JP2021125417A - 二次電池用正極活物質前駆体、二次電池用正極活物質、二次電池用陰極液、二次電池用正極及び二次電池 - Google Patents

二次電池用正極活物質前駆体、二次電池用正極活物質、二次電池用陰極液、二次電池用正極及び二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性を有する二次電池を製造することができる有機化合物を提供する。
【解決手段】少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物を含有する、二次電池用正極活物質前駆体。
【選択図】なし

Description

本発明は、二次電池用正極活物質前駆体、二次電池用正極活物質、二次電池用陰極液、二次電池用正極及び二次電池に関する。
二次電池のなかで最も高いエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が実用化されている。近年、様々な遷移金属酸化物(LiFePO、LiNi0.8Mn0.1Co0.1等)とそれらの誘導体は、二次電池用正極活物質(特にリチウムイオン二次電池用正極活物質)として広く使用されている。
しかしながら、次世代のリチウムイオン電池等の二次電池に対する要求は年々高まっている一方、イオンインターカレーションストレージメカニズムにより、それらの充放電容量は構造的に制限がある。さらに、一部の金属元素は高価であるだけでなく、毒性もあり、安全上の問題もある。対照的に、カルボニル及びポリスルフィドを含む経済的に豊富な有機化合物は、二次電池用正極活物質として潜在的に役立つ可能性があり、これらの有機化合物は、分子ごとの多電子移動を可能にする独自の電荷蓄積メカニズムにより、高容量バッテリーの構築に有利である。
例えば、非特許文献1では、シクロヘキサンヘキソンベースの正極活物質を合成し、リチウムイオン電池への応用を報告している。この材料は高極性イオン液体電解質へ溶解しにくいため、100サイクル後も容量維持率が82%であった。また、非特許文献2では、三硫化ジメチルが充電式リチウム電池の有望な高容量正極活物質であることを確認し、この正極を使用したリチウム金属電池は、高い初期容量を実現する他、0.1Cレートで50サイクルにわたっても容量の82%を保持した。
Angew.Chem.Int.Ed.2019,58,7020−7024 Angew.Chem.Int.Ed.2016,55,10027−10031
しかしながら、有機化合物を用いた二次電池用正極活物質の報告は少なく、選択の幅は狭い。また、非特許文献1及び2の方法では、イオン液体のコストが高く、電池のレート特性及びサイクル安定性がよくない。また、得られた有機カソードは、バッテリーの自己放電を容易に引き起こし、エネルギーを消費する可能性のある重度のシャトル効果を持っている。このため、本発明は、優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性を有する二次電池を製造することができる有機化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、少なくとも1個の硫黄含有基を有するピリジン骨格の化合物を適用することにより上記目的を達成できることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、完成されたものである。即ち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物を含有する、二次電池用正極活物質前駆体。
項2.前記化合物が、一般式(1):
Figure 2021125417
[式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R11、R12、R13、R14及びR15の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
で表されるピリジン化合物、
一般式(2):
Figure 2021125417
[式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
で表されるビピリジン化合物、及び
一般式(3):
Figure 2021125417
[式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38の少なくとも一つは硫黄含有基である。nは2〜4の整数を示す。]
で表されるピリジン環化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
項3.前記硫黄含有基がチオール基又はその誘導体基である、項1又は2に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
項4.リチウムイオン二次電池用正極活物質前駆体である、項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
項5.少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物のリチウム化物を含有する、二次電池用正極活物質。
項6.前記化合物が、一般式(1):
Figure 2021125417
[式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R11、R12、R13、R14及びR15の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
