JP2009288136A - ナビゲーション装置、その方法及びそのプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】外部から受信するリンク旅行時間情報の適用範囲を広げることにより、側道への通過交通の誘導を抑止すると同時に、交通状況に関する情報を正確にユーザに提示する性能を維持するナビゲーション装置、方法及びナビゲーションプログラムを提供する。
【解決手段】コスト倍率値計算部25は、本線リンクのリンク旅行時間コストとデフォルトコストとを対比することでリンク旅行時間情報を取得した時点での本線リンクのコスト倍率値を求める部分である。また、側道リンクの推定旅行時間コスト計算部26は、側道リンクのデフォルトコストにコスト倍率値を掛けることで、側道リンクの推定リンク旅行時間コストを割り出すようになっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、リンク旅行時間情報を含む道路交通情報を外部から受信して経路探索を行うナビゲーション技術に係り、特に、前記リンク旅行時間情報を正確に反映させた経路誘導を実現しつつ、本線リンクに対して存在する側道リンクへの迂回誘導を回避可能なナビゲーション装置、その方法及びそのプログラムに関するものである。
近年、車載用をはじめとして、経路誘導を行うナビゲーション装置が広く普及している。ナビゲーション装置とは、道路データが含まれる地図情報をDVDやHDD等に記憶しておき、前記道路データに基づいて、GPSセンサ等により逐次検出される自車位置もしくは所定の出発地から、ユーザにて指定された目的地へと向かう最適な経路を探索し、特定の表示や音声合成等を用いて、探索経路の誘導案内を行う装置である。
一般に、ナビゲーション装置ではダイクストラ法などの経路探索アルゴリズムを用いている。ダイクストラ法は、道路を複数の道路リンクに分割し、各道路リンクについて、道路リンクの種別や長さなどから道路リンクのコスト値を計算し、そのコスト値の総和がもっとも小さくなるような道路リンクの連続を最適経路として決定するものである。道路リンクの種別及び長さなどのデータは、予めデフォルト値として規定されるので、このデフォルト値から計算したコスト値をデフォルトコストと呼ぶ。
また、ナビゲーション装置が経路を探索する際、道路リンクの種別や長さといった固定された情報に代えて、時間と共に変化する道路リンクのリンク旅行時間情報を適用した技術が提案されている(例えば、特許文献1)。道路リンクのリンク旅行時間情報とは、道路交通情報通信システム(VICS;Vehicle Information and Communication System 財団法人道路交通情報通信システムセンターの登録商標)により配信される道路交通情報(以下、VICS情報)に含まれる情報の1つである。
リンク旅行時間情報は、自車が、ある道路リンクに進入してその道路リンクを通り抜けるまでにかかる予想所要時間を示すものであって、一般道では光ビーコンを用いて、高速道路では電波ビーコンを用いて配信されている。また、道路の種別を問わず広域にFM多重放送波を用いても配信されている。
リンク旅行時間情報は、経路探索に際して、交通状況によって変化するデータであり、VICSがリンク旅行時間情報のデータ内容を更新することで、ほぼリアルタイムに交通状況をユーザに提示している。例えば、渋滞度のレベルとしては、「渋滞」、「混雑」、「順調」等の交通状況があるが、交通状況が「順調」であれば道路リンクのリンク旅行時間が20秒である旨のデータ配信を行い、この道路リンクの渋滞が激しくなり、交通状況が「渋滞」となればリンク旅行時間が60秒かかるといったデータ配信を行うようになっている。
以上のようなリンク旅行時間情報に基づいて、計算される道路リンクのコスト値をリンク旅行時間コストと呼んでいる。このリンク旅行時間コストを利用して経路探索を行うナビゲーション技術では、道路リンクの長さ等、空間的なデータを元にしたデフォルトコストを用いるのではなく、交通状況を反映した時間的なデータを考慮してコスト値を割り出すことができる。そのため、刻々と変化する交通状況をリアルタイムで把握可能であり、最短時間で目的地に到達できる経路を確実に探索することができる。
しかしながら、リンク旅行時間情報を含むVICS情報は、経路探索に必要な全ての道路リンクに対して配信される情報ではなく、一部の道路リンクに限られている。ここで、道路リンクの種別について説明する。道路リンクの種別は、リンク属性とも呼ばれており、2種類のカテゴリが設定されている。1つは高速道/都市高速道/一般国道/市道/細街路といった幹線性から分類されるカテゴリであり、もう1つは本線/側道といった道路利用上の性質から分類されるカテゴリである。
幹線性から分類される道路リンクのうち、VICS情報の配信対象は、幹線道路(高速道、都市高速道、幹線一般道)であって、その他の道路(市道や細街路)はVICS情報の配信対象外である。また、道路利用上の性質から分類される道路リンクに関しては、本線リンクはVICS情報の配信対象となっているが、側道リンクは配信対象となっていない。
VICS情報が配信されていない種別の道路に関しては、VICS情報に含まれるリンク旅行時間情報も得ていないので、リンク旅行時間情報の存在しない道路リンク、すなわち市道や細街路及び側道といった道路種別の道路リンクでは、そのコスト値を計算する場合には、従来どおり、道路リンクの種別及び長さに基づいたデフォルトコスト値を計算するほかない。
ところで、VICS情報の配信対象外である道路種別のうち、側道とは、本線と並行に走る道路のことであり、本線との方位差が一定以下であることや、本線への進入角度が一定値以下であることなどから、本線リンクに対して存在するものとして定義されている。この側道は、道路利用上の性質により分類されるカテゴリに属することからも明らかなように、側道を含む生活圏の利便のために設けられた生活道路として認識されている。
このような生活道路である側道を誘導経路として選択する際、そこを通過するためだけの通過交通として利用することは、道路交通法などの法令に反するものではないが、地域の交通量をいたずらに増やすことになりかねず、望ましくない。
以上の点を踏まえて、ナビゲーション技術には、側道リンクを通過交通として利用しないような経路誘導が望まれている。もっとも、側道リンクは、本線リンクと並行に走っているとはいっても、生活圏に入り込む分、本線リンク側よりも道路リンク長が長いケースがほとんどである。そのため、道路リンクの長さから導かれる側道リンクのデフォルトコストは通常、本線リンクのデフォルトコストよりも大きくなる。したがって、側道リンクが最短経路に組み込まれることは少ないと言える。
