JPH08139521A - ダイバーシチアンテナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アンテナ装置の構造がより簡単で、製造容易
であるダイバーシチアンテナを提供する。 【構成】 本発明のダイバーシチアンテナ装置は、下段
アンテナ装置として交差同軸コリニアアンテナを使用
し、このコリニアアンテナの外部導体に接続されるべき
エレメントを上部アンテナへ向う同軸給電線を利用して
接続する構成としている。 【効果】 アンテナ装置の内部を通る同軸ケーブルの数
を減らすことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本願発明は、自動車電話等の陸上
移動通信における移動局相互間や移動局と固定局相互間
の通信に使用して具合の良いダイバーシチアンテナ（di
versity antenna ）装置に関し、特に、アンテナ装置の
構造をより簡単にし、多段化を容易にしたダイバーシチ
アンテナ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、車載用の移動局アンテナとして、
受信利得の向上を図るために、移動局側で２組のアンテ
ナ装置を用いて受信を行うダイバーシチ受信が検討され
ており、２組のアンテナ装置を一体化して移動局用の小
型アンテナとして形成したものが提案されている（例え
ば、実開平２−３２２１８号公報）。

【０００３】図９は、このようなアンテナ装置の例を概
略的に示しており、アンテナの軸方向において、２つの
スリーブアンテナを組合わせた垂直ダイバーシチアンテ
ナ装置の例を示している。すなわち、下段のスリーブア
ンテナ１００と上段のスリーブアンテナ２００が垂直に
配置され、アンテナ基部と下段アンテナ１００との間に
シュペルトップ１０１ａが設けられる。上下段のスリー
ブアンテナ１００及び２００間にシュペルトップ１０１
ｂが設けられる。シュペルトップは同軸ケーブル（同軸
給電線）の外部導体（外皮）から高周波電流の漏洩を抑
制する。シュペルトップ１０１ａにより、上下段のスリ
ーブアンテナ間の結合が減少する。また、シュペルトッ
プ１０１ｂにより、下段のスリーブアンテナとアンテナ
基部との間の結合が減少する。下段アンテナ１００に
は、同軸ケーブル１０２ａによって給電がなされる。上
段アンテナ２００には、同軸ケーブル１０２ｂによって
給電がなされる。

【０００４】図１０は、下段アンテナの給電点における
実際の構成例を示している。同図において、図９と対応
する部分には同一符号を付している。同図において、１
０３はアンテナを保護するケース、１０４は同軸ケーブ
ル１０２ｂを通過させると共にアンテナ素子を保持する
ための金属管、１０５及び１０６はスリーブアンテナ１
００の放射エレメント、１０７は放射エレメントを金属
管１０４に固定する絶縁部材、１０８は同軸ケーブルの
内部導体、１０９は内部導体を放射エレメントに接続す
る給電部、１１０は内部に同軸ケーブル１０２ａを含む
金属管、１１１及び１１２は同軸ケーブルの外部導体、
１１３及び１１４は夫々金属導体１１０及び１０４に設
けらて、外部導体と金属管とを半田付する貫通孔であ
る。

【０００５】かかる構成によって、２組のシュペルトッ
プ付スリーブアンテナを上下段に配置したダイバーシチ
アンテナ装置が得られる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記ダイバーシチアン
テナ装置では、アンテナ装置の内部を放射エレメントの
給電点に高周波電力を供給する複数の同軸ケーブルが通
過するため、アンテナ装置の内部構造が複雑になる。特
に、絶縁部材１０７の近傍では、給電点におけるアンテ
ナと給電線路との接続、放射エレメントの保持、同軸ケ
ーブルの貫通が必要となるので、構造が複雑になり、組
立も面倒になる。また、アンテナ装置の内部を通る同軸
給電線の数も、アンテナ全体を小型形状にするという制
約から事実上、２本に限られるため、（２段よりも多
い）多段アンテナに構成することは出来ない。

【０００７】よって、本発明は、アンテナ装置の構造が
より簡単で、製造容易であるダイバーシチアンテナを提
供することを目的とする。

【０００８】また、多段構成を容易に実現して高利得を
得ることができるダイバーシチアンテナ装置を提供する
ことを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のダイバーシチアンテナ装置は、少なくとも
２組の垂直偏波アンテナ装置を垂直アンテナの中心軸方
向において組合わせたダイバーシチアンテナ装置であっ
て、第１の同軸給電線路に接続される、複数のスリーブ
を放射エレメントとして含む交差同軸コリニア型の下段
アンテナ装置と、上記下段アンテナ装置の内部を通過す
る第２の同軸給電線路に接続される、垂直偏波アンテナ
によって構成される上段アンテナ装置と、を含み、上記
下段アンテナ装置の複数のスリーブのうち上記第１の同
軸給電線路の外部導体に接続されるべき各スリーブが上
記第２の同軸給電線路の外部導体に接続され、上記下段
アンテナ装置の複数のスリーブのうち上記第１の同軸給
電線路の内部導体に接続されるべき各スリーブが導体で
接続される、ことを特徴とする。

