JP2009290907A - ノイズフィルタ - Google Patents

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Abstract


【課題】 コモンモードノイズを低減するためのコンデンサを3個接続する必要があり、ノイズフィルタの小型化が困難である。
【解決手段】 3相交流の各相間にそれぞれ1個配置された3個の線間コンデンサ3A、3B、3Cと、接地と1相の間に配置された線間コンデンサ3A、3B、3Cよりも容量が小さい1個のコンデンサ3Dとを備えた。
【選択図】 図8

Description

この発明は、電力系統と電力機器の間に接続され、電力系統にノイズが伝導することを防止するノイズフィルタに関するものである。
従来のノイズフィルタでは、3相に120度ずつ異なる位相の電流が流れる3個のノーマルモード用のコア(鉄心)と、3相に同位相の電流が流れる1個のコモンモード用のコアとを備え、各相ごとに巻線を位置合せしたノーマルモード用のコアとコモンモード用のコアに共通に巻いて、ノーマルモード用とコモンモード用のチョークコイルを一体化する構成としていた。(例えば、特許文献1を参照。)
他の従来のノイズフィルタでは、ノーマルモードのノイズを3個のノーマルモード用チョークコイルと3個の線間コンデンサにより低減し、コモンモードのノイズを1個のコモンモード用チョークコイルと接地と各相の間に配置された3個のコンデンサにより低減している。
(例えば、特許文献2を参照。)
特開2002−252127号公報。 特開2001−65463号公報。
特許文献1では、コイルの巻き回し時にノーマルモード用コアとコモンモード用コアの2つを位置合せしてから共通に巻く必要があり、製作方法が複雑である。ノーマルモード用とコモンモード用のチョークコイルを別にすると、チョークコイルにスペースを取りノイズフィルタの小型化が困難である。
またコモンモードノイズを低減するためのコンデンサを3個接続する必要があり、ノイズフィルタの小型化が困難である。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、電力機器が発生するノイズが電力系統に伝導することを防止する小型のノイズフィルタを得ることを目的とするものである。
この発明に係るノイズフィルタは、3相交流の各相間にそれぞれ1個配置された3個の線間コンデンサと、接地と1相の間に配置された前記線間コンデンサよりも容量が小さい1個のコンデンサとを備えたものである。
この発明に係るノイズフィルタは、3相交流の各相間にそれぞれ1個配置された3個の線間コンデンサと、接地と1相の間に配置された前記線間コンデンサよりも容量が小さい1個のコンデンサとを備えたものなので、ノイズフィルタを小型化できるという効果が有る。
この発明の実施の形態1〜3でのノイズフィルタを示す図である。 この発明の実施の形態1でのチョークコイルの構造を説明する正面図である。 この発明の実施の形態1でのチョークコイルの磁気回路の等価回路を説明する図である。 この発明の実施の形態1でのチョークコイルの磁気回路の1例を説明する図である。 この発明の実施の形態2でのチョークコイルの構造を説明する正面図である。 この発明の実施の形態2でのチョークコイルの磁気回路の1例を説明する図である。 この発明の実施の形態3での鉄心と継鉄の構造を説明する斜視図である。 この発明の実施の形態4でのノイズフィルタを示す図である。 この発明の実施の形態4でのコモンモードのノイズ電流の流れ方を説明する図である。 この発明の実施の形態5でのノイズフィルタを示す図である。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるノイズフィルタを示す図であり、電力機器の1例である電力変換装置1と電力系統2の間に、ノイズフィルタ3が設置されている。なお、電力変換装置1以外の電力機器に対しても、このノイズフィルタ3は適用できる。
ノイズフィルタ3は、同じ容量の3個の線間コンデンサ3A、3B、3Cと、チョークコイル4とから構成される。図1では、チョークコイル4は、ノーマルモード用(正相用)のインダクタンス4Aとコモンモード用(零相用)のインダクタンス4Bとを別に表示する。ここで、以下の変数を定義する。
