JP2009302064A - リチウム二次電池及び充電式リチウム電池用電解質 - Google Patents

リチウム二次電池及び充電式リチウム電池用電解質 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性、酸化安定性、熱安定性の改善されたリチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】負極と、正極と、セパレータと、非プロトン性溶媒中に保持されるリチウムに基づいた電解質とから構成されたリチウム二次電池であって、以下の式、即ち、
Li212x12-x
(式中、xは4以上であり、ZはH、Cl及びBrを表す)のリチウム塩を使用することで改良されたリチウム二次電池を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

リチウム二次電池は、元素リチウムの高還元電位と低分子量によって、現行の一次及び二次電池の技術を超えて出力密度の劇的な改善をもたらす。ここで、リチウム二次電池とは、負極として金属リチウムを含有する電池と、リチウムイオン電池としても公知の負極としてリチウムイオンのホスト物質を含有する電池の両方をいう。二次電池とは、充電と放電のマルチサイクルを考慮した電池を意味する。リチウムカチオンの大きさが小さいこと及び移動度が高いことによって、急速な再充電が可能となる。これらの利点により、リチウム電池は、ポータブル電子デバイス、例えば、携帯電話及びラップトップ・コンピュータに理想的である。最近では、より大きなサイズのリチウム電池が開発されており、ハイブリッド車市場での使用に応用されている。
以下の特許は、リチウム電池及び電気化学セルの代表的なものである。
米国特許第4,201,839号明細書(特許文献1)は、アルカリ金属含有アノードと、固体カソードと、非プロトン性溶媒中に保持されるクロソボラン化合物である電解質とに基づいた電気化学セルを開示している。用いられるクロソボランは、式Z2BnXn及びZCRBmXmであり、式中、Zはアルカリ金属、Cは炭素、Rは、有機系水素及びハロゲン原子から成る群より選択されたラジカル、Bはホウ素、Xは、水素及びハロゲンから成る群からの1つ又は複数の置換基、mは5〜11の整数、並びにnは6〜12の整数である。電気化学セルで用いられるクロソボラン電解質の具体的に開示されている例には、ブロモ八ホウ酸リチウム、クロロデカホウ酸リチウム、クロロドデカホウ酸リチウム、及びヨードデカホウ酸リチウムがある。
米国特許第5,849,432号明細書(特許文献2)は、ルイス酸の特徴を有するホウ素化合物、例えば、酸素、ハロゲン原子及び硫黄に結合したホウ素に基づいた液体又はゴム状のポリマー電解質溶液に使用するための電解質溶媒を開示している。電解質溶液の具体例は、過塩素酸リチウム(lithium perchlororate)及びホウ素エチレンカーボネートを含んで成る。
米国特許第6,346,351号明細書(特許文献3)は、正極構造物に対して高い適合性の充電式電池のための塩と溶媒の混合物に基づいた二次電解質系を開示している。テトラフルオロホウ酸リチウムとヘキサフルオロリン酸リチウムが塩の例である。溶媒の例には、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ギ酸メチルなどがある。背景技術において、溶媒中に取り込まれるリチウム電池のための公知電解質が開示されており、それらには、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、臭化リチウム、及びヘキサフルオロアンチモン酸リチウムの電解質がある。
米国特許第6,159,640号明細書(特許文献4)は、携帯電話、ラップトップ・コンピュータ、ビデオカメラなどのような電子機器に使用されるリチウム電池のためのフッ素化カルバメートに基づいた電解質系を開示している。様々なフッ素化カルバメート塩、例えば、トリフルオロエチル−N,N−ジメチルカルバメートが提案されている。
米国特許第6,537,697号明細書(特許文献5)は、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウムを電解質塩として含む非水性電解質を用いたリチウム二次電池を開示している。
米国特許第4,201,839号明細書 米国特許第5,849,432号明細書 米国特許第6,346,351号明細書 米国特許第6,159,640号明細書 米国特許第6,537,697号明細書
上記のように、リチウム電池のためのリチウム塩を含んで成る種々様々なリチウムに基づいた電解質が開示され、多くの電子用途で使用を有するが、それらは、安全性、酸化安定性、熱安定性などと関連した問題に直面している。フッ素化電解質塩は、有毒なHFが化合物の分解によって生成することがあるという更なる問題を有している。以下は、特定の電解質塩に関連した不完全なものの一部である。即ち、ヘキサフルオロリン酸リチウムは、主としてそれが不安定であるということに基づいて失敗し、HFを生成して、特にLiMn24のカソード材料に関して電極が腐食する。過塩素酸リチウムは比較的低い熱安定性を有し、100℃よりも高い温度で爆発性混合物になる。ヘキサフルオロヒ酸リチウムは、ヒ素系の毒性の問題を有する。リチウムトリフレートは、リチウムイオン電池で典型的に使用されるアルミニウムの集電装置を相当に腐食させる。
