JP2009292964A - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】攪拌翼を備えた重合槽を用いた連続気相重合によるオレフィン重合体の製造方法において、攪拌翼への重合体(共重合体)の付着、異常反応物の生成、粗大粒子の生成を抑制し、安定的に長期連続製造を可能とするオレフィン重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】攪拌翼を備えた重合槽と触媒前処理部とを有する気相重合装置を用い、前記触媒前処理部においてオレフィン重合触媒(X)と下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)とを接触混合した後、当該混合物を前記重合槽へ供給する。
Figure 2009292964

〔一般式(I)中、aおよびcの合計は1〜50を満たす数であり、bは5〜100を満たす数である。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン重合体、特にプロピレン単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体の製造方法に関する。
ポリプロピレンまたはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体などのオレフィン重合体の製造において、高活性および高立体規則性であるチーグラー/ナッタ触媒が開発されたため、触媒当たりのオレフィン重合体の生産量が飛躍的に向上するとともに、オレフィン重合体の規則性の向上が達成されてきている。この結果、オレフィン重合体中に存在する遷移金属触媒成分などの金属成分の減少、非晶性ポリプロピレン成分の低減が可能になってきている。このため、気相法によるオレフィン重合体の製造方法が注目されてきている。気相法によるオレフィン重合体の製造方法は、従来の溶液重合、スラリー重合またはバルク重合などに比べて、溶媒の回収または精製工程が不要なこと、モノマーの回収またはポリマーの乾燥が容易なこと、製品の多様化に対応可能なことなどの特長を有する。
特に、攪拌翼を備えた重合槽を用いた気相重合法は、液化プロピレンの蒸発潜熱を利用できるため、設備をコンパクト化できる利点がある。
このように攪拌翼を備えた重合槽を用いた気相重合法によるオレフィン重合体の製造方法は非常に優れたプロセスである。しかしながら、気相重合法においては、重合槽内が重合体の粉体部と気相部とに分かれているため、槽全体としての流動、攪拌および均一性が充分でない。したがって、溶液法またはスラリー法に比較すると、攪拌効果および均一化効果が充分でない場合がある。特に、攪拌翼を備えた重合槽を用いた気相重合の場合、ポリマー粒子同士の融着などによる粗大粒子の発生や攪拌不良などにより、重合装置の運転状態が不安定になることが多く、攪拌動力も大きくなる傾向にある。中でも、上プロピレンとエチレンなどの他のα−オレフィンとのランダム共重合体の場合、ポリマー融点が下がることから、ポリマー粒子同士が融着した粗大粒子や固まりが発生しやすい。その結果、オレフィン重合体パウダーの抜出し時の詰り、または固まりのロータリーバルブへの咬み込みによるトリップなどのトラブルが発生するため、安定した長期連続運転が困難であるという問題点があった。
この粗大粒子や固まりの発生は、安定した長期連続製造の達成が困難になるばかりか、この粗大粒子や固まりがポリマー組成の不均一化をもたらし、最終成形品の品質の低下をもたらすなどの問題点がある。
このため、オレフィン重合体の製造において、ポリマー粒子の融着を防止する方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、固体触媒を液状プロピレンのキャリアーに供給することによりスラリーを形成し、次いで混合槽で攪拌した後に、反応器に供給する方法が提案されている。しかしながら、固体触媒と少量のオレフィンとを予め重合させておく予備重合触媒を使用する場合、混合槽での重合が進むため、触媒供給ラインが閉塞する問題点がある。
特許文献2には、オレフィン重合用固体触媒、実質的にはメタロセン触媒を担持した固体触媒とポリアルキレンオキサイドブロックとからなる触媒を用いる方法が開示されており、シート状物の発生を防止する効果が例示されている。しかしながら、粗大粒子や固まりに対する例示が無く、攪拌動力に対する効果を示唆する開示もないため、攪拌翼を備えた気相重合槽での効果を予見することはできない。
また、特許文献3には、特定の飽和蒸気圧を有する2種類以上の飽和炭化水素媒体を用いて触媒を供給する方法が開示されている。2種類以上の媒体を用いることは、設備コストおよび製造コストを増加させることとなり、好ましい方法とは言えない。
攪拌翼を備えた重合槽を用いた気相重合は、攪拌翼を備えていない流動層型重合槽を用いた気相重合に比べて、粒子径の大きい触媒(予備重合)粒子を使用することが多く、ポリマー粒子同士の付着による粗大粒子の発生などが起こりやすい場合がある。粗大粒子が多くなると、重合槽内の温度が不均一になったり、重合温度の管理が不安定化したり、攪拌抵抗が大きくなったりするなど、重合装置の運転状態が不安定になることが多い。このため、攪拌翼を備えた重合槽を用いた気相重合においても、ポリマー粒子同士の付着による粗大粒子の発生や固まりの発生を防止し、重合装置の運転安定性を改善する方法の開発が求められていた。
特開2000−86705号公報 特開2000−297114号公報 特開2003−201304号公報
