JP2009289907A - 面発光型半導体レーザ - Google Patents

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Abstract

【課題】AlGaAs層を含むDBRにおけるAlの拡散を抑え、発光強度の低下を抑制できる面発光型半導体レーザを提供する。
【解決手段】面発光型半導体レーザ100は、n型GaAs基板1上に設けられた下部DBR部3と、下部DBR部3上に設けられた上部DBR部7と、下部DBR部3と上部DBR部7との間に設けられた活性層5とを備える。下部DBR部3は、n型AlXGa1-XAs(0<X≦1)からなる第1の層19と、n型AlYGa1-YAs(0≦Y<1、Y<X)からなる第2の層21とを有し、第1の層19における炭素濃度が3×1015[cm-3]以上1×1018[cm-3]以下となっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、面発光型半導体レーザに関する。
面発光型半導体レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)は、基板面に対して垂直な方向にレーザ光を放出する半導体レーザである。面発光型半導体レーザは、基板面に沿った方向にレーザ発振させる従来の端面発光型半導体レーザと比較して、共振器の長さを短くできるので消費電力を大幅に低減できるという極めて有利な特徴を有する。また、半導体レーザを生産する際には、一つのウェハに作り込まれた複数のチップの発光特性を検査する必要がある。端面発光型半導体レーザではウェハを切断して各チップを分離させた後でなければ発光特性を検査できないが、面発光型半導体レーザでは各チップを分離させる前の段階において発光特性を検査することが可能なので、一つのウェハから生産される複数のチップの発光特性の検査を効率よく行うことができる。
例えば、非特許文献1に記載された面発光型半導体レーザは、GaAs基板上に設けられた多層膜からなる第1の分布ブラッグリフレクタ(DBR:Distributed Bragg Reflector)と、この第1のDBR上に設けられた量子井戸構造を含む活性領域と、該活性領域上に設けられた第2のDBRとを含む。この文献には、Al酸化膜による電流狭窄方法を工夫して寄生容量を低減し、より高速な動作を可能とする技術が記載されている。
また、非特許文献2には、n型GaAs基板上に設けられたn型のAl0.9Ga0.1As/Al0.1Ga0.9As多層膜からなる第1のDBRと、この第1のDBR上に設けられた量子井戸構造を含む活性領域と、該活性領域上に設けられたp型のAl0.9Ga0.1As/Al0.1Ga0.9As多層膜からなる第2のDBRとを含む面発光型半導体レーザが記載されている。この文献には、第2のDBRにおけるp型不純物濃度を低減することにより該DBRにおける光の吸収作用を低減し、出射光量をより多くする技術が記載されている。
また、特許文献1には、n型GaAs基板上に設けられたn型のAl0.2Ga0.8As/Al0.9Ga0.1As多層膜からなる第1のDBRと、この第1のDBR上に設けられた量子井戸構造を含む活性領域と、該活性領域上に設けられたp型のAl0.2Ga0.8As/Al0.9Ga0.1As多層膜からなる第2のDBRとを含む面発光型半導体レーザが記載されている。この文献には、面発光型半導体レーザを構成する各半導体層のうち少なくとも一つの半導体層における水素濃度を5×1018[cm-3]以下とすることにより、面発光型半導体レーザの信頼性を向上させる技術が記載されている。
Y. C. Chang et al., "High-efficiency, high-speed VCSELs with deep oxidation layers", ELECTRONICS LETTERS, Vol. 42, No. 22, pp.1281-1282 (2006) Tetsuo Nishida et al., "3.0-mW GaInNAs long-wavelength vertical-cavity surface-emitting laser grown by metalorganic chemical vapor deposition", Proceedings of SPIE, Vol.5364, pp.166-173 (2004) 特開2004−014747号公報
