JP2009295448A - 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】色素層から電子輸送層へ注入された電子が、逆移動する確率を低下させることによって、電子と正孔の再結合を抑制し得る光電変換効率に優れた光電変換素子、かかる光電変換素子を効率よく製造することができる光電変換素子の製造方法、および前記光電変換素子を備えた信頼性の高い電子機器を提供すること。
【解決手段】光電変換素子1は、電極3と、電子輸送層4と、色素層Dと、電解質層5と、電極6と、電極3と電子輸送層4とを接合する接合膜7とを有する。接合膜7は、金属原子と、該金属原子と結合する酸素原子と、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含み、エネルギー付与により接合膜7の脱離基が脱離することによって発現した接着性によって、第1の電極3と電子輸送層4とを接合している。また、接合膜7は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端の高さが、電子輸送層4の伝導帯の下端の高さより低い。
【選択図】図2
【解決手段】光電変換素子1は、電極3と、電子輸送層4と、色素層Dと、電解質層5と、電極6と、電極3と電子輸送層4とを接合する接合膜7とを有する。接合膜7は、金属原子と、該金属原子と結合する酸素原子と、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含み、エネルギー付与により接合膜7の脱離基が脱離することによって発現した接着性によって、第1の電極3と電子輸送層4とを接合している。また、接合膜7は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端の高さが、電子輸送層4の伝導帯の下端の高さより低い。
【選択図】図2
Description
本発明は、光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器に関するものである。
従来から、環境にやさしい電源として、太陽電池(光電変換素子)が注目を集め、人工衛星用電源等に用いられる単結晶シリコン型の太陽電池、また、多結晶シリコンやアモルファスシリコンを用いた太陽電池が、産業用や家庭用として実用化が始まっている。
また、最近では、安価な材料を用いて、大掛かりな設備を必要とせずに低コストで製造することができる太陽電池として、湿式色素増感型太陽電池(特許文献1参照)、乾式色素増感型太陽電池(特許文献2参照)が提案されている。
また、最近では、安価な材料を用いて、大掛かりな設備を必要とせずに低コストで製造することができる太陽電池として、湿式色素増感型太陽電池(特許文献1参照)、乾式色素増感型太陽電池(特許文献2参照)が提案されている。
この色素増感型太陽電池は、一般に、透明導電膜と、透明導電膜上に設けられた多孔質状の半導体層(電子輸送層)と、半導体層の表面に吸着された色素層と、色素層表面と接触するように層状に設けられた電解質層(正孔輸送層)と、電解質層上に設けられた対極により構成される。
図17には、従来の色素増感型太陽電池のエネルギーダイヤグラムと光照射時の電子の概念的な動きとを示す。
図17には、従来の色素増感型太陽電池のエネルギーダイヤグラムと光照射時の電子の概念的な動きとを示す。
色素増感型太陽電池では、光が入射すると、色素層dにおいて電子(e−)と正孔(h+)とが発生する。このうち、電子は、図17に示すように、色素層dの最低空分子軌道から半導体層1004へ、正孔は電解質層(図17には図示せず)へとそれぞれ伝達され、電子は透明導電膜1003に、正孔は対極(図17には図示せず)にそれぞれ到達する。これにより、透明導電膜1003と対極との間に電位差(光起電力)が生じ、外部に電流を取り出すことができる。
ところが、このような色素増感型太陽電池では、一旦、半導体層1004の最低空分子軌道へ注入された電子の一部が、意図した方向とは反対の方向、すなわち色素層dの最高被占分子軌道に移動し、色素層d内の正孔や電解質層へ伝達された正孔と再結合し、電子および正孔が消失する現象が起こる。色素増感型太陽電池では、この現象が、光電変換効率(発電効率)の低下を招く大きな原因の1つとなっている。
また、多孔質状の半導体層は、透明導電膜上に、酸化チタン等の半導体材料の粒子を含む分散液を塗布して液状被膜を形成し、これを乾燥・焼成することによって形成される。
しかしながら、液状被膜を焼成する際には、透明導電膜に400℃超の高温での熱処理がなされるため、熱影響で透明導電膜の導電性が低下する。これにより、透明導電膜の電気抵抗が上昇し、色素増感型太陽電池の光電変換効率の低下を招いている。
しかしながら、液状被膜を焼成する際には、透明導電膜に400℃超の高温での熱処理がなされるため、熱影響で透明導電膜の導電性が低下する。これにより、透明導電膜の電気抵抗が上昇し、色素増感型太陽電池の光電変換効率の低下を招いている。
本発明の目的は、色素層から電子輸送層へ注入された電子が、色素層側に逆移動する確率を低下させることによって、電子と、色素層中の正孔および電解質層中の正孔との再結合を抑制し得る、光電変換効率に優れた光電変換素子、かかる光電変換素子を効率よく製造することができる光電変換素子の製造方法、および、前記光電変換素子を備えた信頼性の高い電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の光電変換素子は、第1の電極と、
該第1の電極と対向して設けられた第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する電子輸送層と、
該電子輸送層と接触するように設けられた色素層と、
前記電子輸送層と前記第2の電極との間に、前記色素層と接触するように設けられた電解質層とを有し、
前記第1の電極と前記電子輸送層との間は、接合膜を介して接合されており、
前記接合膜は、金属原子と、該金属原子と結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含み、その少なくとも一方の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離することにより、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記第1の電極と前記電子輸送層とを接合しており、かつ、
前記接合膜は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端のエネルギー準位が、前記電子輸送層の伝導帯の下端のエネルギー準位より低いことを特徴とする。
これにより、色素層から電子輸送層へ注入された電子が、色素層側に逆移動する確率を低下させることによって、電子と、色素層中の正孔および電解質層中の正孔との再結合を抑制し得る、光電変換効率に優れた光電変換素子が得られる。
本発明の光電変換素子は、第1の電極と、
該第1の電極と対向して設けられた第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する電子輸送層と、
該電子輸送層と接触するように設けられた色素層と、
前記電子輸送層と前記第2の電極との間に、前記色素層と接触するように設けられた電解質層とを有し、
前記第1の電極と前記電子輸送層との間は、接合膜を介して接合されており、
前記接合膜は、金属原子と、該金属原子と結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含み、その少なくとも一方の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離することにより、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記第1の電極と前記電子輸送層とを接合しており、かつ、
前記接合膜は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端のエネルギー準位が、前記電子輸送層の伝導帯の下端のエネルギー準位より低いことを特徴とする。
これにより、色素層から電子輸送層へ注入された電子が、色素層側に逆移動する確率を低下させることによって、電子と、色素層中の正孔および電解質層中の正孔との再結合を抑制し得る、光電変換効率に優れた光電変換素子が得られる。
本発明の光電変換素子では、前記脱離基は、前記接合膜の表面付近に偏在していることが好ましい。
これにより、接合膜に金属酸化物膜としての機能を好適に発揮させることができる。すなわち、接合膜に、接合膜としての機能の他に、半導体特性等の特性に優れた金属酸化物膜としての機能を好適に付与することができる。
これにより、接合膜に金属酸化物膜としての機能を好適に発揮させることができる。すなわち、接合膜に、接合膜としての機能の他に、半導体特性等の特性に優れた金属酸化物膜としての機能を好適に付与することができる。
本発明の光電変換素子では、前記金属原子は、チタン、亜鉛、ニオブ、スズおよびタングステンのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
これにより、接合膜は、優れた半導体特性を発揮し、かつ優れた電子授受性および電子輸送性を発揮するものとなる。
本発明の光電変換素子では、前記接合膜は、前記電子輸送層中に含まれる金属原子と同種の金属原子を含んでいることが好ましい。
これにより、接合膜は、電子輸送層に対する高い親和性を有するものとなり、電子輸送層と第1の電極とをより強固に接合することができる。
これにより、接合膜は、優れた半導体特性を発揮し、かつ優れた電子授受性および電子輸送性を発揮するものとなる。
本発明の光電変換素子では、前記接合膜は、前記電子輸送層中に含まれる金属原子と同種の金属原子を含んでいることが好ましい。
これにより、接合膜は、電子輸送層に対する高い親和性を有するものとなり、電子輸送層と第1の電極とをより強固に接合することができる。
本発明の光電変換素子では、前記脱離基は、水素原子、炭素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子、またはこれらの各原子で構成される原子団のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
これらの脱離基は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、エネルギーを付与することによって比較的簡単に、かつ均一に接着性を発現させることができ、接合膜の接着性をより高度化することができる。
これらの脱離基は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、エネルギーを付与することによって比較的簡単に、かつ均一に接着性を発現させることができ、接合膜の接着性をより高度化することができる。
本発明の光電変換素子では、前記接合膜は、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化スズまたは酸化タングステンに、前記脱離基として水素原子が導入されたものであることが好ましい。
かかる構成の接合膜は、それ自体が優れた機械的特性と、優れた透光性とを有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、このような接合膜は、第1の電極に対して特に強固に接合するとともに、電子輸送層に対しても特に強い被着力を示し、その結果として、第1の電極に電子輸送層を確実に仮接合することができる。また、かかる構成の接合膜は、半導体特性に優れ、電子輸送層から輸送された電子を効率よく受け取り、第1の電極側に輸送することができる。
かかる構成の接合膜は、それ自体が優れた機械的特性と、優れた透光性とを有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、このような接合膜は、第1の電極に対して特に強固に接合するとともに、電子輸送層に対しても特に強い被着力を示し、その結果として、第1の電極に電子輸送層を確実に仮接合することができる。また、かかる構成の接合膜は、半導体特性に優れ、電子輸送層から輸送された電子を効率よく受け取り、第1の電極側に輸送することができる。
本発明の光電変換素子では、前記接合膜の伝導帯の下端のエネルギー準位と、前記電子輸送層の伝導帯の下端のエネルギー準位との差は、0.1〜1eVであることが好ましい。
これにより、電子輸送層中を輸送された電子を、接合膜へより効率よく注入することができる。その結果、光電変換素子は、より優れた光電変換効率を得ることができる。
これにより、電子輸送層中を輸送された電子を、接合膜へより効率よく注入することができる。その結果、光電変換素子は、より優れた光電変換効率を得ることができる。
本発明の光電変換素子では、前記接合膜中の金属原子と酸素原子の存在比は、3:7〜7:3であることが好ましい。
これにより、接合膜の安定性が高くなり、第1の電極に電子輸送層をより確実に接合することができる。また、接合膜を、電子授受性および電子輸送性に優れたものとすることができる。
これにより、接合膜の安定性が高くなり、第1の電極に電子輸送層をより確実に接合することができる。また、接合膜を、電子授受性および電子輸送性に優れたものとすることができる。
本発明の光電変換素子では、前記接合膜は、その少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が、当該接合膜から脱離した後に、活性手が生じることが好ましい。
これにより、第1の電極と電子輸送層に対して、化学的結合に基づいて確実に接合可能なものとなる。
本発明の光電変換素子では、前記活性手は、未結合手または水酸基であることが好ましい。
これにより、接合膜に対して、電子輸送層をより確実に接合することが可能となる。
これにより、第1の電極と電子輸送層に対して、化学的結合に基づいて確実に接合可能なものとなる。
本発明の光電変換素子では、前記活性手は、未結合手または水酸基であることが好ましい。
これにより、接合膜に対して、電子輸送層をより確実に接合することが可能となる。
本発明の光電変換素子では、前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmであることが好ましい。
これにより、接合膜は、電子輸送層から輸送された電子を、より効率よく第1の電極へ伝達することができる。また、電子輸送層と第1の電極とをより確実に接合することができる。
これにより、接合膜は、電子輸送層から輸送された電子を、より効率よく第1の電極へ伝達することができる。また、電子輸送層と第1の電極とをより確実に接合することができる。
本発明の光電変換素子では、前記接合膜は、流動性を有さない固体状をなしていることが好ましい。
これにより、接合膜自体が寸法精度の高いものとなり、接合膜に電子輸送層を接合して得られる光電変換素子においても、高い寸法精度のものが得られる。
本発明の光電変換素子では、前記第1の電極の前記接合膜と接している面には、予め、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されていることが好ましい。
これにより、第1の電極の表面を清浄化および活性化し、接合膜と第1の電極との接合を確実に行うことができる。また、接合膜と第1の電極との界面を、電子がより容易に通過するものとなすことができる。その結果、電子輸送層内および接合膜中を輸送された電子を、第1の電極へ効率よく伝達することができる。
これにより、接合膜自体が寸法精度の高いものとなり、接合膜に電子輸送層を接合して得られる光電変換素子においても、高い寸法精度のものが得られる。
本発明の光電変換素子では、前記第1の電極の前記接合膜と接している面には、予め、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されていることが好ましい。
これにより、第1の電極の表面を清浄化および活性化し、接合膜と第1の電極との接合を確実に行うことができる。また、接合膜と第1の電極との界面を、電子がより容易に通過するものとなすことができる。その結果、電子輸送層内および接合膜中を輸送された電子を、第1の電極へ効率よく伝達することができる。
本発明の光電変換素子では、前記電子輸送層には、予め、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されていることが好ましい。
これにより、電子輸送層の表面を清浄化および活性化し、接合膜と電子輸送層との接合を確実に行うことができる。また、接合膜と電子輸送層との界面を、電子がより容易に通過するものとなすことができる。その結果、電子輸送層中を輸送された電子を、接合膜に効率よく伝達することができる。
これにより、電子輸送層の表面を清浄化および活性化し、接合膜と電子輸送層との接合を確実に行うことができる。また、接合膜と電子輸送層との界面を、電子がより容易に通過するものとなすことができる。その結果、電子輸送層中を輸送された電子を、接合膜に効率よく伝達することができる。
本発明の光電変換素子では、前記表面処理は、プラズマ処理であることが好ましい。
これにより、接合膜との接合に際して、第1の電極や電子輸送層の表面を特に最適化することができる。
本発明の光電変換素子では、前記電子輸送層は、主として、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化ニオブのうちの少なくとも1種で構成されていることが好ましい。
これらの金属酸化物は、そのバンドギャップが、太陽光を効率的に吸収するのに適していることから、電子輸送層の構成材料として特に好ましい。また、これらの金属酸化物材料は、主に金属酸化物で構成される接合膜との親和性に優れ、接合膜との密着性に優れた電子輸送層を形成することができる。
これにより、接合膜との接合に際して、第1の電極や電子輸送層の表面を特に最適化することができる。
本発明の光電変換素子では、前記電子輸送層は、主として、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化ニオブのうちの少なくとも1種で構成されていることが好ましい。
これらの金属酸化物は、そのバンドギャップが、太陽光を効率的に吸収するのに適していることから、電子輸送層の構成材料として特に好ましい。また、これらの金属酸化物材料は、主に金属酸化物で構成される接合膜との親和性に優れ、接合膜との密着性に優れた電子輸送層を形成することができる。
本発明の光電変換素子では、前記電子輸送層は、多孔質状の多孔質層と、それより緻密な緻密質層との積層体で構成されており、
前記接合膜側には前記緻密質層が位置していることが好ましい。
これにより、多孔質層と接合膜とが密着している場合に比べて、電子輸送層と接合膜との接合面積がより広くなるため、電子輸送層と第1の電極との接合強度をより高めることができる。また、これらの接合界面における電子輸送性の向上も図られる。
前記接合膜側には前記緻密質層が位置していることが好ましい。
これにより、多孔質層と接合膜とが密着している場合に比べて、電子輸送層と接合膜との接合面積がより広くなるため、電子輸送層と第1の電極との接合強度をより高めることができる。また、これらの接合界面における電子輸送性の向上も図られる。
本発明の光電変換素子では、前記第1の電極は、主として、酸化インジウムスズ(ITO)およびフッ素原子を含有する酸化スズ(FTO)のうちの少なくとも一方で構成されていることが好ましい。
これらの金属酸化物は、接合膜との親和性に富んでいることから、接合膜との接合性に優れた第1の電極が得られる。また、これらの金属酸化物は、導電性および透光性に優れていることから、光電変換素子の光電変換効率を高めることができる。
これらの金属酸化物は、接合膜との親和性に富んでいることから、接合膜との接合性に優れた第1の電極が得られる。また、これらの金属酸化物は、導電性および透光性に優れていることから、光電変換素子の光電変換効率を高めることができる。
本発明の光電変換素子では、前記エネルギーの付与は、前記接合膜にエネルギー線を照射する方法、前記接合膜を加熱する方法、および前記接合膜に圧縮力を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法により行われることが好ましい。
これにより、接合膜に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができる。
本発明の光電変換素子では、前記エネルギー線は、波長126〜300nmの紫外線であることが好ましい。
