JP2006310534A - 半導体積層構造および半導体光素子 - Google Patents

半導体積層構造および半導体光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】
高反射率、低熱抵抗、低電気抵抗といった高品質なDBR特性を有し、かつ面型光デバイス構造のエピタキシャル成長ウエハの基板の反りや、ミスフィット欠陥の少ない良好な特性を有するウエハを実現し、それにより素子の歩留まり向上を可能にし、さらに素子寿命の向上に寄与する技術を提供する。
【解決手段】
GaAs基板11上に、低屈折率層12と高屈折率層13を有する半導体多層膜ブラッグ反射鏡14が形成された半導体積層構造1であって、低屈折率層12と前記高屈折率層13が周期的に配置され、低屈折率層12は、構成元素としてAl、As及びPを含み、GaAs基板11に対して圧縮性の歪みを有し、高屈折率層13は、構成元素としてGa、As及びPを含み、GaAs基板11に対して引張性の歪みを有することを特徴とする半導体積層構造。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体積層構造および半導体光素子に関する。
面型半導体光デバイスのうち特に、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL : Vertical Cavity Surface Emitting Laser)は、端面型レーザに比べて、製造コストが低い、製造の歩留りが高い、二次アレイ化が容易であるなど、多くの利点を有しており、近年、データ通信分野で注目され、活発に開発が進められている。
面発光レーザは、活性層とそれを上下で挟む一対の多層膜ブラッグ反射鏡(DBR:Distributed Bragg Reflector)から構成される。DBR膜は屈折率の異なる層(低屈折率層と高屈折率層)の周期構造からなる。また、DBR膜は、誘電体多層膜や半導体多層膜から構成される。
誘電体多層膜は、DBR膜を構成する低屈折率層と高屈折率層との屈折率差が大きく取れるため通常数対の多層膜構造で十分な反射率が得られる。一方、半導体多層膜は、不純物をドープすることによって電流を流すことが出来るなどの利点もある。不純物をドープする場合、半導体多層膜は基板に対してエピタキシャル成長する必要があるため、多層膜の材料系選択に当たっては、基板とほぼ格子整合することが重要となる。
また、半導体多層膜DBRでは、低屈折率層と高屈折率層の屈折率差が誘電体の場合に比べて大きく取れないため、所用の反射率を得るために、多層膜のペア数を大きくする必要がある。
このような要請を満足する半導体多層膜DBRとして、例えばGaAs系では、GaAs基板上のAl(Ga)As/Ga(Al)As層がある。なお、Al(Ga)AsはGaがドープされたAlAsを、Ga(Al)AsはAlがドープされたGaAsを示している。以下においては、これらをまとめてAl(Ga)As/Ga(Al)Asと略す。これは、GaAs層を活性層にする850nm帯のVCSELの半導体多層膜DBRとして広く用いられてきた。
さらにこのDBRを用いて、より長波長のVCSELを作製する試みが行われており、InGaAs活性層を用いた980nm帯VCSELやGaInNAs、InAs量子ドット、GaAsSb等を活性層とする1300nm帯VCSELが報告されている。
しかし、発振波長が長波化するに従い、層厚D=λ/4n(λは波長、nは屈折率)であるため、DBRを構成する層の各層厚が大きくなる。また、発振波長の長波化に伴ってAl(Ga)As/Ga(Al)As系半導体多層膜では屈折率差が小さくなるため、同じ反射率を得るためにはより多くのペア数が必要になる。これらのことから、発振波長の長波化に伴い、半導体多層膜DBRの総層厚は大きくなる。
例えば1300nmのVCSELでは、DBRの総数は上下合わせて60ペア近くになり、総層厚も約13μmとなり850nmVCSELの約1.5倍にもなる。
このように、DBRの総層厚が厚くなると、DBRの平均格子定数と基板の格子定数に少しの格子不整合でもあると、エピタキシャル膜に反りや欠陥が生じ、VCSELの信頼性への影響が懸念される。
850nmのVCSELによく用いられているAl(Ga)As/Ga(Al)As系半導体多層膜DBRでは、平均格子定数はGaAs基板に対して約0.07%程度大きくなっている。この材料系を1300nmのVCSELに適用すると、450μm厚のGaAs基板上にVCSEL構造をエピタキシャル成長すると、ウエハは曲率半径約5m程度にまで反ってしまい、フルウエハプロセス時の面内均一性等にも影響が出てくる。
図9に、ウエハの反りを表す量である曲率半径のDBRペア数依存性を示した。基板の厚さが600μmと厚いと基板の反りは少し抑制される。しかしながら、VCSELを形成した後に、基板の裏面を研磨などによって薄くすると(〜150μm)、基板が大きく反ってしまい、問題の解決にならない。
ウエハは反ることにより、蓄積されている歪みエネルギーを低減し構造安定化している。このウエハをプロセス時に真空吸着などで無理矢理反りをなくすと、結晶内の歪みエネルギーが増大し、ミスフィット転位を発生させることでこのエネルギーを緩和しようとするため、結晶中に転位が導入され、素子の信頼性が悪化するという問題が生じる。
以上説明してきたように、Al(Ga)As/Ga(Al)As系半導体多層膜DBRは、大きな屈折率差がとれ、GaAs基板にほぼ格子整合し、更に熱抵抗の点でも他の3元もしくは4元混晶で構成されるDBRに比べて優れているが、これをVCSELに適用する場合に、GaAs基板とAl(Ga)As/Ga(Al)As系半導体多層膜DBRとの小さな格子不整合が、素子に対して無視出来ない影響を有するといった問題が顕在化する。
