JP7156858B2 - 調光フィルム用透明導電フィルム、及び、調光フィルム - Google Patents

調光フィルム用透明導電フィルム、及び、調光フィルム Download PDF

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Description

本発明は、調光フィルムに用いられる透明導電フィルムに関する。また、本発明は、上記透明導電フィルムを用いた調光フィルムに関する。
調光フィルム等に調光材料等が用いられている。調光材料は、特定の波長の光を遮断することにより透過率を調整したり、色調を調整したりすることを目的として利用されている。調光フィルムは、室内部材、建築部材及び電子部品等の様々な分野において利用されている。
上記調光フィルムは、例えば、2つの透明導電フィルム間に、調光層が配置された構造を有する。上記調光フィルムに用いられる透明導電フィルムは、基材フィルムと、該基材フィルムの表面上に導電層とを有する。上記調光フィルムにおいて、上記導電層は、上記調光層を介して対向した状態になる。上記調光フィルムでは、2つの透明導電フィルムの導電層間に、電界が印加される。電界が印加されている状態と、電界が印加されていない状態とで、上記調光フィルムを通過する光量を変化させることができる。
上記調光フィルムに用いられる透明導電フィルムの一例が、下記の特許文献1に開示されている。
WO2008/075772A1
特許文献1に記載のような従来の透明導電フィルムでは、導電層と調光層との密着性が低くなることがある。結果として、調光フィルムの調光性能が低下したり、調光フィルムを長期間使用し続けた場合に、導電層と調光層とが剥離し、調光性能が失われたりすることがある。
本発明の目的は、導電層と調光層との密着性を高めることができる調光フィルム用透明導電フィルムを提供することである。また、本発明は、上記調光フィルム用透明導電フィルムを用いた調光フィルムを提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、調光フィルムに用いられる透明導電フィルムであって、基材フィルムと、該基材フィルムの一方の表面側に配置されている導電層とを有し、前記導電層の前記基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角が9°以下である、調光フィルム用透明導電フィルムが提供される。
本発明に係る調光フィルム用透明導電フィルムのある特定の局面では、前記導電層の前記基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーに対する接触角が9°以下である。
本発明の広い局面によれば、第1の透明導電フィルムと、第2の透明導電フィルムと、前記第1の透明導電フィルムと前記第2の透明導電フィルムとの間に配置された調光層とを備え、前記第1の透明導電フィルム及び前記第2の透明導電フィルムの内の少なくとも一方が、上述した調光フィルム用透明導電フィルムである、調光フィルムが提供される。
本発明に係る調光フィルムのある特定の局面では、前記調光層がアクリル樹脂を含む。
本発明によれば、導電層と調光層との密着性を高めることができる調光フィルム用透明導電フィルムを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る調光フィルム用透明導電フィルムを示す断面図である。 図2は、図1に示す調光フィルム用透明導電フィルムを用いた調光フィルムの一例を示す断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る調光フィルム用透明導電フィルムの導電層の基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角の測定時の写真である。 図4は、従来の調光フィルム用透明導電フィルムの導電層の基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角の測定時の写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る調光フィルム用透明導電フィルム(以下、透明導電フィルムと記載することがある)は、調光フィルムに用いられる。透明導電フィルムは、透明である。透明には半透明も含まれる。透明導電フィルムは、透明であるので、光透過性を有する。透明導電フィルムは、導電性を有する。
本発明に係る透明導電フィルムは、基材フィルムと、導電層とを備える。上記導電層は、上記基材フィルムの一方の表面側に配置されている。
本発明に係る透明導電フィルムでは、上記導電層の上記基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角が9°以下である。上記導電層の上記基材フィルム側とは反対の表面は、調光層に接する側の表面である。
本発明に係る透明導電フィルムでは、上記の構成が備えられているので、導電層と調光層との密着性を高めることができる。結果として、導電層と調光層との剥離による不具合を抑制できる。また、調光性能にむらが生じにくくなり、良好な調光性能を得ることができる。
導電層と調光層との密着性をより一層高める観点からは、上記導電層の上記基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角は9°以下であり、好ましくは7°以下、より好ましくは5°以下、更に好ましくは3°以下、特に好ましくは2°以下、最も好ましくは1°以下である。上記導電層の上記基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角は、通常0°以上である。
