JP2009291775A - ヒドラジン含有液の処理装置、及び、ヒドラジン含有液の処理方法 - Google Patents

ヒドラジン含有液の処理装置、及び、ヒドラジン含有液の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ヒドラジン含有液中のヒドラジンを効率良く分解することができるヒドラジン含有液の処理装置、及び、ヒドラジン含有液の処理方法を提供する。
【解決手段】 処理タンク1に収容されたヒドラジン含有廃水L内において微細気泡を発生させる微細気泡発生装置6を備え、微細気泡発生装置6からの微細気泡により廃水L中のヒドラジンを分解処理するヒドラジン含有液の処理装置10である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ヒドラジンを含有する液体を処理するための処理装置、及び、処理方法に関する。
一般的に、産業界では、ヒドラジンを含有する廃水中のヒドラジンを効率良く酸化させて分解処理することが望まれているが、単にヒドラジン含有廃水中に酸素を含有する空気を供給するだけでは、当該廃水中のヒドラジンを十分に分解処理することができなかった。
そこで、従来、ヒドラジン含有廃水を処理する装置として、図3に示す処理装置が知られていた(特許文献1参照)。
このヒドラジン含有廃水の処理装置100は、処理タンク101と、処理タンク101内に配置された触媒102と、処理タンク101にヒドラジン含有廃水L(以下、単に「廃水」という。)を供給する廃水供給ライン105と、処理タンク101から前記廃水Lを排出する廃水排出ライン106と、処理タンク101に空気または酸素を供給する酸素供給ライン107とを備えている。廃水排出ライン106及び廃水供給ライン105は、送出ポンプ109を介して接続されている。酸素供給ライン107の先端部には、処理タンク101に配置された散気ノズル108が設けられている。
このような処理装置100によれば、処理タンク101に廃水Lが収容されている状態で、送出ポンプ109を作動させることにより、処理タンク101から廃水Lを廃水排出ライン106に排出し、該廃水Lを送出ポンプ109により廃水供給ライン105に送出し、廃水供給ライン105から該廃水Lを処理タンク101に供給する。こうして、廃水Lを循環させる。
また、送出ポンプ109の作動と併せて、図示しない酸素発生装置から酸素を酸素供給ライン107に送出し、該酸素を、散気ノズル108を介して処理タンク101に供給する。供給された酸素は、処理タンク101内を上昇してゆく。
このようにすると、処理タンク101内の廃水Lが触媒102に接触しつつ酸素と反応することにより、廃水L中のヒドラジンが酸化分解される。このとき、廃水L中のヒドラジンは、次に示す化学式により酸化して分解処理される。
[数1]
+O→N+2H
特開昭53−91095号公報
しかし、このような処理装置100では、処理タンク101内の廃水L、触媒102、及び、酸素が効率良く接触せず、廃水L中のヒドラジンの酸化分解が効率良く進行しなかった。そのため、ヒドラジンの分解に長時間を要するという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、ヒドラジン含有液中のヒドラジンを効率良く分解することができるヒドラジン含有液の処理装置、及び、ヒドラジン含有液の処理方法の提供を目的とする。
本発明の前記目的は、処理タンクに収容されたヒドラジン含有液内において微細気泡を発生させる微細気泡発生装置を備え、前記微細気泡発生装置からの微細気泡により前記ヒドラジン含有液中のヒドラジンを分解処理するヒドラジン含有液の処理装置により達成される。
また、上記ヒドラジン含有液の処理装置において、前記ヒドラジン含有液を前記処理タンクから排出して再び前記処理タンクに供給する循環ラインを更に備え、前記微細気泡発生装置は、前記循環ラインに接続されており、前記循環ラインには、内部に空気を導入可能な空気孔が形成されていることが好ましい。