この問題を解決するために、これまでいくつかの方法が開示されている。
まず一つ目の解決方法として、Al(Ga)AsにP元素を加えたAlGaAsP4元混晶を用いることで、GaAs基板に格子整合させる方法がある(例えば、特許文献1)。Al(Ga)As/Ga(Al)As系半導体多層膜DBR格子不整合は主に、低屈折率層を構成するAl(Ga)Asの格子定数がGaAs基板のそれと比べて0.13%程度大きいことに起因している。
しかしながら、Al(Ga)AsにP元素を加えたAlGaAsP4元混晶を用いることで、GaAs基板に格子整合させる方法を用いると、材料系にPが入ってくるため、DBRの各層を成長するたびにAsとPの切り替え界面が存在する。P元素は、GaAs層内のGaと結びつきが強いために、GaAs層内のAsを追い出し、Gaと結合しようとする。
そのため、AsとPの切り替え界面では通常、変性層と呼ばれる制御の困難な層が発生する。この層は、成長表面を凹凸にし、更にこの界面を何層にも積層すると、この凹凸が累積され、最終的には平坦性の高い成長面を維持することが困難になり、所望の反射率が得られないといった問題点がある。
二つめの解決方法としては、GaAsに格子整合する材料系としてAlGaInP系材料を用いる方法がある(例えば、特許文献2)。しかしながら、この方法を用いても、GaAs基板に格子整合するために必要なIn組成が約0.5程度であり、このため、混晶によって生じるフォノンの不連続性から生じる熱散乱が大きくなるために、熱抵抗がAl(Ga)As/Ga(Al)As系半導体多層膜DBRに比べて10倍程度大きく、デバイスにした場合の放熱特性に問題が生じる。
三つ目の解決方法としては、DBRを構成する低屈折率層と高屈折率層の屈折率差を大きくとる方法がある。DBRを構成する低屈折率層と高屈折率層の屈折率差を大きくとることによって、ペア数を減らすことができる。例えば、高屈折率層にGaInNAs層を用いる方法が記載されている(例えば、特許文献3および特許文献4)。
しかしながら、N元素が少量でも加わった場合、成長時に3次元化を引き起こしやすいため、成長表面に凹凸が生じ、所望の反射率を得るのが困難である。また、DBRは、電気抵抗を下げるために、低屈折率層と高屈折率層の間に中間層を設け、ヘテロ接合により生じるバンドのヘテロスパイクやノッチを低減させ低抵抗化を計るが、上述のような4元混晶でDBRを構成する場合、この中間層の組成制御が極めて困難になる。
四つ目の解決方法としては、DBR各層の格子定数が、基板の格子定数より小さい層と基板の格子定数より大きい層から構成する方法がある。この場合、DBRの歪みを相互に相殺させ、DBRミラーの歪みを低減する面発光レーザ素子が記載されている(例えば、特許文献5)。
この方法においては、DBR全体の平均格子定数が基板の格子定数にほぼ一致しているため、構造的に安定になる。しかしながら、DBRを構成するペア層において、V族元素が異なっている場合には、一つ目の解決方法で述べたようなV族切り替え界面に起因する多くの困難が生じる。また、4元以上の混晶では熱抵抗が問題になる。
特開2002−100834号公報 特開平6−196811号公報 特開平9−237942号公報 特開平10−74979号公報 特開2003−37335号公報
このように従来技術では、高反射率、低熱抵抗、低電気抵抗といった高品質なDBRを有し、かつVCSEL構造のエピタキシャル成長ウエハの基板の反りや、ミスフィット欠陥といったものの少ない良好な特性を有するVCSELウエハを実現することは困難であった。特に、このことは、光通信で重要となる1300nmや1550nmといった波長のVCSELをGaAs基板上に形成するときに、特に顕著に現れる問題である。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、高反射率、低熱抵抗、低電気抵抗といった高品質なDBR特性を有し、かつ面型光デバイス構造のエピタキシャル成長ウエハの基板の反りや、ミスフィット欠陥の少ない良好な特性を有するウエハを実現し、それにより素子の歩留まり向上を可能にし、さらに素子寿命の向上に寄与する技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の半導体積層構造は、GaAs基板上に、低屈折率層と高屈折率層を有する半導体多層膜ブラッグ反射鏡が形成された半導体積層構造であって、前記低屈折率層と前記高屈折率層が周期的に配置され、前記低屈折率層は、構成元素としてAl、As及びPを含み、前記GaAs基板に対して圧縮性の歪みを有し、前記高屈折率層は、構成元素としてGa、As及びPを含み、前記GaAs基板に対して引張性の歪みを有することを特徴とするものである。
より具体的には、前記低屈折率層のP組成と前記高屈折率層のP組成の差が、0.02以下であるものであり、半導体多層膜ブラッグ反射鏡を構成する層のV族元素の組成が略等しくなる。
または、前記低屈折率層のP組成と前記高屈折率層のP組成の比が、前記低屈折率層のP元素の取り込み係数と前記高屈折率層のP元素の取り込み係数の比であることを特徴とするものである。
本発明に係る半導体積層構造によれば、高反射率、低熱抵抗、低電気抵抗といった高品質なDBR特性を有し、かつ面型光デバイス構造のエピタキシャル成長ウエハの基板の反りや、ミスフィット欠陥の少ない良好な特性を有するウエハを実現し、それにより素子の歩留まり向上を可能にし、さらに素子寿命の向上に寄与する技術を提供することを目的とする。
実施の形態1.
