JP2009287496A - グロープラグ通電制御装置及びグロープラグ通電制御システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 グロープラグの通電制御装置101は、昇温期間中の所定タイミングにおける、グロープラグGP1〜GPnに生じた抵抗の昇温時抵抗値Rg1(0.5)等を取得する昇温時抵抗値取得手段と、昇温後、ヒータ温度Tg1(t)等を所定の目標温度Tm1等に維持する維持時通電制御手段と、維持期間において、グロープラグGP1等に生じた抵抗の維持時抵抗値Rg1(t)等を取得する維持時抵抗値取得手段とを備える。維持時通電制御手段は、昇温時抵抗値Rg1(0.5)等に基づいて、目標温度Tm1等に対応する目標抵抗値Rm1等を得る目標抵抗値取得手段、グロープラグGP1等の維持時抵抗値Rg1(t)等が、目標抵抗値Rm1等になるように、グロープラグGP1等への通電を制御する維持時抵抗値制御手段を含む。
【選択図】 図1
Description
このようなグロープラグへの通電を制御する装置として、グロープラグ通電制御装置が知られている。従来のグロープラグ通電制御装置では、グロープラグの抵抗が比較的高く設定されているため、キースイッチがオン位置とされると、バッテリとグロープラグとの間のスイッチ(スイッチング素子)がオンし続け、発熱部の温度がエンジンを始動させるのに十分な第1目標温度(例えば1300℃)にまで昇温するように、グロープラグに大電流が流される。このようなステップは、一般にプリグローあるいはプリグローステップと呼ばれている。急速加熱が可能なグロープラグでは、数秒間のうちに発熱部の温度を第1目標温度まで昇温させることができる(特許文献1,2参照)。
近時では、発熱部部の抵抗値をさらに小さくすることにより、大電流を流し、2秒程度で1300℃以上(例えば1300℃)にまで昇温させうる急速昇温タイプのグロープラグも現れている。
なお、制御対象となるグロープラグの抵抗には、主として、発熱部に生じる抵抗が含まれるほか、グロープラグにおいて発熱部への通電経路をなす他の部材に生じる抵抗や、このグロープラグに通電するリード線(ワイヤハーネス)に生じる抵抗の分も含まれている。
従って、発熱部の抵抗値が相対的に小さいために全体の抵抗値も小さいグロープラグでは、スイッチング素子を介してバッテリ電圧を印加すると、比較的大きな電流が流れるため、昇温速度が速く、短時間で高温となるとともに、短時間で、投入された積算電力量が所定値に達する。さらに、短時間で昇温させたことにより、昇温中にグロープラグからエンジンヘッドなどに逃げる熱量が少なくなるため、同じ積算電力量を投入したとしても、ヒータ温度が相対的に高温に達する。
さらに、その後に、ヒータ温度を維持するべく、リード線を含めたグロープラグの抵抗値が目標抵抗値となるように制御すると、相対的に大きな電流を流して、抵抗値を大きく上げようとするため、ヒータ温度が相対的に高温に維持される。
さらに、その後に、ヒータ温度を維持するべく抵抗値が目標抵抗値となるように制御すると、相対的に小さな電流を流して、抵抗値をあまり上げないようにするため、ヒータ温度が相対的に低温に維持される。
例えば、上述のように、リード線を含むグロープラグの抵抗値を、予め定めた一律の目標抵抗値になるように制御すると、グロープラグのヒータ温度を一定に維持することはできるが、グロープラグのヒータ温度の値そのものにはバラツキが生じる。この温度のバラツキは、場合によっては、数10degC〜200degCの違いとなる場合もある。
このように、グロープラグの抵抗バラツキにより、エンジンの始動性や始動直後の着火性にバラツキを生じるなどの不具合が生じる。
すると、昇温時抵抗値は、各グロープラグ間の特性の違いによる抵抗値のバラツキを含んでいるから、この昇温時抵抗値に基づいて目標抵抗値を得ることで、各グロープラグ間の抵抗値のバラツキを反映させうる。
この理由は以下によると考えられる。すなわち、グロープラグに生じる抵抗には、発熱部で生じる抵抗分のみならず、発熱部に通じるリード部材(通電端子軸)や主体金具など、発熱部以外で通電される部位が有する抵抗分も、少なからず含まれる。この発熱部以外の部位の抵抗の大きさは、通電前においては、環境温度(例えば、エンジンが冷えており、グロープラグ全体も室温程度の温度となっているか、あるいはエンジン水温がまだ高く、グロープラグも比較的高い温度になっているかなど)の影響を大きく受ける。さらに、リード線に生じる抵抗分も若干含まれる。
すると、昇温前のグロープラグ等の抵抗において、発熱部以外の部位やリード線に生じていた抵抗の割合は、比較的高かったのに対し、昇温中のグロープラグ等の抵抗において、発熱部以外の部位の抵抗の占める割合は、相対的に低くなる。このため、昇温前の各グロープラグ等の抵抗値を用いるよりも、昇温中の各グロープラグ等の抵抗値を用いて、上述の目標抵抗値を得た方が、環境温度の影響を受けやすい発熱部以外の部位に生じる抵抗の影響が相対的に小さくなることが判る。そして、目標温度まで昇温した時点が、発熱部以外の部位の抵抗の割合が最も小さくなると考えられる。
また、その後、発熱部のヒータ温度が高温に維持されている状態では、発熱部以外の部位やリード線の温度が徐々に上がり、これらにおける抵抗が上昇するので、再び、グロープラグ等の抵抗(維持時抵抗値)における、発熱部以外の部位やリード線の抵抗の占める割合が大きくなると考えられる。但し、発熱部以外の部位の温度が高くなると、この部位に生じる抵抗における、例えば外気温の影響はごく小さくなっていると考えられる。
したがって、発熱部以外の部位やリード線に生じる抵抗における、環境温度の影響を考慮しても、昇温前の抵抗値に比して、維持時抵抗値により近い、昇温時抵抗値を用いるのが好ましいことになる。
さらに言えば、昇温中に、グロープラグの抵抗値を測定できる機会が複数回ある場合には、後から得た値を用いる方がより好ましいことになる。
また、本発明を適用するグロープラグとしては、金属線を用いて発熱部を構成し、これを通電により発熱させる、いわゆるメタルグロープラグのほか、導電性セラミックを用いて発熱部を構成し、これを通電により発熱させる、いわゆるセラミックグロープラグも挙げられる。
また、リード線としては、本発明の通電制御装置とグロープラグとの間に介在して、グロープラグに通電する導電部材であり、例えば、これらの間を接続するワイヤハーネスが挙げられる。
また、維持時抵抗値取得手段としては、維持時抵抗値を取得できる手法であればいずれの手法によるものでもよいが、例えば、通電中にグロープラグに印加された電圧の値(維持時電圧値)及びグロープラグを流れた電流の値(維持時電流値)を取得し、維持時抵抗値と算出するものが挙げられる。また、PWM制御を行っている場合において、グロープラグに通電していない期間に、グロープラグと基準抵抗とで既知の電圧を分圧する分圧回路を構成し、その分圧電圧から、グロープラグの維持時抵抗値を算出するものでも良い。
