JP2009300881A - 位相差顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な操作で位相差のコントラストとハローを変化させ、さまざまな標本で最も適した位相差観察をすることができる位相差顕微鏡を提供する。
【解決手段】照明光学系の瞳位置に置かれた開口板3と、結像光学系の瞳位置に置かれた位相板6を備えた位相差顕微鏡において、開口板3は光軸に対して不連続回転対称の開口を持ち、位相板6は光軸に対して不連続回転対称の輪帯幅を持つ輪帯形状のλ/4位相膜8を持ち、開口を光軸に対して回転させることによって位相差効果を変化させる。
【選択図】図2

Description

本発明は位相差顕微鏡の技術に関する。
従来から、ほぼ透明に近い生細胞を染色せずに観察する方法として、位相差顕微鏡が知られている。位相差顕微鏡では標本の屈折率の変化である位相分布を透過光と回折光の再回折を使って可視化している。位相分布を持つ標本からは透過光(0次回折光)とλ/4位相のズレをもつ回折光(1次回折光)が発生している。これらの透過光と回折光は通常の再回折では可視化されないのだが、位相差顕微鏡ではコンデンサレンズの瞳位置に備えられた開口と対物レンズの瞳位置に備えられた位相膜とを共役の関係に配置することによって、位相分布を可視化する。
このとき、生細胞は種類によって厚み及び屈折率が異なるため、最適な開口と位相膜とのセッティングが異なっている。ところが、対物レンズに備えられた位相膜は対物レンズの内部に配置されるために、位相板を標本に応じて調整することは難しい。
この困難さに対して、例えば特許文献1では、通常はリング状のスリットを幾つかの円弧状のスリットに分解し、対応する位相板では透過率が異なるリング状位相膜とする。そして、この開口と位相膜との光軸方向の相対的角度を変えることによって、開口と位相膜とのセッティングを変える技術が開示されている。この構成によれば、開口の回転によってコントラストを可変にすることができ、標本に応じた最適な観察が実施できる。
ところが、位相差顕微鏡における観察の妨げになる要因はコントラストだけに限らず、ハローと呼ばれる、像の周囲に現れる光の滲みが知られている。また、厚い標本ではハローは位相膜の近くを通る回折光とは異なる光により発生することが解っており、このハロー現象が生じると標本の細部が覆い隠され、観察精度を著しく低下させてしまう。
位相差顕微鏡におけるハロー対策として、特許文献2による方法が知られている。特許文献2では、リング状の位相膜の周りに半透膜を設けた位相板を用いることによってハローが低減できることを開示している。
また、位相差顕微鏡におけるハローはコンデンサレンズの開口と対物レンズの位相膜の膜幅の余裕量により決まるが、前述したように、位相差顕微鏡では位相膜が対物レンズ内に配置されているため、膜幅余裕を簡単には変えることはできなかった。
特公昭26−001083号公報 特開2000−19410号公報
上記の問題に鑑み、簡単な操作で位相差のコントラストとハローを変化させ、さまざまな標本で最も適した位相差観察をすることができる位相差顕微鏡を提供する。
本発明の上記の課題は、照明光学系の瞳位置に置かれた開口板と、結像光学系の瞳位置に置かれた位相板とを備えた位相差顕微鏡において、前記開口板は光軸に対して不連続回転対称の開口を持ち、前記位相板は光軸に対して不連続回転対称の輪帯幅を持つ輪帯形状のλ/4位相膜を持ち、前記開口を光軸に対して回転させることによって位相差効果を変化させることによって解決される。
あるいは、照明光学系の瞳位置に置かれた開口板と、結像光学系の瞳位置に置かれた位相板とを備えた位相差顕微鏡において、前記開口板は光軸に対して不連続回転対称の開口を持ち、前記位相板は光軸を中心とした輪帯形状のλ/4位相膜と、該位相膜の周囲の不連続回転対称の半透膜を持ち、前記開口を回転させることによって位相差効果を変化させることによっても解決される。
