JP2009299562A - 横軸ポンプの軸封装置の保護機構 - Google Patents

横軸ポンプの軸封装置の保護機構 Download PDF

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Abstract

【課題】注油型の軸封装置から漏洩した油が環境中の水へ混入するのを防止するとともに、気中運転時に軸封装置の冷却が可能な横軸ポンプの軸封装置の保護機構を提供する。
【解決手段】横軸ポンプ2の軸封装置の保護機構1において、ポンプ主軸10を軸封する注油型の軸封装置12のインペラ9側にポンプ主軸10が貫通するように設けられ、ポンプ主軸10により駆動される攪拌部材53,54が配置された油溜まり部57と、軸封装置12と油溜まり部57の間に設けられ、ポンプ主軸10により駆動されるはねかけ部材51と、はねかけ部材51のインペラ9側のねじシール52とが配置された水貯め部56と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は横軸ポンプの軸封装置の保護機構に関するものである。
特許文献1に示すように、ポンプ主軸が吸込ケーシングを貫通する位置に軸封部を有する横軸ポンプが知られている。横軸ポンプの軸封部では潤滑や冷却のために油を使用しているが、軸封部は完全な密閉構造とはなっておらず油は漏洩する。軸封部から漏洩した油は、ポンプで使用する水に直接混入し、その混入水が環境中に放出されると自然界に及ぼす影響が大きい。しかしながら、従来の横軸ポンプでは、軸封部から油が環境中へ直接流出することを防止する策はとられていなかった。
メンテナンスのためにポンプケーシング内に水がない状態で30分程度横軸ポンプの管理運転を行う必要があるが、軸封部としてのメカニカルシールに注油していても、10分程度でメカニカルシールの温度は許容範囲の75℃にまで達する。このような許容範囲を超えた状態で管理運転を続行すると、メカニカルシールの寿命を短縮してしまうという問題があった。
特開平10−238493号公報
本発明は、注油型の軸封装置から漏洩した油が環境中の水へ混入するのを防止するとともに、気中運転時に軸封装置の冷却が可能な横軸ポンプの軸封装置の保護機構を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明の横軸ポンプの軸封装置の保護機構は、横軸ポンプの軸封装置の保護機構において、ポンプ主軸を軸封する注油型の軸封装置のインペラ側に前記ポンプ主軸が貫通するように設けられ、前記ポンプ主軸により駆動される攪拌部材が配置された油溜まり部と、前記軸封装置と前記油溜まり部の間に設けられ、前記ポンプ主軸により駆動されるはねかけ部材と、前記はねかけ部材の前記インペラ側のねじシールとが配置された水貯め部と、を備えるようにしている。
この構成により、軸封装置から漏洩した油がインペラ側へ流出するのを水貯め部のねじシールにより防止し、ねじシールからインペラ側へ漏洩した場合でも油溜まり部に滞留させるようになっている。油溜まり部に滞留させた油は、ポンプ主軸により駆動される攪拌部材によって攪拌される。水貯め部のはねかけ部材は、ポンプ主軸の回転により水を軸封装置にはねかけて冷却することができる。
前記油溜まり部が、前記ポンプ主軸の周囲を取り囲み、かつ、内側に少なくとも1つ以上の凸部を有するカバーから構成されていることが好ましい。この構成をとることにより、カバーの内側の凸部がカバーの外側に油が流出するのを防止し、カバーの内部に油を貯留させることができる。
前記攪拌部材が、前記ポンプ主軸に固定された径方向に突出する部材及び/又は遊挿された攪拌リングであることが好ましい。この構成により、ポンプ主軸が回転することで、ポンプ主軸に固定された径方向に突出する部材及び/又は遊挿された攪拌リングにより油を攪拌することができる。
前記水貯め部が溝を備えていることが好ましい。この構成により、水貯め部の水を溝に貯留することができる。
前記はねかけ部材が、前記ポンプ主軸に固定された径方向に突出する部材であることが好ましい。この構成により、ポンプ主軸が回転することで、ポンプ主軸に固定された径方向に突出する部材により水をはねかけることができる。