一方、昇温期間中のうちエンジンを起動させる前(クランキングを行なう前)に、グロープラグ等の昇温時抵抗値を時間を空けて複数得ることができた場合には、より維持期間に近い、最新の昇温時抵抗値に基づいて目標抵抗値を得るようにすると、より適切な目標抵抗値を得ることができる。昇温期間中にはエンジンを起動させなかったために、グロープラグ等の昇温時抵抗値を時間を空けて複数得ることができた場合も同様である。
前述したように、クランキング中は、グロープラグの発熱部にスワールが当たるなどによって、発熱部が冷やされてヒータ温度が大きく変動するため、クランキングを行わない場合に比して、得られた昇温時抵抗値がグロープラグの抵抗値の違いを適切に反映した値とはなり得ない。しかし、得られた昇温時抵抗値は、或る程度はグロープラグの抵抗値の違いによる影響を含んでいるものである。従って、クランキング後に得られた昇温時抵抗値に基づいて目標抵抗値を得る方が、例えば、目標抵抗値を一律の値とするなど、昇温時抵抗値に基づかないで、目標抵抗値を設定する場合や、所定の電圧を印加し続ける場合よりも、不十分ながらも、各グロープラグのヒータ温度を目標温度に近づけた制御をすることができる。
従って、抵抗値が異なっていながらも、第1,第2グロープラグは、同一の環境温度条件下であれば、共に、同じ昇温カーブを描いて昇温する。つまり、昇温から所定の時間経過した所定のタイミング(たとえば、0.5秒後、1.0秒後など)で、グロープラグの抵抗値を測定すると、ヒータ温度が同じ場合(例えば300℃、600℃など)における第1,第2グロープラグの抵抗値(昇温時抵抗値)をそれぞれ得ることができる。
しかも、この抵抗値(昇温時抵抗値)は、グロープラグ等の抵抗、特に発熱部の抵抗バラツキを反映した抵抗値であるから、この値に基づいて目標抵抗値を求めれば、各々のグロープラグ(発熱部)の特性に適合した目標抵抗値を設定できる。
また、比較される第1,第2グロープラグに関して、環境温度条件が同一であるとは、少なくとも、同じあるいは同型のエンジンに装着した状態で、外気温、エンジン冷却水の水温を同じとすることが挙げられる。
このようすることで、この通電制御装置に、互いに抵抗値が異なる第1グロープラグと第2グロープラグとを繋ぎ替えた場合でも、各経過時間tにおいて第1グロープラグ及び第2グロープラグに投入する電力値を、PWM制御により、それぞれ容易に基準電力値Pb(t)に制御できる。
このようすることで、この通電制御装置に、互いの抵抗値が異なる第1グロープラグと第2グロープラグとを繋ぎ替えた場合でも、第1,第2グロープラグの各経過時間tにおいて投入する電力を、PWM制御で容易に制御できる。
本発明のグロープラグの通電制御装置では、目標抵抗値取得手段で、昇温時抵抗値を変数とする所定の一次式を用いるので、容易に目標抵抗値を得ることができる。
このうち、発熱部は、その温度が高くなるとその抵抗値も大きくなる。また、同様に、グロープラグ内の通電部材や主体金具、グロープラグに取り付けられるリード線など、抵抗成分をなす他の抵抗部位も、温度が高くなるとその抵抗値が大きくなる。
但し、発熱部は、通電により、例えば1300℃にまで昇温させられる。一方、通電部材など他の抵抗部位などは、全体としてみると、それほど高い温度にはならず、その温度は、概略、グロープラグの周囲に位置しているエンジンブロックなどの温度、従って、エンジン冷却水の水温などに影響を受け、これらとほぼ同程度の温度になると考えることができる。
一方、エンジンが始動し高温を維持する段階になると、発熱部の抵抗は高い値に維持されたままとなる。これに対し、エンジン冷却水の水温やエンジンブロックなどの温度上昇と共に、通電部材など他の抵抗部位の温度が徐々に上がるため、この部位の抵抗が徐々に高くなる。即ち、グロープラグ全体の抵抗が、若干だけ(例えば、高々全体の2%程度)ではあるが徐々に高くなる。
ところで、上述した発明においては、昇温時、即ち発熱部の抵抗が変化するのに対応して、この昇温時のグロープラグとリード線を併せた全体の抵抗(昇温時抵抗値)を取得し、これに基づいてグロープラグとリード線を併せた全体の目標抵抗値を得ている。このため、維持期間中、発熱部のヒータ温度を、目標温度付近の温度に維持し続けるには、エンジン冷却水の水温やエンジンブロックの温度などの環境条件の変化に伴って、通電部材など他の抵抗部位の抵抗値が徐々に高くなることを、従って、リード線を含むグロープラグ全体の抵抗値が上昇することを考慮する必要がある。即ち、発熱部のヒータ温度を目標温度に維持するには、このような発熱部以外の他の抵抗部位やリード線の抵抗値上昇に対応して、目標抵抗値を徐々に変化させる必要がある。
これにより、維持期間において、エンジン冷却水の水温やエンジンブロックの温度などの環境条件の変化に伴って、通電部材など他の抵抗部位やリード線の抵抗値が徐々に高くなり、グロープラグ及びリード線を併せた全体の抵抗値が上昇することに対応して補正を行うことにより、各時点で適切な目標抵抗値を得ることができ、発熱部のヒータ温度を目標温度に適切に維持することができる。
従って、第1環境値、第2環境値としては、各時点でのこれらの温度が挙げられる。
また、第1環境条件取得手段及び第2環境条件取得手段としては、第1環境値及び第2環境値が取得できれば良いので、自身が例えばエンジンヘッドの温度を検知するなど第1環境値等を検知するセンサとしての機能を持つもののほか、別途設けられたセンサの出力等(第1環境値など)を受領する入力部も該当する。
これにより、維持期間において、水温の上昇に伴って通電部材など他の抵抗部位やリード線の抵抗値が徐々に高くなることに伴う、グロープラグ及びリード線を併せた全体の抵抗値上昇に対応して、各時点で適切な目標抵抗値を得ることができ、グロープラグのヒータ温度を目標温度に適切に維持することができる。
なお、エンジン冷却水の水温は、水温センサによって測定すればよく、容易に測定できる。しかも、エンジン(車両)によっては、別途水温センサによって既に測定されていることが多く、この出力を受領すれば、別途水温センサを設ける必要もなく、容易に第1水温及び第2水温を得ることができる利点もある。また、水温の変化がグロープラグの抵抗値に及ぼす影響の度合いを検討しやすい利点もある。
この水温補正係数Cbは、発熱部のヒータ温度を高温に維持した状態において、エンジン冷却水の水温WTの変化が、グロープラグ等の目標抵抗値Rm1に与える影響度合いを示す係数であり、水温WTが1deg上昇した場合に、目標抵抗値Rm1等が変化するであろう大きさを与える係数である。
上述の式は、第2水温WT2が第1水温WT1よりも高い場合(WT2>WT1)のほか、第2水温WT2が第1水温WT1よりも低くなった場合(WT2<WT1)にも適用できる。
ところで、発熱部のヒータ温度を数秒程度で高温にまで昇温させると、温度の上昇と共に発熱部の抵抗値が大きく上昇するが、通電部材など他の抵抗部位やリード線に生じる抵抗は、昇温前に比して余り変化しない。
但し、発熱部から伝わる熱によって、発熱部の昇温に遅れて、グロープラグの他の抵抗部位やリード線も徐々に昇温する。従って、エンジンの始動後の、エンジン冷却水の水温やエンジンブロックなどの温度上昇を考慮しない場合でも、グロープラグ及びリード線を併せた全体の抵抗値(維持時抵抗値)は徐々に上昇する。そこで、発熱部のヒータ温度を目標温度に維持するには、これに対応して、目標抵抗値を徐々に変化させる必要がある。