【００１０】

【作用】下段アンテナ装置に、交差同軸コリニアアンテ
ナ(collinear anntenna)を用い、このアンテナ内部を通
過して上部アンテナ装置に至る通過同軸ケーブルの外部
導体を下段アンテナ装置の同軸ケーブルの外部導体と接
続しておき、同軸ケーブルの外部導体を、下段交差同軸
コリニアアンテナの接地系のスリーブの接続に利用す
る。交差同軸コリニアアンテナのライン系のスリーブ同
士を導体で接続すると、下段アンテナ装置への給電をア
ンテナ基部から行うことができ、アンテナ内部のアンテ
ナ軸中心部分を貫通して各アンテナ装置の給電点に至る
同軸ケーブルの数を減らす。

【００１１】この結果、アンテナの構造が簡単になり、
製造が容易になる。また、上段アンテナ装置の更に上部
へのアンテナ装置の増設が可能となる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図１は、本発明の第１の実施例の斜視図を
示しており、下段アンテナに交差同軸コリニアアンテナ
（collinear antenna ）装置１を、上段アンテナに同軸
ダイポールアンテナ装置２を用いて、垂直ダイバーシチ
アンテナを構成している。両アンテナ間の結合はシュペ
ルトップ３によって防止される。同軸コリニアアンテナ
装置１は、同軸ケーブル４によって給電される。同軸ダ
イポールアンテナ装置２は同軸ケーブル５によって給電
される。同軸ケーブル５は金属パイプ６の中を通り、金
属パイプ６はアンテナ素子を保持する役割をも担う。そ
して、同軸ケーブル４の外部導体と金属パイプ６とは、
アンテナ基部で半田付等によって接続される。同軸ケー
ブル５の外部導体も金属パイプ６に半田付等によって接
続される。

【００１３】図２は、上記ダイバーシチアンテナの断面
図を放射エレメントを中心に概略的に示しており、図１
と対応する部分には同一符号を付している。交差同軸コ
リニアアンテナ（collinear antenna ）装置２は、この
例では、スリーブが３段の交差同軸コリニアアンテナに
よって構成される。このスリーブ（金属筒）の中を通っ
て、或はスリーブに沿って金属管６に収納された同軸ケ
ーブル５が上段アンテナへ向う。

【００１４】交差同軸コリニアアンテナは、通常、図４
（ａ）に示すように、複数のスリーブをアンテナ軸から
アンテナ軸と垂直な方向に交互にずらすようにしてアン
テナ軸方向に１列に必要な数だけ並ぶように配置して構
成される。奇数番目のスリーブ相互間は導体によって接
続される。偶数番目のスリーブ相互間も導体によって接
続される。そして、１番目のスリーブの一端に同軸ケー
ブルの内部導体から給電される。２番目のスリーブに導
体を介して同軸ケーブルの外部導体から給電される。

【００１５】本実施例では、第１番目のスリーブ１１の
下端には同軸ケーブル４の内部導体が接続され、スリー
ブ１１の他端とスリーブ１３の一端とが導体１４で接続
されるのは同様であるが、しかしながら、偶数番目のス
リーブ１２は、金属パイプ（上段アンテナの同軸ケーブ
ルの外部導体）６に接続され、金属パイプ６を介して同
軸ケーブルの４の外部導体に接続される。

【００１６】すなわち、図３（ａ）に示すように、上段
アンテナに給電する同軸給電線路を活用して、偶数番目
のスリーブに給電できるので、同軸ケーブル４はアンテ
ナ装置の基部まで配線すれば良い。このため、アンテナ
装置内を通過する同軸ケーブルは、上部アンテナへの給
電を行う同軸ケーブルだけとなり、図３（ｂ）及び図１
０に示す従来のアンテナの構造がより簡単になる。ま
た、上部アンテナへの同軸ケーブルを増やすことが可能
であるから、例えば、２つの同軸給電線を上段アンテナ
に向けてアンテナ装置内に配線して、垂直３段構成の高
利得ダイバーシチアンテナ装置を構成することが出来
る。

