JP2009299105A - 成形加工用表面処理板 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレス成形時のプレス成形性及び耐傷付性に優れた成形加工用表面処理板を提供する。
【解決手段】本発明に係る成形加工用表面処理板1は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板に成形加工用の表面処理が施された成形加工用表面処理板であって、前記アルミニウム板2の少なくとも片面に形成された、フッ化アルミニウムに亜鉛を含有してなる下地膜3と、前記下地膜3の上に形成された、金属石鹸からなる中間膜4と、前記中間膜4の上に形成された、石鹸からなる表面膜5と、を備えることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車パネルなどに用いられる、アルミニウム板に成形加工用の表面処理を施した成形加工用表面処理板に関する。
自動車パネルなどの成形加工品は、所定の大きさのアルミニウム材又はアルミニウム合金材(以下、これらを総称して単に「アルミニウム材」という。)を、金型を用いたプレス成形により所望の形状を呈するように加工して製造されている。
そのため、かかるアルミニウム材としては、プレス成形性と耐傷付性(具体的にはプレス成形時の耐焼付性)の向上を目的として、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金を塑性加工する前に、ケイフッ化ナトリウム(NaSiF)およびフッ化亜鉛(ZnF)を含む処理液で表面処理(以下、「ケイフッ化物処理」という。)したものが広く用いられている。
また、ケイフッ化物処理の他にも有用な成形加工用表面処理材が幾つか開発されている。
例えば、特許文献1には、リン酸イオン、硝酸イオン及び亜鉛イオンを含有し、亜鉛イオン/リン酸イオンのモル比が0.7〜1.3である組成物と、ナトリウムイオンとフッ素イオンを含有し、ナトリウムイオン/フッ素イオンのモル比が0.6〜1.0である組成物とを、リン酸亜鉛系化成処理液のpHとフッ素イオン濃度を継続使用中に測定して適宜に補給することにより、当該リン酸亜鉛系化成処理液のリン酸イオン濃度とフッ素イオン濃度とを所望の値に保持するアルミニウム材のリン酸亜鉛系化成処理方法が記載されている。また、リン酸亜鉛系化成処理を行った後に更に石鹸処理を施すことで石鹸の表面膜を形成することが記載されている。
例えば、特許文献2には、アルミニウム材をカセイソーダベースにZnとキレート剤からなる処理液を用いて化成処理(ジンケート処理)した後、潤滑剤又は潤滑油で処理して塑性変形加工を行う潤滑処理方法が記載されている。また、潤滑剤として石鹸潤滑剤を用いるのが好ましい旨も記載されている。
また、例えば、特許文献3には、アルミニウム材を脱脂液に浸漬して表面を脱脂洗浄した後、当該アルミニウム材を水洗いして前記脱脂液を洗浄し、その後、ステアリン酸亜鉛等を温水で溶融した潤滑液に浸漬してアルミニウム材の表面に潤滑液を付着させ、次にアルミニウム材表面の潤滑液を乾燥させるアルミニウム材の表面潤滑処理方法が記載されている。
特開平10−237667号公報 特開平1−166827号公報 特開平8−73884号公報
アルミニウム材をケイフッ化物処理すると、表面にリン酸亜鉛系化成処理による化成膜を備えたアルミニウム材とすることができるが、表面の潤滑性が十分とはいえず、プレス成形性や耐傷付性に劣る結果となる。
そのため、ケイフッ化物処理された表面を石鹸処理し、石鹸の表面膜を備えさせたアルミニウム材も用いられているが、石鹸の表面膜が単にアルミニウム材の表面に付着しているにすぎないため、プレス成形時に金型と接触すると直ぐに表面膜が取り除かれ、アルミニウム材と金型が直接接触してしまうので耐傷付性に劣る結果となる。
また、特許文献1に記載の方法によれば、表面にZnと石鹸潤滑剤とからなる金属石鹸の表面膜を備えたアルミニウム材を得ることができるものの、鋼板のリン酸亜鉛処理のように下地膜の結晶中にFeが入らないため下地膜の硬度が不足し、耐傷付性に劣る結果となる。