メカニカルシール等の軸封装置の接液側に、回転体にねじシールを設け、そのねじシールのねじに潤滑油が軸封装置に戻るような巻きリードを持たせて軸封装置から漏洩した油を軸封装置側に戻すとともに、油がねじシールを通過した場合でも、ネジシールに隣接して設けた油溜まり部に滞留させることにより、軸封装置から漏洩した潤滑油が環境中の水に混入するのを防止することができる。
油を油溜まり部内に滞留させることで微生物により分解させることができる。また、ポンプ主軸に固定された部材およびポンプ主軸に遊挿された攪拌リングにより攪拌することで、油に空気中の酸素を混入させることができ、バクテリアによる分解を促進させることができる。その結果、漏洩した油が環境中の水へ混入するのを防止することができる。
水貯め部の溝に貯留している水をはねかけ板が軸封装置にはねかけることにより、気中運転時に発熱した軸封装置を冷却することができる。これにより、シールの寿命を延ばすことができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
図1は本発明の実施形態に係る軸封装置の保護機構1を備える横軸斜流ポンプ(以下、横軸ポンプという。)2を示す。この横軸ポンプ2のポンプケーシング3は、水槽から延びる吸込管(図示せず)に接続された吸込ケーシング4と、この吸込ケーシング4に連結された吐出ケーシング5とを備える。吸込ケーシング4には、水平外側方向に突出した突出部40が設けられている。吐出ケーシング5には、仕切弁6が介装された吐出側管路7が接続されている。
インペラ9は吐出ケーシング5内に配置されている。インペラ9が固定されたポンプ主軸10は、ポンプケーシング3内で水平方向に延びている。ポンプ主軸10の先端は、吐出ケーシング5内であってインペラ9よりも吐出側に位置する。一方、ポンプ主軸10の基端は吸込ケーシング4を貫通して外部に位置し、軸継手11を介して原動機等を含む動力源(図示せず)に連結されている。
吸込ケーシング4には、ポンプ主軸10の軸封のために無注水メカニカルシール(軸封装置)12が取り付けられている。この無注水メカニカルシール(以下、メカニカルシールという。)12には液面検出スイッチ13a付きのグリスタンク13から潤滑用のグリスが供給される。このメカニカルシール12に使用するグリスとしては、生分解性が高いことから植物性潤滑油が好ましい。ここでいう生分解性とは、有機物の構成元素である炭素、水素が微生物によりそれぞれ二酸化炭素、水まで分解され、最終的に無機化される難易性の程度をいう。軸封装置の保護機構1は、メカニカルシール12のインペラ9側に隣接して設けられている。また、吸込ケーシング4の外側には、ポンプ主軸10を支持するためのラジアル及びスラストの軸受14,15が取り付けられている。さらに、吸込ケーシング4には覗き孔16が設けられている。
吐出ケーシング5内のインペラ9よりも吐出側に、軸受ケーシング17が配置されている。この軸受ケーシング17はガイドベーン19によって吐出ケーシング5に連結されている。軸受ケーシング17内に位置するポンプ主軸10の先端付近は、軸受装置18の備える水中軸受20によって支持されている。軸受ケーシング17とインペラ9との間には隙間があり、この隙間により軸受ケーシング17内は軸受ケーシング17の外側(インペラ9によって加圧された揚水が通過する)と連通している。
軸受装置18は、軸受ケーシング17内に配置された軸受箱22を備える。この軸受箱22内に軸受室23が形成されており、この軸受室23内にポンプ主軸10を支持する水中軸受20が収容されている。ポンプ主軸10が軸受室23に進入する部分は、メカニカルシール24で軸封されている。軸受装置18は、入口ポート22aと出口ポート22bを備えており、入口ポート22aには供給管26の一端が接続され、出口ポート22bには戻り管31の一端が接続されている。
供給管26は入口ポート22aから軸受ケーシング17及びポンプケーシング3を貫通して外部へ延び、他端がジョイント30を介して外部に配置されたグリスタンク25と戻り管31に接続されている。また、戻り管31は出口ポート22bから軸受ケーシング17及びポンプケーシング3を貫通して外部へ延び、他端がジョイント30を介してグリスタンク(潤滑油タンク)25と供給管26に接続されている。
吐出ケーシング5には、インペラ9よりも吐出側の位置に吸引ポート5aとドレーンポート5bが設けられている。吸引ポート5aには、横軸ポンプ2の運転開始時に呼水(満水)のための真空吸引を行う真空ポンプ21が接続されている。
