JP2009301936A - 燃料電池発電装置及び燃料電池発電装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顧客負荷の負荷変動幅が小さい場合には、顧客負荷の負荷変動を相殺するようにヒータ負荷の負荷量を調整し、予備燃料及び水素ガスの流量は変更しない。顧客負荷の負荷が閾値を超えて増加したときは、増加分相当の予備燃料増加量ΔQだけ予備燃料流量を増量し、且つ、燃料電池に供給される改質ガスが、増量した予備燃料流量相当の改質ガス流量に達するまでの応答遅れに伴う改質ガスの不足分相当の追加流量Δqだけ、燃料電池に供給される水素ガスを一時的に増量する。結果的に改質ガスの不足分が水素ガスにより補われることと同等となり、負荷量の変動に対する発電電力の追従性を向上させることができる。このとき、改質ガスの不足分相当の水素ガスのみを供給しているため、水素ガスを過不足なく投入することができる。
【選択図】図5
Description
燃料電池の燃料としては都市ガスなどが用いられており、燃料として都市ガスを用いる場合には、都市ガスを水素リッチなガスに改質し、この改質ガスを燃料電池に供給している。
このため、負荷の負荷量の変動に伴い発電電流が変動したとしても、この発電電流に見合った流量の改質ガスが実際に燃料電池に供給されるまでには時間を要するため、結果的に燃料電池が燃料不足傾向となる可能性がある。
そこで、この発明は上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、不要な燃料投入を行うことなく、負荷変動に対する追従性向上を図ることの可能な燃料電池発電装置及び燃料電池発電装置の制御方法を提供することを目的としている。
しかしながら、改質手段に供給する原燃料の流量を増量すると共に、応答遅れによる改質ガスの不足量相当の水素ガスを直接燃料電池に供給しているため、結果的に改質ガスの不足分が水素ガスにより補われることと同等となり、負荷量の変動に対する発電電力の追従性を向上させることができる。このとき、投入する水素ガスは、応答遅れによる改質ガスの不足量相当だけ投入するようにしているため、過不足のない水素ガス投入を行うことができ、水素ガスの無駄な消費を回避することができる。
この発明によれば、都市ガスを用いて、電力系統と連系して負荷への電力供給を行う連系運転時の予め設定した期間に、都市ガスを改質して得た改質ガスを水素ガスとして水素ガス貯蔵手段に補充するため、水素ガス貯蔵手段の貯蔵量が零となることを回避することができる。また、水素ガス貯蔵手段への水素ガスの補充を、連系運転時の予め設定した期間に行い、例えば、夜間等負荷への電力供給量が比較的少ないときなどに行うことによって、改質ガスを流用したとしても負荷に対して影響を与えることなく、水素ガスを補充することができる。
また、請求項7に係る発明は、前記水素ガス貯蔵手段は、前記水素ガス生成機能を有し、前記燃料電池の発電過程で生成される燃料電池生成水と、酸化卑金属との化学反応により前記水素ガスを生成することを特徴としている。
しかしながら、改質手段に供給する原燃料の流量を増量すると共に、応答遅れによる改質ガスの不足量相当の水素ガスを直接燃料電池に供給しているため、結果的に改質ガスの不足分が水素ガスにより補われることと同等となり、負荷量の変動に対する発電電力の追従性を向上させることができる。このとき、投入する水素ガスは、応答遅れによる改質ガスの不足量相当だけを供給するようにしているため、過不足のない水素ガス投入を行うことができ、水素ガスの無駄な消費を回避することができる。
図1は、本発明を適用した燃料電池発電装置100の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、燃料電池発電装置100は、燃料電池により発電を行う電池部1と、電池部1で発電された直流電力を交流電力に変換するインバータ2と、燃料電池の負荷となる負荷全体の電力負荷調整用のヒータ負荷3と、燃料電池発電装置100内の図示しないブロワ等といった各種の補機負荷4と、燃料電池冷却用の図示しない冷却設備等といった外部冷却器負荷5と、燃料電池発電装置100全体を制御するコントローラ6と、コントローラ6に対して常時電力供給を行うための無停電電源装置等で構成される外部バッテリ6aと、を備える。