本発明は、負極と、正極と、以下の式、即ち、
Li212x12-x
のリチウムに基づいた電解質塩とを含んで成り、式中、xが4若しくは5以上、好ましくは少なくとも8、又は少なくとも10であるが12若しくは11以下であり、ZがH、Cl及びBrを表すリチウム二次電池に関する。好ましくは、xが12未満である場合、ZはH、Br又はClである。
リチウムに基づいた電解質を形成するために、フッ素化された水素化ホウ素リチウム塩を使用することに関連した利点には、
電気化学、熱及び加水分解安定性を有する電解質溶液に関してリチウムに基づいた塩を使用することができること;
リチウムに基づいた塩を低濃度、例えば、他の多くのリチウムに基づいた塩、例えば、LiPF6の2分の1の濃度で使用できるリチウム電解質溶液を使用することができること;並びに
再循環できる低粘度、低インピーダンスのリチウム電解質溶液を形成することができること;
がある。
充電と放電のマルチサイクルが可能なリチウム二次電池は、リチウムイオンを運ぶ電解質導電性溶液に依存している。リチウム電池用電解質溶液に関する2つの主な要件には、(a)非水性電離性溶液中での高導電率、並びに(b)幅広い電位範囲にわたって、熱、加水分解の両方及び特に電気化学サイクルに対して化学的に安定であることがある。リチウム電解質溶液の他の望ましい特徴には、高引火点;低蒸気圧;高沸点;低粘度;電池で通例用いられる溶媒、特にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及びα−ω−ジアルキルグリコールエーテルとの良好な混和性;幅広い温度範囲にわたるそれら溶液の良好な電気伝導率;並びに初期含水量に対する耐性がある。
当該リチウム二次電池は、リチウム電解質溶液を形成するためのリチウムに基づいた電解質塩が、以下の式、即ち、
Li212x12-x
(式中、xは4又は5以上(平均ベース)、好ましくは少なくとも8、最も好ましくは少なくとも10であるが12又は11以下であり、ZはH、Cl及びBrを表す)のフルオロドデカホウ酸リチウムに基づいていることを特徴としている。リチウムに基づいたフッ素化ドデカホウ酸塩の具体例には、Li21257、Li21266、Li21275、Li21284、Li21293、Li212102、Li21211H、並びにxの平均が5以上であるか又は9若しくは10に等しいような種々のxを有する塩の混合物、又はLi212xCl12-x及びLi212xBr12-x(式中、xは10若しくは11である)がある。
リチウム電池に使用する電解質溶液を形成するのに用いられるリチウム塩は、初めにヒドリドデカホウ酸塩をフッ素化して、少なくとも5個、好ましくは少なくとも8個、最も好ましくは少なくとも10個であるが、12個以下又はそれ以上の水素原子をフッ素で置換した(平均ベース)フルオロドデカホウ酸塩を提供することによって形成することができる。リチウムイオンの複分解がリチウム塩を与える。この反応は液状媒体中で実施される。直接フッ素化において、フッ素は不活性ガス、例えば、窒素で希釈される。10〜40vol%のフッ素濃度が通常用いられる。更なるハロゲン化が望ましい場合には、部分的にフッ素化されたヒドリドホウ酸塩を、所望のハロゲン、例えば、塩素又は臭素と反応させる。
ブロモホウ酸リチウム及びクロロホウ酸リチウムの形成とは異なり、例えば、少なくとも10個のフッ素原子を有する高度にフッ素化されたフルオロドデカホウ酸リチウムの形成は極めて困難である。ヒドリドホウ酸リチウムの完全なフッ素化は達成できるが、フッ素の反応性のために、ヒドリドホウ酸塩の関連した攻撃があり、それによって収量が損失する。
電解質塩としてのフルオロホウ酸リチウムの形成を促進するために、ヒドリドホウ酸リチウムの直接フッ素化は、酸性の液状媒体、例えば、純粋又は無水HFのような酸性の液状媒体又はキャリヤー中で実施される。酸の例には、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、希硫酸、トリフリック酸、スルホン酸、並びにハロゲン化水素酸(HCl(aq)、HBr(aq)、HI(aq)及びHF(aq))がある。緩衝塩、例えば、フッ化カリウム及びフッ化ナトリウムなどのアルカリ金属フッ化物を添加することで、フッ素化反応における純粋HFの酸度を低減することもできる。ハメット酸度Hoは、0>Ho>−11であることがフッ素化を達成するために酸性媒体として好ましい。