以下、図1及び図2を参照して軸封装置の保護機構1について説明する。軸封装置の保護機構1は、水貯め部56と油溜まり部57から構成されている。
水貯め部56は、吸込ケーシング4の突出部40の内部に設けられている。水貯め部56のメカニカルシール12側には、突出部40の内壁にポンプ主軸10の周方向に連続する溝60が設けられている。水貯め部56には、はねかけ板(はねかけ部材)51及びねじシール52を備えている。
はねかけ板51はリング状の弾性材料からなっており、その厚さは一様である。はねかけ板51は、ポンプ主軸10に外嵌した状態でその外端が溝60の有する空間に到達し、溝60の底面には干渉しない大きさである。はねかけ板51は、溝60に対応する位置でポンプ主軸10に外嵌固定されている。
はねかけ板51のメカニカルシール12と反対側には、ねじシール52が設けられている。ねじシール52は、ポンプ主軸10が回転したときにメカニカルシール12から漏洩した油がねじシール52から油溜まり部57側に流出しないように戻される方向にねじが切られている。
油溜まり部57は、水貯め部56から吸込ケーシング4の水平内側方向に設けられている。油溜まり部57は、吸込ケーシング4の内壁からポンプ主軸10の周囲を取り囲むように水平内側方向に突出するカバー55によって形成されている。油溜まり部57には、攪拌板53(攪拌部材)及び攪拌リング(攪拌部材)54を備えている。
カバー55は、内部に2列の凸部61が形成され、2列の凸部61で仕切られた3つの油溜まり室62を備えている。カバー55は両端開口で、ポンプ主軸10がカバー55を貫通している。
攪拌板53は、水貯め部56に最も近い油溜まり室62に収容されるようにポンプ主軸10に外嵌固定されている。攪拌板53の大きさ及び材質ははねかけ板51と同様である。
攪拌リング54は、攪拌板53が収容された油溜まり室62に隣接する油溜まり室62に、ポンプ主軸10に対して遊挿されている。攪拌リング54は、リング状の弾性材料からなっており、その厚さは一様である。攪拌リング54は、ポンプ主軸10に遊挿した状態でその外端が油溜まり室62の有する空間に到達可能な大きさである。
次に、横軸ポンプ2の軸封装置の保護機構1の動作を説明する。横軸ポンプ2の運転開始時には、呼水(満水)のためにポンプケーシング3内を真空ポンプ21で真空吸引する必要がある。この真空吸引により水槽の水が吸込管(図示せず)を通じて吸い上げられ、ポンプケーシング3内は満水になる。
呼水の完了後に横軸ポンプ2が起動を開始すると、水はインペラ9の回転により遠心力が与えられてガイドベーン19側へ押し出され、ガイドベーン19によって整流された後、吐出側管路7へ吐出される。
横軸ポンプ2は運転停止により、インペラ9の回転が停止すると、吸込ケーシング4内を水槽の水圧より低圧に維持することができなくなるので、吸込ケーシング4内に水を保持できず、吸込ケーシング4内から揚水はなくなる。
吸込ケーシング4内に水がない状態であっても、メンテナンスのためには横軸ポンプ2の運転をする必要はある。その運転時間は30分程度必要とされている。
気中運転(ポンプケーシング3内に水が存在しない状態(インペラ9が空気中にある状態)での運転)時、カバー55の油溜まり室62及び水貯め部56の下方には、通常運転時にポンプケーシング3内を満たしていた水が滞留したままである。メカニカルシール12から漏洩した油は、水貯め部56に滞留している水に流入する。図3に示すように、運転時に、油がねじシール52とポンプケーシング3の間に侵入して油溜まり部57側へ流出しようとしても、ポンプ主軸10の回転方向に対応して切られたねじシール52の巻きリード65によって、油はメカニカルシール12の方へと戻されるので、油溜まり部57側への流出は防止できる。
油がねじシール52を通過し、油溜まり部57側へ流出した場合でも、カバー55の下方の凸部61により堰き止められ、凸部61と凸部61によって区切られた油溜まり室62で既に滞留していた水の中へと流入し、長期間滞留する。そこに滞留する水と油の混合液は、ポンプ主軸10が回転すると、ポンプ主軸10に固定された攪拌板53及び/又はポンプ主軸10に遊挿された攪拌リング54によって攪拌される。油を分解する能力を有する細菌はいたるところに存在しているので、そのように攪拌することで、空気中の細菌及び酸素を取り込むことができる。その結果、細菌による油から水と二酸化炭素への分解をより促進させることができ、漏洩した油が環境中の水へと混入するのを防止することができる。