しかし、本線が住宅地を大きく回り込んでいる場合等では、本線リンクのデフォルトコストが側道リンクのデフォルトコストを上回ることがあり、このケースでは、側道リンクを通過するだけの経路が、誘導経路として選択されてしまう。側道リンクのデフォルトコストが本線リンクのデフォルトコストよりも小さいということは、生活道路である側道が抜け道・近道として頻繁に利用される可能性が高い。したがって、このような側道リンクへの誘導案内は、ローカルな交通状況の悪化を助長させるおそれがあり、問題となっていた。
そこで、側道リンクを通過交通として利用することを、確実に抑止可能なナビゲーション技術の確立が、社会的に強く要請されており、この要請に応えたナビゲーション装置が提案されている。例えば、特許文献2では、側道リンクを検出する手段を有し、側道リンクであることを検出した場合には所定量のコストを加算するように構成したナビゲーション装置を提案している。
側道リンクへの加算コストに関して具体的な数値を挙げると、1mあたりのデフォルトコスト率を、本線リンク側を100として、側道リンク側を150とする。このとき、本線リンクの道路リンク長さを400m、側道リンクの道路リンク長さは、本線リンクよりも短い300mとしても、本線リンクのデフォルトコストは400×100=40000、側道リンクのデフォルトコストは300×150=45000となる。
したがって、本線リンクを通らずに側道リンクを通り抜けるといった経路は、コスト値の総和が大きくなる。その結果、ナビゲーション装置が側道リンクを誘導経路として選ぶことがない。このようなナビゲーション装置によれば、地域の生活道路である側道を、通過のためだけに利用させるといった社会的に不適切な経路誘導を行うことがなく、ローカルな交通状況に悪影響をもたらす心配がない。
ところが、ナビゲーション装置の経路探索に際して、道路リンクのデフォルトコストではなく、リンク旅行時間コストを用いた場合には、上記の従来技術は有効に作用しない点が問題となっている。すなわち、本線リンク側の渋滞が激しくなって、VICS情報として配信される本線リンクのリンク旅行時間情報の値が大きくなると、当該本線リンクに対して存在する側道リンクのデフォルトコスト値を、大きく上回ってしまうことがある。
このような事態を避けるために、側道リンクに加算されるコスト量を大きく増やして、側道リンクのデフォルトコストが本線リンクのリンク旅行時間コストを上回るようにすることも考えられるが、側道リンクのデフォルトコストを、どこまで大きくするかの判断は難しく、過度に側道リンクのコスト量を増大させることは現実的ではなく、ナビゲーション性能の低下を招く可能性がある。
そこで、側道に対する通過交通の誘導を防ぐべく、次のような手法が知られている。すなわち、本線リンクのコスト値には予め上限値を設けておき、本線リンク側に付与されるリンク旅行時間コストに関係なく、本線リンクのコスト値は、必ず、同一の幹線性カテゴリ・同一の道路リンク長さの側道リンクのデフォルトコスト未満とする。また、側道リンクは本線のリンク旅行時間情報を受信しても無視するようにする。
以上の手法を採るナビゲーション技術によれば、本線リンク側のコスト値に上限値を設定したことで、仮に、渋滞などを原因として前記本線リンクのリンク旅行時間コストが大きくなったとしても、これに左右されることなく、本線リンクのコスト値は側道リンクのコスト値を上回ることがない。したがって、単に通過するだけの経路として側道リンクが選択されることはなく、通過交通となる側道への誘導を確実に防ぐことができる。
特許第3472896号 特開2000−292188号
しかしながら、上記のナビゲーション技術においては、通過交通となる側道への誘導は回避できるものの、下記のような課題が指摘されていた。すなわち、実際には渋滞が激しくリンク旅行時間コストが大きくなっている本線リンクに関して、コスト値に上限値を設定したことで、重度の渋滞状況を正確に反映できないことになる。
つまり、リアルタイムに交通状況を把握することを目的として、せっかくVICS情報を受信しているにもかかわらず、そこに含まれるリンク旅行時間情報を十分に活かしていないことになる。このように、本線リンクのコスト値に上限値を設定すると、上限値を超えた状態の渋滞状況をユーザに伝えることができなくなる。
このため、ユーザは、本線が軽度の渋滞であるとの認識を持ったまま、重度の渋滞状況にある本線に進入することになる。このような交通状況に対する認識の齟齬は、ユーザに渋滞の度合いをより重く感じさせることになり、ナビゲーション技術に対する不満を誘発させる要因になりかねない。したがって、ナビゲーション技術に対しては、通過交通となる側道への誘導を確実に防止するだけではなく、交通状況に関する情報を正確にユーザに提示する性能を維持することが求められていた。
本発明は、上記のような状況を鑑みて提案されてものであり、その目的は、外部から受信するリンク旅行時間情報の適用範囲を広げることにより、側道への通過交通の誘導を抑止すると同時に、交通状況に関する情報を正確にユーザに提示する性能を維持することが可能であるナビゲーション装置、方法及びナビゲーションプログラムを提供することにある。
上述した目的を達成するために、請求項1の本発明は、地図情報と、少なくとも本線リンク及び側道リンクを含む道路リンクの種別を示す道路リンクの種別情報と、道路リンクの長さ情報を記憶する記憶手段と、前記道路リンクの種別情報及び長さ情報に基づいて、前記本線リンク及び前記側道リンクにおけるデフォルトコストを計算するデフォルトコスト計算手段と、外部から与えられる道路交通情報に含まれるリンク旅行時間情報を取得するリンク旅行時間情報取得手段と、前記リンク旅行時間情報に基づいて前記道路リンクのリンク旅行時間コストを計算するリンク旅行時間コスト計算手段と、自車位置を検出する自車位置検出手段と、前記デフォルトコスト計算手段が計算したデフォルトコスト又は前記リンク旅行時間コスト計算手段が計算した前記リンク旅行時間コストに基づいて、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段が探索した経路に基づき経路の誘導案内を制御する案内制御手段、が具備されたナビゲーション装置において、前記リンク旅行時間情報を取得した前記本線リンクに関して、前記リンク旅行時間コスト計算手段が計算した当該本線リンクのリンク旅行時間コストと、前記デフォルトコスト計算手段が計算した当該本線リンクのデフォルトコストとを対比することにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記本線リンクのコスト倍率値を求めるコスト倍率値計算手段と、前記デフォルトコスト計算手段が計算した前記側道リンクのデフォルトコストに、前記コスト倍率値計算手段が計算した前記コスト倍率値を乗じることにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記側道リンクにおける推定リンク旅行時間コストを計算する側道リンクの推定リンク旅行時間コスト計算手段が設けられ、前記経路探索手段は、前記本線リンクのリンク旅行時間コスト及び前記側道リンクの推定リンク旅行時間コストに基づいて経路を探索するように構成されたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は請求項1の発明を方法の観点から捉えたものである。