これにより、維持期間において、発熱部からの伝熱によって、維持時抵抗値が増加するのに対応して、各時点で適切な目標抵抗値を得ることができ、発熱部のヒータ温度を目標温度に適切に維持することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明のグロープラグ通電制御装置101で通電制御されるグロープラグ1(GP1〜GPn)について説明する。図2は、グロープラグ1の断面図を示す。また、図3は、グロープラグ1をディーゼルエンジンEGのエンジンブヘッドEHに設置した状態等を示す。このグロープラグ1は、抵抗発熱ヒータとして構成されたシーズヒータ2と、その外側に配置された主体金具3とを備える。シーズヒータ2は、図3に示すように、先端が閉じたシーズチューブ11の内側に、抵抗線の発熱コイル(発熱部)21を有し、絶縁材料としてのマグネシア粉末27と共に封入されている。図2に示すように、シーズチューブ11の、発熱コイル21を収容している本体部11aは、先端側が主体金具3から突出している。図3に示すように、発熱コイル21は、その先端においてシーズチューブ11と導通しているが、発熱コイル21の外周とシーズチューブ11の内周面とは、マグネシア粉末27の介在により絶縁された状態となっている。
また、シーズチューブ11には、その基端側から棒状の通電端子軸13が挿入され、その先端は、発熱コイル21の後端に溶接により接続されている。他方、図2に示すように、通電端子軸13の後端部は、雄ねじが形成された雄ねじ部13aとされている。また、主体金具3は、軸方向の貫通孔4を有する筒状に形成され、ここに、シーズヒータ2が、一方の開口端からシーズチューブ11の先端側を所定長だけ突出させた状態で挿入され固定されている。この主体金具3の外周面には、グロープラグ1をディーゼルエンジンに取り付けるに際して、トルクレンチ等の工具を係合させるための六角断面形状の工具係合部9が形成されており、その先端側には取付用のねじ部7が形成されている。
このうち、発熱コイル21は、その温度が高くなると、その抵抗値も大きくなる正の相関関係を有している。また、他の抵抗部位5(通電端子軸13、主体金具3)も、温度が高くなると、抵抗値が大きくなる正の相関関係を有している。従って、本実施形態で用いるグロープラグ1は、全体としても、ヒータ温度が上がると、グロープラグ1の抵抗値Rgも大きくなる、正の相関関係を有している。なお、リード線HR1等も、温度が高くなると、抵抗値が大きくなる正の相関関係を有している。
また、発熱コイル21は、通電により、短時間で高温にまで昇温させられるが、通電端子軸13など他の抵抗部位5やリード線HR1は、発熱コイル21からの伝熱により、これに遅れて、例えば、30秒程度掛かって徐々に昇温する。このため、グロープラグ1とリード線HR1等とを併せた全体の抵抗値も徐々に増加する。
さらに、エンジン始動後は、しばらくの期間(例えば30秒程度)、エンジン冷却水の水温やエンジンブロックなどの温度は、ほとんど上昇しない。このため、エンジンが始動し、しばらくの期間(例えば30秒程度)経った後から、水温等の上昇と共に、さらに通電端子部材13など他の抵抗部位5やリード線HR1等の抵抗が上昇するため、グロープラグ1とリード線HR1等を併せた全体の抵抗値も徐々に増加する。
なお、キースイッチKSWをスタート位置にすると、インターフェイス回路108を通じて、主制御部111にキースイッチKSWがスタート位置とされた旨が入力され、クランキングを検知することができる。
そこで、コンデンサ等からなる保持回路(図示しない)により、キースイッチKSWをOFFにした後でも、グロープラグGP1等の温度が十分低下するまでの期間(例えば60秒程度)、主制御部111の駆動を維持する。これにより、キースイッチKSWをOFFした後、短時間で再びONとした場合(以下、再通電という)には、主制御部111は、再通電を検知して、グロープラグGP1等の昇温のための電力供給を、通常よりも制限したパターンとする(以下、このような制御を、再通電保護制御ともいう)。なお、再通電の場合には、前回から駆動を維持されていた主制御部111には、電源オフによるメモリ内容の消失が起こることはなく、前回の運転時に使用した目標抵抗値を含む各データが記憶されているはずである。また、再通電の場合には再通電フラグをセットする。
また、各スイッチング素子1051〜105nからは、この素子の電源−出力端子間を、従って、グロープラグGP1〜GPnを流れる電流(正確には、グロープラグGP1〜GPn及びリード線HR1〜HRnをそれぞれ流れる電流。以下、グロープラグGP1等を流れる電流と略記することもある)Ig1(t)〜Ign(t)の大きさを示す電流信号I1(t)〜In(t)が、それぞれ主制御部111に向けて出力される。
また、この主制御部111は、インターフェース回路107を介して、マイクロコンピュータにより構成されたエンジン制御ユニット301と通信可能とされている。また、主制御部111は、オルタネータ311の駆動信号をも入力可能に構成されており、オルタネータ311が発電しているか否か、即ち、エンジンが発動しているか否かを検知できるようにされている。さらに、水温センサ312により測定されたエンジン冷却水(図示しない)の水温WTも、インターフェース回路107を介して、主制御部111に入力される。
この通電制御では、基本的に、以下の動作を行う。まず、操作者がキースイッチKSWをオン位置にすると、プリグロー手段により制御されるプリグローステップに入る。即ち、バッテリBTから、各グロープラグ1(GP1〜GPn)へ、各時点での投入電力を制御しつつ投入する。このようにして、発熱コイル21を短時間の所定時間(例えば2秒)で昇温させて、高温域の第1の目標温度(例えば1300℃)にまで到達させる。
本発明は、これらのモードのうち、発熱コイル21の温度を急速昇温させるプリグローモード、及び維持モードに関するものであるので、これらにおける制御について詳述する一方、他のモードの詳細な説明は簡略化する。
そして、まず、ステップS1において、主制御部111のプログラムの初期化を行う。具体的には、プリグロー中フラグ(プリグローステップ中であることを意味するフラグ)がセットされる。一方、スタート信号フラグ(キースイッチKSWがスタート位置とされたことを意味するフラグ)は、クリアされる。さらに、経過時間t=0として、タイマをスタートさせる。
ここで、Yes、つまり再通電である場合には、ステップS22に進み、主制御部111に記憶されていた前回の目標抵抗値を、今回の目標抵抗値Rm1〜Rmnとして設定する。前述したように、再通電の場合には、主制御部111は、前回から継続して駆動されており、電源オフによるメモリ内容の消失が防止されているから、前回の運転時に使用した目標抵抗値を記憶しているからである。再通電であるため、既に、グロープラグGP1等が或る程度暖まった状態となっている。このため、後述するような、所定タイミングにおける昇温時抵抗値Rg1(t)〜Rgn(t)(但し、t=0.5,1.0,2.0,3.3sec)を得ても、図10等のグラフや回帰式(1)等の式を用いて、適切な目標抵抗値Rm1〜Rmnを得ることはできない。そこで、記憶していた前回の運転時に使用した目標抵抗値を再度用いる。前回の目標抵抗値を再度用いる方が、目標抵抗値として精度が高いと考えられるからである。これにより、再通電の場合でも、使用するグロープラグGP1等の抵抗値Rg1(t)等にバラツキが生じていても、ヒータ温度Tg1(t)〜Tgn(t)を互いに同じ目標温度Tm(例えば1300℃)に維持できる。
