JP2009299125A - 低燐溶銑の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 溶銑を脱燐処理して低燐溶銑を製造するにあたり、気体酸素源の溶銑浴面への供給によってCaOを主体とする脱燐精錬剤の高い滓化促進作用が得られるとともに、気体酸素源が溶銑浴面と衝突して形成される火点での酸化反応に伴う温度上昇を抑制することができ、且つ、溶銑中の炭素濃度の低下を抑制する。
【解決手段】 本発明の低燐溶銑の製造方法は、溶銑を保持した容器内に酸素源とCaOを主体とする脱燐精錬剤とを添加して溶銑の脱燐処理を行うことにより低燐溶銑を製造する方法において、溶銑浴面に浴面上方から気体酸素源を供給するとともに、該気体酸素源が溶銑浴面と衝突して形成される火点にプラスチック及び石炭のうちの少なくとも1種を供給することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の低燐溶銑の製造方法は、溶銑を保持した容器内に酸素源とCaOを主体とする脱燐精錬剤とを添加して溶銑の脱燐処理を行うことにより低燐溶銑を製造する方法において、溶銑浴面に浴面上方から気体酸素源を供給するとともに、該気体酸素源が溶銑浴面と衝突して形成される火点にプラスチック及び石炭のうちの少なくとも1種を供給することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、溶銑予備処理として行われる脱燐処理により低燐溶銑を効率的に製造するための方法に関するものである。
高炉溶銑を用いる製鋼プロセスにおいては、転炉で脱炭精錬する前に、溶銑中に含有される燐を酸素ガスや固体の酸化鉄を用いて酸化除去する脱燐処理、或いは溶銑中に含有される硫黄を脱硫剤によって還元雰囲気下で除去する脱硫処理などの、所謂、溶銑予備処理が一般的に行われている。この脱燐処理においては、酸化反応であることから、溶銑中の珪素も除去され、この珪素の酸化によって生成するSiO2を少なくさせて脱燐反応を促進させるために、脱燐処理に先立って予め珪素を除去する処理(「脱珪処理」という)を施すことも行われている。
これらの予備処理のうち、脱燐処理は、トーピードカーや溶銑鍋などの溶銑搬送容器或いは転炉などの精錬炉を反応容器として用い、CaOを主体とする脱燐精錬剤と、酸素ガスなどの気体酸素源及び固体の酸化鉄(鉄鉱石や焼結粉など)などの固体酸素源とを、溶銑に添加し、溶銑中の燐を気体酸素源及び固体酸素源によって酸化し、生成した燐酸化物(燐酸)を、CaOを主体とする脱燐精錬剤などからなるスラグに取り込み、溶銑中の燐を除去するという方法で行われている。気体酸素源及び固体酸素源は、まとめて酸素源と呼ばれている。
ところで、昨今の地球温暖化に代表される環境への影響に対応するべく、製鋼工程におけるスラグ排出量の削減が必須となっている。溶銑の脱燐処理においてスラグの排出量を削減するためには、溶融して脱燐用精錬剤として機能するスラグ(「脱燐精錬用スラグ」という)となる脱燐精錬剤の投入量を低減することが必要である。溶銑の脱燐処理における脱燐精錬剤の主体は生石灰(CaO)であり、従って、スラグ排出量を削減するためには、少ない生石灰の使用量で効率良く脱燐処理する技術が必要となる。
少ない脱燐精錬用スラグで効率良く脱燐処理するためには、供給した脱燐精錬剤を迅速に滓化させて、脱燐精錬用スラグを速やかに形成させることが重要であり、これを目的として、特許文献1には、CaOを主体とする脱燐精錬剤を、酸素ガスを搬送用ガスとして上吹き送酸ランスを介して溶銑浴面に吹き付けて添加する方法が提案されている。
また、特許文献2には、脱燐反応は低温ほど有利であり、特許文献1のように、CaOを主体とする脱燐精錬剤を酸素ガスとともに溶銑浴面に吹き付けて添加した場合には、溶銑温度が高くなり過ぎて、脱燐反応の促進には不利であるとして、酸素ガスの供給によって生成される溶銑浴面の火点に、CaOを主体とする脱燐精錬剤とともに、化学反応または熱分解反応により溶銑の熱を吸収する物質を供給し、溶銑を冷却しつつ脱燐処理する方法が提案されている。
特開2002−249814号公報
