71.35mm、厚みPtは約0.5mmとされている。また、上段スリーブパイプ35aおよび下段スリーブパイプ35cの肩の長さSh’は約12.65mmとされ、上段ジョイント35bおよび下段ジョイント35dの外径は約26mm、厚さJtは約9.5mmとされている。
なお、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91は、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体90b,91bの比誘電率εrが約2.2とされている。そして、6段目スリーブ素子35は、第1周波数f1における利得を増加させるために追加されていることから、第3実施例のコーリニアアンテナ3の第1周波数f1における利得が、第2実施例のコーリニアアンテナ2より増加するようになる。この場合、第2周波数f2における利得は同様となる。また、各段の第1同軸ケーブル90と第2同軸ケーブル91をセミリジットケーブル等の硬い外部導体を有する同軸ケーブルで構成することにより、各段の第1同軸ケーブル90と第2同軸ケーブル91を保護する保護パイプを省略しているが、保護パイプを設けるようにしてもよい。
次に、本発明の第4実施例にかかるコーリニアアンテナ4の構成を図16に示す。
図16に示す第4実施例のコーリニアアンテナ4は、第3実施例のコーリニアアンテナ3の下端に、さらに、スリーブ素子を追加した構成とされている。すなわち、それぞれダイポールアンテナを構成している追加された第1周波数信号用の1段目スリーブ素子40、2段目スリーブ素子41、3段目スリーブ素子42、4段目スリーブ素子43、5段目スリーブ素子44、6段目スリーブ素子45、7段目スリーブ素子46がスタックされて7段構成のコーリニアアンテナ4が構成されている。コーリニアアンテナ4は、1段目スリーブ素子40の下から導入されている2本の第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91から給電されており、第1同軸ケーブル90の下端には第1アンテナ給電部92が接続され、第2同軸ケーブル91の下端には第2アンテナ給電部93が接続されている。第1アンテナ給電部92からは第1周波数f1の周波数信号が供給され、第2アンテナ給電部93からは第1周波数f1とは異なる第2周波数f2の周波数信号が供給されている。
第4実施例のコーリニアアンテナ4を構成している各段のスリーブ素子40〜46は後述するように円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプが向き合わされて構成されており、ダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの物理長EL,EL’は約0.22λ〜約0.32λとされており、隣接するスリーブ素子40〜46の給電部間の間隔PL,PL’の物理長は約0.8λを超えない長さとされている。この波長λは、第1周波数f1の場合はその波長λ1となり、第2周波数f2の場合はその波長λ2となる。そして、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91から給電される2段目スリーブ素子41ないし6段目スリーブ素子45のそれぞれの給電部、および、第1同軸ケーブル90から給電される1段目スリーブ素子40と7段目スリーブ素子46の給電部において第1周波数信号、第2周波数信号によりそれぞれ同相で励振されている。このため、1段目スリーブ素子40ないし7段目スリーブ素子46における隣接する各段の給電部間の第1同軸ケーブル90の電気長は約λ1あるいはその整数倍とされ、第2同軸ケーブル91で給電している場合はその電気長は約λ2あるいはその整数倍とされている。
第4実施例のコーリニアアンテナ4における7段目スリーブ素子46は第1周波数信号用のスリーブ素子とされ、7段目スリーブ素子46ないし3段目スリーブ素子42の構成は、第3実施例のコーリニアアンテナ3における6段目スリーブ素子35ないし2段目スリーブ素子31と同様の構成とされているので、その説明は省略する。
ここで、第4実施例のコーリニアアンテナ4における2段目スリーブ素子41の詳細構成を断面図で図17に示す。図17に示す2段目スリーブ素子41は、円筒状の上段スリーブパイプ41aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ41cの上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ41aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント41bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ41cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント41dが嵌挿されている。下段スリーブパイプ41c内には第2整合回路48が内蔵されていると共に、下段ジョイント41dのほぼ中央に形成された挿通孔には1段目スリーブ素子40から導出された直線状の第1同軸ケーブル90が挿通されている。第2整合回路48には第2同軸ケーブル91を介して第2アンテナ給電部93から第2周波数信号が供給されている。第2整合回路48から導出された第2同軸ケーブル91の外部導体91c、および、第1同軸ケーブル90の外部導体90cは下段ジョイント41dに電気的に接続されている。
上段ジョイント41bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内には、下段スリーブパイプ41cから導出された第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91が挿通されて、その外部導体90c,90dが上段ジョイント41bに電気的に接続されている。また、下段スリーブパイプ41cと上段スリーブパイプ41aの境界部において第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91の外部導体90c,91cが除去されて絶縁筒体90b,91bが露出されている。この絶縁筒体90b,91bが露出されている内部に位置にする中心導体90a,91aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント41bおよび下段ジョイント41dにより励振スロットとされるスリーブ給電部41eが構成されて、スリーブ給電部41eによりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ41aと下段スリーブパイプ41cとが、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91を伝達してきた第1周波数信号および第2周波数信号により励振されるようになる。そして、上段スリーブパイプ41a内にらせん状に巻かれた第1同軸ケーブル90および直線状の第2同軸ケーブル91が挿通されて、上の段とされる3段目スリーブ素子42に向けて導出されている。
次に、第4実施例のコーリニアアンテナ4における1段目スリーブ素子40の詳細構成を断面図で図18に示す。図18に示す1段目スリーブ素子40は、円筒状の上段スリーブパイプ40aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ40cの上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ40aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント40bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ40cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント40dが嵌挿されている。下段スリーブパイプ40c内には第1整合回路47が内蔵されていると共に、下段ジョイント40dのほぼ中央に形成された挿通孔には第2アンテナ給電部93から第2周波数信号が供給されている直線状の第2同軸ケーブル91が挿通されている。第1整合回路47には第1同軸ケーブル90を介して第1アンテナ給電部92から第1周波数信号が供給されている。第1整合回路47から導出された第1同軸ケーブル90の外部導体90c、および、第2同軸ケーブル91の外部導体91cは下段ジョイント40dに電気的に接続されている。
上段ジョイント40bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内には、下段スリーブパイプ40cから導出された第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91が挿通されて、その外部導体90c,90dが上段ジョイント40bに電気的に接続されている。また、下段スリーブパイプ40cと上段スリーブパイプ40aの境界部において第1同軸ケーブル90の外部導体90cが除去されて絶縁筒体90bが露出されている。この絶縁筒体90bが露出されている内部に位置にする中心導体90aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント40bおよび下段ジョイント40dにより励振スロットとされるスリーブ給電部40eが構成されて、スリーブ給電部40eによりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ40aと下段スリーブパイプ40cとが、第1同軸ケーブル90を伝達してきた第1周波数信号により励振されるようになる。そして、上段スリーブパイプ40a内に直線状の第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91が挿通されて、上の段とされる2段目スリーブ素子41に向けて導出されている。
第4実施例のコーリニアアンテナ4において、第1周波数f1を1.00GHz(波長λ1≒300mm)、第2周波数f2を1.45GHz(波長λ2≒206.9mm)とした際の各部の寸法の一例を次に示す。
第1周波数信号用の7段目スリーブ素子46および1段目スリーブ素子40における上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの上記(1)式で示す長さEL’は約75mm(EL’=0.25λ1)とされ、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部との給電部間の間隔PL’は約202.2mm(EL≒0.674λ1)とされる。また、2段目スリーブ素子41ないし第6段目スリーブ素子45における上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの上記(1)式で示す長さELは約66mm(EL≒0.22λ1≒0.319λ2)とされ、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部との給電部間の間隔PLは約139.5mm(EL≒0.465λ1≒0.674λ2)とされる。
なお、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91は、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体90b,91bの比誘電率εrが約2.2とされている。そして、1段目スリーブ素子40および7段目スリーブ素子46は、第1周波数f1における利得を増加させるために追加されていることから、第4実施例のコーリニアアンテナ4の第1周波数f1における利得が、第3実施例のコーリニアアンテナ3より増加するようになる。この場合、第2周波数f2における利得は同様となる。また、各段の第1同軸ケーブル90と第2同軸ケーブル91をセミリジットケーブル等の硬い外部導体を有する同軸ケーブルで構成することにより、各段の第1同軸ケーブル90と第2同軸ケーブル91を保護する保護パイプを省略しているが、保護パイプを設けるようにしてもよい。
次に、本発明の第5実施例にかかるコーリニアアンテナ5の構成を図19に示す。