そして、特許文献2に記載の方法によれば、表面にジンケート処理による下地膜と、ジンケート処理のZnと石鹸潤滑剤からなる金属石鹸の表面膜とを備えたアルミニウム材を得ることができるものの、下地膜が高い硬度を有する結晶構造のものではないため下地膜の硬度が不足し、耐傷付性に劣る結果となる。
更に、特許文献3に記載の方法によれば、特別な下地膜を備えず、表面にステアリン酸亜鉛(すなわち石鹸)を溶融した潤滑液を乾燥させた金属石鹸の表面膜を備えたアルミニウム材を得ることができるものの、下地膜を備えないため金型との接触を防止することができず、耐傷付性が劣る結果となる。
特に、板材で構成される自動車パネルにおいては、鋳鍛造品で構成される自動車足回り部品や押出し品で構成されるバンパー等の他の自動車材と比較して露出度が高いため、耐傷付性向上の要求がいっそう強くなってきており、このような従来の方法では要求を満足することが難しくなってきている。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレス成形時のプレス成形性及び耐傷付性に優れた成形加工用表面処理板を提供することにある。
(1)前記課題を解決した本発明に係る成形加工用表面処理板は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板に成形加工用の表面処理が施された成形加工用表面処理板であって、前記アルミニウム板の少なくとも片面に形成された、フッ化アルミニウムに亜鉛を含有してなる下地膜と、前記下地膜の上に形成された、金属石鹸からなる中間膜と、前記中間膜の上に形成された、石鹸からなる表面膜とを備えることを特徴としている。
このようにすれば、高硬度な結晶構造を有するフッ化アルミニウムの下地膜を備えているので、プレス成形時にアルミニウム板と金型が直接接触するのを極力防ぐことができ、耐傷付性を向上させることができる。また、下地膜には亜鉛が含まれているので金属石鹸からなる中間膜を化学反応によって下地膜に強固に付着させることができ、更にこの中間膜の上に潤滑性の高い石鹸からなる表面膜を備えているので、中間膜及び表面膜によってプレス成形性及び耐傷付性を向上させることができる。
(2)本発明に係る成形加工用表面処理板は、前記下地膜が、Znを5〜15質量%、Alを5〜20質量%、Fを30〜60質量%含み、残部が不純物を含んでなるのが好ましい。下地膜の成分と組成割合をこのような特定の範囲に制御すれば、下地膜に中間膜をより確実に付着させることができるようになる。したがって、プレス成形性及び耐傷付性をより向上させることが可能となる。
(3)本発明に係る成形加工用表面処理板は、前記石鹸が炭素数14〜24の脂肪酸アルカリ金属塩であり、前記金属石鹸が炭素数14〜24の脂肪酸亜鉛塩であるのが好ましい。石鹸及び金属石鹸の脂肪酸の炭素数をこのような特定の範囲とすれば、表面膜及び中間膜の粘性を適切なものとすることができるため、プレス成形性及び耐傷付性を確実に得ることができる。
(4)本発明に係る成形加工用表面処理板は、前記下地膜が1〜10g/mの皮膜量であるのが好ましく、(5)前記表面膜が1〜10g/mの皮膜量であるのが好ましく、(6)前記中間膜が1〜10g/mの皮膜量であるのが好ましい。下地膜、表面膜及び中間膜の皮膜量をこのような特定の範囲とすれば、これらの皮膜量が適切であるのでプレス成形性及び耐傷付性をより確実に得ることが可能となる。
本発明に係る成形加工用表面処理板によれば、フッ化アルミニウムに亜鉛を含有してなる下地膜と、金属石鹸からなる中間膜と、石鹸からなる表面膜とを備えているため、プレス成形時のプレス成形性及び耐傷付性に優れる。
そのため、本発明に係る成形加工用表面処理板によれば、例えば、自動車パネルなどを製造する際の歩留まりの向上やコストの削減を図ることができ、従来のアルミニウム板ではプレス成形することが困難であった形状に成形することが可能となる。
