JP2009295907A - 薄膜キャパシタ材の製造方法 - Google Patents

薄膜キャパシタ材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】誘電体膜の結晶化のための熱処理による下部電極の酸化、及び熱処理による誘電特性の劣化等の問題を解消することができる薄膜キャパシタ材の製造方法を提供する。
【解決手段】下記の工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする。
工程(1):10〜500μmの厚さからなり、表面抵抗値が0.1〜1Ω、及び最大表面粗さ(Rmax)が100〜700nmであるニッケル箔を準備する。
工程(2):前記ニッケル箔の表面上に、次の(イ)〜(ハ)の手順を2〜5回繰り返し膜形成した後、これをカーボン製容器内に挿入して、非酸化性雰囲気下に700〜800℃の温度で加熱し、所望の厚さの誘電体膜を形成する。
(イ)誘電体の前駆体溶液を塗布する。
(ロ)次いで、大気下に300〜350℃の温度で加熱する。
(ハ)続いて、大気下に450〜500℃の温度で加熱する。
工程(3):前記誘電体膜の表面上に、第1導電材を成膜する。
【選択図】なし

Description

本発明は、薄膜キャパシタ材の製造方法に関し、さらに詳しくは、上部電極を構成する第1導電材と下部電極を構成する第2導電材との間に、誘電体膜を備えた薄膜キャパシタ材において、下部電極を構成する第2導電材として、従来のコスト高であった白金族材料の代わりに安価なニッケル箔を使用し、その際、誘電体膜の結晶化のための熱処理による下部電極の酸化、及び熱処理による誘電特性の劣化等の問題を解消することができる薄膜キャパシタ材の製造方法に関する。
近年、マイクロセンサ、マイクロアクチュエータ等のデバイス及び薄膜キャパシタの部材として、シリコン、ガラス又はセラミックスからなる基板上に下部電極を構成する導電材、誘電体膜、及び上部電極を構成する導電材を順次形成し、その後エッチング法等でパターニング加工して得た多層基板を使用する試みが活発に行われている。
上記部材に使われる誘電体膜としては、Pb(Zr、Ti)、BaTiO等のペロブスカイト構造を有する膜が用いられている。その成膜方法としては、スパッタリング法、ゾルゲル法、MOCVD法などが実用化されている。これらの方法で、Pb(Zr、Ti)(PZT)膜又はBaTiO(BT)膜を形成する場合、高誘電率を得るためには、成膜した基板を600〜800℃程度に加熱し、誘電体膜を結晶化させることが不可欠である。しかしながら、酸素を含む雰囲気下にこのような高温度に晒すと、下部電極を構成する導電材(以下、下部導電材と呼称する場合がある。)が、酸化或いは誘電体中の成分と反応して、誘電特性が大きく劣化するという問題が生じる。
このような現象を抑制するため、下部電極としては、シリコン基板上にSiO膜とTiO膜を積層した構造からなるSi/SiO/TiOで表される積層基板上に、Pt膜を下部導電体として成膜した、高温度でも安定な多層基板を使用するのが一般的であった。例えば、基板の上に形成された層間絶縁膜の上に容量素子が形成された基板構成において、その容量素子として、Pt下部導電材の上にSBT(SrTaBiO)よりなる容量絶縁膜、さらにその上に上部電極を構成する導電材(以下、上部導電材と呼称する場合がある。)であるPt膜の積層体からなる誘電体キャパシタが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、上記のような多層基板を製造する際には、Si/SiO/TiO積層基板の作製において工程が多く、かつシリコン基板及びPt膜を使用するため高価である等、コスト面で大きな問題となっていた。
この解決策として、シリコン基板に代えて、コスト的に有利な基板が検討されているが、解決すべき問題点がある。例えば、合成SiO基板では、耐熱性や熱衝撃による割れが問題となっている。また、Al等のセラミックス基板では、一般に基板表面の完全無孔質化は難しく、膜中の欠陥原因となりやすいため簡単には適用できない。また、ステンレスなどの金属材料を基板又は下部導電材とする場合では、酸素を含む雰囲気下に誘電体膜を熱処理するときに、基板が酸化して基板/誘電体界面で反応が起こり、誘電特性が悪化するという問題がある。
一方、基板とともに誘電体膜を選択して、誘電特性の劣化を防止することが検討されている。例えば、下部電極材にニッケル箔又はニッケル合金箔を、誘電体膜にPb、La(Zr、Ti)膜を採用した場合(例えば、特許文献2参照。)には、誘電体膜の結晶化のための熱処理温度が500〜600℃で行われるので、下部電極材の酸化と誘電特性の劣化を防止することが可能である。しかしながら、この方法では、誘電体膜が限定されるという問題点がある。すなわち、誘電体膜としてBT膜を使用する場合、その結晶化に必要な熱処理温度としては、通常700〜800℃であり、600℃以下では誘電特性は向上しない。ここで、700〜800℃の温度で熱処理すると、ニッケル箔の表面は瞬く間に酸化し導電材としては効果を発揮できない。また、ニッケル合金箔も同様で、合金化元素と誘電体膜が反応を起こし誘電特性は悪化する。さらに、上記ニッケル箔においても、問題がある。例えば、圧延法で得た通常のニッケル箔の表面は、最大表面粗さ(Rmax)が1μm以上のものが多く、そのため誘電体膜をニッケル箔上に400nm程の厚さで積層した場合、ニッケル箔の凹凸が大きいため、誘電体膜の付着していない部分が発生しやすく誘電特性が悪化する原因になる。