また、前記微細気泡は、酸素およびオゾンの少なくとも一方を含有する気体からなることが好ましい。
また、本発明の前記目的は、処理タンクに収容されたヒドラジン含有液内において、微細気泡発生装置により微細気泡を発生させる気泡発生ステップを備え、前記気泡発生ステップにより前記ヒドラジン含有液中のヒドラジンを分解処理するヒドラジン含有液の処理方法により達成される。
また、上記ヒドラジン含有液の処理方法において、前記循環ラインにおける前記ヒドラジン含有液の流量が10L/min〜20L/minであることが好ましい。
また、前記微細気泡の直径が0.5μm〜150μmであることがより好ましい。
従来は、ヒドラジン含有液中に酸素を含有する空気を供給しただけではヒドラジンを十分に分解することができなかったので、ヒドラジン含有液中に触媒を配置した状態でヒドラジンの分解処理を行っていたが、微細気泡発生装置を用いることにより、触媒を用いなくてもヒドラジンを効率良く分解できることを発明者らが見出した。また、酸素ガスによらなくても通常の空気によりヒドラジンを分解できることを見出した。また、高温、高圧の環境ではなくても、常温、常圧の環境でヒドラジンを分解できることを見出した。本発明は、このような知見に基づくものである。
本明細書中の微細気泡とは、その発生時における直径が150μm以下の気泡のことをいう。なお、微細気泡の直径が小さい程、ヒドラジンを分解する効果は大きくなると考えられるため、より大きな分解効果を得ようとする場合は、気泡の直径を50μm以下とすることが好ましい。この微細気泡を構成する気体としては、酸素およびオゾンの少なくとも一方を含有する気体であることが好ましく、例えば、空気や酸素ガスといった酸素を含有する気体や、オゾンガスやオゾンと空気の混合気体といったオゾンを含有する気体が挙げられる。この微細気泡の特徴としては、液中で収縮する、液中での滞留時間が長い、液中での拡散性に優れていることなどがある。
本発明のヒドラジン含有液の処理装置、及び、処理方法によれば、ヒドラジン含有液中のヒドラジンを効率良く分解することができる。
また、酸素ガスによらなくても通常の空気によりヒドラジンを分解することができる。また、高温、高圧の環境ではなくても、常温、常圧の環境でヒドラジンを分解することができる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るヒドラジン含有液の処理装置10(以下、単に「処理装置」という)の概略構成を示す図である。この処理装置10は、図1に示すように、ヒドラジンを含有する廃水Lを収容する処理タンク1と、処理タンク1内に配置された微細気泡発生装置6とを備えている。
処理タンク1は、上部が開放された箱形の金属製の容器からなる。この処理タンク1は、図示しない廃水回収ラインなどにより回収された廃水Lを収容可能に構成されている。
微細気泡発生装置6は、処理タンク1内において図示しない支持台などにより保持されており、廃水L中に浸漬している。また、微細気泡発生装置6は、処理タンク1に収容された廃水Lを循環させる循環ライン5に接続されている。微細気泡発生装置6としては、気液混合状態の流体を導入し、高速旋回流を発生装置の内部に形成し、向心力により中心部に負圧軸が形成され、引き寄せられた流体が周りの旋回流により乱流となって微細な気泡を発生させる公知の装置を用いることができる。
微細気泡発生装置6で発生する微細気泡は、気泡の直径が小さい程、ヒドラジンを分解する効果は大きくなると考えられるが、気泡の直径を小さくするためには装置やエネルギーのコストが大きくなってしまう。そのため、微細気泡発生装置6で発生する微細気泡は、発生時において、直径が0.5μm〜150μmであることが好ましく、10μm〜50μmであることがより好ましい。微細気泡の直径は、例えば、可視化法、光散乱法、及び、電気抵抗法等の公知の測定方法により測定することができる。可視化法では、カメラやマイクロスコープなどで微細気泡を直接撮影することにより、微細気泡の直径を測定することができる。光散乱法では、微細気泡を含む液体中にレーザー光を照射してその散乱光の強度についてミーの散乱理論の関係式を用いることにより、微細気泡の直径を測定することができる。電気抵抗法では、コールターカウンターを用いて微細気泡が通過する際の電気抵抗の変化量から微細気泡の直径を測定することができる。このような測定方法については、例えば、「マイクロバブル・ナノバブルの最新技術 柘植秀樹著 株式会社シーエムシー出版 (2007)」を参照することができる。