特開2003−328021号公報
特許文献1及び特許文献2のように、CaOを主体とする脱燐精錬剤を、酸素ガスの衝突箇所である火点に添加して脱燐処理する方法は、浴面に衝突した酸素ガスにより大量の酸化鉄が生成され、この酸化鉄と、CaOを主体とする脱燐精錬剤とが反応することから、CaOを主体とする脱燐精錬剤の滓化にとって極めて有利な条件となる。また、特許文献2では、溶銑の温度上昇を抑制するべく、化学反応または熱分解反応により溶銑の熱を吸収する物質を添加しており、特に、効率的な脱燐処理が期待される。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2においても、以下の問題点がある。即ち、酸素ガスが衝突する火点においては、CaOを主体とする脱燐精錬剤の滓化に必要な酸化鉄が形成されるが、同時に溶銑中の炭素も酸素ガスと反応し、溶銑中の炭素濃度が低下して、溶銑の熱余裕度が低下するという点である。特許文献2では、化学反応または熱分解反応により溶銑の熱を吸収する物質として、二酸化炭素、水蒸気、窒素酸化物、金属の炭酸塩、金属の水酸化物を挙げており、これらは何れも溶銑に対して酸化剤としてはたらき、溶銑の温度上昇は抑制するものの、溶銑の脱炭反応を抑制する機能はなく、却って溶銑の脱炭反応を促進させる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑を脱燐処理して低燐溶銑を製造するにあたり、気体酸素源の溶銑浴面への供給によりCaOを主体とする脱燐精錬剤の高い滓化促進作用が得られるとともに、気体酸素源が溶銑浴面と衝突して形成される火点での酸化反応に伴う溶銑の温度上昇を抑制することができ、且つ、溶銑中の炭素濃度の低下を抑制することができ、これにより、高い脱燐反応効率を得ることができると同時に、溶銑の熱余裕度を維持することのできる、低燐溶銑の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、鋭意研究・検討を重ねた。その結果、気体酸素源が衝突して形成される溶銑浴面の火点に投入した際に、熱分解反応によって火点の熱を吸収するとともに溶銑に対して炭素の供給源となり得る物質として、プラスチック及び石炭が最適であるとの知見を得た。プラスチックは高温下に曝されると、炭素、一酸化炭素、水素などに熱分解し、石炭も高温下に曝されると、炭素、一酸化炭素、水素などに熱分解し、この熱分解は吸熱反応であり、周囲の温度は低下する。また、熱分解によって生成する炭素は、溶銑に対して加炭剤として機能する。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る低燐溶銑の製造方法は、溶銑を保持した容器内に酸素源とCaOを主体とする脱燐精錬剤とを添加して溶銑の脱燐処理を行うことにより低燐溶銑を製造する方法において、溶銑浴面に浴面上方から気体酸素源を供給するとともに、該気体酸素源が溶銑浴面と衝突して形成される火点にプラスチック及び石炭のうちの少なくとも1種を供給することを特徴とするものである。
第2の発明に係る低燐溶銑の製造方法は、第1の発明において、前記CaOを主体とする脱燐精錬剤の少なくとも一部分を、前記火点に供給することを特徴とするものである。
本発明によれば、気体酸素源の溶銑浴面への供給によって、CaOを主体とする脱燐精錬剤の高い滓化促進作用が得られるとともに、気体酸素源が溶銑浴面と衝突して形成される火点での酸化反応に伴う温度上昇を抑制することができ、且つ、添加したプラスチックまたは石炭によって溶銑は加炭されるので、これにより、高い脱燐反応効率を得ることができると同時に、溶銑の熱余裕度を維持することができる。その結果、CaOを主体とする脱燐精錬剤の使用量を少なくしても、短時間で低燐溶銑を製造することが可能となり、低燐溶銑の製造コストの低減化、発生スラグ量の削減が達成される。また、溶銑の熱余裕度が向上することにより、次工程の転炉脱炭精錬では、溶銑配合比率を低くしたり、マンガン鉱石添加量を多くしたりすることが可能となり、省資源、省エネルギーが達成されるのみならず、転炉脱炭操業の安定化が達成される。
以下、本発明を具体的に説明する。