これにより、接合膜に付与されるエネルギー量が最適化されるので、接合膜中の脱離基を確実に脱離させることができる。その結果、接合膜の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜に接着性を発現させることができる。
これにより、接合膜に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができる。
本発明の光電変換素子では、前記エネルギー線は、波長126〜300nmの紫外線であることが好ましい。
これにより、接合膜に付与されるエネルギー量が最適化されるので、接合膜中の脱離基を確実に脱離させることができる。その結果、接合膜の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜に接着性を発現させることができる。
本発明の光電変換素子では、前記加熱の温度は、25〜100℃であることが好ましい。
これにより、接合体が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合膜に対する電子輸送層および第1の電極の接合がより確実なものとなる。
本発明の光電変換素子では、前記圧縮力は、0.2〜10MPaであることが好ましい。
これにより、圧力が高すぎて光電変換素子を構成する各部に損傷等が生じるのを防止しつつ、接合膜に、電子輸送層および第1の電極との十分な接着性が発現する。
本発明の光電変換素子では、前記エネルギーの付与は、大気雰囲気中で行われることが好ましい。
これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギーの付与をより簡単に行うことができる。
これにより、接合体が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合膜に対する電子輸送層および第1の電極の接合がより確実なものとなる。
本発明の光電変換素子では、前記圧縮力は、0.2〜10MPaであることが好ましい。
これにより、圧力が高すぎて光電変換素子を構成する各部に損傷等が生じるのを防止しつつ、接合膜に、電子輸送層および第1の電極との十分な接着性が発現する。
本発明の光電変換素子では、前記エネルギーの付与は、大気雰囲気中で行われることが好ましい。
これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギーの付与をより簡単に行うことができる。
本発明の光電変換素子の製造方法は、第1の電極上に、金属原子と、該金属原子と結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含む接合膜を形成する第1の工程と、
前記接合膜にエネルギーを付与することにより、前記脱離基を前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離させ、前記接合膜に接着性を発現させる第2の工程と、
前記接合膜の表面に電子輸送層を圧接する第3の工程と、
前記電子輸送層を介して前記第1の電極と対向配置される第2の電極を用意し、該第2の電極と前記電子輸送層との間に、電解質を充填し、電解質層を形成する第4の工程とを有し、
前記接合膜は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端のエネルギー準位が、前記電子輸送層の伝導帯の下端のエネルギー準位より低いことを特徴とする。
これにより、色素層から電子輸送層へ注入された電子が、色素層側に逆移動する確率を低下させることによって、電子と、色素層中の正孔および電解質層中の正孔との再結合を抑制し得る、光電変換効率に優れた光電変換素子を、効率よく製造することができる。
前記接合膜にエネルギーを付与することにより、前記脱離基を前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離させ、前記接合膜に接着性を発現させる第2の工程と、
前記接合膜の表面に電子輸送層を圧接する第3の工程と、
前記電子輸送層を介して前記第1の電極と対向配置される第2の電極を用意し、該第2の電極と前記電子輸送層との間に、電解質を充填し、電解質層を形成する第4の工程とを有し、
前記接合膜は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端のエネルギー準位が、前記電子輸送層の伝導帯の下端のエネルギー準位より低いことを特徴とする。
これにより、色素層から電子輸送層へ注入された電子が、色素層側に逆移動する確率を低下させることによって、電子と、色素層中の正孔および電解質層中の正孔との再結合を抑制し得る、光電変換効率に優れた光電変換素子を、効率よく製造することができる。
本発明の光電変換素子の製造方法は、前記電子輸送層は、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化ニオブのうちの少なくとも1種を主材料とする粉末を分散媒に分散してなる分散液を、仮基板上に塗布し、液状被膜を形成する工程と、
前記液状被膜を乾燥させた後、焼成し、被膜を形成する工程と、
該被膜を前記仮基板から剥離する工程とにより形成されたものであることが好ましい。
これにより、高温での熱処理を伴うことなく、第1の電極と電子輸送層とを、界面での電子輸送能を損なうことなく確実に接合することができるので、第1の電極の熱影響による導電性の低下を防止することができ、光電変換素子における光電変換効率の低下を防止することができる。
本発明の電子機器は、本発明の光電変換素子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
前記液状被膜を乾燥させた後、焼成し、被膜を形成する工程と、
該被膜を前記仮基板から剥離する工程とにより形成されたものであることが好ましい。
これにより、高温での熱処理を伴うことなく、第1の電極と電子輸送層とを、界面での電子輸送能を損なうことなく確実に接合することができるので、第1の電極の熱影響による導電性の低下を防止することができ、光電変換素子における光電変換効率の低下を防止することができる。
本発明の電子機器は、本発明の光電変換素子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
以下、本発明の光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器について添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の光電変換素子およびその製造方法の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の光電変換素子の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1に示す光電変換素子の電子移動メカニズムを示す模式図、図4は、図1に示す光電変換素子が備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図、図5は、図1に示す光電変換素子が備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図、図6は、接合膜を成膜する際に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図、図7は、図6に示す成膜装置が備えるイオン源の構成を示す模式図、図8は、各種金属酸化物について価電子帯の上端電位および伝導帯の下端電位を示す模式図である。なお、以下の説明では、図1および図2、図4〜図7中の紙面上、上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言い、各層(各部材)の上側の面を「上面」、下側の面を「下面」と言う。
<第1実施形態>
まず、本発明の光電変換素子およびその製造方法の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の光電変換素子の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1に示す光電変換素子の電子移動メカニズムを示す模式図、図4は、図1に示す光電変換素子が備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図、図5は、図1に示す光電変換素子が備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図、図6は、接合膜を成膜する際に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図、図7は、図6に示す成膜装置が備えるイオン源の構成を示す模式図、図8は、各種金属酸化物について価電子帯の上端電位および伝導帯の下端電位を示す模式図である。なお、以下の説明では、図1および図2、図4〜図7中の紙面上、上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言い、各層(各部材)の上側の面を「上面」、下側の面を「下面」と言う。
図1に示す光電変換素子1は、電解質溶液を必要としない、いわゆる乾式光電変換素子と呼ばれるものである。
この光電変換素子1は、基板2と、第1の電極(面電極)3と、接合膜7と、緻密質層(緻密質な電子輸送層)41と、多孔質層(多孔質な電子輸送層)42と、色素層Dと、電解質層(正孔輸送層)5と、第2の電極(対向電極)6とを有している。以下、各層(各部)の構成について説明する。
基板2は、第1の電極3、接合膜7、緻密質層41、多孔質層42、色素層D、電解質層5および第2の電極6の各層を支持するものである。この基板2は、平板状(または層状)の部材で構成されている。
この光電変換素子1は、基板2と、第1の電極(面電極)3と、接合膜7と、緻密質層(緻密質な電子輸送層)41と、多孔質層(多孔質な電子輸送層)42と、色素層Dと、電解質層(正孔輸送層)5と、第2の電極(対向電極)6とを有している。以下、各層(各部)の構成について説明する。
基板2は、第1の電極3、接合膜7、緻密質層41、多孔質層42、色素層D、電解質層5および第2の電極6の各層を支持するものである。この基板2は、平板状(または層状)の部材で構成されている。
本実施形態の光電変換素子1では、図1および図2に示すように、基板2および後述する第1の電極3側から、例えば、太陽光等の光(以下、単に「光」と言う。)を入射させて(照射して)使用するものである。このため、基板2および第1の電極3は、それぞれ、好ましくは実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされる。これにより、光を、後述する色素層Dに効率よく到達させることができる。
この基板2の構成材料としては、例えば、各種ガラス材料、各種セラミックス材料、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような各種樹脂材料等が挙げられる。また、基板2は、単層または複数層の積層体で構成されていてもよい。
基板2の平均厚さは、材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、例えば、次のようにすることができる。
基板2の平均厚さは、材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、例えば、次のようにすることができる。
基板2が硬質なものである場合、その平均厚さは、0.1〜1.5mm程度であるのが好ましく、0.8〜1.2mm程度であるのがより好ましい。また、基板2が可撓性(フレキシブル性)を有するもの(主として樹脂材料で構成された可撓性基板)である場合、その平均厚さは、0.5〜150μm程度であるのが好ましく、10〜75μm程度であるのがより好ましい。
なお、光電変換素子1を各種の電子機器に搭載する場合、電子機器の構成部材を光電変換素子1の基板2として利用することができる。
基板2の上面には、層状の第1の電極(面電極)3が設けられている。
なお、光電変換素子1を各種の電子機器に搭載する場合、電子機器の構成部材を光電変換素子1の基板2として利用することができる。
基板2の上面には、層状の第1の電極(面電極)3が設けられている。
第1の電極3の構成材料には、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、フッ素ドープした酸化スズ(FTO)、酸化インジウム(IO)、酸化スズ(SnO2)のような各種金属酸化物(透明導電性酸化物)、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルまたはこれらを含む合金のような各種金属材料、カーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンのような各種炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、第1の電極3は、ITOおよびFTOの少なくとも一方で構成されているのが好ましい。これらの金属酸化物で構成された第1の電極3は、後述する接合膜7との親和性に富んでいることから、接合膜7との接合性に優れたものである。また、これらの金属酸化物は、導電性および透光性に優れていることから、光電変換素子1の光電変換効率を高めることができる。
第1の電極3の平均厚さは、材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、例えば、次のようにすることができる。
第1の電極3を各種金属酸化物で構成する場合、その平均厚さは、0.05〜5μm程度であるのが好ましく、0.1〜1.5μm程度であるのがより好ましい。また、第1の電極3を各種金属材料や各種炭素材料で構成する場合、その平均厚さは、0.01〜1μm程度であるのが好ましく、0.03〜0.1μm程度であるのがより好ましい。
第1の電極3を各種金属酸化物で構成する場合、その平均厚さは、0.05〜5μm程度であるのが好ましく、0.1〜1.5μm程度であるのがより好ましい。また、第1の電極3を各種金属材料や各種炭素材料で構成する場合、その平均厚さは、0.01〜1μm程度であるのが好ましく、0.03〜0.1μm程度であるのがより好ましい。
第1の電極3の上面には、接合膜7を介して電子輸送層4が設けられている。すなわち、電子輸送層4は、第1の電極3と後述する第2の電極6との間に位置しており、接合膜7を介して第1の電極3と電気的に接続されている。
本実施形態では、この電子輸送層4が、第1の電極3側に設けられた緻密質層41と、この緻密質層41と接触するようにして、緻密質層41の上面に設けられた多孔質層42とで構成されている。この電子輸送層4は、後述する色素層Dで発生した電子を捕捉し、第1の電極3に輸送する機能を有する。
本実施形態では、この電子輸送層4が、第1の電極3側に設けられた緻密質層41と、この緻密質層41と接触するようにして、緻密質層41の上面に設けられた多孔質層42とで構成されている。この電子輸送層4は、後述する色素層Dで発生した電子を捕捉し、第1の電極3に輸送する機能を有する。
電子輸送層4の構成材料としては、例えば、二酸化チタン(TiO2)、一酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti2O3)等の酸化チタン、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化ニオブ(Nb2O5)のような酸化物、炭化チタン(TiC)、炭化ケイ素(SiC)のような炭化物、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化ホウ素(B4N、BN)のような窒化物、硫化カドミウム(CdS)のような硫化物、セレン化カドミウム(CdSe)のようなセレン化物のような各種n型半導体材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、電子輸送層4の構成材料としては、酸化チタン(特に、二酸化チタン)、酸化亜鉛および酸化ニオブのうちの少なくとも1種を主材料とするものを用いるのが好ましい。
これらの中でも、電子輸送層4の構成材料としては、酸化チタン(特に、二酸化チタン)、酸化亜鉛および酸化ニオブのうちの少なくとも1種を主材料とするものを用いるのが好ましい。
前記各成分のうち、二酸化チタンは、特に、電子の輸送能力に優れる。また、二酸化チタンは、光に対する感受性が高く、二酸化チタンを主材料として電子輸送層4を構成することにより、電子輸送層4自体でも、電子を発生させることができる。これにより、光電変換素子1の光電変換効率(発電効率)をより向上させることができる。
また、二酸化チタンは、その結晶構造が安定しているので、二酸化チタンを主材料とする電子輸送層4は、過酷な環境下に曝された場合でも、経年変化(劣化)が少なく、安定した性能が長期間継続して得られるという利点を有する。
また、二酸化チタンは、その結晶構造が安定しているので、二酸化チタンを主材料とする電子輸送層4は、過酷な環境下に曝された場合でも、経年変化(劣化)が少なく、安定した性能が長期間継続して得られるという利点を有する。
さらに、二酸化チタンとしては、アナターゼ型の二酸化チタン、ルチル型の二酸化チタン、または、これらの混合物を用いることができる。なお、二酸化チタンとして、アナターゼ型の二酸化チタンとルチル型の二酸化チタンとの混合物を用いる場合、これらの混合比は、特に限定されないが、重量比で95:5〜5:95程度とするのが好ましく、80:20〜20:80程度とするのがより好ましい。
また、前述した酸化チタン、酸化亜鉛および酸化ニオブは、そのバンドギャップが、太陽光を効率的に吸収するのに適していることから、電子輸送層4の構成材料として特に好ましい。また、これらの金属酸化物材料は、主に金属酸化物で構成される接合膜7との親和性に優れ、接合膜との密着性に優れた電子輸送層4を形成することができる。
また、前述した酸化チタン、酸化亜鉛および酸化ニオブは、そのバンドギャップが、太陽光を効率的に吸収するのに適していることから、電子輸送層4の構成材料として特に好ましい。また、これらの金属酸化物材料は、主に金属酸化物で構成される接合膜7との親和性に優れ、接合膜との密着性に優れた電子輸送層4を形成することができる。
緻密質層41は、その空孔率が多孔質層42の空孔率より小さく設定されている。この緻密質層41は、後述する電解質層5と第1の電極3とが接触するのを防止または抑制する機能を有する。この緻密質層41を設けることにより、光電変換素子1の光電変換効率(エネルギー変換効率)が低下するのを防止することができる。
一方、多孔質層42は、その空孔率が比較的大きく設定されており、図2に示すように、複数の空孔421を有している。この多孔質層42には、後述するように、色素層Dが接触するように設けられるが、多孔質層42を複数の空孔421を有する形状とすることにより、色素層Dを多孔質層42の外面および空孔421の内面に沿って形成することができる。
一方、多孔質層42は、その空孔率が比較的大きく設定されており、図2に示すように、複数の空孔421を有している。この多孔質層42には、後述するように、色素層Dが接触するように設けられるが、多孔質層42を複数の空孔421を有する形状とすることにより、色素層Dを多孔質層42の外面および空孔421の内面に沿って形成することができる。
このため、色素層Dと多孔質層42との接触面積を十分に確保することができる。これにより、色素層Dで発生した電子を電子輸送層4へより効率よく伝達させることができる。また、多孔質層42に入射した光は、多孔質層42の内部まで侵入し、多孔質層42を透過、または、空孔421内で任意の方向に反射(乱反射、拡散等)して、より高い確率で色素層D中の色素に吸収されることになり、色素層Dでは、より効率よく電子および正孔が発生することになる。このようなことから、光電変換素子1の光電変換効率(エネルギー変換効率)をより向上させることができる。
なお、緻密質層41は、省略することもできる。すなわち、電子輸送層4は、その一部が多孔質なものである図示の構成と異なり、その全体が多孔質なものであってもよい。また、例えば、電子輸送層4は、その厚さ方向の途中に緻密質層41を有する構成であってもよい。
以上のように構成された電子輸送層4は、接合膜7を介して第1の電極3上に接着(接合)されている。この接合膜7の構成については、後に詳述する。
以上のように構成された電子輸送層4は、接合膜7を介して第1の電極3上に接着(接合)されている。この接合膜7の構成については、後に詳述する。