で表されるピリジン化合物、
一般式(2):
Figure 2021125417
[式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
で表されるビピリジン化合物、及び
一般式(3):
Figure 2021125417
[式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38の少なくとも一つは硫黄含有基である。nは2〜4の整数を示す。]
で表されるピリジン環化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項5に記載の二次電池用正極活物質。
項7.前記硫黄含有基がチオール基又はその誘導体基である、請求項5又は6に記載の二次電池用正極活物質。
項8.リチウムイオン二次電池用正極活物質である、項5〜7のいずれか1項に記載の二次電池用正極活物質。
項9.少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物のリチウム化物を含有する、二次電池用陰極液。
項10.前記化合物が、一般式(1):
Figure 2021125417
[式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R11、R12、R13、R14及びR15の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
で表されるピリジン化合物、
一般式(2):
Figure 2021125417
[式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
で表されるビピリジン化合物、及び
一般式(3):
Figure 2021125417
[式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38の少なくとも一つは硫黄含有基である。nは2〜4の整数を示す。]
で表されるピリジン環化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項9に記載の二次電池用陰極液。
項11.前記硫黄含有基がチオール基又はその誘導体基である、項9又は10に記載の二次電池用陰極液。
項12.リチウムイオン二次電池用正極液である、項9〜11のいずれか1項に記載の二次電池用陰極液。
項13.項5〜8のいずれか1項に記載の二次電池用正極活物質又は項9〜12のいずれか1項に記載の二次電池用陰極液を含有する、二次電池用正極。
項14.リチウムイオン二次電池用正極である、項13に記載の二次電池用正極。
項15.項13又は14に記載の二次電池用正極を備える、二次電池。
項16.リチウムイオン二次電池である、項15に記載の二次電池。
本発明によれば、優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性を有する二次電池を製造することができる有機化合物を提供することができる。
2−MPをリチウム化して得られた2−MP−LiのXPS分析の結果を示す。 比較例1のコインセルを用いた電気化学測定の結果(サイクル安定性及びクーロン効率)を示す。 実施例1のコインセルの充放電曲線(a)及びサイクリックボルタモグラム(b)を示す。 実施例1のコインセルを用いた電気化学測定の結果(レート特性(a)及びサイクル安定性(b))を示す。 実施例2のコインセルの充放電曲線(a)及びサイクリックボルタモグラム(b)を示す。 実施例2のコインセルを用いた電気化学測定の結果(サイクル安定性)を示す。図6(a)では、比較のため、実施例1のコインセルを用いたサイクル安定性を20μL−catholyte−0.3Cとして、実施例2のコインセルを用いたサイクル安定性を40μL−catholyte−0.3Cとして示している。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。
また、本明細書において、「A〜B」との表記は、「A以上且つB以下」を意味する。
1.二次電池用正極活物質前駆体
本発明の二次電池用正極活物質前駆体は、少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物からなる。このようなピリジン骨格を有する化合物を使用することで、優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性を有する二次電池を製造することができる。
ピリジン骨格を有する化合物の硫黄含有基の種類は特に限定されない。例えば、チオール基又はその誘導体基が挙げられる。チオール基の誘導体基としては、チオール基の水素原子が、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等の炭素数2〜10のアルケニル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基)、アミノ基等で置換された基が挙げられる。
ピリジン骨格を有する化合物において、ピリジン骨格とは、ピリジン環由来の構造を意味する。ピリジン骨格を有する化合物において、ピリジン骨格の数は1個以上である限りは特に限定されない。ピリジン骨格を有する化合物を製造しやすく、二次電池に優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性をもたらしやすいという観点から、ピリジン骨格の数は、1〜5個が好ましく、1〜3個がより好ましく、1個又は2個がさらに好ましく、1個が特に好ましい。