本発明は、このような従来技術がもつ欠点を克服し、オレフィン重合触媒を用いた連続気相重合によるオレフィン重合体の製造方法において、攪拌翼を備えた縦型重合槽または攪拌翼を備えた横型重合槽を用いた場合でも、オレフィン重合体の安定的な長期連続製造を可能とするとともに、最終成形品の品質低下を抑制することができるオレフィン重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法は、オレフィン重合触媒を用いた連続気相重合によるオレフィン重合体の製造方法において、攪拌翼を備えた重合槽と触媒前処理部とを有する連続気相重合装置を用い、前記触媒前処理部においてオレフィン重合触媒(X)と下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)とを接触混合した後、当該混合物を前記重合槽へ供給し、オレフィンモノマーを重合することを特徴としている。
Figure 2009292964
〔一般式(I)中、aおよびcの合計は1〜50を満たす数であり、bは5〜100を満たす数である。〕
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法は、前記重合槽が、縦型重合槽または横型重合槽であることが好ましく、また、前記オレフィン重合触媒(X)が、予備重合触媒であることが好ましく、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)の使用量が、前記オレフィン重合触媒(X)に対して、1〜25重量%の範囲であることが好ましく、前記オレフィン重合触媒(X)が、マグネシウム原子、チタン原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分を含むことが好ましい。
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法は、プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体の製造に好ましく適用できる。特に好ましくは、プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体の製造に適用できる。
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法は、攪拌翼を備えた重合槽を有する連続気相重合装置を使用する場合において、攪拌翼または重合槽の壁面への重合体の付着、重合体粒子の融着などによる粗大粒子や固まりの生成を防止することができる。また、その結果、重合槽内の温度不均一化を抑制し、攪拌動力の上昇を防止し、更には重合体粒子が抜き出し配管に詰まることを抑制して、重合装置の運転安定性を向上させ長期連続製造を可能にすることができる。更に、重合槽内の温度が安定化することから、品質の変動も小さくすることができる。また、異常粒子の生成が減少することから、これらの異常粒子が製品に混入することによるフィッシュアイの発生等が抑制され、製品の外観の悪化、物性の低下などの品質の低下を防止できる。
本発明は、プロピレン単独重合体やプロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体の製造に好適に採用することができる。特に好ましくは、プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体の製造に採用することができる。
以下、本発明に係るオレフィン重合体の製造方法について、具体的に説明する。
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法は、オレフィン重合触媒を用いた連続気相重合によるオレフィン重合体の製造方法において、攪拌翼を備えた重合槽と触媒前処理部とを有する連続気相重合装置を用い、前記触媒前処理部においてオレフィン重合触媒(X)と後述する特定のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)とを接触混合した後、当該混合物を前記重合槽へ供給し、オレフィンモノマーを重合することを特徴としている。
触媒前処理部において、オレフィン重合触媒(X)と特定のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)とを接触混合した後、当該混合物を前記重合槽へ供給することによって、重合系、特に、重合槽内における触媒作用を均一化し、重合体粗大粒子の生成や固まり状化を抑制するとともに、異常重合粒子(物性低下原因となる)の生成を激減させ、高品質のオレフィン重合体を長期、連続、安定生産できる。
また、本発明は、プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体の製造に好ましく適用できるものである。
<オレフィン重合触媒(X)>
本発明に用いられるオレフィン重合触媒(X)としては、特に制限はなく、気相法に用いられる公知のオレフィン重合触媒が用いられる。これらの触媒としては、三価もしくは四価チタンのハロゲン化物またはアルコラート、アルコキシチタンハロゲン化物と塩化マグネシウム、アルコキシマグネシウムなどを用いて調製された固体触媒成分を含むチーグラー/ナッタ系触媒、シクロペンタジエニル基を有するチタン、ジルコニウム、ハフニウム系化合物を含むメタロセン系化合物を触媒成分とする担持固体触媒などを例示できる。
また、これらの触媒成分としては、アルキルアルミニウムもしくはアルミノキサンなどの有機アルミニウム化合物、イオン性錯体もしくはルイス酸などの公知の助触媒、または電子供与体などを例示できる。さらに、電子供与性化合物を重合時に用いたりすることもできる。
本発明に用いられるオレフィン重合触媒(X)としては、マグネシウム原子、チタン原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分(A)を含むことが好ましい。前記固体触媒成分(A)は、例えば(a)マグネシウム化合物と(b)チタン化合物とを用いて調製することができる。
本発明に用いられる重合触媒の一例としては、前記固体触媒成分(A)と、有機アルミニウム化合物(B)とを用いて得られる高立体規則性触媒が挙げられる。また、好ましくは、前記固体触媒成分(A)と、有機アルミニウム化合物(B)と、電子供与性化合物(C)とを用いて得られる高立体規則性触媒が挙げられる。