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に実施の形態1に係る半導体積層構造1を示す。
GaAs基板11の上に低屈折率層12、高屈折率層13の周期構造からなるDBR(DBR:Distributed Bragg Reflector)14が積層されている。低屈折率層12は、主な元素としてAl,As、Pを含んでおり、GaAs基板11に対して圧縮性の歪みを有している。また、高屈折率層13は主な元素としてGa,As、Pを含んでおり、GaAs基板11に対して引張性の歪みを有する。
本実施の形態において、DBR14とGaAs基板11とが略格子整合している。通常の半導体の製造上の誤差において、0.01%程度の格子定数の製造誤差が生じてしまう。そのため、DBR14の平均格子定数とGaAs基板11の格子定数の差が0.01%以内までが許容範囲と考えられる。DBR14とGaAs基板11が略格子整合することによって、基板の反りをおこすことなく成長させることができる。
DBR14の平均格子定数は、それぞれの屈折率層の格子定数に各層厚を掛けて、それを周期層厚で割った値である。低屈折率層12および高屈折率層13の層厚tは、t=λ/4n(λは設計波長、nは屈折率)で与えられる。低屈折率層12と高屈折率層13では屈折率がそれぞれ異なるため、それぞれの層厚tも異なる。
従って、DBR14の平均格子定数をGaAs基板11に整合させるためには、層厚の違いに応じて歪量も変える必要がある。低屈折率層12の層厚、歪み、屈折率をt1、ε1、n、高屈折率層13の層厚、歪み、屈折率をt、ε、nとすると
ε1・t1+ε・t=0・・・(1)
が、DBR14の平均格子定数をGaAs基板に格子整合させる条件となる。この式(1)から、歪み量の比として、
ε1/ε=−t/t・・・(2)
を満たす必要がある。
また、低屈折率層12と高屈折率層13の層厚は、t=λ/4n、t=λ/4nとなるため、歪み量の比は、
ε1/ε=−n/n・・・(3)
となる。
以上のことから、式(3)にあうように、低屈折率層12と高屈折率層13のGaAs基板11に対する歪み量の絶対値が同じで符号が逆である値をとれば、DBR14の平均格子定数は、GaAs基板11と同じになり、DBR14はGaAs基板11と格子整合することが可能となる。
本実施の形態に係るDBR14においては、低屈折率層12と高屈折率層13とに同量のP元素を入れることによって、DBR14の平均格子定数を制御している。DBR14の平均格子定数の制御を行うことによって、GaAs基板11と格子整合のとれたDBR14を作成することが可能となる。
このような歪み補償の条件下では、DBRの平均格子定数はGaAs基板と一致しているため、DBRの層厚がどんなに厚くなっても基板が反ったり、歪み臨界に達したりすることはない。
また、本実施の形態に係るDBR14において、低屈折率層12のP組成と高屈折率層13のP組成を略等しくしている。通常の半導体における元素切替において、元素の取り込みによる誤差が生じる。そこで、低屈折率層12のP組成と高屈折率層13のP組成の差が0.02以下までが許容範囲と考えられる。
低屈折率層12と高屈折率層13のP組成が略等しいDBR14では、層を構成しているV族元素の組成が層全体で同じであるため、V族元素に起因する、V族切り替え時の表面荒れやV族元素の拡散などのヘテロ界面形成時の問題が無い。DBRの各層の組成は、急峻な組成制御が可能なIII族原子だけで制御できるので界面の設計が容易である。
また、上述の格子整合の式(3)の歪み補償条件を満たす歪み量の組み合わせ、言い換えるとP組成の組み合わせは、いくらでもあるため、低屈折率層12と高屈折率層13のP組成を略同じにすることが可能である。
また、低屈折率層12はAl1−x1Gax1As1−y1y1(0≦x1<0.5、0<y1≦0.04)、高屈折率層13はGa1−x2Alx2As1−y2y2(0≦x2<0.5、y1>0)であると良い。
これは、低屈折率層12のP元素の組成が0.04以下であることによって、低屈折率層12の格子定数はGaAs基板11の格子定数よりも大きくなるため、圧縮性の歪みが生じるからである。
また、高屈折率層13のP元素の組成が増えることによって、高屈折率層13の格子定数は、GaAs基板11の格子定数よりも小さくなるため、引張性の歪みが生じる。この2つの相反する歪みをDBR14が持つことによって、GaAs基板11と略格子整合することが可能となる。
ここで、GaAs基板上のDBRとして広く使われているAl(Ga)As/Ga(Al)As系の、発振波長1.3μm用に用いられるDBRを例として説明する。なお、Al(Ga)AsはGaがドープされたAlAsを、Ga(Al)AsはAlがドープされたGaAsを示している。AlAsの格子定数がGaAsのそれに対して0.13%ほど大きく、GaAs基板上に欠陥無くエピタキシャル成長された時には、圧縮性の2軸性応力がAlAs層にかかる。
GaAs(004)面のピーク近傍のω−2θX線回折スペクトルを図2に示す。AlAs層の(004)面のピークは、GaAs基板の(004)面のピークから370秒ほど低角側に位置する。GaAs基板11からうける圧縮性の歪みを低減するために、低屈折率層12にPを加えたAlAsPを用いると、Pの原子半径がAsより小さいため、低屈折率層12の平均格子定数は小さくなり、GaAs基板11の格子定数に近づく。導入するP組成が4%程度で、GaAsと格子整合する。