ピリジン骨格を有する化合物において、硫黄含有基の数は1個以上である限りは特に限定されない。ピリジン骨格を有する化合物を製造しやすく、二次電池に優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性をもたらしやすいという観点から、硫黄含有基の数は、1〜3個が好ましく、1個又は2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。
従って、ピリジン骨格を有する化合物は、1個のピリジン骨格と1個の硫黄含有基とを有する化合物が好ましく、中でも、1個のピリジン骨格と1個のチオール基又はその誘導体基とを有する化合物であることがより好ましい。
ピリジン骨格を有する化合物において、硫黄含有基は、ピリジン骨格に直接結合することができ、その結合位置は特に限定されない。
ピリジン骨格を有する化合物は、分子内に1個以上のピリジン骨格と、1個以上の硫黄含有基とを有する化合物である限り、その種類は特に限定されない。例えば、ピリジン骨格を有する化合物は、一般式(1):
Figure 2021125417
[式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R11、R12、R13、R14及びR15の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
で表されるピリジン化合物、
一般式(2):
Figure 2021125417
[式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
で表されるビピリジン化合物、
一般式(3):
Figure 2021125417
[式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38の少なくとも一つは硫黄含有基である。nは2〜4の整数を示す。]
で表されるピリジン環化合物等よりなる群から選ばれる少なくとも1種とすることができる。
一般式(1)〜(3)において、硫黄含有基は、上記説明したものを採用できる。
一般式(1)〜(3)において、1価の基が硫黄含有基以外の基である場合の基については特に限定されず、本発明の効果が阻害されない限りは種々の基を選択することができる。例えば、1価の基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等の炭素数2〜10のアルケニル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基)、アミノ基等が挙げられる。これらの1価の基は、同一でも異なっていてもよい。
一般式(1)において、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一又は異なって、水素原子又は硫黄含有基が好ましい。中でも、R11、R12、R13、R14及びR15の少なくとも一つが硫黄含有基(好ましくはチオール基又はその誘導体基)であって、残りは水素原子であることが特に好ましい。この場合、二次電池に特に優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性をもたらすことができる。例えば、一般式(1)において、R11及びR15のいずれか一方を硫黄含有基(好ましくはチオール基又はその誘導体基)とすることができる。この場合、特に好ましい化合物は、2−メルカプトピリジンである。
一般式(2)において、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、同一又は異なって、水素原子又は硫黄含有基が好ましい。中でも、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28の少なくとも一つが硫黄含有基(好ましくはチオール基又はその誘導体基)であって、残りは水素原子であることが特に好ましい。この場合、二次電池に特に優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性をもたらすことができる。例えば、一般式(2)において、R21及びR25のいずれか一方を硫黄含有基(好ましくはチオール基又はその誘導体基)とすることができる。
一般式(3)において、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38は、同一又は異なって、水素原子又は硫黄含有基が好ましい。中でも、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38の少なくとも一つが硫黄含有基(好ましくはチオール基又はその誘導体基)であって、残りは水素原子であることが特に好ましい。この場合、二次電池に特に優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性をもたらすことができる。例えば、一般式(3)において、R31及びR38のいずれか一方を硫黄含有基(好ましくはチオール基又はその誘導体基)とすることができる。
本発明の二次電池用正極活物質前駆体において、上記したピリジン骨格の化合物は1種のみを含むことができ、あるいは、異なる2種以上を含むこともできる。また、これらピリジン骨格の化合物は、公知又は市販品を使用することができる。
なお、本発明の二次電池用正極活物質前駆体は、その性能を阻害しない範囲であれば、その他の不純物も含まれ得る。
これらの不純物の量については、上記した本発明の二次電池用正極活物質前駆体の性能を阻害しない範囲が好ましく、本発明の二次電池用正極活物質前駆体の総量を100質量%として、通常、2質量%以下(0〜2質量%)が好ましい。