固体触媒成分(A)
前記固体触媒成分(A)は、マグネシウム化合物(a)と、チタン化合物(b)と、必要により、電子供与性化合物(c)とを用いて調製することができる。
(a)マグネシウム化合物
前記マグネシウム化合物(a)としては、特に制限はなく、酸化マグルシウム、水酸化マグネシウム、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライド、ハロゲン化マグネシウム、マグネシウムジアルコキシドなど、具体的には塩化マグネシウム、マグネシウムジエトキシド、マグネシウムジメトキシドなどを挙げることができる。また、前記マグネシウム化合物(a)としては、金属マグネシウムとハロゲンとアルコールとを反応させて得られる公知の固体生成物を好適に使用することができる。前記アルコールとしては、メタノール、エタノールが挙げられる。水分含有量が200ppm以下のアルコールを用いると、良好なモロホロジーを有する固体生成物が得られやすい。また、前記ハロゲンとしては、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられ、特にヨウ素が好適である。
(b)チタン化合物
前記チタン化合物(b)としては、任意のチタン化合物を用いることができ、例えば、下記一般式(1)で表されるチタン化合物が挙げられる。
Figure 2009292964
上記式(1)中、X1 はハロゲン原子であり、特に塩素原子であることが好ましく、R1 は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、特に直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましく、R1 が複数存在する場合には、それらは互いに同じでも異なっていてもよい。また、nは0〜4の整数である。
前記チタン化合物(b)の具体例としては、Ti(O−i−C3 7 4 、Ti(O−C4 9 4 、TiCl(O−C2 5 3 、TiCl(O−i−C3 7 3 、TiCl(O−C4 9 3 、TiCl2 (O−C4 9 2 、TiCl2 (O−i−C3 7 2 、TiCl4 等を挙げることができる。
(c)電子供与性化合物
前記電子供与性化合物(c)としては、酸素、窒素、リンあるいは硫黄を含有する有機化合物が挙げられる。具体的には、アミン類、アミド類、ケトン類、ニトリル類、ホスフィン類、エステル類、エーテル類、チオエーテル類、アルコール類、チオエステル類、酸無水物類、酸ハライド類、アルデヒド類、有機酸類、Si−O−C結合を有する有機珪素化合物を挙げることができる。
前記電子供与性化合物(c)の具体例としては、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘキシルなどの芳香族フタル酸ジエステル、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、
ジシクロペンチルジメトキシシランなどの有機珪素化合物を挙げることができる。
・固体触媒成分(A)の調製方法
前記固体触媒成分(A)の調製方法としては、上述したマグネシウム化合物(a)と、上述したチタン化合物(b)と、必要により、上述した電子供与性化合物(c)とを用い、公知の方法で調製できる。例えば、マグネシウム化合物(a)と、電子供与性化合物(c)を接触させた後、チタン化合物(b)と接触させる調製方法が挙げられる。その接触条件は特に制限はなく、通常、マグネシウム原子換算でマグネシウム化合物(a)1モルに対して電子供与性化合物(c)0.01〜10モル、好ましくは0.05〜5モルを加え、0〜200℃にて5分〜10時間、好ましくは30〜150℃にて30分〜3時間の条件で接触させる。また、この調製には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の不活性炭化水素を加えることもできる。
マグネシウム化合物(a)にチタン化合物(b)を接触させる際の条件、またはマグネシウム化合物(a)と電子供与性化合物(c)との接触生成物に、チタン化合物(b)を接触させる際の条件は、特に制限はなく、通常、マグネシウム原子換算でマグネシウム化合物(a)1モルに対して、チタン化合物(b)を1〜50モル、好ましくは2〜20モルの範囲で加え、0〜200℃にて5分〜10時間、好ましくは30〜150℃にて30分〜5時間接触させる。チタン化合物(b)との接触は、チタン化合物(b)が液状(例えば、四塩化チタン)の場合、チタン化合物(b)単独で行うことができ、チタン化合物(b)が液状以外の場合、任意の不活性炭化水素にチタン化合物(b)を溶解させた状態で行うことができる。また、マグネシウム化合物(a)と電子供与性化合物(c)との接触の前に、例えば、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン含有ケイ素化合物、ハロゲンガス、塩化水素、ヨウ化水素等をマグネシウム化合物(a)に接触させることができる。なお、接触終了後は、不活性炭化水素で生成物を洗浄することが好ましい。
有機アルミニウム化合物(B)
前記有機アルミニウム化合物(B)としては、特に限定はなく、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009292964
上記式(2)中、R2 は炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、mは1〜3の整数であり、X2 はハロゲン原子(塩素または臭素原子)である。前記有機アルミニウム化合物(B)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム化合物、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジプロピルアルミニウムモノクロリドなどのジアルキルアルミニウムモノクロリドなどを挙げることができる。