【００１７】上段アンテナ装置２は、この図１に示す実
施例においては、同軸ダイポールアンテナが使用されて
いる。上段アンテナ装置及び下段アンテナ装置の放射エ
レメントは任意数設けることが出来るので、高利得アン
テナとすることが可能であり、また、希望する垂直面内
のアンテナ指向特性を得ることが容易である。

【００１８】図６は、ダイバーシチアンテナ装置を構成
する交差同軸コリニアアンテナの水平面指向性を示す。
また、図７は、図９に示す従来のダイバーシチアンテナ
装置を構成するスリーブアンテナの水平面指向特性を示
す。

【００１９】かかる本願構成のダイバーシチアンテナ装
置によれば、従来のダイバーシチアンテナ装置のアンテ
ナの利得が２デシベルであるのに対し、約３デシベル利
得が高い、約５デシベルの利得が得られ、高感度であ
る。都市部では一般的に２〜７デシベル程度が使用しや
すい。例えば、都市内やビル内で使用される携帯電話の
ための固定局では、高利得よりも幅の広い指向特性や複
数の周波数の使用が重要であることが多い。このような
用途にも、多段エレメント構成が容易な本発明のダイバ
ーシチアンテナは、図７に示す従来アンテナの８字特性
から指向性の強い高利得特性まで選択可能であるので、
好ましい。

【００２０】上段アンテナ装置としては、例えば、図４
に示すような、垂直偏波アンテナである、各種の同軸ア
ンテナを使用することが出来る。図４（ａ）は、前述し
た交差同軸コリニアアンテナである。同図（ｂ）は、ス
リーブアンテナである。同図（ｃ）は、二段構成の同軸
ダイポールアンテナである。同図（ｄ）は、５段構成の
同軸ダイポールアンテナである。交差同軸コリニアアン
テナを用いると、一つのエレメントにアンテナ電流の半
波長が生起するので（図（ａ））、他のアンテナよりも
エレメント数を減らすことが出来る利点がある。この他
にも、上段アンテナや、更にアンテナを増設した第３段
目のアンテナとして同軸ケーブルから給電を受けるアン
テナ、例えば、ブラウンアンテナやディスコーンアンテ
ナ等を接続することができる。複数周波数帯域で送受信
を行う複合アンテナや、一つのアンテナ装置内の別々の
アンテナを異なる電話局が使用する共同アンテナとして
使用することが可能である。このように、上段アンテナ
として同軸ケーブルによって給電される各種の垂直偏波
アンテナを使用することが出来る。

【００２１】図５は、実施例のダイバーシチアンテナ装
置を保護ケースに収納した例を示している。例えば、
１．９ＧＨｚ用のアンテナに適用した場合、アンテナの
全長（高さ）は７００ｍｍ、アンテナ保持部の径２８．
５ｍｍｍ、アンテナ基部の径２４．５ｍｍ、アンテナ上
部の径２２．７ｍｍである。下部の交差コリニアアンテ
ナにより、アンテナの上部よりもアンテナ基部が少し太
くなる。これは、結果的にアンテナにテーパを与え、ア
ンテナ装置に具合の良い機械的強度特性を与える。

【００２２】図８は、更に他の実施例を示しており、ダ
イバーシチアンテナ装置の先端に避雷針を設けて避雷針
付アンテナを構成している。同図において、図２と対応
する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略
する。

【００２３】ダイバーシチアンテナ装置を交差同軸コリ
ニアアンテナの多段構成とすると、アンテナの中心軸に
沿って複数の同軸ケーブルや導体（金属パイプ）を上方
に向って配線しやすい。これを活用して、この実施例で
は、アンテナ装置内に避雷器を設けたコンパクトな構成
を実現している。

【００２４】まず、ダイバーシチアンテナ装置の上部先
端のアンテナエレメントから落雷放電を考慮した距離
の、上方に少し離れた位置に、避雷針の先端針部２１が
設けられる。先端針部２１とアンテナ基部の接地部２３
とが避雷導体２２によって接続される。避雷導体２２
は、例えば、金属パイプや金属導体で構成され、他の同
軸ケーブル４，５の外部導体と共に接地される。避雷導
体２２をアンテナ装置の構造材として利用することがで
きる。例えば、絶縁材を介して同軸ケーブルの中心導体
が接続されるスリーブを保持し、接地系のスリーブを直
接接続することが可能である。

【００２５】本発明のダイバーシチアンテナ装置は、上
述した実施例におけるように、垂直偏波アンテナとして
通常は使用されるであろうが、アンテナを水平にして水
平偏波アンテナとして使用することは勿論可能である。