導電層と調光層との密着性をより一層高める観点からは、上記導電層の上記基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーに対する接触角は好ましくは9°以下、より好ましくは7°以下、更に好ましくは6°以下、特に好ましくは4°以下である。上記導電層の上記基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーに対する接触角は、通常0°以上である。
上記メタクリル酸メチルモノマー、及び上記メタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーのそれぞれに対する接触角は、接触角計(例えば、協和界面科学社製「DM500」、又はその同等品)を用いて測定することができる。具体的には透明導電フィルムの導電層の上記基材フィルム側とは反対の表面に、メタクリル酸メチルモノマー、又はメタクリル酸2-エチルヘキシルモノマー1μLを滴下する。滴下してから1秒後のメタクリル酸メチルモノマーと導電層の表面とのなす角度をメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角とする。また、滴下してから1秒後のメタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーと導電層の表面とのなす角度をメタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーに対する接触角とする。
上記メタクリル酸メチルモノマー、及び上記メタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーのそれぞれに対する接触角を上記範囲に制御する方法としては、例えば、以下の(1)~(4)の方法が挙げられる。(1)導電層の形成時の基板温度を制御する方法。(2)スパッタリングにより導電層を形成する場合に、HO圧力を制御する方法。(3)導電層の形成後のアニール処理条件を制御する方法。(4)導電層の表面にコロナ処理及びプラズマ処理等の表面処理を行う方法。
上記透明導電フィルムは、アクリル樹脂を含む調光層に上記導電層が接するように用いられることが好ましい。本発明では、導電層がアクリル樹脂を含む調光層に接したとしても、透明導電フィルムの導電層と調光層との密着性を高めることができる。
上記透明導電フィルムは、アニール処理された透明導電フィルムであることが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る調光フィルム用透明導電フィルムを示す断面図である。
図1に示す透明導電フィルム1は、調光フィルムに用いられる。
透明導電フィルム1は、基材フィルム11と、導電層12とを備える。
基材フィルム11は、光透過性を有する。基材フィルム11は、光透過性を有する材料により構成されている。基材フィルム11は、第1の表面11a及び第2の表面11bを有する。第1の表面11aと、第2の表面11bとは、互いに対向している。
基材フィルム11の第1の表面11a側に、導電層12が配置されている。導電層12は、光透過性を有する。導電層12は、光透過性が高く、かつ導電性を有する材料により構成されている。導電層12は、基材フィルム11の第1の表面11a上に直接積層されている。導電層は、基材フィルムの第1の表面上に直接積層されていなくてもよい。例えば、導電層と基材フィルムの間に、アンダーコート層が配置されてもよい。
本実施形態では、導電層12の基材フィルム11側とは反対の表面のメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角が上述した範囲を満足する。
また、図1に示す透明導電フィルム1は、ロール状に巻かれていてもよい。
光透過性をより一層高める観点からは、上記透明導電フィルムの波長550nmにおける全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは89%以上、特に好ましくは90%以上である。なお、上記透明導電フィルムの上記全光線透過率は、通常100%以下である。上記透明導電フィルムの波長550nmにおける全光線透過率が、85%以上であると、透明導電フィルムは良好な光透過性を有するといえる。
上記全光線透過率は、例えば、ヘーズメーター(日本電色工業社製「NDH-2000」、又はその同等品)を用いて、JIS K7105に基づいて、測定される。
光透過性をより一層高める観点からは、上記透明導電フィルムのヘイズ値は、好ましくは1.3%以下、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.6%以下、特に好ましくは0.4%以下である。なお、上記透明導電フィルムのヘイズ値は、通常0%以上である。
上記ヘイズ値は、ヘーズメーター(日本電色工業社製「NDH-2000」、又はその同等品)を用いて、JIS K7136に基づいて、測定される。
以下、透明導電フィルムを構成する各層の詳細を説明する。
(基材フィルム)
本発明に係る透明導電フィルムでは、上記基材フィルムは、基材フィルム本体と、ハードコート層とを有してもよい。上記基材フィルムが上記ハードコート層を有する場合、上記ハードコート層は、上記基材フィルム本体の第1の表面上、及び上記第1の表面とは反対の第2の表面上に積層されていることが好ましい。
基材フィルムは、高い光透過性を有することが好ましい。従って、上記基材フィルムの材料及び上記基材フィルム本体の材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、及びセルロースナノファイバー等が挙げられる。上記基材フィルムの材料及び上記基材フィルム本体の材料は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