以上のように、本発明の二次電池用正極活物質前駆体は、優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性を有する二次電池を製造することができることから、二次電池用正極活物質前駆体(特にリチウムイオン二次電池用正極活物質前駆体)として有用である。
2.二次電池用正極活物質
本発明の二次電池用正極活物質は、少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物のリチウム化物を含有する。少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物については、上記したピリジン骨格を有する化合物の説明を採用できる。
上記したピリジン骨格を有する化合物のリチウム化物は、硫黄含有基にリチウムが導入された化合物である。通常、硫黄含有基が有する1個の水素原子がリチウム原子で置換された化合物が得られる。具体的には、硫黄含有基がチオール基である場合は、リチウム化することで−SLiで表される基となる。
このような化合物を使用することで、優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性を有する二次電池を製造することができる。
本発明の二次電池用正極活物質において、上記したピリジン骨格の化合物のリチウム化物は1種のみを含むことができ、あるいは、異なる2種以上を含むこともできる。また、これらピリジン骨格の化合物のリチウム化物は、例えば、公知又は市販品のピリジン骨格の化合物に対して、リチウム材料(リチウム金属等)を反応させることで合成することができる。この際の反応条件等は特に制限されず、適宜調整することができる。
なお、本発明の二次電池用正極活物質は、その性能を阻害しない範囲であれば、その他の不純物も含まれ得る。
これらの不純物の量については、上記した本発明の二次電池用正極活物質の性能を阻害しない範囲が好ましく、本発明の二次電池用正極活物質の総量を100質量%として、通常、2質量%以下(0〜2質量%)が好ましい。
以上のように、本発明の二次電池用正極活物質は、優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性を有する二次電池を製造することができることから、二次電池用正極活物質(特にリチウムイオン二次電池用正極活物質)として有用である。
3.二次電池用陰極液
本発明の二次電池用陰極液は、少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物のリチウム化物(つまり、本発明の二次電池用正極活物質)を含有する。少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物や、そのリチウム化物については、上記したピリジン骨格を有する化合物や、そのリチウム化物の説明を採用できる。
本発明の二次電池用陰極液は、上記した本発明の二次電池用正極活物質を含有していれば特に制限はないが、通常、本発明の二次電池用正極活物質の他、溶媒及びアルカリ金属が含まれ得る。
溶媒としては、特に制限はなく、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,3−ジオキソラン(DOL)、1,2−ジメトキシエタン(DME)等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
溶媒の使用量は、過剰量であれば特に制限されない。具体的には、本発明の二次電池用正極活物質の濃度が0.1〜5mol/L、特に0.5〜3mol/Lとなるように使用することができる。
アルカリ金属としては、特に制限はなく、リチウム金属、ナトリウム金属、カリウム金属等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、リチウム金属を採用する場合には、本発明の二次電池用正極活物質を合成すると同時に、本発明の二次電池用陰極液を製造することも可能である点で有用である。
アルカリ金属の使用量は、特に制限されないが、電気化学的可逆特性、レート特性、サイクル安定性等の観点から、本発明の二次電池用正極活物質100質量部に対して、アルカリ金属を100〜300質量部、特に110〜200質量部含むことが好ましい。なお、アルカリ金属の使用量を多めにすると、反応をより徹底することができ、最終的に得られる本発明の二次電池用正極活物質の純度もより高めることが可能である。
本発明の二次電池用陰極液には、さらに、必要に応じて、電解質塩を含ませることもできる。
電解質塩としては、例えば、硝酸リチウム(LiNO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、リチウムビスオキサレートボラート(LiBOB)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド(LiSOCF)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)等の1種又は2種以上が挙げられる。
電解質塩の使用量は、特に制限されないが、電気化学的可逆特性、レート特性、サイクル安定性等の観点から、本発明の二次電池用正極活物質100質量部に対して、電解質塩を100〜1000質量部、特に200〜600質量部含むことが好ましい。なお、電解質塩の使用量を多めにすると、負極の安定性をより向上させることが可能である。