遮断器7と系統連系用遮断器8との間に、外部バッテリ6a、補機負荷4、外部冷却負荷5がそれぞれ直接接続される。さらに遮断器7と系統連系用遮断器8との間には、遮断器9を介してヒータ負荷3が接続されると共に、電力供給対象である顧客負荷22が、遮断器10を介して接続される。
改質器11は、供給される燃料ガスを、図示しないブロワから供給される燃焼ガス及び燃料電池12から排出される未反応水素を含む燃料オフガスを用いて水蒸気改質し、水素に富む水素リッチガスを生成する。
そして、必要に応じて遮断弁16a、流量制御弁16bを制御することにより、水素貯蔵器13に貯蔵された水素ガスを、水素ガスライン16を通じて燃料電池12に供給し、また改質器11からの改質ガスを水素貯蔵器13に導入する。
また、顧客負荷22と遮断器10との間には、顧客負荷22への供給電力量を検出する電力計22aが設けられている。また、燃料電池12の出力側には、発電電流を計測する電流センサ12aが設けられている。
これら電力計22a及び電流センサ12aの検出値は、コントローラ6に供給される。
なお、図2は、改質器11に供給する予備燃料の流量を制御する処理の処理手順を示す。図3は、ヒータ負荷3の負荷量を制御する処理の処理手順を示す。図4は、水素貯蔵器13から燃料電池12に供給する水素ガスの流量を制御する処理手順を示す。
これによって、燃料電池12において過不足のない発電が行われ、顧客負荷22や各種負荷に対して各負荷で要求する電力量相当の電力供給が行われる。
この自立運転中、コントローラ6は、図2のフローチャートに示す手順にしたがって、改質器11に供給される予備燃料の流量制御を行う。
すなわち、まず、ステップS1で、電力計22aの検出値を読み込み、ステップS2に移行して、電力計22aの検出値に基づき、顧客負荷22の消費電力が前回値よりも閾値以上増加しているか否かを判断する。
そして、顧客負荷22の負荷量の変動幅が比較的小さく閾値を下回る場合には、ステップS2からステップS3に移行し、予備燃料の流量を変更せず、予備燃料の流量制御弁15bの開度はそのままを維持する。このため、顧客負荷22の負荷量の変動が小さい間は、予備燃料の流量制御弁15bの開度は一定に維持され、一定量の予備燃料が改質器11に供給される。
この水素ガスの流量制御では、図3に示すヒータ負荷制御のステップS21及びステップS22の処理と同様に、電力計22aの検出値を読み込み(ステップS31)、この検出値に基づき、顧客負荷22の負荷量が閾値以上増加しているかを判断する(ステップS32)。そして、顧客負荷22の負荷量が閾値以上増加していなければ、ステップS33に移行し、予め設定した前述の余剰流量q1を水素ガスの目標流量qとし、燃料電池12に供給される水素ガスの流量が目標流量q(=q1)となるように水素ガスの流量制御弁16bを調整する。このため、顧客負荷22の負荷量の変動が小さいか、顧客負荷22の負荷量が減少する間は、燃料電池12への水素ガスの流量は、余剰流量q1相当となるように制御されることになる。
さらに、コントローラ6では、図4の水素ガス流量制御を行い、顧客負荷22の負荷量の変動分が閾値を超えていることから、ステップS31からステップS32を経てステップS35に移行し、顧客負荷22の負荷量の増加に対する水素ガスの追加流量Δqを算出する。
ここで、予備燃料として、例えばLPGガスを用いた場合、LPGガスの改質反応式は、次式(1)で表すことができる。
C3H8+6H2O→10H2+3CO2 ……(1)
したがって、単純に同モル量で計算すると、同一量の水素ガスを得るためには、LPGガスの容量に対して10倍の容量の水素ガスが必要となる。
このため、例えば、予備燃料増加量ΔQ〔m3/h(normal)〕を“5〔m3/h(normal)〕”とすると、“5〔m3/h(normal)〕”で投入される予備燃料から得られる改質ガスと同一量の水素ガスを投入するためには、その10倍の、5×10〔m3/h(normal)〕で水素ガスを投入する必要がある。したがって、応答時間を例えば、10秒とすると、10秒間に投入される予備燃料から得られる改質ガスと同量の水素ガスを投入するためには、5×10〔m3/h(normal)〕×10秒=約0.14m3(140L)の水素ガスが必要となる。