すなわち、コンピュータを利用することにより、地図情報と、少なくとも本線リンク及び側道リンクを含む道路リンクの種別情報と、道路リンクの長さ情報を記憶する記憶ステップと、前記道路リンクの種別情報及び長さ情報に基づいて、前記本線リンク及び前記側道リンクにおけるデフォルトコストを計算するデフォルトコスト計算ステップと、外部から与えられる道路交通情報に含まれるリンク旅行時間情報を取得するリンク旅行時間情報取得ステップと、前記リンク旅行時間情報に基づいて前記道路リンクのリンク旅行時間コストを計算するリンク旅行時間コスト計算ステップと、自車位置を検出する自車位置検出ステップと、前記デフォルトコスト計算ステップで計算したデフォルトコスト又は前記リンク旅行時間コスト計算ステップで計算した前記リンク旅行時間コストに基づいて、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、前記経路探索ステップで探索した経路に基づき経路の誘導案内を制御する案内制御ステップ、を含むナビゲーション方法において、前記リンク旅行時間情報を取得した前記本線リンクに関して、前記リンク旅行時間コスト計算ステップにて計算した当該本線リンクのリンク旅行時間コストと、前記デフォルトコスト計算ステップにて計算した当該本線リンクのデフォルトコストとを対比することにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記本線リンクのコスト倍率値を求めるコスト倍率値計算ステップと、前記デフォルトコスト計算ステップにて計算した前記側道リンクのデフォルトコストに、前記コスト倍率値計算ステップにて計算した前記コスト倍率値を乗じることにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記側道リンクにおける推定リンク旅行時間コストを計算する側道リンクの推定リンク旅行時間コスト計算ステップ、を含み、前記経路探索ステップでは、前記本線リンクのリンク旅行時間コスト及び前記側道リンクの推定リンク旅行時間コストに基づいて経路を探索することを特徴とするものである。
さらに、請求項6の発明は請求項1、5の発明に係るナビゲーション装置及びその方法に関して、プログラムの観点から捉えたものである。すなわち、コンピュータを利用することにより、地図情報と、少なくとも本線リンク及び側道リンクを含む道路リンクの種別を示す道路リンクの種別情報と、道路リンクの長さ情報を記憶する記憶機能と、前記道路リンクの種別情報及び長さ情報に基づいて、前記本線リンク及び前記側道リンクにおけるデフォルトコストを計算するデフォルトコスト計算機能と、外部から与えられる道路交通情報に含まれるリンク旅行時間情報を取得するリンク旅行時間情報取得機能と、前記リンク旅行時間情報に基づいて前記道路リンクのリンク旅行時間コストを計算するリンク旅行時間コスト計算機能と、自車位置を検出する自車位置検出機能と、前記デフォルトコスト計算機能にて計算したデフォルトコスト又は前記リンク旅行時間コスト計算機能にて計算した前記リンク旅行時間コストに基づいて、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索機能と、前記経路探索機能で探索した経路に基づき経路の誘導案内を制御する案内制御機能、をコンピュータに実現させるナビゲーションプログラムにおいて、前記リンク旅行時間情報を取得した前記本線リンクに関して、前記リンク旅行時間コスト計算機能にて計算した当該本線リンクのリンク旅行時間コストと、前記デフォルトコスト計算機能にて計算した当該本線リンクのデフォルトコストとを対比することにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記本線リンクのコスト倍率値を求めるコスト倍率値計算機能と、前記デフォルトコスト計算機能にて計算した前記側道リンクのデフォルトコストに、前記コスト倍率値計算機能にて計算した前記コスト倍率値を乗じることにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記側道リンクにおける推定リンク旅行時間コストを計算する側道リンクの推定リンク旅行時間コスト計算機能、をコンピュータに実現させ、前記経路探索機能では、前記本線リンクのリンク旅行時間コスト及び前記側道リンクの推定リンク旅行時間コストに基づいて経路を探索することをコンピュータに実現させることを特徴としている。
以上のような請求項1、5、6の発明では、コスト倍率値計算手段によってリンク旅行時間情報を取得した時点での本線リンクのコスト倍率値を求め、側道リンクの推定旅行時間コスト計算手段において、側道リンクのデフォルトコストに前記コスト倍率値を掛けることで、側道リンクの推定リンク旅行時間コストを割り出すことができる。
すなわち、本線リンクのリンク旅行時間情報から求めた本線リンクのコスト倍率値を側道リンクに適用し、側道リンクにおける推定リンク旅行時間コストを導くことで、本線リンク側の交通状況を側道リンク側にも反映することができる。そのため、本線リンク側が渋滞していれば、同様のコスト倍率値を持つ側道リンクもコスト値が増大することになる。
これにより、側道リンクを通過交通として利用するような誘導を回避することが可能である。しかも、側道リンク側への誘導回避に際して、本線リンク側のコスト値に対する上限値設定を行っていないので、外部から受信する本線リンクのリンク旅行時間情報について、その情報を加工することなく、そのままユーザに提示することができ、ユーザは渋滞状況等を正確に把握することが可能となる。
請求項2の発明では、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記経路探索手段にて探索経路中の道路リンクが前記側道リンクであるかどうかを判定する側道リンク判定手段が設けられたことを特徴とする。このような請求項2の発明においては、側道リンク判定手段が探索経路に含まれる道路リンクが側道リンクであるかどうかを即座に判断できるため、側道リンクの推定リンク旅行時間コストを計算する際の処理時間の高速化を進めることができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記コスト倍率値計算手段が計算した前記コスト倍率値を記憶するコスト倍率値記憶手段が設けられたことを特徴としている。以上の請求項3の発明では、コスト倍率値記憶手段にてコスト倍率値を記憶しておけるので、コスト倍率値記憶手段からコスト倍率値を取り出し、側道リンクの推定リンク旅行時間コストの計算時に簡単に適用することができ、計算処理の負担軽減が可能である。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記リンク旅行時間情報取得手段は、前記リンク旅行時間情報を持つ光/電波ビーコン又はFM多重放送を受信するように構成されたことを特徴とするものであって、確実にリンク旅行時間情報を取得することができる。
