JP2009299511A - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料噴射に伴って生じる燃料圧力が脈動する変化によって増圧する時期に、燃料噴射を断続的に行うことにより可変噴射量制御を行える燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】燃料噴射弁6は、コモンレール13から供給される燃料をエンジン1の燃焼室に噴射する。燃料圧力センサ37は、燃料噴射弁6への燃料圧力を検出して燃料圧力信号を出力する。ECU2は、検出された燃料圧力信号に基づいて燃料噴射弁6を制御し、燃料を噴射した際に変動する燃料圧力がピーク値を示す時間を学習し、ピーク値を示す時間に合わせて次回以降の噴射時期を補正して噴射量を制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、コモンレールを用いた燃料噴射制御装置に関する。
ディーゼルエンジンに適用される燃料噴射制御装置においては、エンジンの燃焼室に燃料を直接噴射するインジェクター(以下、燃料噴射弁ともいう)に蓄圧された燃料を供給するコモンレールシステムが多く利用されている。このようなコモンレールシステムでは、瞬時に規定量を噴射させることができるように、高圧ポンプによって加圧された燃料が供給されている。
また、インジェクターの応答性改善によりインジェクターから短い噴射時間で燃料を噴射することもできるようになっている。このような応答性の高いインジェクターと前述した高圧に蓄圧できるコモンレールを組み合わせることによって燃料を勢いよく燃焼室に噴射し、燃料を微粒化して、燃焼特性を改善することができるようになっている。このように燃焼特性を改善することによって、排出ガスのさらなるクリーン化を図ることが行われている。
また、ディーゼルエンジンでは、噴射される燃料の量によって出力特性が左右される。つまり、必要なときに必要な量の燃料をエンジンに供給するために、燃料噴射制御装置では燃料の噴射を適切に管理することが必要とされている。
このような燃料噴射制御装置において、燃料の噴射量を適切に制御するには、燃料圧力を安定化させる必要がある。しかし、インジェクターにより短い時間で噴射が行われると、コモンレール内に圧力変動が生じ燃料圧力が安定しなくなる状態が発生することになる。そのため、このような圧力変動を考慮して、燃料噴射を制御する技術が存在する(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開平11−159372号公報 特開2000−170585号公報
上記の技術では、コモンレールに配置された燃料圧力センサによって検出された圧力信号から、噴射によって発生する燃料圧力の変動を考慮して、噴射時期および噴射時間の制御を行う技術が開示されている。しかしながら、この技術によると、燃料圧力が脈動することによって所定圧力が高くなることで所望の噴射量より多く噴射することが開示されているが、燃料圧力が低下している時期(低圧側)にも燃料の噴射を行っており、この分だけ噴射率が低下するという問題がある。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、燃料噴射に伴って生じる燃料圧力の脈動による影響を考慮し燃料の噴射率を高めて燃料噴射を行う燃料噴射制御装置を提供することにある。
上記問題を解決するために、請求項1に記載した発明は、内燃機関(例えば、実施形態によるエンジン1)に燃料を噴射する燃料噴射制御装置(例えば、実施形態による燃料噴射制御装置10)において、前記燃料を供給する燃料供給手段(例えば、実施形態によるコモンレール13)と、前記内燃機関の燃焼室に前記燃料を噴射する燃料噴射手段(例えば、実施形態による燃料噴射弁6)と、前記燃料噴射手段の燃料圧力を検出して燃料圧力信号を出力する圧力検出手段(例えば、実施形態による燃料圧力センサ37)と、検出された燃料圧力信号に基づいて前記燃料噴射手段を制御する燃料噴射制御手段(例えば、実施形態によるECU2)と、を備え、前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射手段による燃料噴射によって変動する燃料圧力変動を記録し、燃料噴射を停止した後に増圧する燃料圧力を利用して繰り返し噴射する際に、記憶された前記燃料圧力変動に基づいて圧力が最大となる時期に噴射時期を補正して噴射量を制御することを特徴とする燃料噴射制御装置である。