上記のような本発明の二次電池用陰極液の製造方法は制限されない。例えば、アルカリ金属がリチウム金属である場合は、本発明の二次電池用正極活物質を合成するために、溶媒中で本発明の二次電池用正極活物質前駆体とリチウム金属とを反応させる場合は、過剰量のリチウム金属を使用することで、本発明の二次電池用正極活物質を合成すると同時に、本発明の二次電池用陰極液を製造することも可能である。
4.二次電池用正極及び二次電池
本発明の二次電池用正極は、本発明の二次電池用正極活物質を含有する。本発明の二次電池用正極は、例えば、リチウムイオン二次電池用正極等のように、各種二次電池に好適に使用することができ、二次電池、特にリチウムイオン二次電池において、優れた電気化学的可逆特性、レート特性及びサイクル安定性をもたらすことができる。
この本発明の二次電池用正極は、本発明の二次電池用正極活物質を含有する他は、公知の二次電池用負極と同様の構造とすることができる。
例えば、正極集電体を本発明の二次電池用陰極液に浸漬させることにより、正極集電体中に本発明の陰極液が含浸した二次電池用正極を形成することができる。この場合、本発明の二次電池用陰極液を、二次電池用正極を構成する材料として使用するのみならず、二次電池用電解質としても使用することが好ましい。具体的には、負極上に本発明の二次電池用陰極液を配置し、その上から正極集電体を落とし、正極集電体中には本発明の二次電池用陰極液を含浸させて本発明の正極としつつ、正極集電体が存在しない領域の本発明の二次電池用陰極液は二次電池用電解質として使用することができる点で簡便である。
一方、本発明の二次電池の製造方法は上記のみに限定されることはなく、以下の方法によっても製造することができる。具体的には、正極集電体を本発明の二次電池用陰極液に浸漬させたり、正極集電体に本発明の二次電池用陰極液を塗布したりする方法により、正極集電体中に本発明の陰極液が含浸した本発明の二次電池用正極を形成することができる。そして、負極上に液体電解質を含浸させたセパレーターを載置し、その上に本発明の二次電池用正極を載置することによっても、本発明の二次電池を製造することができる。
正極集電体としては、例えば、カーボンファイバーペーパー(CFP)、カーボンナノチューブペーパー、グラファイトペーパー、グラフェンフォーム等の各種多孔性集電体を使用することができる。また、正極集電体としては、上記した炭素材料のみに限定されず、金属箔に活物質が担持された構造を有することもできる。金属箔としては、アルミニウム、チタン、白金、モリブデン、ステンレス、銅等が挙げられる。金属箔の形状は、例えば、多孔質体、箔、板、繊維からなるメッシュ等が挙げられる。
なお、正極集電体に本発明の陰極液を含浸又は塗布する方法については、特に制限されず、常法にしたがい行うことができる。各種条件も適宜調整することができる。
負極としては、例えば、各種金属板を使用することができる。金属板としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等が挙げられる。なお、各種金属板以外にも、例えば、金属箔に活物質が担持された構造を採用することもできる。金属箔としては、アルミニウム、チタン、白金、モリブデン、ステンレス、銅等が挙げられる。金属箔の形状は、例えば、多孔質体、箔、板、繊維からなるメッシュ等が挙げられる。アノードの活物質としては、Li、Na、K、Mg、Al、Zn等の金属;グラファイト及び他の炭素材料;Si(C)ベース、Si(O)ベース又はSnベースの合金又は金属酸化物;LiTi12等を挙げることができる。
セパレーターに液体電解質を含浸させる場合、当該液体電解質としては、本発明の陰極液を使用することもできるし、公知の液体電解質を使用することもできる。公知の液体電解質を使用する場合、液体電解質としては、極性溶媒に溶解したリチウム塩が挙げられる。極性溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート(EC)、フルオロエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)等のカーボネート化合物;ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグリム)、1,3−ジオキソラン(DOL)、1,2−ジメトキシエタン(DME)等のエーテル化合物;酢酸プロピル等のエステル化合物等の1種又は2種以上を挙げることができる。リチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、リチウムビスオキサレートボラート(LiBOB)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド(LiSOCF)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)等の1種又は2種以上が挙げられる。
なかでも、セパレーターに含浸させる液体電解質として、本発明の陰極液を採用した場合には、サイクル安定性をさらに向上させることが可能である。
セパレーターとしては、リチウムイオン二次電池等の二次電池に適用されている公知のセパレーターを使用することができ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂;ポリイミド;ポリビニルアルコール;末端アミノ化ポリエチレンオキシドポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;アクリル樹脂;ナイロン;芳香族アラミド;無機ガラス;セラミックス等の材質からなり、多孔質膜、不織布、織布等の形態の材料を用いることができる。