色素層Dは、多孔質層42に接触するように設けられている。この色素層Dは、主として色素で構成され、多孔質層42の外面および空孔421の内面に沿って形成されている。
この色素層D(色素)は、受光により電子と正孔とを発生する。このうち、電子は、前記の電子輸送層4へ、また、正孔は、後述する電解質層5へ、それぞれ伝達される。
この色素には、例えば、各種顔料や各種染料を単独または混合して使用することができるが、経時的変質(劣化)が少ないという点で顔料を、電子輸送層4(多孔質層42)への吸着性に優れるという点で染料を用いるのが好ましい。
この色素層D(色素)は、受光により電子と正孔とを発生する。このうち、電子は、前記の電子輸送層4へ、また、正孔は、後述する電解質層5へ、それぞれ伝達される。
この色素には、例えば、各種顔料や各種染料を単独または混合して使用することができるが、経時的変質(劣化)が少ないという点で顔料を、電子輸送層4(多孔質層42)への吸着性に優れるという点で染料を用いるのが好ましい。
顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、アゾメチン系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、ニトロソ系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料のような各種有機顔料、炭素系顔料、クロム酸塩系顔料、硫化物系顔料、酸化物系顔料、水酸化物系顔料、フェロシアン化物系顔料、ケイ酸塩系顔料、リン酸塩系顔料、その他(例えば硫化カドミウム、セレン化カドミウム等)のような各種無機顔料等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、RuL2(SCN)2、RuL2Cl2、RuL2CN2、Rutenium535−bisTBA(Solaronics社製)、[RuL2(NCS2)2H2Oのような金属錯体色素、シアン系色素、キサンテン系色素、アゾ系色素、ハイビスカス色素、ブラックベリー色素、ラズベリー色素、ザクロ果汁色素、クロロフィル色素等が挙げられる。なお、前記組成式中のLは、2,2’−bipyridineまたはその誘導体を示す。
色素層Dが形成された電子輸送層4の上面には、色素層Dに接触するように層状の電解質層5が設けられている。すなわち、電解質層5は、電子輸送層4(多孔質層42)と後述する第2の電極6との間に位置している。この電解質層5は、色素層Dで発生した正孔を捕捉し、輸送する機能を有する。
このような電解質層5は、液体状、ゲル状、または固体状とされるが、図1に示す光電変換素子は乾式であるため、ここでは、固体状の電解質層5について説明する。
このような電解質層5は、液体状、ゲル状、または固体状とされるが、図1に示す光電変換素子は乾式であるため、ここでは、固体状の電解質層5について説明する。
固体状の電解質層5としては、例えば、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはこれらの誘導体のような有機ポリマーや、チオフェンを骨格に有するデンドリマー等の有機高分子、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、フタロシアニン、ペリレン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、スチルベン、アリールビニル、ピラゾリン、トリフェニルアミン、トリアリールアミン、オリゴチオフェン、フタロシアニンまたはこれらの誘導体等の有機低分子、CuI、AgI、AgBr、CuSCN等の無機材料などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、前記有機ポリマーは、他のポリマーとの混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
また、前述したように、湿式の光電変換素子の場合、電解質層5は、液体状またはゲル状とされる。
また、前述したように、湿式の光電変換素子の場合、電解質層5は、液体状またはゲル状とされる。
液体状の電解質層5は、例えば、I/I3系、Br/Br3系、Cl/Cl3系、F/F3系のようなハロゲン系、キノン/ハイドロキノン系等のレドックス電解質(酸化還元物質:電解質成分)の1種または2種以上を組み合わせたものを、例えば各種水、アセトニトリル、エチレンカーボネート、炭酸プロピレン、ポリエチレングリコール等の溶媒(または、これらの混合溶媒)に溶解した電解質溶液で構成することができる。
これらの中でも、電解質溶液としては、特に、ヨウ素溶液(I/I3系溶液)が好ましく用いられる。より具体的には、電解質溶液は、例えば、ヨウ素およびヨウ化カリウムをエチレングリコールに溶解した溶液、ジメチルヘキシルイミダゾリウム、ヨウ素およびヨウ化リチウムを所定量のTertiary-butylpyridineが添加されたアセトニトリルに溶解した溶液、IodolyteTG50(Solaronics社製)、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオダイド等を用いることができる。
電解質溶液中の電解質成分の濃度(含有量)としては、特に限定されないが、例えば、0.1〜25wt%程度であるのが好ましく、0.5〜15wt%程度であるのがより好ましい。
また、ゲル状の電解質層5は、例えば、前述のような電解質溶液をゲル状の基材(ゲル基材)中に保持させたもので構成することができる。
このゲル基材としては、例えば、主として熱可塑性樹脂で構成されるもの、主として熱硬化性樹脂で構成されるもの、主として共重合体で構成されるもの、主としてシロキサン結合を有する化合物で構成されるもの等を用いることができ、さらに、これらのうちの任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、ゲル状の電解質層5は、例えば、前述のような電解質溶液をゲル状の基材(ゲル基材)中に保持させたもので構成することができる。
このゲル基材としては、例えば、主として熱可塑性樹脂で構成されるもの、主として熱硬化性樹脂で構成されるもの、主として共重合体で構成されるもの、主としてシロキサン結合を有する化合物で構成されるもの等を用いることができ、さらに、これらのうちの任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
このうち、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂(PI)、エポキシ樹脂、石炭酸樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂(PI)、エポキシ樹脂、石炭酸樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
また、共重合体は、少なくとも2種の化合物(共重合体の前駆体)を、例えば、イオン重合(カチオン重合、アニオン重合)、ラジカル重合等、あるいは、これらを併用して重合させることにより得られるものであり、例えば、エポキシ系共重合体、ビニルエーテル系共重合体、オキセダン系共重合体、ウレタンアクリレート系共重合体、エポキシアクリレート系共重合体、エステルアクリレート系共重合体、アクリレート系共重合体等が挙げられる。
したがって、前記化合物(共重合体の前駆体)としては、例えば、ウレタン、ポリアセン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリカーボン、ポリピロール、ポリアニリン、活性硫黄等のうちから、任意の2種以上を適宜選択して用いることができる。
また、シロキサン結合を有する化合物としては、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルキルフェニルシロキサン、シリコン原子の一部が他の金属原子(例えば、アルミニウム、チタン等)と置換したポリメタロシロキサン等が挙げられる。
また、シロキサン結合を有する化合物としては、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルキルフェニルシロキサン、シリコン原子の一部が他の金属原子(例えば、アルミニウム、チタン等)と置換したポリメタロシロキサン等が挙げられる。
また、電解質層5は、図2に示すように、色素層Dが形成された多孔質層42の空孔421内に入り込んで形成され、色素層Dと電解質層5との接触面積が十分に確保されている。このため、色素層Dで発生した正孔(ホール)を電解質層5へより効率よく伝達させることができる。
電解質層5の平均厚さは、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜300μm程度であるのがより好ましく、10〜30μm程度であるのがさらに好ましい。
電解質層5の平均厚さは、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜300μm程度であるのがより好ましく、10〜30μm程度であるのがさらに好ましい。
電解質層5の上面には、層状の第2の電極6が設けられている。すなわち、第2の電極(対向電極)6は、第1の電極3と対向して設けられている。
この第2の電極6の構成材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルまたはこれらを含む合金のような各種金属材料、あるいは、カーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンのような各種炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。その他、第2の電極6の構成材料には、各種透明導電性酸化物を用いることもできる。
この第2の電極6の構成材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルまたはこれらを含む合金のような各種金属材料、あるいは、カーボン、カーボンナノチューブ、フラーレンのような各種炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。その他、第2の電極6の構成材料には、各種透明導電性酸化物を用いることもできる。
第2の電極6の平均厚さは、材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.01〜5μm程度であるのが好ましく、0.03〜1.5μm程度であるのがより好ましい。
以上のような構成の光電変換素子1に、基板2側から光が入射すると、主に色素層D(色素)において電子が励起され、電子(e−)と正孔(h+)とが発生する。このうち、電子は、電子輸送層4の伝導帯4Lに注入され、正孔は正孔輸送層に注入される(図3参照)。電子輸送層4に注入された電子は、層中を輸送され、さらに接合膜7の伝導帯7Lに注入される(図3参照)。さらに、電子は、接合膜7を介して、第1の電極3に移動する。
以上のような構成の光電変換素子1に、基板2側から光が入射すると、主に色素層D(色素)において電子が励起され、電子(e−)と正孔(h+)とが発生する。このうち、電子は、電子輸送層4の伝導帯4Lに注入され、正孔は正孔輸送層に注入される(図3参照)。電子輸送層4に注入された電子は、層中を輸送され、さらに接合膜7の伝導帯7Lに注入される(図3参照)。さらに、電子は、接合膜7を介して、第1の電極3に移動する。
一方、電解質層5に注入された正孔は、層中を輸送され、第2の電極6に注入される。このように、第1の電極3および第2の電極6に、それぞれ、電子および正孔が注入されることにより、第1の電極3と第2の電極6との間に電位差(光起電力)が生じる。そして、光電変換素子1の第1の電極3と第2の電極6とを外部回路8により接続すると、外部回路8に電流(光励起電流)が流れる。
次に、接合膜7について説明する。
本発明では、この接合膜7の構成に特徴を有し、優れた接着性と、優れた電子受容性および電子輸送性を発揮するものである。
以下、接合膜7の構成について詳述する。
接合膜7は、第1の電極3の上面31に設けられ、金属原子と、この金属原子と結合する酸素原子と、これら金属原子および酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基703とを含むものである(図4参照。)。換言すれば、接合膜7は、金属酸化物で構成される金属酸化物膜に脱離基703を導入したものと言うことができる。
本発明では、この接合膜7の構成に特徴を有し、優れた接着性と、優れた電子受容性および電子輸送性を発揮するものである。
以下、接合膜7の構成について詳述する。
接合膜7は、第1の電極3の上面31に設けられ、金属原子と、この金属原子と結合する酸素原子と、これら金属原子および酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基703とを含むものである(図4参照。)。換言すれば、接合膜7は、金属酸化物で構成される金属酸化物膜に脱離基703を導入したものと言うことができる。
このような接合膜7は、エネルギーが付与されると、脱離基703が接合膜7(金属原子および酸素原子の少なくとも一方)から脱離し、図5に示すように、接合膜7の少なくとも表面75の付近に、活性手704が生じるものである。そして、これにより、接合膜7表面に接着性が発現する。かかる接着性が発現すると、接合膜7は、緻密質層41に対して、強固に接合可能なものとなる。その結果、第1の電極3と緻密質層41とが接合膜7を介して強固に接合され、第1の電極3から緻密質層41が剥離するのを確実に防止することができる。
また、接合膜7は、金属原子と、この金属原子と結合する酸素原子とで構成されるもの、すなわち金属酸化物に脱離基703が結合したものであることから、変形し難い強固な膜となる。さらに、接合膜7は、流動性を有さない固体状をなすものである。これらのため、接合膜自体が寸法精度の高いものとなり、接合膜7に緻密質層41を接合して得られる光電変換素子1においても、高い寸法精度を得ることができる。
また、このように接合膜7が緻密質層41と強固に接合していることにより、緻密質層41と接合膜7との界面は、オーミック接合となり、電子が通過し易いものとなっている。
また、本発明では、接合膜7は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端(最低空分子軌道)のエネルギー準位が、電子輸送層4の伝導帯の下端のエネルギー準位より低いものとなっている。すなわち、本実施形態では、電子輸送層4が、緻密質層41と多孔質層42の2層によって構成されており、接合膜7の伝導帯の下端の高さは、これら双方の伝導帯の下端の高さより低いものとなっている。
また、本発明では、接合膜7は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端(最低空分子軌道)のエネルギー準位が、電子輸送層4の伝導帯の下端のエネルギー準位より低いものとなっている。すなわち、本実施形態では、電子輸送層4が、緻密質層41と多孔質層42の2層によって構成されており、接合膜7の伝導帯の下端の高さは、これら双方の伝導帯の下端の高さより低いものとなっている。
また、接合膜7が設けられていることにより、電子輸送層4中を輸送された電子は、図3に実線矢印で示すように、接合膜7の伝導帯(最低空分子軌道)に効率よく注入され、第1の電極3側に輸送される。これは、電子輸送層4から接合膜7への電子移動速度が速いため、電子輸送層4から第1の電極3へと電子が高速で移動し得ることによるものである。言い換えると、接合膜7は、優れた電子授受性および電子輸送性を有している。これにより、図3に破線矢印で示すような、電子輸送層4中の電子が色素層D側に逆移動する現象が抑制され、色素層D中および電解質層5中の正孔と再結合するのが抑制される。したがって、色素層Dで生じた電子および正孔を効率よく外部回路8に取り出すことができ、光電変換素子1は、優れた光電変換効率を得ることができる。
なお、本実施形態では、電子輸送層4のうち、緻密質層41と接合膜7とが密着している。このようにすれば、多孔質層と接合膜とが密着している場合に比べて、電子輸送層4と接合膜7との接合面積がより広くなるため、電子輸送層4と第1の電極3との接合強度をより高めることができる。また、これらの接合界面における電子輸送性の向上も図られる。
ここで、接合膜7の伝導帯の下端のエネルギー準位と、電子輸送層4(緻密質層41および多孔質層42)の伝導帯の下端のエネルギー準位との差は、0.1〜1eVであるのが好ましく、0.2〜0.8eVであるのがより好ましい。これにより、電子輸送層4中を輸送された電子を、接合膜7へより効率よく注入することができる。その結果、光電変換素子1は、より優れた光電変換効率を得ることができる。
ここで、接合膜7の伝導帯の下端のエネルギー準位と、電子輸送層4(緻密質層41および多孔質層42)の伝導帯の下端のエネルギー準位との差は、0.1〜1eVであるのが好ましく、0.2〜0.8eVであるのがより好ましい。これにより、電子輸送層4中を輸送された電子を、接合膜7へより効率よく注入することができる。その結果、光電変換素子1は、より優れた光電変換効率を得ることができる。
なお、脱離基703は、少なくとも接合膜7の表面75付近に存在していればよく、接合膜7のほぼ全体に存在していてもよいし、接合膜7の表面75付近に偏在していてもよい。なお、脱離基703が表面75付近に偏在する構成とすることにより、接合膜7において金属酸化物の特性が支配的になるので、接合膜7は、金属酸化物膜としての機能を好適に発揮させることができる。すなわち、接合膜7に、接合膜としての機能の他に、電子輸送層4から電子を受け取り、第1の電極3側に輸送する機能を好適に付与することができるという利点も得られる。
以上のような接合膜7としての機能が好適に発揮されるように、金属原子が選択される。
以上のような接合膜7としての機能が好適に発揮されるように、金属原子が選択される。
具体的には、金属原子としては、特に限定されないが、例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、TiおよびPb等が挙げられる。
この中でも、Ti(チタン)、Zn(亜鉛)、Nb(ニオブ)、Sn(スズ)およびW(タングステン)のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。接合膜7を、これらの金属原子を含むもの、すなわちこれらの金属原子を含む金属酸化物に脱離基703を導入したものとすることにより、接合膜7は、優れた半導体特性を発揮し、かつ優れた電子授受性および電子輸送性を発揮するものとなる。なお、かかる接合膜7は、高い伝熱性および透明性も有する。
この中でも、Ti(チタン)、Zn(亜鉛)、Nb(ニオブ)、Sn(スズ)およびW(タングステン)のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。接合膜7を、これらの金属原子を含むもの、すなわちこれらの金属原子を含む金属酸化物に脱離基703を導入したものとすることにより、接合膜7は、優れた半導体特性を発揮し、かつ優れた電子授受性および電子輸送性を発揮するものとなる。なお、かかる接合膜7は、高い伝熱性および透明性も有する。
より具体的には、半導体特性を有する金属酸化物としては、例えば、KTaO3(タンタル酸カリウム)、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)、TiO2(酸化チタン)、Nb2O5(酸化ニオブ)、ZnO(酸化亜鉛)、Fe2O3(酸化鉄)、WO3(酸化タングステン)、SnO2(酸化スズ)等が挙げられ、これらの中から、その伝導帯の下端のエネルギー準位が、電子輸送層4の下端のエネルギー準位より低いものを選択する。ここで、参考のため、これら金属酸化物について、価電子帯の上端の電位および伝導帯の下端の電位を図8に示す。
図8に示すように、例えば電子輸送層4の構成材料が二酸化チタン(TiO2)である場合、接合膜7の金属酸化物としてNb2O5、ZnO、WO3、SnO2等を用いることができ、中でも、Nb2O5が好適である。Nb2O5を用いることにより、接合膜7の伝導帯の下端のエネルギー準位と、二酸化チタン層(電子輸送層4)の下端のエネルギー準位との差を最適化することができ、電子が電子輸送層4から接合膜7へとより速やかに移動することができる。
同様に、例えば電子輸送層4の構成材料が酸化亜鉛(ZnO)である場合、接合膜7の金属酸化物としてWO3、SnO2等を用いることができ、中でも、SnO2が好適である。