また、他の手段として、酸素雰囲気下に高温度で熱処理しても、導電材の酸化の問題が解消するように下部電極の導電材料に導電性酸化物を使用する試みも行われている(例えば、特許文献3参照。)。この導電性酸化物は、雰囲気中の酸素の影響を受けないので高温度での熱処理でも誘電体膜との反応が生じないため、その効果は高いといえる。しかしながら、使用される導電性酸化物としては、白金族元素を使用したものとなるので、コスト高の問題は残る。しかも、導電性酸化物は難焼結性であるので、基板形状に成形して用いることは難しい。したがって、スパッタ等による成膜により形成することになるため、シリコン基板、セラミックス基板等との併用は避けられない。
以上の状況から、上部電極を構成する第1導電材と下部電極を構成する第2導電材との間に、誘電体膜を備えた薄膜キャパシタ材において、誘電体膜の結晶化のための熱処理による下部電極の酸化、及び熱処理による誘電特性の劣化等の問題を解消することが求められている。
特開2004−040005号公報(第1頁、第2頁) 特開2006−135036号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−174150号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、上部電極を構成する第1導電材と下部電極を構成する第2導電材との間に、誘電体膜を備えた薄膜キャパシタ材において、下部電極を構成する第2導電材として、従来のコスト高であった白金族材料の代わりに安価なニッケル箔を使用し、その際、誘電体膜の結晶化のための熱処理による下部電極の酸化、及び熱処理による誘電特性の劣化等の問題を解消することができる薄膜キャパシタ材の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、上部電極を構成する第1導電材と下部電極を構成する第2導電材との間に、誘電体膜を備えた薄膜キャパシタ材の製造方法について、鋭意研究を重ねた結果、前記第2導電材として、特定の特性を有するニッケル箔を準備し、その表面上に特定の熱処理条件で誘電体膜を形成し、さらにその表面上に第1導電材を成膜したところ、誘電体膜の結晶化のための熱処理による下部電極の酸化、及び熱処理による誘電特性の劣化等の問題を解消することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、上部電極を構成する第1導電材と下部電極を構成する第2導電材との間に、誘電体膜を備えた薄膜キャパシタ材の製造方法であって、
下記の工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする薄膜キャパシタ材の製造方法が提供される。
工程(1):前記第2導電材として、10〜500μmの厚さからなり、表面抵抗値が0.1〜1Ω、及び最大表面粗さ(Rmax)が100〜700nmであるニッケル箔を準備する。
工程(2):前記ニッケル箔の表面上に、次の(イ)〜(ハ)の手順を2〜5回繰り返し膜形成した後、これをカーボン製容器内に挿入して、非酸化性雰囲気下に700〜800℃の温度で加熱する第3熱処理に付し、所望の厚さの誘電体膜を形成する。
(イ)誘電体の前駆体溶液を塗布する。
(ロ)次いで、大気下に300〜350℃の温度で加熱する第1熱処理に付す。
(ハ)続いて、大気下に450〜500℃の温度で加熱する第2熱処理に付す。
工程(3):前記誘電体膜の表面上に、第1導電材を成膜する。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、さらに、工程(3)に続いて、次の工程(4)を含むことを特徴とする薄膜キャパシタ材の製造方法が提供される。