一方、高屈折率層13にPを加えたGaAsを用いると、高屈折率層13の平均格子定数は小さくなり、引張性の歪みが高屈折率層13に加わる。(図2(a)参照)AlAsP層である低屈折率層12とGaAsP層である高屈折率層13は、GaAs基板11の(004)面のピークを中心に、それぞれ低角側と高角側にピークをもつことになる。
このため、GaAs基板11に対して、低屈折率層12と高屈折率層13で、歪みの方向が反対であるため、DBR14全体としては、GaAs11に対する歪みが相殺される。以上のように、Pを低屈折率層12と高屈折率層13に少量加えることで、容易にDBR14の歪み量を制御することが可能となる。
また、波長1.3μmのAlAsPとGaAsPの屈折率をそれぞれ、3.413と2.91とすると、AlAsPで構成される低屈折率層12とGaAsPで構成される高屈折率層13の層厚は、媒質内の各々の光路長が発振波長の略1/4となるように設定してあるため、各々95.2nmと111.6nmとなる。
従って、ε1/ε2=−1.17となる。このような歪み補償の条件下では、DBRの平均格子定数はGaAs基板と一致しているため、DBRの層厚がどんなに厚くなっても基板が反ったり、歪み臨界に達したりすることはない。
この条件を満たす歪み量の組み合わせ、言い換えるとP組成の組み合わせは、いくらでもあるが、ε1/ε2=−1.17の条件を満たしながら、低屈折率層12と高屈折率層13のP組成をほぼ同じにすることが可能である。
低屈折率層12と高屈折率層13のP組成を同じに保ちながら大きくしていくと、低屈折率層12と高屈折率層13のP組成がゼロの時、ε1=0、ε≠0となるため、ε1/ε2=0であるが、低屈折率層12と高屈折率層13のP組成が大きくなるに従って、マイナス方向に大きくなり、P組成が約4%の時に、ε1≠0、ε=0となるため、ε1/ε2=−∞となる。
従って、必ずε1/ε2=−1.17を満たす共通P組成が存在する(図2(b)参照)。P組成が同じであることから、GaAsとGaAsPとのピーク間隔は、AlAsとAlAsPとのピーク間隔とほぼ等しい。一方、ε1/ε2〜−1であるので、AlAsP低屈折率層とGaAsP高屈折率層のピーク位置は、GaAs基板を中心にほぼ対称の所にある。
GaAs1−x高屈折率層の層厚をt1、AlAs1−x低屈折率層の層厚をt2とすると、P組成xが、
Figure 2006310534
と選ぶことで、ε1/ε2=−1.17の条件を満たし、AlAsP低屈折率層とGaAsP高屈折率層のP組成が等しいDBRを作成することが可能となる。
このように設計されたDBRは、GaAs基板とほぼ格子整合しており、例えば、35ペアの周期構造を成長しても、ウエハ上の異なる2点間のX線回折から求めた基板の反りは曲率半径で150mと、十分平坦になっていることがわかる。
以上のように、本発明の半導体積層構造は、従来のAlGaAs系DBRにP元素を低屈折率層、高屈折率層の両方に入れて、DBRの平均格子定数を歪み補償によりGaAs基板の格子定数とほぼ整合させているので、ウエハの反りが小さく、高均一なデバイスプロセスが可能となり、素子の歩留まりが向上すると共に、信頼性に優れた面型光デバイスを作ることができる。
また、P組成をDBR中で一定にすることによって、V族切り替え界面に起因する凸凹等の界面劣化を抑制することが可能となり、DBRの反射率が改善され、デバイス特性が改善される。
実施の形態2.
第2の実施の形態においては、高屈折率層と低屈折率層のP元素の組成が、高屈折率層と低屈折率層におけるそれぞれのP元素の取り込みの違いを利用している。構成要素や動作原理で実施の形態1と同様のものは省略し、構成図においては実施の形態1.と同じため、図1を用いる。
本実施の形態においては、低屈折率層12と高屈折率層13におけるそれぞれのP元素の取り込みの違いによって決まるP組成比から、歪み補償条件を満たすP組成の組み合わせを持つ積層構造をもつDBR14である。
例えば、AlAsP層とGaAsP層において、P原子に対する結晶中への取り込み率が一般に異なる。取り込み率は、成長方法や成長条件によって変わるが、MOVPE法を用いた場合、同じAsH3、PH3流量でAlAsP層とGaAsP層を成長しても、同じP組成は一般に得られない。Al元素はGa元素よりPとの結合エネルギーが大きいため、適切な成長条件下では、AlAsP層へのPの取り込みはGaAsP層へのPの取り込みよりも6倍程大きい。
GaAs(004)近傍のω−2θX線回折スペクトルを図3に示す。AlAsP層へのP元素の取り込みがGaAsP層の元素の取り込みより大きいので、AlAsP層のP組成XはGaAsP層のP組成Xよりも大きい。この結果、歪み補償構造となる条件である、ε1・t1+ε・t=0と、P元素の取り込みの違いによって決まるP組成比を満たすX,Xが存在する。
AlAsPとGaAsPのP元素の取り込み比が非常に大きい場合は、GaAsP層、AlAsP層のX線回折ピークがGaAs層のX線回折ピークに極めて近いところで歪み補償構造条件を満たし(GaAsPのP組成は0に近く、AlAsP層のP組成は4%に近い)、AlAsPとGaAsPのP元素の取り込みがほぼ等しい時には、AlAsPのX線回折ピークは、AlAsとGaAs基板の中間辺りで、AlAsPとGaAsP層のP組成が共にほぼ2%程度のところで歪み補償構造条件を満たす。
本実施の形態においては、各DBR層を成長する際に、Asを供給するガスとPを供給するガスの流量を一定にした状態で、III族元素を供給するガスの供給量を制御するだけで所望の歪み補償DBRが得られることである。これにより、V族流量が安定になるまで成長界面で待機する工程などの、各界面でのV族流量調節が不要となり、ガス切り替えなどに起因するヘテロ界面劣化の問題が全くなくなることである。
実施の形態3.