二次電池を組み立てる方法も特に制限はなく、公知の二次電池の組み立て方法と同様の方法で二次電池を得ることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
本発明の二次電池用正極活物質前駆体である2−メルカプトピリジン(99%)は、シグマアルドリッチ社から購入した。液体電解質であるリチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)の1,3−ジオキソラン(DOL)及び1,2−ジメトキシエタン(DME)の混合溶媒(体積比1:1)への1M溶液(LiNOを1質量%含む)は、Xiamen Tob New Energy Technology Co.,Ltd.Chinaから購入した。以下、この液体電解質を「1M LiTFSI in DOL:DME(1:1vol.% containing 1%LiNO)」と表記することもある。
なお、電池の構築においては、グローブボックス((株)美和製作所製)を不活性雰囲気下での電池製作のために使用し、HO及びO濃度がいずれも0.1ppm以下であるArガス雰囲気下で行った。また、電池製作に使用したセパレーターは直径16mm、厚さ0.025mmのポリプロピレン(PP)とし、負極集電体であるカーボンファイバーペーパー(CFP)は、直径12mm、厚さ0.1mmとし、正極であるリチウム箔は直径12mm、厚さ0.1mmとした。
比較例1:2−MP−Li陰極液なし:コインセル試作と性能測定
正極集電体であるカーボンファイバーペーパー(CFP)は、使用前に110℃で24時間乾燥させた。CR2025タイプのコインセルは、Arを充填したグローブボックス内で製作した。最初に、20μLの1M LiTFSI in DOL:DME(1:1vol.% containing 1%LiNO)からなるブランク電解質をCFP集電体に加えた。具体的には、室温で、CFP集電体をコインセルの正極ケースに入れ、CFP集電体が完全に濡れるまで、上からピペットで1〜5秒間ブランク電解質を点滴した。次に、得られたCFP電極(正極)の上部にPPセパレーターを配置し、PPセパレーターの上部に20μLの上記ブランク電解質を追加した。具体的には、上記と同様に、室温で、PPセパレーターが完全に濡れるまで、上からピペットで1〜5秒間ブランク電解質を点滴した。その後、電解質を含浸させたPPセパレーターの上にリチウム箔を載置し、さらに、ステンレス製のスペーサーで覆った後、コイン型電池セールに置いて圧着した。得られた電池をグローブボックスから取り出し、30℃でWuhan LAND electronics社の充放電装置(LAND batteries testing system CT2001A)を使用して、カットオフ電圧範囲は1.8〜3.0Vとして、電気化学測定を行った。
実施例1:2−MP−Li陰極液の調製及び20μL陰極液あり:コインセル試作と性能測定
0.5mmolの2−メルカプトピリジン(2−MP)を、1mLの1M LiTFSI in DOL:DME(1:1vol.% containing 1%LiNO)からなるブランク電解質中に溶解させ、0.5Mの2−MP溶液を形成した。次に、6.042mgのリチウム金属を上記の溶液に加えて2−MPをリチウム化し、0.5Mの2−MP−Li陰極液を形成した。この結果、得られた2−MP−Liは、以下の構造を有する化合物である。また、実際に2−MP−Liが得られたことを、X線光電子分光法(XPS)で分析した。その結果を図1に示す。
Figure 2021125417
正極集電体であるカーボンファイバーペーパー(CFP)は、使用前に110℃で24時間乾燥させた。CR2025タイプのコインセルは、Arを充填したグローブボックス内で製作した。最初に、20μLの製造した陰極液をCFP集電体に加えた。具体的には、室温で、CFP集電体をコインセルの正極ケースに入れ、CFP集電体が完全に濡れるまで、上からピペットで1〜5秒間製造した陰極液を点滴した。次に、得られたCFP電極(正極)の上部にPPセパレーターを配置し、PPセパレーターの上部に1M LiTFSI in DOL:DME(1:1vol.% containing 1%LiNO)からなるブランク電解質を20μL追加した。具体的には、室温で、PPセパレーターが完全に濡れるまで、上からピペットで1〜5秒間ブランク電解質を点滴した。その後、電解質を含浸させたPPセパレーターの上にリチウム箔を載置し、さらに、ステンレス製のスペーサーで覆った後、コイン型電池セールに置いて圧着した。得られた電池をグローブボックスから取り出し、30℃でWuhan LAND electronics社の充放電装置(LAND batteries testing system CT2001A)を使用して、カットオフ電圧範囲は1.8〜3.0Vとして、電気化学測定を行った。なお、上記のセルのサイクリックボルタンメトリー挙動は、30℃で1mVs−1のスキャンレートで1.8〜3.0Vの電位範囲で実施した。
実施例2:2−MP−Li陰極液の調製及び40μL陰極液あり:コインセル試作と性能測定
0.5mmolの2−メルカプトピリジン(2−MP)を、1mLの1M LiTFSI in DOL:DME(1:1vol.% containing 1%LiNO)からなるブランク電解質中に溶解させ、0.5Mの2−MP溶液を形成した。次に、6.042mgのリチウム金属を上記の溶液に加えて2−MPをリチウム化し、0.5Mの2−MP−Li陰極液を形成した。この結果、得られた2−MP−Liは、上記の構造を有する化合物である。また、実際に2−MP−Liが得られたことを、X線光電子分光法(XPS)で分析した。その結果を図1に示す。