これにより、燃料噴射制御手段は、燃料供給手段から供給される燃料に生じる燃料圧力変動のピーク値にあわせ増圧側のみを用い燃料の噴射率を高めて燃料噴射手段による噴射時期を設定することができる。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射制御手段により燃料を噴射した際に検出された燃料圧力値から噴射による燃料圧力変動量の増加側のピーク値を示すピーク時間を算出し、この算出されたピーク時間に基づいて、次回以降の噴射時期を補正することを特徴とする。これにより、燃料噴射制御手段は、燃料供給手段から供給される燃料に生じる燃料圧力変動によって圧力が増加するときのピーク値となるタイミングにあわせて燃料噴射手段による噴射時期を設定することができる。
請求項1に記載した発明によれば、燃料噴射によって生じる燃料圧力変動を積極的に利用するため、燃料噴射手段による燃料噴射によって変動する燃料圧力変動を記録し、燃料噴射を停止した後に増圧する燃料圧力の増圧側を利用して繰り返し噴射する際に、記憶された燃料圧力変動に基づいて圧力が最大となる時期を算出し、燃料噴射時点から燃料圧力がピーク値を示す時間を、その時間に合わせて次の噴射の際にピーク値を示すと推定されるタイミングで噴射させることにより、燃料供給手段で蓄圧されている標準圧力よりも高い圧力を利用して噴射させることができ、噴射時間を短縮させた効率の良い噴射制御が行える。この燃料噴射によって生じる燃料圧力変動は、燃料噴射量を制御する際に影響を与えるものであったため、この圧力変動を避けるように噴射制御を行うか、あるいは、安定化された燃料圧力であることを前提とした噴射制御とされていたこれまでの燃料噴射制御と異なり、変動によって生じる燃料圧力変動を有効に利用して燃料の噴射率を高め燃料噴射制御を実施することができる。
請求項2に記載した発明によれば、燃料噴射終了後に生じる燃料圧力変動の第1波形によって生じる圧力増加のピーク値を示すピーク時間に基づいて次回以降の噴射で連続噴射を行うタイミングを設定することができ、最も圧力増加の大きくなるタイミングを有効に利用することにより噴射制御を効率よく行うことができる。また、燃料圧力が変動する時期に噴射をおこなうことにより噴射の途中で噴射量を可変させる効果(可変噴射量)も期待することができる。
図1を参照し本発明における実施形態の燃料噴射制御装置10について説明する。燃料噴射制御装置10は、図示されない車両に搭載されるディーゼルエンジン(以下、エンジン1という)に適応され、エンジン1の燃焼室に供給される燃料の噴射を制御する。
燃料タンク11は、エンジン1に供給される燃料が収容される。その燃料タンク11内には、低圧ポンプP1が設けられている。
低圧ポンプP1には、ECU(Electronic Control Unit)2に接続されているモータP1−Mが設けられている。低圧ポンプP1は、ECU2によってモータP1−Mが制御され、エンジン1の運転中に常時作動する電動ポンプであり、燃料タンク11内の燃料を所定圧(例えば、5bar(バール))まで増圧して吐出する。
低圧ポンプP1の吸入側にはフィルタ17が設けられ、吐出側には燃料供給路12が接続される。接続される燃料供給路12には、ECU2からの制御によって燃料の温度制御を行うヒータを備えるフィルタ18と、同じくECU2からの制御によって低圧ポンプP1から供給される燃料の流量を制御する電磁流量制御弁21とが順次設けられている。
フィルタ18と電磁流量制御弁21の間の燃料供給路12には、燃料タンク11に燃料を戻す燃料戻し路16が分岐接続される。燃料戻し路16には、燃料供給路12の圧力制御を行う圧力制御弁22が介装されている。圧力制御弁22は、燃料供給路12の圧力が前述の所定圧を超えたときに開弁して燃料戻し路16を介して燃料を燃料タンク11内に戻す。