図19に示す第5実施例のコーリニアアンテナ5は、第1周波数信号用のスリーブ素子を5段備え、スリーブ素子が合計15段スタックされて構成されている。すなわち、それぞれダイポールアンテナを構成している第1周波数信号用の1段目スリーブ素子50および2段目スリーブ素子51、3段目スリーブ素子52、4段目スリーブ素子53、5段目スリーブ素子54、・・・・・、10段目スリーブ素子59、11段目スリーブ素子60、12段目スリーブ素子61、第1周波数信号用の13段目スリーブ素子62と14段目スリーブ素子63と15段目スリーブ素子64とがスタックされて15段構成のコーリニアアンテナ5が構成されている。コーリニアアンテナ5は、1段目スリーブ素子50の下から導入されている2本の第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91から給電されており、第1同軸ケーブル90の下端には第1アンテナ給電部92が接続され、第2同軸ケーブル91の下端には第2アンテナ給電部93が接続されている。第1アンテナ給電部92からは第1周波数f1の周波数信号が供給され、第2アンテナ給電部93からは第1周波数f1とは異なる第2周波数f2の周波数信号が供給されている。
第5実施例のコーリニアアンテナ5を構成している各段のスリーブ素子50〜64は円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプが向き合わされて構成されており、ダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの物理長EL,EL’は約0.22λ〜約0.32λとされており、隣接するスリーブ素子40〜46の給電部間の間隔PL,PL’の物理長は約0.8λを超えない長さとされている。この波長λは、第1周波数f1の場合はその波長λ1となり、第2周波数f2の場合はその波長λ2となる。そして、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91から給電される3段目スリーブ素子52ないし12段目スリーブ素子61のそれぞれの給電部、および、第1同軸ケーブル90から給電される1段目スリーブ素子50と2段目スリーブ素子51と13段目スリーブ素子62ないし15段目スリーブ素子64の給電部において第1周波数信号、第2周波数信号によりそれぞれ同相で励振されている。このため、1段目スリーブ素子50ないし15段目スリーブ素子64における隣接する各段の給電部間の第1同軸ケーブル90の電気長は約λ1あるいはその整数倍とされ、第2同軸ケーブル91で給電している場合はその電気長は約λ2あるいはその整数倍とされている。
第5実施例のコーリニアアンテナ5において、1段目スリーブ素子50の構成は図18に示す1段目スリーブ素子40の構成と同様とされ、3段目スリーブ素子52の構成は図17に示す2段目スリーブ素子41の構成と同様とされ、4段目スリーブ素子53ないし11段目スリーブ素子60の構成は図11に示す4段目スリーブ素子23の構成と同様とされ、12段目スリーブ素子61の構成は図15に示す5段目スリーブ素子34の構成と同様とされ、13段目スリーブ素子62および14段目スリーブ素子63の構成は図54に示す4段目スリーブ素子213の構成と同様とされ、15段目スリーブ素子64の構成は図14に示す6段目スリーブ素子35の構成と同様とされている。
第5実施例のコーリニアアンテナ5において、第1周波数f1を1.00GHz(波長λ1≒300mm)、第2周波数f2を1.45GHz(波長λ2≒206.9mm)とした際の各部の寸法の一例を次に示す。
第1周波数信号用の1段目スリーブ素子50、2段目スリーブ素子51および13段目スリーブ素子62ないし15段目スリーブ素子64における上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの上記(1)式で示す長さEL’は約75mm(EL’=0.25λ1)とされ、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部との給電部間の間隔PL’は約202.2mm(EL≒0.674λ1)とされる。また、3段目スリーブ素子52ないし第12段目スリーブ素子61における上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの上記(1)式で示す長さELは約66mm(EL≒0.22λ1≒0.319λ2)とされ、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部との給電部間の間隔PLは約139.5mm(EL≒0.465λ1≒0.674λ2)とされる。なお、第1同軸ケーブル90および第2同軸ケーブル91は、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体90b,91bの比誘電率εrが約2.2とされている。
第5実施例のコーリニアアンテナ5において、第1周波数f1を1.00GHzとして上記した寸法とした際に、第1周波数信号の垂直面内(Z−X面内)の放射パターンは図20に示すようになる。図20を参照すると、θが約90°および約270°とされる水平方向に放射のピークが発生しており、その放射ビームの3dB半値角は約7°と鋭くなっている。また、ピーク値とサイドローブの差も10dB以上となっている。そして、第2周波数f2を1.45GHzとして上記した寸法とした際に、第2周波数信号の垂直面内(Z−X面内)の放射パターンは図21に示すようになる。図21を参照すると、θが約90°および約270°とされる水平方向に放射のピークが発生しており、その放射ビームの3dB半値角は約7°と鋭くなっている。また、ピーク値とサイドローブの差も10dB以上となっている。このように、第5実施例のコーリニアアンテナ5においては、第1周波数f1および第2周波数f2において、通信に適する良好な放射パターンを得ることができる。
なお、第5実施例のコーリニアアンテナ5においては、各段の第1同軸ケーブル90と第2同軸ケーブル91をセミリジットケーブル等の硬い外部導体を有する同軸ケーブルで構成することにより、各段の第1同軸ケーブル90と第2同軸ケーブル91を保護する保護パイプを省略しているが、保護パイプを設けるようにしてもよい。
次に、本発明の第6実施例にかかるコーリニアアンテナ300の構成を図22に示す。
図22に示す第6実施例のコーリニアアンテナ300は、それぞれダイポールアンテナを構成するスリーブ素子が5段スタックされて構成されている。すなわち、それぞれダイポールアンテナを構成している1段目スリーブ素子310、2段目スリーブ素子311、3段目スリーブ素子312、4段目スリーブ素子313、5段目スリーブ素子314がスタックされてコーリニアアンテナ300が構成されている。コーリニアアンテナ300は、1段目スリーブ素子310の下から導入されている2本の第1同軸ケーブル390および第2同軸ケーブル391から給電されており、第1同軸ケーブル390の下端には第1アンテナ給電部392が接続され、第2同軸ケーブル391の下端には第2アンテナ給電部393が接続されている。第1アンテナ給電部392からは第1周波数f1の周波数信号が供給され、第2アンテナ給電部393からは第1周波数f1とは異なる第2周波数f2の周波数信号が供給されている。
第6実施例のコーリニアアンテナ300を構成している各段のスリーブ素子310〜314は金属製とされた円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプが向き合わされてスリーブ給電部が構成されており、ダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの物理長ELは約0.22λ〜約0.32λとされており、隣接するスリーブ素子310〜314のスリーブ給電部間の間隔PLの物理長は約0.8λを超えない長さとされている。この波長λは、第1周波数f1の場合はその波長λ1となり、第2周波数f2の場合はその波長λ2となる。そして、第1同軸ケーブル390および第2同軸ケーブル391から給電される1段目スリーブ素子310ないし5段目スリーブ素子314のそれぞれの給電部において第1周波数信号および第2周波数信号によりそれぞれ同相で励振されている。このため、1段目スリーブ素子310ないし5段目スリーブ素子314における隣接する各段の給電部間の第1同軸ケーブル390の電気長は約λ1あるいはその整数倍とされ、第2同軸ケーブル391の電気長は約λ2あるいはその整数倍とされている。第6実施例のコーリニアアンテナ300においては、スリーブ給電部の高さFgを変化させており、高さFgは約1mm〜約5mmの間で変化されている。
第6実施例のコーリニアアンテナ300において、5段目スリーブ素子314の構成は図2に示す5段目スリーブ素子14の構成と同様とされ、1段目スリーブ素子310ないし4段目スリーブ素子313の構成は図3に示す4段目スリーブ素子13の構成と同様とされている。第6実施例のコーリニアアンテナ300において特徴的な構成は、1段目スリーブ素子310ないし5段目スリーブ素子314における下段スリーブパイプと上段スリーブパイプとの境界部で構成されているスリーブ給電部の高さFg1,Fg2,Fg3,Fg4,Fg5を変化させた構成とされている。第6実施例のコーリニアアンテナ300において、第1周波数f1を1.00GHz(波長λ1≒300mm)、第2周波数f2を1.45GHz(波長λ2≒206.9mm)とした際の各部の寸法の一例を次に示す。
第6実施例のコーリニアアンテナ300の1段目スリーブ素子310ないし第5段目スリーブ素子314における上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの上記(1)式で示す長さELは約66mm(EL≒0.22λ1≒0.319λ2)とされ、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部との給電部間の間隔PLは約139.5mm(EL≒0.465λ1≒0.674λ2)とされる。また、1段目スリーブ素子310におけるスリーブ給電部の高さFg1は約1mm、2段目スリーブ素子311におけるスリーブ給電部の高さFg2は約2mm、3段目スリーブ素子312におけるスリーブ給電部の高さFg3は約3mm、4段目スリーブ素子313におけるスリーブ給電部の高さFg4は約4mm、5段目スリーブ素子314におけるスリーブ給電部の高さFg5は約5mmとされている。
なお、第1同軸ケーブル390は、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体の比誘電率εrが約4.62とされ、第2同軸ケーブル391も、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体の比誘電率εrが約2.2とされており、1段目スリーブ素子310ないし5段目スリーブ素子314内に平行してほぼ垂直に配置されている。第1同軸ケーブル390および第2同軸ケーブル391の外径は約3.6mmとされている。さらに、第1同軸ケーブル390の途中に挿入されている第1整合回路315と、第2同軸ケーブル391の途中に挿入されている第2整合回路316は、第1周波数f1および第2周波数f2のそれぞれのインピーダンスマッチングを行っている。第1整合回路315および第2整合回路316の整合回路としては、例えば、他に用意した同軸ケーブルの外部導体を除去して露出させた内部導体を外部導体に接続させてショートしたショートスタブや、他に用意した同軸ケーブルの内部導体と外部導体の径比を変化させたり誘電体の誘電率を変化させたりしたQマッチングなどを用いることができる。
第6実施例のコーリニアアンテナ300において、第1周波数f1および第2周波数f2を上記周波数とすると共に上記寸法とし、スリーブ給電部の高さFg1〜Fg5を変化させた際のインピーダンス特性を図23に示す。図23を参照すると、スリーブ給電部の高さFg1〜Fg5を全て約1mmとすると、レジスタンス成分は約5Ω、リアクタンス成分は約−4Ωとなる。また、スリーブ給電部の高さFg1を約1mm、Fg2を約2mm、Fg3,Fg4,Fg5を約3mmとすると、レジスタンス成分は約8Ω、リアクタンス成分は約−7Ωと大きくなり、スリーブ給電部の高さFg1を約1mm、Fg2を約2mm、Fg3を約3mm、Fg4を約4mm、Fg5を約5mmとすると、レジスタンス成分は約12Ω、リアクタンス成分は約−9Ωとさらに大きくなる。そして、スリーブ給電部の高さFg1,Fg2,Fg3を約3mm、Fg4を約4mm、Fg5を約5mmとすると、レジスタンス成分は約16Ω、リアクタンス成分は約−10Ωとさらに大きくなり、スリーブ給電部の高さFg1〜Fg5を全て約5mmとすると、レジスタンス成分は約20Ω、リアクタンス成分は約−9Ωとさらに大きくなる。このように、スリーブ給電部の高さFgを大きくするについてインピーダンスも次第に大きくなるため、スリーブ給電部の高さFgを調整することによりコーリニアアンテナ300のアンテナインピーダンスの調整を行うことができるようになる。