基材フィルムの厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは35μm以上、好ましくは190μm以下、より好ましくは125μm以下、更に好ましくは60μm以下である。基材フィルムの厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、調光フィルムの窓などへの施工性が良好になる。また、基材フィルムの厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、ハンドリング性を高めながら、透明導電フィルム及び調光フィルムを薄くすることができる。
上記基材フィルムが上記基材フィルム本体と上記ハードコート層とを有する場合には、上記基材フィルム本体の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは35μm以上、好ましくは190μm以下、より好ましくは125μm以下、更に好ましくは60μm以下である。基材フィルム本体の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、調光フィルムの窓などへの施工性が良好になる。また、基材フィルム本体の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、ハンドリング性を高めながら、透明導電フィルム及び調光フィルムを薄くすることができる。
また、基材フィルムの波長380~780nmの可視光線領域における平均透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。なお、波長380~780nmの可視光線領域における平均透過率は、通常100%以下である。上記基材フィルムの波長380~780nmの可視光線領域における平均透過率が85%以上であると、基材フィルムは良好な光透過性を有するといえる。
基材フィルム、又は上記基材フィルムが上記基材フィルム本体と上記ハードコート層とを有する場合には基材フィルム本体は、各種安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤又は着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤はそれぞれ、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
(導電層)
導電層は、光透過性を有する導電性材料により形成されている。上記導電性材料としては、特に限定されないが、例えば、IZO(インジウム亜鉛酸化物)及びITO(インジウムスズ酸化物)等のIn系酸化物、SnO及びFTO(フッ素ドープ酸化スズ)等のSn系酸化物、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)及びGZO(ガリウム亜鉛酸化物)等のZn系酸化物、アルミニウム、マグネシウム-銀混合物、マグネシウム-インジウム混合物、アルミニウム-リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物及び金等の金属、CuI、Agナノワイヤー(AgNW)、カーボンナノチューブ(CNT)並びに導電性透明ポリマー等が挙げられる。上記導電性材料は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記導電性材料は、Inを含有する金属酸化物、Snを含有する金属酸化物又はZnを含有する金属酸化物であることが好ましい。上記導電性材料は、Inを含有する金属酸化物であることがより好ましく、ITO(インジウムスズ酸化物)であることが更に好ましい。これらの導電性材料の使用によって、導電性をより一層高め、かつ、光透過性をより一層高めることができる。
導電層の形成方法は、特に限定されず、物理気相成長法(例えば蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等)及び化学気相成長法(例えばプラズマCVD法等)等が挙げられる。本発明においては、導電層の形成方法はスパッタリング法が好ましい。
スパッタリング法により導電層を形成する方法としては、例えば、基材フィルムの一方の表面上に、酸化ケイ素を含む層を成膜し、続いて上記酸化ケイ素を含む層上に導電性材料を積層し、その後、加熱処理(アニール処理)する方法が挙げられる。上記酸化ケイ素を含む層の成膜方法としては、上記基材フィルムを真空装置内に設置し、真空度を、例えば、1.0×10-6~1.0×10-4Paとした後に、基材フィルムの一方の表面上にスパッタリングする方法が挙げられる。また、上記導電性材料の積層方法は、特に限定されないが、例えば、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスをチャンバー圧力(全圧)が3.0×10-1~9.0×10-1Paになるように真空装置内に導入しながら、スパッタリング法にて導電性材料を積層する方法が挙げられる。