工程(4):大気下に熱処理に付す。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記ニッケル箔は、圧延法で作製したものであることを特徴とする薄膜キャパシタ材の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記ニッケル箔の純度は、99%以上であることを特徴とする薄膜キャパシタ材の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4いずれかの発明において、前記誘電体の前駆体溶液は、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類と、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類と、2−エチルヘキサン酸であるカルボン酸とからなる混合溶剤中に、Ba、Sr、Mg及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、Ti、Sn及びZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を添加してなるものであることを特徴とする薄膜キャパシタ材の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、前記混合溶剤に配合するアルコール類、エステル類及びカルボン酸の配合割合は、アルコール類100容量部に対し、エステル類が50〜100容量部、及びカルボン酸が50容量部であることを特徴とする請求項5に記載の薄膜キャパシタ材の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6いずれかの発明において、前記誘電体膜は、単位静電容量が1.0μF/cm以上であることを特徴とする薄膜キャパシタ材の製造方法が提供される。
本発明の薄膜キャパシタ材の製造方法は、上部電極を構成する第1導電材と下部電極を構成する第2導電材との間に、誘電体膜を備えた薄膜キャパシタ材において、下部電極を構成する第2導電材として、従来のコスト高であった白金族材料の代わりに安価なニッケル箔を使用し、その際、誘電体膜の結晶化のための熱処理による下部電極の酸化、及び熱処理による誘電特性の劣化等の問題を解消することができ、誘電体膜の単位静電容量が1.0μF/cm以上である薄膜キャパシタ材が得られるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の薄膜キャパシタ材の製造方法を詳細に説明する。
本発明の薄膜キャパシタ材の製造方法は、上部電極を構成する第1導電材と下部電極を構成する第2導電材との間に、誘電体膜を備えた薄膜キャパシタ材の製造方法であって、
下記の工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする。
工程(1):前記第2導電材として、10〜500μmの厚さからなり、表面抵抗値が0.1〜1Ω、及び最大表面粗さ(Rmax)が100〜700nmであるニッケル箔を準備する。
工程(2):前記ニッケル箔の表面上に、次の(イ)〜(ハ)の手順を2〜5回繰り返し膜形成した後、これをカーボン製容器内に挿入して、非酸化性雰囲気下に700〜800℃の温度で加熱する第3熱処理に付し、所望の厚さの誘電体膜を形成する。
(イ)誘電体の前駆体溶液を塗布する。
(ロ)次いで、大気下に300〜350℃の温度で加熱する第1熱処理に付す。
(ハ)続いて、大気下に450〜500℃の温度で加熱する第2熱処理に付す。
工程(3):前記誘電体膜の表面上に、第1導電材を成膜する。
本発明において、工程(1)で第2導電材として、上記特定の厚さからなり、上記特定の表面抵抗値及び最大表面粗さ(Rmax)を有するニッケル箔を用いること、及び工程(2)で誘電体膜を形成する際の熱処理条件を適正化することが重要である。これによって、下部電極を構成する第2導電材として、従来のコスト高であった白金族材料の代わりに安価なニッケル箔を使用しても、誘電体膜の結晶化のための熱処理による下部電極の酸化、及び熱処理による誘電特性の劣化等の問題を解消することができ、誘電体膜の単位静電容量が1.0μF/cm以上である薄膜キャパシタ材が得られる。
以下に、各工程について説明する。
(1)工程(1)
上記工程(1)は、前記第2導電材として、10〜500μmの厚さからなり、表面抵抗値が0.1〜1Ω、及び最大表面粗さ(Rmax)が100〜700nmであるニッケル箔を準備する工程である。
上記ニッケル箔としては、特に限定されるものではなく、圧延法、電解法等により所定の厚さで調製された市販のニッケル箔が用いられる。この中で、圧延法で得られたニッケル箔が好ましい。すなわち、現状では、電解法のものと比べて、表面粗さの制御に優れているからである。なお、圧延法によるニッケル箔の表面粗さは、最終仕上げ時の圧延状態で決定されるので、ロール傷、箔表面の清浄、圧延油の選定等に注意を払う必要がある。
上記ニッケル箔の純度としては、特に限定されるものではないが、好ましくは99%以上、より好ましくは3N以上のものを用いる。すなわち、熱処理による酸化を抑制するためには、ニッケル箔に代えてニッケル合金箔を使用することも考えられるが、500〜600℃程の熱処理に耐えても、700℃を超えると、純ニッケル箔に比べて誘電体界面での反応が著しくなる。