なお、接合膜7中には、電子輸送層4中の金属原子と同種のものを含んでいるのが好ましい。これにより、接合膜7は、電子輸送層4に対する高い親和性を有するものとなり、電子輸送層4と第1の電極3とをより強固に接合することができる。
なお、接合膜7中には、電子輸送層4中の金属原子と同種のものを含んでいるのが好ましい。これにより、接合膜7は、電子輸送層4に対する高い親和性を有するものとなり、電子輸送層4と第1の電極3とをより強固に接合することができる。
また、接合膜7中の金属原子と酸素原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。金属原子と酸素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜7の安定性が高くなり、第1の電極3に緻密質層41をより確実に接合することができる。また、接合膜7を優れた電子授受性および電子輸送性を発揮するものとすることができる。
また、脱離基703は、前述したように、金属原子および酸素原子の少なくとも一方から脱離することにより、接合膜7に活性手を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基703には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないよう接合膜7に確実に結合しているものが好適に選択される。
かかる観点から、脱離基703には、水素原子、炭素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子、またはこれらの各原子で構成される原子団のうちの少なくとも1種が好適に用いられる。かかる脱離基703は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基703は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、接合膜7の接着性をより高度なものとすることができる。
以上のような各原子および原子団の中でも、接合膜7では、脱離基703は特に水素原子であるのが好ましい。水素原子で構成される脱離基703は、化学的な安定性が高いため、脱離基703として水素原子を備える接合膜7は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
以上のことを考慮すると、接合膜7としては、前述したような半導体特性を有する金属酸化物に、脱離基703として水素原子が導入されたものが好適に選択される。
以上のことを考慮すると、接合膜7としては、前述したような半導体特性を有する金属酸化物に、脱離基703として水素原子が導入されたものが好適に選択される。
かかる構成の接合膜7は、それ自体が優れた機械的特性と、優れた透光性とを有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、このような接合膜7は、緻密質層41に対して特に強固に接着するとともに、第1の電極3に対しても特に強い被着力を示し、その結果として、第1の電極3と緻密質層41とを、強固に接合することができる。そのため、第1の電極3から緻密質層41が剥離するのを確実に防止することができる。
また、このように接合膜7が、緻密質層41および第1の電極3に、それぞれ強固に密着していることにより、緻密質層41と接合膜7との界面、および、第1の電極3と接合膜7との界面において、より電子を輸送し易くなっている。
また、前述したように、かかる構成の接合膜7は、特に優れた電子授受性および電子輸送層を有している。
したがって、電子輸送層4中を輸送された電子は、接合膜7の伝導帯により効率よく注入され、第1の電極3側に輸送される。これにより、電子輸送層4中の電子が色素層D側に逆移動する確率を低下させることができ、電子が、色素層D中の正孔および電解質層5中の正孔と再結合するのを確実に抑制することができる。
また、前述したように、かかる構成の接合膜7は、特に優れた電子授受性および電子輸送層を有している。
したがって、電子輸送層4中を輸送された電子は、接合膜7の伝導帯により効率よく注入され、第1の電極3側に輸送される。これにより、電子輸送層4中の電子が色素層D側に逆移動する確率を低下させることができ、電子が、色素層D中の正孔および電解質層5中の正孔と再結合するのを確実に抑制することができる。
また、接合膜7の平均厚さは、1〜1000nm程度であるのが好ましく、2〜800nm程度であるのがより好ましい。接合膜7の厚さが前記範囲より薄い場合には、接合膜7の構成材料等によっては、接合膜7を設ける効果(電子輸送層4中を輸送された電子を効率よく受け取り、電子が色素層D側へ逆方向に移動する確率を低減する効果)が、十分に得られない可能性がある。また、接合膜7の厚さが前記範囲より厚い場合には、電子輸送層4から第1の電極3までの距離が長くなることにより、第1の電極3への電子の輸送効率が低くなる可能性がある。
なお、接合膜7の平均厚さを前記範囲内とすることにより、光電変換素子1の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、第1の電極3と緻密質層41とをより確実に接合することができる。
すなわち、接合膜7の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜7の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、光電変換素子1の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
すなわち、接合膜7の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜7の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、光電変換素子1の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
さらに、接合膜7の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜7にある程度の形状追従性が確保される。このため、例えば、緻密質層41の下面(接合膜7に隣接する面)に凹凸が存在している場合でも、その凹凸の高さにもよるが、凹凸の形状に追従するように接合膜7を被着させることができる。その結果、接合膜7は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、接合膜7を備える第1の電極3に緻密質層41を接合した際に、接合膜7の緻密質層41に対する密着性を高めることができる。
以上説明したような接合膜7は、接合膜7のほぼ全体に脱離基703を存在させる場合には、例えば、A:脱離基703を構成する原子成分を含む雰囲気下で、物理的気相成膜法により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物材料を成膜することにより形成することができる。また、接合膜7の表面75付近に偏在させる場合には、例えば、B:金属原子と前記酸素原子とを含む金属酸化物膜を成膜した後、この金属酸化物膜の表面付近に含まれる金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基703を導入することにより形成することができる。
以下、AおよびBの方法を用いて、接合膜7を成膜する場合について、詳述する。
A: Aの方法では、接合膜7は、上記のように、脱離基703を構成する原子成分を含む雰囲気下で、物理的気相成膜法(PVD法)により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物材料を成膜することにより形成される。このようにPVD法を用いる構成とすれば、金属酸化物材料を第1の電極3に向かって飛来させる際に、比較的容易に金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基703を導入することができるため、接合膜7のほぼ全体にわたって脱離基703を導入することができる。
さらに、PVD法によれば、緻密で均質な接合膜7を効率よく成膜することができる。これにより、PVD法で成膜された接合膜7は、緻密質層41に対して特に強固に接合し得るものとなる。また、PVD法で成膜された接合膜7は、第1の電極3に対しても高い密着性を示す。このため、第1の電極3と緻密質層41との間に高い接合強度が得られる。
さらに、PVD法によれば、緻密で均質な接合膜7を効率よく成膜することができる。これにより、PVD法で成膜された接合膜7は、緻密質層41に対して特に強固に接合し得るものとなる。また、PVD法で成膜された接合膜7は、第1の電極3に対しても高い密着性を示す。このため、第1の電極3と緻密質層41との間に高い接合強度が得られる。
また、PVD法で成膜された接合膜7は、電子輸送効率に優れ、電子を効率よく第1の電極3に伝達することができる。また、PVD法で成膜された接合膜7と緻密質層41との界面、および、PVD法で成膜された接合膜7と第1の電極3との界面は、電子が容易に通過し得るものとなっている。これらのため、PVD法で成膜された接合膜7を用いることにより、電子輸送層4中を輸送された電子を、接合膜7および第1の電極3に順次効率よく伝達することができる。これにより、電子輸送層4中の電子が色素層D側へ逆方向に移動する確率を低減し、色素層D中の正孔および電解質層5中の正孔と再結合するのを確実に抑制されることができる。その結果、光電変換素子1における光電変換効率をより高めることができる。
さらに、PVD法で成膜された接合膜7は、エネルギーが付与されて活性化された状態が比較的長時間にわたって維持される。このため、光電変換素子1の製造工程の簡素化、効率化を図ることができる。
また、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法等が挙げられるが、中でも、スパッタリング法を用いるのが好ましい。スパッタリング法によれば、金属原子と酸素原子との結合が切断することなく、脱離基703を構成する原子成分を含む雰囲気中に、金属酸化物の粒子を叩き出すことができる。そして、金属酸化物の粒子が叩き出された状態で、脱離基703を構成する原子成分を含むガスと接触させることができるため、金属酸化物(金属原子または酸素原子)への脱離基703の導入をより円滑に行うことができる。
また、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法等が挙げられるが、中でも、スパッタリング法を用いるのが好ましい。スパッタリング法によれば、金属原子と酸素原子との結合が切断することなく、脱離基703を構成する原子成分を含む雰囲気中に、金属酸化物の粒子を叩き出すことができる。そして、金属酸化物の粒子が叩き出された状態で、脱離基703を構成する原子成分を含むガスと接触させることができるため、金属酸化物(金属原子または酸素原子)への脱離基703の導入をより円滑に行うことができる。
以下、PVD法により接合膜7を成膜する方法として、スパッタリング法(イオンビームスパッタリング法)により、接合膜7を成膜する場合を代表に説明する。
まず、接合膜7の成膜方法を説明するのに先立って、第1の電極3の上面31にイオンビームスパッタリング法により接合膜7を成膜する際に用いられる成膜装置200について説明する。
まず、接合膜7の成膜方法を説明するのに先立って、第1の電極3の上面31にイオンビームスパッタリング法により接合膜7を成膜する際に用いられる成膜装置200について説明する。
図6に示す成膜装置200は、イオンビームスパッタリング法による接合膜7の形成がチャンバー(装置)内で行えるように構成されている。
具体的には、成膜装置200は、チャンバー(真空チャンバー)211と、このチャンバー211内に設置され、第1の電極3を成膜した基板2(成膜対象物)を保持する基板ホルダー(成膜対象物保持部)212と、チャンバー211内に設置され、チャンバー211内に向かってイオンビームBを照射するイオン源(イオン供給部)215と、イオンビームBの照射により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物(例えば、ITO)を発生させるターゲット(金属酸化物材料)216を保持するターゲットホルダー(ターゲット保持部)217とを有している。
具体的には、成膜装置200は、チャンバー(真空チャンバー)211と、このチャンバー211内に設置され、第1の電極3を成膜した基板2(成膜対象物)を保持する基板ホルダー(成膜対象物保持部)212と、チャンバー211内に設置され、チャンバー211内に向かってイオンビームBを照射するイオン源(イオン供給部)215と、イオンビームBの照射により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物(例えば、ITO)を発生させるターゲット(金属酸化物材料)216を保持するターゲットホルダー(ターゲット保持部)217とを有している。
また、チャンバー211には、チャンバー211内に、脱離基703を構成する原子成分を含むガス(例えば、水素ガス)を供給するガス供給手段260と、チャンバー211内の排気をして圧力を制御する排気手段230とを有している。
なお、本実施形態では、基板ホルダー212は、チャンバー211の天井部に取り付けられている。この基板ホルダー212は、回動可能となっている。これにより、第1の電極3上に接合膜7を均質かつ均一な厚さで成膜することができる。
なお、本実施形態では、基板ホルダー212は、チャンバー211の天井部に取り付けられている。この基板ホルダー212は、回動可能となっている。これにより、第1の電極3上に接合膜7を均質かつ均一な厚さで成膜することができる。
イオン源(イオン銃)215は、図7に示すように、開口(照射口)250が形成されたイオン発生室256と、イオン発生室256内に設けられたフィラメント257と、グリッド253、254と、イオン発生室256の外側に設置された磁石255とを有している。
また、イオン発生室256には、図6に示すように、その内部にガス(スパッタリング用ガス)を供給するガス供給源219が接続されている。
また、イオン発生室256には、図6に示すように、その内部にガス(スパッタリング用ガス)を供給するガス供給源219が接続されている。
このイオン源215では、イオン発生室256内に、ガス供給源219からガスを供給した状態で、フィラメント257を通電加熱すると、フィラメント257から電子が放出され、放出された電子が磁石255の磁場によって運動し、イオン発生室256内に供給されたガス分子と衝突する。これにより、ガス分子がイオン化する。このガスのイオンI+は、グリッド253とグリッド254との間の電圧勾配により、イオン発生室256内から引き出されるとともに加速され、開口250を介してイオンビームBとしてイオン源215から放出(照射)される。
イオン源215から照射されたイオンビームBは、ターゲット216の表面に衝突し、ターゲット216からは粒子(スパッタ粒子)が叩き出される。このターゲット216は、前述したような金属酸化物材料で構成されている。
イオン源215から照射されたイオンビームBは、ターゲット216の表面に衝突し、ターゲット216からは粒子(スパッタ粒子)が叩き出される。このターゲット216は、前述したような金属酸化物材料で構成されている。
この成膜装置200では、イオン源215は、その開口250がチャンバー211内に位置するように、チャンバー211の側壁に固定(設置)されている。なお、イオン源215は、チャンバー211から離間した位置に配置し、接続部を介してチャンバー211に接続した構成とすることもできるが、本実施形態のような構成とすることにより、成膜装置200の小型化を図ることができる。
また、イオン源215は、その開口250が、基板ホルダー212と異なる方向、本実施形態では、チャンバー211の底部側を向くように設置されている。
なお、イオン源215の設置個数は、1つに限定されるものではなく、複数とすることもできる、イオン源215を複数設置することにより、接合膜7の成膜速度をより速くすることができる。
なお、イオン源215の設置個数は、1つに限定されるものではなく、複数とすることもできる、イオン源215を複数設置することにより、接合膜7の成膜速度をより速くすることができる。
また、ターゲットホルダー217および基板ホルダー212の近傍には、それぞれ、これらを覆うことができる第1のシャッター220および第2のシャッター221が配設されている。
これらシャッター220、221は、それぞれ、ターゲット216にイオンビームBが不本意に照射されたり、第1の電極3に不本意な成膜がなされるのを防ぐためのものである。
これらシャッター220、221は、それぞれ、ターゲット216にイオンビームBが不本意に照射されたり、第1の電極3に不本意な成膜がなされるのを防ぐためのものである。
また、排気手段230は、ポンプ232と、ポンプ232とチャンバー211とを連通する排気ライン231と、排気ライン231の途中に設けられたバルブ233とで構成されており、チャンバー211内を所望の圧力に減圧し得るようになっている。
さらに、ガス供給手段260は、脱離基703を構成する原子成分を含むガス(例えば、水素ガス)を貯留するガスボンベ264と、ガスボンベ264からこのガスをチャンバー211に導くガス供給ライン261と、ガス供給ライン261の途中に設けられたポンプ262およびバルブ263とで構成されており、脱離基703を構成する原子成分を含むガスをチャンバー211内に供給し得るようになっている。
以上のような構成の成膜装置200を用いて、以下のようにして第1の電極3上に接合膜7が形成される。
まず、第1の電極3が設けられた基板2を用意し、この基板2を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
さらに、ガス供給手段260は、脱離基703を構成する原子成分を含むガス(例えば、水素ガス)を貯留するガスボンベ264と、ガスボンベ264からこのガスをチャンバー211に導くガス供給ライン261と、ガス供給ライン261の途中に設けられたポンプ262およびバルブ263とで構成されており、脱離基703を構成する原子成分を含むガスをチャンバー211内に供給し得るようになっている。
以上のような構成の成膜装置200を用いて、以下のようにして第1の電極3上に接合膜7が形成される。
まず、第1の電極3が設けられた基板2を用意し、この基板2を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
さらに、ガス供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に脱離基703を構成する原子成分を含むガスを供給する。これにより、チャンバー内をかかるガスを含む雰囲気下(水素ガス雰囲気下)とすることができる。
さらに、ガス供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に脱離基703を構成する原子成分を含むガスを供給する。これにより、チャンバー内をかかるガスを含む雰囲気下(水素ガス雰囲気下)とすることができる。
脱離基703を構成する原子成分を含むガスの流量は、1〜100ccm程度であるのが好ましく、10〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に確実に脱離基703を導入することができる。
また、チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、金属原子または酸素原子と、前記原子成分を含むガスとの反応が効率良く行われ、金属原子および酸素原子に確実に、前記原子成分を含むガスを導入することができる。
また、チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、金属原子または酸素原子と、前記原子成分を含むガスとの反応が効率良く行われ、金属原子および酸素原子に確実に、前記原子成分を含むガスを導入することができる。
次に、第2のシャッター221を開き、さらに第1のシャッター220を開いた状態にする。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