この際、HO分圧は、1.0×10-4Pa以上であることが好ましく、1.0×10-3Pa以下であることが好ましく、4.0×10-4Pa以下であることがより好ましい。HO分圧が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記アニール処理後の導電層の結晶性を高めることができる。この結果、上記メタクリル酸メチルモノマー、及び上記メタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーのそれぞれに対する接触角を上記範囲に容易に調整することができる。また、HO分圧が上記下限以上及び上記上限以下であると、透明導電フィルムのシート抵抗値を低くすることができる。導電性材料としてITOを用いる場合、HO分圧が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記アニール処理後のITO層の結晶性を高めることができる。この結果、上記メタクリル酸メチルモノマー、及び上記メタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーのそれぞれに対する接触角を上記範囲に容易に調整することができる。また、HO分圧が上記下限以上及び上記上限以下であると、透明導電フィルムのシート抵抗値を低くすることができる。
O分圧は真空装置に対応した質量分析計(例えばアルバック製「Qulee CGM-051」、又はその同等品)を用いて測定することができる。
上記加熱処理(アニール処理)は、熱風循環式オーブン、熱ロール、熱プレス、又はIR加熱式オーブン等を用いて、例えば120~200℃において1~60分程度の熱処理を行うことによって実施することができる。
上記導電性材料として、ITOを用いる場合は、加熱処理(アニール処理)によってITOを結晶化させることによりITO層(導電層)を形成することが好ましい。上記加熱処理(アニール処理)には、熱風循環式オーブン、熱ロール、熱プレス、及びIR加熱式オーブン等を用いることができる。より短時間でITO層を形成する観点からは、IR加熱式オーブンを用いることが好ましい。この場合、ITO層表面の酸化による酸素欠損の減少や基材フィルムの劣化などを効果的に抑制することができる。なお、上記加熱処理(アニール処理)は、例えば160~200℃において1~10分程度の熱処理を行うことによって実施することができる。
導電層の厚みは、好ましくは12nm以上、より好ましくは16nm以上、更に好ましくは17nm以上、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下、更に好ましくは20nm以下、特に好ましくは19nm以下である。導電層の厚みが上記下限以上であると、透明導電フィルムのシート抵抗値を効果的に低くすることができ、導電性をより一層高めることができる。導電層の厚みが上記上限以下であると、より透明な透明導電フィルムを得ることができる。導電層の厚みが上記上限以下であると、調光層が良好に硬化しやすくなり、調光フィルムの透明度をより一層高めることができる。
導電層の波長380~780nmの可視光線領域における平均透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。なお、波長380~780nmの可視光線領域における平均透過率は、通常100%以下である。上記導電層の波長380~780nmの可視光線領域における平均透過率が85%以上であると、導電層は良好な光透過性を有するといえる。
(保護フィルム)
上記基材フィルムの上記導電層側とは反対の表面上(他方の表面上)に保護フィルムが配置されていてもよい。
保護フィルムは、基材フィルムシート及び粘着剤層により構成されていることが好ましい。
上記基材フィルムシートは、高い光透過性を有することが好ましい。上記基材フィルムシートの材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリスルホン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、及びセルロースナノファイバー等が挙げられる。上記基材フィルムシートの材料は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記粘着剤層は、(メタ)アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系接着剤又はエポキシ系接着剤により構成することができる。熱処理による粘着力の上昇を抑制する観点から、上記粘着剤層は、(メタ)アクリル系粘着剤により構成されていることが好ましい。
上記(メタ)アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル重合体に、必要に応じて架橋剤、粘着付与樹脂及び各種安定剤などを添加した粘着剤である。
上記(メタ)アクリル重合体は、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、他の共重合可能な重合性モノマーとを含む混合モノマーを共重合して得られた(メタ)アクリル共重合体であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、特に限定されないが、アルキル基の炭素数が1~12の1級又は2級のアルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られる(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましい。上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、及び(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記他の共重合可能な重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、マレイン酸及びフマル酸等の官能性モノマーが挙げられる。上記他の共重合可能な重合性モノマーは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記架橋剤としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤、及び多官能アクリレート等が挙げられる。上記架橋剤は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記粘着付与樹脂としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体及び脂環式系共重合体等の石油系樹脂;クマロン-インデン系樹脂;テルペン系樹脂;テルペンフェノール系樹脂;重合ロジン等のロジン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン系樹脂等が挙げられる。上記粘着付与樹脂は、水素添加された樹脂であってもよい。上記粘着付与樹脂は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