電子供与性化合物(C)
前記電子供与性化合物(C)としては、前記固体触媒成分(A)の調製の際に用いた電子供与性化合物(c)と同様のものを用いることができる。この場合、前記固体触媒成分(A)の調製の際に用いたものと同じでも異なっていてもよい。好ましい電子供与性化合物(C)は、SiO−C結合を有するシラン化合物、特に、下記式(3)で表される化合物である。
Figure 2009292964
上記式(3)中、R3 は、直鎖状もしくは分岐状炭化水素基、芳香属炭化水素基、環状飽和炭化水素基または窒素原子含有炭化水素基である。R4 は直鎖状炭化水素基または分岐鎖状炭化水素基である。pは0〜3の整数であり、p≧2の場合、上記基の任意の組み合わせであってよい。
上記式(3)で表される化合物の具体例としては、t−ブチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、エチル(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、エチル(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、等を挙げることができる。
予備重合触媒
本発明に用いられるオレフィン重合触媒(X)は、予備重合触媒であることが好ましい。予備重合触媒であると、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)と接触混合したときに活性低下を抑えることができる点で好ましい。
予備重合触媒は、前記のようなオレフィン重合触媒の存在下にオレフィンモノマーを予備重合して得られる。また、オレフィン重合触媒成分とオレフィン重合体とから形成される予備重合触媒も好適に用いることができる。
予備重合触媒の調製方法は、従来公知の方法を用いることができる。
予備重合の際に用いられるオレフィンモノマーとしては、後述するオレフィンモノマーの中から適宜選択して用いることができる。予備重合は溶媒の存在下で行うことが好ましい。予備重合に用いられる溶媒としては、不活性炭化水素溶媒が好ましく、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。予備重合温度は−20〜80℃、好ましくは0〜50℃であり、また予備重合時間は0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間程度である。また、予備重合によって生成する重合体量は、触媒1g当たり約0.1〜500g、好ましくは0.3〜300g、特に好ましくは1〜100gの範囲であることが望ましい。
<オレフィンモノマー>
本発明のオレフィン重合体の製造方法に用いられるオレフィンモノマーとしては、特に制限はなく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンが例示できる。これらのα−オレフィンは、単独重合することもできるし、2種以上のα−オレフィンを共重合してもよい。また、これらのα−オレフィンと、酢酸ビニルもしくはアクリル酸などの他の共重合可能なモノマーとを共重合してもよい。中でも、プロピレン単独重合、またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合が好ましく、プロピレンとエチレンとの共重合が特に好ましい。
<気相重合装置>
本発明のオレフィン重合体の製造方法に用いられる気相重合装置は、少なくとも、攪拌翼を備えた重合槽と触媒前処理部とを有している。
前記重合槽としては、縦型重合槽または横型重合槽が好ましい。攪拌翼を有する縦型重合槽としては、特開昭53−123487号公報や特開昭54−23258号公報などに記載のものを用いることができ、攪拌翼を有する横型重合槽としては、特開昭63−223001号公報などに記載のものを用いることができる。前記重合槽は、単段または単一重合槽のほか、二段以上の複数の重合槽を有するものであってもよい。
また、本発明のオレフィン重合体の製造方法に用いられる気相重合装置は、さらにモノマー供給配管、モノマー循環配管、重合触媒供給配管、重合体粒子排出配管、圧縮機、凝縮器等を備えていてもよい。モノマー供給配管は、重合に供されるオレフィンモノマーを重合槽に連続的に供給する配管である。重合体粒子排出配管は、重合した重合体粒子を定常的または間欠的に連続して抜き出す配管である。圧縮機および凝縮器は、重合槽中のモノマーガスを液化する機器である。モノマー循環配管は、前記液化したモノマーを重合槽に循環させる配管である。また、この液化モノマーは重合槽内で気化し、その蒸発潜熱で重合熱を除去する方法が採用されている。また、重合触媒供給配管は、重合触媒を定常的または間欠的に重合槽に供給する配管である。重合触媒は、モノマーと共に重合槽内に供給してもよい。したがって、重合触媒供給配管はモノマー供給配管および/またはモノマー循環配管と一体となって重合槽に接続する方式を取っていてもよい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法に用いられる気相重合装置の触媒前処理部は、前記オレフィン重合触媒(X)とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)とを接触混合する機能を有する装置または部分であればよい。例えば、攪拌装置を有する貯槽、乱流混合または静的攪拌混合可能な配管等から適宜選択して用いることができる。また、重合槽へ供給する触媒を貯留しておく触媒槽に前記化合物(G)を直接供給し、触媒槽を触媒前処理部として用いることもできる。また、触媒槽から重合槽へ接続されている重合触媒供給配管の途中に前記化合物(G)の供給部を設け、配管内で接触混合させることもできる。触媒前処理部で前記化合物(G)と接触混合されたオレフィン重合触媒(X)は、重合触媒供給配管を通じて連続的または間欠的に重合槽へ供給される。