次に、第6実施例のコーリニアアンテナ300において、第1周波数f1および第2周波数f2を上記周波数とすると共に上記寸法とし、スリーブ給電部の高さFg1〜Fg5を変化させた際の頂点方向からの角度θに対する利得特性を図24に示す。ただし、図24においては角度θが90°(水平方向)の際の利得が0dBに正規化されている。
図24を参照すると、スリーブ給電部の高さFg1〜Fg5を全て約1mmとしたときには、角度θが約118°の方向に一番大きなサイドローブが発生しておりその利得は約−12dBとなっている。スリーブ給電部の高さFg1を約1mm、Fg2を約2mm、Fg3,Fg4,Fg5を約3mmとしたときにも、角度θが約118°の方向に一番大きなサイドローブが発生しておりその利得は約−12dBとなっている。スリーブ給電部の高さFg1を約1mm、Fg2を約2mm、Fg3を約3mm、Fg4を約4mm、Fg5を約5mmとしたときには、角度θが約117°の方向に一番大きなサイドローブが発生しておりその利得は約−11dBとなっている。スリーブ給電部の高さFg1,Fg2,Fg3を約3mm、Fg4を約4mm、Fg5を約5mmとしたときには、角度θが約113°の方向に一番大きなサイドローブが発生しておりその利得は約−11dBとなっている。スリーブ給電部の高さFg1〜Fg5を全て約5mmとしたときには、角度θが約111°の方向に一番大きなサイドローブが発生しておりその利得は約−11dBとなっている。このように、図24を参照するとスリーブ給電部の高さFgを高くしていくと若干メインビームはシャープとなっていくが、高さFgを1〜5mmのいずれの高さとしてもサイドローブのレベルは−10dB以下とされて、良好な利得特性が得られていることが分かる。
次に、第6実施例のコーリニアアンテナ300において、第1周波数f1および第2周波数f2を上記周波数とすると共に上記寸法とし、スリーブ給電部の高さFg1〜Fg5を変化させた際のサイドローブレベル特性を図25に示す。ただし、図示するサイドローブレベルは最大サイドローブレベルとされている。
図25を参照すると、スリーブ給電部の高さFg1〜Fg5を全て約1mmとしたときに発生する最大サイドローブレベルは約−12dBとなっている。スリーブ給電部の高さFg1を約1mm、Fg2を約2mm、Fg3,Fg4,Fg5を約3mmとしたときに発生する最大サイドローブレベルも約−12dBとなっている。スリーブ給電部の高さFg1を約1mm、Fg2を約2mm、Fg3を約3mm、Fg4を約4mm、Fg5を約5mmとしたときに発生する最大サイドローブレベルは約−11dBとなっている。スリーブ給電部の高さFg1,Fg2,Fg3を約3mm、Fg4を約4mm、Fg5を約5mmとしたときに発生する最大サイドローブレベルは約−11dBとなっている。スリーブ給電部の高さFg1〜Fg5を全て約5mmとしたときに発生する最大サイドローブレベルは約−11dBとなっている。このように、図25を参照するとスリーブ給電部の高さFgを高くしていくと若干サイドローブレベルは上昇していくが、高さFgを1〜5mmのいずれの高さとしても−10dB以下のサイドローブレベルが得られており、良好なサイドローブレベル特性とされていることが分かる。
次に、本発明の第7実施例にかかるコーリニアアンテナ301の構成を図26に示す。
図26に示す第7実施例のコーリニアアンテナ301は、それぞれダイポールアンテナを構成するスリーブ素子が6段スタックされて構成されている。ただし、6段目スリーブ素子は第1周波数信号用とされている。すなわち、それぞれダイポールアンテナを構成している1段目スリーブ素子320、2段目スリーブ素子321、3段目スリーブ素子322、4段目スリーブ素子323、5段目スリーブ素子324がスタックされており、さらに、第1周波数信号用の6段目スリーブ素子325が追加された構成とされている。コーリニアアンテナ301は、1段目スリーブ素子320の下から導入されている2本の第1同軸ケーブル390および第2同軸ケーブル391から給電されており、第1同軸ケーブル390の下端には第1アンテナ給電部392が接続され、第2同軸ケーブル391の下端には第2アンテナ給電部393が接続されている。第1アンテナ給電部392からは第1周波数f1の周波数信号が供給され、第2アンテナ給電部393からは第1周波数f1とは異なる第2周波数f2の周波数信号が供給されている。
第7実施例のコーリニアアンテナ301を構成している各段のスリーブ素子320〜325は金属製とされた円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプが向き合わされてスリーブ給電部が構成されている。ダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの物理長ELは約0.22λ〜約0.32λとされており、隣接するスリーブ素子320〜325のスリーブ給電部間の間隔PLの物理長は約0.8λを超えない長さとされている。この波長λは、第1周波数f1の場合はその波長λ1となり、第2周波数f2の場合はその波長λ2となる。そして、第1同軸ケーブル390および第2同軸ケーブル391から給電される1段目スリーブ素子320ないし5段目スリーブ素子324のそれぞれの給電部、および、第1同軸ケーブル390のみから給電される6段目スリーブ素子325において、第1周波数信号f1、第2周波数信号f2によりそれぞれ同相で励振されている。このため、1段目スリーブ素子320ないし6段目スリーブ素子325における隣接する各段の給電部間の第1同軸ケーブル390の電気長は約λ1あるいはその整数倍とされ、第2同軸ケーブル391がある段ではその電気長は約λ2あるいはその整数倍とされている。また、第7実施例のコーリニアアンテナ301においては、スリーブ給電部の高さFgを変化させており、Fgは約1mm〜約5mmの間で変化されている。
第7実施例のコーリニアアンテナ301における6段目スリーブ素子325の詳細構成を図27に断面図で示す。図27に示す6段目スリーブ素子325は、円筒状の上段スリーブパイプ325aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ325cの上端面とがFg6の間隔で向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ325aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント325bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ325cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント325dが嵌挿されている。下段ジョイント325dのほぼ中央に形成された挿通孔には5段目スリーブ素子324から導出されたらせん状の第1同軸ケーブル390が挿通されている。第1同軸ケーブル390の外部導体390cの先端は下段ジョイント325dに電気的に接続されており、下段スリーブパイプ325cと上段スリーブパイプ325aの境界部において第1同軸ケーブル390の外部導体390cが除去されて絶縁筒体390bが露出されている。この絶縁筒体390bは、上記境界部を超えた部位において除去されて中心導体390aが露出されており、この中心導体390aが上段ジョイント325bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内に設けられた接続端子326に電気的に接続されている。この構成により、ダイポールアンテナを構成する6段目スリーブ素子325の下段スリーブパイプ325cと上段スリーブパイプ325aとが、第1同軸ケーブル390を伝達してきた第1周波数信号により励振されるようになる。
次に、第7実施例のコーリニアアンテナ301において、5段目スリーブ素子324の詳細構成を断面図で図28に示す。図28に示す5段目スリーブ素子324は、円筒状の上段スリーブパイプ324aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ324cの上端面とがFg5の間隔で向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ324aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント324bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ324cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント324dが嵌挿されている。下段スリーブパイプ324c内には、4段目スリーブ素子323から導出されたらせん状に巻かれた第1同軸ケーブル390および直線状の第2同軸ケーブル391が導入されて、下段ジョイント324dのほぼ中央に形成された挿通孔に挿通されている。そして、第1同軸ケーブル390の外部導体390cおよび第2同軸ケーブル391の外部導体391cの先端は下段ジョイント324dに電気的に接続されている。また、上段ジョイント324bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内には、下段スリーブパイプ324cから導出された第1同軸ケーブル390が挿通されて外部導体390cが上段ジョイント324bに電気的に接続される。また、下段スリーブパイプ324cと上段スリーブパイプ324aの境界部において第1同軸ケーブル390の外部導体390cおよび第2同軸ケーブル391の外部導体391cが除去されて、絶縁筒体390b,391bが露出されている。
第2同軸ケーブル391の絶縁筒体391bは上記境界部を越えると除去されて、露出された中心導体391aが上段ジョイント324bに形成されている挿通孔内に設けられている接続端子326に電気的に接続されている。これにより、ダイポールアンテナを構成する5段目スリーブ素子324の下段スリーブパイプ324cと上段スリーブパイプ324aとが、第2同軸ケーブル391を伝達してきた第2周波数信号により励振されるようになる。さらに、絶縁筒体390bが露出されている内部に位置にする中心導体390aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント324bおよび下段ジョイント324dにより励振スロットとされるスリーブ給電部324eが構成されて、スリーブ給電部324eによりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ324aと下段スリーブパイプ324cとが、第1同軸ケーブル390を伝達してきた第1周波数信号により励振される。そして、上段スリーブパイプ324a内かららせん状とされた第1同軸ケーブル390のみが導出されて、上の段とされる6段目スリーブ素子325に向かって延伸されている。スリーブ給電部324eの高さはFg5とされている。
さらに、第7実施例のコーリニアアンテナ301における1段目スリーブ素子320ないし4段目スリーブ素子323の構成は、5段目スリーブ素子324において、接続端子326を取り去って上段ジョイント324bに外部導体391cが接続されている第2同軸ケーブル391を上の段に向かって導出した構成とされているので、その説明は省略する。
第7実施例のコーリニアアンテナ301において、第1周波数f1を1.00GHz(波長λ1≒300mm)、第2周波数f2を1.45GHz(波長λ2≒206.9mm)とした際の各部の寸法は、1段目スリーブ素子320におけるスリーブ給電部の高さFg1が約1mm、2段目スリーブ素子321におけるスリーブ給電部の高さFg2が約2mm、3段目スリーブ素子322におけるスリーブ給電部の高さFg3が約3mm、4段目スリーブ素子323におけるスリーブ給電部の高さFg4が約4mm、5段目スリーブ素子324におけるスリーブ給電部の高さFg5が約5mm、6段目スリーブ素子325におけるスリーブ給電部の高さFg6が約5mmとされている。第7実施例のコーリニアアンテナ301における他の各部の寸法は第3実施例のコーリニアアンテナ3の寸法と同様とされている。