ステップS22の後は、ステップS3に進み、ステップS3〜S8(後述する)の処理を繰り返し行う。
一方、ステップS2でNo、つまり今回の通電が再通電でない場合には、ステップS3に進む。この場合には、前回のエンジン駆動から、時間が経過しており、グロープラグ(発熱コイル21)の温度が充分低下していると考えられるため、次述するように電力を投入して急速昇温させても良いと考えられるからである。
そして、ステップS4において、主制御部111内での演算により、予め定めた1または複数の所定のタイミング(本例では、t=0.5,1.0,及び2.0secの3つ)となる場合を含め、各グロープラグGP1等の、通電開始からの経過時間t時点での抵抗値(昇温時抵抗値)Rg1(t)〜Rgn(t)を、それぞれ算出、取得する(Rg1(t)=Vg1(t)/Ig1(t),…,Rgn(t)=Vgn(t)/Ign(t))。なお、後述するステップSB2でも、経過時間t=tend(具体的には、tend=3.3sec)のタイミングにおける抵抗値(昇温時抵抗値)Rg1(3.3)〜Rgn(3.3)を算出、取得している。なお、各昇温時抵抗値Rg1(t)〜Rgn(t)は、正確には、各グロープラグGP1〜GPn及びリード線HR1〜HRnを併せた全体の昇温時抵抗値である。
一方、ここでNo(t≠0.5)の場合には、ステップSA2に進む。
このステップSA2では、タイマの経過時間tが、1.0秒、あるいは2.0秒となったか否かを判断する。
ここでYes、即ち、タイマの経過時間tが、1.0秒、あるいは2.0秒となった場合には、ステップSA3に進む。一方、No、即ち、タイマの時間tが、1.0秒、あるいは2.0秒でない場合には、ステップSA3〜SA6をスキップして、メインルーチンに戻る。
一方、フラグがセットされている場合(Yes)には、ステップSA4〜SA6をスキップして、メインルーチンに戻る。これにより、タイマの時間tが、1.0秒、あるいは2.0秒となった場合でも、クランキング中の場合には、次述する目標抵抗値Rm1等の算出、更新が行われず、t=0.5秒の時点で得た目標抵抗値Rm1等が維持されることになる。
なお、操作者がキースイッチKSWをスタート位置としてクランキングを開始させると、インターフェイス回路108を通じて信号が入力されるので、これに基づいて、図示しない割り込み処理により、スタート信号フラグがセットされる。
従って、本実施形態では、第1水温WT1のほか、目標抵抗値Rm1〜Rmnも、設定した複数の所定のタイミング(本例では、t=0.5,1.0,または2.0sec)のいずれかを迎える度に、最新の値に更新される。つまり、所定タイミングにおける昇温時抵抗値のうち、最新の昇温時抵抗値(Rg1(0.5)等、Rg1(1.0)等あるいはRg1(2.0)等)に基づいて目標抵抗値Rm1〜Rmnを得る。後述するように、後に得た昇温時抵抗値ほど、適切な目標抵抗値を得ることができるからである。
一方、ステップSA5においてYes、つまり再通電である場合には、ステップSA6をスキップして、新たに目標抵抗値Rm1等を得ることなく、メインルーチンに戻る。前述したように、この場合には、当初より、グロープラグが或る程度暖まっている状態であるので、昇温時抵抗値Rg1(t)等から、適切な目標抵抗値Rm1等を得ることができないからである。
なお、昇温時抵抗値Rg1(t)〜Rgn(t)から、目標抵抗値Rm1〜Rmnを算出する手法については、後述する。
また、このグロープラグ1は、昇温とともに発熱コイル21の抵抗値が上昇して、流れる電流が減少する。これとともに、グロープラグに投入された投入電力の大きさも、経過時間tの増加とともに減少する。その変化の様子を、図4に示す。
これにより、バッテリー電圧VBが8.0Vより小さく、かつ、グロープラグGP1等抵抗値が215mΩより大きいという組合せの場合を除き、各経過時間tにおいて、対応する基準電力値Pb(t)に等しい大きさP(t)の電力を、グロープラグGP1等に投入するのには、100%未満のデューティ比でPWM制御すれば良いことになる。
なお、本実施形態では、基準電力値Pb(t)を、経過時間tを与えることで、主制御部111に記憶したテーブルから得た。しかし、図4に示された曲線を、基準電力値Pb(t)を与える関数として記憶し、経過時間tの値に基づき、随時、基準電力値Pb(t)を算出しても良い。
具体的には、先に得た、基準電力値Pb(t)と、印加電圧値Vg1(t)〜Vgn(t)と、抵抗値Rg1(t)〜Rgn(t)とを用いて、D1(t)=Pb(t)・Rg1(t)/Vg1(t)2,…,Dn(t)=Pb(t)・Rgn(t)/Vgn(t)2の式によりそれぞれ求める。
なお、先に得た、基準電力値Pb(t)と、印加電圧値Vg1(t)〜Vgn(t)と、電流値Ig1(t)〜Ign(t)とを用いて、D1(t)=Pb(t)/(Vg1(t)・Ig1(t)),…,Dn(t)=Pb(t)/(Vgn(t)・Ign(t))の式によりそれぞれ求めても良い。
このようにすることで、例え、各グロープラグGP1等の昇温時抵抗値Rg1(t)〜Rgn(t)が互いに異なる値であったとしても、いずれのグロープラグGP1〜GPnにも、基準電力値Pb(t)に等しい大きさP(t)の電力が投入される。つまり、各グロープラグGP1〜GPnには、通電開始から経過時間tの各時点で、互いに同じ電力値P(t)の電力が投入され、各時点でほぼ同じエネルギーの分だけ、各発熱コイル21で発熱していると考えられる。このため、各グロープラグGP1〜GPnからの熱放散が、ほぼ同じであるとすれば、いずれの発熱コイル21もほぼ同じヒータ温度となり、且つ同じ温度カーブを描いて昇温させることができる。
ここで、No、つまり、まだプリグロー期間が終了していない(t<tendかつ、Rm1(t)等のいずれもがRmaxより小さい、Rg1(t)<Rmax,…,Rgn(t)<Rmax)場合には、ステップS3に戻る。
一方、Yes、つまり、プリグロー期間が終了した(t≧tendまたはRg1(t)〜Rgn(t)の少なくともいずれかがRmax以上の大きさとなった)場合には、ステップSBの昇温終了タイミング処理を終えた後、上述したプリグローモードによる処理を終えて、次のモードに移行する。
また、本実施形態では、各グロープラグGP1等の抵抗値の異常(断線あるいはショート)の有無について検討していないが、適切なタイミングで、例えば、ステップS4で抵抗値Rg1(t)等を算出した後に、グロープラグの故障診断を行うようにしても良い。具体的には、算出した抵抗値Rg1(t)の値から、各グロープラグについての異常(断線あるいはショート)の有無を判断し、異常と判断された場合には、それ以降、該当するグロープラグについては通電を行わないようにしつつ、他のグロープラグについて、以降のステップSA等を行うなど、各ステップの処理を進行させても良い。