ラジカルスカベンジャーをヒドリドドデカホウ酸リチウムのフッ素化に使用し、副生成物の形成を低減して反応効率を改善することができる。水溶液中で、ラジカルスカベンジャーは、過酸化水素又はフッ素によって生成することのあるHOFの形成を制限するようである。ラジカルスカベンジャーを酸度の調整に使用して、フッ素と溶媒の副反応を抑制し、それによってフッ素化の効率を改善する。ラジカルスカベンジャーの例には、酸素及びニトロ芳香族がある。ラジカルスカベンジャーを導入する簡単な方法は、液状媒体に少量の空気を導入することである。
ヒドリドホウ酸アニオンのフッ素化は、液相状態を維持するのに十分な温度範囲で実施することができる。ドデカホウ酸アニオンのフッ素化を達成するためには、温度は一般に−30〜100℃、典型的には0〜20℃である。フッ素化中の圧力は、液相状態を維持する程度の圧力であり、典型的にはドデカホウ酸アニオンのフッ素化に関して大気圧である。
リチウム電池用の電解質溶液の形成において、リチウム塩は非プロトン性溶媒中に保持される。典型的には、これらの非プロトン性溶媒は無水であり、無水電解質溶液が好ましい。電解質系を形成するための非プロトン性溶媒又はキャリヤーの例には、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート、ビス(ペンタフルオロプロピル)カーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ペンタフルオロエチルメチルカーボネート、ヘプタフルオロプロピルメチルカーボネート、ペルフルオロブチルメチルカーボネート、トリフルオロエチルエチルカーボネート、ペンタフルオロエチルエチルカーボネート、ヘプタフルオロプロピルエチルカーボネート、ペルフルオロブチルエチルカーボネートなどがあり、フッ素化オリゴマー、ジメトキシエタン、トリグライム、ジメチルビニレンカーボネート、テトラエチレングリコール、ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、スルホン、及びγ−ブチロラクトンがある。
別の実施態様においては、本発明の電解質系は、非プロトン性ゲルポリマーのキャリヤー/溶媒を含んで成ることができる。好適なゲルポリマーのキャリヤー/溶媒には、ポリエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリイミド、ポリホスファジン(polyphosphazine)、ポリアクリロニトリル、ポリシロキサン、ポリエーテルグラフトポリシロキサン、それらの誘導体、それらのコポリマー、それらの架橋及び網目構造物、それらの混合物などがあり、適切なイオン性電解質塩がそれらに添加される。他のゲルポリマーのキャリヤー/溶媒には、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、スルホン化ポリイミド、過フッ素化メンブレン(Nafion(商標)樹脂)、ジビニルポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ビス(メチルアクリレート)、ポリエチレングリコール−ビス(メチルメタクリレート)、それらの誘導体、それらのコポリマー、それらの架橋及び網目構造物から得られるポリマーマトリックスより調製されたものがある。
リチウム電池用のリチウムに基づいた電解質を形成するのに用いられる非プロトン性溶媒とフッ素化されたリチウムのドデカホウ酸塩の溶液は、典型的には少なくとも0.01若しくは0.05〜1モル、好ましくは0.1〜0.6モル、又は0.2〜0.5モルのフルオロドデカホウ酸リチウム濃度を有する。より高い濃度では粘性が高くなり過ぎる傾向があり、バルクの導電率特性が不利に影響を受ける。さらに、フッ素以外の高濃度ハロゲン原子を有するリチウムに基づいたフルオロホウ酸塩から形成される溶液は、より高いフッ素含有量を有するフルオロホウ酸リチウムに対して粘度の増加を示す。
他のリチウムに基づいた塩は、所望に応じて、リチウムに基づいたフルオロホウ酸塩、例えば、LiPF6、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、臭化リチウム、及びヘキサフルオロアンチモン酸リチウムと組み合せて使用することができる。本発明の塩は、任意の量の他の塩と組み合せて使用することができる。このような塩を使用する場合には、その際、これらの塩をフルオロホウ酸リチウムに基づいた電解質に任意の量(若しくは少量)添加することができるか、又はリチウムに基づいたフルオロホウ酸塩を他に基づいたリチウム塩を使用する電池に任意の量(若しくは少量)添加することができる。
フルオロドデカホウ酸リチウムの電解質を使用するリチウム電池は、カソード及び負のアノードを用いた任意のものであることができる。リチウム電池の形成において、リチウム二次電池に使用する負極は、典型的には非黒鉛化炭素、天然若しくは人造黒鉛炭素、又は酸化スズ、シリコン若しくはゲルマニウム化合物に一般に基づくことができる。このとき、通常のアノード組成物の何れかをフルオロドデカホウ酸リチウム電解質と組み合せて使用することができる。