L1:ノーマルモード用(正相用)のインダクタンス4Aのインダクタンス値。
L0:コモンモード用(零相用)のインダクタンス4Bのインダクタンス値。
図2は、チョークコイル4の構造を説明する正面図である。3相3脚の鉄心5が、3個の脚部5A、5B、5Cと脚部の上端と下端をそれぞれつなぐ2個の連結部5D、5Eとにより構成される。鉄心5は、例えばケイ素鋼板製とする。連結部5Dと連結部5Eは図における右側に延びた部分を有し、この部分の間に例えばフェライトコア製の継鉄6を設ける。鉄心5と継鉄6は所定の厚さが有る。
フェライトコアは、50Hzまたは60Hzの商用周波数ではケイ素鋼板よりも透磁率が小さいが、例えば100kHz以上の高周波領域まで透磁率が維持され、高周波領域ではケイ素鋼板よりも透磁率が大きくなる。また、フェライトコアの方がケイ素鋼板よりも損失が少ない。ケイ素鋼板は商用周波数での透磁率が大きく、商用周波数に対して所定のインダクタンスを発生させるために必要なコイルの巻数を、他の磁性材料を使用した場合よりも小さくできる。
3個の脚部5A、5B、5Cには、それぞれ巻線であるコイル7A、7B、7Cを巻く。コイル7A、7B、7Cには、電力変換装置1と電力系統2との間を流れるR相、S相、T相の電流がそれぞれ流れる。電力変換装置1が主に発生する電流はノーマルモード(正相)の3相交流であり、R相、S相、T相の和がゼロとなるように流れる。ノーマルモード電流によりチョークコイル4で発生する磁束は3相3脚の鉄心5の中でほぼバランスし、継鉄6には磁束はほとんど発生しない。
一般に電力変換装置1を構成するトランジスタ等の高速なスイッチング動作により、R相、S相、T相の和がゼロにならない高周波のコモンモード電流(零相電流)が発生する。コモンモード電流による磁束は、3相3脚の鉄心5だけでなく、継鉄6も通る。
図2に示す構造のチョークコイル4のインダクタンス値を計算する。そのために、以下の変数を定義する。
まず、磁束と磁束を発生させる電流を表現する変数として以下を定義する。
φr:脚部5Aを通る磁束。
φs:脚部5Bを通る磁束。
φt:脚部5Cを通る磁束。
Ir:脚部5Aに巻くコイル7Aに流れる電流。
Is:脚部5Bに巻くコイル7Bに流れる電流。
It:脚部5Cに巻くコイル7Cに流れる電流。
インダクタンス値として以下を定義する。
Lrr:Irとφrの間の比例係数。自己インダクタンス。
Lss:Isとφsの間の比例係数。自己インダクタンス。
Ltt:Itとφtの間の比例係数。自己インダクタンス。
Msr:Irとφsの間の比例係数。相互インダクタンス。
Mtr:Irとφtの間の比例係数。相互インダクタンス。
Mrs:Isとφrの間の比例係数。相互インダクタンス。
Mts:Isとφtの間の比例係数。相互インダクタンス。
Mrt:Itとφrの間の比例係数。相互インダクタンス。
Mst:Itとφsの間の比例係数。相互インダクタンス。
これらの間には、以下の関係式が成立する。
φr= Lrr*Ir−Mrs*Is−Mrt*It (1)
φs=−Msr*Ir+Lss*Is−Mst*It (2)
φt=−Mtr*Ir−Mts*Is+Ltt*It (3)
R相、S相、T相が対称である方が望ましいので、以下が成立することが望ましい。
Lrr=Lss=Ltt (4)
Mrs=Mrt=Msr=Mst=Mtr=Mts (5)
(4)式と(5)式が成立する条件を以下で求める。
図2に示す構造のチョークコイル4の磁気回路は、その等価回路を図3のように表現できる。磁気抵抗を抵抗の記号で表現し、起磁力を交流電源の記号で表現する。起磁力の大きさは図2には示さないが、コイルに流れる電流とコイルの巻数の積が起磁力になる。ここに、変数は以下の意味とする。
Rr :脚部5A及び脚部5Bまでの連結部5Dと連結部5Eの磁気抵抗。
Rs :脚部5Bの磁気抵抗。
Rst:脚部5Bと脚部5Cの間の連結部5Dと連結部5Eの磁気抵抗。
Rt :脚部5Cの磁気抵抗。
Rt0:継鉄6及び脚部5Cよりも継鉄6側の連結部5Dと連結部5Eの磁気抵抗。
N :コイル7A、7B、7Cの巻数。
