JP2009299007A - 接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】2段硬化型であり、可とう性基板を貼り合わせる時には、適度な硬さと仮固定可能なだけの粘着性を示し、硬化反応終了後は、硬すぎず適度な弾性体である接着剤組成物を提供する。
【解決手段】接着剤組成物を、熱硬化型のエポキシ系樹脂および光硬化型のアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂を含んで構成し、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の硬化反応によるゲル状態を経た後、エポキシ系樹脂の硬化反応を行う。
【選択図】図2
【解決手段】接着剤組成物を、熱硬化型のエポキシ系樹脂および光硬化型のアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂を含んで構成し、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の硬化反応によるゲル状態を経た後、エポキシ系樹脂の硬化反応を行う。
【選択図】図2
Description
本発明は、パネル構造体、特にはディスプレイパネルの製造において2枚の可とう性基板を貼り合せた構成の可とう性パネル構造体を作製する際に利用することのできる接剤性組成物に関するものである。
ディスプレイパネルに代表されるパネル構造体の製造には様々な有機高分子材料が用いられているが、その中でもエポキシ化合物は、化学的安定性、絶縁性、耐熱性、寸法安定性、力学的強度にバランスよく優れており、パネル部材の接着剤・封止(シール)剤として広く用いられている。エポキシ化合物の反応は一般的には1分子内に2つ以上存在するエポキシ基(グリシジル基)がアミン・イミダゾールなどの塩基類、酸無水物、あるいはカチオン種などにより開環反応を起こすことにより3次元架橋体を形成することで進行する。工業的に電子部材用途にエポキシ化合物を用いる場合、工程での取り扱いの観点から、室温での反応を抑え加熱により反応が開始される潜在性硬化剤(アミンアダクト)を含有させ、1液性接着剤としての形態をとることが多い(例えば、特許文献1、2を参照)。
それら1液性エポキシ系化合物を例えばディスプレイパネルの製造工程へ適用させるため、アクリルなど他の反応種と混合した2段硬化型のエポキシ系材料が開発されている(例えば、特許文献3、4を参照)。1段階目に相当する半硬化状態を経ることで基板圧着時のシール剤パンクの防止や基板の仮固定を可能にしている。
また最近、次世代のディスプレイの候補として、可とう性(=フレキシブル性)を有する樹脂基板から構成されるディスプレイパネルの開発が盛んに行われている。特に、電源を切断しても表示が維持されるいわゆる電子ペーパー機能を示す表示素子(例えば、電気泳動方式、電子粉流体(登録商標)方式、コレステリック液晶方式)において、フレキシブルな形態をパネルに付与する開発が注目を集めている。電子ペーパー開発においては基板だけでなく、パネル基板間空間を仕切る隔壁やパネル基板の貼り合わせなどに用いる接着剤といった各種部材に対してもフレキシブルディスプレイパネルに代表されるフレキシブルパネル構造体に対応した材料を新たに開発する必要がある。
エポキシ系化合物を例えばフレキシブルディスプレイパネルへ適用しようとする場合、汎用のエポキシ系材料では材料が硬すぎるため適していない。すなわち、現在市販されているディスプレイパネル用の基板であるガラス基板の貼り合わせに関しては、接着性、非汚染性という面からエポキシ系材料は非常に優れている(ガラス基板に対して垂直方向の引っ張りモードに対して接着力が大きい)が、電子ペーパーのようなフレキシブルなパネル基板、例えばプラスチックフィルムなどに対しては材料が硬すぎると(貯蔵弾性率(E’)でおよそ1×109Pa以上)、曲げやはがれといったピールモードに対して簡単に界面はく離を起こしてしまう。
また、ディスプレイパネルの製造工程内においてフレキシブルな2枚の基板を貼り合せる場合、ラミネートやプレスなどの方法があるが、貼り合せた直後は2枚の基板はまだ仮固定状態にあり、接着材料の本硬化工程に入るまで形状を保持させる必要がある。したがって接着剤等の材料には、本硬化工程以前において適度な粘度および粘着性が必要となる。特に厚みが薄いフレキシブルフィルム基板では、平滑性に乏しかったり、反りが発生しやすかったりする理由から、貼り合せた場合、接着剤に適度な粘着性がないと、接着形状が崩れたり貼り合せた2枚のフィルム基板がすべって位置がずれたりするなどの不都合が生じる。多くの液晶方式のディスプレイパネル用エポキシ系シール剤に見られるような、低粘度(数Pa・s〜100Pa・s)で低粘着性の材料では、2枚のフレキシブル基板特にフレキシブルフィルム基板を仮固定すると工程移動中にはがれてしまう可能性がある。従ってフレキシブル基板、特にフレキシブルフィルム基板の接着材料は2段硬化型とし、粘着性のある半硬化状態で貼り合せを行った後本硬化を行うのが望ましい。