あるいは、照明光学系の瞳位置に置かれた開口板と、結像光学系の瞳位置に置かれた位相板とを備えた位相差顕微鏡において、前記開口板は光軸に対して不連続回転対称の開口を持ち、前記位相板は光軸を中心とした輪帯形状のλ/4位相膜と、該位相膜の周囲の不連続回転対称のλ/4ではない位相膜を持ち、前記開口を回転させることによって位相差効果を変化させることによっても解決される。
ここに不連続回転対称とは、例えば1/2回転や1/3回転などのように回転させたときに離散的に一致する対称性のことを表す。
このとき、前記開口は円弧状開口を同一円周上に配置する構成が考えられる。
あるいは、前記開口板は、複数の円弧状の偏光板を偏光方向が直交するように交互に繋げて構成した輪帯開口を持ち、前記開口は少なくとも前記輪帯開口を覆うような大きさを持った回転用偏光板を前記開口に重ね合わせることによって実現され、前記回転用偏光板を回転させることによって前記開口を実質的に回転させる構成も好ましい。
本発明の位相板は、前記位相膜あるいは前記半透膜を区別せずに変調膜と呼び、前記変調膜の半径方向の最大膜幅をPmaxとし、最小膜幅をPminとし、前記位相板の有効半径をRとしたときに、以下の条件式を満たすことが好ましい。
3/2 < Pmax/Pmin ・・・(1)
Pmax/R < 1/3 ・・・(2)
上記の条件式(1)を外れてしまうと、コントラストとハローの変化量が小さくなってしまう。また、上記の条件式(2)を外れてしまうとコントラストの低下が大きい。
上記の条件式(1)は、様々な細胞でのコントラストとハローの最適な位相差効果の範囲を示すものである。細胞の厚みはその種類により大きく異なり、コントラストと葉ローを最適にするために位相膜の幅を大きく変えなければならない。条件式(1)を外れるとコントラストとハローの変化量が小さくなってしまい、多くの種類の細胞で最適なコントラストとハローを得ることが出来なくなる。
上記条件式(2)は十分なコントラストの得られる範囲を示すものである。位相差のコントラストを変化させる要因の一つに瞳の面積に対する位相膜の面積がある。位相差観察では位相膜を通過する照明光と位相膜外を通過する回折光との干渉によりコントラストを得るために、瞳の面積に対する位相膜の面積でコントラストが異なり、位相膜の面積が少ない方が高いコントラストを得られる。条件式(2)を外れるとコントラストが低くなり、特に厚さの薄い細胞では十分なコントラストが得られない。
本発明によれば、簡単な操作で位相差のコントラストとハローを変化させ、さまざまな標本で最も適した位相差観察をすることができる位相差顕微鏡が提供される。
以下では、図面を参照しながら本発明の実施の形態例について述べる。
図1は本発明を実施する位相差顕微鏡を概略的に説明する図である。
この位相差顕微鏡では、光源部1から射出された照明光を、コンデンサレンズ2の前側焦点位置(照明光学系の瞳位置)に置かれた開口板3によって制限し、標本4に照射する。このとき、標本4の屈折率分布によって、照射された照明光は直接光(実線)と回折光(破線)とに分離され、対物レンズ5に入射する。その後、直接光と回折光とは対物レンズ5の後側焦点位置(結像光学系の瞳位置)に配置された位相板6を透過し、結像面7に結像する。なお、同図では省略されているが、一般的な位相差顕微鏡は無限遠補正型の対物レンズを用いているので、結像レンズを別途用いて結像させる。
ここで、標本4からの直接光は位相板6中のλ/4位相膜8を透過し、位相が1/4波長ずれるように構成する。このとき、プラス方向に1/4波長ずらしたものをポジティブコントラストといい、マイナス方向に1/4波長ずらしたものをネガティブコントラストという。ポジティブコントラストでは媒質よりも屈折率が高い標本が黒く可視化され、ネガティブコントラストでは媒質よりも屈折率が高い標本が白く可視化される。また、結像面7で直接光と回折光を効果的に干渉させるために、λ/4位相膜8は透過率が10%から25%程度の半透膜を重ねて、直接光と回折光の振幅がほぼ等しくなるように設定する。
なお同図では対物レンズ5が概略的に一枚のレンズによって代表されているが、実際の一般的な対物レンズでは複数のレンズを組み合わせて構成され、そのときの後側焦点位置は対物レンズの中にある。そしてそれ故に、後側焦点位置に配置された位相板6を交換することは非常に難しいこととなっている。