電磁流量制御弁21の下流側には、高圧ポンプP2が接続され、高圧ポンプP2の吐出側には高圧配管13aを介してコモンレール13が接続されている。高圧ポンプP2は、低圧ポンプP1から供給される燃料をさらに増圧してコモンレール13に供給する。高圧ポンプP2によって吐出される燃料は、電磁流量制御弁21において流量制御されることにより、その圧力が制御されることとなる。
高圧ポンプP2に取り付けられた燃料温度センサ35は、高圧ポンプP2によって加圧された燃料の温度を検出し、検出された温度を表す検出信号をECU2に出力する。
コモンレール13の戻し路側には、高圧配管13cが接続され、この高圧配管13cには、燃料戻し路16が接続されている。高圧配管13cには、電磁圧力制御弁23が設けられ、電磁圧力制御弁23から燃料戻し路16までは、燃料戻し路14で接続されている。
この電磁圧力制御弁23は、機械的に動作する機能と、接続されるECU2からの制御によって電気的に動作する機能を有している。機械的な動作では、高圧ポンプP2の運転により燃料圧力Prailが所定の設定圧Prail_max(例えば、2000bar(バール))を超えたときに、開弁する。これにより、コモンレール13内の燃料が燃料タンク11内に戻され、燃料圧力Prailが所定の設定圧Prail_maxまで低減される。また、電気的動作では、必要に応じて出力されるECU2からの減圧指示にしたがって弁が開放されることによりコモンレール13内に蓄圧された燃料を放出し減圧することができる。
また、コモンレール13は、高圧ポンプP2によって加圧され供給される燃料の量と、電磁圧力制御弁23などで放出され減圧される量とをバランスさせることによって、その内部空間を高圧の状態(例えば、2000bar(バール))で蓄える燃料室となる。コモンレール13には、燃料圧力センサ37が取り付けられ、この燃料圧力センサ37は、コモンレール13内の燃料圧力である燃料圧力Prailを検出し、検出された圧力を表す検出信号をECU2に出力する。
このコモンレール13には、エンジン1に燃料を噴射する4つの燃料噴射弁6−1〜6−4(以下、まとめて表すときには「燃料噴射弁6」という。)に燃料を供給する高圧配管13b−1〜13b−4が接続されている。
燃料噴射弁6は、ECU2からの信号により開弁してコモンレール13から供給される燃料をエンジン1の燃焼室内に噴射する。
燃料戻し路15は、それぞれの燃料噴射弁6からの燃料の戻り路を示し、並列に接続されるチェック弁24と圧力制御バルブ25を介して低圧ポンプP1とフィルタ18との間の燃料供給路12に接続されている。
この燃料戻し路15の途中に設けられるチェック弁24と圧力制御バルブ25は、燃料噴射弁6からの排出油の圧力を一定に調整する。圧力制御バルブ25は、エンジン1の運転開始時には、燃料供給路12から燃料噴射弁6に至る燃料戻し路15を燃料供給路12に接続される低圧ポンプP1によって加圧させる働きも有する。
ECU2は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびI/O(Input/Output)インターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成される。
ECU2は、エンジン1に設けられたクランク角センサ33によって検出されるエンジン1のクランク角度情報から、燃料噴射弁6での燃料噴射タイミングを制御する。また、ECU2は、前述した燃料温度センサ35、燃料圧力センサ37などの検出信号に応じてエンジン1の運転状態を判断し、電磁流量制御弁21、電磁圧力制御弁23、低圧ポンプP1を制御することによりコモンレール13の圧力を制御するとともに、燃料噴射弁6を開閉動作させることにより燃料噴射制御を実行する。