本実施の形態に係る積層構造2の構成図を図4に示す。本実施の形態においては、低屈折率層と高屈折率層の間に中間層を有している。動作原理や構成要素で実施の形態1と同様のものは省略する。
GaAs基板11の上に低屈折率層12、高屈折率層13、中間層15の周期構造からなるDBR16が積層されている。低屈折率層12は、主な元素としてAl,As、Pを含んでおり、高屈折率層13は主な元素としてGa,As、Pを含んでいる。
また、低屈折率層12はGaAs基板11に対して圧縮性の歪みを有し、高屈折率層13は、GaAs基板11に対して引張性の歪みを有する。
さらに、中間層15は、クレーディッド層とも呼ばれ、中間層15の上下に位置する層のバンドを滑らかに繋ぐ層であり、電気抵抗を大幅に低下させることができる。中間層15は、主な元素として、Al、Ga、As、Pを含んでいる。
低屈折率層12と高屈折率層13それぞれにおいては、価電子バンドと伝導帯バンドの位置は異なるが、界面を有し接触すると、フェルミエネルギーレベルが一定となるために、バンドの変化が生じる。
このときに、低屈折率層12と高屈折率層13の界面に大きなスパイクが生じる。これが、抵抗率の増大につながる。そのため、上記のスパイクの深さを小さくするために、中間層15が設けられている。
上記のスパイクの深さは、低屈折率層12と高屈折率層13のバンドの位置の差と関係している。そのため、中間層15を設けると、中間層15のバンドは、低屈折率層12のバンドと高屈折率層13のバンドの略中心にくるため、バンドの位置の差が小さくなる。そのため、界面に生じるスパイクの深さも小さくなる。そのため、中間層15を設けることによって、DBR16の電気抵抗も小さくすることができる。
また、実施の形態に係る積層構造2においては、低屈折率層12のP組成、高屈折率層13のP組成及び中間層15のP組成が略同じである。この場合、中間層15は、III族元素の組成のみを徐々に変化させれば良く、制御が容易である。また、低屈折率層12と高屈折率層13において、歪み補償条件を満たしている。
本実施の形態における、GaAs(004)近傍のω−2θX線回折スペクトルを図5に示す。ここでは、一例として、低屈折率層12にAlAsPを用い、高屈折率層13にはGaAsPを用いている。
GaAsP高屈折率層13とAlAsP低屈折率層12との間にAlGaAsP中間層15を挟んだときの格子定数の変化を示している。III族組成を変化させることで中間層15のX線回折ピークは、中間層15のP元素の組成が、AlAsP低屈折率層12とGaAsP高屈折率層13と略同じであるため、GaAsP高屈折率層13のX線回折ピークとAlAsP低屈折率層12のX線回折ピークの中心にAlGaAsP中間層15のX線回折ピークを持つ。
このことから、中間層15においても、GaAs基板11と略格子整合することが可能な層となることが可能である。また、中間層15を入れることによって、低電気抵抗を持つDBR16を作成することが可能となる。
また、中間層15は、複数の層に分けても良い。これは、低屈折率層12と高屈折率層13のIII族組成を順次変化させた層を中間層として用いる場合である。この場合も、複数の中間層の平均格子定数は、GaAs基板11と略同じになる。
以上のことから、本実施の形態においては、低屈折率層12と高屈折率層13と略同じP元素の組成を持つ中間層15を入れることによって、低電気抵抗であり、GaAs基板11と格子整合がとれたDBRを作成することが可能となる。
実施の形態4.