なお、第1同軸ケーブル390は、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体の比誘電率εrが約2.2とされてらせん状に巻かれており、第2同軸ケーブル391は、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体の比誘電率εrが約2.83とされて直線状とされている。そして、6段目スリーブ素子325は、第1周波数f1における利得を増加させるために追加されていることから、第7実施例のコーリニアアンテナ301の第1周波数f1における利得が、第6実施例のコーリニアアンテナ2より増加するようになる。この場合、第2周波数f2における利得は同様となる。また、各段の第1同軸ケーブル390と第2同軸ケーブル391をセミリジットケーブル等の硬い外部導体を有する同軸ケーブルで構成することにより、各段の第1同軸ケーブル390と第2同軸ケーブル391を保護する保護パイプを省略しているが、保護パイプを設けるようにしてもよい。
次に、本発明の第8実施例にかかるコーリニアアンテナ302の構成を図29に示す。
図29に示す第8実施例のコーリニアアンテナ302は、第7実施例のコーリニアアンテナ301において、5段目スリーブ素子から6段目スリーブ素子まで第2同軸ケーブル391の外部導体のみを設けて機械的強度を向上させるようにした構成とされている。すなわち、それぞれダイポールアンテナを構成している1段目スリーブ素子330、2段目スリーブ素子331、3段目スリーブ素子332、4段目スリーブ素子333、5段目スリーブ素子334がスタックされており、さらに、第1周波数信号用の6段目スリーブ素子335が追加された構成とされている。他の構成については、第7実施例のコーリニアアンテナ301と同様とされているので省略する。
第8実施例のコーリニアアンテナ302を構成している各段のスリーブ素子330〜335は金属製とされた円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプが向き合わされてスリーブ給電部が構成されている。ダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの物理長ELは約0.22λ〜約0.32λとされており、隣接するスリーブ素子330〜335のスリーブ給電部間の間隔PLの物理長は約0.8λを超えない長さとされている。この波長λは、第1周波数f1の場合はその波長λ1となり、第2周波数f2の場合はその波長λ2となる。そして、第1同軸ケーブル390および第2同軸ケーブル391から給電される1段目スリーブ素子330ないし5段目スリーブ素子334のそれぞれの給電部、および、第1同軸ケーブル390のみから給電される6段目スリーブ素子335において、第1周波数信号f1、第2周波数信号f2によりそれぞれ同相で励振されている。このため、1段目スリーブ素子330ないし6段目スリーブ素子335における隣接する各段の給電部間の第1同軸ケーブル390の電気長は約λ1あるいはその整数倍とされ、第2同軸ケーブル391がある段ではその電気長は約λ2あるいはその整数倍とされている。また、第8実施例のコーリニアアンテナ302においても、1段目スリーブ素子330におけるスリーブ給電部の高さFg1が約1mm、2段目スリーブ素子331におけるスリーブ給電部の高さFg2が約2mm、3段目スリーブ素子332におけるスリーブ給電部の高さFg3が約3mm、4段目スリーブ素子333におけるスリーブ給電部の高さFg4が約4mm、5段目スリーブ素子334におけるスリーブ給電部の高さFg5が約5mm、6段目スリーブ素子335におけるスリーブ給電部の高さFg6が約5mmとされている。
第8実施例のコーリニアアンテナ302における6段目スリーブ素子335の詳細構成を図30に断面図で示す。図30に示す6段目スリーブ素子335は、円筒状の上段スリーブパイプ335aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ335cの上端面とがFg6の間隔で向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ335aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント335bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ335cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント335dが嵌挿されている。下段ジョイント335dのほぼ中央に形成された挿通孔には5段目スリーブ素子324から導出されたらせん状の第1同軸ケーブル390および外部導体391bのみからなる直線状の第2同軸ケーブル391が挿通されている。第1同軸ケーブル390の外部導体390cおよび第2同軸ケーブル391の外部導体391cの先端は下段ジョイント335dに電気的に接続されており、下段スリーブパイプ335cと上段スリーブパイプ335aの境界部において第1同軸ケーブル390の外部導体390cが除去されて絶縁筒体390bが露出されていると共に、第2同軸ケーブル391は切り取られている。この絶縁筒体390bは、上記境界部を超えた部位において除去されて中心導体390aが露出されており、この中心導体390aが上段ジョイント335bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内に設けられた接続端子336に電気的に接続されている。この構成により、ダイポールアンテナを構成する6段目スリーブ素子335の下段スリーブパイプ335cと上段スリーブパイプ335aとが、第1同軸ケーブル390を伝達してきた第1周波数信号により励振されるようになる。また、外部導体391bのみからなる直線状の第2同軸ケーブル391によりらせん状の第1同軸ケーブル390の補強が行われる。
次に、第8実施例のコーリニアアンテナ302において、5段目スリーブ素子334の詳細構成を断面図で図31に示す。図31に示す5段目スリーブ素子334は、円筒状の上段スリーブパイプ334aの下端面と円筒状の下段スリーブパイプ334cの上端面とがFg5の間隔で向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ334aの下端部の内側に金属製の上段ジョイント334bが嵌挿されており、下段スリーブパイプ334cの上端部の内側に金属製の下段ジョイント334dが嵌挿されている。下段スリーブパイプ334c内には、4段目スリーブ素子333から導出されたらせん状に巻かれた第1同軸ケーブル390および直線状の第2同軸ケーブル391が導入されて、下段ジョイント334dのほぼ中央に形成された挿通孔に挿通されている。そして、第1同軸ケーブル390の外部導体390cおよび第2同軸ケーブル391の外部導体391cの先端は下段ジョイント334dに電気的に接続されている。また、上段ジョイント334bのほぼ中央部に形成されている挿通孔内には、下段スリーブパイプ334cから導出された第1同軸ケーブル390が挿通されて外部導体390cが上段ジョイント334bに電気的に接続される。また、下段スリーブパイプ334cと上段スリーブパイプ334aの境界部において第1同軸ケーブル390の外部導体390cおよび第2同軸ケーブル391の外部導体391cが除去されて、絶縁筒体390b,391bが露出されている。
第2同軸ケーブル391の絶縁筒体391bは上記境界部を越えると除去されて、露出された中心導体391aが上段ジョイント334bに形成されている挿通孔内に設けられている接続端子336に電気的に接続されている。これにより、ダイポールアンテナを構成する5段目スリーブ素子334の下段スリーブパイプ334cと上段スリーブパイプ334aとが、第2同軸ケーブル391を伝達してきた第2周波数信号により励振されるようになる。さらに、絶縁筒体390bが露出されている内部に位置にする中心導体390aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント334bおよび下段ジョイント334dにより励振スロットとされるスリーブ給電部334eが構成されて、スリーブ給電部334eによりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ334aと下段スリーブパイプ334cとが、第1同軸ケーブル390を伝達してきた第1周波数信号により励振される。そして、上段スリーブパイプ334a内にらせん状に巻かれた第1同軸ケーブル390および外部導体391cのみからなる直線状の第2同軸ケーブル391が挿通されて、上の段とされる6段目スリーブ素子335に向けて導出されている。スリーブ給電部334eの高さはFg5とされている。
さらに、第8実施例のコーリニアアンテナ302における1段目スリーブ素子330ないし4段目スリーブ素子333の構成は、第7実施例のコーリニアアンテナ301における1段目スリーブ素子320ないし4段目スリーブ素子323の構成と同様の構成とされているので、その説明は省略する。
さらにまた、第8実施例のコーリニアアンテナ302において、第1周波数f1を1.00GHz(波長λ1≒300mm)、第2周波数f2を1.45GHz(波長λ2≒206.9mm)とした際の各部の寸法は、第7実施例のコーリニアアンテナ301と同様とされているのでその説明は省略する。
なお、第1同軸ケーブル390は、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体の比誘電率εrが約2.2とされ、第2同軸ケーブル391も、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体の比誘電率εrが約2.83とされている。そして、6段目スリーブ素子335は、第1周波数f1における利得を増加させるために追加されていることから、第8実施例のコーリニアアンテナ302の第1周波数f1における利得が、第6実施例のコーリニアアンテナ2より増加するようになる。この場合、第2周波数f2における利得は同様となる。
次に、本発明の第9実施例にかかるコーリニアアンテナ303の構成を図32に示す。
図32に示す第9実施例のコーリニアアンテナ303は、それぞれダイポールアンテナを構成するスリーブ素子が10段スタックされて構成されている。すなわち、それぞれダイポールアンテナを構成している1段目スリーブ素子340、2段目スリーブ素子341、3段目スリーブ素子342、4段目スリーブ素子343、5段目スリーブ素子344、・・・10段目スリーブ素子349がスタックされてコーリニアアンテナ303が構成されている。コーリニアアンテナ303は、1段目スリーブ素子340の下から導入されている2本の第1同軸ケーブル390および第2同軸ケーブル391から給電されており、第1同軸ケーブル390の下端には第1アンテナ給電部392が接続され、第2同軸ケーブル391の下端には第2アンテナ給電部393が接続されている。第1アンテナ給電部392からは第1周波数f1の周波数信号が供給され、第2アンテナ給電部393からは第1周波数f1とは異なる第2周波数f2の周波数信号が供給されている。
第9実施例のコーリニアアンテナ303を構成している各段のスリーブ素子340〜349は金属製とされた円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプが向き合わされてスリーブ給電部が構成されており、ダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの物理長ELは約0.22λ〜約0.32λとされており、隣接するスリーブ素子340〜349のスリーブ給電部間の間隔PLの物理長は約0.8λを超えない長さとされている。この波長λは、第1周波数f1の場合はその波長λ1となり、第2周波数f2の場合はその波長λ2となる。なお、ELとPLの寸法は全段において同一とされている。そして、第1同軸ケーブル390および第2同軸ケーブル391から給電される1段目スリーブ素子340ないし10段目スリーブ素子349のそれぞれの給電部において第1周波数信号および第2周波数信号によりそれぞれ励振されている。第9実施例のコーリニアアンテナ303においては、下段スリーブパイプと上段スリーブパイプとの境界部で構成されているスリーブ給電部の高さFgを変化させることができるが、図示する例ではFg1,Fg2,Fg3,Fg4,Fg5,・・・Fg10はいずれも約1mmに設定されている。