リチウム二次電池に使用する正極は、典型的にはコバルト、ニッケル、マンガンなどのような遷移金属とのリチウム複合酸化物、又はそのリチウム部位若しくは遷移金属部位の一部を、コバルト、ニッケル、マンガン、アルミニウム、ホウ素、マグネシウム、鉄、銅など、若しくはフェロシアンブルー、ベルリングリーンなどのような鉄錯体化合物で置換したリチウム複合酸化物に基づくことができる。正極として使用するリチウム複合物の具体例には、LiNi1-xCox2、及びリチウムマンガンスピネル、LiMn24がある。LiNi1-xCox2は、Ni(IV)の非常に高い酸化力のために、かなり安全性が懸念される。リチウムマンガンスピネルは、Ni(IV)のリチウム電池よりも酸化性が相当に低く、ニッケルコバルテートカソードよりもはるかに優れた酸化還元動力学とはるかに高い出力密度をもたらす。
リチウム電池用セパレータは、ミクロ細孔のポリマー膜であることがしばしばである。膜形成用ポリマーの例には、ナイロン、セルロース、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどがある。最近では、ケイ酸塩に基づいたセラミックセパレータも使用されている。
電池は、特定の形状には限定されず、円筒形、コイン形、及び正方形のような任意の適切な形状を選択できる。電池はまた、特定の容量には限定されず、小さな機器や電気自動車用電力貯蔵の両方について任意の適切な容量を有することができる。
以下の例は、本発明の様々な実施態様の説明を意図しており、その範囲を限定しようとするものではない。
[例1]
[Li212x12-x(x=10〜12)の調製]
平均ハメット酸度Ho=−2〜−4でギ酸6ml中にK21212CH3OH2.96g(11.8mmol)を含有する無色のスラリーを0〜20℃でフッ素化した。所望の100%F2(142mmol)を、10%F2/10%O2/80%N2の混合ガスとして添加し、無色の溶液が残った。30℃での更なるフッ素化(3%)によって、溶液から固体が沈殿した。溶媒を一晩排気して無色の脆い固体5.1gを得た。この粗生成物を19F NMRによって分析し、主としてB12102 2-(60%)、B12112-(35%)及びB1212 2-(5%)であることがわかった。粗反応生成物を水に溶解して、溶液のpHをトリエチルアミン及びトリメチルアミン塩酸塩で4〜6に調整した。沈殿した生成物を濾過して乾燥させ、水に再度懸濁させた。2当量の水酸化リチウム一水和物をこのスラリーに添加し、得られたトリエチルアミンを排気した。全てのトリエチルアミンを蒸留した後、さらに水酸化リチウムを添加して最終的な溶液のpHを9〜10にした。蒸留により水を除去し、最終生成物を200℃で4〜8時間真空乾燥した。Li212x12-x(x=10、11、12)の典型的な収率は約75%であった。
[例2]
[Li212xBr12-x(x≧10、平均x=11)の調製]
平均組成Li21211HのLi212x12-x(x≧10)3g(0.008mol)を1M HCl(aq)160mLに溶解した。Br21.4mL(0.027mol)を添加し、この混合物を100℃で4時間還流した。NMR分析のために試料を採取した。
上記試料の一部を還流に戻し、塩素を6時間にわたり添加して、より強力な臭素化剤BrClを形成した。塩素の添加が完了した時点で、アリコートを採取して、NMR分析によりそのアリコートの組成が最初のアリコートの組成と同一であることが示された。HClと水を蒸留し、生成物を150℃で真空乾燥した。合計2.55gの白色固体生成物を単離した。Li212xBr12-x(x≧10、平均x=11)の理論量は3.66gである。
[例3]
[Li212xCl12-x(平均x=11)の調製]
Li21211Hの混合物20gを、還流凝縮器とガラスバブラー(fritted bubbler)を備えた三口丸底フラスコ中の1M HCl160mLに溶解した。この混合物を100℃に加熱し、Cl2ガスにより15標準立方センチメートル毎分(sccm/分)でバブリングした。凝縮器を通った流出液をKOHとNa2SO3の溶液に通した。16時間Cl2でバブリングした後、溶液を空気でパージした。HClと水を蒸留して除去し、残留物をエーテルで滴定した。エーテルを蒸発させ、白色固体を真空乾燥器で乾燥させて、上記式の物質20gを回収した(92%)。D2Oでの19F−NMR:−260.5,0.035F;−262.0,0.082F;−263.0,0.022F;−264.5,0.344F;−265.5,0.066F;−267.0,0.308F;−268.0,0.022F;−269.5,1.0F。D2Oでの11B−NMR:−16.841;−17.878。
[例4]
[Li212xCl12-x(平均x=3)の調製]