また、水貯め部56の水は、下方の溝60に流入し滞留している。ポンプ主軸10を回転させると、ポンプ主軸10に固定されたはねかけ板51が溝60に滞留している水を、メカニカルシール12の端面にはねかける。気中運転では、10分程度でメカニカルシール12の最高許容温度(75℃)に達するが、管理運転としての気中運転は30分程度必要とされるので、最高許容温度を超えた状態で使用を続行しなければならなくなる。そのような使用では、メカニカルシール12の寿命を短縮する。しかしながら、上述したはねかけ板51がメカニカルシール12の端面に水をはねかけるので、メカニカルシール12の温度を最高許容温度(75℃)以下に冷却することができる。これにより、メカニカルシール12の寿命を延ばすことができる。
本発明は実施形態に限定されず、以下に列挙するように種々の変形が可能である。はねかけ板51及び攪拌板53は、切り欠きを有する円板を使用し、その切り欠きを広げることにより装着してもよい。また、はねかけ板51及び攪拌板53は、ねじ止めによりポンプ主軸10に固定してもよい。攪拌板53と攪拌リング54の位置は、図2に示したものと異なるものであってもよい。はねかけ部材51及び攪拌部材53は、リング形状ではなく、単なる突起物であってもよい。はねかけ部材51及び攪拌部材53は弾性体でなくてもよい。溝60は、より多くの水を貯留可能とするために、図2の溝の頂面より広くなるように溝60の側壁をポンプ主軸10方向に傾斜させてもよい。横軸斜流ポンプを例に本発明を説明したが、本発明は横軸軸流ポンプにも適用できる。
本発明の実施形態に係る軸封装置の保護機構を備える横軸ポンプを示す断面図。 本発明の実施形態に係る軸封装置の保護機構を示す断面図。 ポンプ主軸の回転方向に対応する方向に切られたねじシールの巻きリードを示す図。
符号の説明
1 軸封装置の保護機構
2 横軸ポンプ
3 ポンプケーシング
4 吸込ケーシング
5 吐出ケーシング
5a 吸引ポート
5b ドレーンポート
6 仕切弁
7 吐出側管路
9 インペラ
10 ポンプ主軸
11 軸継手
12 無注水メカニカルシール(軸封装置)
13 グリスタンク
13a 液面検出スイッチ
14 ラジアル軸受
15 スラスト軸受
16 覗き孔
17 軸受ケーシング
18 軸受装置
19 ガイドベーン
20 水中軸受
21 真空ポンプ
22 軸受箱
22a 入口ポート
22b 出口ポート
23 軸受室
24 メカニカルシール
25 グリスタンク
26 供給管
30 ジョイント
31 戻り管
40 突出部
51 はねかけ板
52 ねじシール
53 攪拌板
54 攪拌リング
55 カバー
56 水貯め部
57 油溜まり部
60 溝
61 凸部
62 油溜まり室
65 巻きリード

Claims (5)

  1. 横軸ポンプの軸封装置の保護機構において、
    ポンプ主軸を軸封する注油型の軸封装置のインペラ側に前記ポンプ主軸が貫通するように設けられ、前記ポンプ主軸により駆動される攪拌部材が配置された油溜まり部と、
    前記軸封装置と前記油溜まり部の間に設けられ、前記ポンプ主軸により駆動されるはねかけ部材と、前記はねかけ部材の前記インペラ側のねじシールとが配置された水貯め部と、
    を備える横軸ポンプの軸封装置の保護機構。
  2. 前記油溜まり部が、前記ポンプ主軸の周囲を取り囲み、かつ、内側に少なくとも1つ以上の凸部を有するカバーから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の横軸ポンプの軸封装置の保護機構。
  3. 前記攪拌部材が、前記ポンプ主軸に固定された径方向に突出する部材及び/又は遊挿された攪拌リングであることを特徴とする請求項1又は2に記載の横軸ポンプの軸封装置の保護機構。
  4. 前記水貯め部が溝を備えていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の横軸ポンプの軸封装置の保護機構。
  5. 前記はねかけ部材が、前記ポンプ主軸に固定された径方向に突出する部材であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の横軸ポンプの軸封装置の保護機構。
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