循環ライン5には、送出ポンプ2が設置されており、送出ポンプ2の作動により廃水Lを処理タンク1から排出して再び処理タンク1に供給可能に構成されている。循環ライン5中の廃水Lの流量は、微細気泡を効率良く発生させる観点から、10L/min〜20L/minが好ましい。
循環ライン5には、空気孔4が形成されており、循環ライン5中の水流により空気を吸引して、循環ライン5の内部に空気を導入し、空気と廃水Lとを混合すように構成されている。空気孔4の直径は、微細気泡を効率良く発生させる観点から、0.5mm〜1.5mmが好ましい。空気孔4は、送出ポンプ2のサクション側に形成されている。
廃水Lとしては、ヒドラジン濃度が低すぎると、ヒドラジンの処理効率が低下して従来法に対する優位性が小さくなる。したがって、廃水Lとしては、ヒドラジン濃度が300mg/L以上の液体であることが好適である。また、廃水Lのヒドラジン濃度の上限値は特に限定されないが、例えば、30000mg/L以下にすることが可能である。また、微細気泡を効率良く発生させる観点から、廃水Lに添加物を添加することが好ましい。このような添加物としては、例えば、塩化ナトリウムが挙げられる。
次に、以上のように構成された処理装置10を用いて、廃水L中のヒドラジンを分解処理する方法を説明する。
まず、送出ポンプ2を作動させることにより、処理タンク1内の廃水Lを循環ライン5に送出して循環させる。循環ライン5を流れる廃水Lは、空気孔4が形成された部分を通過するとき、外部の酸素を含有する空気を吸引する。廃水Lと空気との混合比は、流量比で、空気:廃水Lが1:1〜1:100であることが好ましい。その後、空気と混ざった廃水Lは、微細気泡発生装置6に導入される。微細気泡発生装置6では、廃水Lを旋回させながら空気と混合することにより微細気泡を発生させる。発生した微細気泡は、廃水Lと共に処理タンク1内に供給され、拡散してゆく。
処理タンク1内の微細気泡は、廃水L中を浮上してゆく過程で廃水Lに溶解し、これにより、廃水L中の溶存酸素(DO)が増加する。そして、廃水L中に溶解した空気に含まれる酸素により、ヒドラジンが酸化され、分解処理されているものと思われる。
このように、本実施形態に係るヒドラジン含有廃水の処理装置10及び処理方法によれば、処理タンク1に収容された廃水L内において微細気泡を発生させる微細気泡発生装置6を備え、微細気泡発生装置6からの微細気泡により廃水L中のヒドラジンを分解処理するので、酸素を含有する空気を微細気泡にして廃水Lに容易に溶解させることができ、これにより、廃水L中のヒドラジンを効率良く酸化分解することができる。特に、廃水中のヒドラジン濃度が高濃度であるときに効率良く分解することができる。また、ヒドラジンの分解を促進する薬品や触媒等を別途用いなくてもよいので、コストを抑えることができる。これは、ヒドラジン濃度が高濃度であるときに、特に効果的である。また、酸素ガスによらなくても通常の空気によりヒドラジンを分解することができる。また、高温、高圧の環境ではなくても、常温、常圧の環境でヒドラジンを分解することができる。
また、微細気泡を構成する気体として酸素ガスやオゾンガスを用いることにより、通常の空気を用いるときと比較して、ヒドラジンをより迅速に分解することができる。