上述した特許文献や非特許文献に記載されているように、面発光型半導体レーザにおいては、高いAl組成を有するAlGaAs層と、低いAl組成を有するAlGaAs層またはGaAs層とからなるDBRが多く採用されている。そして、多くの場合、このDBRに不純物がドープされてn型やp型のDBRとされる。しかしながら、高いAl組成を有するAlGaAs層に対して過剰にn型不純物(例えばSi)をドープすると、光を吸収して得たエネルギーによってn型不純物が格子間を移動するので、当該面発光型半導体レーザの累積通電時間の増加にしたがって該AlGaAs層内のn型不純物が他方のAlGaAs層またはGaAs層に拡散する。そして、これに伴い、高いAl組成を有するAlGaAs層内のAlも他方のAlGaAs層またはGaAs層に拡散するので、当該DBRの反射率を低下させる等の影響により、発光強度が低下してしまう。
本発明は、このような事情を鑑みて為されたものであり、AlGaAs層を含むDBRにおけるAlの拡散を抑え、発光強度の低下を抑制できる面発光型半導体レーザを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る第1の面発光型半導体レーザは、基板上に設けられた第1の分布ブラッグリフレクタと、第1の分布ブラッグリフレクタ上に設けられた第2の分布ブラッグリフレクタと、第1の分布ブラッグリフレクタと第2の分布ブラッグリフレクタとの間に設けられた活性層とを備え、第1及び第2の分布ブラッグリフレクタのうち少なくとも一方の分布ブラッグリフレクタが、n型AlXGa1-XAs(0<X≦1)からなる第1の層と、n型AlYGa1-YAs(0≦Y<1、Y<X)からなる第2の層とを有し、第1の層における炭素濃度が1×1018[cm-3]以下であることを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本発明に係る第2の面発光型半導体レーザは、基板上に設けられた第1の分布ブラッグリフレクタと、第1の分布ブラッグリフレクタ上に設けられた第2の分布ブラッグリフレクタと、第1の分布ブラッグリフレクタと第2の分布ブラッグリフレクタとの間に設けられた活性層とを備え、第1及び第2の分布ブラッグリフレクタのうち少なくとも一方の分布ブラッグリフレクタが、n型AlXGa1-XAs(0<X≦1)からなる第1の層と、n型AlYGa1-YAs(0≦Y<1、Y<X)からなる第2の層とを有し、第1の層が、その結晶成長の際に供給されるV族原料ガスのモル供給量とIII族原料ガスのモル供給量との比(V/III比)を100以上として形成されたことを特徴とする。
本発明者は、面発光型半導体レーザの経時的な発光強度の低下を抑えるべく実験を繰り返した結果、上述した第1の面発光型半導体レーザのように、n型AlXGa1-XAs(0<X≦1)からなる第1の層と、n型AlYGa1-YAs(0≦Y<1、Y<X)からなる第2の層とを有するDBRにおいて、第1の層に含まれる炭素濃度を1×1018[cm-3]以下とすることにより、Alの拡散による発光強度の低下を抑制できることを見出した。AlGaAsを結晶成長させる際には、アルミニウム原料であるトリメチルアルミニウム(TMA:化学式(CH3)3Al)やガリウム原料であるトリメチルガリウム(TMG:化学式(CH3)3Ga)といった有機金属が用いられるが、これらの原料に含まれる炭素原子が、結晶成長の際にAlGaAs結晶中に入り込んでしまう。本発明者は、この炭素原子の濃度と発光強度との関係を実験により調査し、炭素原子の濃度が低いほど発光強度の経時変化が少ないことを見出した。特に、炭素濃度を1×1018[cm-3]以下とすること、望ましくは8×1017[cm-3]以下とすることにより、発光強度が殆ど変化しない面発光型半導体レーザを実現できることを見出した。すなわち、上記した第1の面発光型半導体レーザによれば、AlGaAs層を含むDBRにおけるAlの拡散を抑え、発光強度の低下を効果的に抑制できる。
また、第1の面発光型半導体レーザの第1の層における上述した炭素濃度は、第1の層の結晶成長の際に供給されるV族原料ガス(例えば砒素原料ガスであるアルシンAsH3)のモル供給量と、III族原料ガス(例えばTMAおよびTMG)のモル供給量との比(V/III比)を100以上として第1の層を成長させることによって、好適に実現できる。すなわち、上記した第2の面発光型半導体レーザによれば、AlGaAs層を含むDBRにおけるAlの拡散を抑え、発光強度の低下を効果的に抑制できる。
また、上記した第1の面発光型半導体レーザは、第1の層における炭素濃度が8×1017[cm-3]以下であることを特徴としてもよい。本発明者の調査によれば、炭素濃度を8×1017[cm-3]以下とすることにより、発光強度の変化をより好適に抑えることができる。すなわち、この面発光型半導体レーザによれば、AlGaAs層を含むDBRにおけるAlの拡散を抑え、発光強度の低下をより効果的に抑制できる。