以下、図1を参照して本発明に係る成形加工用表面処理板について詳細に説明する。なお、図1は、本発明に係る成形加工用表面処理板の構成を説明する模式的断面図である。
図1に示すように、本発明に係る成形加工用表面処理板1は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板2に成形加工用の表面処理が施された成形加工用表面処理板であって、アルミニウム板2の少なくとも片面に形成された、フッ化アルミニウム(AlF)に亜鉛(Zn)を含有してなる下地膜3と、この下地膜3の上に形成された、金属石鹸からなる中間膜4と、この中間膜4の上に形成された、石鹸からなる表面膜5とを備えた構成となっている。
アルミニウム板2としては、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる被加工板材が挙げられる。なお、アルミニウムとしては、例えば、JIS H 4000に規定された1000系を用いることができる。また、アルミニウム合金としては、例えば、JIS H 4000に規定された5000系や6000系の合金を用いることができる。このようなアルミニウム合金からなるアルミニウム板2は、例えば、自動車パネルの製造に好適に用いることができる。
なお、本発明で用いることのできるアルミニウム板2はこれらに限定されるものではなく、他の金属元素等を含有してなる前記したアルミニウム相当またはアルミニウ合金相当の組成を有するアルミニウム板や、2000系、3000系、4000系、7000系の合金からなるアルミニウム板も用いることができる。
下地膜3は、耐傷付性の向上に強く影響し、金属石鹸からなる中間膜の形成のために必要である。
かかる下地膜3は、AlFにZnを含有してなるものであればよい。下地膜3に含まれるAlFは、例えば、鉄表面をリン酸亜鉛処理した際に形成されるホスホフィライトに類似する結晶構造を有しており、下地膜3の硬度を高くすることができるので、本発明に係る成形加工用表面処理板1の耐傷付性を向上させることができる。
なお、下地膜3は、Znを5〜15質量%、Alを5〜20質量%、Fを30〜60質量%含み、残部が後記する不純物を含んでなるものであればより好ましい。
下地膜3に含まれるZnは、表面膜5を形成する石鹸の成分である脂肪酸アルカリ金属塩と反応して金属石鹸である脂肪酸亜鉛塩を形成し、中間膜4を形成する。
そのため、下地膜3に含まれるZnの含有量が5質量%未満であると、Znの含有量が少なすぎるために金属石鹸の形成量が少なくなる傾向にある。したがって、良好なプレス成形性が得られない可能性がある。
また、下地膜3に含まれるZnの含有量が15質量%を超えるとZnの含有量が多すぎるため、相対的にホスホフィライトに類似する結晶構造を有するAlFの含有量が少なくなる傾向にある。したがって、良好な耐傷付性が得られない可能性がある。
下地膜3に含まれるAl及びFは、前記したAlFとして含まれているものであり、下地膜3の硬度を向上させる効果がある。
そのため、下地膜3に含まれるAlの含有量が5質量%未満、Fの含有量が30質量%未満であると、Al及びFの含有量が少なすぎるため、下地膜3の硬度が低くなったり、下地膜3の形成量が少なくなったりする傾向にある。したがって、良好な耐傷付性が得られない可能性がある。
また、下地膜3に含まれるAlの含有量が20質量%を超え、Fの含有量が60質量%を超えると、Al及びFの含有量が多すぎるため、相対的にZnの含有量が少なくなる傾向にある。つまり、金属石鹸の形成量が少なくなる傾向にあるため、良好なプレス成形性が得られない可能性がある。
なお、下地膜3は、前記した成分以外にも不純物として、Na、Li、K等のアルカリ金属を含んでいてもよい。アルカリ金属は、下地膜3のプレス成形性及び耐傷付性に影響を与えない含有量、例えば5〜50質量%含まれていてもよい。