以下では、本願発明の実施による開口板3と位相板6の構成の例について説明する。
図2は本発明の第一の実施例を表し、特に(a)は第一の実施例における位相板6の構成を図示し、(b)は第一の実施例における開口板3の構成を図示している。本実施例は10倍の位相差対物レンズとこれに対応した位相差コンデンサレンズを用いたものである。図2の(a)に示される位相版6は位相差対物レンズの瞳位置に配置され、図2の(b)に示される開口板3は位相差コンデンサレンズの瞳位置に配置される。このときの瞳投影倍率は0.5倍である。
本実施例における位相板6は光軸に対して不連続回転対称の輪帯幅を持つ輪帯形状のλ/4位相膜8を備える。図2(a)では不連続回転対称の中で特に1/3回転対称の輪帯形状の例を斜格子領域で図示している。本図に示された実施例は、有効半径が3.6mmである位相板6上に、狭帯部0.375mmであり広帯部が0.6mmである輪帯形状の位相膜8を構成している。すなわち、本実施例では最大膜幅部が0.6mmであり、最小膜幅部が0.375mmである。
この位相板6は先述の条件式(1)と(2)を満たしていることが解る。実際、Pmax/Pmin=1.6であり、Pmax/R=0.167であることが容易に計算できる。
このλ/4位相膜8は透過率が15%程度に設計され、回折光の振幅とほぼ等しくなるように直接光を減光している。
本実施例の開口板3は、λ/4位相膜8と対応が取れるように、光軸に関して1/3回転対称の開口となっている。特に本図では円弧状の開口を同一円周上に3箇所配置したことによって構成している。本実施例の開口板3では、円弧状の開口幅は0.75mmである。なお、本発明の実施には本図の円弧状の開口に限らず、円状や楕円状の開口を配置することによって不連続回転対称を構成しても良い。
また、本構成の開口板3と位相板6との関係は、円弧状の開口が位相板6に投影された場合に、その開口の開口幅がλ/4位相膜8の膜幅の最も細い部分よりも細くなるように設定する。そうすることによって、直接光が必ずλ/4位相膜8を透過するような構成となる。なお、本実施例では、円弧状の開口幅は0.75mmであり、瞳投影倍率が0.5倍であることから、この条件を満たしていることが解る。
本実施例では、コンデンサレンズ2の前側焦点位置に配置された開口板3を光軸に対して回転させることによって、開口板3とλ/4位相膜8の相対的角度を変えて、位相差効果を変化させる。λ/4位相膜8の膜幅が開口の開口幅よりも比較的大きい(余裕量が大きい)ときはハローが小さくコントラストも小さい結像となり、逆にλ/4位相膜8の膜幅が開口の開口幅とほぼ等しい(余裕量が小さい)ときはハローが大きくコントラストも大きい位相差効果となる。 なお、本構成において、開口板3を連続的に回転させることができる。このとき、開口と位相膜の相対的関係は連続的に変化し、位相差観察による結像も連続的に変化する。
図7と図8に示される顕微鏡写真は本実施例による位相差顕微鏡によって取得されたものである。
図7は本実施例による位相差顕微鏡によってHela細胞を撮影したものである。撮影条件は、(a)が開口板3の開口部が位相板6の狭帯部に投影される状態で撮影されたものであり、(b)が開口板3の開口部が位相板6の広帯部に投影される状態で撮影されたものである。(a)と(b)の両顕微鏡写真を比較すると解るように、(b)の撮影条件の方はハローが少なく細部の構造が観察できる。
図8は本実施例による位相差顕微鏡によってPTK2細胞を撮影したものである。撮影条件は、(a)が開口板3の開口部が位相板6の狭帯部に投影される状態で撮影されたものであり、(b)が開口板3の開口部が位相板6の広帯部に投影される状態で撮影されたものである。(a)と(b)の両顕微鏡写真を比較すると解るように、(a)の撮影条件の方はコントラストが大きく細胞核などがより強調されている。
