JP2009286977A - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、硬化性樹脂組成物に添加する導電性粉体の添加量を減らしても、導電性が安定すると共に、コストダウンも計ることができる導電性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
下記(A)〜(C)成分を含む導電性樹脂組成物:
(A)成分:硬化性樹脂組成物;
(B)成分:強磁性を有する粉体;及び
(C)成分:タップ密度が0.1〜1.5g/cm未満の銀粉及び/又は見掛密度が0.1〜1.0g/cm未満のニッケル粉。
【選択図】なし

Description

本発明は、強磁性を有する粉体と銀粉及び/又はニッケル粉を含んだ導電性樹脂組成物に関するものである。
導電性樹脂組成物の中で、一般的に導電性接着剤と言われている組成物は、樹脂成分が5〜25重量%、銀粉・ニッケル粉・パラジウム粉・金粉などの金属粉体(以下、導電性粉体と呼ぶ)が65〜95重量%という構成の組成物である。金属粒子と金属粒子の間には樹脂成分の層が存在し、樹脂成分が絶縁破壊することで電気が流れる。金属粉体の添加量が65重量%を下回ると導通性が不安定化したり、又は導電性が発現しないことがある。これは、金属粉体を高充填しないと金属粒子間に介在する樹脂成分の層が厚くなって絶縁破壊しづらくなる事に起因する。また、導電性粉体として使用される金属は高価な貴金属が多いので、導電性粉体の添加量が多い導電性接着剤の価格は高くなる傾向がある。また、導電性粉体として使用できる材質は限られており、導電性粉体以外のアルミニウム、銅、鉄、錫などの金属粉体は酸素と金属の酸化被膜を形成しているため樹脂成分に練り込んでも導電性が発現しない。当然のことながら、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化鉄(フェライト)などの金属酸化物の粉体は高充填しても導電性は発現しない。
近年は高信頼性の車載用電子部品の需要が高くなると共に、パソコンや携帯電話でも信頼性向上が求められてきている。導電性接着剤は電子部品関連に使用される事が多く、同様に高信頼性が求められている。信頼性を確認する具体的な試験方法としては、高温高湿下に放置する耐湿試験(例えば85℃×85%RHなど)や低温放置と高温放置を繰り返すヒートサイクル試験・ヒートショック試験(例えば−40℃〜80℃の繰り返しなど)により導電性接着剤の導電性(抵抗値や体積抵抗率)、接着力などの変化を確認する。ヒートサイクル試験とは温度の切り替えに温度勾配が有り、温度切り替えが急激ではないが、ヒートショック試験では温度の切り替えを急激に行うため、ヒートショック試験はヒートサイクル試験より条件が厳しい試験に相当する。また、導電性接着剤に使用される導電性粉体は貴金属を使用している事が多く、高信頼性を求められる一方でコストダウンも求められる事が多いので、その低価格化が課題になっている。
コストダウンを行うため特許文献1に記載されているように、導電性粉体と銀メッキしたガラス粉を使用することが知られているが、実際は銀メッキしたガラス粉自体の加工コストが上乗せされるため、粉体自体の低価格化が困難で大幅なコストダウンは図れない。また、特許文献2に記載されているように、20重量%分の銀メッキを施した銅粉の表面に球状銀粉を物理的にこすりつけるという手法もとられている。しかし、銅を使用した場合は、全体としての銀成分の含有率を多くしないと抵抗値を安定化することができない。したがって、このような手法は、結果的に貴金属の含有率が高くなることでコストダウンを妨げている。
銀粉と強磁性を有する磁石とを混合する組成物としては特許文献3に記載のものが知られているが、特許文献3の組成物はノイズカットのために強磁性を有する磁石の粉体を使用しているに過ぎない。また、特許文献4ではフェライトの使用が記載されているが、酸化鉄として使用しているため、強磁性を有するフェライト系磁石とは異なる素材である。さらに、特許文献5は、樹脂成分に強磁性体粒子と導電性粒子を混合することが記載されているが、スクリーン印刷時に樹脂組成物が版に詰まらない事を目的に強磁性体粒子を添加している。その使用方法としては、基板の下側に磁石を置いて強磁性体粒子を引き寄せるという手法をとっている。さらには、この樹脂組成物は焼成しないと導通性が発現しない。この様に、強磁性を有する粉体と導電性粉体とを組み合わせて、高信頼性かつ低価格の導電性接着剤を得るという問題は未だ解決されていない。
特開平9−296158号公報 特開2005−32471号公報 特開2001−35249号公報 特開平8−153414号公報 特開2002−109958号公報
硬化性樹脂組成物に対して銀粉及び/又はニッケル粉の添加量が少ない場合は、導電性樹脂組成物としては導通性が発現しないため、単純に導電性粉体を減らしてコストダウンする事できない。また、銀粉の代替えとして銀メッキ粉や合金粉体などで低コスト化を図っても導電性樹脂組成物としては信頼性が低く、その粉体の製造工程が複雑になり加工賃が加算されるため導電性樹脂組成物として大幅にコストダウンすることが困難であった。
本発明者らは上記の事情を鑑みこれらの課題を改善するべく鋭意検討した結果、導電性粉体を減らしても安定した導電性が発現し、かつ高信頼性とコストダウンとを両立する事ができる導電性樹脂組成物に関する発明を完成するに至った。
本発明の要旨を次に説明する。本発明の第一の実施態様は、下記(A)〜(C)成分を含む導電性樹脂組成物である:
(A)成分:硬化性樹脂組成物;
(B)成分:強磁性を有する粉体;及び
(C)成分:タップ密度が0.1〜1.5g/cm未満の銀粉及び/又は見掛密度が0.1〜1.0g/cm未満のニッケル粉。
本発明の第二の実施態様において、(A)成分100重量部に対して(B)成分を10〜100重量部含む。
本発明の第三の実施態様において、本発明の導電性樹脂組成物の総重量に対して(C)成分を25〜70重量%含む。
本発明の第四の実施態様において、(B)成分は平均粒径0.1μm〜5μmである、
本発明の第五の実施態様において、(B)成分は1.0〜14.0kGの残留磁束密度を有する。