一方、ステップSB3においてYes、つまり再通電である場合には、ステップSB4をスキップして、新たに目標抵抗値Rm1等を得ることなく、メインルーチンに戻る。
なお、昇温時抵抗値Rg1(t)〜Rgn(t)から、目標抵抗値Rm1〜Rmnを算出する手法については、次述する。
その後は、次のモード(維持モード:図8参照)に移行する。
先ず、同一品番のグロープラグであって、ヒータ部にヒータ温度を測定可能とする熱電対を装着したサンプルのグロープラグ(n=18ヶ)を用意した。なお、この18ヶのサンプルのグロープラグとしては、多数の当該品番のグロープラグの中から、室温(25℃)下での抵抗値(次述する25℃における通電前抵抗値Rg(0)に一致する)が、高めのもの、低めのものなど、当該品番のグロープラグの設計中心値を中心(0.235Ω)とした±10%程度の抵抗値の公差(許容差)の範囲(0.215〜0.255Ω)内で、できるだけ各々の抵抗値(0.22〜0.253Ω)が広くばらつくように選択したものである。これらを各々エンジンヘッドEHに取り付け、さらにこれらを恒温槽中に保持した状態で通電し、3.3秒でヒータ温度Tg=1300℃まで昇温させ、その後、ヒータ温度1300℃を維持し、60秒経過した後の各グロープラグの抵抗値(1300℃時抵抗値Rg1300とする)を測定した。なお、各グロープラグについて、恒温槽の温度(環境温度)を、0,25,80,125℃の4段階に変えて、試験を行った。また、各抵抗値は、グロープラグに前述のリード線HR1等と同等のリード線を接続し、このリード線も含めて測定した値である。
さらに、通電開始後、昇温期間(但し、クランキングは無し)中の所定タイミング(各経過時間t=0.5,1.0,2.0,3.3秒)におけるグロープラグの昇温時抵抗値(0.5秒時抵抗値Rg(0.5),1.0秒時抵抗値Rg(1.0),2.0秒時抵抗値Rg(2.0),3.3秒時抵抗値Rg(3.3)とする)と、1300℃時抵抗値Rg1300との関係を、図10〜図13に示す。
即ち、この図9のグラフによれば、グロープラグの各通電前抵抗値Rg(0)は、恒温槽の温度(環境温度、つまり、外気温やエンジンブロックの温度、エンジン冷却水の水温、潤滑油の油温等の環境条件)が異なる毎に、4つのグループに分かれた関係となっている。このことから、恒温槽の温度(あるいはこれに相当する環境条件の値)が判らなければ、通電前抵抗値Rg(0)を検知しただけでは、これと一義的に対応し、維持期間において目標抵抗値Rm1〜Rmnとする1300℃時抵抗値Rg1300を適切に得ることはできないことが判る。
しかも、図9と異なり、恒温槽の温度が異なっている場合でも、0.5秒時抵抗値Rg(0.5)と1300℃時抵抗値Rg1300との関係は、共通の1つの一次関数(一次式)の回帰式(具体的には、式(1):Rg1300(Ω)=1.40×Rg(0.5)+0.180)で表すことができることがわかる。
なお、図11に示す1.0秒時抵抗値Rg(1.0)と1300℃時抵抗値Rg1300との関係も、共通の1つの一次関数(一次式)の回帰式(具体的には、式(2):Rg1300(Ω)=1.27×Rg(1.0)+0.120)で表すことができる。
さらに、図12に示す2.0秒時抵抗値Rg(2.0)と1300℃時抵抗値Rg1300との関係についても、共通の1つの一次関数(一次式)の回帰式(具体的には、式(3):Rg1300(Ω)=1.10×Rg(2.0)+0.100)で表すことができる。
また、 図13に示す3.3秒時抵抗値Rg(3.3)と1300℃時抵抗値Rg1300との関係についても、共通の1つの一次関数(一次式)の回帰式(具体的には、式(4):Rg1300(Ω)=1.02×Rg(3.3)+0.060)で表すことができる。
同様に、図11のグラフまたは回帰式(2)から、1.0秒時抵抗値Rg(1.0)を検知できれば、これと一義的に対応し、維持期間において、発熱コイル21のヒータ温度を目標温度Tm(1300℃)とするための目標抵抗値Rm1〜Rmn(1300℃時抵抗値Rg1300)をどの値とすればよいかを、適切に知ることができる。
また同様に、図12のグラフまたは回帰式(3)から、2.0秒時抵抗値Rg(2.0)を検知できれば、これと一義的に対応し、維持期間において、発熱コイル21のヒータ温度を目標温度Tm(1300℃)とするための目標抵抗値Rm1〜Rmn(1300℃時抵抗値Rg1300)をどの値とすればよいかを、適切に知ることができる。
さらに、図13のグラフまたは回帰式(4)から、3.3秒時抵抗値Rg(3.3)を検知できれば、これと一義的に対応し、維持期間において、発熱コイル21のヒータ温度を目標温度Tm(1300℃)とするための目標抵抗値Rm1〜Rmn(1300℃時抵抗値Rg1300)をどの値とすればよいかを、適切に知ることができる。
なお、昇温時抵抗値とヒータ温度(目標温度に対応)を1300℃とした場合の維持抵抗値との関係について示したが、維持温度を他の値(例えば1200℃等)とした場合も同様である。
先ず、ステップS12でYesの場合、即ち経過時間tが30秒未満である場合には、ステップS13に進み、目標抵抗値Rm1〜Rmnの値をそれぞれ補正し、ステップS14に進む。
補正を行う理由について、以下に説明する。前述したように、発熱コイル21は、通電により、短時間(例えば、3sec程度)で高温にまで昇温させられる。しかし、グロープラグ1(GP1等)のうち、通電端子軸13など他の抵抗部位5及びリード線HR1等は、後述するエンジン冷却水の水温WTの変化による温度変化を考慮しないとしても、発熱コイル21からの伝熱により、これの昇温に遅れて、例えば、30秒程度掛かって徐々に昇温し、この昇温とともに、ここ(他の抵抗部位5及びリード線HR1等)に生じる抵抗も増大する。
ところで、本実施形態では、前述したように、目標抵抗値Rm1等を、ステップSA6,SB4で得るに当たって、図10〜図13に示すグラフ、あるいはこれから得た回帰式(1)〜(4)を用いている。これらのグラフ及び回帰式を得るに当たっては、前述したように、エンジンヘッドEHにサンプルのグロープラグを装着し、これらを恒温槽に収容し、グロープラグに通電して、発熱コイル21のヒータ温度を昇温させる。その後、1300℃に維持して、充分時間が経過した後のグロープラグの1300℃時抵抗値Rg1300を測定し、これを基に、グラフあるいは回帰式(1)等を用いて、目標抵抗値Rm1を得ている。
逆に言えば、昇温直後(維持期間の開始直後)からしばらくの期間は、他の抵抗部位5に発熱コイル21からの熱が未だ充分伝わらず、この他の抵抗部位5に生じる抵抗が比較的小さい状態となっており、この期間に目標とすべきグロープラグの抵抗値Rgは、回帰式(1)等で得られた目標抵抗値Rm1等よりも小さめの値となるはずであると考えられる。