以上に示した構成により、この燃料噴射制御装置10では、電磁流量制御弁21により流量制御される高圧ポンプP2の運転状態、電磁圧力制御弁23の開閉状態、および燃料噴射弁6の開閉状態により、コモンレール13の燃料圧力Prailが所定の設定値Prail_maxを上限とする範囲内で制御される。
なお、図1で示される実線での接続は、燃料系の配管を示し、一点鎖線での接続は、電気信号による制御線での接続を示すものとする。また、燃料タンク11内に低圧ポンプP1が設けられていることとしたが、低圧ポンプP1を燃料タンク11の外に配置したものでも良い。
次に、燃料噴射制御装置10における燃料噴射により発生するコモンレール13の燃料圧力変動について説明する。
図2(a)は、ECU2が燃料噴射弁6に入力される燃料噴射制御信号の変化を示したグラフである。(b)は、波形2aの燃料噴射制御信号により燃料噴射制御を行ったときのコモンレール13の燃料圧力の変化を示したグラフである。(c)は、上記の燃料噴射を行ったときの燃料噴射率のグラフである。これらのグラフにおいて、横軸は、時間(秒)を示し、縦軸は、それぞれ燃料噴射制御信号の電圧(V(ボルト))、燃料圧力(bar(バール))、燃料噴射率(mm/m秒(立方ミリメートル毎ミリ秒))を示す。
これらのグラフにおいて、時刻t1から時刻t3までの間に、ECU2が燃料噴射弁6に波形2aに示される燃料噴射制御信号が入力され、その噴射期間を含む時刻t0(0.041秒)から時刻t6(0.046秒)までの間の燃料圧力の変化が検出され、その検出結果が記録される範囲が示されている。
波形2bには、時刻t1で燃料噴射弁6に噴射開始指示が入力されて燃料噴射が行われ、時刻t2から燃料圧力が徐々に低下していることが示されている。また、時刻t3で燃料噴射弁6に噴射停止指示が入力されたことにより、噴射中に徐々に低下していた燃料圧力が、時刻t4で最小ピーク値を示し、時刻t4以降上昇に転じることが示されている。この燃料圧力の上昇は、噴射開始前の標準圧力よりも高い値を示すようになり時刻t5で最大ピーク値を示して、時刻t5以降低下する。その後、燃料圧力は、脈動する変化を示し、燃料圧力の振幅を減衰させながら減衰振動が続いている。このような燃料圧力の脈動のピーク値の発生する時刻、圧力変動の振幅は、構成されているコモンレール13およびその周辺の構成に依存する値である。
また、波形2cには、時刻t1から時刻t3までの間に入力された燃料噴射制御信号による燃料噴射の推定噴射量の変化が時刻t1から時刻t5にかけて示されている。この噴射量は、燃料供給制御装置10のコモンレール13の周辺に取り付けた複数の圧力センサの値に基づく燃料圧力値から計算によって算出されたものである。
図2(b)で示されたように、燃料噴射制御装置10では、高圧に蓄圧された燃料噴射を燃料噴射弁6の急峻な開閉処理によって制御されているので、噴射停止によって生じる圧力変動により反射波が生成され上記のような波形で燃料圧力が変化する。この反射波で増圧する圧力を利用して断続的に連続噴射させることにより、2回目以降の噴射において単位時間当たりの噴射量を増やすことができる。
本実施形態では、上記に記した断続的な連続噴射において噴射量を変化させる処理を、燃料の圧力を読み込む処理と、燃料圧力の反射波のピーク時期を特定する処理と、次のサイクルの噴射時期を演算して算出する処理を組み合わせることによって燃料圧力変動で圧力値が最大となる時間を予測して、その時間に噴射時期を合わせて噴射量の制御を行う。
図3を参照して、燃料噴射制御装置10における可変噴射量制御処理で参照する燃料圧力データテーブル、ピーク時刻情報テーブル、遅延時間データテーブルの構造および記憶される情報について説明する。
図3(a)に示される燃料圧力データテーブルは、ECU2における燃料圧力センサ37で検出された燃料圧力の情報を、圧力読み込み処理によって記録する情報テーブルである。図示されるように、燃料圧力データテーブルは、例えば行と列からなる2次元の表示形式のデータであり、時刻、燃料圧力信号、噴射制御フラグの各項目の列を有している。