本実施の形態では、他の態様である面発光レーザに本発明を適用したものである。図6に、本実施の形態に係る面発光レーザ3の断面層構造を示す。本実施の形態の一例として考えているのは、発振波長が1300nmの面発光レーザである。
GaAs基板21の上に低屈折率層221と高屈折率層222と、それぞれの間に設けられている中間層223とから構成される下部DBR層22が積層されている。構成の一例は、SiドープAlAs0.9820.018層である低屈折率層221とSiドープGaAs0.9820.018層である高屈折率層222と中間層223との一組を基本単位にして35.5ペアで下部DBR層22が積層されている。ここで、低屈折率層221、高屈折率層222、中間層223の位置は上記の関係に限定されない。
さらに、下部DBR層22の上に、共振部30、及び上部DBR27が積層されている。上部DBR27は、下部DBR層22と同様に、低屈折率層271と高屈折率層272と、それぞれの間に設けられている中間層273とから構成される。構成の一例は、CドープAlAs0.9820.018層である低屈折率層271とCドープGaAs0.9820.018層である高屈折率層272と中間層273との一組を基本単位にして15ペアでp型DBR層27が積層されている。ここで、最表面のGaAsP層のCのドーピング濃度は、上部電極29とのコンタクトをよくするため高濃度としている(例えば、2x1019cm−3)。
また、共振部30は、クラッド層23、25(例えば、GaAs層)および活性層24(例えば、1.5%NドープしたGa0.65In0.35NAs、層厚6nm)を有している。活性層24に、電流によるキャリア注入もしくは光によるキャリア励起により、活性層24を発光させる。さらに、共振部30と上部DBR層27の間には、電流狭窄部26が積層されている。電流狭窄部26は、高抵抗層261と狭窄層262から構成される。
電流注入は、上部電極29と下部電極28を通じて注入され、電流狭窄部26(例えば、CドープAlAs層)により狭窄され、活性層24の一部分のみに高い電流密度が生じるように構成している。活性層24で発生した光は下部DBR層22と上部DBR層27により反射され、光共振を起こし、光学利得が損失を上回った時にレーザとして発振する。
本実施の形態に係る半導体レーザ3においては、上下のDBR層22、27における低屈折率層221、271の主な構成元素にAl、As及びPを含み、高屈折率層222、272の主な構成元素にGa、As及びPを含んでいる。また、低屈折率層221、271は、GaAs基板21に対して圧縮性の歪みを有し、高屈折率層222、272は引張性の歪みを有する。また、中間層223、273の主な構成元素は、Al、Ga、As、及びPを含んでいる。
さらに、本実施の形態に係る半導体レーザ3におけるDBR層22、27のV族組成が略同じになっている。DBR層22、27を構成しているV族元素の組成が層全体で同じであるため、V族元素に起因する、V族切り替え時の表面荒れやV族元素の拡散などのヘテロ界面形成時の問題が無い。このことから、界面の凹凸による反射率の悪化等が生じることなく、高品質のDBR層22、27が得られることができる。さらに、DBRの各層の組成は、急峻な組成制御が可能なIII族原子だけで制御できるので界面の設計が容易である。
また、低屈折率層221、271の圧縮性の歪みと高屈折率層222、272の引張性の歪みが略同じにすることによって、DBR層22、27がGaAs基板21と略格子整合するものとなる。ここでいう格子整合とは、低屈折率層221と高屈折率層222の平均格子定数、または、低屈折率層271と高屈折率層272の平均格子定数とGaAs基板21との差が0.01%以下であることである。
このことから、上下のDBR層22、27は、高品質なDBR特性を有し、かつウエハの反りや、ミスフィット欠陥の少ない良好な特性を有するウエハを実現し、それにより素子の歩留まり向上を可能にする。
次に、本実施の形態に係る面発光レーザ3の製造方法の一例を示す。フォトレジストをエピタキシャル成長膜上へ塗布し、円形のレジストマスクを形成する。ついで、ドライエッチングにより、下部DBR層22の表面が露出するまでエッチングを行い、直径約30μmの円柱状構造を形成する。この工程により、電流狭窄部の側面が露出する。そして、水蒸気雰囲気中の炉内において温度約400度で約10分間加熱を行う。
これにより、電流狭窄部26が酸化される。この酸化により、電流狭窄部26の中心部には直径が約8μmの非酸化領域が形成される。電流狭窄部は、電流を非酸化領域とほぼ同じ幅の活性層領域に集中して流すために設けている。
そして、メサ上にチタン(Ti)/金(Au)のリング状の上部電極29を形成する。またn側電極としてAuGe合金の下部電極28を形成する。
本実施の形態に係る面発光レーザ3においては、DBR層22、27の平均格子定数とGaAs基板21の格子定数が、0.01%以内に整合しているため、素子の割り出し工程で基板裏面を150μmに研磨しても、素子の反りは曲率半径で10m以上あり、均一性の高いプロセスを行うことができ、歩留まりが向上している。また、VCSEL素子の信頼性も極めて良好である。
以上のことから、本実施の形態に係る面発光レーザ3においては、V族元素の組成が略等しいDBR層を用いることによって、反射率の高い高品質のDBR層をもつ面発光レーザを得ることができる。さらに、DBR層において、GaAs基板と略格子整合しているため、面発光レーザの製造工程における、GaAs基板の反りが小さく抑制することが可能となり、信頼性の極めて高い面発光レーザを得ることが可能となる。
実施の形態5.
本実施の形態では、高屈折率層と低屈折率層のP元素の組成が、高屈折率層と低屈折率層におけるそれぞれのP元素の取り込みの違いを利用している。構成要素や動作原理で実施の形態4と同様のものは省略し、構成図においては実施の形態4.と同じため、図6を用いる。本実施の形態の一例として考えているのは、発振波長が1300nmの面発光レーザである。
本実施の形態においては、低屈折率層221、271と高屈折率層222、272におけるP元素組成比を、それぞれの層におけるP元素の取り込み量の比にしている。
本実施の形態における特長は、各DBR層を成長する際に、Asを供給するガスとPを供給するガスの流量を一定にした状態で、III族元素を供給するガスの供給量を制御するだけで所望の面発光レーザが得られることである。これにより、V族流量が安定になるまで成長界面で待機する工程などの、各界面でのV族流量調節が不要となり、ガス切り替えなどに起因するヘテロ界面劣化の問題が全くなくなることである。
以上のことから、本実施の形態に係る面発光レーザのDBR層においては、V族元素の組成を、それぞれの層におけるP元素の取り込み量の比にしているため、V族元素の流量を一定にして成長することが可能である。そのため、各界面でのV族流量調節によっておこる界面劣化の問題を解決できる。これらから、信頼性の極めて高い面発光レーザを容易に作成することが可能となる。
実施の形態6.