図1は、本発明のオレフィン重合体の製造方法に用いられる気相重合装置の一例を示した図である。図1において、1は重合槽、2は重合槽攪拌翼、5はモノマー循環配管、6はフィルター、7は圧縮機、8は凝縮器、9はポンプ、10及び11はモノマー供給配管、12は重合体粒子排出配管、13は重合触媒供給配管、14は重合触媒貯槽をそれぞれ示す。重合槽は、攪拌翼を備えた縦型重合槽である。
<ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)およびオレフィン重合触媒(X)との接触混合>
本発明のオレフィン重合体の製造方法では、上述のオレフィン重合触媒(X)と下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)とを接触混合した後、当該混合物を重合槽へ供給する。
Figure 2009292964
式(I)中、aおよびcはオキシエチレン単位の繰り返し数を示し、bはオキシプロピレン単位の繰り返し数を示す。また、aとcの合計は1〜50を満たす数であり、好ましくは2〜20、より好ましくは5〜15の範囲であり、bは5〜100を満たす数であり、好ましくは10〜70、より好ましくは20〜50の範囲である。
このようなポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)は、酸化プロピレンを付加重合させてポリプロピレングルコールを製造し、さらに酸化エチレンを付加重合させることで合成することもできるが、市販品を使用することもできる。好適に使用できる市販品としては、(株)アデカのプルロニックL・P・F、第一工業製薬(株)のエパン、ビーエーエスエフジャパン(株)のプルロニックPE、日本油脂(株)のプロノンなどが挙げられる。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)の使用量は、前記オレフィン重合触媒(X)に対して、好ましくは1〜25重量%の範囲であり、より好ましくは2〜20重量%の範囲、さらに好ましくは3〜15%の範囲である。前記使用量が前記下限より少ないと十分な効果が得られない。また、前記使用量が前記上限より多くなると触媒の性状変化が起こる場合がある。なお、オレフィン重合触媒(X)として予備重合触媒を使用する場合には、前記化合物(G)は予備重合体を含まない重合触媒重量に対して前記比率で使用する。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)とオレフィン重合触媒(X)との接触混合の方法は、前記化合物(G)に前記触媒(X)を添加する方法でも、前記触媒(X)に前記化合物(G)を添加する方法でもどちらでもよい。また、前記化合物(G)および/または前記触媒(X)がオレフィンモノマーで希釈された状態であってもよく、溶媒で希釈された状態であってもよい。溶媒を使用する場合は、前記予備重合で使用される不活性炭化水素溶媒の中から適宜選択して用いることができる。用いた溶媒は必要に応じて、触媒を重合槽へ供給する前に除去することもできる。
前記化合物(G)と前記触媒(X)との接触混合物は、連続的に重合槽へ供給することが好ましい。
前記化合物(G)と前記触媒(X)との接触混合の条件は特に制限は無いが、通常、−10〜60℃の温度、常圧〜2MPaの圧力下で、1秒以上、好ましくは10分以上接触させることにより行う。また接触効率を上げ、均一性を保つために、系を攪拌することが望ましい。
前記化合物(G)と前記触媒(X)とを接触混合した後、当該混合物を重合槽へ供給することにより、重合系、特に、重合槽内における触媒作用を均一化し、重合体粗大粒子の生成や固まり状化を抑制するとともに、異常重合粒子(物性低下原因となる)の生成を激減させ、高品質のオレフィン重合体を長期、連続、安定生産できる。
<オレフィン重合体の製造方法>
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法は、1以上の重合槽を用いて、プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体の製造に好ましく適用できる。また、プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体の製造に特に好ましく適用できる。
例えば、プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体を製造する場合、オレフィンモノマーは、プロピレンと、エチレン、1−ブテンなどの他のα−オレフィンとの組み合わせであるが、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合比(プロピレンの質量部/他のα−オレフィンの質量部)は、60/40〜99/1、好ましくは90/10〜98/2である。
重合温度としては、30〜110℃、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜90℃である。重合圧力の制限はないが、0.3〜50MPa、好ましくは0.8〜40MPa、より好ましくは1.5〜3.5MPaである。
以下、本発明のオレフィン重合体の製造方法の一例である、ランダム共重合体の製造方法について、図1に基づいて説明する。
本願発明のオレフィン重合体の製造方法で、ランダム共重合体を製造する場合には、図1に示すように、重合槽1にモノマー供給配管10からプロピレン、及び、モノマー供給配管11からエチレンなどの他のα−オレフィンが供給され、重合槽攪拌翼2により攪拌しながら、連続的にプロピレンとエチレンなどの他のα−オレフィンとのランダム共重合体への重合が行われる。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)と前記重合触媒(X)とが前述の比率および条件で混合された後、重合触媒貯槽14に移され、重合触媒供給配管13を通じて重合槽に供給される。重合槽への重合触媒の供給は、連続的または間欠的に行われる。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)と重合触媒(X)との混合処理は、重合触媒貯槽14内で実施することもできる。