溶銑の脱燐処理は、通常、トーピードカーや溶銑鍋などの溶銑搬送容器、或いは転炉などの精錬炉を反応容器として用い、CaOを主体とする脱燐精錬剤と、酸素ガスなどの気体酸素源及び固体の酸化鉄などの固体酸素源とを、溶銑に添加し、溶銑中の燐を気体酸素源及び固体酸素源によって酸化し、生成した燐酸化物(P2O5)を、CaOを主体とする脱燐精錬剤などからなる脱燐精錬用スラグに取り込み、溶銑中の燐を除去するという方法で行われている。ここで、気体酸素源及固体酸素源は、まとめて酸素源と呼ばれている。
本発明の低燐溶銑の製造方法は、上記のように、溶銑を保持した容器内に酸素源とCaOを主体とする脱燐精錬剤とを添加して溶銑の脱燐処理を行うことにより低燐溶銑を製造する方法において、溶銑浴面に浴面上方から気体酸素源を供給するとともに、該気体酸素源が溶銑浴面と衝突して形成される火点にプラスチック及び石炭のうちの少なくとも1種を供給することを特徴とする。尚、CaOを主体とする脱燐精錬剤としては、通常、生石灰などのCaO系精錬剤が用いられるので、以下の説明では、CaOを主体とする脱燐精錬剤を「CaO系精錬剤」と記す。
本発明では、プラスチック及び/または石炭の熱分解反応による吸熱反応を利用して溶銑の熱を吸収する。溶銑の熱を吸収する物質としては、特許文献2に記載されているように、二酸化炭素、水蒸気、窒素酸化物、金属の炭酸塩、金属の水酸化物も使用可能であるが、これらは何れも溶銑に対して酸化剤として機能し、溶銑の脱炭反応を促進させることはあっても抑制することはなく、溶銑の熱余裕度を低下させる。これに対して、プラスチック及び石炭は、熱分解反応により生成される炭素が溶銑の加炭剤として機能し、溶銑の炭素濃度を上昇させる。即ち、プラスチック及び石炭は、溶銑の熱余裕度を上昇させる作用・効果を発揮する。ここで、本発明においては、プラスチック及び石炭を、その熱分解反応により溶銑の熱を吸熱していることから、まとめて「吸熱物質」とも記す。尚、脱燐処理後の溶銑の熱余裕度は、溶銑自体の温度と溶銑の炭素含有量とに左右され、溶銑温度及び炭素含有量が高くなればなるほど、溶銑の熱余裕度は高くなる。
上記のように、吸熱物質の溶銑浴面への添加の目的の1つは、脱燐処理は溶銑温度が低い方が有利であることから、溶銑浴面に供給された気体酸素源による発熱よって溶銑温度が過剰に上昇することを抑えることであり、このために、吸熱物質は気体酸素源が供給された溶銑浴面領域に供給する必要があり、特に、気体酸素源が供給される溶銑浴面領域の中でも、上吹き送酸ランスから供給される気体酸素源が溶銑浴面と衝突する箇所である“火点”と呼ばれる領域に供給する必要がある。この火点は、気体酸素源がガスジェットとして衝突することにより最も高温となる溶銑浴面領域であり、気体酸素源による酸化反応(FeOの生成反応)が集中し、且つ気体酸素源のガスジェットにより強撹拌されている領域であるため、吸熱物質の添加による効果が最も顕著に得られる領域である。吸熱物質を火点に添加することで、生成する炭素が直接溶銑と接触するので、加炭反応も促進される。
また、脱燐処理に際しては、気体酸素源が供給される溶銑浴面領域にCaO系精錬剤を供給する必要があり、このCaO系精錬剤の溶銑への供給は、CaO系精錬剤を気体酸素源や他の搬送用ガスを用いて、気体酸素源のガスジェットの溶銑浴面への衝突場である火点、つまり気体酸素源による酸化反応が集中し且つガスジェットによる強撹拌が行われている領域(FeOの主たる生成場)に、直接、吹き付けて供給(投射する)することが好ましい。具体的には、使用するCaO系精錬剤の50質量%以上を火点に供給することが好ましい。火点以外に供給されるCaO系精錬剤の割合が全体の50質量%を超えると、CaO系精錬剤を気体酸素源とともに火点に吹き付けることによる脱燐反応促進の効果が低下する傾向がある。
これにより、CaO系精錬剤中のCaOの滓化が促進されるとともに、CaOとFeOとの接触効率が高まって、CaOとFeOとの接触上の最適な条件となり、上記の火点への吸熱物質の添加による溶銑温度の上昇抑制効果とが相俟って、脱燐反応を更に効果的に促進させることができる。