第9実施例のコーリニアアンテナ303において、第1周波数f1を1.90205GHz(波長λ1≒157.72mm)、第2周波数f2を2.56000GHz(波長λ2≒117.19mm)とした際の各部の寸法の一例を次に示す。
第9実施例のコーリニアアンテナ303における1段目スリーブ素子340ないし第10段目スリーブ素子349における上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの径は約20mm、上段ジョイントおよび下段ジョイントの厚さJtは約3mm、各スリーブパイプの肩の長さShは約6.4mm、各スリーブパイプの厚みPtは約0.3mmとされている。そして、上記(1)式で示す長さELは約42.94mm(EL≒0.272λ1≒0.366λ2)とされている。また、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLに応じて各段のスリーブ給電部の電流振幅に位相差が生じるようになる。このため、間隔PLを変化させることによりコーリニアアンテナ303から放射されるメインローブをチルトさせることが可能となる。ただし、間隔PLの電気長は使用する波長のλ以下とされる。さらに、1段目スリーブ素子340におけるスリーブ給電部の高さFg1ないし10段目スリーブ素子349におけるスリーブ給電部の高さFg10は全て約1mmとされている。
なお、第1同軸ケーブル390は、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体の比誘電率εrが約2.80とされ、第2同軸ケーブル391も、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体の比誘電率εrが約1.56とされており、1段目スリーブ素子340ないし10段目スリーブ素子349内にほぼ垂直に配置されている。第1同軸ケーブル390および第2同軸ケーブル391の外径は約4.2mmとされている。さらに、第1同軸ケーブル390の途中に挿入されている第1整合回路315と、第2同軸ケーブル391の途中に挿入されている第2整合回路316は、第1周波数f1および第2周波数f2のそれぞれのインピーダンスマッチングを行っている。第1整合回路315および第2整合回路316の整合回路としては、例えば、他に用意した同軸ケーブルの外部導体を除去して露出させた内部導体を外部導体に接続させてショートしたショートスタブや、他に用意した同軸ケーブルの内部導体と外部導体の径比を変化させたり誘電体の誘電率εrを変化させたりしたQマッチングなどを用いることができる。さらにまた、第9実施例のコーリニアアンテナ303において、10段目スリーブ素子349の構成は第6実施例のコーリニアアンテナ300における5段目スリーブ素子314の構成と同様とされ、1段目スリーブ素子340ないし9段目スリーブ素子の構成は第6実施例における1段目スリーブ素子310ないし4段目スリーブ素子313の構成と同様とされているので、その説明は省略する。
次に、第9実施例のコーリニアアンテナ303において、第1周波数f1および第2周波数f2を上記周波数とすると共に上記寸法とし、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを変化させた際の頂点方向からの角度θに対する利得特性を図33に示す。ただし、図33においては角度θが90°(水平方向)の際の利得が0dBに正規化されている。
図33を参照すると、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを約0.55λ1(約86.7mm)としたときには、角度θが約99°の方向に一番大きなメインローブが発生している。ただし、λ1は、第1周波数f1(1.90205GHz)の波長である。隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを約0.56λ1(約88.3mm)としたときには、角度θが約97°の方向に一番大きなメインローブが発生している。隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを約0.57λ1(約89.9mm)としたときには、角度θが約96°の方向に一番大きなメインローブが発生している。隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを約0.58λ1(約91.5mm)としたときには、角度θが約91°の方向に一番大きなメインローブが発生している。隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを約0.59λ1(約93.1mm)としたときには、角度θが約90°の方向に一番大きなメインローブが発生している。
次に、第9実施例のコーリニアアンテナ303において、第1周波数f1および第2周波数f2を上記周波数とすると共に上記寸法とし、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを変化させた際の最大利得方向の特性を図34に示す。
図34を参照すると、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを約0.55λ1(約86.7mm)としたときには、最大利得方向は約99°の方向となり、水平方向から約9°下方へチルトしていることが分かる。隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを約0.56λ1(約88.3mm)としたときには、最大利得方向は約97°の方向となり、水平方向から約7°下方へチルトしていることが分かる。隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを約0.57λ1(約89.9mm)としたときには、最大利得方向は約96°の方向となり、水平方向から約6°下方へチルトしていることが分かる。隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを約0.58λ1(約91.5mm)としたときには、最大利得方向は約91°の方向となり、水平方向から約1°下方へチルトしていることが分かる。隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを約0.59λ1(約93.1mm)としたときには、最大利得方向は約90°の方向となり、ほぼチルトしないことがわかる。なお、図33および図34の電気特性は第1周波数f1だけではなく、第2周波数f2においても同様の電気特性を示すようになる。
図33および図34に示すように、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLが短いと利得の最大方向は水平方向より下方となり、間隔PLが長くなると利得の最大方向はほぼ水平方向を向くようになる。そして、間隔PLを変化させても、サイドローブレベルは約 −10dB以下を維持できるようになる。
なお、第9実施例のコーリニアアンテナ303において、設計周波数を第1周波数f1を1884.5MHz〜1919.6MHz、第2周波数f2を2545MHz〜2575MHzとした場合、λ1は約159.19mm〜約156.28mmとなり、λ2は約117.88mm〜約116.50mmとなるが、電気特性は上記した電気特性とほぼ同一の電気特性が得られる。このとき、ELは約39.84mm(約0.250λ1〜約0.342λ2)とされ、PLは約89.9mm(約0.565λ〜約0.772λ2)とされる。
次に、本発明の第10実施例にかかるコーリニアアンテナ304の構成を図35に示す。
図35に示す第10実施例のコーリニアアンテナ304は、それぞれダイポールアンテナを構成するスリーブ素子が19段スタックされて構成されている。そして、16段目スリーブ素子から19段目スリーブ素子までは第1周波数用のスリーブ素子とされて、15段目スリーブ素子から19段目スリーブ素子までは第2同軸ケーブル391の外部導体のみを設けるようにした構成とされている。すなわち、それぞれダイポールアンテナを構成している1段目スリーブ素子350、2段目スリーブ素子351、3段目スリーブ素子352、4段目スリーブ素子353、5段目スリーブ素子354、6段目スリーブ素子355、・・・14段目スリーブ素子363、15段目スリーブ素子364、16段目スリーブ素子365、17段目スリーブ素子366、18段目スリーブ素子367、19段目スリーブ素子368がスタックされてコーリニアアンテナ304が構成されている。コーリニアアンテナ304は、1段目スリーブ素子350の下から導入されている2本の第1同軸ケーブル390および第2同軸ケーブル391から給電されており、第1同軸ケーブル390の下端には第1アンテナ給電部392が接続され、第2同軸ケーブル391の下端には第2アンテナ給電部393が接続されている。第1アンテナ給電部392からは第1周波数f1の周波数信号が供給され、第2アンテナ給電部393からは第1周波数f1とは異なる第2周波数f2の周波数信号が供給されている。なお、第1同軸ケーブル390は第2同軸ケーブル391にらせん状に巻かれている。また、15段目スリーブ素子364の上段ジョイントから上方に導出されている第2同軸ケーブル391は外部導体のみであり、内部は空洞とされている。
第10実施例のコーリニアアンテナ304において、1段目スリーブ素子350ないし15段目スリーブ素子364は第1周波数f1および第2周波数f2用とされ、16段目スリーブ素子365ないし19段目スリーブ素子368は第1周波数f1用とされて、第1周波数f1に対する利得を向上させている。コーリニアアンテナ304を構成している各段のスリーブ素子350〜368は金属製とされた円筒状の上段スリーブパイプと下段スリーブパイプが向き合わされてスリーブ給電部が構成されており、ダイポールアンテナを構成する上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの物理長ELは約0.22λ〜約0.32λとされており、隣接するスリーブ素子350〜368のスリーブ給電部間の間隔PLの物理長は約0.8λを超えない長さとされている。この波長λは、第1周波数f1の場合はその波長λ1となり、第2周波数f2の場合はその波長λ2となる。なお、ELとPLの寸法は全段において同一とされている。そして、第1同軸ケーブル390から給電される1段目スリーブ素子350ないし19段目スリーブ素子368のそれぞれの給電部において第1周波数信号によりそれぞれ同相で励振され、第2同軸ケーブル391から給電される1段目スリーブ素子350ないし15段目スリーブ素子364のそれぞれの給電部において第2周波数信号によりそれぞれ同相で励振されている。このため、1段目スリーブ素子350ないし19段目スリーブ素子368における隣接する各段の給電部間の第1同軸ケーブル390の電気長は約λ1あるいはその整数倍とされ、1段目スリーブ素子350ないし15段目スリーブ素子364における隣接する各段の給電部間の第2同軸ケーブル391の電気長は約λ2あるいはその整数倍とされている。
第10実施例のコーリニアアンテナ304において、第1周波数f1を1.90205GHz(波長λ1≒157.72mm)、第2周波数f2を2.56000GHz(波長λ2≒117.19mm)とした際の各部の寸法の一例を次に示す。
第10実施例のコーリニアアンテナ304における1段目スリーブ素子350ないし第19段目スリーブ素子368における上段スリーブパイプおよび下段スリーブパイプの径は約20mm、上段ジョイントおよび下段ジョイントの厚さJtは約3mm、各スリーブパイプの肩の長さShは約6.4mm、各スリーブパイプの厚さPtは約0.3mmとされている。そして、上記(1)式で示す長さELは約39.84mm(EL≒0.253λ1≒0.340λ2)とされている。また、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLは約89.9mm(PL≒0.570λ1≒0.767λ2)とされる。ただし、間隔PLの電気長は使用する波長のλ以下とする。さらに、1段目スリーブ素子350におけるスリーブ給電部の高さFg1は約1mm、2段目スリーブ素子351におけるスリーブ給電部の高さFg2は約2mm、3段目スリーブ素子352におけるスリーブ給電部の高さFg3は約3mm、4段目スリーブ素子353におけるスリーブ給電部の高さFg4は約4mm、5段目スリーブ素子354におけるスリーブ給電部の高さFg5は約5mmとされ、6段目スリーブ素子355におけるスリーブ給電部の高さFg6ないし19段目スリーブ素子368におけるスリーブ給電部の高さFg19はいずれも約5mmとされている。