このガスのイオンI+は、グリッド253とグリッド254とにより加速されて、イオン源215から放出され、陰極材料で構成されるターゲット216に衝突する。これにより、ターゲット216から金属酸化物(例えば、ITO)の粒子が叩き出される。このとき、チャンバー211内が脱離基703を構成する原子成分を含むガスを含む雰囲気下(例えば、水素ガス雰囲気下)であることから、チャンバー211内に叩き出された粒子に含まれる金属原子および酸素原子に脱離基703が導入される。そして、この脱離基703が導入された金属酸化物が第1の電極3の上面31に被着することにより、接合膜7が形成される。
なお、本実施形態で説明したイオンビームスパッタリング法では、イオン源215のイオン発生室256内で、放電が行われ、電子e−が発生するが、この電子e−は、グリッド253により遮蔽され、チャンバー211内への放出が防止される。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜7に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜7の成膜中に導入された脱離基703が脱離するのを確実に防止することができる。
以上のようにして、厚さ方向のほぼ全体にわたって脱離基703が存在する接合膜7を成膜することができる。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜7に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜7の成膜中に導入された脱離基703が脱離するのを確実に防止することができる。
以上のようにして、厚さ方向のほぼ全体にわたって脱離基703が存在する接合膜7を成膜することができる。
B: また、Bの方法では、接合膜7は、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物膜を成膜した後、この金属酸化物膜の表面付近に含まれる金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基703を導入することにより形成される。かかる方法によれば、比較的簡単な工程で、金属酸化物膜の表面付近に脱離基703を偏在させた状態で導入することができ、接合膜および金属酸化物膜としての双方の特性に優れた接合膜7を形成することができる。
ここで、金属酸化物膜は、いかなる方法で成膜されたものでもよく、例えば、PVD法(物理的気相成膜法)、CVD法(化学的気相成膜法)、プラズマ重合法のような各種気相成膜法や、各種液相成膜法等により成膜することができるが、中でも、特に、PVD法により成膜するのが好ましい。PVD法によれば、緻密で均質な金属酸化物膜を効率よく成膜することができる。
また、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびレーザーアブレーション法等が挙げられるが、中でも、スパッタリング法を用いるのが好ましい。スパッタリング法によれば、金属原子と酸素原子との結合が切断することなく、雰囲気中に金属酸化物の粒子を叩き出して、第1の電極3上に供給することができるため、特性に優れた金属酸化物膜を成膜することができる。
さらに、金属酸化物膜の表面付近に脱離基703を導入する方法としては、各種方法が用いられ、例えば、B1:脱離基703を構成する原子成分を含む雰囲気下で金属酸化物膜を熱処理(アニール)する方法、B2:イオンインプラテーション法等が挙げられるが、中でも、特にB1の方法を用いるのが好ましい。B1の方法によれば、比較的容易に、脱離基703を金属酸化物膜の表面付近に選択的に導入することができる。また、熱処理を施す際の、雰囲気温度や処理時間等の処理条件を適宜設定することにより、導入する脱離基703の量、さらには脱離基703が導入される金属酸化物膜の厚さの制御を的確に行うことができる。
以下、金属酸化物膜をスパッタリング法(イオンビームスパッタリング法)により成膜し、次に、得られた金属酸化物膜を、脱離基703を構成する原子成分を含む雰囲気下で熱処理することにより、接合膜7を得る場合を代表に説明する。
なお、Bの方法を用いて接合膜7の成膜する場合も、Aの方法を用いて接合膜7を成膜する際に用いられる成膜装置200と同様の成膜装置が用いられるため、成膜装置に関する説明は省略する。
なお、Bの方法を用いて接合膜7の成膜する場合も、Aの方法を用いて接合膜7を成膜する際に用いられる成膜装置200と同様の成膜装置が用いられるため、成膜装置に関する説明は省略する。
まず、第1の電極3が設けられた基板2を用意し、この基板2を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、このとき、加熱手段を動作させ、チャンバー211内を加熱する。チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、膜密度の高い金属酸化物膜を成膜することができる。
次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、このとき、加熱手段を動作させ、チャンバー211内を加熱する。チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、膜密度の高い金属酸化物膜を成膜することができる。
次に、第2のシャッター221を開き、さらに第1のシャッター220を開いた状態にする。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
このガスのイオンI+は、グリッド253とグリッド254とにより加速されて、イオン源215から放出され、陰極材料で構成されるターゲット216に衝突する。これにより、ターゲット216から金属酸化物(例えば、ITO)の粒子が叩き出され、第1の電極3上に被着して、金属原子と、この金属原子に結合する酸素原子とを含む金属酸化物膜が形成される。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
このガスのイオンI+は、グリッド253とグリッド254とにより加速されて、イオン源215から放出され、陰極材料で構成されるターゲット216に衝突する。これにより、ターゲット216から金属酸化物(例えば、ITO)の粒子が叩き出され、第1の電極3上に被着して、金属原子と、この金属原子に結合する酸素原子とを含む金属酸化物膜が形成される。
なお、本実施形態で説明したイオンビームスパッタリング法では、イオン源215のイオン発生室256内で、放電が行われ、電子e−が発生するが、この電子e−は、グリッド253により遮蔽され、チャンバー211内への放出が防止される。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜7に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜7の成膜中に導入された脱離基703が脱離するのを確実に防止することができる。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜7に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜7の成膜中に導入された脱離基703が脱離するのを確実に防止することができる。
次に、第2のシャッター221を開いた状態で、第1のシャッター220を閉じる。
この状態で、加熱手段を動作させ、チャンバー211内をさらに加熱する。チャンバー211内の温度は、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基703が導入される温度に設定され、100〜600℃程度であるのが好ましく、150〜300℃程度であるのがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、次工程において、基板2、第1の電極3および金属酸化物膜を変質・劣化させることなく、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基703を導入することができる。
この状態で、加熱手段を動作させ、チャンバー211内をさらに加熱する。チャンバー211内の温度は、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基703が導入される温度に設定され、100〜600℃程度であるのが好ましく、150〜300℃程度であるのがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、次工程において、基板2、第1の電極3および金属酸化物膜を変質・劣化させることなく、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基703を導入することができる。
次に、ガス供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に脱離基703を構成する原子成分を含むガスを供給する。これにより、チャンバー211内をかかるガスを含む雰囲気下(水素ガス雰囲気下)とすることができる。
このように、前工程でチャンバー211内が加熱された状態で、チャンバー211内を、脱離基703を構成する原子成分を含むガスを含む雰囲気下(例えば、水素ガス雰囲気下)とすると、金属酸化物膜の表面付近に存在する金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基703が導入されて、接合膜7が形成される。
このように、前工程でチャンバー211内が加熱された状態で、チャンバー211内を、脱離基703を構成する原子成分を含むガスを含む雰囲気下(例えば、水素ガス雰囲気下)とすると、金属酸化物膜の表面付近に存在する金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基703が導入されて、接合膜7が形成される。
脱離基703を構成する原子成分を含むガスの流量は、1〜100ccm程度であるのが好ましく、10〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に確実に脱離基703を導入することができる。
なお、チャンバー211内は、前記工程において、排気手段230を動作させることにより調整された減圧状態を維持しているのが好ましい。これにより、金属酸化物膜の表面付近に対する脱離基703の導入をより円滑に行うことができる。また、前記工程の減圧状態を維持したまま、本工程においてチャンバー211内を減圧する構成とすることにより、再度減圧する手間が省けることから、成膜時間および成膜コスト等の削減を図ることができるという利点も得られる。
なお、チャンバー211内は、前記工程において、排気手段230を動作させることにより調整された減圧状態を維持しているのが好ましい。これにより、金属酸化物膜の表面付近に対する脱離基703の導入をより円滑に行うことができる。また、前記工程の減圧状態を維持したまま、本工程においてチャンバー211内を減圧する構成とすることにより、再度減圧する手間が省けることから、成膜時間および成膜コスト等の削減を図ることができるという利点も得られる。
この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、熱処理を施す時間は、15〜120分程度であるのが好ましく、30〜60分程度であるのがより好ましい。
また、熱処理を施す時間は、15〜120分程度であるのが好ましく、30〜60分程度であるのがより好ましい。
導入する脱離基703の種類等によっても異なるが、熱処理を施す際の条件(チャンバー211内の温度、真空度、ガス流量、処理時間)を上記範囲内に設定することにより、金属酸化物膜の表面付近に脱離基703を選択的に導入することができる。
以上のようにして、表面75付近に脱離基703が偏在する接合膜7を成膜することができる。
以上のようにして、表面75付近に脱離基703が偏在する接合膜7を成膜することができる。
なお、第1の電極3の上面31には、上記の方法により接合膜7を形成するのに先立って、あらかじめ、第1の電極3と接合膜7との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。
かかる表面処理としては、例えば、スパッタリング処理、ブラスト処理のような物理的表面処理、酸素プラズマ、窒素プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、エッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン暴露処理のような化学的表面処理、または、これらを組み合わせた処理等が挙げられる。このような処理を施すことにより、第1の電極3の上面31を清浄化するとともに、該領域を活性化させることができる。これにより、接合膜7と第1の電極3との接合を確実に行うことができる。
かかる表面処理としては、例えば、スパッタリング処理、ブラスト処理のような物理的表面処理、酸素プラズマ、窒素プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、エッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン暴露処理のような化学的表面処理、または、これらを組み合わせた処理等が挙げられる。このような処理を施すことにより、第1の電極3の上面31を清浄化するとともに、該領域を活性化させることができる。これにより、接合膜7と第1の電極3との接合を確実に行うことができる。
また、このような処理を施すことにより、接合膜7と第1の電極3との界面を、電子がより容易に通過し得るものとすることができる。これにより、電子輸送層4から第1の電極3への電子移動をより高速に行うことができる。その結果、電子輸送層4内の電子が色素層D側へと逆方向に移動する確率を低減し、色素層D中の正孔および電解質層5中の正孔と再結合するのを確実に抑制することができる。その結果、光電変換素子1の光電変換効率をより高めることができる。
また、これらの各表面処理の中でもプラズマ処理を用いることにより、接合膜7を形成するために、第1の電極3の表面を特に最適化することができる。
なお、表面処理を施す第1の電極3の上面31が、導電性高分子材料で構成されている場合には、特に、コロナ放電処理、窒素プラズマ処理等が好適に用いられる。
また、第1の電極3の構成材料によっては、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜7の接合強度が十分に高くなるものがある。このような効果が得られる第1の電極3の構成材料としては、例えば、前述したような各種金属酸化物系材料等を主材料とするものが挙げられる。
なお、表面処理を施す第1の電極3の上面31が、導電性高分子材料で構成されている場合には、特に、コロナ放電処理、窒素プラズマ処理等が好適に用いられる。
また、第1の電極3の構成材料によっては、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜7の接合強度が十分に高くなるものがある。このような効果が得られる第1の電極3の構成材料としては、例えば、前述したような各種金属酸化物系材料等を主材料とするものが挙げられる。
このような材料で構成された第1の電極3は、その表面が酸化膜で覆われており、この酸化膜の表面には、比較的活性の高い水酸基が結合している。したがって、このような材料で構成された第1の電極3を用いると、上記のような表面処理を施さなくても、第1の電極3と緻密質層41とを強固に接合することができる。
なお、この場合、第1の電極の全体が上記のような材料で構成されていなくてもよく、少なくとも接合膜7を形成する面(上面31)の表面付近が上記のような材料で構成されていればよい。
なお、この場合、第1の電極の全体が上記のような材料で構成されていなくてもよく、少なくとも接合膜7を形成する面(上面31)の表面付近が上記のような材料で構成されていればよい。
以上のようにして、第1の電極3の上面31に接合膜7を設けることができる。
なお、上記では、接合膜7を第1の電極3の上面31に設ける構成について説明したが、接合膜7は、緻密質層41の下面に設けるようにしてもよい。この場合、緻密質層41の下面に、予め、前述したような表面処理を設けるようにすれば、前述したような効果が同様に得られる。
さらに、接合膜7は、第1の電極3と緻密質層41の双方に設けるようにしてもよい。なお、この場合、表面処理は、第1の電極3と緻密質層41の双方に行ってもよく、いずれか一方に選択的に行うようにしてもよい。
なお、上記では、接合膜7を第1の電極3の上面31に設ける構成について説明したが、接合膜7は、緻密質層41の下面に設けるようにしてもよい。この場合、緻密質層41の下面に、予め、前述したような表面処理を設けるようにすれば、前述したような効果が同様に得られる。
さらに、接合膜7は、第1の電極3と緻密質層41の双方に設けるようにしてもよい。なお、この場合、表面処理は、第1の電極3と緻密質層41の双方に行ってもよく、いずれか一方に選択的に行うようにしてもよい。
次に、上述した光電変換素子の製造方法(本発明の光電変換素子の製造方法の第1実施形態)について説明する。
図9〜図13は、それぞれ、図1に示す光電変換素子の製造方法(製造工程)を説明するための図である。なお、以下では説明の都合上、図9〜図13中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
光電変換素子の第1製造方法は、[1]第1の電極の作製工程、[2]電子輸送層の作製工程、[3]接合膜の形成工程、[4]接合膜へのエネルギー付与工程、[5]第1の電極と電子輸送層との接合工程、[6]色素層の作製工程、[7]電解質層の作製工程、[8]第2の電極の作製工程を有している。以下、各工程について詳述する。
図9〜図13は、それぞれ、図1に示す光電変換素子の製造方法(製造工程)を説明するための図である。なお、以下では説明の都合上、図9〜図13中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
光電変換素子の第1製造方法は、[1]第1の電極の作製工程、[2]電子輸送層の作製工程、[3]接合膜の形成工程、[4]接合膜へのエネルギー付与工程、[5]第1の電極と電子輸送層との接合工程、[6]色素層の作製工程、[7]電解質層の作製工程、[8]第2の電極の作製工程を有している。以下、各工程について詳述する。
[1]第1の電極の作製
まず、基板2を用意する(図9(a)参照)。この基板2には、厚さが均一で、たわみのないものが好適に用いられる。
この基板2の上面に、第1の電極3形成用の液体を用いて膜を形成し、第1の電極3を形成する(図9(b)参照)。
この第1の電極3は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成することができる。
以上のようにして、基板2上に第1の電極3が形成される。
まず、基板2を用意する(図9(a)参照)。この基板2には、厚さが均一で、たわみのないものが好適に用いられる。
この基板2の上面に、第1の電極3形成用の液体を用いて膜を形成し、第1の電極3を形成する(図9(b)参照)。
この第1の電極3は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成することができる。
以上のようにして、基板2上に第1の電極3が形成される。
[2]電子輸送層の作製
まず、仮基板103を用意する(図10(c)参照)。
仮基板103は、緻密質層41、多孔質層42、電解質層5および第2の電極6を成膜するための仮の成膜面を構成するものであり、これら各層が形成された後に、緻密質層41の下面から除去される。
仮基板103の構成材料としては、特に限定されないが、後工程で緻密質層41の下面から除去されることから、除去し易いものを用いるのが好ましい。具体的には、各種ガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
まず、この仮基板103上に、電子輸送層4を形成する。以下では、主として二酸化チタンで構成される緻密質層41と多孔質層42とを順次形成することによって、電子輸送層4を形成する場合を一例として説明する。
まず、仮基板103を用意する(図10(c)参照)。
仮基板103は、緻密質層41、多孔質層42、電解質層5および第2の電極6を成膜するための仮の成膜面を構成するものであり、これら各層が形成された後に、緻密質層41の下面から除去される。
仮基板103の構成材料としては、特に限定されないが、後工程で緻密質層41の下面から除去されることから、除去し易いものを用いるのが好ましい。具体的には、各種ガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