本発明によれば、外部から受信する本線リンクのリンク旅行時間情報を利用して、側道リンクにおける推定リンク旅行時間コストを求めることによって、本線リンクのリンク旅行時間情報の適用範囲を広げつつ、側道への通過交通の誘導を抑止できると共に、本線リンクのリンク旅行時間情報に対して余分な加工を施す必要がなく、正確な交通状況をユーザに提示する性能を維持可能である。
以下、本発明に係る実施形態の一例について、図1〜図5を参照して具体的に説明する。図1は本実施形態における各機能を実現する仮想的回路ブロックの構成図、図2は本実施形態の概略の説明図、図3は本実施形態の要部における仮想的回路ブロックの構成図、図4は本実施形態の動作を説明するためのフローチャート、図5は道路リンクの説明図である。
なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現するが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能であり、さらに、道路データをはじめ各種データを含む地図情報や、経路計算のためのアルゴリズムに関しても適宜選択自由である。
また、本発明は、ナビゲーション装置及びその方法に加えて、上記プログラム、さらには、そのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体としても把握可能であり、プログラムはナビゲーション装置に組み込まれたCPUや各種チップセットといった物理的な処理装置を活用することで、本発明の作用効果を実現する。
(1)本実施形態の構成
(1−1)全体構成
図1に示す本実施形態のナビゲーション装置1の概略は、以下の通りである。すなわち、ナビゲーション装置1では、VICS情報に含まれる本線リンクのリンク旅行時間情報を取得して本線リンクのコスト倍率値を求めておき、その上で、このコスト倍率値を利用して側道リンクのリンク旅行時間コストを割り出すようになっている。
そして、本線リンク及び側道リンクについてのリンク旅行時間コストを用いて経路探索を行うことにより、通過交通となる側道リンクへの誘導を防ぐと同時に、本線リンクのリンク旅行時間情報を正確に反映させつつ、本線リンクへの誘導を実現するものである。
ここで、本実施形態の概略について、リンク旅行時間コストを道路リンクの旅行時間といった観点から説明する。例えば、本線リンク側の旅行時間が20秒、側道側の旅行時間の和が30秒であると仮定としたとき、本線リンクに『通過に通常の3倍時間がかかります』といったVICS情報が与えられたとする。この場合、本線側の旅行時間が3倍の60秒となった場合、側道側の推定旅行時間も通常の3倍である90秒という値を受信したものとみなすようにしたものである(図2参照)。
(1−2)各部の構成
続いて、このような概略を持つナビゲーション装置1において、各機能を実現する仮想的回路ブロックについて説明する。
図1に示すように、ナビゲーション装置1には、HDD制御部2、GPSレシーバ3、ジャイロ4、車速パルスセンサ5、バック信号センサ6、リモコン受光部7、液晶ディスプレイ9、ROM10、RAM11、CPU12、FM多重受信・処理部13、光/電波ビーコン受信・処理部14、スピーカ15が設けられている。また、ナビゲーション装置1とは独立して、リモコン受光部7に信号を送るリモコン8が設けられている。
(1−2−1)HDD制御部
HDD制御部2は、ハードディスク(大容量記憶装置)に記録されたナビゲーションプログラムなど各種データをデータベースから読み出す手段であり、データベースには経路探索用の道路データを含む地図情報等が格納されている。
データベースに格納された地図情報には、地図上の地点に関する各種地点情報が含まれている。この地点情報には、地点の座標、地点の名称、地点の種類、住所、電話番号等の検索リスト用のデータ、その地点が接している道路の種別等も含まれている。また、ナビゲーションプログラムに必要なインタフェース用のデータとして、メニュー、リスト、ボタン、案内表示(方位、距離、時刻等)、各種マーク(ランドマーク、アイコン、現在位置、走行軌跡等)等が含まれている。
さらに、上述のプログラムやデータの格納場所は、種々の記憶媒体を利用可能であって、一部若しくは全部をどの記憶媒体に格納するかは、自由に設計可能である。従って、メインプログラムばかりでなく、ナビゲーションのインタフェース用のデータの一部を、ROM10にあらかじめ格納しておいてもよい。また、ハードディスクを用いる構成ではなく、CD−ROM制御部、DVD−ROM制御部等が、CD−ROM、DVD−ROMから読み出したデータを利用する構成であってもかまわない。
(1−2−2)自車位置検出手段
GPSレシーバ3、ジャイロ4、車速パルスセンサ5、バック信号センサ6は、自車位置を逐次検出するための自車位置検出手段である。GPSレシーバ3は、GPS衛星から送られてくるGPS電波を受信する部分であり、ジャイロ4は自車の相対的な方位を検出する部分である。また、車速パルスセンサ5は、自車より得られる車速パルスを処理することで自車の速度計算を行うようになっている。バック信号センサ6は自車のバック走行をバック信号として検出する部分である。
(1−2−3)入出力手段
さらに、リモコン受光部7、リモコン8、タッチパネル式の液晶ディスプレイ9は、ユーザからの命令要求等を入力するための入力手段である。これらの入力手段は、内部に組み込まれたI/O制御回路やデバイスドライバなどを使って、出力手段である液晶ディスプレイ9、スピーカ15と、CPU12との間で信号のやり取りを行うように構成されている。
液晶ディスプレイ9が出力手段として機能する場合、その表示画面上に、地図や経路、操作メニュー、検索リスト及び地点情報など各種の情報が、視覚的に提示される。スピーカ15は合成音声の出力により誘導案内を行う役割を果たしている。
(1−2−4)記憶手段及び制御手段
記憶手段としてROM10及びRAM11が設けられ、制御手段としてCPU12が設けられている。ROM10は経路探索プログラムを含むナビゲーションプログラムを格納する部分であって、該プログラムはナビゲーション装置1の起動時に必要に応じてRAM11に展開される。CPU12は、本装置1を制御する制御回路の役割を果たす部分であり、本実施形態の特徴的な構成を含む部分である。このCPU12の機能を示す仮想的なブロックに関しては、図3を用いて後段で詳述する。
