JP2009295747A - 金属用研磨液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の化学機械的研磨スラリーは、(1)錯形成剤(溶解剤)、(2)防錆剤、(3)酸化剤、(4)砥粒、(5)電気伝導度上昇のための添加剤としての塩(添加剤)、で構成する。また場合によっては、上記成分に(6)水溶性高分子が添加されていることがある。
【選択図】図4
Description
本発明は以下の発明を包含する。
(ii) 塩のカチオン種がアンモニウム、カリウム、ナトリウム、鉄、およびアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、(i)記載の研磨液。
(iii) 塩が硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、フッ化アンモニウム、および酢酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、(i)記載の研磨液。
(iv) 錯形成剤がジカルボン酸およびその塩、ならびにヒドロキシ酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種である、(i)〜(iii)のいずれか記載の研磨液。
(v) 水溶性高分子をさらに含む、(i)〜(iv)のいずれか記載の研磨液。
(vi) 水溶性高分子化合物がアクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、及びアクリル酸アミドの1種以上から構成される単独重合体または共重合体、ポリイソプレンスルホン酸またはその塩、ポリスチレンスルホン酸またはその塩、スルホン基を有するアミン化合物またはその塩、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、およびポリアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種である、(v)記載の研磨液。
(vii) 防錆剤が窒素を含有する不飽和複素環式化合物である、(i)〜(vi)のいずれか記載の研磨液。
(viii)窒素を含有する不飽和複素環式化合物がキノリン、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、イソインドール、キナルジン酸およびその塩、オキシン、ならびにトリアゾールからなる群から選択される少なくとも1種である、(vii)記載の研磨液。
(ix) 砥粒が金属酸化物である(i)〜(viii)のいずれか記載の研磨液。
(x) 砥粒がアルミナ、セリア、ゲルマニア、シリカ、チタニア、およびジルコニアからなる群から選択される少なくも1種である、(i)〜(viii)のいずれか記載の研磨液。
(xi) 砥粒が0.2μm以下の一次粒子径を有する、(i)〜(x)のいずれか記載の研磨液。
(xii) 砥粒の添加量が研磨液の全量に対して2.0wt%以下である、(i)〜(xi)のいずれか記載の研磨液。
本発明で使用される錯形成剤(溶解剤)としては無機酸または有機酸あるいはこれらの塩が挙げられる。無機酸としてはたとえばリン酸、有機酸としてはたとえばカルボン酸が挙げられる。カルボン酸としては、モノカルボン酸であるギ酸、酢酸、ジカルボン酸であるシュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、ヒドロキシ酸である酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、芳香族カルボン酸である安息香酸、フタル酸などがあり、特にジカルボン酸およびヒドロキシ酸が好ましい。それ以外にも、アミノ酸、アミノ硫酸およびそれらの塩を錯形成剤として好適に使用でき、アミノ酸としてはグリシン、アスパラギン酸などが使用できる。これらの研磨液中での含有量は0.005 M〜0.1 M程度が好ましい。
防錆剤としては、金属酸化物の不動態層と金属表面上の溶解抑制層の生成を促進させることが可能な化合物を使用する。銅と不溶性の錯体を形成する化合物が防錆剤として使用でき、具体的には、ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール、トリアゾール誘導体、キノリン、ベンゾイミダゾール、インドール、イソインドール、オキシン、キナルジン酸およびその塩などの、窒素を含有する不飽和複素環式化合物のほか、ベンゾインオキシム、アントラニル酸、サリチルアルドキシム、ニトロソナフトール、クペロン、ハロ酢酸、システインなどが防錆剤として使用できる。これらの研磨液中での含有量は0.005 M〜0.1 Mが好ましく、特に0.02 M〜0.05 M程度が最も好ましい。
酸化剤としては、過酸化水素で代表される過酸化物、次亜塩素酸、過酢酸、重クロム酸化合物、過マンガン酸化合物、過硫酸化合物、硝酸鉄、フェリシアン化物が好適に使用できる。これらのうち、分解生成物が無害である過酸化水素や過硫酸アンモニウムで代表される過硫酸塩が望ましい。酸化剤の研磨液中での含有量は、使用する酸化剤によって異なり、たとえば過酸化水素を使用する場合は0.5〜3.0 M程度、過硫酸アンモニウムを使用する場合は0.05〜0.2 M程度が好ましい。