プラスチック及び石炭、つまり吸熱物質の添加方法に特別な制限はなく、上吹き送酸ランスや他のランスからの搬送用ガスによる溶銑浴面への吹き付け添加、上置き装入(シュートなどを利用した装入)などで添加することができるが、吸熱物質を気体酸素源が供給された溶銑浴面領域つまり火点に、確実に供給して先に述べたような効果を得るためには、気体酸素源を供給する上吹き送酸ランスにより搬送用ガスともに溶銑浴面に供給することが好ましい。
また、CaO系精錬剤の添加方法も特別な制限はなく、上吹き送酸ランスや他のランスからの搬送用ガスによる溶銑浴面への吹き付け添加、上置き装入(シュートなどを利用した装入)などで添加することができるが、前述したように、少なくともCaO系精錬剤の一部分を火点に供給することが好ましく、この場合には、気体酸素源を供給する上吹き送酸ランスにより搬送用ガスともに溶銑浴面に供給することが好ましい。
吸熱物質及びCaO系精錬剤を上吹き送酸ランスにより溶銑浴面に供給する場合、吸熱物質及びCaO系精錬剤を気体酸素源と混合して、つまり気体酸素源を搬送用ガスとして、同じランス孔から溶銑浴面に供給する方法を採ることができるが、それ以外にも、例えば複数のランス孔を有する上吹き送酸ランスを用い、複数のランス孔のうちの一部のランス孔から気体酸素源のみを供給し、他のランス孔から気体酸素源または窒素ガスやArガスなどを搬送用ガスとして吸熱物質及びCaO系精錬剤を溶銑浴面に供給する方法も採ることができる。
この場合、具体的には、ランス先端の中央部に主ランス孔を、その周囲に複数の副ランス孔を有する上吹き送酸ランスを用い、副ランス孔からは気体酸素源を、主ランス孔からは気体酸素源または気体酸素源以外のガスを搬送用ガスとして吸熱物質及びCaO系精錬剤を溶銑浴面に供給することが好ましい。
尚、搬送用ガスを用いて吸熱物質及びCaO系精錬剤を供給する場合に、吸熱物質及びCaO系精錬剤の粒度が大きすぎると搬送が困難であるので、平均粒径5mm以下の粉粒物とすることが好ましい。また、吸熱物質は、その粒度が大きすぎると熱分解が迅速に進行しないが、平均粒径5mm以下の粉粒物とすることにより、熱分解も促進される。同様に、平均粒径を5mm以下とすることで、CaO系精錬剤の滓化も促進される。また、気体酸素源の吹き付けとCaO系精錬剤及び吸熱物質の吹き付けを、異なる上吹きランスを用いて行ってもよい。
本発明において使用する気体酸素源としては、酸素ガス(工業用純酸素を含む)、空気、酸素富化空気、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスなどを使用することができる。通常の脱燐処理の場合には、他のガスを使用した場合に比べて脱燐反応速度が速いことから、酸素ガスを使用することが好ましい。また、本発明において溶銑を保持した容器内に添加される酸素源としては、気体酸素源以外に酸化鉄(例えば、鉄鉱石、焼結粉、ミルスケール)などの固体酸素源を用いることができ、これらを上置き装入や浴中へのインジェクションなどの任意の方法で添加することができる。但し、上述したような溶銑浴面への気体酸素源の供給(吹き付け)による効率的な溶銑脱燐を行うためには、溶銑保持容器内に添加される酸素源のうちの50質量%以上、好ましくは70質量%以上(酸素ガスの換算量)が気体酸素源であることが好ましい。
また、本発明において使用するCaO系精錬剤としては、CaOを含有し、本件の意図する脱燐処理ができるものであれば特にCaOの含有量に制約はない。通常は、CaO単独からなるものや、またはCaOを50質量%以上含有し、必要に応じてその他の成分を含有するものである。
その他の成分としては一般に滓化促進剤が挙げられる。即ち、本発明は滓化促進剤の低減或いは省略を可能とする技術ではあるものの、滓化促進剤を添加して更に滓化効率を改善することを禁じるものではない。滓化促進剤としては、特に、CaOの融点を下げて滓化を促進させる作用のある酸化チタンや酸化アルミニウムを含有する物質が挙げられ、これらを使用することが好ましい。中でもスラグ粘度の観点からは酸化チタンの添加が好ましい。また、ホタル石などのフッ素含有物質も滓化促進剤として使用可能である。但し、スラグを廃棄処分などにする際に、スラグからのフッ素の溶出量を抑えて環境を保護する観点から、フッ素含有物質は媒溶剤として使用しないことが好ましい。