また、上記した第1の面発光型半導体レーザは、第1の層における炭素濃度が3×1015[cm-3]以上であることを特徴としてもよい。例えば二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion-microprobe Mass Spectrometry)等の測定方法によってAlGaAs結晶中の炭素濃度を測定した場合、その測定限界は3×1015[cm-3]である。したがって、第1の層における炭素濃度の測定値の下限はこのような値となるが、上記した第1の面発光型半導体レーザにおいては、第1の層における炭素濃度は低いほど好ましい。
また、上記した第1及び第2の面発光型半導体レーザは、基板がGaAs基板であることを特徴としてもよい。上記した面発光型半導体レーザによる効果は、AlGaAsと整合するGaAs基板を用いる場合に、より顕著となる。
また、上記した第1及び第2の面発光型半導体レーザは、少なくとも一方の分布ブラッグリフレクタが、n型不純物としてSi,S,Sn,TeおよびSeのうち少なくとも一つの元素を含むことを特徴としてもよい。上記した面発光型半導体レーザによる効果は、n型不純物の種類によらず、AlGaAs結晶の純度が改善されることによってもたらされる。
また、上記した第1及び第2の面発光型半導体レーザは、第2の層がn型GaAsからなることを特徴としてもよい。このように、DBRがAlGaAs層およびGaAs層を含む場合にAlの拡散がより顕著となるので、上記した面発光型半導体レーザによる効果をより効果的に得ることができる。
本発明に係る面発光型半導体レーザによれば、AlGaAs層を含むDBRにおけるAlの拡散を抑え、発光強度の低下を抑制できる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る面発光型半導体レーザの一実施形態の断面構造を示す図面である。図1に示す面発光型半導体レーザ100は、n型GaAs基板1と、n型GaAs基板1上に設けられた第1のDBRである下部DBR部3と、下部DBR部3上に設けられた第2のDBRである上部DBR部7とを備えている。下部DBR部3と上部DBR部7との間には、活性層5が設けられている。
活性層5と下部DBR部3との間には、第1AlGaAs層25が設けられていると好ましく、活性層5と上部DBR部7との間には、第2AlGaAs層27が設けられていると好ましい。第1AlGaAs層25、活性層5及び第2AlGaAs層27によって、垂直共振器が構成される。
活性層5と上部DBR部7との間には、電流を閉じ込めるための電流狭窄層10が設けられていると好ましい。電流狭窄層10は、電流を通過させるための第1部分11と、この第1部分11を取り囲む環状の第2部分9とを備える。第1部分11は例えばp型AlAsからなり、第2部分9は例えばp型AlAsが酸化されたものからなる。第1部分11の厚さは、発光波長λ及びp型AlAsの実効屈折率nr3を用いて表すとき、λ/4nr3であることが好ましい。
活性層5は、例えば、多重量子井戸構造(MQW)又は単一量子井戸構造(SQW)等の量子井戸構造(QW)を有する。好適実施例では、活性層5は、InGaAs層及びGaAs層からなる量子井戸構造、またはGaInNAs層及びGaAs層からなる量子井戸構造等を有するとよい。
下部DBR部3では、例えば、Siドープされたn型AlXGa1-XAs(0<X≦1)からなる第1の層と、n型AlYGa1-YAs(0≦Y<1、Y<X)からなる第2の層とが交互に複数積層されている。一実施例では、41層のn型AlGaAs層(第1の層)19と、40層のn型GaAs層(第2の層)21とが交互に積層される。よって、下部DBR部3の最上層及び最下層はn型AlGaAs層19となる。n型AlGaAs層19における炭素濃度は、3×1015[cm-3]以上1×1018[cm-3]以下である。なお、n型AlGaAs層19の厚さは、発光波長λ及びn型AlGaAsの実効屈折率nr1を用いて表すとき、λ/4nr1であることが好ましい。n型GaAs層21の厚さは、発光波長をλ、n型GaAsの実効屈折率をnr2としたときに、λ/4nr2であることが好ましい。なお、下部DBR部3は、n型不純物として、Si,S,Sn,TeおよびSeのうち少なくとも一つの元素を含むとよい。例えば下部DBR部3のn型不純物としてSiをドープする場合、その原料ガスとしてはシラン(SiH4)が好適に用いられる。