砥粒としては、アルミナ、セリア、ゲルマニア、シリカ、チタニア、およびジルコニアからなる群から選択される少なくも1種などが好適に使用できる。砥粒の添加量は、ディッシング低減の観点からは研磨液の全量に対して2 wt%以下が好ましく1 wt%以下がより好ましく0.5 wt%以下が特に好ましい。砥粒の添加量は研磨液の全量に対して0.1 wt%以上であることが好ましい。添加量が0.1 wt%未満では研磨粒子による反応層除去能力が不十分でCMP速度の向上に寄与せず、2 wt%を超えるとディッシングが悪化する傾向がある。前記研磨粒子としては、特に、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化セリウム等が挙げられ、コロイダルシリカ及び/又はコロイダルシリカ類であることが好ましい。さらに前記研磨粒子に微量金属種の添加や、表面修飾を施し、電位を調整したものを使用することもできる。その手法に特に制限はない。ここで、コロイダルシリカ類とはコロイダルシリカを基として、ゾル・ゲル反応時において金属種を微量添加したもの、表面シラノール基へ化学修飾などを施したもの等を指し、その手法に特に制限はない。研磨粒子の一次粒径は、200nm以下であることが好ましく、5〜200nmであることがより好ましく、5〜150nmであることが特に好ましく、5〜100nmであることが極めて好ましい。この一次粒子径が200nmを超えると、平坦性が悪化する傾向がある。前記研磨粒子が会合している場合、二次粒子径は、200nm以下であることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましく、10〜150nmであることが特に好ましく、10〜100nmであることが極めて好ましい。この二次粒子径が200nmを超えると、平坦性が悪化する傾向がある。また、10nm未満の二次粒子径を選択する場合は、研磨粒子によるメカニカルな反応層除去能力が不十分となりCMP速度が低くなる可能性があるので注意が必要である。本発明における研磨粒子の一次粒径は、透過型電子顕微鏡(例えば(株)日立製作所製のS4700)を用いて測定する。また、二次粒子は、光回折散乱式粒度分布計(例えば、COULTER Electronics社製の COULTER N4SD)を用いて測定する。
本発明では塩(5)として、研磨液のpH条件での水の酸化電位において安定であるアニオン種を含む塩を使用する。塩(5)は、研磨液の電気伝導度を0.2 S m-1以上とするために、電気伝導度を上昇させる目的で添加される。本発明では塩(5)を「添加剤」と呼ぶことがある。
本発明における研磨液のpHは2.0以上が好ましく、pH2.8以上がより好ましい。pHは硫酸、硝酸、アンモニアなどのpH調整剤により調製することができる。pHが2.0以下の場合、銅の研磨速度は増大するものの、ディッシングが大きくなり実用的でない。Cu-CMP後のバリヤの研磨において一般的に使用されるバリヤ用スラリーは酸性であること、洗浄工程等を考慮すると、本発明の研磨液は酸性のpH値、特にpH 2.8〜4.5、を有することが好ましい。
水溶性高分子としては、カルボキシル基を含有する重合体、スルホン基を含有する重合体、および窒素を含有する重合体から選ばれるものを単独あるいは組み合わせて用いることができる。カルボキシル基を有する水溶性高分子としては、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、及びアクリル酸アミドの1種以上から構成される単独重合体または共重合体が使用できる。スルホン基を含有する重合体としては、ポリイソプレンスルホン酸またはその塩、ポリスチレンスルホン酸またはその塩、スルホン基を有するアミン化合物またはその塩が使用できる。窒素を含有する重合体としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、またはポリアクリルアミドが使用できる。
以下に、バリヤ金属の研磨における本発明の研磨液の原理を説明する。図1は、CMPにおける研磨状況を模擬した、研磨速度を電気化学的に評価するための装置の概念図である。回転速度制御機構を有するモーターに研磨パッド4を埋め込んだ回転軸を取り付ける。そして研磨パッド4を、リード線を有したバリヤ金属をスパッタした電極(研磨試料3)に押し付ける。電極に押し付ける荷重は秤を用いて測定し、秤の下に設置しているジャッキを使用して荷重を調整し、均一荷重を付与する。バリヤ金属の溶解速度(研磨速度に対応)は、回転させた状態で荷重有無の条件下(無荷重回転下および荷重回転下)で電気化学測定を行う。溶解速度の評価は、サイクリックボルタモグラムによった。 回転速度は、実研磨時の周速度とほぼ同じになるように、2000rpmとした。電位の走査速度は20mV/sとし、浸漬電位よりアノード側に電位を走査させた。5回サイクルを繰り返した。アノード電流が大きいということは、その分だけバリヤ金属が溶解していることを示している。
以下に示す実施例から、本発明のCMP用研磨液を用いることにより、銅、銅合金、チタン、タンタル、窒化チタン、窒化タンタル、タングステン、ルテニウムを制御可能な良好な速度で研磨することができることが示される。
テトラエトキシシランのアンモニウム水溶液中での加水分解により平均粒径40nmのものを作製した。
基体として厚さ1μmの銅箔または種々のバリヤ金属(TaN, Ta, Ti, TiN, Ru)を形成したシリコン基板を使用した。研摩パッドには独立気泡を有する発泡ポリウレタン樹脂を使用した。基体と研摩定盤との相対速度は36m/minに設定した。荷重は、150g/cm2とした。
CMPによる研摩速度は、銅箔およびバリヤ金属ともに、電気抵抗値から換算して求めたCMP前後での膜厚の差に基づいて評価した。
ディッシング量については次の方法で評価した。絶縁膜上に深さ0.5μmの溝を形成し、公知のスパッタ法および電気めっき法によって銅を埋め込んだ後、CMPを実施して得られる、配線金属部幅100μm、絶縁部幅100μmが交互に並んだストライプパターンの、絶縁部に対する配線金属部の減り量を触針式段差計で求め、該減り量に基づいてディッシング量を評価した。
錯形成剤として0.015Mのリンゴ酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02Mのベンゾトリアゾール、添加剤として0.4wt%の硫酸アンモニウム、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH3.59(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表1に示すように銅、バリヤ金属の研摩速度およびディッシングとも良好な結果を得ることができた。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.62S/mであった。