図3は本発明の第二の実施例を表し、特に(a)は第二の実施例における位相板6の構成を図示し、(b)は第二の実施例における開口板3の構成を図示している。本実施例は10倍の位相差対物レンズとこれに対応した位相差コンデンサレンズを用いたものである。図3の(a)に示される位相版6は位相差対物レンズの瞳位置に配置され、図3の(b)に示される開口板3は位相差コンデンサレンズの瞳位置に配置される。このときの瞳投影倍率は0.5倍である。
本実施例も実施例1と同様に、位相板6は光軸に対して不連続回転対称の輪帯幅を持つ輪帯形状のλ/4位相膜8を備え、開口板3も光軸に対して不連続回転対称の開口を持っている。
本図に示された実施例は、有効半径が3.6mmである位相板6上に、最小膜幅部0.375mmであり最大膜幅部が0.6mmである輪帯形状の位相膜8を構成している。また、本実施例の開口板3では、円弧状の開口幅は0.75mmである。
本実施例と実施例1の違いは、本実施例では4分の1回転の不連続回転対称となっていることと、斜格子領域で図示しているλ/4位相膜8の膜幅が滑らかに変化している点である。
本実施例の位相板6は先述の条件式(1)と(2)を満たしていることが解る。実際、Pmax/Pmin=2.667であり、Pmax/R=0.278であることが容易に計算できる。
すなわち、実施例1でも結像を連続的に変化させることができるが、本実施例ではさらに結像を滑らかに変化させることができる。すなわち位相差効果の微調整する際に好適である。
その他の構成及び作用に関しては実施例1と同様なので、ここでは省略することとする。
図4は本発明の第三の実施例を表し、特に(a)は第三の実施例における位相板6の構成を図示し、(b)は第三の実施例における開口板3の構成を図示している。本実施例は10倍の位相差対物レンズとこれに対応した位相差コンデンサレンズを用いたものである。図4の(a)に示される位相版6は位相差対物レンズの瞳位置に配置され、図4の(b)に示される開口板3は位相差コンデンサレンズの瞳位置に配置される。このときの瞳投影倍率は0.5倍である。
本実施例における位相板6は光軸に対して回転対称の輪帯幅を持つ輪帯形状のλ/4位相膜8(斜格子領域で図示)を備え、その周囲に半透膜9(グレーで図示)複数備えることによって、不連続回転対称の位相板を構成する。同図ではλ/4位相膜8の輪帯の内側と外側の両方に円周6等分の交互領域に半透膜を配置することによって、1/3回転対称の不連続回転対称を実現している。なお、本実施例のλ/4位相膜8の上(あるいは下)にも透過率が20%程度の半透膜が重ねられ、直接光を減光している。
本図に示された実施例は、有効半径が3.6mmである位相板6上に、0.375mmの輪帯幅を持つ輪帯形状のλ/4位相膜8を配置し、この輪帯の内側と外側の両方に円周6等分の交互領域に0.3125mmの幅の半透膜を配置している。すなわち、本実施例では最大膜幅部が1mmであり、最小膜幅部が0.375mmである。
本実施例の位相板6は先述の条件式(1)と(2)を満たしていることが解る。実際、Pmax/Pmin=2.667であり、Pmax/R=0.278であることが容易に計算できる。 位相板6に対応して開口板3は、円弧状の開口を同一円周上に3箇所配置したことによって1/3回転の不連続回転対称を構成している。なお、本実施例の開口板3では、円弧状の開口幅は0.75mmである。なお本実施でも、円状や楕円状の開口を配置することによって不連続回転対称を構成しても良い。
本構成によれば、開口を通過した直接光が、周囲に半透膜を備えたλ/4位相膜8の領域に到達する状態の時にハローの低減効果を有する。
なお、本構成においても、開口板3を連続的に回転させることができる。このとき、開口と位相膜の相対的関係は連続的に変化し、位相差観察による位相差効果も連続的に変化する。
図5は本発明の第四の実施例を表し、特に(a)は第四の実施例における位相板6の構成を図示し、(b)は第四の実施例における開口板3の構成を図示している。本実施例は10倍の位相差対物レンズとこれに対応した位相差コンデンサレンズを用いたものである。図5の(a)に示される位相版6は位相差対物レンズの瞳位置に配置され、図5の(b)に示される開口板3は位相差コンデンサレンズの瞳位置に配置される。このときの瞳投影倍率は0.5倍である。