したがって、改質ガスの不足量Eqを補うためには、約0.14m3(140L)の水素ガスを投入すればよいことになる。
そして、ステップS36に移行し、水素ガスの追加流量Δqと、前述の余剰流量q1との和を目標流量q(=q1+Δq)とし、燃料電池12に供給される水素ガスの流量が、目標流量qとなるように水素ガスの流量制御弁16bの開度を制御する。
これにより、燃料電池12に供給される水素ガスの流量は、図5(d)に示すように、給電負荷22の負荷量が増加した後、余剰流量q1相当から一時的に増加した後、余剰流量q1に収束することになる。
つまり、時点t0から時点t4間は、燃料電池12の発電出力は、顧客負荷22を含む電力負荷全体で必要とする電力量よりも少ないことになり、すなわち、この時点t0〜t4間は、燃料電池12が燃料不足傾向となることになる。
また、このとき、水素ガスの追加流量Δq1として、図5(c)に斜線で示す、予備燃料の不足分に相当する不足量Eq相当に設定し、水素ガスを不足量Eq相当だけ導入するようにしているため、必要以上に水素ガスを導入することはない。このため、燃料電池12に供給される燃料ガスが過多となり燃料電池12本体の温度上昇等が生じ、燃料電池12本体に影響を与えることを回避することができる。
また、顧客負荷22の負荷量の増加に伴い、予備燃料及び水素ガスを増量するだけでなく、ヒータ負荷3の負荷量を所定量だけ低減している。このため、顧客負荷22の負荷量の増加に伴う発電電力の不足分を、予備燃料及び水素ガスのみにより補う場合に比較して、予備燃料及び水素ガスの流量増加分は少なくてすむ。したがって、顧客負荷22の負荷量の増加により消費される予備燃料及び水素ガスの流量を削減することができ、ガスボンベ等に貯蔵される予備燃料や水素貯蔵器13に貯蔵される水素ガスといった、限りある資源の使用量を低減することができ、その分、予備燃料や水素ガスの貯蔵量が零に達する時点を遅らせることができる。
また、顧客負荷22の負荷量の変動が比較的小さい場合には、予備燃料の増量は行わず、ヒータ負荷3の負荷量を変更することで対応しているため、その分、予備燃料の消費を低減することができる。
特に、自立運転時には、予備燃料を用いて電池発電を行っているため、このように予備燃料の消費量を低減することは、自立運転が可能な時間を延長することになるため、効果的である。
また、図2のステップS12で、予備燃料増加量ΔQを算出する処理が原燃料増流量演算手段に対応し、図4のステップS35で、追加投入量Δqを算出する処理が燃料不足量演算手段に対応している。
また、ヒータ負荷3が調整用負荷に対応し、図3のヒータ負荷制御処理が負荷量調整手段に対応している。
2 インバータ
3 ヒータ負荷
4 補機負荷
5 外部冷却器負荷
6 コントローラ
11 改質器
12 燃料電池
12a 電流センサ
13 水素貯蔵器
21 電力系統
22 給電負荷
22a 電力計
100 燃料電池発電装置
Claims (8)
- 供給される原燃料を水素リッチなガスに改質しこの改質ガスを燃料電池に供給する改質手段と、
水素ガスが貯蔵される水素ガス貯蔵手段と、
負荷で必要とする電力に見合った発電を行うように前記改質手段に供給する原燃料の流量を制御すると共に、前記水素ガスを前記燃料電池に供給する燃料制御手段と、を有し、
前記燃料電池の発電電力のみにより前記負荷への供給電力を賄う自立運転を行う燃料電池発電装置において、
前記負荷の負荷量を検出する負荷量検出手段と、
前記負荷量検出手段の検出値に基づき前記負荷の負荷量が予め設定した閾値以上増加したことを検出したとき、前記負荷量の増加分相当だけ前記燃料電池の発電出力を増加させるために必要な前記原燃料の流量を演算する原燃料増流量演算手段と、
前記燃料電池に実際に供給される前記改質ガスの流量が、前記原燃料増流量演算手段で演算された原燃料増流量だけ増量された原燃料相当の改質ガス流量に達するまでの間の、前記燃料電池に実際に供給される改質ガスの流量と前記増量された原燃料相当の改質ガス流量との差分の積分値に相当する燃料不足量を演算する燃料不足量演算手段と、を備え、