これまでいくつかの光および熱による2段硬化型のエポキシ系材料が開発・市販されているが、フレキシブルパネル用に設計されていないため、光硬化反応時点での状態で材料が硬くなり過ぎ(貯蔵弾性率(E’)で1×107Pa以上)、フレキシブル基板を貼りあわせるのには、材料がつぶれない、粘着性が低く、仮固定されないなどの理由から、適していない。また、低弾性のエポキシ系接着剤も市販品が存在するが、2段硬化型のものはまだない。
上述のように、エポキシ系化合物からなるフレキシブルパネルの接着剤あるいはシール剤には、(1)2段硬化型であること、(2)パネル基板の貼り合わせ時には、適度な硬さ(貯蔵弾性率E’で1×102Pa〜1×106Pa)と仮固定可能なだけの粘着性を示すこと、(3)本硬化後は、硬すぎず適度な弾性体(E’:1×105Pa〜1×108Pa)であること、が必要である。さらに望ましくは、工程安定化・安全・環境面の観点から、材料系が無溶剤(沸点が150℃以下の物質を含有しない)であることが好ましい。
本発明の目的は上述した問題点を解消して、2段硬化型であり、パネル基板、特にはフレキシブルなパネル基板を貼り合わせる時には、適度な硬さと仮固定可能なだけの粘着性を示し、本硬化後は、硬すぎず適度な弾性体である接着剤組成物を提供しようとするものである。
本発明では上記課題を達成し電子ペーパー等の可とう性パネル構造体に適したパネル基板貼り合わせ材料を開発するため、熱硬化型のエポキシ系樹脂と光硬化型のアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂を混合し、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の硬化反応によるゲル状態を経た後、エポキシ系樹脂の硬化反応を行う材料配合系を新たに発案し、開発した。
本発明の接着剤組成物は、熱硬化型のエポキシ系樹脂および光硬化型のアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂とを含んでなり、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の硬化反応によるゲル状態を経た後、エポキシ系樹脂の硬化反応を行うことを特徴とするものである。
また、本発明の接着剤組成物の特性面での好適例としては、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の反応が光ラジカル発生剤により開始され、硬化反応後のゲル状態が貯蔵弾性率(E’)で1×102Paから1×106Paの範囲になること、エポキシ系樹脂の硬化反応が熱による潜在性硬化剤 (カチオン種、アミン・イミダゾールアダクトなど) の活性化により開始されること、エポキシ系樹脂がビスフェノールA型あるいはF型、あるいはそれらの誘導体からなること、エポキシ系樹脂として用いるビスフェノールA型あるいはF型化合物、あるいはそれらの誘導体へ、硬化反応終了後の硬化物の硬さを貯蔵弾性率(E’)で1×106Paから1×1010Paの範囲で調整できること、エポキシ系樹脂として用いるビスフェノールA型あるいはF型化合物、あるいはそれらの誘導体へ単官能グリシジル化合物あるいは、ゴム弾性を示す高分子あるいは液状のゴムを混合して、硬化反応終了後の硬化物の硬さを貯蔵弾性率(E’)で1×106Paから1×1010Paの範囲で調整できること、沸点が150℃以下の物質を含有しないこと、可とう性を要する部分に適用すること、がある。
さらに、本発明の接着剤組成物の用途面での好適例としては、2枚の可とう性基板を貼り合せて、可とう性基板間に空間を有する可とう性パネル構造体とする際に用いる接着剤組成物であること、がある。
本発明では、熱硬化型のエポキシ系樹脂および光硬化型のアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂を含んでなり、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の硬化反応によるゲル状態を経た後、エポキシ樹脂の硬化反応を行うことで、2段硬化型であり、パネル基板を貼り合わせる時には、適度な硬さと仮固定可能なだけの粘着性を示し、硬化反応終了後は、硬すぎず適度な弾性体である接着剤組成物を得ることができる。
以下、本発明の項目内容を発明の考えに添って説明する。