まず、この仮基板103上に、電子輸送層4を形成する。以下では、主として二酸化チタンで構成される緻密質層41と多孔質層42とを順次形成することによって、電子輸送層4を形成する場合を一例として説明する。
[2−1]緻密質層41の形成
まず、仮基板103を用意し(図10(c)参照)、仮基板103の上面に、緻密質層41を形成する(図10(d)参照)。
緻密質層41形成用の液体としては、例えば、二酸化チタンの前駆体を含む溶液を用いることができる。
まず、仮基板103を用意し(図10(c)参照)、仮基板103の上面に、緻密質層41を形成する(図10(d)参照)。
緻密質層41形成用の液体としては、例えば、二酸化チタンの前駆体を含む溶液を用いることができる。
二酸化チタンの前駆体としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド(TPT)、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシド、チタンオキシアセチルアセトナート(TOA)のような有機チタン化合物や、四塩化チタン(TTC)のような無機チタン化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
緻密質層41形成用の液体中の二酸化チタンの前駆体の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.1〜10mol/L程度であるのが好ましく、0.2〜3mol/L程度であるのがより好ましい。
また、溶媒には、例えば、無水エタノール、2−ブタノール、2−プロパノール、2−n−ブトキシエタノールまたはこれらを含む混合液を用いることができる。
また、溶媒には、例えば、無水エタノール、2−ブタノール、2−プロパノール、2−n−ブトキシエタノールまたはこれらを含む混合液を用いることができる。
なお、二酸化チタンの前駆体としてチタンアルコキシドを用いる場合、緻密質層41形成用の液体中には、例えば、四塩化チタン、酢酸、アセチルアセトン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種添加物を添加するのが好ましい。これにより、チタンアルコキシドの加水分解反応を抑止することができる。この添加物とチタンアルコキシドとの配合比は、特に限定されないが、モル比で1:2〜8:1程度とするのが好ましい。
なお、このような緻密質層41形成用の液体の粘度は、例えば、二酸化チタンの前駆体の濃度、溶媒の種類や組成、添加物の有無、種類、組成や濃度等を適宜設定することにより調整することができる。
このような緻密質層41形成用の液体を、各種塗布法、各種印刷法等により仮基板103の上面に供給し、膜(薄膜または厚膜)を形成する。
その後、必要に応じて、得られた膜に対して水熱処理を施す。
このような緻密質層41形成用の液体を、各種塗布法、各種印刷法等により仮基板103の上面に供給し、膜(薄膜または厚膜)を形成する。
その後、必要に応じて、得られた膜に対して水熱処理を施す。
以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの緻密質層41を形成する。
また、緻密質層41は、低温スパッタリング法により形成するようにしてもよい。低温スパッタリング法によれば、緻密質層41を均一(均質)なものとすることができるととともに、緻密質層41の光の透過率が低下するのを防止することができる。
なお、ターゲットには、チタンまたは二酸化チタンを主材料とするものが用いられる。
また、緻密質層41は、低温スパッタリング法により形成するようにしてもよい。低温スパッタリング法によれば、緻密質層41を均一(均質)なものとすることができるととともに、緻密質層41の光の透過率が低下するのを防止することができる。
なお、ターゲットには、チタンまたは二酸化チタンを主材料とするものが用いられる。
このような処理条件において、例えば、ターゲットと仮基板103との距離や処理時間等を調整することにより、所望の厚さの緻密質層41を形成する。
なお、緻密質層41の形成方法としては、上記2種の方法に限定されず、例えば、真空蒸着法、スプレー熱分解法、ジェットモールド(プラズマ溶射)法、CVD法、電解メッキ法、無電解メッキ法等を用いて形成してもよい。
また、緻密質層41の形成に先立って、仮基板103の上面には、例えば、O2プラズマ処理、EB処理、有機溶剤(例えばエタノール、アセトン等)での洗浄処理等を行うことにより、仮基板103の上面に付着した有機物を除去するようにしてもよい。
なお、緻密質層41の形成方法としては、上記2種の方法に限定されず、例えば、真空蒸着法、スプレー熱分解法、ジェットモールド(プラズマ溶射)法、CVD法、電解メッキ法、無電解メッキ法等を用いて形成してもよい。
また、緻密質層41の形成に先立って、仮基板103の上面には、例えば、O2プラズマ処理、EB処理、有機溶剤(例えばエタノール、アセトン等)での洗浄処理等を行うことにより、仮基板103の上面に付着した有機物を除去するようにしてもよい。
[2−2] 多孔質層42の形成
次に、緻密質層41の上面に、多孔質層42を形成する(図10(e)参照)。
多孔質層42形成用の液体としては、例えば、二酸化チタン粉末と二酸化チタンの前駆体とを含む分散液(ゾル液)を用いることができる。これにより、前述したような構成の多孔質層42を比較的容易に得ることができる。
用いる二酸化チタン粉末(粒子)としては、アナターゼ型の二酸化チタン粉末単独、ルチル型の二酸化チタン粉末単独またはこれらの混合物のいずれであってもよい。
次に、緻密質層41の上面に、多孔質層42を形成する(図10(e)参照)。
多孔質層42形成用の液体としては、例えば、二酸化チタン粉末と二酸化チタンの前駆体とを含む分散液(ゾル液)を用いることができる。これにより、前述したような構成の多孔質層42を比較的容易に得ることができる。
用いる二酸化チタン粉末(粒子)としては、アナターゼ型の二酸化チタン粉末単独、ルチル型の二酸化チタン粉末単独またはこれらの混合物のいずれであってもよい。
二酸化チタン粉末の平均粒径は、特に限定されないが、1nm〜1μm程度であるのが好ましく、1〜100nm程度であるのがより好ましく、5〜50nm程度であるのがさらに好ましい。これにより、二酸化チタン粉末を多孔質層42形成用の液体中により均一に分散させることができ、多孔質層42の空孔形態(例えば、空孔率、空孔の分布等)の制御が容易となる。
また、アナターゼ型の二酸化チタン粉末とルチル型の二酸化チタン粉末とを混合して用いる場合、これらの2種類の粉末は、それらの平均粒径が異なっていてもよいし、同じであってもよい。
多孔質層42形成用の液体中の二酸化チタン粉末の含有量は、特に限定されないが、0.1〜10wt%程度であるのが好ましく、0.5〜5wt%程度であるのがより好ましい。
多孔質層42形成用の液体は、次のようにして調製することができる。
すなわち、まず、前述した緻密質層41形成用の液体と同様の液体を用意する。なお、この液体中の二酸化チタンの前駆体の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.1〜3mol/L程度であるのが好ましく、0.1〜1mol/L程度であるのがより好ましい。
多孔質層42形成用の液体中の二酸化チタン粉末の含有量は、特に限定されないが、0.1〜10wt%程度であるのが好ましく、0.5〜5wt%程度であるのがより好ましい。
多孔質層42形成用の液体は、次のようにして調製することができる。
すなわち、まず、前述した緻密質層41形成用の液体と同様の液体を用意する。なお、この液体中の二酸化チタンの前駆体の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.1〜3mol/L程度であるのが好ましく、0.1〜1mol/L程度であるのがより好ましい。
次に、この液体に水を混合する。この水と二酸化チタンの前駆体との配合比は、特に限定されないが、モル比で1:4〜4:1程度とするのが好ましい。
次に、この混合液に、二酸化チタン粉末を混合することにより、多孔質層42形成用の液体を得る。また、この多孔質層42形成用の液体は、必要に応じて、例えば、前記緻密質層41形成用の液体に用いる溶媒を用いて希釈して用いるようにしてもよい。
次に、この混合液に、二酸化チタン粉末を混合することにより、多孔質層42形成用の液体を得る。また、この多孔質層42形成用の液体は、必要に応じて、例えば、前記緻密質層41形成用の液体に用いる溶媒を用いて希釈して用いるようにしてもよい。
なお、このような多孔質層42形成用の液体の粘度は、例えば、二酸化チタン粉末の含有量、二酸化チタンの前駆体の濃度、溶媒の種類や組成、添加物の有無、種類、組成や濃度、希釈の程度(希釈倍率)等を適宜設定することにより調整することができる。
このような多孔質層42形成用の液体を、緻密質層41の上面に供給し、膜(薄膜または厚膜)を形成する。
このような多孔質層42形成用の液体を、緻密質層41の上面に供給し、膜(薄膜または厚膜)を形成する。
次いで、得られた膜に対して、必要に応じて水熱処理を施す。
以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの多孔質層42を形成する。
なお、多孔質層42の形成方法としては、かかる方法に限定されず、例えば、電解メッキ法、無電解メッキ法、ジェットモールド(プラズマ溶射)法、スプレー熱分解(SPD)法、パイロゾル法等を用いて形成してもよい。
以上のようにして、緻密質層41と多孔質層42とを積層してなる電子輸送層4が得られる。
以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの多孔質層42を形成する。
なお、多孔質層42の形成方法としては、かかる方法に限定されず、例えば、電解メッキ法、無電解メッキ法、ジェットモールド(プラズマ溶射)法、スプレー熱分解(SPD)法、パイロゾル法等を用いて形成してもよい。
以上のようにして、緻密質層41と多孔質層42とを積層してなる電子輸送層4が得られる。
[2−3] 仮基板からの剥離
次に、仮基板103から、電子輸送層4を剥離する(図10(f)参照)。
この方法としては、例えば、機械的に剥離する方法の他、ウエットエッチング等により仮基板103の少なくとも電子輸送層4と隣接する界面付近を溶解し、電子輸送層4を遊離させる方法等が挙げられる。
次に、仮基板103から、電子輸送層4を剥離する(図10(f)参照)。
この方法としては、例えば、機械的に剥離する方法の他、ウエットエッチング等により仮基板103の少なくとも電子輸送層4と隣接する界面付近を溶解し、電子輸送層4を遊離させる方法等が挙げられる。
[3]次に、前記工程[1]で作製した第1の電極3の上面31に、前述したような方法を用いて接合膜7を形成する(図11(g)参照)。
[4]次に、接合膜7の表面75に対して、エネルギーを付与する。
ここで、接合膜7にエネルギーを付与すると、接合膜7では、脱離基703の結合手が切れて接合膜7の表面75付近から脱離し、脱離基703が脱離した後には、活性手が接合膜7の表面75付近に生じる。これにより、接合膜7の表面75に、緻密質層41との接着性が発現する。
このような状態の接合膜7は、緻密質層41と、化学的結合に基づいて強固に接合可能なものとなる。
[4]次に、接合膜7の表面75に対して、エネルギーを付与する。
ここで、接合膜7にエネルギーを付与すると、接合膜7では、脱離基703の結合手が切れて接合膜7の表面75付近から脱離し、脱離基703が脱離した後には、活性手が接合膜7の表面75付近に生じる。これにより、接合膜7の表面75に、緻密質層41との接着性が発現する。
このような状態の接合膜7は、緻密質層41と、化学的結合に基づいて強固に接合可能なものとなる。
ここで、接合膜7に付与するエネルギーは、いかなる方法を用いて付与されるものであってもよいが、例えば、接合膜7にエネルギー線を照射する方法、接合膜7を加熱する方法、接合膜7に圧縮力(物理的エネルギー)を付与する方法、接合膜7をプラズマに曝す(プラズマエネルギーを付与する)方法、接合膜7をオゾンガスに曝す(化学的エネルギーを付与する)方法等が挙げられる。中でも、本実施形態では、接合膜7にエネルギーを付与する方法として、特に、接合膜7にエネルギー線を照射する方法を用いるのが好ましい。かかる方法は、接合膜7に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギーを付与する方法として好適に用いられる。
このうち、エネルギー線としては、例えば、紫外線、レーザ光のような光、X線、γ線、電子線、イオンビームのような粒子線等や、またはこれらのエネルギー線を2種以上組み合わせたものが挙げられる。
これらのエネルギー線の中でも、特に、波長126〜300nm程度の紫外線を用いるのが好ましい(図11(h)参照)。かかる範囲内の紫外線によれば、付与されるエネルギー量が最適化されるので、接合膜7中の脱離基703を確実に脱離させることができる(図4参照)。これにより、接合膜7の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜7に接着性を確実に発現させることができる。
これらのエネルギー線の中でも、特に、波長126〜300nm程度の紫外線を用いるのが好ましい(図11(h)参照)。かかる範囲内の紫外線によれば、付与されるエネルギー量が最適化されるので、接合膜7中の脱離基703を確実に脱離させることができる(図4参照)。これにより、接合膜7の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜7に接着性を確実に発現させることができる。
また、紫外線によれば、広い範囲をムラなく短時間に処理することができるので、脱離基703の脱離を効率よく行わせることができる。さらに、紫外線には、例えば、UVランプ等の簡単な設備で発生させることができるという利点もある。
なお、紫外線の波長は、より好ましくは、126〜200nm程度とされる。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、接合膜7の面積に応じて異なるが、1mW/cm2〜1W/cm2程度であるのが好ましく、5mW/cm2〜50mW/cm2程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと接合膜7との離間距離は、3〜3000mm程度とするのが好ましく、10〜1000mm程度とするのがより好ましい。
なお、紫外線の波長は、より好ましくは、126〜200nm程度とされる。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、接合膜7の面積に応じて異なるが、1mW/cm2〜1W/cm2程度であるのが好ましく、5mW/cm2〜50mW/cm2程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと接合膜7との離間距離は、3〜3000mm程度とするのが好ましく、10〜1000mm程度とするのがより好ましい。
また、紫外線を照射する時間は、接合膜7の表面75付近の脱離基703を脱離し得る程度の時間、すなわち、接合膜7に必要以上に紫外線が照射されない程度の時間とするのが好ましい。これにより、接合膜7が変質・劣化するのを効果的に防止することができる。具体的には、紫外線の光量、接合膜7の構成材料等に応じて若干異なるものの、0.5〜30分程度であるのが好ましく、1〜10分程度であるのがより好ましい。
また、紫外線は、時間的に連続して照射されてもよいが、間欠的(パルス状)に照射されてもよい。
また、紫外線は、時間的に連続して照射されてもよいが、間欠的(パルス状)に照射されてもよい。
一方、レーザ光としては、例えば、エキシマレーザのようなパルス発振レーザ(パルスレーザ)、炭酸ガスレーザ、半導体レーザのような連続発振レーザ等が挙げられる。中でも、パルスレーザが好ましく用いられる。パルスレーザでは、接合膜7のレーザ光が照射された部分に経時的に熱が蓄積され難いので、蓄積された熱による接合膜7の変質・劣化を確実に防止することができる。すなわち、パルスレーザによれば、接合膜7の内部にまで蓄積された熱の影響がおよぶのを、防止することができる。
また、パルスレーザのパルス幅は、熱の影響を考慮した場合、できるだけ短い方が好ましい。具体的には、パルス幅が1ps(ピコ秒)以下であるのが好ましく、500fs(フェムト秒)以下であるのがより好ましい。パルス幅を前記範囲内にすれば、レーザ光照射に伴って接合膜7に生じる熱の影響を、的確に抑制することができる。なお、パルス幅が前記範囲内程度に小さいパルスレーザは、「フェムト秒レーザ」と呼ばれる。
また、レーザ光の波長は、特に限定されないが、例えば、200〜1200nm程度であるのが好ましく、400〜1000nm程度であるのがより好ましい。
また、レーザ光のピーク出力は、パルスレーザの場合、パルス幅によって異なるが、0.1〜10W程度であるのが好ましく、1〜5W程度であるのがより好ましい。
さらに、パルスレーザの繰り返し周波数は、0.1〜100kHz程度であるのが好ましく、1〜10kHz程度であるのがより好ましい。パルスレーザの周波数を前記範囲内に設定することにより、レーザ光を照射した部分の温度が著しく上昇して、脱離基703を接合膜7の表面75付近から確実に切断することができる。
また、レーザ光のピーク出力は、パルスレーザの場合、パルス幅によって異なるが、0.1〜10W程度であるのが好ましく、1〜5W程度であるのがより好ましい。
さらに、パルスレーザの繰り返し周波数は、0.1〜100kHz程度であるのが好ましく、1〜10kHz程度であるのがより好ましい。パルスレーザの周波数を前記範囲内に設定することにより、レーザ光を照射した部分の温度が著しく上昇して、脱離基703を接合膜7の表面75付近から確実に切断することができる。
なお、このようなレーザ光の各種条件は、レーザ光を照射された部分の温度が、好ましくは常温(室温)〜600℃程度、より好ましくは200〜600℃程度、さらに好ましくは300〜400℃程度になるように適宜調整されるのが好ましい。これにより、レーザ光を照射した部分の温度が著しく上昇して、脱離基703を接合膜7から確実に切断することができる。
また、接合膜7に照射するレーザ光は、その焦点を、接合膜7の表面75に合わせた状態で、この表面75に沿って走査されるようにするのが好ましい。これにより、レーザ光の照射によって発生した熱が、表面75付近に局所的に蓄積されることとなる。その結果、接合膜7の表面75に存在する脱離基703を選択的に脱離させることができる。
また、接合膜7に対するエネルギー線の照射は、いかなる雰囲気中で行うようにしてもよく、具体的には、大気、酸素のような酸化性ガス雰囲気、水素のような還元性ガス雰囲気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧(真空)雰囲気等が挙げられるが、中でも、特に、大気雰囲気中で行うのが好ましい。これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギー線の照射をより簡単に行うことができる。
また、接合膜7に対するエネルギー線の照射は、いかなる雰囲気中で行うようにしてもよく、具体的には、大気、酸素のような酸化性ガス雰囲気、水素のような還元性ガス雰囲気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧(真空)雰囲気等が挙げられるが、中でも、特に、大気雰囲気中で行うのが好ましい。これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギー線の照射をより簡単に行うことができる。
このように、エネルギー線を照射する方法によれば、接合膜7の表面75付近に対して選択的にエネルギーを付与することが容易に行えるため、例えば、エネルギーの付与による基板2、第1の電極3および接合膜7の変質・劣化、すなわち得られる光電変換素子1の変質・劣化を防止することができる。
また、エネルギー線を照射する方法によれば、付与するエネルギーの大きさを、精度よく簡単に調整することができる。このため、接合膜7から脱離する脱離基703の脱離量を調整することが可能となる。このように脱離基703の脱離量を調整することにより、接合膜7と緻密質層41との間の接合強度を容易に制御することができる。
また、エネルギー線を照射する方法によれば、付与するエネルギーの大きさを、精度よく簡単に調整することができる。このため、接合膜7から脱離する脱離基703の脱離量を調整することが可能となる。このように脱離基703の脱離量を調整することにより、接合膜7と緻密質層41との間の接合強度を容易に制御することができる。