保護フィルムの厚みは、好ましくは25μm以上、より好ましくは50μm以上、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。保護フィルムの厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、調光フィルムの作製時のハンドリング性に優れ、不良発生を低減することができる。
(調光フィルム)
本発明に係る調光フィルムは、第1の透明導電フィルムと、第2の透明導電フィルムと、調光層とを備える。上記調光層は、上記第1の透明導電フィルムと上記第2の透明導電フィルムとの間に配置されている。本発明に係る調光フィルムでは、上記第1の透明導電フィルム及び上記第2の透明導電フィルムの内の少なくとも一方が、本発明に係る透明導電フィルムである。上記第1の透明導電フィルム及び上記第2の透明導電フィルムの一方が、本発明に係る透明導電フィルムであってもよく、上記第1の透明導電フィルム及び上記第2の透明導電フィルムの双方が、本発明に係る透明導電フィルムであってもよい。
図2は、図1に示す調光フィルム用透明導電フィルムを用いた調光フィルムの一例を示す断面図である。
調光フィルム21は、2つの透明導電フィルム1と、調光層31とを備える。2つの透明導電フィルム1の間に、調光層31が配置されている。透明導電フィルム1における導電層12は、調光層31に接している。
調光フィルム21では、2つの透明導電フィルム1の導電層12間に、電界が印加される。電界が印加されている状態と、電界が印加されていない状態とで、調光フィルム21を通過する光量を変化させることができる。
上記調光層の方式としては、液晶分散ポリマーの方式、エレクトロクロミック方式、及びSPD方式等が挙げられる。
上記調光層は、アクリル樹脂を含んでいてもよい。上記調光層は、アクリル樹脂を含むことが好ましい。上記調光層は、アクリル樹脂中に液晶分子を含んでいてもよい。
上記アクリル樹脂としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、及び(メタ)アクリル酸プロピル等のモノマーの重合体が挙げられる。上記アクリル樹脂は、上記モノマーの単独重合体であってもよく、上記モノマーの共重合体であってもよく、上記モノマーとその他のモノマーとの共重合体であってもよい。上記アクリル樹脂は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味する。
導電層と調光層との密着性を高める観点からは、上記調光層に対する上記透明導電フィルムのピール強度は好ましくは3.0N/inch以上、より好ましくは3.3N/inch以上、更に好ましくは3.5N/inch以上である。
以下、本発明について、具体的な実施例及び比較例に基づき、更に詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
透明導電フィルムの作製:
基材フィルム本体として、厚み50μmのPETフィルムを用意した。PETフィルムの一方の面にジルコニア粒子を分散したアクリル系ハードコート樹脂(東洋インキ社製「リオデュラスTYZ」)を塗布した後、UVを照射することで硬化させ、厚み0.8μmの第1のハードコート層を形成した。PETフィルムの他方の面に、アクリル系ハードコート樹脂(東洋インキ社製「リオデュラスTYAB」)を塗布した後、UVを照射することで硬化させ、厚み2.0μmの第2のハードコート層を形成した。このようにして、基材フィルムを得た。
この基材フィルムを真空装置内に設置し、真空排気を実施した。真空度が9.0×10-4Paまで到達した後、アルゴンガスを導入して、DCマグネトロンスパッタリング法によりアルゴンガス雰囲気下で、第1のハードコート層の表面上にSiO層、SiO層、SiO層を第1のハードコート層側からこの順で成膜し、その上にインジウムスズ酸化物(ITO)層を積層した。具体的には、SnOが7重量%のITO焼結体ターゲットと、ターゲット表面の最大水平磁束密度が1000ガウスとなるカソードとを用いて、チャンバー圧力3.5×10-1Pa、HO分圧2.72×10-4Pa、ArガスとOガスとの比を100:1として真空装置に導入しながら、厚み18nmの導電層(ITO層)を形成した。その後、IR加熱式オーブン(ミノグループ社製)にて170℃で5分アニール処理を行うことで、透明導電フィルムを得た。
調光フィルムの作製:
以下の成分を混合し、調光層材料を得た。
液晶成分として4-ブチルビフェニル-4’-カルボニトリル75重量部及び4’-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボニトリル75重量部
バインダー樹脂としてメタクリル酸-2-エチルヘキシル20重量部及びアクリル酸-2-エチルヘキシル130重量部
光重合開始剤(BASF社製「Irgacure 184」)3重量部