図3の等価回路から計算できる合成磁気抵抗を、以下の変数で表現する。
Rrr:コイル7Aによる起磁力に対する合成磁気抵抗。
Rss:コイル7Bによる起磁力に対する合成磁気抵抗。
Rtt:コイル7Cによる起磁力に対する合成磁気抵抗。
自己インダクタンスと合成磁気抵抗との間には、以下の関係が有る。
Lrr=N/Rrr (6)
Lss=N/Rss (7)
Ltt=N/Rtt (8)
詳細は省略するが、Rst≠0の場合には、相互インダクタンスの値をすべて同じにするという(5)式を満足させることはできない。そこで、(4)式が成立し、相互インダクタンスができるだけ同じになるような磁気回路の構成を求める。そのような構成の例として、図4がある。図4では、磁気抵抗をRrに対する比で表現している。図4の構成では、R相、S相、T相の磁気抵抗Rr、Rs、Rtをすべて同じ値にし、継鉄6の部分の磁気抵抗もRrと同じ値としている。連結部5D,5Eの磁気抵抗のRrに対する比は、以下のαで表現する。
α=Rst/Rr (9)
図4では、自己インダクタンスおよび相互インダクタンスは以下のようになる。
Lrr=Lss=Ltt=4*((1+α)/(3+2*α))*(N/Rr) (10)
Mrs=Msr=((1+2*α)/(3+2*α))*Lrr (11)
Mrt=Mtr=Mst=Mts=(1/(3+2*α))*Lrr (12)
これより、図4の磁気回路でのチョークコイル4のL1とL0は以下となる。なお、厳密にはα≠0なので、ノーマルモードの電流に対してコモンモードの磁束が僅かに発生し、コモンモードの電流に対してノーマルモードの磁束が僅かに発生するが、それらは無視する。それらの成分が小さく、かつノイズフィルタ3のインダクタンス値がそれほど大きくないので、それらを無視しても問題はない。
L1=(4/3)*Lrr (13)
L0=(1/3)*Lrr (14)
継鉄6が存在しない3相3脚鉄心の場合には、3相3脚鉄心による磁路だけを考慮した場合のL1とL0は以下のようになる。
L1=(3/2)*Lrr (15)
L0=0 (16)
なお、継鉄6が存在しない場合でも漏れ磁束分があるためL0はゼロにはならないが、継鉄6が存在しない場合にはL0はL1よりも格段に小さな値になる。このように、継鉄6を設けることにより、コモンモード用のリアクタンスをノーマルモード用のリアクタンスと同程度の大きさにすることができる。
さて、動作を説明する。チョークコイル4ではノーマルモード用とコモンモード用の両方に対して所定のインダクタンス値が確保できているので、電力変換装置1でノイズが発生しても、チョークコイル4により電力系統2の側にノイズの影響を所定のレベル以下に低減できる。コモンモードの電流が流れようとしても、チョークコイルのコモンモード用のインダクタンス値が所定値以上なので、コモンモード電流を所定値以下に低減できる。ノーマルモードのインダクタンス値も所定値以上なので、ノイズフィルタ3の両端の電圧差により発生する電流の変動幅を所定値以下に抑えることができ、ノーマルモードのノイズ電流も流れにくくなる。
3相3脚鉄心に継鉄を追加するという簡単な構造で、製造方法を複雑化することなく、ノーマルモードとコモンモードの両方に対して所定のインダクタンス値が確保できるチョークコイル4が実現できる。ノーマルモード用とコモンモード用とで鉄心を共有できるので、ノイズフィルタ3の小型化を実現できる。
高周波領域まで透磁率が維持され損失が少ないフェライトコアにより継鉄を製作しているので、継鉄をケイ素鋼板で製作する場合よりもノイズ低減効果が大きい。
フェライトコアでなくても、高周波領域まで透磁率が維持できる材料であればどのような材料を使用してもよい。損失が少ない材料の方が望ましい。
鉄心の脚部を直線状としたが、曲線や折れ曲がった線のような形状でもよい。図2における上下の水平な部分にコイルを巻くなどしてもよい。その場合には、コイルを巻いた部分は脚部であり連結部ではない。
鉄心の連結部の横に伸ばした部分を継鉄でつないだが、鉄心の構造は従来のままで、継鉄を「コ」の字状にしてもよい。
コイルの巻数を各相で同じとしたが、相によりコイルの巻数を変えてもよい。
以上のことは、他の実施の形態でもあてはまる。
実施の形態2.