上部DBR部7は、交互に積層された複数のp型GaAs層31と複数のp型AlGaAs層33とを有している。一実施例では、20層のp型GaAs層31と、20層のp型AlGaAs層33とが交互に積層される。上部DBR部7の最上層はp型GaAs層31であり、最下層はp型AlGaAs層33である。p型GaAs層31の厚さは、発光波長λ及びGaAsの実効屈折率nr6を用いて表すとき、λ/4nr6であることが好ましい。p型AlGaAs層33の厚さは、発光波長λ及びAlGaAsの実効屈折率nr7を用いて表すとき、λ/4nr7であることが好ましい。なお、上部DBR部7は、p型不純物として、亜鉛(Zn)や炭素(C)を含むとよい。例えば上部DBR部7のp型不純物として炭素(C)をドープする場合、その原料としては四臭化炭素(CBr4)が好適に用いられる。
上部DBR部7の表面は、第1領域と、この第1領域を取り囲む第2領域とを有している。第2領域上にはp型電極15が設けられている。また、n型GaAs基板1の裏面には、n型電極17が設けられている。
また、上述した構成のうち、第1AlGaAs25,活性層5,第2AlGaAs27,電流狭窄層10,および上部DBR部7は、基板1の一部の領域上にのみ選択的に形成されたメサ部13を構成しており、このメサ部13の周囲はポリイミド層23によって埋め込まれている。ポリイミド層23上の全面にはp型電極15が設けられている。
以上の構成を備える面発光型半導体レーザ100において、p型電極15及びn型電極17に電圧を印加すると、活性層5に電流が供給される。これにより、レーザ光が上部DBR部7を透過して外部に放出される。
続いて、本実施形態の面発光型半導体レーザ100による効果を説明する前に、発明者が行った実験の結果について説明する。
まず、複数のGaAs基板上に、TMG、TMAおよびAsH3を原料として用いて有機金属気相成長法(OMVPE法)によりAl0.9Ga0.1Asをエピタキシャル成長させた。このとき、Al0.9Ga0.1Asの成長温度を720℃とし、成長圧力を100[Torr](=13.3[kPa])とした。また、複数のGaAs基板それぞれにおける、V族原料ガス(AsH3)のモル供給量と、III族原料ガス(TMG及びTMA)のモル供給量との比(すなわちV/III比)を下の表1に示す値として、AlGaAsを成長させた。その後、各GaAs基板上に成長したAlGaAs中の炭素濃度をSIMSにより評価した。その結果を表1に併せて示す。また、図2は、表1に基づくV/III比と炭素濃度との関係をプロットした図である。
Figure 2009289907

表1および図2に示されるように、例えばV/III比を92とした場合には炭素濃度は1.2×1018[cm-3]であるのに対して、例えばV/III比を120とした場合には炭素濃度は6.0×1017[cm-3]であった。
このように、AlGaAs結晶中の炭素濃度とV/III比との間には有意な相関がみられた。次に、本発明者は、DBRのAlGaAs結晶中における炭素濃度がそれぞれ異なる複数の面発光型半導体レーザを作製した。ここで、複数の面発光型半導体レーザの構成は、DBRの炭素濃度を除いて図1に示した面発光型半導体レーザ100と同様とした。また、これらの面発光型半導体レーザの下部DBR部3を、Al0.9Ga0.1As層(第1の層)及びGaAs層(第2の層)を交互に積層して構成し、Al0.9Ga0.1As層を成長させる際のV/III比を調整することにより、Al0.9Ga0.1As層の炭素濃度を表1に示した各濃度とした。
なお、これらの面発光型半導体レーザを作製する際、活性層5を成長させるためのIn原料及びGa原料としてそれぞれトリメチルインジウム(TMIn)及びTMGを使用し、井戸層におけるIn組成を0.2とした。また、上部DBR部7のp型AlGaAs層33におけるAl組成を0.7とし、第1AlGaAs層25および第2AlGaAs層27におけるAl組成を0.3とした。
図3は、V/III比を92とした場合における下部DBR部3のSIMS評価の結果を示す図であり、図4は、V/III比を120とした場合における下部DBR部3のSIMS評価の結果を示す図である。図3に示すように、V/III比を92とした場合、下部DBR部3のGaAs層(図中の区間A)における炭素濃度は検出限界に近い3×1015[cm-3]であり、AlGaAs層(図中の区間B)における炭素濃度は1.2×1018[cm-3]であり、表1に示した結果と整合した。また、図4に示すように、V/III比を120とした場合、下部DBR部3のGaAs層(図中の区間A)における炭素濃度は検出限界に近い3×1015[cm-3]であり、AlGaAs層(図中の区間B)における炭素濃度は6.0×1017[cm-3]であり、表1に示した結果と整合した。なお、V/III比を35とした場合、60とした場合、及び108とした場合のそれぞれについては、図示しないが表1に示した結果と整合する炭素濃度値となった。