なお、第1同軸ケーブル390は、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体の比誘電率εrが約2.20とされ、第2同軸ケーブル391も、例えば特性インピーダンスが50Ωで絶縁筒体の比誘電率εrが約2.83とされており、1段目スリーブ素子350ないし19段目スリーブ素子368内にほぼ垂直に配置されている。なお、第1同軸ケーブル390は第2同軸ケーブル391にらせん状に巻かれている。第1同軸ケーブル390および第2同軸ケーブル391の外径は約4.2mmとされている。さらに、第1同軸ケーブル390の途中に挿入されている第1整合回路315と、第2同軸ケーブル391の途中に挿入されている第2整合回路316は、第1周波数f1および第2周波数f2のそれぞれのインピーダンスマッチングを行っている。第1整合回路315および第2整合回路316の整合回路としては、例えば、他に用意した同軸ケーブルの外部導体を除去して露出させた内部導体を外部導体に接続させてショートしたショートスタブや、他に用意した同軸ケーブルの内部導体と外部導体の径比を変化させたり誘電体の誘電率を変化させたりしたQマッチングなどを用いることができる。さらにまた、第10実施例のコーリニアアンテナ304において、19段目スリーブ素子368の構成は第8実施例のコーリニアアンテナ302における6段目スリーブ素子335の構成と同様とされ、15段目スリーブ素子364の構成は第6実施例における5段目スリーブ素子334の構成と同様とされ、1段目スリーブ素子350ないし14段目スリーブ素子364の構成は第6実施例における1段目スリーブ素子330ないし4段目スリーブ素子323の構成と同様とされているので、その説明は省略する。なお、第10実施例のコーリニアアンテナ304においては、特性調整の結果、1段目スリーブ素子350ないし15段目スリーブ素子364における隣接する各段の給電部間の第2同軸ケーブル391の電気長は約0.958λ2あるいはその整数倍とされている。
第10実施例のコーリニアアンテナ304において、第1周波数f1を1.90205GHzとして上記した寸法とした際に、第1周波数信号の垂直面内(Z−X面内)の放射パターンは図36に示すようになる。図36においては最大利得を0dBに正規化して示しており、θが約90°および約270°とされる水平方向に利得の最大方向を有し、そのメインビームの3dB半値角は約4°と鋭くなっている。また、サイドローブレベルは約125°および約235°方向に発生しているが、約−21.9dBと極めて小さな利得のサイドローブとされている。なお、利得の最大値は、約12.5dBiが得られている。
また、第10実施例のコーリニアアンテナ304において、第2周波数f2を2.56000GHzとして上記した寸法とした際に、第2周波数信号の垂直面内(Z−X面内)の放射パターンは図37に示すようになる。図37においては最大利得を0dBに正規化して示しており、θが約90°および約270°とされる水平方向に利得の最大方向を有し、そのメインビームの3dB半値角は約4°と鋭くなっている。また、サイドローブレベルは約103°および約257°方向に発生しているが、約−17.0dBと極めて小さな利得のサイドローブとされている。なお、利得の最大値は、約12.8dBiが得られている。このように、第10実施例のコーリニアアンテナ304においては、第1周波数f1および第2周波数f2において、通信に適する良好な放射パターンを得ることができる。
次に、本発明の第10実施例にかかるコーリニアアンテナ304において、さらに第1周波数用の20段目スリーブ素子369を追加すると共に、1段目スリーブ素子350ないし第20段目スリーブ素子369における上段スリーブパイプと下段スリーブパイプの上記(1)式で示す長さELを約32.81mm(EL≒0.208λ1≒0.280λ2)とし、隣接するスリーブ素子のスリーブ給電部間の間隔PLを約83.59mm(PL≒0.530λ1≒0.713λ2)とする。
この変形例の第10実施例のコーリニアアンテナ304において、第1周波数信号(1.90205GHz)の垂直面内(Z−X面内)の放射パターンは図38に示すようになる。図38においては最大利得を0dBに正規化して示しており、θが約98°および約262°とされる方向に利得の最大方向を有し、メインビームが水平方向から下向きに約8°チルトされるようになる。このメインビームの3dB半値角は約5°と鋭くなっている。また、サイドローブレベルは約129°および約231°方向に発生しているが、約−20.8dBと極めて小さな利得のサイドローブとされている。なお、利得の最大値は、約12.1dBiが得られている。
また、変形例の第10実施例のコーリニアアンテナ304において、第2周波数信号(2.56000GHz)の垂直面内(Z−X面内)の放射パターンは図39に示すようになる。図39においては最大利得を0dBに正規化して示しており、θが約98°および約262°とされる方向に利得の最大方向を有し、メインビームが水平方向から下向きに約8°チルトされるようになる。このメインビームの3dB半値角は約5°と鋭くなっている。また、サイドローブレベルは約84°および約276°方向に発生しているが、約−18.3dBと極めて小さな利得のサイドローブとされている。なお、利得の最大値は、約12.0dBiが得られている。このように、変形例の第10実施例のコーリニアアンテナ304においては、ELおよびPLの寸法を調節することで所望の角度チルトした放射パターンを得ることができる。この場合、異なる周波数の第1周波数f1および第2周波数f2であっても、同様のチルト角を得ることができる。
なお、設計周波数が第1周波数f1を1884.5MHz〜1919.6MHz、第2周波数f2を2545MHz〜2575MHzとした場合、λ1は約159.19mm〜約156.28mmとなり、λ2は約117.88mm〜約116.50mmとなり、電気特性は上記した電気特性とほぼ同一の電気特性が得られる。このとき、ELは約32.81mm(約0.206λ1〜約0.282λ2)とされ、PLは約83.59mm(約0.525λ1〜約0.718λ2)とされる。
上記説明した本発明の第1実施例のコーリニアアンテナ1ないし第10実施例のコーリニアアンテナ304においては伝送線路として第1同軸ケーブル90,390および第2同軸ケーブル91,391を用いていた。本発明において用いることのできる伝送線路の例を次に説明する。
まず、伝送線路としてトリプレートライン130を用いた場合のスリーブ素子の構成を図40および図41に示す。図40は、スリーブ素子の構成を断面図で示す正面図であり、図41はスリーブ素子の構成を示す下面図である。これらの図に示すスリーブ素子は、円筒状の上段スリーブパイプ131の下端面と円筒状の下段スリーブパイプ133の上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ131の下端部の内側に金属製の上段ジョイント132が嵌挿されており、下段スリーブパイプ133の上端部の内側に金属製の下段ジョイント134が嵌挿されている。下段スリーブパイプ133内には、隣接する下の段のスリーブ素子内から導出された断面形状が矩形とされているトリプレートライン130が挿通されている。このトリプレートライン130は、第1給電伝送線路136と第2給電伝送線路137を備えており、第1給電伝送線路136は内部に第1内部導体136aが配置されている第1誘電体基板136cの上面に第1外部導体136bが配置され、下面に共有外部導体138が配置されて構成されている。また、第2給電伝送線路137は第1誘電体基板136cの下に重ねられて配置された内部に第2内部導体137aが配置されている第2誘電体基板137cの下面に第2外部導体137bが配置され、上面に共有外部導体138が配置されて構成されている。
このような構成のトリプレートライン130は、下段ジョイント134のほぼ中央部に形成されている矩形の挿通孔内に挿通されて、第1外部導体136bと第2外部導体137bと共有外部導体138とが下段ジョイント134に電気的に接続されている。下段スリーブパイプ133から導出されたトリプレートライン130は上段スリーブパイプ131内に挿通されて、トリプレートライン130が上段ジョイント132のほぼ中央部に形成されている矩形の挿通孔内に挿通され、その第1外部導体136b、第2外部導体137b、共有外部導体138が上段ジョイント132に電気的に接続されている。また、下段スリーブパイプ133と上段スリーブパイプ131との境界部においてトリプレートライン130の第1外部導体136bと第2外部導体137bと共有外部導体138とが除去される。そして、高周波的に露出された第1内部導体136aと第2内部導体137aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント132および下段ジョイント134により励振スロットとされるスリーブ給電部135が構成されて、スリーブ給電部135によりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ131と下段スリーブパイプ133とが、トリプレートライン130を伝達してきた第1周波数信号および第2周波数信号により励振されるようになる。トリプレートライン130は、上段スリーブパイプ131の上端から上の段のスリーブ素子に向けて導出される。
次に、伝送線路としてマイクロストリップライン140を用いた場合のスリーブ素子の構成を図42および図43に示す。図42は、スリーブ素子の構成を断面図で示す正面図であり、図43はスリーブ素子の構成を示す下面図である。これらの図に示すスリーブ素子は、円筒状の上段スリーブパイプ141の下端面と円筒状の下段スリーブパイプ143の上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ141の下端部の内側に金属製の上段ジョイント142が嵌挿されており、下段スリーブパイプ143の上端部の内側に金属製の下段ジョイント144が嵌挿されている。下段スリーブパイプ143内には、隣接する下の段のスリーブ素子内から導出された断面形状が矩形とされているマイクロストリップライン140が挿通されている。このマイクロストリップライン140は、第1給電伝送線路146と第2給電伝送線路147を備えており、第1給電伝送線路146は第1誘電体基板146cの上面に第1内部導体146aが配置され、下面に共有外部導体148が配置されて構成されている。また、第2給電伝送線路147は第1誘電体基板146cの下に重ねられて配置された第2誘電体基板147cの下面に第2内部導体137aが配置され、上面に共有外部導体148が配置されて構成されている。
このような構成のマイクロストリップライン140は、下段ジョイント144のほぼ中央部に形成されている矩形の挿通孔内に挿通されて、共有外部導体148が下段ジョイント144に電気的に接続されている。下段スリーブパイプ143から導出されたマイクロストリップライン140は上段スリーブパイプ141内に挿通されて、マイクロストリップライン140が上段ジョイント142のほぼ中央部に形成されている矩形の挿通孔内に挿通されて、その共有外部導体148が上段ジョイント142に電気的に接続されている。また、下段スリーブパイプ143と上段スリーブパイプ141との境界部においてマイクロストリップライン140の共有外部導体148が除去されている。そして、第1内部導体146aと第2内部導体147aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント142および下段ジョイント144により励振スロットとされるスリーブ給電部145が構成されて、スリーブ給電部145によりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ141と下段スリーブパイプ143とが、マイクロストリップライン140を伝達してきた第1周波数信号および第2周波数信号により励振されるようになる。マイクロストリップライン140は、上段スリーブパイプ141の上端から上の段のスリーブ素子に向けて導出される。