この実施の形態2は、チョークコイル4の構造を変更した場合である。図5に、実施の形態2でのチョークコイル4の構造を説明する正面図を示す。実施の形態1では、鉄心5の連結部5Dと連結部5Eの片端を継鉄6がつないだのに対して、鉄心5全体を取り囲むように継鉄6を配置している。なお、ノイズフィルタ3の構成は、実施の形態1と同じ図1である。
この実施の形態2における磁気回路の等価回路を図6に示す。なお、図6では脚部5Aの磁気抵抗に対する比で磁気抵抗の大きさを表現する。
この実施の形態2でも、(5)式を満足させることはできない。
まず、図6で大きさβの磁気抵抗が接続する端子から大きさαの磁気抵抗の側を見た合成磁気抵抗として、以下を定義する。
Δ=α+γ/(1+γ) (17)
すると、Mrs=Msr=Mst=Mtsが成立する条件は、以下のようになる。
(γ/(γ+α+β*Δ/(β+Δ)))*(Δ/(β+Δ))
=(1/2)*(γ/(1+γ)) (18)
(18)式を変形して、以下となる。
β=(Δ*(2+γ−α))/(α+γ+Δ) (19)
(19)式が成立すると、自動的に(4)式も成立して、以下となる。
Lrr=Lss=Ltt=(Δ*(4+3*γ−α+Δ))/(2*(α+γ+Δ)) (20) 相互インダクタンスは、以下のようになる。
Mrs=Msr=Mst=Mts=(1/2)*(γ/(1+γ))*Lrr (21) Mrt=Mtr
=(1/2)*((γ+(2−α)*γ)/(γ+2*(1+α)*γ+2*α))
*(γ/(1+γ))*Lrr (22)
相互インダクタンスの平均値をεとすると、以下となる。
ε=((γ+(2+α)*γ+(4/3)*α)/(γ+2*(1+α)*γ+2*α))
*(1/2)*(γ/(1+γ)) (23)
このεを用いると、図6の磁気回路でのチョークコイル4のL1とL0は以下となる。
L1=(1+ε)*Lrr (24)
L0=(1−2*ε)*Lrr (25)
(23)式より、γを調整することにより、相互インダクタンスの平均値εを0から1/2の間で調整できることが分かる。
この実施の形態でも、3相3脚の鉄心に継鉄を追加するだけで、ノーマルモードとコモンモードの両方に対して所定のインダクタンス値が確保できるチョークコイル4が実現できる。ノーマルモード用とコモンモード用とで鉄心を共有できるので、ノイズフィルタ3の小型化を実現できる。
この実施の形態では、3相3脚の鉄心を囲むように継鉄を設けるので、継鉄による磁気シールド効果が発生して、チョークコイルが外界に発生する漏洩磁束を低減できる。
この実施の形態では、3相3脚鉄心の連結部をつなぐ継鉄の磁気抵抗を調整することにより、チョークコイルのインダクタンス値の調整がしやすという効果が有る。
実施の形態3.
この実施の形態3は、3相3脚の鉄心の一部にもフェライトコアを使用するように実施の形態1を変更した場合である。図7に、実施の形態3での鉄心と継鉄の構造を説明する斜視図を示す。図7では、フェライトコアの部分にハッチングを施す。なお、ノイズフィルタ3の構成は、実施の形態1と同じ図1である。
鉄心5の図における前面と後面について全面の所定の厚さは第2の材料であるフェライトコアとし、その他の部分を第1の材料であるケイ素鋼板にする。その他の構造は、実施の形態1と同じである。
この実施の形態3でも、実施の形態1と同様な効果が有る。
さらに、この実施の形態3では、高周波領域でもノーマルモードとコモンモードのインダクタンスを所定の大きさにできるという効果が有る。その理由は、図7の構造のチョークコイル4では、フェライトコアだけによるノーマルモードとコモンモードの両方の磁路が構成できるからである。
鉄心5にケイ素鋼板も使用しているので、商用周波数でのインダクタンス値を所定の値に確保するために、コイルの巻数をそれほど大きくしなくてもよいという効果が有る。
ケイ素鋼板とフェライトコア以外でも、商用周波数での透磁率が所定値以上の第1の材料と、高周波領域での透磁率が第1の材料よりも大きい第2の材料を組合せて鉄心を構成すれば同様の効果が有る。継鉄を第2の材料だけとしたが、第1の材料など他の材料も使用してもよい。また、鉄心に第1の材料と第2の材料以外の材料も使用してもよい。
鉄心を第2の材料で第1の材料を挟む構造としたが、第1の材料で第2の材料を挟んだり、それぞれ1個の第1の材料と第2の材料を重ねたり、4層以上に第1の材料と第2の材料を交互に重ね合わせたりしてもよい。
第2の材料によるコモンモードの磁路が構成できれば、ノーマルモードの磁路は必ずしも構成できなくてもよい。その場合も、高周波のコモンモードのノイズを除去できる。第2の材料だけからなるコモンモードの磁路を構成するためには、鉄心の少なくとも1個の脚部とこの脚部と継鉄との間の部分の連結部とが第2の材料の部分を有し、継鉄にも第2の材料の部分を持たせ、これらの第2の材料の部分が互いに接触することが必要である。
鉄心と継鉄の構造は、この実施の形態の構造に限定されるものではなく、鉄心だけでノーマルモードの磁路が構成でき、鉄心と継鉄とによりコモンモードの磁路が構成できれば、どのような構成でもよい。
以上のことは、他の実施の形態にもあてはまる。
実施の形態4.