つまり、昇温直後から、グロープラグGP1等の目標抵抗値Rm1〜Rmnを、前述したステップSA6,SB4で取得したままの値として(つまり次述する補正をしないで)、グロープラグ1の抵抗値(維持時抵抗値)Rg1(t)〜Rgn(t)が、この目標抵抗値Rm1等になるように抵抗値制御を行った場合を考える。すると、当初の期間には、伝熱による他の抵抗部位5やリード線HR1等における抵抗の増大が少ない点を考慮しない結果となり、この当初の期間には、発熱コイル21における抵抗の大きさが適正な値よりも大きくなるように制御される。つまり、ヒータ温度Tg1(t)等が目標の維持温度(例えば1300℃)よりも高くなるように、制御されることになり、ヒータ温度Tg1(t)等を一定に維持するという目標に反する結果となる虞がある。
そこで、他の抵抗部位5やリード線HR1等の抵抗が、伝熱によって徐々に増加するのに合わせて、目標抵抗値Rm1〜Rmnを徐々に変化させる補正(伝熱補正)が必要となるのである。
本実施形態のステップS13における、伝熱補正の具体的な手法を、以下に説明する。
このステップS13では、維持モードの当初(例えば、t=3.3sec)における伝熱補正では、既に得ている(補正前の)目標抵抗値Rm1〜Rmnに対し、それぞれ補正値の27mΩだけ差し引いた値と新たな目標抵抗値とする(Rm1=Rm1−27mΩ,…,Rmn=Rmn−27mΩ)。そして、経過時間t=30sec(正確には30.3secであるが、t>30の場合、ステップS12により、このステップS13は行われない)で、補正値が0となるように、経過時間tが1秒増える毎に、差し引くべき補正値の大きさを1mΩずつ減少させる。
ステップS16では、この第2水温WT2と先に得た第1水温WT1(ステップSA2,SB1参照)とを用いて、各時点において目標抵抗値Rm1〜Rmnの値をそれぞれ補正(水温補正)し、ステップS17に進む。
この水温補正の必要性について、以下に説明する。前述したように、エンジンの始動後しばらく経つと、エンジン冷却水の水温やエンジンブロックの温度が上がるなど、グロープラグGP1等を取り巻く、環境条件に変化が生じる。すると、前述したヒータ2から伝わる熱とは別の原因によって、グロープラグGP1等のうち、通電端子軸13、主体金具3など他の抵抗部位5及びリード線HR1等の抵抗値が徐々に高くなる。そこで、グロープラグGP1等のヒータ温度Tg1(t)等を目標温度Tm(例えば1300℃)に維持するには、このような原因に伴う、グロープラグGP1等とリード線HR1等を併せた全体の抵抗値(維持時抵抗値)Rg1(t)〜Rgn(t)の上昇に対応して、目標抵抗値Rm1〜Rmnを徐々に変化させる必要があるからである。そこで本実施形態では、環境条件のうち、その測定が容易であり、しかも、グロープラグGP1等の抵抗値への影響の度合いを検討しやすい、エンジン冷却水の水温WT(第1水温WT1及び第2水温WT2)を用いて、目標抵抗値Rm1〜Rmnの補正を行うこととしている。
具体的には、この水温補正係数Cbを以下のようにして求めると良い。まず、予め、同一品番のサンプルのグロープラグ1を用意する。但し、このグロープラグ1には、この状態で発熱コイル21のヒータ温度をも測定できるように、シーズヒータ2の先端部分に熱電対を貼り付けておき、ヒータ温度が一定(例えば1300℃)に維持されるように、リード線HR1等と同等のリード線HRを用いて、通電を制御する。当初、このエンジンは、エンジン冷却水の水温WTが充分低い(例えば、0℃)状態としておく。そして、このグロープラグ1に通電して、短時間(例えば3秒程度)で、その発熱コイル21のヒータ温度T1を所定の温度(例えば、1300℃)にまで上昇させ、エンジンを始動し所定回転数に維持すると共に、このグロープラグ1の発熱コイル21について、熱電対の出力を用いて、その温度が一定(例えば、1300℃)に維持されるように、温度制御を行う。すなわち、熱電対の出力が一定となるように通電制御をする。
一方、グロープラグ1では、上述のように、その発熱コイル21の温度が一定となるように制御されているので、グロープラグ1の抵抗値R1は、昇温完了直後(温度維持開始直後)からも、緩やかに上昇し、その後、ほぼ一定の抵抗値となる。水温WTが上昇することで、グロープラグ1のうち他の抵抗部位5、及びリード線HRの抵抗値が徐々に高くなる。一方、発熱コイル21の温度が維持されるように制御されているので、発熱コイル21に生じる抵抗値はほぼ同じに維持されるため、グロープラグ1の全体の抵抗値R1は上昇することになるからである。
さらに別途、発熱コイル21が高温に維持されている場合において、ヒータ温度T1の変化による、グロープラグ1の抵抗値R1への影響度合いを調べて、ヒータ温度T1が1deg変化した場合に、グロープラグ1の抵抗値R1がどれだけ変化するかを示す抵抗変化率〔mΩ/deg〕を調べておく。具体的には、前述の熱電対を貼り付けたグロープラグ1を恒温槽内に配置したアルミブロック(エンジンヘッドを模擬したもの)へ装着する、この時点での恒温槽内の温度を25℃としておく。この状態から、グロープラグ1へ通電し、1100℃を維持する。1100℃におけるグロープラグ1の抵抗値を測定し、ついで、1200℃を維持するように通電を行う。そして、1200℃でのグロープラグ1の抵抗値を測定する。本実施形態のグロープラグ1では、1100℃において700mΩ、1200℃において750mΩであった。この結果から、本実施形態では、ヒータ温度T1が1deg増加すると、グロープラグ1の抵抗値R1が0.5mΩだけ増加する(0.5mΩ/deg)ことが判っている。
これらから、水温補正係数Cbは、0.35(=−0.5×−0.7)〔mΩ/deg〕となり、前述の補正に用いる式は、本実施形態では、Rm1=Rm1+0.35(WT2−WT1)等で与えられる。
そして、ステップS18において、前述したステップS4と同じく、主制御部111内での演算により、各グロープラグGP1等の、通電開始からの経過時間t時点での抵抗値(昇温時抵抗値)Rg1(t)〜Rgn(t)を、それぞれ算出、取得する(Rg1(t)=Vg1(t)/Ig1(t),…,Rgn(t)=Vgn(t)/Ign(t))。
その後、ステップS20で、維持モードが終了したか否か(例えば、t=180秒経過したか否か)を判断し、終了前の場合(No)には、ステップS12に戻り、前述と同様の処理を繰り返す。一方、終了した場合(Yes)には、グロープラグGP1等の通電処理を終える。
先ず、交換する前のグロープラグGP1については前述したとおりである。即ち、グロープラグGP1には、各経過時間tにおいて、図4に示された所定の曲線に従って変化する基準電力値Pb(t)に等しい電力値P(t)の電力が投入される。このため、経過時間tが終了時間tendに達する時点では、グロープラグGP1(発熱コイル21)の温度は、所定の温度(例えば1300℃)となる。
しかも、この昇温時抵抗値Rg1(t)等は、グロープラグGP1,GP1eの特性バラツキを反映した値であるから、この値に基づいて、図10、図11、図12、図13、あるいは回帰式(1)等を用いて、目標抵抗値Rm1を求めれば、各々のグロープラグGP1,GP1eの特性に適合した目標抵抗値をそれぞれ設定できる。