また、廃水Lを処理タンク1から排出して再び処理タンク1に供給する循環ライン5を備えており、微細気泡発生装置6が循環ライン5に接続され、循環ライン5に空気を導入可能な空気孔4が形成されているので、微細気泡を効率良く発生させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、微細気泡発生装置6の構成は特に限定されず、上述した構成の装置の他、液体を回転させることにより旋回する液流を形成し、この液流の旋回中心部に気体を導入することにより液体と気体とを混合した後、気液混合流体の流速を強制的に低下させることにより気体を捩じり切断することにより微細な気泡を発生させる公知の装置を用いることができる。また、微細気泡発生装置6として、例えば、特開2000−447号公報に記載の装置を用いることができる。この装置では、外部の空気を循環ラインにおいて導入せずに、微細気泡発生装置6において導入している。
また、微細気泡発生装置6は、ラインミキサー式の微細気泡発生装置であってもよい。図6は、他の実施形態に係るヒドラジン含有廃水の処理装置の概略構成図である。図6において、図1と同様の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。図6に示すように、処理装置10は、循環ライン5に設置されたラインミキサー式の微細気泡発生装置6を備えている。微細気泡発生装置6は、内部に空気を吸引可能な吸気部60を備えている。吸気部60は、当該吸気部60に空気を供給する空気ライン61に接続されている。空気ライン61には、空気ライン61を開閉する空気バルブ62が設置されており、吸気部60に導入する空気量を調整可能に構成されている。なお、空気ライン61から空気を導入せずに、空気孔4から循環ライン5に空気を導入してもよく、空気ライン61及び空気孔4のいずれか一方、又は、両方から空気を導入することができる。図7は、ラインミキサー式の微細気泡発生装置の断面図である。図7に示すように、この微細気泡発生装置6は、筒状の本体管63と、本体管63の内外を連通させる吸気部60とを備えている。本体管63は、循環ライン5に接続されており、循環ライン5からの廃水Lが内部を流通する。また、本体管63は、廃水Lの流通方向に沿って段階的に縮径しており、流通方向上流側の拡径部64と、下流側の縮径部65とを備えている。本体管63の拡径部64の内壁には、一対の案内羽根66が設置されており、縮径部65の内壁には、複数の切断突起67が設置されている。一対の案内羽根66は、それぞれ半楕円形状に形成されており、本体管63の中心軸対称で、互いに向かい合うように配置されている。また、一対の案内羽根66は、それぞれ傾斜しており、傾斜方向が互いに交差するように配置され、案内羽根66を通過する廃水Lに旋回流が生じるように構成されている。切断突起67は、楕円形状の頭部67aと円筒状の脚部67bを有するキノコ状に形成され、本体管63の周方向及び軸方向に分散して配置されており、切断突起67に衝突する空気を細かく粉砕可能に構成されている。吸気部60は、屈曲したパイプ状に形成され、本体管63の側壁を貫通するように配置されており、一端部が本体管63の外部に位置し、他端部が本体管63の内部に位置するように形成されている。このような構成を備える微細気泡発生装置6として、本実施形態では、株式会社OHR流体工学研究所製 OHRラインミキサーを用いている。
このように構成された処理装置10によれば、微細気泡発生装置6の本体管63に、循環ライン5から廃水Lが導入されると共に、空気ライン61から吸気部60を介して空気が導入される。本体管63に導入された廃水Lは、案内羽根66を通過する過程で旋回流となり、本体管63内を流通する。また、本体管63に導入された空気は、廃水Lの旋回流に混合される。そして、気液混合流体の旋回流が切断突起67に衝突することにより、空気が細かく粉砕され、微細気泡が発生する。その後、廃水Lが循環ライン5により処理タンク1に搬送され、処理タンク1に収容された廃水L内において微細気泡が発生する。
このような構成によれば、微細気泡発生装置6に空気ライン61から多量の空気を供給することができるので、微細気泡を多量に発生させることができる。これにより、ヒドラジンをより効率良く分解処理することができる。また、微細気泡発生装置6に導入する空気の量を調整し、循環ライン5中の廃水Lの流量と、空気の流量との比(気液比)を調整することにより、ヒドラジンの分解処理の速度を調整することができる。