(1−2−5)VICS情報受信・処理手段
FM多重受信・処理部13は、FM放送波を受信してこの放送波からVICS情報など所望のデータを取り出す処理を行う部分である。また、光/電波ビーコン受信・処理部14は、路肩などに設置された光ビーコンや電波ビーコンから、各ビーコンの識別情報やVICS情報を受信及び処理する部分である。
(1−3)CPUの構成
続いて、本実施形態の特徴的な構成を含むCPU12について、図3を用いて詳しく説明する。CPU12は、上記のプログラムの作用によって、下記の各部分としての役割を実現するように構成されている。
(1−3−1)目的地指定部20
目的地指定部20は、入力手段であるリモコン8やタッチパネル式の液晶ディスプレイ9を介して行われる施設検索や地図上でのカーソル指定などによって、目的地の指定を受け付ける部分である。
(1−3−2)自車位置特定部21
自車位置特定部21は、自車位置を逐次計算する部分であって、具体的にはGPS航法測位と自律航法測位とを組み合わせることで自車位置を計算する。GPS航法測位とは、GPS衛星からのGPS電波に基づいてGPSレシーバ3から得られる情報を使って現在位置を計算することである。また、自律航法測位では、地磁気及び自車の速度に基づいてジャイロ4及び車速パルスセンサ5から得られる情報を使って現在位置を計算している。
(1−3−3)リンク旅行時間情報取得部22
リンク旅行時間情報取得部22は、FM多重受信・処理部13又は光/電波ビーコン受信・処理部14を通じて得られるVICS情報の中から、リンク旅行時間情報を取得する部分である。なお、VICS情報の配信対象となる道路リンクは、前述したごとく、幹線道路(高速道、都市高速道、幹線一般道)に属する道路リンク及び本線リンクである。
(1−3−4)デフォルトコスト計算部23
デフォルトコスト計算部23は、道路データに包含される道路リンクの種別や長さから、各道路リンクのデフォルトコストを計算する部分である。
(1−3−5)リンク旅行時間コスト計算部24
リンク旅行時間コスト計算部24は、リンク旅行時間情報取得部22が取得したリンク旅行時間情報に基づいて、道路リンクのリンク旅行時間コストを計算する部分である。
(1−3−6)コスト倍率値計算部25
コスト倍率値計算部25は、本実施形態の特徴的な構成要素であって、リンク旅行時間情報を取得した時点での本線リンクのコスト倍率値を求める部分である。このとき、コスト倍率値は、リンク旅行時間コスト計算部24が計算した当該本線リンクのリンク旅行時間コストと、デフォルトコスト計算手部23が計算した当該本線リンクのデフォルトコストとを対比することで求められる。つまり、本線リンクのコスト倍率値とは、本線リンクがリンク旅行時間情報を持たない場合に比べて、何%重くなっているかという比率である。また、コスト倍率値計算部25が計算したコスト倍率値はRAM11に記憶される。
(1−3−7)推定リンク旅行時間コスト計算部26
推定リンク旅行時間コスト計算部26は、デフォルトコスト計算部23が計算した側道リンクのデフォルトコストに、コスト倍率値計算部25が計算したコスト倍率値を乗じることにより、側道リンクの推定リンク旅行時間コストを計算する部分である。
(1−3−8)経路探索部27
経路探索部27は、道路リンクを抽出した上で、デフォルトコスト計算部25が計算した本線リンク及び側道リンクのデフォルトコスト又はリンク旅行時間コスト計算部24が計算した本線リンクにおけるリンク旅行時間コスト、並びに推定リンク旅行時間コスト計算部26が計算した側道リンクにおける推定リンク旅行時間コストに基づいて、出発地から目的地までの経路を探索する部分である。なお、出発地は、自車位置であってもよいし、ユーザの指定した場所など任意の場所であっても構わない。
(1−3−9)案内制御部28
案内制御部28は、経路探索部27が探索した経路に基づいて経路の誘導案内を制御する部分であり、経路のうち表示する部分や点滅強調などの態様の決定や、合成音声の併用等を制御している。
(1−3−10)側道リンク判定部29
側道リンク判定部29は、経路探索部27にて探索経路中の道路リンクに含まれる各道路リンクについて、側道リンクの判定を行う部分である。具体的には、本線リンクとの方位差が一定値以下であるかどうか、あるいは本線リンクへの進入角度が一定値以下であるなどによって、当該道路リンクが側道リンクであるかどうかを判定するようになっている。
(2)本実施形態の動作
(2−1)動作の概要
次に、以上の構成を有する本実施形態の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。
すなわち、上記の構成を有するナビゲーション装置1では、VICSシステムにより随時配信されるVICS情報を、FM多重受信・処理部13又は光/電波ビーコン受信・処理部14を通して受信し、受信したVICS情報に含まれるリンク旅行時間情報を、RAM11上に記憶しておく(ステップS101)。
そして、リモコン8あるいはタッチパネル式の液晶ディスプレイ9を介して、ユーザからの要求等のイベント発生によって経路探索処理を開始すると、自車位置と目的地を求める(ステップS102)。ここではまず、自車位置特定部21が自車位置検出手段(GPSレシーバ3、ジャイロ4、車速パルスセンサ5、バック信号センサ6等の)からの信号データを受け取り、自車位置特定部21はこれらの信号データに基づいて自車位置を計算する。また、目的地指定部20ではユーザにより指定された目的地を求める。
さらに、自車位置周辺・目的地周辺及びその間に位置する必要な場所を含む道路リンクのデータに関して、HDD制御部2がハードディスクに記録されたデータベースから取り出し、RAM11がこのデータを読み込む(ステップS103)。
RAM11が読み込んだ道路リンクのデータの中から、経路探索部27は、自車位置にもっとも近い道路リンク及び目的地にもっとも近い道路リンクを抽出し(ステップS104)、甲種経路候補としてRAM11に記憶する(ステップS105)。次に、経路探索部27は、甲種経路候補の中からもっとも経路として有力と判断した道路を一つ選んで、この道路を乙種経路候補としてRAM11に記憶する(ステップS106)。
さらに、経路探索部27は、ステップS106で選んだ道路を経路に接続して、且つ通行可能である道路を求める(ステップS107)。そして、デフォルトコスト計算部23、リンク旅行時間コスト計算部24、推定リンク旅行時間コスト計算部26が、求めた道路リンクの通り易さを表す道路リンクのコスト値を計算する(ステップS108)。道路リンクのコスト値の計算方法に関しては後述する。