また、スイッチング素子1051〜105nのほか、主制御装置111におけるステップSA1〜SA4,SA6,SB2,SB4,S12〜S20の動作が、維持時通電制御手段に相当する。またこのうちのステップS18が維持時抵抗値取得手段に、ステップSA6,SB4が目標抵抗値取得手段に、ステップS19が維持時抵抗値制御手段に相当する。さらに、ステップSA4,SB2が第1環境値取得手段及び第1水温取得手段に、ステップS14が第2環境値取得手段及び第2水温取得手段に相当する。また、ステップS13が伝熱補正手段に、ステップS16が環境補正手段及び水温補正手段に相当する。ステップSA3,SB1がクランキング検知手段に相当する。
ついで、第2の実施形態について、図14,図15を参照して説明する。実施形態1では、スイッチング素子1051等として、電流検知機能付きFETを用いた。これに対し、本実施形態2に係るグロープラグ通電制御システム200、及び、グロープラグ通電制御装置201では、電流検知機能を有さないFETをスイッチング素子2051〜205nとして、グロープラグGP1〜GPnへの通電のオンオフを行う。また、電流検知機能を有していないため、各グロープラグGP1等の抵抗値Rg1(t)等を検知すべく、抵抗分割回路2081〜208nを別途有している点、及び、処理フローにおいてこの抵抗分割回路2081等を用いて、各グロープラグGP1等の抵抗値Rg1(t)等を検知するステップを備える点でも異なる。そこで、異なる部分を中心に説明し、同様な部分の説明は、省略あるいは簡略化する。
次に、本実施形態2にかかるグロープラグ通電制御システム200、及び、グロープラグ通電制御装置201について説明する。図14は、本実施形態2のグロープラグ通電制御システム200、及び、グロープラグ通電制御装置201の電気的構成を示すブロック図である。グロープラグ通電制御システム200は、グロープラグ通電制御装置201のほか、実施形態1と同様の、グロープラグGP1〜GPn、バッテリBT、キースイッチKSWを有している。また、このグロープラグ通電制御システム200は、ECU301及びオルタネータ311と、インターフェイス回路107を介して接続している。
また、実施形態1と同じく、各スイッチング素子2051〜205nがオンとされているタイミングにおける、各グロープラグGP1〜GPn及びリード線HR1〜HRnへの印加電圧Vg1(t)〜Vgn(t)が、これに対応する電圧信号V1(t)〜Vn(t)として、主制御部211に入力される。
このようにすることで、実施形態1で用いた、比較的高価な電流検知機能付きFETを用いずに、グロープラグGP1〜GPn及びリード線HR1〜HRnの抵抗値Rg1(t)〜Rgn(t)をそれぞれ検知することができる。
さらに、ステップS32で、各スイッチング素子2051〜205nがオフとされ、各FET2061〜206nがオンとされているタイミングで、グロープラグGP1等及びリード線HR1等に印加される分割電圧値Vd1(t)〜Vdn(t)を、主制御部211に取り込む。併せて、バッテリ電圧VBも、主制御部211に取り込む。
以降は、実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
さらに、グロープラグGP1とグロープラグGP1eの昇温時の温度変化の様子を比較しても、グロープラグGP1とグロープラグGP1eとは、互いに異なる抵抗値を有していながらも、各経過時間tにおいて、ほぼ同じ温度となり、且つ同じ温度(例えば1300℃)まで、同じ温度カーブを描いて昇温させることができる。
従って、実施形態1と同様、昇温期間中の所定タイミング(各経過時間t=0.5,1.0,2.0,3.3)におけるグロープラグの昇温時抵抗値(0.5秒時抵抗値Rg(0.5),1.0秒時抵抗値Rg(1.0),2.0秒時抵抗値Rg(2.0),あるいは3.3秒時抵抗値Rg(3.3))を適切に得ることができる。さらに、これらを基に、図10〜図13に示すグラフ(あるいは回帰式(1)〜(4))を用いて、目標抵抗値Rm1等を得ることができ、グロープラグGP1等に生じる抵抗値にバラツキがあっても、維持期間における各グロープラグGP1等のヒータ温度を、目標温度に維持することができる。
実施形態1,2のグロープラグ通電制御装置101,201(グロープラグ通電制御システム100,200)においては、昇温期間において、デューティ比D1(t)等を得るのに、印加電圧値Vg1(t)等、電流値Ig1(t)等、あるいは抵抗値Rg1(t)等のほか、ステップS5で取得した基準電力値Pb(t)を用いた。
これに対し、本変形形態1のグロープラグ通電制御装置301(グロープラグ通電制御システム300)では、実施形態1とは、デューティ比D1(t)〜Dn(t)を取得する手法のみ異なる。そこで、異なる部分のみ、図16を参照して説明する。
即ち、本変形形態1では、ステップS5で基準電力値Pb(t)を得ることなく(即ち、実施形態1,2におけるステップS5を不要として)、ステップS6に相当するステップS61において、経過時間tのほか、印加電圧値Vg1(t)等、電流値Ig1(t)等、あるいは抵抗値Rg1(t)等を用いて、デューティ比D1(t)等を、演算により、あるいは予め作成しておいたテーブルを用いて得る。
例えば、実施形態1、及び、変形形態1では、ステップS4において各グロープラグの抵抗値Rg1(t)〜Rgn(t)を、印加電圧値Vg1(t)等と電流値Ig1(t)等とから取得した。
しかし、デューティ比D1(t)〜Dn(t)を得るに当たり、この抵抗値Rg1(t)等を一旦得ることなく、印加電圧値Vg1(t)等、及び、電流値Ig1(t)等を用いて、デューティ比D1(t)等を算出しても良い。
また、実施形態1等では、キースイッチKSWをオンにすることで、グロープラグ通電制御システム100(グロープラグ通電制御装101)が立ち上がり、グロープラグGP1等への通電が開始されるものとした。しかし、操作者がキースイッチKSWをオンにし、グロープラグ通電制御装置101が立ち上がった後、インターフェイス回路107を介したエンジン制御ユニット301からの指示を待って、グロープラグGP1等への通電を開始するようにしても良い。
また、図8において、ステップS13の後には、ステップS17に直接進むようにして、経過時間tが30秒未満(t<30sec)の場合にはステップS13による伝熱の補正を行い、経過時間tが30秒以上(t≧30sec)の場合には、これに代えて、ステップS14,S16による水温の補正を行うようにしても良い。
2 シーズヒータ
21 発熱コイル(発熱部)
5 (グロープラグの発熱コイルを除く)他の抵抗部位
100,200,300,400 グロープラグ通電制御システム
101,201,301,401 グロープラグ通電制御装置
1051〜105n,2051〜205n スイッチング素子
2061〜206n FET
2071〜207n 基準抵抗
2081〜208n 抵抗分割回路
V1(t)〜Vn(t) (各グロープラグについての)電圧信号
I1(t)〜In(t) (各グロープラグについての)電流信号
111,211 主制御部
312 水温センサ
CW エンジン冷却水
WT (エンジン冷却水の)水温
GP,GP1〜GPn グロープラグ
GP1 グロープラグ(第1グロープラグ)