2段硬化型の接着剤を作製するに当たり、反応形態(反応種)を1段階目:光硬化(アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂)、2段階目:熱硬化(エポキシ系樹脂)とした。それぞれの過程でアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の反応とエポキシ系樹脂の反応とを別々に進行させるために、前半はアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の光ラジカル発生剤による光硬化反応を、後半は潜在性アミン・イミダゾール硬化剤によるエポキシ系樹脂の開環反応を反応形態として選択した。他の反応を選択すると、例えば光カチオン重合では、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂とエポキシ系樹脂との両方が反応してしまうため、制御が難しくなる。
本発明では、1段階目におけるアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の光硬化によるゲル状態(貯蔵弾性率E’=1×102Pa〜1×106Pa)の形成が最も重要であり、これにより、(a)粘着性付与に伴うフィルムの仮固定、(b)ラミネートなどの貼り合わせ工程における必要な厚さまでの変形、および(c)ゲル状態の自立性・形状保持性による本硬化前までの長期保存、などが可能となる。この光硬化によるゲル状態の形成が、従来発明技術や市販品と大きく異なる点である。
ゲル状態を形成させる、すなわちアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の硬化物による3次元構造体を形成させるために、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂は単官能モノマーと多官能モノマーとを共用するのが適している。混合量は特に制限はないが、適度なゲル状態とするためには、エポキシ系樹脂に対しアクリル系樹脂および/またはアクリル系樹脂を5重量%から20重量%添加するのが好ましい。
エポキシ系樹脂を硬化させる反応系は、潜在性のものであればアミン・イミダゾールの他に、カチオン系(熱カチオン発生剤)でも可能だが、反応速度を考慮するとアミン・イミダゾール系の方が望ましい。
一般的に熱硬化反応終了後のエポキシ硬化物(例えばビスフェノールA型やF型化合物の硬化物)は非常に硬いため、フレキシブルパネルに適用させるためには、弾性率を若干下げる必要がある。方法としては、(a)室温で固体あるいは液体であるゴム性高分子を混合する、(b)種々のエポキシ系改質剤(脂環式エポキシ化合物や単官能エポキシ化合物)を混合する、などが挙げられる。(a)の場合、室温で固体であるゴム性高分子はエポキシに対する溶解性が低いために、溶かし込むための溶媒が必要となり、アミン・イミダゾール硬化剤の潜在性が低下してしまう。また、室温で液体であるゴム性高分子(液状ゴム)はエポキシ系化合物にはよく相溶するが、入れすぎると硬化物がもろく、粉っぽくなってしまう。発明者の検討では、(b)のエポキシ系改質剤、その中でも特に、単官能のエポキシ系化合物(単官能グリシジル化合物)を混合するのが硬化物を柔らかくするのに総合的に最も適していると判断している。
本発明における、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂−エポキシ系樹脂からなる接着剤組成物は、基本的に無溶剤の形態で用いることが可能であり、工程面での安定化や安全・環境面でも望ましいと言える。
本発明の接着剤組成物は、可とう性(=フレキシブル性)を要する部分、例えばフレキシブルなフィルム状パネル基板の接着に好適に用いることができる。特に上述したように、フレキシブルなフィルムをパネル基板として用いた可とう性パネル構造体であるフレキシブルディスプレイパネル(電子ペーパー)の構造部材の接着に適している。情報の表示方法としては、電子粉流体(登録商標)方式や電気泳動方式、液晶方式、エレクトロルミネッセンス(EL)方式などが挙げられる。フレキシブルディスプレイパネルにおいて特にパネル基板間の空間に配置する接着剤や枠シール剤、さらに導電粒子を含有した異方導電性シール剤などへ適用できる。
エポキシ系化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビスフェノールAの誘導体、ビスフェノールFおよびそれらの誘導体、さらに脂環型、ビフェニル型、グリシジルエステル型を用いることができる。単官能のエポキシ化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、t−ブトキシフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテルを用いることができる。