また、微細気泡発生装置6は、多孔質フィルムから形成されていてもよい。この多孔質フィルムは、多数の微小な繊維(フィブリル)が多孔質フィルムの幅方向に平行に配置され、隣接する繊維間のすき間に孔(ボイド)が形成さたものであり、空気が多孔質フィルムを通過することにより微細気泡が発生するように構成されている。このような多孔質フィルムとして、株式会社ナック製 モノトランフィルムを用いることができる。
また、上記実施形態では、循環ライン5により廃水Lを循環させる構成であったが、廃水L中のヒドラジンを分解可能であればこの構成に限定されず、廃水Lを処理タンク1内に貯留したまま、循環させなくてもよい。
図8は、さらに他の実施形態に係るヒドラジン含有廃水の処理装置の概略構成図である。図8において、図1と同様の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。図8に示すように、微細気泡発生装置6は、上述の多孔質フィルムをロール状に巻くことにより形成された筒状体からなる。この微細気泡発生装置6として、本実施形態では、株式会社ナック製 Foamest コラムタイプを用いている。微細気泡発生装置6には、空気を供給する空気ライン16が接続されている。空気ライン16には、空気ライン16に圧縮空気を供給するための空気供給装置15が設置されている。この実施形態では、廃水Lを循環させていない。
このように構成された処理装置10によれば、空気供給装置15から供給された圧縮空気が空気ライン16を介して微細気泡発生装置6に導入される。そして、空気が多孔質フィルムを通過することにより微細気泡が発生し、この微細気泡が処理タンク1内に供給される。
この構成によれば、処理装置10全体を簡素な構造にすることができるので、コストを低くすることができる。
また、上記実施形態では、処理対象がヒドラジン含有廃水であったが、これについては、ヒドラジンを含有する液であれば必ずしも廃水である必要はない。例えば、本発明によれば、水に含まれるヒドラジンを分解処理することができる。
また、ヒドラジン濃度が300mg/L未満の廃水Lにおいては、ヒドラジンの分解速度を速める観点から、微細気泡を構成する気体として、オゾンを用いることが好ましい。
また、上記実施形態では、循環ライン5に空気孔4を形成していたが、循環ライン5に空気を導入可能であればこの構成は特に限定されず、図4に示すように、循環ライン5から外部に突出する細管14を設けてもよい。(図4において、図1と同様の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。)このような構成によれば、空気を導入する部分の目詰まりが発生しにくく、循環ライン5に空気を確実に導入することができるので、微細気泡をより安定的に発生させることができる。また、細管14に図示しない酸素発生装置を接続することにより、酸素を循環ライン5に確実に導入することができる。また、細管14に流量調整バルブや流量計を設置することにより、循環ライン5に導入される空気の量を調整することができる。これにより、循環ライン5中の廃水Lの流量と、空気の流量との比(気液比)を調整することができる。
また、空気孔4に図示しない針を接続し、この針にチューブを接続し、チューブ及び針を介して、空気孔4から循環ライン5に空気を導入してもよい。また、チューブ内の空気の流量を調整する流量調整バルブ及び流量計を設置してもよい。これにより、循環ライン5内の気液比を調整することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明が本実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1として、図1に示す処理装置10を用い、廃水L中のヒドラジンを分解処理した。
また、比較例1として、図3に示す処理装置100を用い、廃水L中のヒドラジンを分解処理した。