図7に、本実施の形態に係る面発光レーザ4の断面層構造を示す。構成要素や動作原理で実施の形態4又は5と同様のものは省略する。本実施の形態の一例として考えているのは、発振波長が1300nmの面発光レーザである。
GaAs基板21の上に下部DBR層31が積層されている。本実施の形態においては、下部DBR層31は、アンドープの半導体層からなる低屈折率層321とアンドープの半導体層からなる高屈折率層322から構成される第1の下部DBR層32と、低屈折率層331と高屈折率層332と、低屈折率層331と高屈折率層332の間に設けられた中間層333から構成される第2の下部DBR層33から構成されている。中間層333は、中間層333の上下に位置する層のバンドを滑らかに繋ぐ層であり、電気抵抗を大幅に低下させることができる。
ここで、下部DBR層31を2つの部分に分け、第1の下部DBR層をアンドープ層で作成するのは、以下の理由である。第1の下部DBR層32をアンドープの半導体層で構成したことによって、この部分における光の吸収は略ゼロに等しくなる。しかしながら、アンドープの層を用いることは高抵抗になることに相当する。
そのため、本実施の形態においては、下部電極35を第2の下部DBR層33上に設けている。下部電極35を第2の下部DBR層33上に設けることによって、電流は第2の下部DBR層33内を流れ、高抵抗であるために、第1の下部DBR層32には流れない。
また、第1のDBR層32には電流を流さないため、低屈折率層321と高屈折率層322との間に中間層を設ける必要がない。このため、各層間の屈折率が急峻に変えることができ、中間層を設けた場合に比べて、同数のペア数では反射率を大きくすることができる。また、中間層形成時の精密組成制御の必要もなくなり、結晶成長も容易になる。これらのことによって、高反射率を有する下部DBR層31を得ることができる。
さらに、第1の下部DBR層32においては、P元素を入れることによって、GaAs基板21と略格子整合している。このことによって、多周期のDBR層を作成しても、ウエハの反りが小さく、高均一な面発光レーザデバイスのプロセスが可能となる。
下部DBR層31の構成の一例として、第1の下部DBR層32は、アンドープAlAs0.9820.018低屈折率層321とアンドープGaAs0.9820.018高屈折率層322とを30対積層することで構成されている。
また、第2の下部DBR層33は、SiドープAl0.9Ga0.1As低屈折率層331とSiドープGaAs高屈折率層332と中間層333を一組として、5.5組で構成されている。中間層333は、AlとGaの組成を変化させたSiドープAlGaAs層(P消去)から構成されている。
第2の下部DBR層33をGaAs層やAlGaAs層で作成したのは、基板の反りに大きく影響を及ぼすのが第1の下部DBR層であるため、第1の下部DBR層をGaAs基板21に格子整合させることによって、第2の下部DBR層33は、格子整合させなくても基板の反りに影響が及ぼされないためである。また、従来技術で用いられているAlGaAs系DBRで構成されているため、低抵抗DBRが容易に形成できるためである。
下部DBR層31の上に、活性層24を含む共振部30と、活性層24に流れる電流を狭窄する電流狭窄部26と上部DBR層34とが積層されている。本実施の形態においては、上部DBR層34は、(上部DBR層34が、を消去)低屈折率層341と高屈折率層342と、低屈折率層341と高屈折率層342の間に設けられた中間層343から構成される。
上部DBR層34の構成の一例は、CドープGaAs層である低屈折率層341とCドープAlGaAs層である高屈折率層342と中間層との一組を基本単位にして15ペアで上部DBR層34が積層されている。ここで、最表面のGaAs層のCのドーピング濃度は、金属とのコンタクトをよくするため2x1019cmと高濃度にした。上部DBR層34においても、第2の下部DBR層33と同様にAlGaAs系DBRで構成されている。
以上のことから、本実施の形態においては、アンドープ歪補償DBR層を下部DBR層の一部に用いたことにより、歪みの少なく反射率の高い高品質のDBR層を持つ面発光レーザを作成することが可能である。さらに、均一性の高いプロセスを行うことが可能となり、歩留まりが向上する。
実施の形態7.