単官能アクリル系化合物としては、直鎖アルキルエステルや、イソブチル基やイソプロピル基など分岐構造を有するもの、さらに、シクロヘキシル基などの脂環式の誘導体、水酸基やカルボキシル基、アミン基を有する誘導体が適用できるが、潜在性硬化剤の貯蔵安定性を考慮すると、構造をエポキシ系化合物と類似させるほうが望ましく、例えばグリシジルアクリレートなどが好ましい。多官能のアクリル系化合物としては、直鎖あるいは分岐アルキル鎖のジアクリレートやオリゴオキシエチレンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどが適用できる。
単官能メタクリル系化合物としては、直鎖アルキルエステルや、イソブチル基やイソプロピル基など分岐構造を有するもの、さらに、シクロヘキシル基などの脂環式の誘導体、水酸基やカルボキシル基、アミン基を有する誘導体が適用できるが、潜在性硬化剤の貯蔵安定性を考慮すると、構造をエポキシ系化合物と類似させるほうが望ましく、例えばグリシジルメタクリレートなどが好ましい。多官能のメタクリル系化合物としては、直鎖あるいは分岐アルキル鎖のジメタクリレートやオリゴオキシエチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが適用できる。
光ラジカル発生剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン製Irgacure 184)、2、2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・ジャパン製Irgacure 651)などのアルキルフェノン系や、2、4、6−トリメチルベンソイル−ジフェニルフォスフォンオキサイドなどのアシルフォスフォンオキサイド系を用いることができる。
潜在性硬化剤としては、アミンアダクトやジシアンアミド、ジヒドラジド化合物、イミダゾール類の塩などを用いることができる。また、カチオン系として芳香族スルホニウム塩を用いることができる。
ゴム性を示す高分子としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、およびそれらの誘導体あるいは水素添加型を用いることができる。
本発明の接着剤組成物では、必要に応じて、3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、などのシランカップリング剤を添加できる。
本発明の接着剤組成物では、必要に応じて、シリカなどのフィラーを混合して粘度を調整する。
本発明の接着剤組成物が適用可能なフレキシブルディスプレイパネルの例として、帯電粒子移動方式のフレキシブルディスプレイパネルを示す(図1)。少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁7および基板間距離確保用部材4で形成された各セルにおいて、フレキシブル基板1に設けた電極5(ライン電極)とフレキシブル基板2に設けた電極6(ライン電極)とが対向直交交差して形成する対電極間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、白黒ドットでマトリックス表示している。なお、図1(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。基板2としては光透過性がある透明なフレキシブル材料が好ましく、各種プラスチック材料から適宜選択して用いる。基板1としては光透過性がなくてもよいので、絶縁材料で被覆された金属シートや各種プラスチックシートを適宜選択して用いる。本発明の接着剤組成物を、2枚のフレキシブル基板を貼り合わせる際に接着剤として用いることができる。
図2(a)、(b)はそれぞれ本発明の接着剤組成物を用いた可とう性パネル構造体の一例である電子ペーパー用パネル構造体を説明するための図である。図2(a)、(b)に示す例では、基板間距離確保用部材4およびセルに仕切るための隔壁7により間隔を空けてフレキシブル基板1、2を対向して設けることでフレキシブルパネル(可とう性パネル構造体)を構成している。そして、フレキシブルパネルの外周部に、本発明の接着剤組成物をシール剤11として設け、ディスプレイパネルの内部を外部の雰囲気からシールし、基板間距離確保用部材4および隔壁7の上に接着剤12として設け、2枚のパネル基板を貼り合わせている。なお、基板1、2間に公知の種々の表示媒体を封入して各種表示方式のフレキシブルディスプレイパネルとすることができる。
パネル構造体において基板に設ける隔壁について一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmである。隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは10〜100μmであり、パネル基板間隔の所要距離以内で、基板間距離確保用部分は基板間距離と同じに、それ以外のセル形成用隔壁部分は基板間距離と同じか、それよりも低くすることができる。また、隔壁を形成するにあたり、対向する2枚のパネル基板の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明の接着剤組成物は、いずれの方法も好適に用いられる。