本発明の第六の実施態様において、前記(B)成分は異方性又は等方性の磁石粉体からなる。
本発明の第七の実施態様において、前記磁石粉体はフェライト系磁石粉体である。
本発明の第八の実施態様において、前記(A)成分は熱硬化性樹脂組成物、湿気硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂組成物、及び溶剤揮発硬化性樹脂組成物からなる群から選択される少なくとも1種の硬化性樹脂組成物である。
本発明の第九の実施態様において、前記(A)成分はエポキシ樹脂組成物、エピチオ樹脂組成物、ウレタン樹脂組成物、湿気硬化型シリコーン樹脂組成物、加熱硬化型シリコーン樹脂組成物、アクリル樹脂組成物、メタクリル樹脂組成物、及びビニルエーテル樹脂組成物からなる群から選択される少なくとも1種の硬化性樹脂組成物である。
本発明により、硬化性樹脂組成物に添加する導電性粉体の添加量を減らしても、導電性が安定すると共に、コストダウンも計ることができる導電性樹脂組成物の提供が可能になる。
次に本発明を詳細に説明する。本発明で使用することができる(A)成分は、加熱硬化、湿気硬化、光硬化、溶剤揮発などにより硬化する樹脂組成物であれば限定されない。熱硬化性樹脂組成物の具体例を挙げると、エポキシ樹脂組成物、ブロックイソシアネートを含むウレタン樹脂組成物、加熱硬化型シリコーン樹脂組成物、有機過酸化物を含むアクリル樹脂組成物、及びメタクリル樹脂組成物などがある。湿気硬化性樹脂組成物の具体例を挙げると、ウレタン樹脂組成物、及び湿気硬化型シリコーン樹脂組成物などがある。光硬化性樹脂組成物の具体例を挙げると、光開始剤を含むアクリル樹脂組成物、及びメタクリル樹脂組成物などがある。溶剤揮発硬化性樹脂組成物の具体例を挙げると、塗料組成物、及びワニスなどがある。ここで、溶剤揮発硬化性樹脂組成物とは、溶剤の揮発又は乾燥によりプラスチックやゴムなどの固形分が残る樹脂組成物のことをいう。
エポキシ樹脂組成物は、化学式1のエポキシ基を分子内に1以上有する化合物と、ポリアミン化合物、ポリフェノール化合物、ポリチオール化合物、及び酸無水物から選択される少なくとも1つの硬化剤とを含む。さらに、これらの組成物に対して反応性を向上させるために、硬化促進剤として三級アミン化合物を使用することができる。又は、該三級アミン化合物を単独で硬化剤として使用しても良い。硬化剤と硬化促進剤は液体でも固体(粉体も含む)でも良く限定されない。さらに、エポキシ基を有する化合物と硬化剤及び/又は硬化促進剤をすべて混合した一液型、又は別々に調製し使用時混合する二液型も使用することができる。以下、エポキシ基を分子内に1以上有する化合物をエポキシ化合物と呼ぶ。
Figure 2009286977
前記エポキシ化合物の具体例を挙げると、エピクロルヒドリンとビスフェノール類などの多価フェノール類や多価アルコールとの縮合によって得られるもので、例えばビスフェノールA型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、ノボラック型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型、テトラフェニロールエタン型などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂がある。その他、エピクロルヒドリンとフタル酸誘導体や脂肪酸などのカルボン酸との縮合によって得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとアミン類、シアヌル酸類、ヒダントイン類との反応によって得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、さらには様々な方法で変性したエポキシ樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一価のエポキシ化合物(エポキシ基を分子内に1有する化合物)の具体例としては、フェニルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、C12〜C14アルコールグリシジルエーテル,ブタンジグリシジルエーテル、ヘキサンジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメチルジグリシジルエーテル、又はポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールをベースとするグリシジルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
エピチオ樹脂組成物は、化学式2のエピチオ基を分子内に1以上有する化合物と、ポリアミン化合物、ポリフェノール化合物、ポリチオール化合物、及び酸無水物から選択される少なくとも1つの硬化剤とを含む。さらに、これらの組成物に対して反応性を向上させるために硬化促進剤として三級アミン化合物を使用することができる。又は、該三級アミン化合物を単独で硬化剤として使用しても良い。硬化剤と硬化促進剤は液体でも固体(粉体も含む)でも良く限定されない。さらに、エピチオ基を有する化合物と硬化剤及び/又は硬化促進剤をすべて混合した一液型、別々に調製し使用時混合する二液型も使用することができる。以下、エピチオ基を分子内に1以上有する化合物をエピチオ化合物と呼ぶ。
Figure 2009286977
前記エピチオ化合物の具体例を挙げると、例えば2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)メタン、1,6−ジ(2,3−エピチオプロポキシ)ナフタレン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)エタン、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)メタン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)エタン、1,5−ペンタンジオールの2,3−エピチオシクロヘキシル)エーテル、1,6−ヘキサンジオールのジ(3,4−エピチオオクチル)エーテル等があるが、これらに限定されるものではない。