処理する廃水Lの量は、5Lとし、その温度は、30℃とした。廃水Lを循環ライン5に循環させ、バッチ式の処理とした。処理時間は4時間とした。また、循環ライン5中の廃水Lの流量は、14L/minとした。廃水Lのヒドラジン濃度は8,370mg/Lとした。また、実施例1では、空気孔4から循環ライン5に空気を導入した。
比較例1においても実施例1と同様の廃水Lを用いた。比較例1におけるヒドラジン濃度は、10,300mg/Lとした。また、比較例1では、酸素供給ライン107を介して処理タンク101内に酸素ガス(酸素濃度99%)を供給した。
以上の条件により、廃水L中のヒドラジンの分解処理を行い、時間経過に伴う廃水L中のヒドラジン濃度を測定した。図2は、実験結果を示す図である。
図2に示すように、実施例1では、ヒドラジン濃度が2,470mg/Lまで減少した。ヒドラジンの減少速度(単位時間当りにおける、廃水L中のヒドラジンの減少量)が、7,040mg/hであった。また、比較例1では、ヒドラジンの減少速度が、2,490mg/hであった。実施例1では、比較例1に対して、時間経過に伴う廃水L中のヒドラジン濃度の低下量(ヒドラジンの減少量)が大きかった。
[実施例2]
廃水Lのヒドラジン濃度を20,100mg/Lとして、実施例1と同様の分解処理を行い、時間経過に伴う廃水L中のヒドラジン濃度を測定した。図5は、実験結果を示す図である。
図5に示すように、実施例2では、ヒドラジン濃度が20,100mg/Lから304mg/Lまで減少するのに20時間を要した。また、ヒドラジン濃度が304mg/Lから86.9mg/Lまで減少するのに4時間を要した。
[実施例3]
実施例3(3−1及び3−2)として、図1に示す処理装置10を用い、廃水L中のヒドラジンを分解処理した。
処理する廃水Lの量は、5Lとし、その温度は、30℃とした。廃水Lを循環ライン5に循環させ、バッチ式の処理とした。処理時間は12時間とした。また、循環ライン5中の廃水Lの流量は、14L/minとした。
廃水Lの初期のヒドラジン濃度は、実施例3−1では、27,800mg/Lであり、実施例3−2では、29,800mg/Lであった。また、循環ライン5に導入する空気の流量を、実施例3−1では、1.4L/minとし、実施例3−2では、3.25L/minとした。したがって、循環ライン5中の空気の流量と廃水Lの流量との比(気液比)は、実施例3−1では、1:10であり、実施例3−2では、1:4.3である。
以上の条件により、廃水L中のヒドラジンの分解処理を行い、時間経過に伴う廃水L中のヒドラジン濃度を測定した。図9は、実験結果を示す図である。
図9に示すように、実施例3−1では、ヒドラジンの減少速度(単位時間当りにおける、廃水L中のヒドラジンの減少量)が、7,380mg/hであった。また、実施例3−2では、ヒドラジンの減少速度が、8,040mg/hであった。
[実施例4]
実施例4(4−1及び4−2)として、図6に示す処理装置10を用い、廃水L中のヒドラジンを分解処理した。
処理する廃水Lの量は、5Lとし、その温度は、30℃とした。廃水Lを循環ライン5に循環させ、バッチ式の処理とした。処理時間は12時間とした。また、循環ライン5中の廃水Lの流量は、13L/minとした。
廃水Lの初期のヒドラジン濃度は、実施例4−1では、27,400mg/Lであり、実施例4−2では、27,100mg/Lであった。また、循環ライン5に導入する空気の流量を、実施例4−1では、1.3L/minとし、実施例4−2では、3.5L/minとした。したがって、循環ライン5中の空気の流量と廃水Lの流量との比(気液比)は、実施例4−1では、1:10であり、実施例4−2では、1:3.7である。
以上の条件により、廃水L中のヒドラジンの分解処理を行い、時間経過に伴う廃水L中のヒドラジン濃度を測定した。図10は、実験結果を示す図である。
図10に示すように、実施例4−1では、ヒドラジンの減少速度(単位時間当りにおける、廃水L中のヒドラジンの減少量)が、7,440mg/hであった。また、実施例4−2では、ヒドラジンの減少速度が、10,100mg/hであった。実施例4−2では、実施例4−1に比べて空気の流量を多くしたことにより、ヒドラジンの減少速度が速かった。