基板間距離を確保することも担う隔壁(基板間距離確保用部材)およびセル形成用隔壁の形成材料としては、ドライフィルムレジスト材が好適に用いられる。一例として、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)を使用することができる。
形成したい隔壁部分の高さに合せた厚みのドライフィルムレジスト材をパネル基板に積層し、所定形状のフォトマスクを用いてフォトリソ法によってパターニングしたり、金型を用いて隔壁を転写形成したりすることができる。
セルの横断面形状は、四角形、三角形、六角形等の多角形や、円形、楕円形、レーストラック形等いずれでも良いし、複数の形状を組み合わせても良い。領域の開口率を大きくできる点からは四角形が好ましく、表示媒体を構成する粒子を移動しやすくできる点からは曲線を有する形状が好ましい。以上の観点から角丸付きの四角形が好ましく用いられる。
セルの横断面形状は、四角形、三角形、六角形等の多角形や、円形、楕円形、レーストラック形等いずれでも良いし、複数の形状を組み合わせても良い。領域の開口率を大きくできる点からは四角形が好ましく、表示媒体を構成する粒子を移動しやすくできる点からは曲線を有する形状が好ましい。以上の観点から角丸付きの四角形が好ましく用いられる。
基板は少なくとも一方向に曲げられる基板とする。
基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルフィン(PES)、アクリル等の有機高分子系基板や、ガラスシート、石英シート、金属シート等を用い、少なくとも一方向に曲げられるように構成することで本発明におけるフレキシブル基板となる。
基板の厚みは、2〜2000μmが好ましく、さらに5〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、2000μmより厚いとフレキシブルなパネル構造体とはならない不都合がある。
基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルフィン(PES)、アクリル等の有機高分子系基板や、ガラスシート、石英シート、金属シート等を用い、少なくとも一方向に曲げられるように構成することで本発明におけるフレキシブル基板となる。
基板の厚みは、2〜2000μmが好ましく、さらに5〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、2000μmより厚いとフレキシブルなパネル構造体とはならない不都合がある。
以下、実際に図2(a)、(b)に示すパネル構造体を本発明の接着剤組成物を用いて作製した例について説明する。
本発明の接着剤組成物の実施例として、配合および特性評価の結果を以下の表1に示す。エポキシ系化合物としてはビスフェノールA([化1]の1)およびビスフェノールF([化1]の2)を、多官能アクリル化合物としてテトラエチレングリコールジアクリレート([化1]の3)を、多官能メタクリル化合物としてテトラエチレングリコールジメタクリレート([化1]の4)を、単官能メタクリル化合物としてグリシジルメタクリレート([化1]の5)を用いた。液状性ゴム高分子としては、[化1]の6に示すようなポリブタジエンの主鎖中の二重結合をエポキシ化した化合物(ダイセル化学工業社製エポリードPB3600)を用いた。単官能エポキシ化合物としてはフェニルグリシジルエーテル([化1]の7)、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル([化1]の8)を用いた。潜在性硬化剤としては、味の素ファインテクノ社製のアミンアダクトPN23を、光ラジカル発生剤としては、チバ・ジャパン社製のIrgacure184を用いた。フィラーとしては、東ソー・シリカ社製のNipsilを用いた。パネル基板は、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PETフィルム)を用いた。
作製した配合物の性能評価に関しては、1段階目の光硬化反応終了後の貯蔵弾性率、パネル基板貼り合せプロセスにおける適用性、2段階目の熱硬化反応終了後の貯蔵弾性率、さらに熱硬化反応終了後のパネル基板に対する接着力、および作製したフレキシブルパネル(可とう性パネル構造体)としての強度について調べた。
貯蔵弾性率(E’)および硬化反応の挙動については、レオメーター(HAAKE社製)により調べた。