調光層の厚みを調整するギャップ材として粒径20μmのアクリル樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパール)1重量部
上記透明導電フィルムを導電層側が向かい合うように2枚重ねラミネーター(テスター産業社製、小型ラミネーター)にセットし、調光層材料を間に流し込んで貼り合わせを行った。得られた積層フィルムをUVランプにて、150W/m及び5分の条件で調光層材料を硬化させることで調光層を形成して、調光フィルムを得た。
(実施例4、参考例,3,5及び比較例1,2)
基材フィルム本体の厚み、導電層の形成条件(HO分圧)、導電層の厚み、及びアニール処理条件(加熱方法、加熱温度、及び加熱時間)を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、透明導電フィルム及び調光フィルムを得た。
(測定)
(1)メタクリル酸メチルモノマーに対する接触角
得られた透明導電フィルムにおいて、接触角計(協和界面科学社製「DM500」)を用いて、メタクリル酸メチルモノマーに対する接触角を測定した。具体的には透明導電フィルムの導電層の上記基材フィルム側とは反対の表面へメタクリル酸メチルモノマー1μLを滴下した。滴下してから1秒後のメタクリル酸メチルモノマーと導電層の表面とのなす角度をメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角とした。
(2)メタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーに対する接触角
得られた透明導電フィルムにおいて、接触角計(協和界面科学社製「DM500」)を用いて、メタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーに対する接触角を測定した。具体的には透明導電フィルムの導電層の上記基材フィルム側とは反対の表面へメタクリル酸2-エチルヘキシルモノマー1μLを滴下した。滴下してから1秒後のメタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーと導電層の表面とのなす角度をメタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーに対する接触角とした。
(3)全光線透過率
得られた透明導電フィルムの波長550nmにおける全光線透過率を、ヘーズメーター(日本電色工業社製「NDH-2000」)を用いて、JIS K7105に基づいて、測定した。
(4)ヘイズ値
得られた透明導電フィルムのヘイズ値をヘーズメーター(日本電色工業社製「NDH-2000」)を用いて、JIS K7136に基づいて、測定した。
(評価)
(1)ピール強度
得られた調光フィルムを構成する透明導電フィルム2枚を180°方向に引き剥がしたときの剥離時の強度をピール強度とした。ピール強度は引っ張り試験機で測定することにより求めた。引っ張り試験機として、島津製作所社製「EZ Test」を用いた。調光フィルムを1inchの幅にカットして測定を行った。剥離速度は100mm/minとした。
透明導電フィルムの構成、アニール処理条件及び結果を下記の表1に示す。
Figure 0007156858000001
実施例1,4及び参考例2,3,5で得られた透明導電フィルムのメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角の測定時において、図3に示す写真と類似した観察結果が得られた。
また、比較例1,2で得られた透明導電フィルムのメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角の測定時において、図4に示す写真と類似した観察結果が得られた。
1…透明導電フィルム
11…基材フィルム
11a…第1の表面
11b…第2の表面
12…導電層
21…調光フィルム
31…調光層

Claims (5)

  1. 調光フィルムに用いられる透明導電フィルムであって、
    基材フィルムと、該基材フィルムの一方の表面側に配置されている導電層とを有し、
    前記導電層の前記基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角が3°以下であり、
    前記導電層の前記基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸2-エチルヘキシルモノマーに対する接触角が3.4°以上9°以下である、調光フィルム用透明導電フィルム(但し、シラン系カップリング剤又はチタン系カップリング剤で処理された導電層を有する調光フィルム用透明導電フィルムを除く)。
  2. 前記導電層の前記基材フィルム側とは反対の表面のメタクリル酸メチルモノマーに対する接触角が0°である、請求項1に記載の調光フィルム用透明導電フィルム。
  3. JIS K7136に基づいて測定されるヘイズ値が、0.33%以下である、請求項1又は2に記載の調光フィルム用透明導電フィルム。
  4. 第1の透明導電フィルムと、
    第2の透明導電フィルムと、
    前記第1の透明導電フィルムと前記第2の透明導電フィルムとの間に配置された調光層とを備え、
    前記第1の透明導電フィルム及び前記第2の透明導電フィルムの内の少なくとも一方が、請求項1~のいずれか1項に記載の調光フィルム用透明導電フィルムである、調光フィルム(但し、シラン系カップリング剤又はチタン系カップリング剤で処理された導電層を有する透明導電フィルムを備える調光フィルムを除く)。
  5. 前記調光層がアクリル樹脂を含む、請求項に記載の調光フィルム。
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