図8に、本実施の形態に係る面発光レーザ5の断面層構造を示す。構成要素や動作原理で実施の形態4、5、及び6と同様のものは省略する。本実施の形態の一例として考えているのは、発振波長が1300nmの面発光レーザである。
本実施の形態においては、上部DBR層36がアンドープ層によって作成されている。アンドープ層が電気抵抗の高い層であるため、電流注入を電流狭窄部26の上にコンタクト層37を設け、その上に上部電極29を配置する。このようにすることによって、高反射率を持つ上部DBR層36を得ることができる。
さらに、第1の下部DBR層における低屈折率層321、高屈折率層322にP元素を添加することによって、GaAs基板21と略格子整合している。このことによって、多周期のDBR層を作成しても、ウエハの反りが小さく、高均一な面発光レーザデバイスのプロセスが可能となる。
本実施の形態においては、上部DBR層36と第1の下部DBR層32に電流を流さないため、低屈折率層321、361と高屈折率層322、362の間に中間層を設ける必要がない。このため、各層間の屈折率が急峻に変えることができ、中間層を設けた場合に比べて、同数のペア数では反射率を大きくすることができる。さらに、中間層形成時の精密組成制御の必要もなくなり、結晶成長も容易になる。
以上のことから、本実施の形態においては、アンドープ歪補償DBR層を上部DBR層に用いたことにより、歪みの少なく反射率の高い高品質のDBR層を持つ面発光レーザを作成することが可能である。さらに、均一性の高いプロセスを行うことが可能となり、歩留まりが向上する。
本発明は、上述の実施の形態に具体的に示した構成、方法に限定されるものではなく、発明の趣旨に沿うものであれば種々のバリエーションが考えられる。例えば、前述の実施例においては、活性層の材料としてノンドープGaInNAsを用いたが、本発明は、これらに限られず、GaInNAsSb、GaInNAsBi、InAs量子ドット、GaAsSb、GaNAsSb等を用いてもよく、またGaAsやInGaAsを用いて近赤外用のVCSELを構成することもできる。また、これらの活性層の材料に応じて、DBR層の周期数を含めたそれぞれの層の厚みを適宜選択、設定できることはいうまでもない。また、DBRの構成要素に少量のInが入っても構わない。
さらに、本発明の技術思想は、本実施の形態に記載したVCSELに限られるわけではなく、例えば面型光変調器や面型光増幅器にも適用することができる。
実施の形態1、2に係る半導体積層構造の構成図 実施の形態1におけるGaAs(004)面のピーク近傍のω−2θX線回折スペクトル 実施の形態2におけるGaAs(004)面のピーク近傍のω−2θX線回折スペクトル 実施の形態3に係る半導体積層構造の構成図 実施の形態3におけるGaAs(004)面のピーク近傍のω−2θX線回折スペクトル 実施の形態4、5における面発光レーザの構成図 実施の形態6における面発光レーザの構成図 実施の形態7における面発光レーザの構成図 ウエハの曲率半径のDBRペア数依存性
符号の説明
11 GaAs基板 12 低屈折率層 13 高屈折率層
14 半導体多層膜ブラッグ反射鏡(DBR) 15 中間層
16 半導体多層膜ブラッグ反射鏡(DBR)
21 基板 22 下部DBR層 23 クラッド層 24 活性層 26 電流狭窄部
27 上部DBR層 28 下部電極 29 上部電極 30 共振部
31 下部DBR層 32 第1の下部DBR層 33 第2の下部DBR層
34 上部DBR層 35 下部電極 36 上部DBR層
37 コンタクト層
221、271、321、331、341 低屈折率層
222、272、322、332、342 高屈折率層
223、273、333、343 中間層
261 高抵抗層 262 狭窄層

Claims (9)

  1. GaAs基板上に、低屈折率層と高屈折率層とを有する半導体多層膜ブラッグ反射鏡が形成された半導体積層構造であって、
    前記低屈折率層は、構成元素としてAl、As及びPを含み、前記GaAs基板に対して圧縮性の歪みを有し、
    前記高屈折率層は、構成元素としてGa、As及びPを含み、前記GaAs基板に対して引張性の歪みを有することを特徴とする半導体積層構造。
  2. 前記半導体多層膜ブラッグ反射鏡の平均格子定数と前記GaAs基板の格子定数の差が0.01%以内であることを特徴とする請求項1に記載の半導体積層構造。
  3. 前記低屈折率層のP組成と前記高屈折率層のP組成の差が、0.02以下である請求項2に記載の半導体積層構造。
  4. 前記低屈折率層のP組成と前記高屈折率層のP組成の比が、前記低屈折率層のP元素の取り込み係数と前記高屈折率層のP元素の取り込み係数との比であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体積層構造。
  5. 前記低屈折率層と前記高屈折率層との間に中間層を有し、
    前記中間層の構成元素として、Al、Ga、As及びPを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の半導体積層構造。
  6. 前記低屈折率層がAl1−x1Gax1As1−y1y1(0≦x1<0.5、0<y1≦0.04)であって、
    前記高屈折率層がGa1−x2Alx2As1−y2y2(0≦x2<0.5、y2>0)であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の半導体積層構造。
  7. 前記低屈折率層がAlAs1−y1y1(0<y1≦0.04)であって、
    前記高屈折率層がGaAs1−y2y2(y2>0)であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の半導体積層構造。
  8. GaAs基板上に、
    第1導電型の多層膜ブラッグ反射鏡層、活性層、第2導電型の多層膜ブラッグ反射鏡層が積層された面発光レーザであって、
    前記第1導電型の多層膜ブラッグ反射鏡層の少なくとも一部又は/及び前記第2導電型の多層膜ブラッグ反射鏡層の少なくとも一部が、請求項1から請求項7の半導体積層構造から形成されることを特徴とする面発光レーザ。
  9. 前記第1導電型の多層膜ブラッグ反射鏡層の少なくとも一部又は/及び前記第2導電型の多層膜ブラッグ反射鏡層の少なくとも一部が、アンドープ層からなることを特徴とする請求項8に記載の面発光レーザ。
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