錯形成剤として0.015Mの酒石酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02Mのベンゾトリアゾール、添加剤として0.2wt%のシュウ酸アンモニウム、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH3.88(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表1に示すように銅、バリヤ金属の研摩速度は良好な結果を得ることができたが、ディッシングがやや大きかった。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.32S/mであった。
本実施例は、実施例2の成分に水溶性高分子として0.4wt%のポリビニルピロリドンを添加したスラリーを用いてCMPを実施した。その結果表1に示すように、銅、バリヤ金属の研摩速度およびディッシングとも良好な結果を得ることができ、水溶性高分子の添加により平坦性を改善することができた。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.33S/mであった。
錯形成剤として0.020Mのクエン酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02Mのベンゾトリアゾール、添加剤として0.2wt%の塩化カリウム、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH3.58(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表1に示すように銅、バリヤ金属の研摩速度およびディッシングとも良好な結果を得ることができた。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.45S/mであった。
錯形成剤として0.012Mのマレイン酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02Mのベンゾトリアゾール、添加剤として0.5wt%の硫酸カリウム、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH3.53(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表1に示すように銅、バリヤ金属の研摩速度およびディッシングとも良好な結果を得ることができた。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.72S/mであった。
錯形成剤として0.015Mのリンゴ酸、酸化剤として0.1Mの過硫酸カリウム、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02Mのベンゾトリアゾール、添加剤として0.1wt%のフッ化アンモニウム、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH3.92(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表1に示すように銅、バリヤ金属の研摩速度およびディッシングとも良好な結果を得ることができた。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.38S/mであった。
錯形成剤として0.025Mのコハク酸、酸化剤として0.1Mの過硫酸カリウム、防錆剤(保護膜形成剤)として0.5wt%のキナルジン酸、添加剤として0.24wt%の硝酸アンモニウム、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH3.50(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表1に示すように銅、バリヤ金属の研摩速度およびディッシングとも良好な結果を得ることができた。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.67S/mであった。
錯形成剤として0.010Mのシュウ酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02Mのアントラニル酸、添加剤として0.23wt%の酢酸アンモニウム、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH4.38(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表1に示すように銅、バリヤ金属の研摩速度およびディッシングとも良好な結果を得ることができた。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.35S/mであった。
本実施例は、実施例2の成分に水溶性高分子として実施例3とは異なる0.4wt%のポリアクリル酸を添加、添加剤としてシュウ酸アンモニウムのかわりに0.4wt%の硫酸アンモニウムを添加、および添加剤としてシュウ酸アンモニウムのかわりに0.4wt%の硫酸アンモニウムを添加したスラリー(pH3.82(KOHまたはH2SO4で調整))を用いてCMPを実施した。その結果表1に示すように、銅、バリヤ金属の研摩速度およびディッシングとも良好な結果を得ることができ、水溶性高分子の添加により平坦性を改善することができた。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.38S/mであった。