次に、伝送線路として上下コプレーナライン150を用いた場合のスリーブ素子の構成を図44および図45に示す。図44は、スリーブ素子の構成を断面図で示す正面図であり、図45はスリーブ素子の構成を示す下面図である。これらの図に示すスリーブ素子は、円筒状の上段スリーブパイプ151の下端面と円筒状の下段スリーブパイプ153の上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ151の下端部の内側に金属製の上段ジョイント152が嵌挿されており、下段スリーブパイプ153の上端部の内側に金属製の下段ジョイント154が嵌挿されている。下段スリーブパイプ153内には、隣接する下の段のスリーブ素子内から導出された断面形状が矩形とされている上下コプレーナライン150が挿通されている。この上下コプレーナライン150は、第1給電伝送線路156と第2給電伝送線路157を備えており、第1給電伝送線路156は第1誘電体基板156cの上面の中央に第1内部導体156aが、両縁部に沿って第1外部導体156bが配置され、下面に共有外部導体158が配置されて構成されている。また、第2給電伝送線路157は第1誘電体基板156cの下に重ねられて配置された第2誘電体基板157cの下面の中央に第2内部導体157aが、両縁部に沿って第2外部導体157bが配置され、上面に共有外部導体158が配置されて構成されている。
このような構成の上下コプレーナライン150は、下段ジョイント154のほぼ中央部に形成されている矩形の挿通孔内に挿通されて、第1外部導体156bと第2外部導体157bと共有外部導体158が下段ジョイント154に電気的に接続されている。下段スリーブパイプ153から導出された上下コプレーナライン150は上段スリーブパイプ151内に挿通されて、上下コプレーナライン150が上段ジョイント152のほぼ中央部に形成されている矩形の挿通孔内に挿通されて、その第1外部導体156bと第2外部導体157bと共有外部導体158とが上段ジョイント152に電気的に接続されている。また、下段スリーブパイプ153と上段スリーブパイプ151との境界部において上下コプレーナライン150の第1外部導体156bと第2外部導体157bと共有外部導体158とが除去されている。そして、第1内部導体156aと第2内部導体157aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント152および下段ジョイント154により励振スロットとされるスリーブ給電部155が構成されて、スリーブ給電部155によりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ151と下段スリーブパイプ153とが、上下コプレーナライン150を伝達してきた第1周波数信号および第2周波数信号により励振されるようになる。上下コプレーナライン150は、上段スリーブパイプ151の上端から上の段のスリーブ素子に向けて導出される。
伝送線路を上記したトリプレートライン130、マイクロストリップライン140、上下コプレーナライン150とした場合に、共有外部導体は、第1外部導体と第2外部導体に分離されてもよい。また、第1誘電体基板と第2誘電体基板の誘電率は、同等でもよいし、異なってもよい。さらに、各段のスリーブパイプは、円形に限ることはなく多角形でもよい。
次に、伝送線路として並列コプレーナライン160を用いた場合のスリーブ素子の構成を図46および図47に示す。図46は、スリーブ素子の構成を断面図で示す正面図であり、図47はスリーブ素子の構成を示す下面図である。これらの図に示すスリーブ素子は、円筒状の上段スリーブパイプ161の下端面と円筒状の下段スリーブパイプ163の上端面とが向き合わされて配置されている。上段スリーブパイプ161の下端部の内側に金属製の上段ジョイント162が嵌挿されており、下段スリーブパイプ163の上端部の内側に金属製の下段ジョイント164が嵌挿されている。下段スリーブパイプ163内には、隣接する下の段のスリーブ素子内から導出された断面形状が矩形とされている並列コプレーナライン160が挿通されている。この並列コプレーナライン160は、第1給電伝送線路166と第2給電伝送線路167を備えており、第1給電伝送線路166は第1誘電体基板166cの上面の中央に第1内部導体166aが、縁部にそれぞれ第1外部導体166bと共有外部導体168が配置され、下面に共有外部導体168’が配置されて構成されている。また、第2給電伝送線路167は第1誘電体基板166cの横に平行して配置された第2誘電体基板167cの上面の中央に第2内部導体167aが、外縁部に第2外部導体167bが配置され、内縁部に共有外部導体168が配置されて構成され、下面に共有外部導体168’が配置されて構成されている。
このような構成の並列コプレーナライン160は、下段ジョイント164のほぼ中央部に形成されている矩形の挿通孔内に挿通されて、第1外部導体166bと第2外部導体167bと共有外部導体168,168’とが下段ジョイント164に電気的に接続されている。下段スリーブパイプ163から導出された並列コプレーナライン160は上段スリーブパイプ161内に挿通されて、並列コプレーナライン160が上段ジョイント162のほぼ中央部に形成されている矩形の挿通孔内に挿通されて、その第1外部導体166bと第2外部導体167bと共有外部導体168,168’とが上段ジョイント162に電気的に接続されている。また、下段スリーブパイプ163と上段スリーブパイプ161との境界部において並列コプレーナライン160の第1外部導体166bと第2外部導体167bと共有外部導体168,168’とが除去されている。そして、第1内部導体166aと第2内部導体167aと、向かい合わされて配置されている上段ジョイント162および下段ジョイント164により励振スロットとされるスリーブ給電部165が構成され、スリーブ給電部165によりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ161と下段スリーブパイプ163とが、並列コプレーナライン160を伝達してきた第1周波数信号および第2周波数信号により励振されるようになる。並列コプレーナライン160は、上段スリーブパイプ161の上端から上の段のスリーブ素子に向けて導出される。
なお、並列コプレーナライン160において、右側に第1給電伝送線路166を配置し、左側に第2給電伝送線路167を配置してもよい。また、共有外部導体168’は省略しても良い。さらに、共有外部導体168は、第1外部導体166bと第2外部導体167bに分離されてもよい。さらにまた、第1誘電体基板166cと第2誘電体基板167cの誘電率は、同等でもよいし、異なっていてもよい。さらにまた、各段のスリーブパイプは、円形に限ることはなく多角形でもよい。
次に、上記説明した本発明の第1実施例のコーリニアアンテナ1ないし第10実施例のコーリニアアンテナ304におけるスリーブ素子の他の構成例を次に説明する。
スリーブ素子の他の構成例を図48および図49に示す。図48は、スリーブ素子の他の構成例であるパイプ状スリーブ素子部の構成を断面図で示す正面図であり、図49はパイプ状スリーブ素子部の構成を示す下面図である。これらの図に示すパイプ状スリーブ素子部170は、細長い板状の誘電体板175の側縁に内面が接するように円筒状の上段スリーブパイプ171と円筒状の下段スリーブパイプ173を所定間隔離隔するよう向き合わせて嵌挿する。上段スリーブパイプ171と下段スリーブパイプ173とが向き合って配置された部位である誘電体板175の上面には導電薄膜からなる上段ジョイント172および下段ジョイント174が図示するように対向して貼着あるいは蒸着等により形成されている。また、誘電体板175の上面中央には伝送線路部176が形成されている。伝送線路部176は、上述したトリプレートライン、マイクロストリップライン、上下あるいは並列コプレーナラインのいずれかとすることができる。そして、上段ジョイント172により上段スリーブパイプ171は伝送線路部176の外部導体に接続され、下段ジョイント174により下段スリーブパイプ173も伝送線路部176の外部導体に接続される。ここで、上段スリーブパイプ171と下段スリーブパイプ173とが向き合って配置された伝送線路部176の部位は外部導体が除去されて内部導体のみとされている。これにより、上段スリーブパイプ171と下段スリーブパイプ173とが向き合って配置されている上段ジョイント172および下段ジョイント174により励振スロットとされるスリーブ給電部が構成されて、スリーブ給電部によりダイポールアンテナを構成している上段スリーブパイプ171と下段スリーブパイプ173とが、伝送線路部176を伝達してきた周波数信号により励振されるようになる。伝送線路部176は、下の段のパイプ状スリーブ素子部から導入されて上の段のパイプ状スリーブ素子部に向けて導出される。なお、各段のスリーブパイプは、円形に限ることはなく多角形でもよい。
次に、スリーブ素子のさらに他の構成例を図50および図51に示す。図50は、スリーブ素子の他の構成例であるプリントスリーブ素子部の構成を断面図で示す正面図であり、図51はパイプ状スリーブ素子部の構成を示す下面図である。これらの図に示すプリントスリーブ素子部180は、細長い板状の誘電体板185の上面に両側縁に沿って対向するように細長い形状の上段スリーブ部181と、上段スリーブ部181の下部に所定間隔離隔されて同じ形状の下段スリーブ部183とがプリントあるいは貼着等により形成されている。上段スリーブ部181と下段スリーブ部183とが向き合って形成された部位である誘電体板185の上面には導電薄膜からなる上段ジョイント182および下段ジョイント184が図示するように対向してプリントあるいは貼着等により形成されている。また、誘電体板185の上面中央には伝送線路部186が形成されている。伝送線路部186は、上述したトリプレートライン、マイクロストリップライン、上下あるいは並列コプレーナラインのいずれかとすることができる。そして、上段ジョイント182により上段スリーブ部181は伝送線路部186の外部導体に接続され、下段ジョイント184により下段スリーブ部183も伝送線路部186の外部導体に接続される。ここで、上段スリーブ部181と下段スリーブ部183とが向き合って配置された伝送線路部186の部位は外部導体が除去されて内部導体のみとされている。これにより、上段スリーブ部181と下段スリーブ部183とが向き合って配置されている上段ジョイント182および下段ジョイント184により励振スロットとされるスリーブ給電部が構成されて、スリーブ給電部によりダイポールアンテナを構成している上段スリーブ部181と下段スリーブ部183とが、伝送線路部186を伝達してきた周波数信号により励振されるようになる。伝送線路部186は、下の段のプリントスリーブ素子部から導入されて上の段のプリントスリーブ素子部に向けて導出される。
以上説明した本発明にかかるコーリニアアンテナは、スリーブ素子を多段に重ねて指向性を鋭くして利得を稼ぎながら、複数の周波数、例えば2つの周波数において、水平方向に放射のピークを持ち、かつ、ピーク値とサイドローブの差を10dB以上とすることができる。この場合、スリーブ素子内に挿通される同軸ケーブルの本数を増やして、それぞれの同軸ケーブルに異なる周波数信号を供給することにより、2周波以上の多周波で動作するコーリニアアンテナとすることができる。この場合、多周波の周波数範囲はELおよびPLの上記した寸法範囲を満足するように、下限の周波数をfとすれば上限の周波数が約1.45fとされる周波数範囲となる。
なお、上記説明した本発明の第1実施例ないし第5実施例のコーリニアアンテナにおいて、第1同軸ケーブルおよび第2同軸ケーブルを保護する保護パイプを設けることができ、第2実施例のコーリニアアンテナにおいては保護パイプが設けられている。この保護パイプを上記の説明では絶縁性としたが、金属製としてもよく、金属製とした保護パイプが放射パターンに与える影響は小さい。また、上記説明した本発明の第1実施例ないし第5実施例のコーリニアアンテナにおいて、アンテナカバーや補強スペーサーなどを設けることができる。この場合、アンテナカバーや補強スペーサーなどの誘電体によりコーリニアアンテナにおける電気長が影響を受ける場合は、その波長短縮率も考慮してELおよびPLを定めるようにする。また、スリーブパイプおよびジョイントを金属製としたが、これに限ることはなく、基板と導箔で構成された平面構造物としてもよい。
本発明にかかるコーリニアアンテナにおいて、スリーブ給電部の高さFgを変化させるとインピーダンスが変化するため、アンテナインピーダンスの調整を行うことができる。また、スリーブ給電部の高さFgを変化させることにより、放射パターンや2本の同軸ケーブル間のアイソレーションの調整も可能とされる。