またさらに、下地膜3は、前記した成分以外にも、酸素、工業用水などに由来するミネラル分などの不純物を含んでいてもよい。酸素は、下地膜3のプレス成形性及び耐傷付性に影響を与えない含有量、例えば20質量%まで含まれていてもよい。このような不純物としては、例えば、Ca、Si、Mgなどを挙げることができ、下地膜3のプレス成形性及び耐傷付性に影響を与えない含有量、例えば10質量%まで含まれていてもよい。
かかる下地膜3の皮膜量は1〜10g/mとするのがよい。下地膜3の皮膜量が1g/m未満となると、下地膜3の皮膜量が少なすぎるため、良好な耐傷付性が得られない可能性がある。
また、下地膜3の皮膜量が10g/mを超えても耐傷付性の向上や中間膜4の形成に影響がないばかりか、生産性に劣り、コストアップにつながるため好ましくない。
なお、下地膜3の皮膜量は、後記するように下地膜3を形成するための処理液の濃度、温度、処理時間等によって適宜に制御することができる。
中間膜4は、金属石鹸で形成されており、プレス成形性及び耐傷付性に強く影響する。かかる金属石鹸としては、炭素数14〜24の脂肪酸亜鉛、例えば、炭素数18のステアリン酸亜鉛塩及び炭素数16のパルミチン酸亜鉛塩などを挙げることができる。なお、金属石鹸は、ステアリン酸亜鉛塩及びパルミチン酸亜鉛塩などから1種又は2種以上を含んでもよいことはいうまでもない。
脂肪酸亜鉛の炭素数が14未満であると、本発明においては十分な潤滑性が得られないため、これによって形成された中間膜ではプレス成形性及び耐傷付性が不十分となるおそれがある。
また、脂肪酸亜鉛の炭素数が24を超えると、金属石鹸を形成するための処理液の粘度が高くなりすぎてしまい、生産性に劣る結果となる。
かかる中間膜4の皮膜量は1〜10g/mとするのがよい。中間膜4の皮膜量が1g/m未満となると、中間膜4の皮膜量が少なすぎるため、良好なプレス成形性及び耐傷付性が得られない可能性がある。
また、中間膜4の皮膜量が10g/mを超えてもプレス成形性及び耐傷付性の向上は望めない。また、生産性に劣り、コストアップにつながるため好ましくない。
なお、中間膜4の皮膜量は、後記するように下地膜3の形成状態、例えばZnの含有量や、表面膜5を形成するための処理液の濃度、温度、浸漬時間等によって、表面膜5とともに適宜に制御することができる。
表面膜5は、石鹸で形成されており、プレス成形性の向上に強く影響する。かかる石鹸としては、炭素数14〜24の脂肪酸アルカリ金属塩、例えば、炭素数18のステアリン酸アルカリ金属塩及び炭素数16のパルミチン酸アルカリ金属塩などを挙げることができる。なお、石鹸は、ステアリン酸アルカリ金属塩及びパルミチン酸アルカリ金属塩などから1種又は2種以上を含んでもよいことはいうまでもない。脂肪酸アルカリ金属塩のアルカリ金属塩としては、例えば、Na塩、K塩、Li塩などを挙げることができる。
脂肪酸アルカリ金属塩の炭素数が14未満であると、本発明においては十分な潤滑性が得られないため、これによって形成された表面膜ではプレス成形性が不十分となるおそれがある。
また、脂肪酸アルカリ金属塩の炭素数が24を超えると、石鹸を形成するための処理液の粘度が高くなりすぎてしまい、生産性に劣る結果となる。
かかる表面膜5の皮膜量は、1〜10g/mとするのがよい。表面膜5の皮膜量が1g/m未満となると、表面膜5の皮膜量が少なすぎるため、良好なプレス成形性が得られない可能性がある。
また、表面膜5の皮膜量が10g/mを超えてもプレス成形性の向上は望めない。また、生産性に劣り、コストアップにつながるため好ましくない。
表面膜5の皮膜量は、後記するように下地膜3の形成状態、例えばZnの含有量や、表面膜5を形成するための処理液の濃度、温度、浸漬時間等によって、中間膜4とともに適宜に制御することができる。
本発明に係る成形加工用表面処理板1の下地膜3の組成は、例えば、電子線マイクロアナリシス(EPMA)による定量分析によって測定することができる。
また、本発明に係る成形加工用表面処理板1の下地膜3、中間膜4、表面膜5の各皮膜量は、例えば、これらの皮膜を形成したサンプル板を、測定対象となるそれぞれの皮膜用に調製された以下の(1)〜(3)に示す溶液及び条件で順次浸漬してそれぞれの皮膜を溶解させ、各溶液に浸漬する前後における重量差から算出することができる。