それぞれの項目には、圧力読み込み処理でサンプリング処理を行った時刻と、そのサンプリング処理で検出された燃料圧力信号の値と、当該時刻に行われていた噴射制御の状態を示す噴射制御フラグが燃料圧力データテーブルに記憶される。噴射制御フラグは、噴射を行うときを「1」、噴射を行わないときを「0」によって示させる情報が記録される。燃料圧力データテーブルの行は、圧力読み込み処理においてサンプリング処理されるサンプリング時刻に応じて記録される情報を示している。
図3(b)に示されるピーク時刻情報テーブルは、燃料圧力データテーブルに記憶された情報に基づいて、ECU2における次サイクルの噴射時期演算処理によって算出された情報を記憶する情報テーブルである。図示されるように、ピーク時刻情報テーブルは、例えば行と列からなる2次元の表示形式のデータであり、最小ピーク時刻t4、最大ピーク時刻t5、遅延時間Td1、遅延時間Td2の各項目の列を有している。
次サイクルの噴射時期演算処理において、噴射サイクル毎にそのサイクルでサンプリング処理された燃料圧力データテーブルの情報に基づいて、その情報から最小ピーク値と最大ピーク値を示す情報とに関連付けて記録されているサンプリング処理をした時刻情報を選択する。選択された時刻情報は、それぞれの最小ピーク時刻t4と最大ピーク時刻t5を示し、その選択された時刻情報に基づいて遅延時間Td1、遅延時間Td2を算出し、算出された情報が記録される。
遅延時間Td1は、反射波の最小ピーク時刻t4で示される時刻から燃料噴射終了時刻t3で示される時刻との差で示され、燃料噴射終了が指示された時刻から、燃料噴射弁6による燃料噴射が停止されてコモンレール13の燃料圧力の流出が停止する時刻までの遅延時間である。遅延時間Td2は、反射波の最大ピーク時刻t5で示される時刻と最小ピーク時刻t4で示される時刻との差で示される、燃料噴射による燃料圧力の最小値が示された時刻から、最大値が示された時刻までの遅延時間である。ピーク時刻情報テーブルの行は、当該噴射サイクルにおけるそれぞれの情報を示している。
図3(c)に示される遅延時間データテーブルは、ピーク時刻情報テーブルに記憶された情報から、ECU2における次サイクルの噴射時期演算処理で算出された情報を記憶する情報テーブルである。図示されるように、遅延時間データテーブルは、例えば行と列からなる2次元の表示形式のデータであり、噴射サイクルk、遅延時間T(k)の各項目の列を有している。噴射サイクルkには、噴射サイクル回数を示す値が記憶され、遅延時間(k)には、その噴射サイクルkにおける遅延時間T(k)が記憶される。遅延時間T(k)は、次サイクルの噴射時期演算処理において、噴射サイクル毎にそのサイクルkでサンプリング処理された燃料圧力データテーブルの情報に基づいて、その情報が示す遅延時間Td1と遅延時間Td2と加算してその噴射サイクルkでの遅延時間T(k)を算出される情報である。遅延時間データテーブルの行は、噴射サイクルkごとに記憶される。
次に、可変噴射量制御処理について説明する。
図4は、燃料噴射制御装置10における可変噴射量制御処理を示すフローチャートである。
可変噴射量制御処理における圧力読み込み処理のステップにおいて、燃料圧力センサ37は、コモンレール13の燃料圧力を検出し、燃料圧力信号を出力する。ECU2における圧力読み込み処理は、燃料圧力センサ37から入力される燃料圧力信号の入力処理を行い、その入力処理された燃料圧力信号について、時刻t1から開始される燃料噴射のタイミングを含む所定の期間(例えば、時刻t0から時刻t6までの期間とする)に所定の間隔でサンプリング処理をして、サンプリング処理をした時刻情報と、サンプリング処理で取得した燃料圧力信号と、その時刻での燃料噴射弁6への噴射指示信号を示す噴射制御フラグを圧力データ記憶領域に割り付けられた燃料圧力データテーブルに時系列に従って記録する。噴射制御フラグとして、前述したように噴射を行うときを「1」、噴射を行わないときを「0」によって示させる情報が記憶される(ステップSa1)。