すなわち、脱離基703の脱離量を多くすることにより、接合膜7の表面75付近に、より多くの活性手が生じるため、接合膜7に発現する接着性をより高めることができる。一方、脱離基703の脱離量を少なくすることにより、接合膜7の表面75付近に生じる活性手を少なくし、接合膜7に発現する接着性を抑えることができる。
なお、付与するエネルギーの大きさを調整するためには、例えば、エネルギー線の種類、エネルギー線の出力、エネルギー線の照射時間等の条件を調整すればよい。
なお、付与するエネルギーの大きさを調整するためには、例えば、エネルギー線の種類、エネルギー線の出力、エネルギー線の照射時間等の条件を調整すればよい。
さらに、エネルギー線を照射する方法によれば、短時間で大きなエネルギーを付与することができるので、エネルギーの付与をより効率よく行うことができる。
ここで、エネルギーが付与される前の接合膜7は、図4に示すように、その表面75付近に脱離基703を有している。かかる接合膜7にエネルギーを付与すると、脱離基703(図4では、水素原子)が接合膜7から脱離する。これにより、図5に示すように、接合膜7の表面75に活性手704が生じ、活性化される。その結果、接合膜7の表面に接着性が発現する。
ここで、エネルギーが付与される前の接合膜7は、図4に示すように、その表面75付近に脱離基703を有している。かかる接合膜7にエネルギーを付与すると、脱離基703(図4では、水素原子)が接合膜7から脱離する。これにより、図5に示すように、接合膜7の表面75に活性手704が生じ、活性化される。その結果、接合膜7の表面に接着性が発現する。
ここで、本明細書中において、接合膜7が「活性化された」状態とは、上述のように接合膜7の表面75および内部の脱離基703が脱離して、接合膜7の構成原子において終端化されていない結合手(以下、「未結合手」または「ダングリングボンド」とも言う。)が生じた状態の他、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、さらに、これらの状態が混在した状態を含めて、接合膜7が「活性化された」状態と言うこととする。
したがって、活性手704とは、図5に示すように、未結合手(ダングリングボンド)、または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。このような活性手704が存在するようにすれば、接合膜7は、緻密質層41に対する接着性を有したものとなる。
なお、後者の状態(未結合手が水酸基によって終端化された状態)は、例えば、接合膜7に対して大気雰囲気中でエネルギー線を照射することにより、大気中の水分が未結合手を終端化することによって、容易に生成されることとなる。
なお、後者の状態(未結合手が水酸基によって終端化された状態)は、例えば、接合膜7に対して大気雰囲気中でエネルギー線を照射することにより、大気中の水分が未結合手を終端化することによって、容易に生成されることとなる。
また、本実施形態では、接合膜7と緻密質層41とを接着する(接合する)前に、予め、接合膜7に対してエネルギーを付与する場合について説明しているが、かかるエネルギーの付与は、接合膜7と緻密質層41とを接合する際、または貼り合わせた後に行うようにしてもよい。なお、このような場合については、後述する第2製造方法において説明する。
[5]次に、図11(i)に示すように、活性化させた接合膜7と緻密質層41の下面とが密着するようにして、接合膜7と電子輸送層4とを貼り合わせる。これにより、前記工程[4]において、接合膜7が緻密質層(被着体)41に対する接着性が発現していることから、接合膜7と緻密質層41とが化学的に結合することとなり、接合膜7の上面が緻密質層41の下面に接着する。
以上のようにして、接合膜7を介して、第1の電極3と基板2との積層体と、電子輸送層4とを接合することができる(図12(j)参照)。
以上のようにして、接合膜7を介して、第1の電極3と基板2との積層体と、電子輸送層4とを接合することができる(図12(j)参照)。
ここで、緻密質層41には、第1の電極3と同様に、接合を行う前に、あらかじめ緻密質層41と接合膜7との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。これにより、接合膜7と緻密質層41との接合強度をより高めることができる。
なお、表面処理としては、第1の電極3に対して施す前述したような表面処理と同様の処理を適用することができる。
ここで、本工程において、接合膜7と緻密質層41とを接合するメカニズムについて説明する。
なお、表面処理としては、第1の電極3に対して施す前述したような表面処理と同様の処理を適用することができる。
ここで、本工程において、接合膜7と緻密質層41とを接合するメカニズムについて説明する。
例えば、緻密質層41の接合膜7との接合に供される領域に、水酸基が露出していると、本工程において、接合膜7と緻密質層41とが接触するように、これらを貼り合わせたとき、接合膜7の表面75に存在する水酸基と、緻密質層41に存在する水酸基とが、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、接合膜7と緻密質層41とが接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、接合膜7と緻密質層41との接触界面では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、接合膜7と緻密質層41とが接合されると推察される。
なお、前記工程[4]で活性化された接合膜7の表面は、その活性状態が経時的に緩和してしまう。このため、前記工程[4]の終了後、できるだけ早く本工程[5]を行うようにするのが好ましい。具体的には、前記工程[4]の終了後、60分以内に本工程[5]を行うようにするのが好ましく、5分以内に行うのがより好ましい。かかる時間内であれば、接合膜7の表面が十分な活性状態を維持しているので、本工程で接合膜7と緻密質層41とを貼り合わせたとき、これらの間に十分な接合強度を得ることができる。
なお、前記工程[4]で活性化された接合膜7の表面は、その活性状態が経時的に緩和してしまう。このため、前記工程[4]の終了後、できるだけ早く本工程[5]を行うようにするのが好ましい。具体的には、前記工程[4]の終了後、60分以内に本工程[5]を行うようにするのが好ましく、5分以内に行うのがより好ましい。かかる時間内であれば、接合膜7の表面が十分な活性状態を維持しているので、本工程で接合膜7と緻密質層41とを貼り合わせたとき、これらの間に十分な接合強度を得ることができる。
換言すれば、活性化させる前の接合膜7は、脱離基703を備えた状態で化学的に比較的安定な膜であり、耐候性に優れている。このため、活性化させる前の接合膜7は、長期にわたる保存に適したものとなる。したがって、そのような接合膜7が形成された第1の電極3を備える基板2を多量に製造または購入して保存しておき、本工程の貼り合わせを行う直前に、必要な個数のみに前記工程[4]に記載したエネルギーの付与を行うようにすれば、光電変換素子1の製造効率の観点から有効である。
なお、緻密質層41を接合する際、または、緻密質層41を接合した後に、必要に応じ、以下の2つの工程([5A]および[5B])のうちの少なくとも一方の工程(第1の電極3と緻密質層41とをより確実に接合するための工程)を行うようにしてもよい。これにより、第1の電極3と緻密質層41との接合がより確実なものなる。
なお、緻密質層41を接合する際、または、緻密質層41を接合した後に、必要に応じ、以下の2つの工程([5A]および[5B])のうちの少なくとも一方の工程(第1の電極3と緻密質層41とをより確実に接合するための工程)を行うようにしてもよい。これにより、第1の電極3と緻密質層41との接合がより確実なものなる。
[5A]本工程では、得られた基板2と第1の電極3と電子輸送層4との積層体を、第1の電極3と緻密質層41とが互いに近づく方向に加圧する。
これにより、第1の電極3の表面および緻密質層41の表面に、それぞれ接合膜7の表面がより近接し、光電変換素子1における第1の電極3と緻密質層41との接合をより確実なものとすることができる。
また、前記積層体を加圧することにより、積層体中の接合界面に残存していた隙間を押し潰して、接合面積をさらに広げることができる。これにより、積層体における第1の電極3と緻密質層41との接合をより確実なものとすることができる。
このとき、積層体を加圧する際の圧力は、積層体が損傷を受けない程度の圧力で、できるだけ高い方が好ましい。これにより、この圧力に比例して光電変換素子1における第1の電極3と緻密質層41の接合がより確実なものとなる。
これにより、第1の電極3の表面および緻密質層41の表面に、それぞれ接合膜7の表面がより近接し、光電変換素子1における第1の電極3と緻密質層41との接合をより確実なものとすることができる。
また、前記積層体を加圧することにより、積層体中の接合界面に残存していた隙間を押し潰して、接合面積をさらに広げることができる。これにより、積層体における第1の電極3と緻密質層41との接合をより確実なものとすることができる。
このとき、積層体を加圧する際の圧力は、積層体が損傷を受けない程度の圧力で、できるだけ高い方が好ましい。これにより、この圧力に比例して光電変換素子1における第1の電極3と緻密質層41の接合がより確実なものとなる。
なお、この圧力は、第1の電極3および緻密質層41の各構成材料や各厚さ、接合装置等の条件に応じて、適宜調整すればよい。具体的には、第1の電極3および緻密質層41の各構成材料等に応じて若干異なるものの、0.2〜10MPa程度であるのが好ましく、1〜5MPa程度であるのがより好ましい。これにより、光電変換素子1における第1の電極3と緻密質層41との接合がより確実なものとなる。なお、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、光電変換素子1を構成する各部の各構成材料によっては、各部に損傷等が生じるおそれがある。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じて適宜変更すればよい。具体的には、積層体を加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時間を短くしても、接合強度の向上を図ることができる。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じて適宜変更すればよい。具体的には、積層体を加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時間を短くしても、接合強度の向上を図ることができる。
[5B]本工程では、得られた光電変換素子1を加熱する。
これにより、光電変換素子1における第1の電極3と緻密質層41との接合をより確実なものとすることができる。
このとき、積層体を加熱する際の温度は、室温より高く、積層体の耐熱温度未満であれば、特に限定されないが、好ましくは25〜100℃程度とされ、より好ましくは50〜100℃程度とされる。かかる範囲の温度で加熱すれば、積層体が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、光電変換素子1における第1の電極3と緻密質層41との接合がより確実なものとなる。
これにより、光電変換素子1における第1の電極3と緻密質層41との接合をより確実なものとすることができる。
このとき、積層体を加熱する際の温度は、室温より高く、積層体の耐熱温度未満であれば、特に限定されないが、好ましくは25〜100℃程度とされ、より好ましくは50〜100℃程度とされる。かかる範囲の温度で加熱すれば、積層体が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、光電変換素子1における第1の電極3と緻密質層41との接合がより確実なものとなる。
また、加熱時間は、特に限定されないが、1〜30分程度であるのが好ましい。
また、前記工程[5A]、[5B]の双方を行う場合、これらを同時に行うのが好ましい。すなわち、積層体を加圧しつつ、加熱するのが好ましい。これにより、加圧による効果と、加熱による効果とが相乗的に発揮され、光電変換素子1における第1の電極3と緻密質層41との接合をさらに確実なものとすることができる。
以上のような工程を行うことにより、光電変換素子1における接合強度のさらなる向上を容易に図ることができる。
また、前記工程[5A]、[5B]の双方を行う場合、これらを同時に行うのが好ましい。すなわち、積層体を加圧しつつ、加熱するのが好ましい。これにより、加圧による効果と、加熱による効果とが相乗的に発揮され、光電変換素子1における第1の電極3と緻密質層41との接合をさらに確実なものとすることができる。
以上のような工程を行うことにより、光電変換素子1における接合強度のさらなる向上を容易に図ることができる。
[6]色素層Dの形成
次に、得られた基板2と第1の電極3と電子輸送層4との積層体のうち、多孔質層42(電子輸送層4)に、色素層D形成用の液体を接触させることにより色素層Dを形成する(図12(k)参照)。
色素層D形成用の液体を多孔質層42に接触させる方法としては、例えば、インクジェット法、印刷法、浸漬法、刷毛塗り、スピンコート法、ドクターブレード、ロールコーターを用いる方法等が挙げられる。
次に、得られた基板2と第1の電極3と電子輸送層4との積層体のうち、多孔質層42(電子輸送層4)に、色素層D形成用の液体を接触させることにより色素層Dを形成する(図12(k)参照)。
色素層D形成用の液体を多孔質層42に接触させる方法としては、例えば、インクジェット法、印刷法、浸漬法、刷毛塗り、スピンコート法、ドクターブレード、ロールコーターを用いる方法等が挙げられる。
色素層D形成用の液体としては、例えば、色素を含む溶液または分散液(懸濁液)を用いることができる。
色素層D形成用の液体中の色素の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.0001〜0.1wt%程度であるのが好ましく、0.002〜0.01wt%程度であるのがより好ましい。
また、溶媒または分散媒には、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、酢酸エチル、エーテル、塩化メチレン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)またはこれらを含む混合液を用いることができる。
色素層D形成用の液体中の色素の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.0001〜0.1wt%程度であるのが好ましく、0.002〜0.01wt%程度であるのがより好ましい。
また、溶媒または分散媒には、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、酢酸エチル、エーテル、塩化メチレン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)またはこれらを含む混合液を用いることができる。
なお、このような色素層D形成用の液体の粘度は、前記接触方法に応じて調整すればよく、例えば、色素の濃度、溶媒または分散媒の種類や組成等を適宜設定することにより調整することができる。
次いで、例えば、自然乾燥による方法や、空気、窒素ガス等の気体を吹き付ける方法等により溶媒を除去する。さらに、必要に応じて、例えば、60〜100℃×0.5〜2時間程度等の熱処理等を施すことにより乾燥してもよい。これにより、色素は、多孔質層42の外面および空孔421の内面に、吸着(化学吸着)、結合(共有結合、配位結合)する。
必要に応じて、以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの色素層Dを形成する。
次いで、例えば、自然乾燥による方法や、空気、窒素ガス等の気体を吹き付ける方法等により溶媒を除去する。さらに、必要に応じて、例えば、60〜100℃×0.5〜2時間程度等の熱処理等を施すことにより乾燥してもよい。これにより、色素は、多孔質層42の外面および空孔421の内面に、吸着(化学吸着)、結合(共有結合、配位結合)する。
必要に応じて、以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの色素層Dを形成する。
[7]電解質層5の形成
次に、色素層Dが形成された多孔質層42(電子輸送層4)に、電解質層5形成用の液体を接触させることにより電解質層5を形成する(図13(L)参照)。以下では、主としてイオン伝導特性を有する物質(イオン伝導性物質)で構成される電解質層5を形成する場合を一例として説明する。
次に、色素層Dが形成された多孔質層42(電子輸送層4)に、電解質層5形成用の液体を接触させることにより電解質層5を形成する(図13(L)参照)。以下では、主としてイオン伝導特性を有する物質(イオン伝導性物質)で構成される電解質層5を形成する場合を一例として説明する。
電解質層5形成用の液体を、色素層Dが形成された多孔質層42に接触させる方法としては、インクジェット法、印刷法、浸漬法、刷毛塗り、スピンコート法、ドクターブレード、ロールコーターを用いる方法等が挙げられる。
電解質層5形成用の液体としては、例えば、イオン伝導特性を有する物質を含む溶液を用いることができる。
電解質層5形成用の液体としては、例えば、イオン伝導特性を有する物質を含む溶液を用いることができる。
電解質層5形成用の液体中のイオン伝導特性を有する物質の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.01〜0.5mol/L程度であるのが好ましく、0.05〜0.2mol/L程度であるのがより好ましい。
また、溶媒には、例えば、水、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールまたはこれらを含む混合液を用いることができるが、これらの中でも、特に、アセトニトリルが好ましい。
また、溶媒には、例えば、水、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールまたはこれらを含む混合液を用いることができるが、これらの中でも、特に、アセトニトリルが好ましい。
なお、電解質層5の構成材料として、イオン伝導特性を有する物質を用いる場合、電解質層5形成用の液体中には、バインダーとして、例えばシアノレジン等のシアノエチル化物を添加するのが好ましい。この場合、イオン伝導特性を有する物質とシアノエチル化物との配合比は、特に限定されないが、重量比で99:1〜80:20程度とするのが好ましい。
また、電解質層5形成用の液体中には、正孔の輸送効率を向上させる機能を有する正孔輸送効率向上物質を添加するのが好ましい。これにより、電解質層5のキャリア移動度(正孔輸送能)をより向上させることができる。
また、電解質層5形成用の液体中には、正孔の輸送効率を向上させる機能を有する正孔輸送効率向上物質を添加するのが好ましい。これにより、電解質層5のキャリア移動度(正孔輸送能)をより向上させることができる。
この正孔輸送効率向上物質としては、例えば、ハロゲン化アンモニウム等の各種ハロゲン化物を用いることができるが、特に、テトラプロピルアンモニウムヨーダイド(TPAI)が好適である。
このような電解質層5形成用の液体を、色素層Dが形成された多孔質層42の上面に供給して膜(薄膜または厚膜)を形成する。
この際、色素層D(色素層Dが形成された多孔質層42)を加熱しつつ、色素層Dが形成された多孔質層42の上面に、電解質層5形成用の液体を供給するのが好ましい。この加熱温度としては、特に限定されないが、50〜150℃程度であるのが好ましく、70〜90℃程度であるのがより好ましい。
必要に応じて、以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの電解質層5を形成する。
このような電解質層5形成用の液体を、色素層Dが形成された多孔質層42の上面に供給して膜(薄膜または厚膜)を形成する。
この際、色素層D(色素層Dが形成された多孔質層42)を加熱しつつ、色素層Dが形成された多孔質層42の上面に、電解質層5形成用の液体を供給するのが好ましい。この加熱温度としては、特に限定されないが、50〜150℃程度であるのが好ましく、70〜90℃程度であるのがより好ましい。