さらに、最大表面粗さ(Rmax)が100〜700nmであるニッケル箔を用いることが不可欠である。これにより、ニッケル箔上に形成する誘電体膜の均一性が保持され、膜生成の阻害による誘電特性の悪化を防止することができる。すなわち、市販の圧延法によるニッケル箔の表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察すると、例えば、最大表面粗さが1μm以上のものがしばしば見られるが、このようなニッケル箔上に誘電体膜を400nmの厚さで積層した場合、ニッケル箔表面の凹凸により、膜形成がなされない部分が発生し、誘電特性が悪化する。
上記ニッケル箔の厚さとしては、10〜500μmとする必要がある。すなわち、ここで第2導電材に基材の役目を持たせるためには、通常の純ニッケル箔では、強度が低く、誘電体の前駆体溶液を塗布する時のハンドリングが難しくなる。そのため、10μm以上の厚さが少なくとも必要である。一方、その厚さが500μmを超えると、薄膜キャパシタとしての実用性が損なわれる。
上記ニッケル箔の表面抵抗値としては、0.1〜1Ωである。すなわち、表面抵抗値が低い方が好ましいが、1Ω以下であるならば、酸化膜の生成による問題を回避することができる。なお、表面抵抗値が0.1Ω未満のニッケル箔を工業上使用することは容易でない。
ここで、ニッケル箔の表面抵抗値と酸化状態及びそれらの温度との関係について説明する。ニッケル箔は、通常、酸素を含む雰囲気中で500℃以上に加熱すると表面抵抗値が悪化し、誘電特性に多大な影響を与える。例えば、表面抵抗値が0.2Ωのニッケル箔を、大気下に600℃の温度で30分保持した後の表面抵抗値は、元の100倍の20Ωにまで悪化する。このときのニッケル箔の表面をX線回折すると、NiOの生成が確認される。なお、ニッケル酸化被膜を有するニッケル箔を、さらに高温度で熱処理すると、誘電体膜との反応が起こり、誘電特性は大きく悪化する。
しかしながら、後続の熱処理において、所望の誘電特性を得るためには、低温から全ての熱処理を非酸化性雰囲気下で酸化を抑制する条件で行なうことはできない。すなわち、第2導電材の上に前駆体溶液を塗布して誘電体膜を形成するためには、仮焼及び本焼成に付すことが必要である。ここで、仮焼及び本焼成により、前駆体溶液から誘電体膜中に残留されていた有機成分が分解し、完全な酸化物形態となる。この有機成分を活発に分解するためには、酸素を含む雰囲気が必要であり、また最低でも500℃の温度が望ましい。
このため、ニッケル酸化被膜の生成を常に監視しておくことが必要である。そのための手段のひとつとして、ニッケル箔の表面抵抗値をモニタリングし、表面抵抗値が0.1〜1Ωのものを使用する。
(2)工程(2)
上記工程(2)は、ニッケル箔の表面上に、次の(イ)〜(ハ)の手順を2〜5回繰り返し膜形成した後、これをカーボン製容器内に挿入して、非酸化性雰囲気下に700〜800℃の温度で加熱する第3熱処理に付し、所望の厚さの誘電体膜を形成する工程である。
(イ)誘電体の前駆体溶液を塗布する。
(ロ)次いで、大気下に300〜350℃の温度で加熱する第1熱処理に付す。
(ハ)続いて、大気下に450〜500℃の温度で加熱する第2熱処理に付す。
上記工程(2)を、より具体的に説明する。
まず、手順(イ)で、第2導電材であるニッケル箔の表面上に、事前に調製した誘電体の前駆体溶液をスピンコート等で塗布し、まず大気下に略150℃の温度で10分間ほど加熱して乾燥する。次いで、手順(ロ)と(ハ)を連続して行い、仮焼する。手順(ロ)で、大気下に300〜350℃の温度で30分間ほど加熱する第1熱処理に付す。手順(ハ)で、大気下に450〜500℃の温度で30分間ほど加熱する第1熱処理に付す。これらの手順により形成される膜厚としては、1回当たり本焼成後の膜厚で80〜140nmほどにしかならない。ところで、誘電特性を安定して得るためには、誘電体膜の厚さが最低でも250nm以上、好ましくは300nm以上が必要であるので、上記の塗布と仮焼((イ)〜(ハ))の手順を繰り返し2〜5回行い、所望の膜厚とする。
続いて、所望の膜厚に達したら、最後に、本焼成として、カーボン製容器内に挿入し、不活性ガス、還元性ガス、真空下等の非酸化性雰囲気下において700〜800℃の温度で30分間程度加熱する第3熱処理を行う。ここで、まず誘電体膜を形成したニッケル箔をカーボン製容器に挿入する。
この容器形状はニッケル箔全体を包み込めればよいが、なるべくニッケル箔と容器間に空間が空かない方が好ましい。また、カーボン製容器に挿入する代わりに、カーボン製板で挟み込んでもよい。すなわち、カーボン製容器に入れることで、熱処理時の酸化を抑制することができる。カーボン製容器に入れない状態で、700〜800℃で焼成すると、不活性ガスを導入しても酸化を確実に防止することは難しい。なお、不活性ガスを導入しない場合、カーボン製容器が燃焼してしまうため、0.5〜5L/分ほどの不活性ガスを流入させるのが好ましい。ここで、不活性ガスであればガス種は選ばないが、窒素ガスが安価で扱いやすい。また、真空下で行なう際には、0.1Pa以上、好ましくは0.01Paまで真空引きを行うことが好ましい。