反射波のピーク時期特定処理のステップにおいて、ECU2におけるピーク時期特定処理は、圧力データ記憶領域に配置された燃料圧力データテーブルに記憶された燃料圧力信号の情報を参照し、その燃料圧力信号の情報の中から、最小の値を示す最小ピーク値と最大の値を示す最大ピーク値を示す情報を特定することにより行われる。また、ピーク時期特定処理において、特定された最小ピーク値と最大ピーク値を示す情報とに関連付けて記憶されているサンプリング処理をした時刻情報に基づいて、それぞれ反射波の最小ピーク時刻t4と最大ピーク時刻t5を特定し、内部の記憶領域に割り付けられたピーク時刻情報テーブルにそれぞれ記録される(ステップSa2)。
次サイクルの噴射時期演算処理のステップにおいて、ECU2における次サイクルの噴射時期演算処理は、内部の記憶領域に配置されたピーク時刻情報テーブルを参照し、ステップSa2の処理で特定した反射波の最小ピーク時刻t4の情報を取得する。次サイクルの噴射時期演算処理において、ECU2の圧力データ記憶領域に配置された燃料圧力データテーブルに記憶された噴射制御フラグを参照し、記憶されている情報が「1」から「0」への変化点を特定し、その変化点が示す情報と関連付けて記憶されているサンプリング処理をした時刻情報に基づいて燃料噴射終了時刻t3が特定される。次サイクルの噴射時期演算処理において、反射波の最小ピーク時刻t4の情報と燃料噴射終了時刻t3の情報の差を算出し、燃料噴射終了信号が入力された時刻から、燃料噴射弁6による燃料噴射が停止されてコモンレール13の燃料圧力の流出が停止するまでの遅延時間Td1が算出される。
また、次サイクルの噴射時期演算処理において、内部の記憶領域に配置されたピーク時刻情報テーブルを参照し、ステップSa2の処理で特定した反射波の最大ピーク時刻t5の情報を取得し、先に取得した最小ピーク時刻t4との差を算出し、燃料噴射による燃料圧力の最小値を検出してから、最大値を検出するまでの遅延時間Td2が算出される。
ECU2が燃料噴射弁6に燃料噴射終了信号を入力してから、コモンレール13の圧力が最大となる時刻までの遅延時間Tは、遅延時間Td1と遅延時間Td2を加算処理(T=Td1+Td2)することにより算出される。
また、次サイクルの噴射時期演算処理において、噴射サイクル毎に遅延時間記憶領域に配置された遅延時間データテーブルに、噴射サイクル回数kと、その噴射サイクルで算出された遅延時間T(k)が記録される。次サイクルの噴射時期演算処理において、遅延時間データテーブルを参照し、記憶されている過去の噴射サイクルでの遅延時間T(k)を参照して、その情報を用いて逐次最小二乗法による演算処理を用いて、次サイクルにおける推定遅延時間Testが算出される。
この推定遅延時間Testに基づいて、次の噴射において第1の噴射停止直後に第2の噴射を連続して噴射させる際に、第1の噴射停止後に生じる燃料圧力の反射波による脈動が最大となる時刻を特定し、第2の噴射指示のタイミングを設定する(ステップSa3)。
上記に示した実施形態によって算出された推定遅延時間Testを基準として第2の噴射を行うタイミングを、図2(b)の矢印で示すタイミングTinjの範囲となるように第2の噴射指示を入力することにより、燃料圧力が増圧した効果を利用した連続噴射によって可変噴射量制御処理を実施することができる。
燃料噴射によって生じる燃料圧力変動を積極的に利用するため、燃料噴射時点から燃料圧力がピーク値を示す時間を学習して、その時間に合わせて次の噴射の際にピーク値を示すと推定されるタイミングで噴射させることにより、コモンレール13で蓄圧されている基準圧力よりも高い圧力を利用して噴射させることができ、噴射時間を短縮させた効率の良い噴射制御が行える。この燃料噴射によって生じる燃料圧力変動は、燃料噴射量を制御する際に影響を与えるものであったため、この圧力変動を避けるように噴射制御を行うか、あるいは、安定化された燃料圧力であることを前提とした噴射制御とされていたこれまでの燃料噴射制御と異なり、変動によって生じる燃料圧力変動を有効に利用し燃料噴射率を高めて燃料噴射制御を実施することができる。上記の学習とは、燃料噴射弁6による燃料噴射によって変動するコモンレール13の燃料圧力変動を記録し、燃料噴射を停止した後に増圧するコモンレール13の燃料圧力を利用して繰り返し噴射する際に、燃料圧力変動の記録に基づいてコモンレール13の燃料圧力が最大となる時期を予測することである。