エポキシ化合物やエピチオ化合物に使用できる前記の硬化剤又は硬化促進剤について以下に詳細を説明する。前記ポリアミン化合物の具体例を挙げると、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシリレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、ピペリジンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
前記ポリフェノール化合物の具体例を挙げると、フェノール、アルキルフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等のアルデヒド類とを反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂及び、これらの変性フェノールノボラック樹脂であるザイログ型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂等の多価フェノール樹脂などがあるが、これらに限定されるものではない。特に、室温で液状のポリフェノール化合物が好ましい。
前記ポリチオール化合物の具体例を挙げると、3−メトキシブチル3−メルカプトプロピオネート、2−エチルヘキシル3−メルカプトプロピオネート、トリデシル3−メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリストールテトラキスチオプロピオネート、メチルチオグリコレート、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、1−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、1,4−ブタンジチオール、3−メルカプト2−ブタノール、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ベンゼンチオール、ベンジルメルカプタン、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン、1,3,5−トリメルカプトメチル−2,4,6−トリメチルベンゼン、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物、ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等があるが、これらに限定されるものではない。
前記酸無水物の具体例を挙げると、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、テトラブロモ無水フタル酸、無水ヘッド酸など環状の酸無水物などがあるが、これに限定されるものではない。
前記三級アミン化合物の具体例を挙げると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等に代表されるエポキシ樹脂とアミン化合物が途中段階まで反応したエポキシアダクト化合物の粉砕物、イミダゾール誘導体、及びジアザビシクロ誘導体等があるが、これらに限定されるものではない。
エポキシ化合物又はエピチオ化合物100重量部に対して、硬化剤は30〜120重量部、好ましくは50〜100重量部、硬化促進剤は0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜0.7重量部である。
ウレタン樹脂組成物は、イソシアネート基を有する化合物と、複数の水酸基を有するポリオール化合物及び/又はポリアミン化合物の硬化剤とを含む組成物である。触媒として有機錫錯体、有機亜鉛錯体、三級アミン化合物を使用することができる。また、全ての組成を混合した一液型、別々に調製し使用時混合する二液型も使用することができる。以下、イソシアネート基を有する化合物をイソシアネート化合物と呼ぶ。
前記イソシアネート化合物としては、1分子中に2以上のイソシアネート基が有れば特に限定はなく、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートがある。該化合物の具体例を挙げると、芳香族ジイソシアネートでは2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2´−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネートなどがあり、脂肪族ジイソシアネートではテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネートなどがある。また、脂環族ジイソシアネートでは1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネートなどがあるが、特に限定されるものではない。また、イソシアネート基を保護基でブロックして加熱により保護基が外れてイソシアネート基が発生するブロックイソシアネートを有する化合物も使用することができる。
前記ポリオール化合物の具体例を挙げると、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビット、ショ糖等の分子中に少なくとも2個の水酸基を有するものがあるが、特に限定されるものではない。
前記ポリアミン化合物の具体例を挙げると、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシリレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、ピペリジンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