上記本焼成としては、誘電体膜の結晶化と膜中の有機成分の完全除去とのため行われるものであるが、これらは、700〜800℃の温度で30分間程度保持する条件下で達成される。すなわち、BT膜系はPZT膜系に比べて結晶化温度が高く、700℃未満の温度では、1.0μF/cm以上の単位静電容量を得ることができない。一方。800℃を超えると、上記の条件下においてもニッケル箔の酸化を抑制することが難しく、誘電特性が悪化する。
(3)工程(3)
上記工程(3)は、前記誘電体膜の表面上に、上部導電体を構成する第1導電材を成膜する工程である。
上記第1導電材としては、特に限定されものではなく、銅、ニッケル、銀、金、白金など導電性を有する金属が用いられる。上記第1導電材の厚さとしては、100nmほどが好ましい。
上記第1導電材の成膜方法としては、ペーストによる印刷法、塗布法、スパッタ法等が挙げられるが、簡便にパット形状を作りやすいスパッタ法が好ましい。スパッタ法では、任意形状及びサイズのメタルマスクを誘電体膜にあて、その状態で導電材をスパッタリングすれば形成できる。
(4)工程(4)
上記製造方法において、工程(3)に続いて、必要に応じて、次の工程(4)を含むことができる。
工程(4):工程(3)で得られた薄膜キャパシタ材を大気下に熱処理に付す。
これにより、誘電特性をさらに向上させ、又は安定させることができる。すなわち、上部導電材の形成時に誘電体界面に生成する異相の影響を少なくすること、全体の密着性を高めること、歪みを緩和すること等の作用効果によるものである。この熱処理の条件としては、例えば500℃の温度で30分間程度が好ましい。なお、熱処理は酸素を含む雰囲気である方が有効であるため、600℃以上の温度では、下部導電材が酸化する。
(5)誘電体膜とその前駆体溶液
上記製造方法で用いる誘電体膜としては、特に限定されるものではないが、上記製造方法は、BT(BaTiO)、若しくはこれに添加元素としてSr、Ca、Mg、Sn及びZrからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む誘電体膜を形成する際に好ましく適用される。なお、上記誘電体膜の形成方法としては、これらの前駆体溶液を調製して、これを塗布することにより行なわれる。
上記製造方法で用いる誘電体の前駆体溶液としては、特に限定されるものではないが、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類と、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類と、2−エチルヘキサン酸であるカルボン酸とからなる混合溶剤中に、Ba、Sr、Mg及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、Ti、Sn及びZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を添加してなるものである。
以下に、上記前駆体溶液の調製方法を説明する。
上記前駆体溶液の調製方法において使用される溶剤としては、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類と、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類と、カルボン酸として2−エチルヘキサン酸とを含む混合溶剤である。
ここで、前駆体溶液を調製する方法としては、特に限定されるものではないが、次に説明するように、アルカリ土類金属元素を含む有機酸塩液(A)とTi、Sn及びZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むアルコキシド液(B)を別途調製したのち、所定の割合で両者を配合して前駆体溶液を調製する方法が好ましい。
(a)有機酸塩液(A)の調製方法
有機酸塩液(A)の調製方法としては、まず、所定の混合溶剤を不活性ガス雰囲気下に100〜110℃の温度で環流させながら加熱しておく。次に、配合対象であるBa、Sr、Mg及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の金属或いはこれらのアルコキシド又はカルボン酸塩を原料として添加して溶解する。なお、原料によっては、溶解が進むと溶解熱により温度上昇が著しいため注意を要する。ここで、1〜3時間攪拌して加熱溶解する。ここで、混合溶剤を使用する際の特徴としては、溶解が容易であり、溶剤単独でも水混和性が低いため、保存性は従来よりも優れたものができることである。
有機酸塩液(A)の金属濃度としては、0.4〜1.2mol/Lが好ましい。