これらの面発光型半導体レーザの基板温度を85℃に保ちつつ10[mA]の電流を供給して、上部DBR部7を透過して外部に放出されるレーザ光強度の経時変化を調べたところ、図5に示す結果が得られた。図5において、縦軸はレーザ光強度であり、横軸は経過時間(累積通電時間)である。なお、縦軸の数値は、面発光型半導体レーザが生産された直後におけるレーザ光強度で規格化した値である。また、図5に示すグラフG1は、下部DBR部3におけるAl0.9Ga0.1As層の炭素濃度を5.0×1018[cm-3]とした場合を示している。グラフG2は、該Al0.9Ga0.1As層の炭素濃度を2.0×1018[cm-3]とした場合を示している。グラフG3は、該Al0.9Ga0.1As層の炭素濃度を8.0×1017[cm-3]とした場合を示している。
図5に示すように、AlGaAs層中の炭素濃度が高いほど、累積通電時間の増加によるレーザ光強度の低下が顕著となった。そして、Al0.9Ga0.1As層の炭素濃度が1×1018[cm-3]以下である場合、特に炭素濃度を8×1017[cm-3]とした場合には、累積通電時間の増加によるレーザ光強度の低下は殆ど見られなかった。
この実験結果から、下部DBR部3の第1の層、すなわちAl0.9Ga0.1As層に含まれる炭素濃度を1×1018[cm-3]以下、望ましくは8×1017[cm-3]以下とすることにより、Alの拡散によるレーザ光強度の低下を抑制できることが見出された。AlGaAsを結晶成長させる際には、TMAやTMGといった有機金属が用いられるが、これらの原料ガスに含まれる炭素原子が、結晶成長の際にAlGaAs結晶中に入り込んでしまうが、上述したように、炭素濃度を1×1018[cm-3]以下、望ましくは8×1017[cm-3]以下とすることにより、レーザ光強度が殆ど劣化しない面発光型半導体レーザを実現できる。
また、図2を参照すると、このような炭素濃度(1×1018[cm-3]以下)は、AlGaAs層の結晶成長の際に供給されるV族原料ガス(アルシン)のモル供給量と、III族原料ガス(TMAおよびTMG)のモル供給量との比(V/III比)を100以上としてAlGaAs層を成長させることによって、好適に実現できる。なお、このV/III比の上限は、200程度である。V/III比がこのように極端に高い場合、AlGaAs層の結晶成長時のAs分圧が高く、結晶格子間にAsが混入することなどが起こり、結晶中に結晶欠陥を発生させるからである。
また、AlGaAs層の炭素濃度は、SIMS等による濃度測定の検出限界値である3×1015[cm-3]以上であってもよい。AlGaAs層における炭素濃度の測定値の下限は必然的にこのような値となるが、AlGaAs層における炭素濃度は低いほど好ましい。
また、本実施形態のように、基板1はGaAs基板であることが好ましい。本実施形態の面発光型半導体レーザ100による上記した効果は、AlGaAsと整合するGaAs基板を用いる場合に、より顕著となる。
また、本実施形態のように、下部DBR部3は、n型不純物としてSiに限らずS,Sn,TeおよびSeのうち少なくとも一つの元素を含んでもよい。本実施形態の面発光型半導体レーザ100による上記した効果は、n型不純物の種類によらず、AlGaAs結晶の純度が改善されることによってもたらされる。
また、本実施形態のように、下部DBR部3の第2の層はn型GaAsからなることが好ましい。このように、下部DBR部3がAlGaAs層およびGaAs層を含む場合にAlの拡散がより顕著となるので、本実施形態の面発光型半導体レーザ100による上記した効果をより効果的に得ることができる。
本発明による面発光型半導体レーザは、上記した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では活性層がInGaAs/GaAs多重量子井戸構造を有する場合について説明したが、本発明は、AlGaAs/GaAs多重量子井戸構造やGaInNAs/GaAs多重量子井戸構造など、AlGaAs/GaAs系のDBRを用いる全ての面発光型半導体レーザに適用できる。例えば、本発明は、AlGaAs/GaAs多層膜からなるDBRが予め形成された基板にInP系の活性層を貼り付けたような構成を備える面発光型半導体レーザにも適用可能である。