(1)表面膜:純水に90℃×30分間浸漬
(2)中間膜:混合溶剤(イソプロピルアルコール:n−ヘプタン:エチルセルソルブ=6:3:1)に75℃×15分間浸漬
(3)下地膜:5%スルファミン酸に室温×20分間浸漬
本発明に係る成形加工用表面処理板1は、例えば、以下のようにして製造することができる。
(第1ステップ)
所定の形状のアルミニウム板2を用意してその表面に、1〜10質量%のケイフッ化ナトリウム(NaSiF)などのケイフッ化塩と、0.1〜1質量%のZnとを含む水溶液を使用し、75〜95℃×15秒間から5分間の浸漬又はスプレー処理を施すことで下地膜3を形成する。
なお、この第1ステップは、下地膜3を形成する工程であるので、望ましくは予め実験等するなどして、Znを5〜15質量%、Alを5〜20質量%、Fを30〜60質量%含み、残部が不純物を含んでなる皮膜となるような成膜条件を求めておくとよい。
ここで、ケイフッ化塩の含有量が1質量%未満であると、下地膜3に形成されるAlFの含有量が少なくなり、ホスホフィライトに類似する結晶構造を有した下地膜3を十分に形成することができないおそれがある。つまり、下地膜3の硬度が低くなったり、下地膜3の形成量が少なくなったりする傾向にあり、良好な耐傷付性が得られない可能性があるので好ましくない。
一方、ケイフッ化塩の含有量が10質量%を超えると下地膜3に形成されるAlFの含有量が多くなり、相対的にZnの含有量が少なくなる傾向にある。つまり、金属石鹸の形成量が少なくなり、良好なプレス成形性が得られない可能性があるので好ましくない。
Znの含有量が0.1質量%未満であると、下地膜3に含まれるZnの含有量が少なくなる傾向にある。つまり、金属石鹸の形成量が少なくなり、良好なプレス成形性が得られない可能性があるので好ましくない。
一方、Znの含有量が10質量%を超えると、下地膜3に含まれるZnの含有量が多くなり、相対的にホスホフィライトに類似する結晶構造を有するAlFの含有量が少なくなる傾向にある。つまり、良好な耐傷付性が得られない可能性があるので好ましくない。
また、第1ステップの温度条件が75℃未満であったり、時間条件が15秒間未満であったりすると、下地膜3の皮膜量が不十分になるおそれがある。
一方、第1ステップの温度条件が95℃を超えたり、時間条件が5分間を超えたりすると、下地膜3の皮膜量が多くなりすぎるため、生産性に劣り、コストアップにつながるため好ましくない。
なお、この第1ステップの温度条件、時間条件、処理液の濃度を増減することによって下地膜3の皮膜量やZn,Al,Fの含有量を制御することができる。
(第2ステップ)
次いで、1〜20質量%の脂肪酸アルカリ金属塩(炭素数14〜24)を含む水溶液を使用し、60〜90℃×2〜15分間の浸漬、スプレー処理又はロールコート処理を施すことで、下地膜3のZnと脂肪酸アルカリ金属塩とを化学反応させて脂肪酸亜鉛塩、すなわち金属石鹸からなる中間膜4を形成するとともに、下地膜3のZnと化学反応しない脂肪酸アルカリ金属塩、すなわち石鹸からなる表面膜5を形成する。
ここで、脂肪酸アルカリ金属塩の含有量が1質量%未満であると、中間膜4の金属石鹸の形成量、表面膜5の石鹸の形成量、中間膜4の皮膜量、及び表面膜5の皮膜量のうちの少なくとも一つが不十分となるおそれがある。そのため、良好なプレス成形性及び耐傷付性を得ることができない可能性があるので好ましくない。
一方、脂肪酸アルカリ金属塩の含有量が20質量%を超えると、中間膜4の金属石鹸の形成量、表面膜5の石鹸の形成量、中間膜4の皮膜量、及び表面膜5の皮膜量のうちの少なくとも一つが多くなりすぎるため、生産性に劣り、コストアップにつながるため好ましくない。
なお、この第2ステップの温度条件、時間条件、処理液の濃度を増減することによって中間膜4の皮膜量や表面膜5の皮膜量を制御することができる。