【００２６】また、複数のアンテナの中から最良の受信
感度のアンテナを選択して使用する使用方法の他、アン
テナエレメントに同位相の信号、あるいは所定の位相差
となる信号を与えてアンテナアレイとしても使用するこ
とが可能である。上記ダイバーシチアンテナ装置を複数
組合わせて使用することも可能である。

【００２７】このように、本発明のダイバーシチアンテ
ナ装置は、下段アンテナ装置として交差同軸コリニアア
ンテナを使用し、このコリニアアンテナの外部導体に接
続されるべきエレメントを上部アンテナへ向う同軸給電
線を利用して接続する構成としているので、アンテナ装
置の内部を通る同軸ケーブルの数を減らすことが可能と
なる。このため、アンテナ構造を簡易にすることが可能
となって、製造が容易になる。結果的に製造コストの低
減や信頼性の向上に寄与し得る。

【００２８】また、上下方向に複数段構成のダイバーシ
チアンテナ装置を得易い。各段のアンテナを多エレメン
ト構成にすることが出来るので所望の利得や指向特性を
得易い。これは、車載の移動通信、例えば、無線電話の
アンテナや、パーソナルハンディホンの固定局用アンテ
ナとして好ましい。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のダイバー
シチアンテナ装置は、下段アンテナ装置として交差同軸
コリニアアンテナを使用し、このコリニアアンテナの外
部導体に接続されるべきエレメントを上部アンテナへ向
う同軸給電線を利用して接続する構成としているので、
アンテナ装置の内部を通る同軸ケーブルの数を減らすこ
とが可能となる。このため、アンテナ構造を簡易にする
ことが可能となって、製造が容易になる。結果的に製造
コストの低減や信頼性の向上に寄与し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す斜視図である。

【図２】図１に示されるダイバーシチアンテナ装置の断
面を概略的に示す図である。

【図３】実施例と従来例との下段アンテナの比較を示す
斜視図である。

【図４】各種同軸アンテナの例を示す説明図である。

【図５】本発明に係るダイバーシチアンテナ装置をパッ
ケージし、取付け金具を付けた状態を示す説明図であ
る。

【図６】図１に示す交差同軸コリニアアンテナの水平面
指向特性を示す図である。

【図７】従来例のスリーブアンテナの水平面指向特性を
示す図である。

【図８】避雷針付ダイバーシチアンテナ装置の例を示す
概略断面図である。

【図９】従来のダイバーシチアンテナ装置の例を示す概
略断面図である。

【図１０】同軸ケーブルからアンテナの放射エレメント
に給電する部分を説明するための部分断面図である。

【符号の説明】 １ 下段アンテナ ２ 上段アンテナ ３ シュペルトップ ４，５ 同軸ケーブル １１〜１３ スリーブ ２１ 先端針部 ２２ 避雷導体 １００，２００ スリーブアンテナ １０１ａ，１０１ｂ シュペルトップ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくとも２組の垂直偏波アンテナ装置を
   垂直アンテナの中心軸方向において組合わせたダイバー
   シチアンテナ装置であって、 第１の同軸給電線路に接続される、複数のスリーブを放
   射エレメントとして含む交差同軸コリニア型の下段アン
   テナ装置と、 前記下段アンテナ装置の内部を通過する第２の同軸給電
   線路に接続される、垂直偏波アンテナによって構成され
   る上段アンテナ装置と、を含み、 前記下段アンテナ装置の複数のスリーブのうち前記第１
   の同軸給電線路の外部導体に接続されるべき各スリーブ
   が前記第２の同軸給電線路の外部導体に接続され、前記
   下段アンテナ装置の複数のスリーブのうち前記第１の同
   軸給電線路の内部導体に接続されるべき各スリーブが導
   体で接続される、 ことを特徴とするダイバーシチアンテナ装置。
2. 【請求項２】前記上段アンテナ装置は、交差同軸コリニ
   アアンテナ、スリーブアンテナ、同軸ダイポールアンテ
   ナを含む、 ことを特徴とする請求項１記載のダイバーシチアンテナ
   装置。
3. 【請求項３】前記第１及び第２の同軸給電線路各々の外
   部導体同士が接続されることを特徴とする請求項１又は
   ２記載のダイバーシチアンテナ装置。
4. 【請求項４】前記上段アンテナ装置の上端部近傍に避雷
   針の先端針部を設け、この先端針部を前記上段アンテナ
   装置及び前記下段アンテナ装置の内部を通過する避雷導
   体によって接地部に接続する、 ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１つに記載
   のダイバーシチアンテナ装置。