21239の混合物3.78gを、還流凝縮器とガラスバブラーを備えた三口丸底フラスコ中の1M HCl100mLに溶解した。この混合物を100℃に加熱し、Cl2ガスにより15sccmでバブリングした。凝縮器を通った流出液をKOHとNa2SO3の溶液に通した。8時間Cl2でバブリングした後、溶液を空気でパージした。形成した沈殿物がいくらかあり、それを濾過して取り除いた。Et3Nを添加して溶液をpH9にし、それにより白色沈殿物を生成した。溶液を0℃に冷却して沈殿を最大にし、次いで、Buchnerファンネルで濾過して冷水で洗浄した。この固体を120℃で真空乾燥し、上記式の組成物4.62gを回収した。アセトン−d6での19F−NMR:−225.2,0.023F;−228.5,0.078F;−229.5,0.082F;−231.2,0.036F;−232.8,0.302F;−233.2,0.073F;−234.3,0.032F;−235.5,0.104F;−237.6,0.239F;−238.4,0.037F;−239.8,0.057F;−242.0,0.033F。アセトン−d6での11B−NMR:−6多重線;−15多重線。
[例5]
[Li212xCl12-x(平均x=11)の調製]
Li21211Hの混合物3gを、還流凝縮器とガラスバブラーを備えた三口丸底フラスコ中の1M HCl110mLに溶解した。Br21.4mLを添加した。この混合物を100℃に4時間加熱した。アリコートをNMR分析のために取り出した。再び混合物を100℃に加熱し、Cl2ガスにより15sccmでバブリングした。凝縮器を通った流出液をKOHとNa2SO3の溶液に通した。30分後、赤色のBr2溶液が黄色味を帯びていた。さらに6時間Cl2でバブリングした後、溶液を空気でパージした。アリコートを19F NMR分析のために採取し、第一の試料と同一であることを確認した。HClと水を蒸留して除去した。残留物を150℃で真空乾燥した。上記式の組成物2.55gを回収した。D2Oでの19F−NMR:−257.8,0.024F;−259.0,0.039F;−259.5,0.040F;−261.0,0.028F;−261.5,0.028F;−263.0,0.321F;−265.2,0.382F;−269.2,1.0F。
[例6]
[Li212xCl12-x(平均x=3)の調製]
21239の混合物2.48gを、還流凝縮器を備えた丸底フラスコ中の1M HCl100mLに溶解した。この混合物を100℃に加熱した。8時間撹拌した後、溶液を室温に冷却し、週末にかけてそのままにした。過剰なBr2をNa2SO3で中和し、Et3Nを添加して溶液をpH9にし、それにより白色沈殿物を生成した。溶液を0℃に冷却して沈殿を最大にし、次いで、Buchnerファンネルで濾過して冷水で洗浄した。この固体を120℃で真空乾燥した。アセトン−d6での19F−NMR:−212.2,0.030F;−213.6,0.284F;−216,0.100F;−217.0,0.100F;−217.9,0.100F;−219.3,1.0F;−221.3,0.201F;−222.5,0.311F;−223.2,0.100F;−225.2,0.100F;−225.5,0.639F;−226.6,0.149F;−229,0.245F;−232.0,0.120F。LiOH・H2Oによる複分解を例1と同様に実施した。上記式で記載される組成物を得た。
[例7]
[リチウム二次電池に使用するリチウム電解質溶液の導電率]
エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)50/50wt%に溶解させたLi212x12-x塩と純粋Li212Cl12溶液の導電率を、Radiometer CDM210導電率計と温度センサーを内蔵した2極のCDC741T導電率セルを用いて測定した。導電率セルはKCl溶液を用いて校正した。
導電率をグラフ1に示す。
Figure 2009302064
グラフ1は、5個以上のフッ素原子を有するアニオン塩の0.5M電解質溶液が、優れたバルク導電率を有することを示している。驚くべきことに、塩Li212Cl12(比較試料8)は、試験した全ての塩の中で最も劣る導電率であった。0.1モルの濃度では、導電率は相当により低く、商業的な大規模電池がより高い塩濃度を必要とすることを示した。
結果をより詳細に考察すると、たとえB12Cl12 2-がより弱く配位していると考えられるにしても、同等の濃度で、Li212Cl12(比較試料8)が、Li21212(試料1)の導電率の約0.6倍の導電率しかないことは意外である。Li21212(試料1)の0.1M溶液が、5倍濃度でのLi212Cl12(比較試料8)よりも導電性であるという事実はさらにより驚くべきことである。これは、実際、同じイオン導電率を達成するために、質量ベースでEC/DMC混合液中にLi21212の約10倍のLi212Cl12を必要とすることを意味する。
溶液の粘度と電解質のバルク導電率との関係はグラフ1から明らかではない。試験条件のもと、フッ素化ドデカホウ酸塩の全てで水と同様の粘度を示した。即ち、溶液は流し込むことができた。もう一方で、フッ素以外のハロゲン原子濃度をフルオロホウ酸リチウム中で増加させると、リチウムに基づいたフルオロホウ酸塩から形成して得られる溶液の粘度は相当に増加した。さらに、得られた溶液のバルク導電率は劇的に減少した。例えば、0.5M含量での塩Li212Cl12は、商業的に価値があるためには粘性があり過ぎ、またバルク導電率が低過ぎた。