図8は、この実施の形態4によるノイズフィルタを示す図である。ノイズフィルタ3が電力変換装置1と電力系統2の間に配置される。ノイズフィルタ3は、同じ容量Cnの3個の線間コンデンサ3A、3B、3Cと、T相と接地の間に設けられたコモンモード用コンデンサ3Dと、ノーマルモード用のチョークコイル3Eと、コモンモード用のチョークコイル3Fとから構成される。コモンモード用コンデンサ3Dの容量Ccは、Cnの100分の1程度以下とする。
この実施の形態では、コモンモード用コンデンサ3Dは1個だが、各相にCc/3の容量のコンデンサを設置した場合とほぼ同様に動作する。また、ノーマルモード用のコンデンサは、それぞれ線間毎に接続されたCcのみなので、コモンモード用コンデンサ3Dがあってもノーマルモード用の静電容量は変化しない。
この実施の形態が各相と接地との間にCc/3の容量のコンデンサを設けた場合とほぼ同様に動作することについて説明する。まず、以下の変数を定義する。定義済みの変数の説明も合わせて書く。
Ic:コモンモードのノイズ電流。
ω :コモンモードのノイズの周波数。
Cc:コモンモード用コンデンサ3Dの容量。
Cn:線間コンデンサ3A、3B、3Cの容量。
Vr:Icにより誘起されるR相のノイズ電圧。
Vs:Icにより誘起されるS相のノイズ電圧。
Vt:Icにより誘起されるT相のノイズ電圧。
コモンモードのノイズ電流は、図9に示すように流れる。したがって、以下が成立する。なお、「j」は虚数を表す記号である。
Vt=Ic/(j*ω*(Cc/3)) (26)
Vr−Vt=Vs−Vt=Ic/(j*ω*Cn) (27)
(26)式を(27)式に代入して、以下となる。
Vr=Vs=(Ic/(j*ω))*(1/(Cc/3)+1/Cn) (28)
CcはCnの100分の1程度以下なので、(28)式において1/Cnの項は無視できて、VrとVsはVtとほぼ等しくなる。各相と接地の間にCc/3の容量のコンデンサを設けた場合との違いは接地との間にコンデンサを設けなかったR相とS相の電圧だけであり、R相とS相の電圧はT相の電圧とほぼ等しいので、各相と接地との間にCc/3の容量のコンデンサを設けた場合とほぼ同様に動作するといえる。
コモンモード用コンデンサ3Dにより、電力変換装置1が発生するコモンモード電流が電力系統2に流れ出ることを低減できる。
この実施の形態ではコモンモード用のコンデンサは1個なので、部品数を低減できる。また、ノイズフィルタの小型化が可能である。
実施の形態5.
この実施の形態5は、実施の形態1〜3の何れかに実施の形態4の特徴を付加した実施の形態である。この実施の形態4によるノイズフィルタを示す図を、図10に示す。実施の形態1〜3での構成である図1と比較して、T相と接地との間に設けられたコモンモード用コンデンサ3Dが追加されている。
この実施の形態でも、3相3脚の鉄心に継鉄を追加するだけで、ノーマルモードとコモンモードの両方に対して所定のインダクタンス値が確保できるチョークコイルが実現できる。ノーマルモード用とコモンモード用とで鉄心を共有できるので、ノイズフィルタの小型化を実現できる。また、コモンモード用のコンデンサは1個なので、部品数を低減でき、ノイズフィルタの小型化が可能である。
1 :電力変換装置
2 :電力系統
3 :ノイズフィルタ
3A:線間コンデンサ
3B:線間コンデンサ
3C:線間コンデンサ
3D:コモンモード用コンデンサ
3E:ノーマルモード用チョークコイル
3F:コモンモード用チョークコイル
4 :チョークコイル
4A:ノーマルモード用のインダクタンス
4B:コモンモード用のインダクタンス
5 :鉄心
5A:脚部
5B:脚部
5C:脚部
5D:連結部
5E:連結部
6 :継鉄
7A:コイル(巻線)
7B:コイル(巻線)
7C:コイル(巻線)

Claims (2)

  1. 3相交流の各相間にそれぞれ1個配置された3個の線間コンデンサと、接地と1相の間に配置された前記線間コンデンサよりも容量が小さい1個のコンデンサとを備えたノイズフィルタ。
  2. 前記線間コンデンサの電力系統側に接続されたチョークコイルを備えたことを特徴とする請求項1に記載のノイズフィルタ。
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