上記混合溶剤の配合比率も重要である。アルコール、エステル及びカルボン酸の各々から少なくとも1種類以上の溶剤を所望の配合することが好ましい。例えば、アルカリ土類金属元素の金属の溶解にアルコール、エステル、及びカルボン酸からなる混合溶剤を用いるときには、混合溶剤として配合するアルコール類、エステル類及びカルボン酸の配合割合は、アルコール類100容量部に対し、エステル類が50〜100容量部、及びカルボン酸が50容量部であることが好ましい。これにより、液溶解性や安定性が高まる。例えば、カルボン酸を加えず、アルコールとエステルとの混合溶剤では、金属アルコキシドの溶解度や液保存性がやや劣る。
(b)アルコキシド液(B)の調製方法
アルコキシド液(B)の調製方法としては、Ti、Sn及びZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属アルコキシド、或いはカルボン酸塩を原料として用いて、これを、1−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類、又は酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、又は酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類のいずれかからなる溶剤に添加し、大気下に20〜60℃の温度で0.2〜2時間攪拌して溶解する。
アルコキシド液(B)の金属濃度としては、0.4〜1.2mol/Lが好ましい。
なお、原料のうち、金属アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、又はブトキシドが挙げられるが、特に、適当な反応速度であることから、イソプロポキシド又はブトキシドが好ましい。また、カルボン酸塩としては、酢酸塩、又はエチルヘキサン酸塩の化合物を用いることができる。
(C)前駆体溶液の合成方法
前駆体溶液の合成方法としては、上記有機酸塩液(A)及びアルコキシド液(B)を冷却後、液中に含まれる金属量がモル比で1:1になるように両液を配合し混合する。次いで、不活性ガス雰囲気下に100〜110℃の温度で反応が十分行われる時間、例えば、2時間以上攪拌し、構成元素を含む化合物を合成する。
ここで、合成温度の制御が重要であり、温度が100℃未満では、構成元素が単独で存在して加水分解速度に差が生じて膜組成の均一性が劣る。一方、温度が110℃を超えると、溶剤の揮発が活発化するだけでなく、内容物も同時に揮発して組成ずれが起こる。
上記前駆体溶液を調製方法おいては、溶解時、合成の加熱において環流させながら行うため、溶剤からの揮発成分がなく、液組成の変動がない。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析、ニッケル箔の厚さ、表面抵抗値及び最大表面粗さ(Rmax)、並びに誘電特性の評価方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)ニッケル箔の厚さの測定:マイクロメータで測定した。
(3)ニッケル箔の表面抵抗値の測定:1cm幅に決定した2端子を接触させてテスターで測定した。
(4)ニッケル箔の最大表面粗さ(Rmax)の測定:原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、表面の3次元形状を測定し、高さ方向のデータを統計処理し求める。
(5)誘電特性の測定:AC電圧1.0V、周波数1MHz時の静電容量を求めて比誘電率と誘電損失を算出した。
また、実施例及び比較例で用いた前駆体溶液の調製方法は以下の通りである。
[BT前駆体溶液の調製方法]
金属バリウムを容量比で2−メチル−1−ブタノール:酪酸ブチル:2−エチルヘキサン酸=100:50:50で配合した混合溶剤100mL中に添加し、窒素気流中110℃で2時間攪拌混合して、Ba濃度0.4mol/Lのバリウム有機酸塩液(A)を調製した。一方、チタンテトライソプロポキシドを酪酸ブチル100mLに添加し、大気中で25℃、0.4時間攪拌混合して、Ti濃度0.4mol/Lのチタンアルコキシド液(B)を調製した。
次に、モル比でバリウム:チタン=1:1となるようにバリウム有機酸塩液(A)中にチタンアルコキシド液(B)を滴下し、窒素気流中110℃で2時間攪拌混合して、金属元素濃度0.4mol/LのBT用の前駆体溶液を得た。
[BST前駆体溶液の調製方法]
金属バリウムと金属ストロンチウムを、容量比で2−メチル−1−ブタノール:2−エチルヘキサン酸:酢酸ブチル=100:50:50で配合した混合溶剤100mL中に添加し、窒素気流中110℃で5時間攪拌混合して、Ba濃度0.32mol/L及びSr濃度0.08mol/のバリウムストロンチウム有機酸塩液(A)を調製した。一方、チタンテトライソプロポキシドを酢酸ブチル100mLに添加し、大気中で25℃、4時間攪拌混合して、Ti濃度0.4mol/Lのチタンアルコキシド液(B)を調製した。
次に、モル比で(バリウム+ストロンチウム):チタン=1:1となるようにバリウムストロンチウム有機酸塩液(A)中にチタンアルコキシド液(B)を滴下し、窒素気流中110℃で8時間攪拌混合して、金属元素濃度0.4mol/LのBST((BaSr)TiO)用の前駆体溶液を得た。