本発明にかかるコーリニアアンテナにおいて、同軸ケーブルは、セミリジットやセミフレキシブル、フレキシブルなどのケーブルや、上記した誘電体基板を用いたマイクロストリップラインやコプレーナライン、トリプレートラインなどを使用してもよい。また、各スリーブパイプの長さELおよび給電部間隔PLは、全段同一でなくてもよいし、設計周波数や必要な特性の最適値により上記した寸法に限るものでもない。なお、第1同軸ケーブルをらせん状に巻くことで、伝送損失の少ない低誘電率の同軸ケーブルを利用することができる。さらに、第1周波数用のスリーブ素子を上段に設けている本発明のコーリニアアンテナにおいては、上段にも第2同軸ケーブルの外部導体も装着することにより、部品の共用化と、第1同軸ケーブルの補強を行うことができる。
さらにまた、スリーブ素子内の伝送線路の本数を増やすことで、2波以上の複数の周波数に対応させることができる。
1 コーリニアアンテナ、2 コーリニアアンテナ、3 コーリニアアンテナ、4 コーリニアアンテナ、5 コーリニアアンテナ、10 1段目スリーブ素子、11 2段目スリーブ素子、12 3段目スリーブ素子、13 4段目スリーブ素子、13a 上段スリーブパイプ、13b 上段ジョイント、13c 下段スリーブパイプ、13d 下段ジョイント、13e スリーブ給電部、14 5段目スリーブ素子、14a 上段スリーブパイプ、14b 上段ジョイント、14c 下段スリーブパイプ、14d 下段ジョイント、15 第1整合回路、16 第2整合回路、20 1段目スリーブ素子、20a 上段スリーブパイプ、20b 上段ジョイント、20c 下段スリーブパイプ、20d 下段ジョイント、20e スリーブ給電部、21 2段目スリーブ素子、22 3段目スリーブ素子、23 4段目スリーブ素子、23a 上段スリーブパイプ、23b 上段ジョイント、23c 下段スリーブパイプ、23d 下段ジョイント、23e スリーブ給電部、24 5段目スリーブ素子、24a 上段スリーブパイプ、24b 上段ジョイント、24c 下段スリーブパイプ、24d 下段ジョイント、25 保護パイプ、26 保護パイプ、27 第1整合回路、28 第2整合回路、30 1段目スリーブ素子、31 2段目スリーブ素子、32 3段目スリーブ素子、33 4段目スリーブ素子、34 5段目スリーブ素子、34a 上段スリーブパイプ、34b 上段ジョイント、34c 下段スリーブパイプ、34d 下段ジョイント、34e スリーブ給電部、35 6段目スリーブ素子、35a 上段スリーブパイプ、35b 上段ジョイント、35c 下段スリーブパイプ、35d 下段ジョイント、40 1段目スリーブ素子、40a 上段スリーブパイプ、40b 上段ジョイント、40c 下段スリーブパイプ、40d 下段ジョイント、40e スリーブ給電部、41 2段目スリーブ素子、41a 上段スリーブパイプ、41b 上段ジョイント、41c 下段スリーブパイプ、41d 下段ジョイント、41e スリーブ給電部、42 3段目スリーブ素子、43 4段目スリーブ素子、44 5段目スリーブ素子、45 6段目スリーブ素子、46 7段目スリーブ素子、47 第1整合回路、48 第2整合回路、50 1段目スリーブ素子、51 2段目スリーブ素子、52 3段目スリーブ素子、53 4段目スリーブ素子、54 5段目スリーブ素子、59 10段目スリーブ素子、60 11段目スリーブ素子、61 12段目スリーブ素子、62 13段目スリーブ素子、63 14段目スリーブ素子、64 15段目スリーブ素子、90 第1同軸ケーブル、90a 中心導体、90b 絶縁筒体、90c 外部導体、91 第2同軸ケーブル、91a 中心導体、91b 絶縁筒体、91c 外部導体、92 アンテナ給電部、93 アンテナ給電部、100 コーリニアアンテナ、101a 上段スリーブパイプ、101b 下段スリーブパイプ、101c スリーブ給電部、102a 上段スリーブパイプ、102b 下段スリーブパイプ、102c スリーブ給電部、103 給電部、104 同軸ケーブル、104a 中心導体、104b 絶縁筒体、104c 外部導体、110 同軸ケーブル、110a 中心導体、110b 絶縁筒体、110c 外部導体、120 同軸ケーブル、130 トリプレートライン、131 上段スリーブパイプ、132 上段ジョイント、133 下段スリーブパイプ、134 下段ジョイント、135 スリーブ給電部、136 第1給電伝送線路、136a 第1内部導体、136b 第1外部導体、136c 第1誘電体基板、137 第2給電伝送線路、137a 第2内部導体、137b 第2外部導体、137c 第2誘電体基板、138 共有外部導体、140 マイクロストリップライン、141 上段スリーブパイプ、142 上段ジョイント、143 下段スリーブパイプ、144 下段ジョイント、145 スリーブ給電部、146 第1給電伝送線路、146a 第1内部導体、146c 第1誘電体基板、147 第2給電伝送線路、147a 第2内部導体、147c 第2誘電体基板、148 共有外部導体、150 上下コプレーナライン、151 上段スリーブパイプ、152 上段ジョイント、153 下段スリーブパイプ、154 下段ジョイント、155 スリーブ給電部、156 第1給電伝送線路、156a 第1内部導体、156b 第1外部導体、156c 第1誘電体基板、157 第2給電伝送線路、157a 第2内部導体、157b 第2外部導体、157c 第2誘電体基板、158 共有外部導体、160 並列コプレーナライン、161 上段スリーブパイプ、162 上段ジョイント、163 下段スリーブパイプ、164 下段ジョイント、165 スリーブ給電部、166 第1給電伝送線路、166a 第1内部導体、166b 第1外部導体、166c 第1誘電体基板、167 第2給電伝送線路、167a 第2内部導体、167b 第2外部導体、167c 第2誘電体基板、168 共有外部導体、170 パイプ状スリーブ素子部、171 上段スリーブパイプ、172 上段ジョイント、173 下段スリーブパイプ、174 下段ジョイント、175 誘電体板、176 伝送線路部、180 プリントスリーブ素子部、181 上段スリーブ部、182 上段ジョイント、183 下段スリーブ部、184 下段ジョイント、185 誘電体板、186 伝送線路部、
200 コーリニアアンテナ、210 1段目スリーブ素子、211 2段目スリーブ素子、212 3段目スリーブ素子、213 4段目スリーブ素子、213a 上段スリーブパイプ、213b 上段ジョイント、213c 下段スリーブパイプ、213d 下段ジョイント、213e スリーブ給電部、214 5段目スリーブ素子、214a 上段スリーブパイプ、214b 上段ジョイント、214c 下段スリーブパイプ、214d 下段ジョイント、215 整合回路、220 同軸ケーブル、220a 中心導体、220b 絶縁筒体、220c 外部導体、221 アンテナ給電部、300 コーリニアアンテナ、301 コーリニアアンテナ、302 コーリニアアンテナ、303 コーリニアアンテナ、304 コーリニアアンテナ、310 1段目スリーブ素子、311 2段目スリーブ素子、312 3段目スリーブ素子、313 4段目スリーブ素子、314 5段目スリーブ素子、315 第1整合回路、316 第1整合回路、320 1段目スリーブ素子、321 2段目スリーブ素子、322 3段目スリーブ素子、323 4段目スリーブ素子、324 5段目スリーブ素子、324a 上段スリーブパイプ、324b 上段ジョイント、324c 下段スリーブパイプ、324d 下段ジョイント、324e スリーブ給電部、325 6段目スリーブ素子、325a 上段スリーブパイプ、325b 上段ジョイント、325c 下段スリーブパイプ、325d 下段ジョイント、326 接続端子、330 1段目スリーブ素子、331 2段目スリーブ素子、332 3段目スリーブ素子、333 4段目スリーブ素子、334 5段目スリーブ素子、334a 上段スリーブパイプ、334b 上段ジョイント、334c 下段スリーブパイプ、334d 下段ジョイント、334e スリーブ給電部、335 6段目スリーブ素子、335a 上段スリーブパイプ、335b 上段ジョイント、335c 下段スリーブパイプ、335d 下段ジョイント、336 接続端子、340 1段目スリーブ素子、341 2段目スリーブ素子、342 3段目スリーブ素子、343 4段目スリーブ素子、344 5段目スリーブ素子、349 10段目スリーブ素子、350 1段目スリーブ素子、351 2段目スリーブ素子、352 3段目スリーブ素子、353 4段目スリーブ素子、354 5段目スリーブ素子、355 6段目スリーブ素子、363 14段目スリーブ素子、364 15段目スリーブ素子、365 16段目スリーブ素子、366 17段目スリーブ素子、367 18段目スリーブ素子、368 19段目スリーブ素子、390 第1同軸ケーブル、390a 中心導体、390b 絶縁筒体、390c 外部導体、391 第2同軸ケーブル、391a 中心導体、391b 外部導体、391b 絶縁筒体、391c 外部導体、392 第1アンテナ給電部、393 第2アンテナ給電部

Claims (11)

  1. 向かい合わされて配置された上段スリーブと下段スリーブとからなり、多段にスタックされているスリーブ素子と、
    前記多段にスタックされているスリーブ素子内に貫通され、前記上段スリーブと前記下段スリーブとが向かい合わされて構成された前記各スリーブ素子の給電部に給電する複数本の伝送線路と、
    前記伝送線路のそれぞれに異なる周波数信号を供給する複数の給電部とを備え、
    前記多段にスタックされているそれぞれの前記各スリーブ素子は、前記複数本の伝送線路により伝達される前記異なる周波数信号により励振され、隣接する前記スリーブ素子における給電部間の前記複数の伝送線路のそれぞれの電気長が、伝達される周波数信号の波長の略整数倍とされて多周波で動作可能とされていることを特徴とするコーリニアアンテナ。
  2. 前記スリーブ素子における隣接する給電部間の物理的な間隔が、前記周波数信号のそれぞれの波長の約0.8波長を超えない間隔とされていることを特徴とする請求項1記載のコーリニアアンテナ。
  3. 前記複数本の伝送線路の波長短縮率をそれぞれ異ならせることにより、前記スリーブ素子における隣接する給電部間におけるそれぞれの物理長がほぼ等しくされて、前記給電部間に配設されていることを特徴とする請求項2記載のコーリニアアンテナ。
  4. 前記複数本の伝送線路の波長短縮率がほぼ等しくされており、前記スリーブ素子における隣接する給電部間におけるそれぞれの物理長が異なっている前記複数本の伝送線路が、前記給電部間に配設されていることを特徴とする請求項2記載のコーリニアアンテナ。
  5. 前記複数本の伝送線路が2本の同軸ケーブルとされており、前記給電部間における物理長が長くされている同軸ケーブルがらせん状に巻かれていることを特徴とする請求項4記載のコーリニアアンテナ。
  6. 前記スリーブ素子における前記上段スリーブと前記下段スリーブの電気長が、前記周波数信号のそれぞれの波長の約0.22波長〜約0.32波長の範囲とされていることを特徴とする請求項1記載のコーリニアアンテナ。
  7. 前記多段にスタックされた前記スリーブ素子の1つ以上が、前記異なる周波数信号の内の1つのみにより励振されていることを特徴とする請求項1記載のコーリニアアンテナ。
  8. 前記複数本の伝送線路が2本の同軸ケーブルとされており、当該段の前記スリーブ素子が励振されない周波数信号を伝達している同軸ケーブルは、当該段の下の段から外部導体のみが前記給電部間に配設されていることを特徴とする請求項7記載のコーリニアアンテナ。
  9. 前記スリーブ素子を構成している前記上段スリーブと前記下段スリーブとの間隔が、スタックされている段に応じて変化されていることを特徴とする請求項1記載のコーリニアアンテナ。
  10. 前記複数本の伝送線路が、同軸ケーブルあるいは誘電体基板を備えるマイクロストリップライン、コプレーナライン、トリプレートラインのいずれかとされていることを特徴とする請求項1記載のコーリニアアンテナ。
  11. 隣接する前記スリーブ素子における給電部間の前記複数の伝送線路のそれぞれの電気長が、各段の前記給電部における電流振幅に位相差が生じる長さとされて、放射されるビームがチルトされていることを特徴とする請求項1記載のコーリニアアンテナ。
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