要約すると、完全に塩素化されたリチウム塩(Li212Cl12)は、リチウム電池用の電解質として評価した場合には、典型的な非プロトン性電解質中での有用な濃度において相対的に低い導電率(50/50のEC/DMC中0.5Mで4.6mS/cm)を有する。もう一方で、かなり予想外には、Li21212と、Li212x(H、Cl、Br)12-xの混合物とは、完全に塩素化された誘導体よりもEC/DMC中0.5M溶液で相当に高い導電率(7.2〜7.7mS/cm)をもたらす。この結果は、より小さいB12x(H、Cl、Br)12-x 2-アニオンがB12Cl12 2-アニオンと同じくらい弱く配位しているとは予想されなかったという事実を考慮すれば驚くべきことである。
[例8]
[リチウム電池におけるリチウムに基づいた電解質の評価]
この例では、2032ボタン電池の構成を使用して、リチウム箔(マイナス電極)||EC/DMC中0.4−0.5M Li21212||LiNi0.8Co0.15Al0.052(プラス電極)を用いた。Arbin Instruments BT4シリーズのポテンシオスタットを用いてセルをパルス充電及び放電し、セルの面積固有インピーダンス(area specific impedance)(ASI)を評価した。この構成を使用することで、EC/DMC(3:7)中0.5モル(M)のLi21212溶液により、同じセル構成の1.2M LiPF6を用いた最適な電解質溶液と同等又はそれよりもわずかに高い容量が可能となることが実証された。比較試験においてより重要には、1Mから0.5MへLi21212の濃度を低減することで、この最適でない溶媒系においてASIが100Ω・cm2から40Ω・cm2に低下することがわかった。Li21212に関する最も高い電解質溶液の導電率は0.4Mで観測され、0.3Mでの導電率は0.5Mでの導電率よりもわずかだけ低かった。このことは、恐らく0.3M又は0.2Mでさえある含量に濃度を低減すること、及び溶媒の処方をほとんど変えることなく所望のASIを達成することが可能であることを示唆している。実際、EC/DMC(3:7)中0.4M濃度でASIが約40Ω・cm2のままであることが見出された。
[例9]
[完全充電したリチウムイオンセルの熱虐待試験]
リチウム金属の負極よりもむしろ黒鉛を用い、以下の構成、即ち、
黒鉛(マイナス電極)||EC/DEC中Li212x12-x/LiPF6||LiNi0.8Co0.15Al0.052(プラス電極)
に従って、リチウムイオンセルを製作し、先の例と同様に試験した。いくつかの異なるフルオロドデカホウ酸塩組成物(平均xが9〜12)を用い、フルオロドデカホウ酸塩とヘキサフルオロリン酸塩の3つの異なる比を用いた。これらの溶液を含有するセルを、以下のプロファイルに従って試験した。Arbin Instrumentsポテンシオスタットを用い、2つの0.1mAh(C/20レート)形成サイクルによってセルを充電及び放電した。次いで、セルを0.7mAh(C/3レート)で4.1Vに充電し、ベーク前の充電容量を測定した。セルの開路電位を品質制御試験として2時間モニターした。約4V又はそれ以上のままであったセルのみをこの試験以降の段階で使用した。これらのセルをその完全充電状態において72時間85℃で貯蔵した。次いで、セルを0.7mAh(C/3レート)で3Vに放電し、同じレートバックで4.1Vに充電して熱処理後の充電容量を測定した。熱処理後と熱処理前の充電容量の比を測定し、充電容量保持率%を与えた。このような試験は、カレンダー及びサイクル寿命安定性の優れた促進測定である。ベーク後とベーク前の充電容量の比が高いほど、セル系の全体的な安定性は良くなる。これら試験の結果をグラフ2に示す。
Figure 2009302064
全部で3つのドデカホウ酸塩:LiPF6の比に関して、Li212x12-xの部分的にフッ素化された(平均xは12未満)混合物は、充電容量保持率、それゆえ安定性の観点で完全にフッ素化されたLi21212よりも良好に機能している。
最も安定でないLi21212を含有するセルからの電解質溶液を19F NMR分析することで、相当量のLi21212が、Li21211Hに見事に還元され、Li212102への更なる還元はごく少量しかないことが明らかになった。この還元はセルから活性なリチウム容量を取り除かなければならないので、それは、主としてLi21212を含有するセルのより高い容量損失が、完全充電されたリチウムイオンセル中のその塩の還元不安定性による場合があることを示唆している。
しかしながら、溶媒としてプロピレンカーボネートを用いた同様の熱虐待試験においては、Li21212の還元は全く観測されず、このことはLi21212がいくつかのリチウムイオンセルの構成に関して好適な還元安定性を有することを示唆している。