(実施例1)
上記BT前駆体溶液を塗布液とした。
第2導電材として、厚さ100μm、最大表面粗さ(Rmax)420nm、及び表面抵抗値0.2Ωのニッケル箔(純度99.5%)を3cm角に切り出し、前記塗布液を、スピンコート法(回転数1500rpm)により20秒間塗布した。塗膜後、150℃の温度で10分間乾燥後、大気下に350℃の温度で30分間の第1熱処理に付し、続いて大気下に500℃の温度で30分間の第2熱処理に付した。この塗布から第2熱処理までの工程を4回繰り返した。
次いで、得られた塗布膜付きニッケル箔を3mmほどの間隔の空いたカーボン製ボックス型の容器に入れ、それを電気炉の炉心管に挿入した。ここで、電気炉としては、炉心管の直径75mmの管状炉を使用した。まず、炉心管内に窒素ガスを1L/分でフローさせながら1時間置換した。次に、窒素ガスフローしながら800℃の温度で30分間の第3熱処理に付し、本焼成してBT薄膜を形成した。
その後、BT膜上に上部電極として、直径0.32mmの白金からなる第1導電材をスパッタした。上部電極を形成後、大気下に500℃の温度で30分間熱処理して、薄膜キャパシタ材を得た。これを用いて、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(実施例2)
第3熱処理の温度を700℃としたこと以外は、実施例1と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(実施例3)
第2導電材として、厚さ500μm、最大表面粗さ(Rmax)650nm、及び表面抵抗値0.3Ωのニッケル箔(純度99%)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(実施例4)
第2導電材として、厚さ40μm、最大表面粗さ(Rmax)160nm、及び表面抵抗値0.5Ωのニッケル箔(純度99.7%)を用いたこと、及び第3熱処理の雰囲気を0.01Paまで真空引きしたこと以外は、実施例1と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(実施例5)
第3熱処理において、ニッケル箔をカーボン製の板ではさんで熱処理したこと以外は、実施例3と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(実施例6)
第2導電材として、厚さ30μm、最大表面粗さ(Rmax)180nm、及び表面抵抗値0.52Ωのニッケル箔(純度99.2%)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(実施例7)
上記BST前駆体溶液を塗布液としたこと以外は、実施例1と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(実施例8)
上記BST前駆体溶液を塗布液としたこと以外は、実施例2と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(比較例1)
第3熱処理において、カーボン製容器を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(比較例2)
第2導電材として、厚さ500μmのニッケル箔(純度99.5%)の表面を鏡面研磨して得た最大表面粗さ(Rmax)350nm、及び表面抵抗値30Ωのニッケル箔を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(比較例3)
第2導電材として、厚さ100μmのニッケル箔(純度99.5%)の表面を鏡面研磨して得た最大表面粗さ(Rmax)840nm、及び表面抵抗値0.1Ωのニッケル箔を用いたこと以外は、実施例1と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(比較例4)
第3熱処理の雰囲気を大気下としたこと以外は、実施例1と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。なお、第2導電材の酸化によって、測定不可であった。
結果を表1、2に示す。
(比較例5)
第2導電材として、ステンレス箔を用いたこと以外は、実施例4と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(比較例6)
第2導電材として、ニッケルクロム箔を用いたこと以外は、実施例4と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(比較例7)
第2導電材として、ニッケル箔上に0.1μmのニッケル膜をスパッタ法で形成したこと以外は、実施例4と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。なお、第2導電材との反応によって、測定不可であった。結果を表1、2に示す。