必要に応じて、以上のような操作を繰り返し行って、所望の厚さの電解質層5を形成する。
[7]第2の電極6の形成
次に、電解質層5の上面に、前記工程[1]と同様にして、第2の電極6を形成する(図13(m)参照)。
以上のようにして、光電変換素子1を形成することができる。
なお、本実施形態では、いわゆる乾式の光電変換素子を例に説明しているが、湿式の光電変換素子の場合には、上記の工程の順序が異なる。湿式の光電変換素子では、電解質層5が液状であるため、電子輸送層4と第2の電極6との間隙に、電解質層5を構成する電解液を充填すればよい。
次に、電解質層5の上面に、前記工程[1]と同様にして、第2の電極6を形成する(図13(m)参照)。
以上のようにして、光電変換素子1を形成することができる。
なお、本実施形態では、いわゆる乾式の光電変換素子を例に説明しているが、湿式の光電変換素子の場合には、上記の工程の順序が異なる。湿式の光電変換素子では、電解質層5が液状であるため、電子輸送層4と第2の電極6との間隙に、電解質層5を構成する電解液を充填すればよい。
このようにして得られた光電変換素子1では、従来の接合方法で用いられていた接着剤のように、主にアンカー効果のような物理的結合に基づく接着ではなく、共有結合のような短時間で生じる強固な化学的結合に基づいて、接合膜7と緻密質層41とが接合されている。このため、光電変換素子1は短時間で形成することができ、かつ、きわめて剥離し難く、接合ムラ等も生じ難いものとなる。
また、接合膜7が、緻密質層41と化学的結合に基づいて強固に接合していることにより、緻密質層41と接合膜7との界面で電子軌道のオーバーラップが形成され、緻密質層41から接合膜7への電子輸送能を高め、速やかな電子注入を可能にする。
また、本発明では、接合膜7は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端のエネルギー準位が、電子輸送層4の伝導帯の下端のエネルギー準位より低いものとなっている。
また、本発明では、接合膜7は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端のエネルギー準位が、電子輸送層4の伝導帯の下端のエネルギー準位より低いものとなっている。
これにより、電子輸送層4中を輸送された電子は、接合膜7の伝導帯に効率よく注入され、第1の電極3側に輸送される。これにより、電子輸送層4中の電子が色素層D側に向かって逆方向に移動する確率を低下させることができ、電子が、色素層D中の正孔および電解質層5中の正孔と再結合するのが抑制される。その結果、色素層Dで生じた電子および正孔を効率よく外部回路8に取り出すことができ、光電変換効率に優れた光電変換素子1を得ることができる。
また、接合膜7を介して第1の電極3と電子輸送層4とを接合しているため、第1の電極3や電子輸送層4の構成材料に制約がないという利点もある。このため、第1の電極3および電子輸送層4の各構成材料の選択の幅をそれぞれ広げることができる。
また、従来の光電変換素子を製造する方法では、第1の電極3上に電子輸送層4を形成するための液体を供給し、得られた液状被膜に乾燥・焼成を行うことによって電子輸送層4を形成していたが、焼成の際に400℃を超えるような高温の熱処理を伴っていた。このため、第1の電極3として一般に用いられるITOやFTO等の透明導電膜が熱影響によって変質・劣化し、透明導電膜の電気抵抗の上昇を招いていた。
また、従来の光電変換素子を製造する方法では、第1の電極3上に電子輸送層4を形成するための液体を供給し、得られた液状被膜に乾燥・焼成を行うことによって電子輸送層4を形成していたが、焼成の際に400℃を超えるような高温の熱処理を伴っていた。このため、第1の電極3として一般に用いられるITOやFTO等の透明導電膜が熱影響によって変質・劣化し、透明導電膜の電気抵抗の上昇を招いていた。
これに対し、本発明では、第1の電極3と電子輸送層4とをそれぞれ個別に作製し、その後、接合膜7を介してこれらを接合することとした。これにより、高温での熱処理を伴うことがないので、第1の電極3と電子輸送層4とを、界面での電子輸送能を損なうことなく確実に接合することができる。その結果、本発明によれば、光電変換効率の低下を確実に防止しつつ、高性能の光電変換素子を効率よく作製することができる。
さらに、高温での熱処理を伴わないので、基板2として、樹脂材料のような耐熱性の低い材料で構成された基板を用いることができる。樹脂材料製の基板は、軽量であり、また可撓性に優れているため、本発明によれば、可撓性を有する光電変換素子1が得られる。
さらに、高温での熱処理を伴わないので、基板2として、樹脂材料のような耐熱性の低い材料で構成された基板を用いることができる。樹脂材料製の基板は、軽量であり、また可撓性に優れているため、本発明によれば、可撓性を有する光電変換素子1が得られる。
<第2実施形態>
次に、本発明の光電変換素子およびその製造方法の第2実施形態について説明する。
図14は、本発明の光電変換素子およびその製造方法の第2実施形態を説明するための図である。なお、以下では、説明の都合上、図14中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
次に、本発明の光電変換素子およびその製造方法の第2実施形態について説明する。
図14は、本発明の光電変換素子およびその製造方法の第2実施形態を説明するための図である。なお、以下では、説明の都合上、図14中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態では、第1の電極3上に形成された接合膜7と、電子輸送層4の下面に形成された接合膜7とを接合するようにした以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態では、第1の電極3が備える接合膜7の表面と、緻密質層41の下面に形成された接合膜7の表面とに、それぞれエネルギーを付与した後、図14(a)に示すように、接合膜7同士が密着するように、第1の電極3を備える基板2と電子輸送層4とを貼り合わせる。これにより、図14(b)に示すように、2層の接合膜7を介して第1の電極3と緻密質層41とを接合してなる光電変換素子1を得る。
すなわち、本実施形態では、第1の電極3が備える接合膜7の表面と、緻密質層41の下面に形成された接合膜7の表面とに、それぞれエネルギーを付与した後、図14(a)に示すように、接合膜7同士が密着するように、第1の電極3を備える基板2と電子輸送層4とを貼り合わせる。これにより、図14(b)に示すように、2層の接合膜7を介して第1の電極3と緻密質層41とを接合してなる光電変換素子1を得る。
本実施形態では、第1の電極3の上面と電子輸送層4の下面にそれぞれ接合膜7を成膜した後、接合膜7同士が密着するようにして接合する。このため、仮に第1の電極3の上面や電子輸送層4の下面に凹凸があったとしても、接合膜7の成膜時に、その凹凸に接合膜7の構成材料が入り込むことによって、第1の電極3と接合膜7との間、および、電子輸送層4と接合膜7との間が、確実に接合される。これにより、2層の接合膜7を介することによって、第1の電極3と電子輸送層4との接合強度が向上するとともに、第1の電極3と電子輸送層4との間の電子輸送能をより高めることができる。その結果、光電変換素子1の光電変換効率のさらなる向上を図ることができる。
以上のようにして、光電変換素子1を得ることができる。
以上のようにして、光電変換素子1を得ることができる。
<電子機器>
本発明の電子機器は、このような光電変換素子1を備えるものである。
以下、図15および図16に基づいて、本発明の電子機器について説明する。
図15は、本発明の電子機器を適用した電卓を示す平面図、図16は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
本発明の電子機器は、このような光電変換素子1を備えるものである。
以下、図15および図16に基づいて、本発明の電子機器について説明する。
図15は、本発明の電子機器を適用した電卓を示す平面図、図16は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
図15に示す電卓600は、本体部601と、本体部601の上面(前面)に設けられた表示部602、複数の操作ボタン603および光電変換素子設置部604とを備えている。
図15に示す構成では、光電変換素子設置部604には、光電変換素子1が5つ直列に接続されて配置されている。
図15に示す構成では、光電変換素子設置部604には、光電変換素子1が5つ直列に接続されて配置されている。
図16に示す携帯電話機700は、本体部701と、本体部701の前面に設けられた表示部702、複数の操作ボタン703、受話口704、送話口705および光電変換素子設置部706とを備えている。
図16に示す構成では、光電変換素子設置部706が、表示部702の周囲を囲むようにして設けられ、光電変換素子1が複数、直列に接続されて配置されている。
図16に示す構成では、光電変換素子設置部706が、表示部702の周囲を囲むようにして設けられ、光電変換素子1が複数、直列に接続されて配置されている。
なお、本発明の電子機器としては、図15に示す電卓、図16に示す携帯電話機の他、例えば、光センサー、光スイッチ、電子手帳、電子辞書、腕時計、クロック等に適用することもできる。
以上、本発明の光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器について図示の各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成と置換することができる。
また、本発明の光電変換素子では、その他の構成(例えば、各層の間に、任意の目的の1層以上の層)が付加されていてもよい。
また、前記各実施形態にかかる光電変換素子の製造方法においては、各工程の順序が変更されてもよく、任意の目的の工程を追加するようにしてもよい。
以上、本発明の光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器について図示の各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成と置換することができる。
また、本発明の光電変換素子では、その他の構成(例えば、各層の間に、任意の目的の1層以上の層)が付加されていてもよい。
また、前記各実施形態にかかる光電変換素子の製造方法においては、各工程の順序が変更されてもよく、任意の目的の工程を追加するようにしてもよい。
1……光電変換素子 2……基板 3……第1の電極 31……上面 4……電子輸送層 41……緻密質層 42……多孔質層 421……空孔 5……電解質層(正孔輸送層) 6……第2の電極 7……接合膜 703……脱離基 704……活性手 75……表面 8……外部回路 D……色素層 103……仮基板 200……成膜装置 211……チャンバー 212……基板ホルダー 215……イオン源 216……ターゲット 217……ターゲットホルダー 219……ガス供給源 220……第1のシャッター 221……第2のシャッター 230……排気手段 231……排気ライン 232……ポンプ 233……バルブ 250……開口 253……グリッド 254……グリッド 255……磁石 256……イオン発生室 257……フィラメント 260……ガス供給手段 261……ガス供給ライン 262……ポンプ 263……バルブ 264……ガスボンベ 600……電卓 601……本体部 602……表示部 603……操作ボタン 604……光電変換素子設置部 700……携帯電話機 701……本体部 702……表示部 703……操作ボタン 704……受話口 705……送話口 706……光電変換素子設置部 1003……透明導電膜 1004……半導体層 d……色素層
Claims (26)
- 第1の電極と、
該第1の電極と対向して設けられた第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する電子輸送層と、
該電子輸送層と接触するように設けられた色素層と、
前記電子輸送層と前記第2の電極との間に、前記色素層と接触するように設けられた電解質層とを有し、
前記第1の電極と前記電子輸送層との間は、接合膜を介して接合されており、
前記接合膜は、金属原子と、該金属原子と結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含み、その少なくとも一方の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離することにより、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記第1の電極と前記電子輸送層とを接合しており、かつ、
前記接合膜は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端のエネルギー準位が、前記電子輸送層の伝導帯の下端のエネルギー準位より低いことを特徴とする光電変換素子。 - 前記脱離基は、前記接合膜の表面付近に偏在している請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記金属原子は、チタン、亜鉛、ニオブ、スズおよびタングステンのうちの少なくとも1種である請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 前記接合膜は、前記電子輸送層中に含まれる金属原子と同種の金属原子を含んでいる請求項1ないし3のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記脱離基は、水素原子、炭素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子、またはこれらの各原子で構成される原子団のうちの少なくとも1種である請求項1ないし4のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記接合膜は、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化スズまたは酸化タングステンに、前記脱離基として水素原子が導入されたものである請求項1ないし5のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記接合膜の伝導帯の下端のエネルギー準位と、前記電子輸送層の伝導帯の下端のエネルギー準位との差は、0.1〜1eVである請求項1ないし6のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記接合膜中の金属原子と酸素原子の存在比は、3:7〜7:3である請求項1ないし7のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記接合膜は、その少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が、当該接合膜から脱離した後に、活性手が生じる請求項1ないし8のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記活性手は、未結合手または水酸基である請求項9に記載の光電変換素子。
- 前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmである請求項1ないし10のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記接合膜は、流動性を有さない固体状をなしている請求項1ないし11のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記第1の電極の前記接合膜と接している面には、予め、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されている請求項1ないし12のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記電子輸送層には、予め、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されている請求項1ないし13のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記表面処理は、プラズマ処理である請求項13または14に記載の光電変換素子。
- 前記電子輸送層は、主として、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化ニオブのうちの少なくとも1種で構成されている請求項1ないし15のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記電子輸送層は、多孔質状の多孔質層と、それより緻密な緻密質層との積層体で構成されており、
前記接合膜側には前記緻密質層が位置している請求項1ないし16のいずれかに記載の光電変換素子。 - 前記第1の電極は、主として、酸化インジウムスズ(ITO)およびフッ素原子を含有する酸化スズ(FTO)のうちの少なくとも一方で構成されている請求項1ないし17のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記エネルギーの付与は、前記接合膜にエネルギー線を照射する方法、前記接合膜を加熱する方法、および前記接合膜に圧縮力を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法により行われる請求項1ないし18のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記エネルギー線は、波長126〜300nmの紫外線である請求項19に記載の光電変換素子。
- 前記加熱の温度は、25〜100℃である請求項19に記載の光電変換素子。
- 前記圧縮力は、0.2〜10MPaである請求項19に記載の光電変換素子。
- 前記エネルギーの付与は、大気雰囲気中で行われる請求項19ないし22のいずれかに記載の光電変換素子。
- 第1の電極上に、金属原子と、該金属原子と結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含む接合膜を形成する第1の工程と、
前記接合膜にエネルギーを付与することにより、前記脱離基を前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離させ、前記接合膜に接着性を発現させる第2の工程と、
前記接合膜の表面に電子輸送層を圧接する第3の工程と、
前記電子輸送層を介して前記第1の電極と対向配置される第2の電極を用意し、該第2の電極と前記電子輸送層との間に、電解質を充填し、電解質層を形成する第4の工程とを有し、
前記接合膜は、半導体特性を有し、その伝導帯の下端のエネルギー準位が、前記電子輸送層の伝導帯の下端のエネルギー準位より低いことを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 前記電子輸送層は、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化ニオブのうちの少なくとも1種を主材料とする粉末を分散媒に分散してなる分散液を、仮基板上に塗布し、液状被膜を形成する工程と、
前記液状被膜を乾燥させた後、焼成し、被膜を形成する工程と、
該被膜を前記仮基板から剥離する工程とにより形成されたものである請求項24に記載の光電変換素子の製造方法。 - 請求項1ないし23のいずれかに記載の光電変換素子を備えることを特徴とする電子機器。
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JP2013109965A (ja) * | 2011-11-21 | 2013-06-06 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 光電変換素子およびこれを含む太陽電池 |
JP2019040188A (ja) * | 2017-08-25 | 2019-03-14 | 積水化学工業株式会社 | 調光フィルム用透明導電フィルム、及び、調光フィルム |
-
2008
- 2008-06-05 JP JP2008148536A patent/JP2009295448A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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