CaO系精錬剤の具体例としては、安価でしかも脱燐能に優れることから生石灰、石灰石を使用することが好ましい。また、軽焼ドロマイトや脱燐処理後の溶銑を次工程の転炉で脱炭精錬した際に発生するスラグ(「脱炭滓」ともいう)を、CaO系精錬剤として使用することもできる。脱炭滓は、CaOを主成分としており、しかも燐含有量が少ないことから、CaO系精錬剤として十分に利用することができる。
以上説明したように、本発明によれば、気体酸素源の溶銑浴面への供給によって、CaOを主体とする脱燐精錬剤の高い滓化促進作用が得られるとともに、気体酸素源が溶銑浴面と衝突して形成される火点での酸化反応に伴う温度上昇を抑制することができ、且つ、添加したプラスチックまたは石炭によって溶銑は加炭されるので、これにより、高い脱燐反応効率を得ることができると同時に溶銑の熱余裕度を維持することが実現される。その結果、少ないCaO系精錬剤の使用量であっても、短時間で低燐溶銑を製造することが可能となり、低燐溶銑の製造コストの低減化、発生スラグ量の削減が達成される。また、溶銑の熱余裕度が向上することにより、次工程の転炉脱炭精錬では、溶銑配合比率を低くしたり、マンガン鉱石添加量を多くしたりすることが可能となり、省資源、省エネルギーが達成されるのみならず、転炉脱炭操業の安定化が達成される。
高炉から出銑された珪素濃度が0.22〜0.25質量%の溶銑をトーピードカーで受銑し、この溶銑を300トン転炉に装入して脱燐処理を施した。転炉での脱燐処理では、転炉の炉底部から約0.1Nm3/min・溶銑tonの撹拌用ガス(窒素)を吹き込んで溶銑を攪拌しつつ、上吹き送酸ランスを用いて浴面上方から酸素ガスと生石灰粉、更に、一部の比較例を除きプラスチック粉または石炭粉を溶銑浴面に供給した。尚、生石灰の滓化促進効果が期待できる蛍石(CaF2)は添加しなかった。
上吹き送酸ランスは、ランス孔として、中心部に1つの主ランス孔とその周囲に3つの副ランス孔とを有するものを用いた。生石灰粉は粒径3mm以下に粉砕調製されたものを用い、これを切り出し装置から窒素ガスを搬送用ガスとして切り出し、配管内を搬送して上吹き送酸ランスに供給し、主ランス孔から窒素ガスとともに溶銑浴面に供給されるようにした。一方、別の配管ラインを通じて酸素ガスを上吹き送酸ランスに供給し、副ランス孔から溶銑浴面に供給されるようにした。トータルの送酸量は1.5Nm3/min・溶銑tonとした。
また、一部の比較例を除き、前記主ランス孔から生石灰粉とともに、プラスチック粉及び/または石炭粉を溶銑浴面に吹き付け、脱燐処理を実施した。脱燐処理前後の溶銑温度は、脱燐処理開始前:1283〜1305℃、脱燐処理終了後:1310〜1327℃であった。表1に、溶銑成分(脱燐処理前後の燐濃度)、生石灰の使用量、吸熱物質の添加条件、脱燐処理時間などを示す。
表1に示されるように、酸素ガスが供給された溶銑浴面領域つまり火点に、プラスチックまたは石炭を供給することにより、少ないCaO系精錬剤(生石灰)の使用量でも短時間で低燐溶銑を製造できることが確認できた。
Claims (2)
- 溶銑を保持した容器内に酸素源とCaOを主体とする脱燐精錬剤とを添加して溶銑の脱燐処理を行うことにより低燐溶銑を製造する方法において、溶銑浴面に浴面上方から気体酸素源を供給するとともに、該気体酸素源が溶銑浴面と衝突して形成される火点にプラスチック及び石炭のうちの少なくとも1種を供給することを特徴とする、低燐溶銑の製造方法。
- 前記CaOを主体とする脱燐精錬剤の少なくとも一部分を、前記火点に供給することを特徴とする、請求項1に記載の低燐溶銑の製造方法。
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JP2008154815A JP2009299125A (ja) | 2008-06-13 | 2008-06-13 | 低燐溶銑の製造方法 |
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