GP1e (交換後の)グロープラグ(第2グロープラグ)
Vg1(t)〜Vgn(t) (グロープラグ及びリード線に印加される電圧の)印加電圧値
Ig1(t)〜Ign(t) (グロープラグ及びリード線を流れる電流の)電流値
Rg,Rg(t),Rg1(t)〜Rgn(t) (グロープラグ及びリード線の)抵抗値(昇温時抵抗値、維持時抵抗値)
Rg(0.5) 0.5秒時抵抗値(最新の昇温時抵抗値,最初の所定タイミングにおける昇温時抵抗値)
Rg(1.0) 1.0秒時抵抗値(最新の昇温時抵抗値)
Rg(2.0) 2.0秒時抵抗値(最新の昇温時抵抗値)
Rm1〜Rmn (グロープラグ及びリード線の)目標抵抗値
Tg,Tg1(t)〜Tgn(t) (発熱コイル(発熱部)の)ヒータ温度
Tm (発熱コイル(発熱部)の)目標温度
P(t) 電力値
Pb(t) 基準電力値
EG エンジン
S3,S4,S5〜S7,S31,S32,S61 昇温時通電制御手段,投入電力制御手段
S4 昇温時抵抗値取得手段
S3〜S5,S31,S32 基準電力値付与手段
S3,S4,S6,S7,S31,S32 電力値制御手段
S3,S4,S31,S32 電圧等取得手段
S6,S61 デューティ比取得手段
S7 パルス通電手段
SA1〜SA4,SA6,SB2,SB4,S12〜S20 維持時通電制御手段
S18 維持時抵抗値取得手段
SA6,SB4 目標抵抗値取得手段
S19 維持時抵抗値制御手段
SA4,SB2 第1環境値取得手段,第1水温取得手段
S14 第2環境値取得手段,第2水温取得手段
WT エンジン冷却水の水温
WT1 エンジン冷却水の第1水温(第1環境値)
WT2 エンジン冷却水の第2水温(第2環境値)
Cb 水温補正係数
S16 環境補正手段,水温補正手段
S13 伝熱補正手段
式(1),(2),(3),(4) 一次式
SA3,SB1 クランキング検知手段
Claims (9)
- 通電により発熱する発熱部を有し、自身の抵抗値がヒータ温度に対して正の相関を有するグロープラグについて、リード線その通電を制御するグロープラグの通電制御装置であって、
上記グロープラグの上記ヒータ温度を昇温させる昇温時通電制御手段と、
昇温後、上記ヒータ温度を所定の目標温度に維持する維持時通電制御手段と、
上記昇温時通電制御手段による昇温を行っている昇温期間中の所定タイミングにおける、上記グロープラグ及び上記リード線に生じた抵抗の昇温時抵抗値を取得する昇温時抵抗値取得手段と、
上記維持時通電制御手段による温度維持を行っている維持期間において、上記グロープラグ及び上記リード線に生じた抵抗の維持時抵抗値を取得する維持時抵抗値取得手段と、を備え、
上記維持時通電制御手段は、
上記昇温時抵抗値に基づいて、上記目標温度に対応する目標抵抗値を得る目標抵抗値取得手段、及び、
上記維持時抵抗値が、上記目標抵抗値になるように、上記グロープラグへの通電を制御する維持時抵抗値制御手段を含む、
グロープラグの通電制御装置。 - 請求項1に記載のグロープラグの通電制御装置であって、
エンジンのクランキングを検知するクランキング検知手段を有し、
前記昇温時抵抗値取得手段は、
前記昇温期間において、少なくとも上記クランキング検知手段で上記クランキングを検知するまでは、前記所定タイミングが到来する毎に、前記昇温時抵抗値を取得し、
前記維持時通電制御手段は、
上記クランキング検知手段で上記クランキングを検知した検知タイミングより前に取得された、前記所定タイミングにおける上記昇温時抵抗値のうち、最新の上記昇温時抵抗値に基づいて前記目標抵抗値を得る
グロープラグの通電制御装置。 - 請求項2に記載のグロープラグの通電制御装置であって、
前記昇温時抵抗値取得手段は、
前記昇温期間において、最初の前記所定タイミングより前に、前記クランキング検知手段で前記クランキングを検知した場合でも、上記最初の所定タイミングにおける前記昇温時抵抗値を取得し、
前記維持時通電制御手段は、
前記検知タイミングより前に取得された上記所定タイミングにおける上記昇温時抵抗値が無いときには、上記最初の所定タイミングにおける上記昇温時抵抗値に基づいて前記目標抵抗値を得る
グロープラグの通電制御装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のグロープラグの通電制御装置であって、
前記昇温時通電制御手段は、
前記グロープラグとして、第1グロープラグに代えて、同一品番であるが特性ばらつきにより、自身の抵抗値が上記第1グロープラグとは異なる第2グロープラグを、この通電制御装置に繋ぎ替えて通電制御したときでも、
上記第1グロープラグを昇温させたときと、同一の環境温度条件下で上記第2グロープラグの上記発熱部を昇温させた場合に、昇温中の各時点で、上記第1グロープラグに投入したのと同一の大きさの電力を、上記第2グロープラグにも投入する通電制御を行う
グロープラグの通電制御装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のグロープラグの通電制御装置であって、
前記目標抵抗値取得手段は、
上記所定タイミングにおける前記昇温時抵抗値を変数とする、所定の一次式を用いて、前記目標抵抗値を得る
グロープラグの通電制御装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のグロープラグの通電制御装置であって、
前記昇温期間前または上記昇温期間中の所定の環境条件についての第1環境値を取得する第1環境値取得手段と、
前記維持期間における前記所定の環境条件についての第2環境値を取得する第2環境値取得手段と、を備え、
前記維持時通電制御手段は、
第2環境値と上記第1環境値を用いて、前記目標抵抗値を補正する環境補正手段を含む
グロープラグの通電制御装置。 - 請求項6に記載のグロープラグの通電制御装置であって、
前記第1環境値取得手段は、
前記第1環境値として、昇温期間前または上記昇温期間中のエンジン冷却水の第1水温を取得する第1水温取得手段であり、
前記第2環境値取得手段は、
前記第2環境値として、前記維持期間における上記エンジン冷却水の第2水温を取得する第2水温取得手段であり、
前記環境補正手段は、
第2水温と上記第1水温を用いて、前記目標抵抗値を補正する水温補正手段である
グロープラグの通電制御装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のグロープラグの通電制御装置であって、
前記維持時通電制御手段は、
前記発熱部の昇温に遅れて、前記グロープラグの上記発熱部以外の他の抵抗部位が昇温することによる、前記維持時抵抗値の増加に対応して、前記目標抵抗値を補正する伝熱補正手段を含む
グロープラグの通電制御装置。 - 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のグロープラグの通電制御装置と、
前記グロープラグと、
上記通電制御装置と上記グロープラグとを接続する前記リード線と、を備える
グロープラグ通電制御システム。
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