錯形成剤として0.015Mのリンゴ酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02MのBTA、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH3.82(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表2に示すように銅の研磨速度は良好な結果を得ることができたが、バリヤ金属の研摩速度は目標に達しなかった。またディッシングは良好な結果を得ることができた。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.12S/mであった。
錯形成剤として0.015Mの酒石酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02MのBTA、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH3.85(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表2に示すように銅の研磨速度は良好な結果を得ることができたが、バリヤ金属の研摩速度は目標に達しなかった。またディッシングはやや悪かった。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.14S/mであった。
錯形成剤として0.015Mの酒石酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02MのBTA、水溶性高分子として0.4wt%のポリアクリル酸、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH3.62(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表2に示すように銅の研磨速度は良好な結果を得ることができたが、バリヤ金属の研摩速度は目標に達しなかった。またディッシングは良好な結果を得ることができた。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.14S/mであった。
酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02MのBTA、添加剤として0.2wt%の塩化カリウム、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH3.51(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表2に示すように銅およびバリヤ金属の研摩速度は目標に達しなかった。またディッシングもやや大きかった。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.40S/mであった。
錯形成剤として0.015Mのリンゴ酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02MのBTA、添加剤として0.4wt%の硫酸アンンモニウム、pH3.55(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表2に示すように銅の研磨速度はやや低下したが、バリヤ金属の研摩速度は目標に達しなかった。またディッシングは良好であった。砥粒は添加しなかった。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.60S/mであった。
錯形成剤として0.015Mの酒石酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、添加剤として0.4wt%のシュウ酸アンモニウム、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH3.85(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表2に示すように銅およびバリヤの研磨速度は良好な結果を得ることができたが、ディッシングは非常に大きかった。防錆剤は添加しなかった。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.32S/mであった。
錯形成剤として0.015Mの酒石酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02MのBTA、水溶性高分子として0.4wt%のポリアクリル酸、添加剤として0.4wt%の硫酸アンモニウム、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH1.85(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表2に示すように銅およびバリヤ金属の研磨速度は良好な結果を得ることができたが、ディッシングは非常に大きかった。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.34S/mであった。
錯形成剤として0.015Mの酒石酸、酸化剤として1.8Mの過酸化水素、防錆剤(保護膜形成剤)として0.02MのBTA、水溶性高分子として0.4wt%のポリアクリル酸、添加剤として0.4wt%の硫酸アンモニウムおよび0.00035Mのドデシルベンゼンスルフォン酸カリウム、砥粒として40nmコロイダルシリカ1.0wt%、pH1.85(KOHまたはH2SO4で調整)からなるスラリーを用いてCMPを実施した結果、表2に示すように銅の研磨速度は良好な結果を得ることができたが、バリヤ金属の研磨速度は低下し、ほとんど研磨できなかった。ディッシングは良好であった。本実施例では、バリヤ金属としてTaN, Ta, Ti, TiN, Ruを使用した。スラリーの電気伝導度は、0.36S/mであった。