以上に説明したように、本発明に係る成形加工用表面処理板1は、僅か2つの水溶液を用意して、所定の条件で塗布するだけでアルミニウム板2の上に下地膜3と、中間膜4と、表面膜5とを備えた三層構造の処理板として得ることができる。
なお、下地膜3の形成(第1ステップ)前には、アルミニウム板2の表面に酸又はアルカリを接触させて、又はアルカリと酸を順次接触させて、エッチング面を形成する、所謂エッチングを行うことが好ましい。エッチングにより下地膜3、中間膜4および表面膜5の処理ムラを防止することができる。エッチング方法は、酸又はアルカリ等をアルミニウム合金板表面にスプレーする方法、酸浴又はアルカリ浴に浸漬する方法等が挙げられる。酸としては、1〜20質量%無機酸水溶液、例えば、硝酸水溶液、硫酸水溶液等が好ましく、硝酸と硫酸との混酸水溶液でもよい。また、無機酸水溶液に微量の界面活性剤等を添加したものであってもよい。アルカリとしては、0.5〜5質量%炭酸ソーダ系、0.5〜5質量%珪酸ソーダ系、0.5〜5質量%リン酸ソーダ系、0.1〜1質量%苛性ソーダ系脱脂溶液等を用いることができる。なお、エッチング温度は60〜90℃、エッチング時間は1〜15秒が好ましいが、アルミニウム板2の表面状態に合わせて適宜設定することができる。
なお、以上に示した製造方法は、製造方法の一例を示しただけであるので、各ステップにおける成膜条件や溶液の成分及び含有量などは、前記したものに限定されないことはいうまでもない。例えば、溶液に含まれているある特定の成分が低い濃度で含有されているような場合であっても、比較的長い時間浸漬等することによって、当該成分を所望の含有量で含む皮膜を形成することが可能である。
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
アルミニウム板として、JIS H 4000に規定するA5182を使用し、このアルミニウム板を硝酸水溶液でエッチングした後、ケイフッ化ナトリウムとZnとを含む水溶液、及び脂肪酸ナトリウム塩水溶液により順次処理するとともに、各水溶液の濃度、温度及び処理時間を調整することによって、表1のNo.1〜8の皮膜構成、すなわち下地膜、中間膜及び表面膜を備えた成形加工用表面処理板を製造した。
また、比較例として、表1のNo.9〜15の表面処理板を用いた。No.9は、アルミニウム板を、Znを含まないケイフッ化ナトリウム水溶液により下地処理した後、脂肪酸ナトリウム塩水溶液により処理したものである。No.10は、ケイフッ化ナトリウム及びフッ化亜鉛を含む市販の処理液によりリン酸亜鉛下地処理した後、脂肪酸ナトリウム塩水溶液により処理したものである。No.11は、市販のジンケート処理液により下地処理した後、脂肪酸ナトリウム塩水溶液により処理したものである。No.12、13、14はそれぞれ、下地処理せずに、脂肪酸ナトリウム塩水溶液、脂肪酸亜鉛塩水溶液、脂肪酸カルシウム塩水溶液のみにより処理したものであり、No.15は、表面処理していないアルミニウム板である。
Figure 2009299105
表1に示したNo.1〜15のプレス成形性および耐傷付性を以下のようにして評価した。
(1)プレス成形性の評価
プレス成形性の評価は、以下に示す角筒絞り試験によって行った。すなわち、頭部形状が正方形の角筒ダイス(一辺42.5mm、肩半径3mm)及び角筒ポンチ(一辺40mm、肩半径4.5mm)からなる金型を用い、一辺が100mmの正方形状となるように成形したNo.1〜15の成形加工用表面処理板に対して、成形速度20mm/minで角筒絞り成形を行った。
そして、プレス成形後の成形高さを測定した。なお、成形にあたっては、しわ押え力(BHF)を1.0トンとし、金型に洗浄プレス油を塗布した。
プレス成形後の成形高さが10mm以上のものを良い(◎)、9mm以上10mm未満のものを可(○)、8mm以上9mm未満のものを不可(△)、8mm未満のものを悪い(×)と評価し、良い(◎)及び可(○)と合格とした。
(2)耐傷付性の評価(平板摺動試験)