デフォルトコスト計算部23、リンク旅行時間コスト計算部24、推定リンク旅行時間コスト計算部26により道路リンクのコスト値を計算した後、甲種経路候補としてRAM11に記憶する(ステップS109)。続いて、経路探索部27は、自車位置から連続した乙種連絡経路候補の経路と、目的地から連続した乙種連絡経路候補の経路とが適切に接続したか否かを確認し(ステップS110)、否である場合には(ステップS110のNo)、適切に接続するまでステップS106〜S110を繰り返す。
自車位置から連続した乙種連絡経路候補の経路と、目的地から連続した乙種連絡経路候補の経路とが適切に接続されたら(ステップS110のYes)、接続した一連の乙種経路候補道路リンク群を確定経路とし(ステップS111)、以後、この確定経路に基づいて、案内制御部28が経路表示及びユーザへの誘導案内を行う。
(2−2)道路リンクのコスト値の計算方法
前記ステップS108にて行う道路リンクのコスト値の計算方法について、詳しく説明する。ある道路リンクAに接続し、且つ進行可能な道路リンクB1、B2、…Bnがある場合に、下記の手順で各道路リンクのコスト値を計算し、経路探索に適用する。
(2−2−1)デフォルトコストおよび本線リンクのリンク旅行時間コストの計算
まず、デフォルトコスト計算部23により、道路リンクの種別や道路リンクの長さなどから各道路リンクのデフォルトコストを求める。また、リンク旅行時間コスト計算部24によって、リンク旅行時間情報取得部22が取得したリンク旅行時間情報に基づいて、本線リンクのリンク旅行時間コストを求める。
(2−2−2)道路リンクAが本線リンクである場合
道路リンクB1、B2、…Bnのうちに、リンク旅行時間情報が存在する本線リンク1本以上と、1本以上の側道リンクが存在する場合に、当該側道リンクが、リンク旅行時間情報が存在する本線リンクとほぼ並行であるかどうかを、側道リンク判定部29によって判定する。側道リンクの判定方法としては、本線リンクとの方位差が一定値以下であるかどうかであっても良いし、本線リンクへの進入角度が一定値以下であるかどうかであっても良い。
側道リンクが、リンク旅行時間情報が存在する本線リンクとほぼ並行であると、側道リンク判定部29が判断した場合には、本線リンクがリンク旅行時間情報を持たない場合に比べて、何%重くなっているかというコスト倍率値Rを、コスト倍率値計算部25にて求める。
コスト倍率値計算部25では、リンク旅行時間コスト計算部24が計算した本線リンクのリンク旅行時間コストと、デフォルトコスト計算手部23が計算した本線リンクのデフォルトコストとを対比することで、コスト倍率値Rを求める。
そして、側道リンクのコスト倍率値Rとしては、本線リンク側のコスト倍率値Rを無条件に記憶・適用する。上記(2−2−1)において求めたコスト値に、前記コスト倍率値Rを乗じたものを道路リンクの最終的なコスト値として適用する。
(2−2−3)道路リンクAが側道リンクであり、且つ求めたコスト倍率値Rを持っている場合
道路リンクB1、B2、…Bnのうち、側道リンクについては、道路リンクAのコスト倍率値Rをそのまま引き継いで、記憶・適用する。したがって、当該道路リンクのコスト値についても、上記(2−2−1)において求めたコスト値に、前記コスト倍率値Rを乗じたものを道路リンクの最終的なコスト値として適用する。
(2−2−4)上記の(2−2−2)、(2−2−3)のいずれにも当てはまらない場合
上記(2−2−1)において求めたコスト値をそのまま適用する。このとき、記憶していた上記コスト倍率値Rは引き継がない。
(2−3)道路リンクのコスト値計算を説明するための具体例
続いて、コスト値計算を説明するための具体的な例について図5を用いて説明する。すなわち、図5に示すような構成の道路ネットワークが存在すると仮定する。図5において、黒丸は道路リンクと道路リンクを結ぶノードであり、各数字は道路リンクに付与されていないユニークな番号である。道路リンク2と道路リンク12は立体交差であり、互いに接続していない。
各リンクカテゴリのデフォルトコスト率は、本線リンク側を100として、側道リンク側を150とする。また、各道路リンクの詳細を下記の表1に示す。
Figure 2009288136
ここで、本線リンク1から本線リンク3に向かうという経路を求める場合の、各道路リンクのコスト値計算について、説明する。
(2−3−1)本線リンク1に接続する道路リンクのコスト
接続元である本線リンク1に接続する道路リンクは、本線リンク2と側道リンク101の2つである。これら2つの接続先リンクのうち、本線リンク2はリンク旅行時間情報を持つが、側道リンク101はリンク旅行時間情報を持っていない。
側道リンク101と本線リンク2をほぼ並行であるとみなした場合、コスト倍率値計算部25は、本線リンク2のコスト倍率値を、以下の式に基づいて求める。すなわち、
(本線リンク2のリンク旅行時間コスト)/(本線リンク2のデフォルトコスト)
=100000/40000=2.5
となる。
したがって、推定リンク旅行時間コスト計算部26が求める側道リンク101のコスト値、すなわち側道リンク101の推定リンク旅行時間コストは、
(側道リンク101のデフォルトコスト値)×(コスト倍率値)
=33000×2.5=82500
となる。ここで用いたコスト倍率値2.5は、側道リンク101のコスト倍率値として、RAM11に記憶する。
(2−3−2)側道リンク101に接続する道路リンクのコスト
側道リンク101に接続する道路リンクは、側道リンク102、本線リンク11、本線12の3つである。接続元である側道リンク101は、上記(2−3−1)の手順においてコスト倍率値2.5がRAM11に記憶されているので、接続先リンクの側道リンク102についても、コスト倍率値2.5を適用する。
したがって、推定リンク旅行時間コスト計算部26が求める側道リンク102のコスト値、すなわち、側道リンク102の推定リンク旅行時間コストは、
(側道リンク102のデフォルトコスト)×(コスト倍率値)
=33000×2.5=82500
となる。
また、側道リンク101の接続先リンクのうちの本線リンク11、12については、接続元リンクの側道リンク101の持つコスト倍率値2.5を適用、記憶せず、リンク11、12のデフォルトコストをそのまま適用する。
(2−3−3)側道リンク101、102と本線リンク2のコスト値比較
側道リンク101、102の推定リンク旅行時間コストの和は、
82500+82500=165000
となる。この値は、側道リンク101、102のデフォルトコストの和66000に、コスト倍率値2.5を乗じた値に他ならない。
すなわち、側道リンク101、102のコスト値は、本線リンク2のコスト値(本線リンク2のリンク旅行時間コスト100000)よりも、大きくなる。したがって、経路探索部27は、側道リンク101、102を通る経路を最短時間の経路として探索することはなく、本線リンク2側を経路として選ぶことになる。したがって、側道リンク101、102を通過だけに利用するような経路を誘導案内することはない。