なお、ランダム共重合体の製造は、必要により、多段重合で行うこともできる。多段重合の場合、前記化合物(G)と前記重合触媒(X)との混合物は、1段目で重合槽に供給することが好ましい。また前記重合触媒(X)として、触媒活性の向上、嵩密度の向上、重合体粒子の流動性の改善などの目的のために、予め少量のプロピレンなどのモノマーと接触させる処理を行った予備重合触媒を用いることもできる。
各重合槽では、例えば、重合温度40〜100℃、好ましくは50〜90℃、重合圧力0.1〜10MPa程度で、135℃テトラリン中で測定した極限粘度[η]が1〜10dl/g、好ましくは1〜6dl/g程度となるように、水素などを用いて分子量が調整される。重合体中のプロピレンとエチレンなどの他のα−オレフィンとの組成は、それぞれのモノマーの供給量で調整される。重合槽での反応熱は、前段重合槽モノマー循環配管5によりプロピレンおよび他のα−オレフィンとの混合モノマーを、フイルター6を介して、圧縮機7、凝縮器8により液化し、ポンプ9により重合槽1内に噴射され、その気化熱により冷却されるようになっている。重合槽で重合された重合体粒子は、重合体粒子排出配管12によりホッパーなどへ移送される。
<オレフィン重合体>
本発明のオレフィン重合体の製造方法により得られるオレフィン重合体は、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましく、特にプロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体であることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔評価〕
実施例では、以下の条件で効果の評価測定を行った。
パウダー粗粉率
4〜5kgの試料パウダーを採取し、その重量を測定した。採取した試料パウダー全量を目開き5600μm或いは目開き2380μmのフルイにかける。フルイ上に残ったパウダー粗粉重量と採取した試料パウダー重量の比(パウダー粗粉重量/採取した試料パウダー重量)を、パウダー粗粉率とした。測定は2回実施し平均値をとった。
温度σ
触媒量、温度、圧力、モノマー量、水素量等の重合条件が安定した後の連続した2時間
において、1分間隔の温度スナップ値120点の標準偏差を、温度σとした。
[実施例1]
(1)マグネシウム化合物の調整
窒素ガスで充分に置換した攪拌機付き反応槽(内容積500リットル)に、エタノール
97.2kg、ヨウ素640g、及び金属マグネシウム6.4kgを投入し、還流条件下で攪拌しながら反応を行った。系内から水素ガスの発生が無くなるまで反応させ、固体状反応生成物を含む反応液を得た。この固体状反応生成物を含む反応液を減圧乾燥させることにより、目的のマグネシウム化合物(固体触媒の担体)を得た。
(2)固体触媒成分の調整
窒素ガスで充分に置換した攪拌機付き反応槽(内容積500リットル)に、前記マグネシウム化合物(粉砕していないもの)30kg、精製ヘプタン(n−ヘプタン)95リットル、四塩化ケイ素4.4リットル、及びフタル酸ジ−n−ブチル6.0リットルを加えた。系内を90℃に保ち、攪拌しながら四塩化チタン144リットルを投入して110℃で2時間反応させた後、固体成分を分離して90℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化チタン228リットルを加え、110℃で2時間反応させた後、精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成分を得た。
(3)予備重合触媒の調製
内容積500リットルの攪拌機付き反応槽に精製ヘプタン230リットルを投入し、前記固体触媒成分を25kg、固体触媒成分中のチタン原子に対して、トリエチルアルミニウムを1.0mol/mol、ジシクロペンチルジメトキシシランを1.8mol/molの割合で供給した。その後、プロピレンをプロピレン分圧で0.3kg/cm2Gになるまで導入し、25℃で
4時間反応させた。反応終了後、固体触媒成分を精製ヘプタンで数回洗浄し、更に二酸化炭素を供給し24時間攪拌した。その後、槽内に残っている二酸化炭素を窒素ガスで置換し、予備重合触媒とした。
(4)予備重合触媒の前処理
内容積5リットルのガラス容器に、固体触媒0.5kgに相当する予備重合触媒を投入し、精製ヘプタンで全量を2リットルとした。表1に示すポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール化合物(G−1)25gを添加し、30分間攪拌した後、そのまま以下の本重合に供した。
(5)本重合
図1に示すような、攪拌翼を備えた重合槽と、触媒前処理部を兼ねた重合触媒貯槽とを有する連続気相重合装置を用いて本重合を実施した。以下、該本重合について詳述する。
内容積200リットルの攪拌翼付き重合槽に、前記処理済みの予備重合触媒、トリエチルアルミニウムおよびジシクロペンチルジメトキシシランを供給し、さらにプロピレン、エチレンおよび水素を供給し、下記条件でランダム共重合を行い、プロピレン共重合体パウダーを得た。
重合温度:80℃
重合槽圧力:2.8MPa(Gauge)
重合速度:30kg/時間
トリエチルアルミニウムの供給速度:120ミリモル/時間
ジシクロペンチルジメトキシシランの供給速度:12ミリモル/時間
なお、前記予備重合触媒の供給速度は重合速度が30kg/時間となるように調整した。得られるプロピレン共重合体パウダーのMFRが7g/10min、エチレン含量が4.