[例10]
[リチウム二次電池で使用するリチウム電解質溶液についての酸化及び還元安定性並びに分解温度の測定]
可能性のある電解質としての置換ドデカホウ酸塩の酸化安定性を評価するために、実験室雰囲気下でCH Instrumentsポテンシオスタット及び通常の三極セルを用いて、サイクリックボルタンメトリー(CV)試験を実施した。作用電極は、白金ディスク電極(2mm)であり、電位はAg/Ag+基準電極(Vycorチップを備えたガラス管内の0.1Mアセトニトリル[(n−Bu)4N][BF4]中0.01M AgNO3に浸した銀ワイヤー)について参照された。基準電極は、フェロセン基準(記載の条件下で、E1/2(FeCp2/FeCp2 +)=0.08V)により標準水素電極(NHE)に対して0.32Vに校正した。電解質溶液は、[(n−Bu)4N][BF4]の0.1Mアセトニトリル溶液中に[(n−Bu)4N][A](A=所定のアニオン)の0.01M溶液であった。
Density Functional Theory(DFT)の数値解析法を用いて、相対的な還元安定性を電子親和力(EA)として計算した。すべてのDFT計算は、DMolソフトウェアパッケージによって実施した。電子親和力(EA)は、「無限遠」からの電子を気相中の2価アニオンに押し込むのに必要とされるエネルギーであり、より高い正の電子親和力(本明細書ではeVで計算される)は、還元に対するより優れた安定性と関連がある。
分解温度は、TA Instruments DC2910 Differential Scanning CalorimeterによるDSC測定によって決定した。
Figure 2009302064
Figure 2009302064
表1は、純粋Li212Cl12(比較試料)、Li2Bi1212及び本発明の他の塩の酸化安定性が、潜在的なリチウム電池用電解質としてそれらを評価するほど十分高いことを示している。表1から、B12Cl12 2-アニオンとLi212xCl12-x(x≧10)塩混合物の酸化安定性が、完全にフッ素化されたアニオンB1212 2-の酸化安定性よりも高かったことは興味深くかつ予想外である。したがって、混合塩の組成物、Li212xCl12-x(x≧10)は、Li21212よりもさらに良好な酸化安定性を有する高導電率の独自の組み合せを提供することが観測され、場合によって高出力及び高電圧の電池用途の両方に関して有用になる。推論に束縛されることを意図するものではないが、完全フッ素化アニオンB1212 2-の酸化安定性における減少は、フッ素原子からホウ素クラスターへのπ逆供与による可能性がある。この分析は、B12Cl12 2-アニオンが、実際、B1212 2-よりも弱く配位するアニオンであることができることを示唆している。
表1はまた、完全フッ素化アニオンB1212 2-と完全フッ素化/ハロゲン化アニオンB12x12-x 2-の分解温度が少なくとも400℃であり、したがって、通常の電池の操作条件下で分解に対して抵抗性があるということを示している。酸化安定性に関して、リチウム電池用電解質は、高い電気化学酸化安定性を有することが必要とされる。高電圧リチウムイオン電池に関しては、4.2V vs リチウム金属(1.2V vs NHE)よりも高い電圧での電解質の酸化が必要とされる。なぜなら、測定E1/2は、酸化の実際の開始よりも通常0.2〜0.4V高く、少なくとも1.4〜1.6V vs NHEの測定E1/2に対して電解質の安定性が望まれるからである。表1のデータから知ることができるように、この安定性は、4個以上のフッ素原子を含有するリチウムドデカホウ酸塩に関して容易に満たされる。
表1のデータから、わずか3個のフッ素原子しか有さないフッ素化ドデカホウ酸リチウムは、いくつかのリチウムイオン用途に好適な酸化安定性を有することができるが、その第一の酸化が不可逆性であるという事実は、Li21239が、ゆっくりではあるが着実に4.2Vのリチウムイオン電池の継続的な充電及び放電によって減少するということを示唆している。Li21248はより良好な酸化安定性を有し、その第一の酸化は、この塩が繰り返し行われる充電/放電サイクルに関して適度な安定性を有するよう十分可逆性であると考えられる。
表2は、いくつかの置換ドデカホウ酸塩の計算電子親和力を示している。その結果は酸化安定性を反映している。表1のデータが、B1212 2-よりもB12Cl12 2-の酸化が困難であるのを示す一方で、B1212 2-よりもB12Cl12 2-の還元は相当に容易である。同様に、ちょうど塩素原子の置換によってこれらの塩の酸化電位が増加すると、一方で、水素原子の置換によってこれらの電位が低下し、逆のことが電子親和力の値についても言える。フッ素原子と塩素を置換することで、B12x12-x 2-の還元がより容易になり、一方で、フッ素原子と水素原子を置換することで、これらの塩の還元がより困難になる。即ち、B12112-はB1212 2-よりも還元が困難である。ビス−トリフルオロメトキシ基(−OCF3)との置換は、塩素の置換と同様の効力を有する。FとOHの置換によって、おそらく方法の不確実性の範囲内にある量だけわずかにEAが増加している。