本実施例における位相板6は光軸に対して回転対称の輪帯幅を持つ輪帯形状のλ/4位相膜8(斜格子領域で図示)を備え、その周囲に位相変調の異なる(λ/4ではない)位相膜10(砂模様領域で図示)を複数備えることによって、不連続回転対称の位相板を構成する。同図ではλ/4位相膜8の輪帯の内側と外側の両方に円周6等分の交互領域に半透膜を配置することによって、1/3回転の不連続回転対称を実現している。なお、本実施例のλ/4位相膜8も透過率が15%程度に設計され、回折光の振幅とほぼ等しくなるように直接光を減光している。
本図に示された実施例は、有効半径が3.6mmである位相板6上に、0.375mmの輪帯幅を持つ輪帯形状のλ/4位相膜8を配置し、この輪帯の内側と外側の両方に円周6等分の交互領域に0.1925mmの幅の位相変調の異なる位相膜10を配置している。すなわち、本実施例では最大膜幅部が0.75mmであり、最小膜幅部が0.375mmである。
本実施例の位相板6は先述の条件式(1)と(2)を満たしていることが解る。実際、Pmax/Pmin=2.054であり、Pmax/R=0.208であることが容易に計算できる。
位相板6に対応して開口板3は、円弧状の開口を同一円周上に3箇所配置したことによって1/3回転の不連続回転対称を構成している。なお、本実施例の開口板3では、円弧状の開口幅は0.75mmである。なお本実施でも、円状や楕円状の開口を配置することによって不連続回転対称を構成しても良い。
本構成によれば、開口を通過した直接光が、周囲に位相膜10を備えたλ/4位相膜8の領域に到達する状態の時にハローの低減効果を有する。
なお、本構成においても、開口板3を連続的に回転させることができる。このとき、開口と位相膜の相対的関係は連続的に変化し、位相差観察による位相差効果も連続的に変化する。
図6は本発明の第五の実施例を表し、特に(a)は第五の実施例における位相板6の構成を図示し、(b)は第五の実施例における開口板3の構成を図示している。本実施例は10倍の位相差対物レンズとこれに対応した位相差コンデンサレンズを用いたものである。図6の(a)に示される位相版6は位相差対物レンズの瞳位置に配置され、図6の(b)に示される開口板3は位相差コンデンサレンズの瞳位置に配置される。このときの瞳投影倍率は0.5倍である。
本実施例における位相板6は光軸に対して回転対称の輪帯幅を持つ輪帯形状のλ/4位相膜8(斜格子領域で図示)を備え、その周囲に半透膜9(グレーで図示)複数備えることによって、不連続回転対称の位相板を構成する。すなわち、実施例3とほぼ同様であり、違いは本実施例が4/1回転対称の不連続回転対称であることである。
本図に示された実施例は、有効半径が3.6mmである位相板6上に、0.375mmの輪帯幅を持つ輪帯形状のλ/4位相膜8を配置し、この輪帯の内側と外側の両方に円周6等分の交互領域に0.3125mmの幅の半透膜を配置している。すなわち、本実施例では最大膜幅部が1mmであり、最小膜幅部が0.375mmである。
本実施例の位相板6は先述の条件式(1)と(2)を満たしていることが解る。実際、Pmax/Pmin=2.667であり、Pmax/R=0.278であることが容易に計算できる。
一方で、本実施例では開口板3の構成が大きく異なる。本実施例の開口板3では円弧状の偏光板11を偏光方向が直交するように交互に繋げて輪帯にした開口を持つ。なお、本実施例の開口板3では、輪帯状の開口幅は0.75mmである。また、回転用偏光板12は、少なくとも、この輪帯開口を覆うような大きさを有しており、この回転用偏光板12を開口板3に重ね合わせることによって実効的な開口を作る。すなわち、円弧状の偏光板11の中で回転用偏光板12と偏光面があっている照明光のみが透過することで開口ができている。
本構成によれば、開口板3を回転させずに、回転用偏光板12を回転させることによって、開口を実質的に回転させることができる。このとき、回転用偏光板12は中心を持たない形状であるので、回転時に心合わせがずれる心配がない。
なお、本実施例では位相板6に対応する形態を実施例3に相当するものとしたが、本発明の実施にはこれに限らずに、実施例1から実施例4に相当する位相板6を考えることができる。