また、燃料噴射終了後に生じる燃料圧力変動の第1波形によって生じる圧力増加のピーク値を示すピーク時間に基づいて次回以降の噴射で連続噴射を行うタイミングを設定することができ、最も圧力増加の大きくなるタイミングを有効に利用することにより噴射制御を効率よく行うことができる。また、燃料圧力が変動する時期に噴射を行うことにより噴射の途中で噴射量を可変させる効果(可変噴射量)も利用することができる。
なお、本実施形態では、燃料圧力変動を検出する燃料圧力センサ37はコモンレール13に設置されているものとして説明したが、好ましくは、コモンレール13から燃料噴射弁6までの間に設置する。
また、遅延時間(推定遅延時間Test)の算出に逐次最小二乗法を用いる実施形態を示したが、他の演算方法を用いて算出することもできる。
また、1サイクルの噴射を2回に分けて噴射する実施形態を示したが、2回以上の複数回に分割された連続噴射とすることもできる。
また、燃料噴射弁6の数を4個、コモンレール13の数を1個として説明しているが、それぞれ4個と1個に制限されるものではなく、エンジン1の構成によってその数量は任意に設定することができる。
また、エンジン1はディーゼルエンジンであることとして説明したが、この燃料噴射制御装置10はガソリンエンジンに対する適応も可能である。
また、本発明は、船外機のような船舶推進機用の内燃機関を含む、様々な産業用の内燃機関に適用することが可能である。
本発明の実施形態における燃料噴射制御装置を示すブロック図である。 本実施形態における各種燃料圧力センサの応答性を示すグラフである。 本実施形態における可変噴射量制御処理で用いる情報テーブルである。 本実施形態における可変噴射量制御処理をする手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
2 ECU(燃料噴射制御手段)
6 燃料噴射弁(燃料噴射手段)
10 燃料噴射制御装置
13 コモンレール(燃料供給手段)
37 燃料圧力センサ(圧力検出手段)

Claims (2)

  1. 内燃機関に燃料を噴射する燃料噴射制御装置において、
    前記燃料を供給する燃料供給手段と、
    前記内燃機関の燃焼室に前記燃料を噴射する燃料噴射手段と、
    前記燃料噴射手段への燃料圧力を検出して燃料圧力信号を出力する圧力検出手段と、
    検出された燃料圧力信号に基づいて前記燃料噴射手段を制御する燃料噴射制御手段と、
    を備え、
    前記燃料噴射制御手段は、
    前記燃料噴射手段による燃料噴射によって変動する燃料圧力変動を記録し、燃料噴射を停止した後に増圧する燃料圧力を利用して繰り返し噴射する際に、記憶された前記燃料圧力変動に基づいて圧力が最大となる時期に噴射時期を補正して噴射量を制御する
    ことを特徴とする燃料噴射制御装置。
  2. 前記燃料噴射制御手段は、
    前記燃料噴射制御手段により燃料を噴射した際に検出された燃料圧力値から噴射による燃料圧力変動量の増加側のピーク値を示すピーク時間を算出し、この算出されたピーク時間に基づいて、次回以降の噴射時期を補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
JP2008152158A 2008-06-10 2008-06-10 燃料噴射制御装置 Pending JP2009299511A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013256890A (ja) * 2012-06-12 2013-12-26 Nippon Soken Inc 内燃機関の燃料噴射制御装置
CN107965395A (zh) * 2016-10-20 2018-04-27 三菱电机株式会社 喷射器控制装置以及喷射器控制方法

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