(比較例8)
第1熱処理を大気下に150℃で60分としたこと以外は、実施例1と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。なお、膜割れが発生し、測定不可であった。結果を表1、2に示す。
(比較例9)
第1熱処理を60分としたこと、及び第2の熱処理を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
(比較例10)
第3熱処理の温度を650℃としたこと以外は、実施例8と同様に行い、薄膜キャパシタ材を得て、誘電特性を測定した。結果を表1、2に示す。
Figure 2009295907
Figure 2009295907
表1、2より、実施例1〜8では、第2導電材の特性及び熱処理条件で本発明にしたがって行われたので、1.0〜2.0μF/cmの単位静電容量が得られ、優れた誘電特性が得られることが分かる。
一方、比較例1〜10では、第2導電材の特性及び熱処理条件が本発明の条件に合わないので、第2導電材の酸化等により、誘電特性において満足すべき結果が得られない。
以上より明らかなように、本発明の薄膜キャパシタ材の製造方法は、特に薄膜キャパシタ形成用材料、及びその薄膜キャパシタ形成用材料を用いて得られる部品内蔵キャパシタに、好適に用いられるものである。

Claims (7)

  1. 上部電極を構成する第1導電材と下部電極を構成する第2導電材との間に、誘電体膜を備えた薄膜キャパシタ材の製造方法であって、
    下記の工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする薄膜キャパシタ材の製造方法。
    工程(1):前記第2導電材として、10〜500μmの厚さからなり、表面抵抗値が0.1〜1Ω、及び最大表面粗さ(Rmax)が100〜700nmであるニッケル箔を準備する。
    工程(2):前記ニッケル箔の表面上に、次の(イ)〜(ハ)の手順を2〜5回繰り返し膜形成した後、これをカーボン製容器内に挿入して、非酸化性雰囲気下に700〜800℃の温度で加熱する第3熱処理に付し、所望の厚さの誘電体膜を形成する。
    (イ)誘電体の前駆体溶液を塗布する。
    (ロ)次いで、大気下に300〜350℃の温度で加熱する第1熱処理に付す。
    (ハ)続いて、大気下に450〜500℃の温度で加熱する第2熱処理に付す。
    工程(3):前記誘電体膜の表面上に、第1導電材を成膜する。
  2. さらに、工程(3)に続いて、次の工程(4)を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜キャパシタ材の製造方法。
    工程(4):大気下に熱処理に付す。
  3. 前記ニッケル箔は、圧延法で作製したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜キャパシタ材の製造方法。
  4. 前記ニッケル箔の純度は、99%以上であることを特徴とする請求項3に記載の薄膜キャパシタ材の製造方法。
  5. 前記誘電体の前駆体溶液は、1−ブタノール、1−ペンタノール、3メチル−1ブタノール、2メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、及び2−メチル−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類と、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル及び酪酸ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエステル類と、2−エチルヘキサン酸であるカルボン酸とからなる混合溶剤中に、Ba、Sr、Mg及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、Ti、Sn及びZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を添加してなるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜キャパシタ材の製造方法。
  6. 前記混合溶剤に配合するアルコール類、エステル類及びカルボン酸の配合割合は、アルコール類100容量部に対し、エステル類が50〜100容量部、及びカルボン酸が50容量部であることを特徴とする請求項5に記載の薄膜キャパシタ材の製造方法。
  7. 前記誘電体膜は、単位静電容量が1.0μF/cm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜キャパシタ材の製造方法。
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