前記燃料制御手段は、
前記負荷量検出手段の検出値に基づき前記負荷の負荷量が前記閾値以上増加したことを検出したとき、前記原燃料増流量演算手段で演算された前記原燃料増流量相当だけ前記改質手段に供給する原燃料の流量を増量すると共に、前記燃料電池に供給する前記水素ガスの流量を前記燃料不足量相当だけ一時的に増量することを特徴とする燃料電池発電装置。 - 前記燃料不足量演算手段は、前記原燃料増流量と、前記原燃料の増量が開始された時点から増量された原燃料相当の改質ガスが前記燃料電池に達するまでの予測される所要時間と、前記燃料電池での燃料電池発電における前記原燃料及び前記水素ガス中の水素使用量の比と、に基づき前記燃料不足量を推測することを特徴とする請求項1記載の燃料電池発電装置。
- 負荷量を調整可能な調整用負荷と、
前記負荷量検出手段で検出される前記負荷量と前記調整用負荷の負荷量との和が一定となるように前記調整用負荷の負荷量を調整する負荷量調整手段と、を備え、
前記原燃料増流量演算手段は、前記負荷の負荷量が予め設定した閾値以上増加したときには前記負荷量の増加量から前記負荷量調整手段による前記調整用負荷の調整量を減算した差分相当だけ前記燃料電池の発電出力を増加させるために必要な前記原燃料の流量を演算し、
前記燃料制御手段は、前記負荷の負荷量の変動量が前記閾値よりも小さいときには、前記原燃料及び前記水素ガスの流量を保持することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料電池発電装置。 - 前記燃料電池に対し、前記負荷で必要とする電力に見合った流量と予め設定した余裕代との和相当の燃料を供給する燃料電池発電装置であって、
前記燃料制御手段は、前記負荷で必要とする電力に見合った流量の前記原燃料を前記改質手段に供給し、且つ前記余裕代相当の前記水素ガスを前記燃料電池に供給することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の燃料電池発電装置。 - 電力系統と連系して前記負荷に電力供給を行う連系運転を行い、且つ連系運転時には都市ガスを前記原燃料として用いる燃料電池発電装置であって、
前記連系運転時の予め設定した期間に、前記改質手段で改質された改質ガスを、前記水素ガスとして前記水素ガス貯蔵手段に補充することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の燃料電池発電装置。 - 前記水素ガス貯蔵手段は、水素ガスを貯蔵する水素ガス貯蔵機能及び水素ガスを生成する水素ガス生成機能の少なくとも何れか一方を有することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の燃料電池発電装置。
- 前記水素ガス貯蔵手段は、前記水素ガス生成機能を有し、前記燃料電池の発電過程で生成される燃料電池生成水と、酸化卑金属との化学反応により前記水素ガスを生成することを特徴とする請求項6記載の燃料電池発電装置。
- 供給される原燃料を水素リッチなガスに改質しこの改質ガスを燃料電池に供給する改質手段と、
水素ガスが貯蔵される水素ガス貯蔵手段と、を備え、
負荷で必要とする電力に見合った電力発電を行うように前記改質手段に供給する原燃料の流量を制御すると共に、前記水素ガスを前記燃料電池に供給して、燃料電池の発電電力のみにより前記負荷への供給電力を賄う自立運転を行う燃料電池発電装置の制御方法において、
前記負荷の負荷量が予め設定した閾値以上増加したときには、前記負荷量の増加分相当だけ前記燃料電池の発電出力を増加させるように前記改質手段に供給する前記原燃料の流量を増量し、且つ、前記燃料電池に実際に供給される前記改質ガスの流量が、前記原燃料増流量演算手段で演算された原燃料増流量だけ増量された原燃料相当の改質ガス流量に達するまでの間の、前記燃料電池に実際に供給される改質ガスの流量と前記増量された原燃料相当の改質ガス流量との差分の積分値に相当する燃料不足量相当だけ、前記燃料電池に供給する水素ガスの流量を一時的に増加することを特徴とする燃料電池発電装置の制御方法。
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