表1および2に示した実施例および比較例に示されるように、化学機械的研磨スラリーとして、(1)錯形成剤(溶解剤)、(2)防錆剤、(3)酸化剤、(4)砥粒、(5)電気伝導度上昇のための添加剤としての塩(添加剤)、で構成され、pHが2.0以上であり、電気伝導度が0.2S/m以上であるスラリーを用いる場合、銅で代表される導体金属およびTaNで代表されるバリヤ金属の双方を適切な研磨速度で、しかも小さなディッシング量で研磨することが可能である。比較例1に示すように、実施例1の成分から添加剤である硫酸アンモニウムを取り除き、溶液の電気伝導度を低下させた場合、導体の研磨速度およびディッシング量に大きな変化はないものの、バリヤの研磨速度が低下し、目標値に達しなくなる。同様に、比較例2に示すように、実施例2の成分から添加剤であるシュウ酸アンモニウムを取り除き、溶液の電気伝導度を低下させた場合、導体の研磨速度およびディッシング量(やや増大)に大きな変化はないものの、バリヤの研磨速度が低下し、目標値に達しなくなる。比較例3に示すように、比較例2の成分に水溶性高分子として0.4wt%のポリアクリル酸を添加してもディッシングは改善されるものの、電気伝導度は上昇しないため、バリヤの研磨速度は遅く、目標値に達しない。比較例4は、実施例4の場合から錯形成剤を取り除いた場合であるが、錯形成剤が存在しない場合は、電気伝導度が高くても導体および特にバリヤの研磨速度が大きく低下し、目標値に達しなくなるばかりか、ディッシングもやや大きくなり目標値に達しなくなる。比較例5は、実施例1の条件から、砥粒を取り除いた場合である。砥粒を取り除いた研磨液中でのサイクリックボルタモグラム(図4)からの結果からも予想されるように、砥粒を除いた場合、バリヤの研磨速度は極端に低下する。また導体の研磨速度も若干低下する。ディッシングは良好のままであった。このことから、前述したように、添加剤である硫酸アンモニウム自身がバリヤ金属の研磨速度を改良しているのではなく、砥粒との相互作用によってバリヤの研磨速度が改良されていることを示している。比較例6は、実施例2の条件から、防錆剤であるBTAを取り除いた場合である。導体およびバリヤ金属の研磨速度は良好であったが、ディッシング量が極めて大きくなり、平坦性が非常に低下した。比較例7は、実施例9の成分でpHを3.82から1.85に低下させた場合である。導体およびバリヤの研磨速度は良好であったが、ディッシング量は大きくなり、目標値内に収まらなかった。平坦性を向上させる目的で、水溶性高分子を添加しているが、pHが低下した場合は、平坦性を向上させることができなかった。濃度を上昇させても、デッィシングがやや改良されるものの、目標には達していない。比較例8では、平坦性をさらに向上させる目的で、添加剤としてさらに0.00035Mのドデシルベンゼンスルフォン酸カリウムを添加した場合である。ディッシングはやや改良されるものの、バリヤ金属の研磨速度が低下し、目標値に達しなくなる。
Claims (12)
- 銅または銅合金から成る導体とバリヤ金属とを一つの液で化学的・機械的に研磨するための研磨液であって、(1)錯形成剤、(2)防錆剤、(3)酸化剤、(4)砥粒、及び(5)該研磨液のpH条件での水の酸化電位において安定であるアニオン種を含む塩を少なくとも含み、電気伝導度が0.2 S m-1以上であり、pHが2.0以上であることを特徴とする研磨液。
- 塩のカチオン種がアンモニウム、カリウム、ナトリウム、鉄、およびアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1記載の研磨液。
- 塩が硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、フッ化アンモニウム、および酢酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1記載の研磨液。
- 錯形成剤がジカルボン酸およびその塩、ならびにヒドロキシ酸およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項記載の研磨液。
- 水溶性高分子をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の研磨液。
- 水溶性高分子化合物がアクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、及びアクリル酸アミドの1種以上から構成される単独重合体または共重合体、ポリイソプレンスルホン酸またはその塩、ポリスチレンスルホン酸またはその塩、スルホン基を有するアミン化合物またはその塩、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、およびポリアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項5記載の研磨液。
- 防錆剤が窒素を含有する不飽和複素環式化合物である、請求項1〜6のいずれか1項記載の研磨液。
- 窒素を含有する不飽和複素環式化合物がキノリン、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、イソインドール、キナルジン酸およびその塩、オキシン、ならびにトリアゾールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7記載の研磨液。
- 砥粒が金属酸化物である請求項1〜8のいずれか1項記載の研磨液。
- 砥粒がアルミナ、セリア、ゲルマニア、シリカ、チタニア、およびジルコニアからなる群から選択される少なくも1種である、請求項1〜8のいずれか1項記載の研磨液。
- 砥粒が0.2μm以下の一次粒子径を有する、請求項1〜10のいずれか1項記載の研磨液。
- 砥粒の添加量が研磨液の全量に対して2.0wt%以下である、請求項1〜11のいずれか1項記載の研磨液。
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