3wt%となるように、水素およびエチレンの供給量をそれぞれ調整した。
生成した前記プロピレン共重合体パウダーを連続的に抜き出し、上記評価を行った。目開き5600μmのフルイで測定したパウダー粗粉率は0.23wt%、攪拌トルクは7
4N・mであった。結果を表1に示す。
[実施例2〜3]
実施例1(4)の予備重合触媒の前処理で使用するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール化合物(G−1)の添加量を表1に示すように変更したことを除き、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1(4)の予備重合触媒の前処理をせずに、実施例1(3)で調製した予備重合触媒をそのまま使用したことを除き、実施例1と同様に実施した。パウダー粗粉率は0.38wt%、攪拌トルクは90N・mであった。結果を表1に示す。
実施例1〜3と比較例1との対比から、重合触媒をポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール化合物で前処理することで重合槽を不安定化させるパウダー粗粉率が低下する効果があることがわかった。また、攪拌トルクが低下し、攪拌動力を低減できる効果があることがわかった。
[比較例2〜3]
実施例1(4)の予備重合触媒の前処理をせずに、実施例1(3)で調製した予備重合触媒をそのまま使用し、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール化合物(G−1)を重合槽のプロピレン循環ラインに添加したことを除き、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
モノマー循環配管にポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール化合物を添加してもパウダー粗粉率を低減する効果があるものの、多量に添加する必要があった。また、触媒使用量が多く、低活性となった。
Figure 2009292964
[実施例4]
重合槽に入る触媒供給媒体はプロセスの後処理系の負荷を増大させ、製品品質に悪影響する。そのため、触媒供給媒体中の触媒濃度を上げることが好ましい。
そこで、本重合に供給する触媒供給媒体中の触媒濃度を上げて、実施例1(4)の予備重合触媒の前処理に使用するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール化合物を、表2に示す種類(G−2)と添加量に変更したことを除き、実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。
[実施例5]
上述の予備重合触媒の前処理に使用するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール化合物を、表2に示す種類(G−3)と添加量に変更したことを除き、実施例4と同様に実施した。結果を表2に示す。
[比較例4]
上述の予備重合触媒の前処理をせずに、実施例1(3)で調製した予備重合触媒をそのまま使用したことを除き、実施例4と同様に実施した。結果を表2に示す。
この例では、実施例4及び5では発生しなかった重合体粒子排出配管が固まり状のポリマーで詰まる現象が、8時間で2回発生した。
Figure 2009292964
[実施例6]
(1)固体触媒成分の調整
窒素ガスで充分に置換した攪拌機付き反応槽(内容積500リットル)に、実施例1(1)で調製したマグネシウム化合物(粉砕していないもの)30kg、精製ヘプタン(n−ヘプタン)95リットル、四塩化ケイ素4.4リットル、及びフタル酸ジエチル4.3リットル を加えた。系内を90℃に保ち、攪拌しながら四塩化チタン89リットルを投
入して110℃で2時間反応させた後、固体成分を分離して90℃の精製ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化チタン143リットルを加え、110℃で2時間反応させた後、精製ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒成分を得た。
(2)予備重合触媒の調製
内容積500リットルの攪拌機付き反応槽に精製ヘプタン230リットルを投入し、前記固体触媒成分を25kg、固体触媒成分中のチタン原子に対してトリエチルアルミニウムを0.65mol/mol、シクロヘキシルメチルジメトキシシランを0.16mol/molの割合で
供給した。その後、プロピレンをプロピレン分圧で0.3kg/cm2Gになるまで導入し、4
0℃で2時間反応させた。反応終了後、固体触媒成分を精製ヘプタンで数回洗浄し、更に二酸化炭素を供給し、24時間攪拌した。その後、槽内に残っている二酸化炭素を窒素ガスで置換し、予備重合触媒とした。
(3)予備重合触媒の前処理
内容積5リットルのガラス容器に、固体触媒0.5kgに相当する前記予備重合触媒を投入し、精製ヘプタンで全量を2リットルとした。表3に示すポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール化合物(G−3)25gを添加し、30分間攪拌した後、そのまま以下の本重合に供した。
(4)本重合
図1に示すような、攪拌翼を備えた重合槽と、触媒前処理部を兼ねた重合触媒貯槽とを有する連続気相重合装置を用いて本重合を実施した。以下、該本重合について詳述する。
内容積200リットルの攪拌翼付き重合槽に、前記処理済みの予備重合触媒、トリエチルアルミニウムおよびシクロヘキシルメチルジメトキシシランを供給し、さらにプロピレン、エチレンおよび水素を供給し、下記条件でランダム共重合を行い、プロピレン共重合体パウダーを得た。
重合温度:85℃
重合槽圧力:2.9MPa(Gauge)
重合速度:38kg/時間
トリエチルアルミニウムの供給速度:285ミリモル/時間