正極集電体であるカーボンファイバーペーパー(CFP)は、使用前に110℃で24時間乾燥させた。CR2025タイプのコインセルは、Arを充填したグローブボックス内で製作した。最初に、20μLの製造した陰極液をCFP集電体に加えた。具体的には、室温で、CFP集電体をコインセルの正極ケースに入れ、CFP集電体が完全に濡れるまで、上からピペットで1〜5秒間製造した陰極液を点滴した。次に、得られたCFP電極(正極)の上部にPPセパレーターを配置し、PPセパレーターの上部にさらに製造した陰極液を20μL追加した。具体的には、上記と同様に、室温で、PPセパレーターが完全に濡れるまで、上からピペットで1〜5秒間製造した陰極液を点滴した。その後、陰極液を含浸させたPPセパレーターの上にリチウム箔を載置し、さらに、ステンレス製のスペーサーで覆った後、コイン型電池セールに置いて圧着した。得られた電池をグローブボックスから取り出し、30℃でWuhan LAND electronics社の充放電装置(LAND batteries testing system CT2001A)を使用して、カットオフ電圧範囲は1.8〜3.0Vとして、電気化学測定を行った。なお、上記のセルのサイクリックボルタンメトリー挙動は、30℃で1mVs−1のスキャンレートで1.8〜3.0Vの電位範囲で実施した。
評価結果
図2は、比較例1のコインセルを用いた電気化学測定の結果を示す。2−MP−Li陰極液を使用しない場合、CFP正極、ブランク電解質及びリチウム金属負極の構成のコインセルでは、放電容量がほとんど0であった。つまり、CFP正極集電体は、放電容量を向上させるものではないことが理解できる。
図3は、実施例1のコインセルの充放電曲線(a)及びサイクリックボルタモグラム(b)を示す。CFP正極集電体中に2−MP−Li陰極液を20μL含浸させた、CFP正極(2−MP−Li含む)、ブランク電解質及びリチウム金属負極の構成のコインセルでは、優れた電気化学的特性を示した。また、図3(a)では、0.3C及び30℃の条件下で、1.8〜3.0Vの電位範囲で明確な電位プラトーを示した。また、図3(b)にも示されるように、1mVs−1の条件においても良好な可逆特性を示し、図3(a)の電圧プロファイルとよく一致した。
図4は、実施例1のコインセルを用いた電気化学測定の結果(レート特性(a)及びサイクル安定性(b))を示す。図4(a)から、CFP正極集電体中に2−MP−Li陰極液を20μL含浸させた、CFP正極(2−MP−Li含む)、ブランク電解質及びリチウム金属負極の構成のコインセルでは、それぞれ0.1、0.3、0.5、1.0及び2.0Cのレートで132.5、112、107.2、102.6、101.1mAhg−1の放電容量を示した。さらに、2Cの高レートでサイクリングを終了した後、レートが0.1Cに戻ったときも、放電容量は131.7mAhg−1有していて、初期放電容量の99.4%に達した。一方、図4(b)に示したように、このコインセルは、150サイクル後でもクーロン効率が99.11%で、87.45%の高いサイクル安定性を有していた。これらの結果は、2−MP−Li陰極液を使用したコインセルは優れた可逆特性とサイクル安定性を有することを示している。
図5は、実施例2のコインセルの充放電曲線(a)及びサイクリックボルタモグラム(b)を示す。CFP正極集電体中及びPPセパレーター中の双方に、2−MP−Li陰極液を合計40μL含浸させた、CFP正極(2−MP−Li含む)、電解質(2−MP−Li含む)及びリチウム金属負極の構成のコインセルでも、優れた電気化学的特性を示した。また、図5(a)では、0.3C及び30℃の条件下で、1.8〜3.0Vの電位範囲で明確な電位プラトーを示した。また、図5(b)にも示されるように、1mVs−1の条件においても良好な可逆特性を示し、図5(a)の電圧プロファイルとよく一致した。これらの現象は、再び2−MP−Liはリチウム金属と優れた電気化学的安定性があり、良好なリチウムイオン輸送能力及び高い電気絶縁性を有することを示している。
図6は、実施例2のコインセルを用いた電気化学測定の結果(サイクル安定性)を示す。図6(a)では、比較のために、実施例1のコインセルを用いたサイクル安定性を20μL−catholyte−0.3Cとして、実施例2のコインセルを用いたサイクル安定性を40μL−catholyte−0.3Cとして示している。図6(a)から、CFP正極集電体中及びPPセパレーター中の双方に、2−MP−Li陰極液を合計40μL含浸させた、CFP正極(2−MP−Li含む)、電解質(2−MP−Li含む)及びリチウム金属負極の構成のコインセルでは、0.3Cにおける放電容量は、実施例1と比較すると約2倍となった。さらに、このコインセルは、0.5Cの高速で200サイクル充放電実験後も、94.72%の高いサイクル安定性と97.49%のクーロン効率を示した。通常の溶媒キャスト法により製作したカソードシートと比較して、実施例2のコインセルにおいては、2−MP−Liがイオン拡散の制限を回避し、バッテリー容量及びサイクル安定性を向上させることが示唆される。以上の結果、本発明の陰極液及びバッテリー動作モードは液体フローバッテリーにも使用できることが示唆される。このため、大規模なグリッドエネルギー貯蔵にも適用されることが期待される。

Claims (16)

  1. 少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物を含有する、二次電池用正極活物質前駆体。
  2. 前記化合物が、一般式(1):