これに対し、従来技術のように、側道リンク101、102のデフォルトコストを用いて経路探索を行うとすると、側道リンク101、102のコスト値の和の方が、本線リンク2のコスト値よりも小さくなるので(66000<100000)、経路探索部27は本線リンク2ではなく、側道リンク101、102を通る経路を選んでしまうことになる。
ここで、上記の具体例のリンク旅行時間コストに関して、道路リンクの旅行時間といった観点から説明する。例えば、本線リンク2の旅行時間が20秒、側道リンク101、102の旅行時間の和が30秒であると仮定としたとき、本線リンク2の旅行時間がリンク旅行時間情報に基づいて、50秒となったとする。この場合、本線リンク2におけるコスト倍率値は2.5となるので、側道リンク101、102の旅行時間についてもこの値を適用し、通常の旅行時間である30秒を2.5倍し、側道リンク101、102の旅行時間は75秒かかるというリンク旅行時間情報を受信したものとみなしている。
(3)本実施形態の作用効果
上記のような本実施形態の作用効果は、次の通りである。すなわち、コスト倍率値計算部25にて、リンク旅行時間情報を取得した時点での本線リンクのコスト倍率値を求めることができ、これを側道リンクのデフォルトコストに掛けることにより、リンク旅行時間情報を持たない側道リンクに関して、本線リンクのリンク旅行時間コストに応じた推定リンク旅行時間コストを求めることができる。
この推定リンク旅行時間コストを側道リンクに適用することで、リンク旅行時間情報を取得した時点での本線リンク側の交通状況を、側道リンク側にも反映させることが可能である。そのため、本線リンク側の交通状況が渋滞である場合に、本線リンク側のリンク旅行時間コストが大きくなると、本線リンク側と同様のコスト倍率値を適用した側道リンクの推定リンク旅行時間コストも大きくなる。
このような本発明によれば、本線リンクのコスト値は、側道リンクのコスト値よりも必ず小さくなり、側道リンクを通過交通として利用するような誘導を確実に回避することができる。
また、本実施形態では側道リンク側への誘導回避に際して、従来技術のように本線リンク側のコスト値に対する上限値設定を行っていない。したがって、VICS情報に含まれる本線リンクのリンク旅行時間情報について、その情報を加工することなく、そのままユーザに提示することができる。このため、ユーザは渋滞等の交通状況を正確に把握することが可能である。
仮に、本線リンクのコスト値における上限値を、デフォルトコストの1.5倍と設定したとすると、上記本線リンク2のデフォルトコストは40000なので、上限値は60000となる。この値は、側道リンク101、102のデフォルトコストの和66000よりも小さいので、上限値の設定により側道リンク側への誘導が防止できることに変わりはない。
しかしながら、ユーザに提示される本線リンク2のコスト値は、165000−60000=105000も少なく見込まれてしまうことになる。前述したように、このような本線リンクにおけるコスト値の誤差は、逐次受信しているVICS情報のリンク旅行時間情報を十分に活かしていないことになる。しかも、渋滞状況を軽度に見積もることになるため、交通状況に対するユーザの不満感が増大する可能性が高い。
このような不具合がある従来技術に対して、本線リンクのリンク旅行時間情報をそのままの値で提示可能な本実施形態は、常に正確な交通状況をユーザに伝える性能を維持している。したがって、交通状況に起因するユーザのストレスを軽減することができ、優れた信頼感を発揮することが可能である。
さらに、本実施形態では、探索経路に含まれる道路リンクが側道リンクであるかどうかを、側道リンク判定部29にて的確に判断することができ、且つコスト倍率値計算部25が計算したコスト倍率値をRAM11に記憶するので、側道リンクの推定リンク旅行時間コストの計算処理を大幅に軽減可能である。
(4)他の実施形態
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、各要素の具体的な構成等は適宜変更可能であり、無線通信ネットワークを介して最新データが提供されるナビゲーション装置にも適用可能である。
また、本線リンクが通常の交通状況よりも空いている場合、リンク旅行時間コストがデフォルトコストよりも小さければ、コスト倍率値計算手段が求める本線リンクのコスト倍率値は1未満になるが、このような1未満のコスト倍率値を側動リンクに適用するケースであっても、側道への通過交通が回避される点に変わりはない。
例えば、本線側の旅行時間が20秒、側道側の旅行時間が30秒であるところに、本線側の旅行時間が半分の10秒となったというリンク旅行時情報を受信した場合、コスト倍率値は0.5となり、側道側の推定旅行時間も通常の半分である15秒という値を受信したことになる。したがって、本線の旅行時間が側道の旅行時間を上回ることはなく、ローカルな交通に悪影響を与える心配はなく、本線側に外部から付与されるリンク旅行時情報も正確にユーザに伝うることが可能である。
本発明に係る代表的な実施形態におけるナビゲーション装置の構成を示す機能ブロック図。 本実施形態の概略の説明図。 本実施形態における要部の機能ブロック図。 本実施形態における動作の流れを示すフローチャート。 道路リンクの説明図。
符号の説明
1…ナビゲーション装置
2…HDD制御部
3…GPSレシーバ
4…ジャイロ
5…車速パルスセンサ
6…バック信号センサ
7…リモコン受光部
8…リモコン
9…液晶ディスプレイ
10…ROM
11…RAM
12…CPU
13…FM多重受信・処理部
14…光/電波ビーコン受信・処理部
15…スピーカ
20…目的地指定部
21…自車位置特定部
22…リンク旅行時間情報取得部
23…デフォルトコスト計算部
24…リンク旅行時間コスト計算部
25…コスト倍率値計算部
26…推定リンク旅行時間コスト計算部
27…経路探索部
28…案内制御部
29…側道リンク判定部

Claims (6)

  1. 地図情報と、少なくとも本線リンク及び側道リンクを含む道路リンクの種別を示す道路リンクの種別情報と、道路リンクの長さ情報を記憶する記憶手段と、
    前記道路リンクの種別情報及び長さ情報に基づいて、前記本線リンク及び前記側道リンクにおけるデフォルトコストを計算するデフォルトコスト計算手段と、
    外部から与えられる道路交通情報に含まれるリンク旅行時間情報を取得するリンク旅行時間情報取得手段と、
    前記リンク旅行時間情報に基づいて前記道路リンクのリンク旅行時間コストを計算するリンク旅行時間コスト計算手段と、
    自車位置を検出する自車位置検出手段と、