また、実施例2〜4より、ヒドラジン濃度が300mg/L〜30,000mg/Lの範囲において、ヒドラジンの分解効率が高いことを確認した。
[実施例5]
実施例5として、図8に示す処理装置10を用い、廃水L中のヒドラジンを分解処理した。
また、比較例2として、図3に示す従来の処理装置100において、触媒102を備えていない装置(すなわち、処理タンク101内に触媒102が配置されていない処理装置)を用い、廃水L中のヒドラジンを分解処理した。
処理する廃水Lの量は、9Lとし、その温度は、30℃とした。廃水Lを処理タンク1に収容すると共に、空気供給装置15から空気を連続供給して処理を行った。処理時間は8時間とした。廃水Lの初期のヒドラジン濃度は15,200mg/Lとした。また、供給する空気の流量は1.1L/minとした。また、実施例5では、微細気泡発生装置6により発生する微細気泡の平均気泡径は、0.03mm(30μm)であった。
比較例2においても実施例1と同様の廃水Lを用いた。比較例2における初期のヒドラジン濃度は、15,000mg/Lとした。比較例2において廃水Lに供給する空気の流量は実施例5と同じ1.1L/minとした。また、散気ノズル108を介して処理タンク101内に供給される酸素の平均気泡径は、3mm(3,000μm)であった。
以上の条件により、廃水L中のヒドラジンの分解処理を行い、時間経過に伴う廃水L中のヒドラジン濃度を測定した。図11は、実験結果を示す図である。
図11に示すように、実施例5では、ヒドラジンの減少速度(単位時間当りにおける、廃水L中のヒドラジンの減少量)が、1,800mg/hであった。また、比較例2では、ヒドラジンの減少速度が、0mg/hであった。実施例5では、比較例2に対して、時間経過に伴う廃水L中のヒドラジン濃度の低下量(ヒドラジンの減少量)が大きかった。
本発明の一実施形態に係るヒドラジン含有廃水の処理装置の概略構成を示す図である。 実施例1の実験結果を示す図である。 従来のヒドラジン含有廃水の処理装置の概略構成を示す図である。 他の実施形態に係るヒドラジン含有廃水の処理装置の概略構成を示す図である。 実施例2の実験結果を示す図である。 更に他の実施形態に係るヒドラジン含有廃水の処理装置の概略構成を示す図である。 ラインミキサー式の微細気泡発生装置の断面図である。 更に他の実施形態に係るヒドラジン含有廃水の処理装置の概略構成を示す図である。 実施例3の実験結果を示す図である。 実施例4の実験結果を示す図である。 実施例5の実験結果を示す図である。
符号の説明
L ヒドラジン含有廃水
1 処理タンク
2 送出ポンプ
4 空気孔
5 循環ライン
6 微細気泡発生装置
10 ヒドラジン含有廃水の処理装置
14 細管

Claims (4)

  1. 処理タンクに収容されたヒドラジン含有液内において微細気泡を発生させる微細気泡発生装置を備え、
    前記微細気泡発生装置からの微細気泡により前記ヒドラジン含有液中のヒドラジンを分解処理するヒドラジン含有液の処理装置。
  2. 前記ヒドラジン含有液を前記処理タンクから排出して再び前記処理タンクに供給する循環ラインを更に備え、
    前記微細気泡発生装置は、前記循環ラインに接続されており、
    前記循環ラインには、内部に空気を導入可能な空気孔が形成されている請求項1に記載のヒドラジン含有液の処理装置。
  3. 処理タンクに収容されたヒドラジン含有液内において、微細気泡発生装置により微細気泡を発生させる気泡発生ステップを備え、
    前記気泡発生ステップにより前記ヒドラジン含有液中のヒドラジンを分解処理するヒドラジン含有液の処理方法。
  4. 前記微細気泡の直径が0.5μm〜150μmである請求項3に記載のヒドラジン含有液の処理方法。
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