これらの計算値並びに例9の熱虐待セルの安定性の結果に基づいて、現状では、B12Cl12 2-を含む高度に塩素化されたドデカホウ酸塩が、その還元の容易さから、B1212 2-に比べて、リチウムイオンセルにおいて非常に乏しい安定性を有するようである。
驚くべきことに、さらに、部分的にフッ素化されたフルオロドデカホウ酸リチウム塩、Li212x12-x(式中、4≦x≦12又は4≦x≦11)が、商業用のリチウムイオンセルに関して、酸化及び還元安定性の最適な組み合せを有するようである。

Claims (23)

  1. 以下の式、即ち、
    Li212x12-x
    のリチウム塩を含んで成り、式中、xが平均で少なくとも4であるが12以下であり、ZがH、Cl又はBrである電池。
  2. xが5以上である、請求項1に記載の電池。
  3. xが8以上である、請求項1に記載の電池。
  4. xが12未満であり、ZがCl又はBrである、請求項1に記載の電池。
  5. 前記リチウム塩が、Li21257、Li21266、Li21275、Li21284、Li21293、Li212102、及びLi21211Hから成る群より選択された、請求項1に記載の電池。
  6. 溶媒をさらに含んで成り、該溶媒中の前記リチウム塩の濃度が0.01〜1モルである、請求項2に記載の電池。
  7. 前記リチウム塩が、Li212xCl12-x及びLi212xBr12-x(式中、xは10又は11である)から成る群より選択された、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  8. 溶媒をさらに含んで成り、該溶媒が、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジグライム及びトリグライム、プロピレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、並びに非プロトン性ゲルポリマーから成る群より選択された、請求項1に記載の電池。
  9. xが10であり、少なくとも1つのZがClである、請求項1に記載の電池。
  10. xが10又は11であり、ZがCl又はBrである、請求項8に記載の電池。
  11. 以下の式、即ち、
    Li212x12-x
    によって表され、式中、xが平均ベースで少なくとも4であるが12以下であり、ZがCl、H又はBrである群より選択されたリチウムに基づいたフルオロドデカホウ酸塩。
  12. Li21257、Li21266、Li21275、Li21284、Li21293、Li212102、及びLi21211Hから成る群より選択された、請求項11に記載のリチウムに基づいたフルオロドデカホウ酸塩。
  13. xが少なくとも5である、請求項11に記載のリチウムに基づいたフルオロドデカホウ酸塩。
  14. xが少なくとも8である、請求項11に記載のリチウムに基づいたフルオロドデカホウ酸塩。
  15. xが少なくとも8でありかつ12未満である、請求項11に記載のリチウムに基づいたフルオロドデカホウ酸塩。
  16. xが10又は11であり、ZがCl又はBrである、請求項11に記載のリチウムに基づいたフルオロドデカホウ酸塩。
  17. 化学セルで使用するためのリチウム塩及び溶媒を含んで成るリチウム電解質であって、該リチウム塩が、
    Li212x12-x
    を含んで成り、式中、xが少なくとも4であるが12以下であり、ZがH、Cl又はBrである、リチウム電解質。
  18. xが少なくとも10である、請求項17に記載のリチウム電解質。
  19. 前記溶媒が、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジグライム及びトリグライム、プロピレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、並びに非プロトン性ゲルポリマー、又はポリマーマトリックスから成る群より選択された、請求項17に記載のリチウム電解質。
  20. 前記溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートから成る群より選択された、請求項17に記載のリチウム電解質。
  21. xが10又は11であり、ZがCl又はBrである、請求項17に記載のリチウム電解質。
  22. xが少なくとも4でありかつ12未満である、請求項17に記載のリチウム電解質。
  23. 前記リチウム塩が、Li21257、Li21266、Li21275、Li21284、Li21293、Li212102、及びLi21211Hから成る群より選択された、請求項17に記載のリチウム電解質。
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