    前記デフォルトコスト計算手段が計算したデフォルトコスト又は前記リンク旅行時間コスト計算手段が計算した前記リンク旅行時間コストに基づいて、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
    前記経路探索手段が探索した経路に基づき経路の誘導案内を制御する案内制御手段、が具備されたナビゲーション装置において、
    前記リンク旅行時間情報を取得した前記本線リンクに関して、前記リンク旅行時間コスト計算手段が計算した当該本線リンクのリンク旅行時間コストと、前記デフォルトコスト計算手段が計算した当該本線リンクのデフォルトコストとを対比することにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記本線リンクのコスト倍率値を求めるコスト倍率値計算手段と、
    前記デフォルトコスト計算手段が計算した前記側道リンクのデフォルトコストに、前記コスト倍率値計算手段が計算した前記コスト倍率値を乗じることにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記側道リンクにおける推定リンク旅行時間コストを計算する側道リンクの推定リンク旅行時間コスト計算手段が設けられ、
    前記経路探索手段は、前記本線リンクのリンク旅行時間コスト及び前記側道リンクの推定リンク旅行時間コストに基づいて経路を探索するように構成されたことを特徴とするナビゲーション装置。
  2. 前記経路探索手段にて探索経路中の道路リンクが前記側道リンクであるかどうかを判定する側道リンク判定手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
  3. 前記コスト倍率値計算手段が計算した前記コスト倍率値を記憶するコスト倍率値記憶手段が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
  4. 前記リンク旅行時間情報取得手段は、前記リンク旅行時間情報を持つ光/電波ビーコン又はFM多重放送を受信するように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
  5. コンピュータを利用することにより、地図情報と、少なくとも本線リンク及び側道リンクを含む道路リンクの種別を示す道路リンクの種別情報と、道路リンクの長さ情報を記憶する記憶ステップと、
    前記道路リンクの種別情報及び長さ情報に基づいて、前記本線リンク及び前記側道リンクにおけるデフォルトコストを計算するデフォルトコスト計算ステップと、
    外部から与えられる道路交通情報に含まれるリンク旅行時間情報を取得するリンク旅行時間情報取得ステップと、
    前記リンク旅行時間情報に基づいて前記道路リンクのリンク旅行時間コストを計算するリンク旅行時間コスト計算ステップと、
    自車位置を検出する自車位置検出ステップと、
    前記デフォルトコスト計算ステップで計算したデフォルトコスト又は前記リンク旅行時間コスト計算ステップで計算した前記リンク旅行時間コストに基づいて、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、
    前記経路探索ステップで探索した経路に基づき経路の誘導案内を制御する案内制御ステップ、を含むナビゲーション方法において、
    前記リンク旅行時間情報を取得した前記本線リンクに関して、前記リンク旅行時間コスト計算ステップにて計算した当該本線リンクのリンク旅行時間コストと、前記デフォルトコスト計算ステップにて計算した当該本線リンクのデフォルトコストとを対比することにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記本線リンクのコスト倍率値を求めるコスト倍率値計算ステップと、
    前記デフォルトコスト計算ステップにて計算した前記側道リンクのデフォルトコストに、前記コスト倍率値計算ステップにて計算した前記コスト倍率値を乗じることにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記側道リンクにおける推定リンク旅行時間コストを計算する側道リンクの推定リンク旅行時間コスト計算ステップ、を含み、
    前記経路探索ステップでは、前記本線リンクのリンク旅行時間コスト及び前記側道リンクの推定リンク旅行時間コストに基づいて経路を探索することを特徴とするナビゲーション方法。
  6. コンピュータを利用することにより、地図情報と、少なくとも本線リンク及び側道リンクを含む道路リンクの種別を示す道路リンクの種別情報と、道路リンクの長さ情報を記憶する記憶機能と、
    前記道路リンクの種別情報及び長さ情報に基づいて、前記本線リンク及び前記側道リンクにおけるデフォルトコストを計算するデフォルトコスト計算機能と、
    外部から与えられる道路交通情報に含まれるリンク旅行時間情報を取得するリンク旅行時間情報取得機能と、
    前記リンク旅行時間情報に基づいて前記道路リンクのリンク旅行時間コストを計算するリンク旅行時間コスト計算機能と、
    自車位置を検出する自車位置検出機能と、
    前記デフォルトコスト計算機能にて計算したデフォルトコスト又は前記リンク旅行時間コスト計算機能にて計算した前記リンク旅行時間コストに基づいて、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索機能と、
    前記経路探索機能で探索した経路に基づき経路の誘導案内を制御する案内制御機能、をコンピュータに実現させるナビゲーションプログラムにおいて、
    前記リンク旅行時間情報を取得した前記本線リンクに関して、前記リンク旅行時間コスト計算機能にて計算した当該本線リンクのリンク旅行時間コストと、前記デフォルトコスト計算機能にて計算した当該本線リンクのデフォルトコストとを対比することにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記本線リンクのコスト倍率値を求めるコスト倍率値計算機能と、
    前記デフォルトコスト計算機能にて計算した前記側道リンクのデフォルトコストに、前記コスト倍率値計算機能にて計算した前記コスト倍率値を乗じることにより、前記リンク旅行時間情報を取得した時点での前記側道リンクにおける推定リンク旅行時間コストを計算する側道リンクの推定リンク旅行時間コスト計算機能、をコンピュータに実現させ、
    前記経路探索機能では、前記本線リンクのリンク旅行時間コスト及び前記側道リンクの推定リンク旅行時間コストに基づいて経路を探索することをコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
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