貼り合せプロセスへの適用性判断の評価としては、厚さ40μmの基板間距離確保用部材を配置したPETフィルム製パネル基板側の基板間距離確保用部材上に本発明に係る接着剤組成物試料を厚さ3μmに塗布して配置するとともに、基板の周囲にシール剤として本発明に係る接着剤組成物試料を厚さ100μmに塗布して配置した後、紫外線を用いた光照射を行い1段階目の硬化反応を実施し、ゲル状態とした後、このPETフィルム製パネル基板を1日室温で放置した後、もう一枚のPETフィルム製パネル基板をラミネートして貼り合わせて、図2に示したようなパネル構造体を作製し、(a)その際基板間距離確保用部材の高さまでゲル状の硬化物がつぶれているかどうか、および、(b)2枚のフィルム基板が工程移動の際にずれたりしないかにより判断した。この結果は表1に示した。
接着力は、PETフィルムに対する180°ピール試験により評価した。ピール試験の模式図を図3に示す。試験片は、2枚の厚さ125μmのPETフィルムを前述の貼り合わせ適用試験と同様の手順で、光硬化および熱硬化反応を経て接着させた後、シール剤の部分を、幅5mm、長さ10cmに裁断して作製した。オートグラフ(島津製作所製)により積層フィルムの2枚のフィルム端を5cm/minの速度で図3の矢印方向に引っ張り、応力の平均値を接着力とした。
配合物をフレキシブルパネル用の接着剤として用いた場合の適合性(パネルとしての強度)は、図4に示すような繰り返し屈曲試験で評価した。前述した貼り合わせおよび熱硬化反応工程を経て作製した接着剤とフィルムからなるパネル構造体を屈曲試験機にかけ試験を行い、フィルムと接着剤がはがれる回数を調べた。
パネル構造体用の接着剤およびシール剤として本発明の接着剤組成物を図2のように配置したパネルを、図4下段に示すように、距離を変更することができる伸縮型屈曲試験機にセットし、屈曲試験を繰り返して行った。屈曲試験は、図4の右側の状態にセットした後、伸縮型屈曲試験機のストローク距離を徐々に狭めていき、セットしたパネルのパネル長の二分の一に達したら(図4左側)、今度は伸縮型屈曲試験機のストローク距離を徐々に広げていき、元の位置まで戻すという動作を繰り返すことによって行った。
パネル構造体用の接着剤およびシール剤として本発明の接着剤組成物を図2のように配置したパネルを、図4下段に示すように、距離を変更することができる伸縮型屈曲試験機にセットし、屈曲試験を繰り返して行った。屈曲試験は、図4の右側の状態にセットした後、伸縮型屈曲試験機のストローク距離を徐々に狭めていき、セットしたパネルのパネル長の二分の一に達したら(図4左側)、今度は伸縮型屈曲試験機のストローク距離を徐々に広げていき、元の位置まで戻すという動作を繰り返すことによって行った。
評価した結果を表1に示す。表1中の実施例1の配合系では、紫外線(UV)照射によりゲル状の硬化物が得られた。貯蔵弾性率は1×104Paであった。この硬化物は粘着性を有し、基板間距離確保用部材を配置したフィルムの貼り合せに際しても基板間距離確保用部材の高さまでつぶれかつ、2枚のフィルムを仮固定できるだけの粘着体となった。実施例2は、ビスフェノールFを用いた系であるが、ビスフェノールA同様にゲル化が起こり、フィルムの貼り合わせも良好に行えた。
メタクリル系化合物としてテトラエチレングリコールジメタクリレート4を用いた例が実施例3であるが、光照射後の貯蔵弾性率が2×104Paとアクリル系化合物と比べ増大したが、フィルムの貼り合わせは良好に行えた。単官能エポキシ化合物としてt−ブチルフェニルグリシジルエーテルを用いた場合(実施例4)においても、対応する実施例2と同様の結果が得られた。
これに対し、光重合成分(3、4、5、Irgacure184)を含まない比較例1では、貯層弾性率が1×10Paと自立性・粘着性が十分でなく、2枚のフィルムを十分に貼り合わせることができなかった(わずかな力で重ねた2枚のフィルムがすべってしまった)。また、光硬化成分を過剰に混合した比較例2では、光硬化後の貯蔵弾性率が1×107Paと高く硬すぎたために、粘着性はあったものの、フィルムを基板間距離確保用部材の高さまで押しつぶすことができなかった。
さらに、比較例3に示した市販品の液晶用2段階シール剤(協立化学(株)製World Rock 798L)は、UV照射後の貯蔵弾性率が1×108Paであった。表面に粘着性は観察されず、フィルムの貼り合せを行なっても仮固定ができなかった。
次いで2枚のフィルム基板を仮固定した接着剤(試料)を加熱してエポキシ部位の硬化反応を終了させた後、フィルムに対するピール接着力を評価した(表1、図3)。ビスフェノールAと硬化剤からなる比較例1は、50N/mの接着力しか示さなかったのに対し、今回の発明による配合例(実施例1〜4)は700〜800N/mという非常に大きな接着力を示した。また、市販品である液晶用のシール剤では、ピール接着力に対し十分な値が得られなかった(60N/m)。これは硬化物の弾性率の違いによるものと考えられ、本発明では、アクリル系樹脂および/またはメタクリル樹脂、単官能エポキシ化合物を混合することにより、配合試料全体の弾性率を低減したため接着力が向上したと考えている。はがれのピールモードに対しては、接着剤材料は硬すぎず適度な値(1×105Paから1×108Paの範囲)に抑えることが重要である。