また、上記実施形態では下部DBR部がn型AlGaAs層を含む場合について説明したが、上部DBR部がn型AlGaAs層を含む場合や、下部DBR部および上部DBR部の双方がn型AlGaAs層を含む場合であっても、本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、DBRのAlGaAs層における炭素濃度を低減するためにV/III比を調整する方法を例示したが、炭素濃度を低減するためにはこの方法以外にも例えばAlGaAs層の成長温度を変化させる、AlGaAs層のAl組成を調整するといった様々な方法がある。本発明に係る面発光型半導体レーザは、DBRのAlGaAs層における炭素濃度を低減するための様々な方法によって製造可能である。
図1は、本発明に係る面発光型半導体レーザの一実施形態の断面構造を示す図面である。 図2は、表1に基づくV/III比と炭素濃度との関係をプロットした図である。 図3は、V/III比を92とした場合における下部DBR部3のSIMS評価の結果を示す図である。 図4は、V/III比を120とした場合における下部DBR部3のSIMS評価の結果を示す図である。 図5は、基板温度を85℃に保ちつつ10[mA]の電流を供給して、上部DBR部7を透過して外部に放出されるレーザ光強度の経時変化を調べた結果を示す図である。
符号の説明
1…n型GaAs基板、3…下部DBR部、5…活性層、7…上部DBR部、9…第1の部分、10…電流狭窄層、11…第2の部分、13…メサ部、15…p型電極、17…n型電極、19…n型AlGaAs層、21…n型GaAs層、23…ポリイミド層、25…第1AlGaAs層、27…第2AlGaAs層、31…p型GaAs層、33…p型AlGaAs層、100…面発光型半導体レーザ。

Claims (7)

  1. 基板上に設けられた第1の分布ブラッグリフレクタと、
    前記第1の分布ブラッグリフレクタ上に設けられた第2の分布ブラッグリフレクタと、
    前記第1の分布ブラッグリフレクタと前記第2の分布ブラッグリフレクタとの間に設けられた活性層と
    を備え、
    前記第1及び第2の分布ブラッグリフレクタのうち少なくとも一方の分布ブラッグリフレクタが、n型AlXGa1-XAs(0<X≦1)からなる第1の層と、n型AlYGa1-YAs(0≦Y<1、Y<X)からなる第2の層とを有し、
    前記第1の層における炭素濃度が1×1018[cm-3]以下であることを特徴とする、面発光型半導体レーザ。
  2. 前記第1の層における炭素濃度が8×1017[cm-3]以下であることを特徴とする、請求項1に記載の面発光型半導体レーザ。
  3. 前記第1の層における炭素濃度が3×1015[cm-3]以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の面発光型半導体レーザ。
  4. 基板上に設けられた第1の分布ブラッグリフレクタと、
    前記第1の分布ブラッグリフレクタ上に設けられた第2の分布ブラッグリフレクタと、
    前記第1の分布ブラッグリフレクタと前記第2の分布ブラッグリフレクタとの間に設けられた活性層と
    を備え、
    前記第1及び第2の分布ブラッグリフレクタのうち少なくとも一方の分布ブラッグリフレクタが、n型AlXGa1-XAs(0<X≦1)からなる第1の層と、n型AlYGa1-YAs(0≦Y<1、Y<X)からなる第2の層とを有し、
    前記第1の層が、その結晶成長の際に供給されるV族原料ガスのモル供給量とIII族原料ガスのモル供給量との比(V/III比)を100以上として形成されたことを特徴とする、面発光型半導体レーザ。
  5. 前記基板がGaAs基板であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の面発光型半導体レーザ。
  6. 前記少なくとも一方の分布ブラッグリフレクタが、n型不純物としてSi,S,Sn,TeおよびSeのうち少なくとも一つの元素を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の面発光型半導体レーザ。
  7. 前記第2の層がn型GaAsからなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の面発光型半導体レーザ。
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