本発明を実施する位相差顕微鏡の概略図である。 第一の実施例の位相板と開口板の図である。 第二の実施例の位相板と開口板の図である。 第三の実施例の位相板と開口板の図である。 第四の実施例の位相板と開口板の図である。 第五の実施例の位相板と開口板の図である。 本発明の実施による位相差顕微鏡で撮影したHela細胞の顕微鏡写真である。 本発明の実施による位相差顕微鏡で撮影したPTK2細胞の顕微鏡写真である。
符号の説明
1・・・光源部
2・・・コンデンサレンズ
3・・・開口板
4・・・標本
5・・・対物レンズ
6・・・位相板
7・・・結像面
8・・・λ/4位相膜
9・・・半透膜
10・・・位相膜
11・・・偏光板
12・・・回転用偏光板

Claims (6)

  1. 照明光学系の瞳位置に置かれた開口板と、結像光学系の瞳位置に置かれた位相板とを備えた位相差顕微鏡において、
    前記開口板は光軸に対して不連続回転対称の開口を持ち、
    前記位相板は光軸に対して不連続回転対称の輪帯幅を持つ輪帯形状のλ/4位相膜を持ち、
    前記開口を光軸に対して回転させることによって位相差効果を変化させることを特徴とする位相差顕微鏡。
  2. 照明光学系の瞳位置に置かれた開口板と、結像光学系の瞳位置に置かれた位相板とを備えた位相差顕微鏡において、
    前記開口板は光軸に対して不連続回転対称の開口を持ち、
    前記位相板は光軸を中心とした輪帯形状のλ/4位相膜と、該位相膜の周囲の不連続回転対称の半透膜とを持ち、
    前記開口を回転させることによって位相差効果を変化させることを特徴とする位相差顕微鏡。
  3. 照明光学系の瞳位置に置かれた開口板と、結像光学系の瞳位置に置かれた位相板とを備えた位相差顕微鏡において、
    前記開口板は光軸に対して不連続回転対称の開口を持ち、
    前記位相板は光軸を中心とした輪帯形状のλ/4位相膜と、前記位相膜の周辺の不連続回転対称のλ/4ではない位相膜を持ち、
    前記開口を回転させることによって位相差効果を変化させることを特徴とする位相差顕微鏡。
  4. 前記開口は円弧状開口を同一円周上に配置したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の位相差顕微鏡。
  5. 前記開口板は、複数の円弧状の偏光板を偏光方向が直交するように交互に繋げて構成した輪帯開口を持ち、
    前記開口は、少なくとも前記輪帯開口を覆うような大きさを持った回転用偏光板を前記開口板に重ね合わせることによって実現され、
    前記回転用偏光板を回転させることによって前記開口を実質的に回転させることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の位相差顕微鏡。
  6. 前記位相膜あるいは前記半透膜を区別せずに変調膜と呼び、
    前記変調膜の半径方向の最大膜幅をPmaxとし、最小膜幅をPminとし、
    前記位相板の有効半径をRとしたときに、以下の条件式
    3/2 < Pmax/Pmin ・・・(1)
    Pmax/R < 1/3 ・・・(2)
    を満たすことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の位相差顕微鏡。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103197411A (zh) * 2013-03-20 2013-07-10 中国科学院苏州生物医学工程技术研究所 一种位相板组件及可变景深的显微镜系统

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CN103197411A (zh) * 2013-03-20 2013-07-10 中国科学院苏州生物医学工程技术研究所 一种位相板组件及可变景深的显微镜系统

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