本発明の接着剤組成物についてフレキシブルパネル用接着剤(またはシール剤)としての適用性を調べるため、図4に示すようなパネル(構造体)を作製し、その繰り返し屈曲試験を行った。このパネルでは試料とする接着剤組成物をパネル基板の周囲を囲むように配置するとともに、基板間距離確保用部材および隔壁の上に配置した。比較例1の接着剤組成物を用いたパネルでは、20回程度の屈曲で上下のフィルム基板がはがれてしまったのに対し、実施例1〜実施例4の接着剤配合物を用いたパネルは、5万回の屈曲を繰り返した後でも全くはがれることなく初期の接着形態が維持された。
本発明の接着剤組成物は、光硬化および熱硬化による2段硬化型であり、可とう性基板を貼り合わせる時には、適度な硬さと仮固定可能なだけの粘着性を示し、硬化反応終了後は、硬すぎず適度な弾性体である接着剤組成物であり、可とう性パネル構造体、特にフレキシブルディスプレイパネルの製造において、シール剤および接着剤として好適に利用することができる。
1、2 基板
3W 白色表示媒体(白色粒子群)
3Wa 負帯電性白色粒子
3B 黒色表示媒体(黒色粒子群)
3Ba 正帯電性黒色粒子
4 基板間距離確保用部材
5、6 電極
7 隔壁
11 シール剤
12 接着剤
3W 白色表示媒体(白色粒子群)
3Wa 負帯電性白色粒子
3B 黒色表示媒体(黒色粒子群)
3Ba 正帯電性黒色粒子
4 基板間距離確保用部材
5、6 電極
7 隔壁
11 シール剤
12 接着剤
Claims (9)
- 熱硬化型のエポキシ系樹脂および光硬化型のアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂を含んでなり、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の硬化反応によるゲル状態を経た後、エポキシ系樹脂の硬化反応を行うことを特徴とする接着剤組成物。
- 請求項1に記載の接着剤組成物であって、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂の硬化反応が光ラジカル発生剤により開始され、硬化反応後のゲル状態が貯蔵弾性率(E’)で1×102Paから1×106Paの範囲になることを特徴とする接着剤組成物。
- 請求項1に記載の接着剤組成物であって、エポキシ系樹脂の硬化反応が熱による潜在性硬化剤 (カチオン種、アミン・イミダゾールアダクトなど) の活性化により開始されることを特徴とする接着剤組成物。
- エポキシ系樹脂がビスフェノールA型あるいはF型、あるいはそれらの誘導体からなることを特徴とする請求項1または3に記載の接着剤組成物。
- エポキシ系樹脂として用いるビスフェノールA型あるいはF型化合物、あるいはそれらの誘導体へ単官能グリシジル化合物を混合して、硬化反応終了後の硬化物の硬さを貯蔵弾性率(E’)で1×106Paから1×1010Paの範囲で調整できることを特徴とする請求項4に記載の接着剤組成物。
- エポキシ系樹脂として用いるビスフェノールA型あるいはF型化合物、あるいはそれらの誘導体へゴム弾性を示す高分子あるいは液状のゴムを混合して、硬化反応終了後の硬化物の硬さを貯蔵弾性率(E’)で1×106Paから1×1010Paの範囲で調整できることを特徴とする請求項4に記載の接着剤組成物。
- 沸点が150℃以下の物質を含有しないことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 可とう性を要する部分に適用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 2枚の可とう性基板を貼り合せて、可とう性基板間に空間を有する可とう性パネル構造体とする際に用いる接着剤組成物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
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-
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- 2008-11-28 JP JP2008304682A patent/JP2009299007A/ja not_active Withdrawn
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