シクロヘキシルメチルジメトキシシランの供給速度:71ミリモル/時間
なお、前記予備重合触媒の供給速度は重合速度が38kg/時間となるように調整した。得られるプロピレン共重合体パウダーのMFRが10g/10min、エチレン含量が1
.8wt%となるように、水素およびエチレンの供給量をそれぞれ調整した。
生成した前記プロピレン共重合体パウダーを連続的に抜き出し、上記評価を行った。目開き2380μmのフルイで測定したパウダー粗粉率は0.84wt%、攪拌トルクは3
6N・mであった。結果を表3に示す。
[実施例7]
実施例6の(3)の予備重合触媒の前処理に使用するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール化合物(G−3)の添加量を、表3に示すように変更したことを除き、実施例6と同様に実施した。結果を表3に示す。
[比較例5]
実施例6の(3)の予備重合触媒の前処理をせずに、実施例6(2)で調製した予備重合触媒をそのまま使用したことを除き、実施例6と同様に実施した。結果を表3に示す。
Figure 2009292964
[実施例8]
(1)予備重合触媒の前処理
内容積5リットルのガラス容器に、実施例6(2)で調製した固体触媒0.5kgに相当する予備重合触媒を投入し、精製ヘプタンで全量を2リットルとした。表3に示すポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール化合物(G−3)25gを添加し、120分間攪拌した後、そのまま以下の本重合に供した。
(2)本重合
図1に示すような、攪拌翼を備えた重合槽と、触媒前処理部を兼ねた重合触媒貯槽とを有する連続気相重合装置を用いて本重合を実施した。以下、該本重合について詳述する。
内容積200リットルの攪拌翼付き重合槽に、前記処理済みの予備重合触媒、トリエチルアルミニウムおよびシクロヘキシルメチルジメトキシシランを供給し、さらにプロピレンおよび水素を供給し、下記条件でホモ重合を行い、プロピレン単独重合体パウダーを得た。
重合温度:90℃
重合槽圧力:2.6MPa(Gauge)
重合速度:30kg/時間
トリエチルアルミニウムの供給速度:120ミリモル/時間
シクロヘキシルメチルジメトキシシランの供給速度:6ミリモル/時間
なお、前記予備重合触媒の供給速度は重合速度が30kg/時間となるように調整した。得られるプロピレン単独重合体パウダーのMFRが7g/10minとなるように、水素
の供給量を調整した。
生成した前記プロピレン単独重合体パウダーをについて上記評価を行った。温度σは、0.20℃、攪拌トルクは44N・mであった。結果を表4に示す。
[比較例6]
実施例8(1)の予備重合触媒の前処理をせずに、予備重合触媒をそのまま使用したことを除き、実施例8と同様に実施した。結果を表4に示す。
Figure 2009292964
重合触媒をポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール化合物で前処理することで重合槽の温度変動を抑える効果があることがわかった。また、攪拌トルクが低下し、攪拌動力を低減できる効果があることがわかった。
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法は、重合体製造時の運転安定性を向上させるとともに、物性の低下などの品質低下を防止できるため、特にプロピレンと他のαオレフィンとのランダム共重合体の製造に好適に採用することができ、工業的に極めて価値がある。
本発明のオレフィン重合体の製造方法に用いられる装置の一例である。
符号の説明
1:重合槽
2:重合槽攪拌翼
3:重合槽粉体部
4:重合槽気相部
5:重合槽モノマー循環配管
6:フイルター
7:圧縮機
8:凝縮器
9:ポンプ
10:モノマー供給配管
11:モノマー供給配管
12:重合体粒子排出配管
13:重合触媒供給配管
14:重合触媒貯槽

Claims (6)

  1. オレフィン重合触媒を用いた連続気相重合によるオレフィン重合体の製造方法において、
    攪拌翼を備えた重合槽と触媒前処理部とを有する連続気相重合装置を用い、
    前記触媒前処理部においてオレフィン重合触媒(X)と下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)とを接触混合した後、当該混合物を前記重合槽へ供給し、
    オレフィンモノマーを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
    Figure 2009292964
    〔一般式(I)中、aおよびcの合計は1〜50を満たす数であり、bは5〜100を満たす数である。〕
  2. 前記重合槽が、縦型重合槽または横型重合槽であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  3. 前記オレフィン重合触媒(X)が、予備重合触媒であることを特徴とする請求項1または2に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  4. 前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系化合物(G)の使用量が、前記オレフィン重合触媒(X)に対して、1〜25重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
  5. 前記オレフィン重合体が、プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
  6. 前記オレフィン重合触媒(X)が、マグネシウム原子、チタン原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
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