    Figure 2021125417
    [式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R11、R12、R13、R14及びR15の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
    で表されるピリジン化合物、
    一般式(2):
    Figure 2021125417
    [式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
    で表されるビピリジン化合物、及び
    一般式(3):
    Figure 2021125417
    [式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38の少なくとも一つは硫黄含有基である。nは2〜4の整数を示す。]
    で表されるピリジン環化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
  3. 前記硫黄含有基がチオール基又はその誘導体基である、請求項1又は2に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
  4. リチウムイオン二次電池用正極活物質前駆体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
  5. 少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物のリチウム化物を含有する、二次電池用正極活物質。
  6. 前記化合物が、一般式(1):
    Figure 2021125417
    [式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R11、R12、R13、R14及びR15の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
    で表されるピリジン化合物、
    一般式(2):
    Figure 2021125417
    [式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
    で表されるビピリジン化合物、及び
    一般式(3):
    Figure 2021125417
    [式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38の少なくとも一つは硫黄含有基である。nは2〜4の整数を示す。]
    で表されるピリジン環化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の二次電池用正極活物質。
  7. 前記硫黄含有基がチオール基又はその誘導体基である、請求項5又は6に記載の二次電池用正極活物質。
  8. リチウムイオン二次電池用正極活物質である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の二次電池用正極活物質。
  9. 少なくとも1個の硫黄含有基を有し、分子内に1個以上のピリジン骨格を有する化合物のリチウム化物を含有する、二次電池用陰極液。
  10. 前記化合物が、一般式(1):
    Figure 2021125417
    [式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R11、R12、R13、R14及びR15の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
    で表されるピリジン化合物、
    一般式(2):
    Figure 2021125417
    [式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28の少なくとも一つは硫黄含有基である。]
    で表されるビピリジン化合物、及び
    一般式(3):
    Figure 2021125417
    [式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38は、同一又は異なって、1価の基を示す。ただし、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37及びR38の少なくとも一つは硫黄含有基である。nは2〜4の整数を示す。]
    で表されるピリジン環化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項9に記載の二次電池用陰極液。
  11. 前記硫黄含有基がチオール基又はその誘導体基である、請求項9又は10に記載の二次電池用陰極液。
  12. リチウムイオン二次電池用正極液である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の二次電池用陰極液。
  13. 請求項5〜8のいずれか1項に記載の二次電池用正極活物質又は請求項9〜12のいずれか1項に記載の二次電池用陰極液を含有する、二次電池用正極。
  14. リチウムイオン二次電池用正極である、請求項13に記載の二次電池用正極。
  15. 請求項13又は14に記載の二次電池用正極を備える、二次電池。
  16. リチウムイオン二次電池である、請求項15に記載の二次電池。
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