耐傷付性の評価は、以下に示す平板摺動試験によって行った。すなわち、長さ400mm、幅30mm、端面ミーリング仕上げの長方形状のNo.1〜15の成形加工用表面処理板と、金型との組み合わせで、面圧2.5kgf/mm(加圧力2000kgf)、つまり、面圧24.5MPa(加圧力19600N)、摺動速度500mm/minで50mm摺動させた後、No.1〜15の成形加工用表面処理板を目視評価した。なお、摺動にあたっては、金型に洗浄プレス油を塗布した。
目視評価の結果、傷が非常に少ないものを良い(◎)、傷が少ないものを可(○)、傷が多いものを不可(△)、傷が非常に多いものを悪い(×)と評価し、良い(◎)及び可(○)を合格とした。
プレス成形性及び耐傷付性の評価結果を表2に示す。
Figure 2009299105
表2に示すように、No.1〜8は、下地膜、中間膜及び表面膜の構成が本発明の要件を満たしていたので、プレス成形性及び耐傷付性に優れていた。特に、No.1、2、5、6は、下地膜の成分、組成比率、皮膜量と、中間膜の種類及び皮膜量と、表面膜の種類及び皮膜量とが適切であったので、プレス成形性及び耐傷付性のいずれの評価も優良であった。
これに対してNo.9〜15は、下地膜の成分、組成比率、皮膜量と、中間膜の種類及び皮膜量と、表面膜の種類及び皮膜量とのうちの少なくとも一つが本発明の要件を満たしていないために、プレス成形性及び耐傷付性に劣る結果となった。
以上、本発明の成形加工用表面処理板について、発明を実施するための最良の形態および実施例を示して具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に何ら限定されるものではなく、その権利範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、当業者であれば、本明細書の発明を実施するための最良の形態および実施例の記載に基づいて容易に変更、改変して本発明の成形加工用表面処理板と均等な方法を得ることができ、そのようなものも本発明の成形加工用表面処理板に含まれる。
本発明に係る成形加工用表面処理板の構成を説明する模式的断面図である。
符号の説明
1 成形加工用表面処理板
2 アルミニウム板
3 下地膜
4 中間膜
5 表面膜

Claims (6)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板に成形加工用の表面処理が施された成形加工用表面処理板であって、
    前記アルミニウム板の少なくとも片面に形成された、フッ化アルミニウムに亜鉛を含有してなる下地膜と、
    前記下地膜の上に形成された、金属石鹸からなる中間膜と、
    前記中間膜の上に形成された、石鹸からなる表面膜と、
    を備えることを特徴とする成形加工用表面処理板。
  2. 前記下地膜が、Znを5〜15質量%、Alを5〜20質量%、Fを30〜60質量%含み、残部が不純物を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の成形加工用表面処理板。
  3. 前記石鹸が炭素数14〜24の脂肪酸アルカリ金属塩であり、
    前記金属石鹸が炭素数14〜24の脂肪酸亜鉛塩である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成形加工用表面処理板。
  4. 前記下地膜が1〜10g/mの皮膜量であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の成形加工用表面処理板。
  5. 前記表面膜が1〜10g/mの皮膜量であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の成形加工用表面処理板。
  6. 前記中間膜が1〜10g/mの皮膜量であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の成形加工用表面処理板。
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