前記触媒は、価格や種類の多さを考慮すると有機錫錯体が適している。具体的にはジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫アセテート、ジブチル錫ジラウレート、ブチル錫−2−エチルヘキソエート、カプリル酸第一錫、ナフテン酸錫、オレイン酸錫、ブチル酸錫などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、有機亜鉛錯体の具体例を挙げると、アクリル酸亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、アジピン酸亜鉛、カルバミン酸亜鉛、亜鉛フタロシアニン、亜鉛チオラート及びステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、デカン酸亜鉛、酪酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、イソ酪酸亜鉛、安息香酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、及び2-エチルヘキサン酸亜鉛などがある。三級アミン化合物の例を挙げると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等に代表されるエポキシ樹脂とアミン化合物が途中段階まで反応したエポキシアダクト化合物の粉砕物、イミダゾール誘導体、及びジアザビシクロ誘導体などがあるが、これらに限定されるものではない。
イソシアネート化合物100重量部に対して硬化剤は10〜100重量部、好ましくは30〜70重量部、触媒は0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.1重量部である。
湿気硬化型シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合した水酸基を有するオルガノポリシロキサンと、架橋剤として多官能の加水分解性基を有するシラン化合物とを含む。さらに、これらを縮合反応させるために、有機錫錯体、アミン化合物、チタン又はジルコニウムの第四族元素からなる有機錯体を触媒として使用する。加水分解基の種類により脱アルコール型、脱オキシム型、脱酢酸型、脱ケトン型などが存在する。また、全ての組成を混合した一液型、別々に調製し使用時混合する二液型も使用することができる。以下、ケイ素原子に結合した水酸基を有するオルガノポリシロキサンをシラノールと呼ぶ。
前記シラノールは1分子中に2以上の水酸基を有し、通常はその分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたものが好ましい。このシラノールにおいて、ケイ素原子に結合した有機基の種類には特に制限はなく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、2−フェニルエチル基等のアラルキル、あるいはこれらの基の水素原子の一部もしくは全部が塩素原子等のハロゲン原子やアミノ基等で置換された基等を例示することができるが、特に限定されるものではない。
前記架橋剤は、1分子中に2〜3の加水分解基を有する化合物であれば限定はなく、好ましくはケイ素原子に加水分解基が結合したシラン系カップリング剤である。該加水分解基の種類としては、アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基、ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等のケトオキシム基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、イソプロペニルオキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基、ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基、N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基等を挙げる事ができるが、これらに限定されるものではない。人体や環境への配慮からメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましい。
前記触媒の具体例を挙げると、有機錫錯体ではジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫アセテート、ジブチル錫ジラウレート、ブチル錫−2−エチルヘキソエート、カプリル酸第一錫、ナフテン酸錫、オレイン酸錫、ブチル酸錫などがある。また、チタン系触媒ではテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネートなどがある。ジルコニウム系触媒では、テトラノルマルプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシステアレートなどある。しかし、これらに特に限定されるものではない。また、架橋剤の構造中にアミンを有する化合物も触媒として使用できる。該アミン化合物の具体例を挙げると、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及び3−アミノプロピルトリエトキシシランなどがある。
シラノール100重量部に対して、架橋剤は0.1〜25重量部、好ましくは1〜20重量部、触媒は0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.1重量部である。
加熱硬化型シリコーン樹脂組成物は、ケイ素原子に結合したビニル基を有するオルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサンとを含む。これらを付加反応させるために、白金、ロジウム、パラジウムなど白金族金属の錯体を触媒に使用する。アセチレン基、エチレン基、三級アミンなどパイ結合や非共有電子対を有する化合物を抑制剤として使用すれば、触媒による反応を一時的に抑制することができる。形態としては全ての組成を混合した一液型にする場合と、別々の組成にした二液型する場合がある。以下、ケイ素原子に結合したビニル基を有するオルガノポリシロキサンをビニルシロキサンと呼び、ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサンをハイドロゲンシロキサンと呼ぶ。
前記ビニルシロキサンは、化学式3に示すように、1分子中にビニル基を2個以上有するものが好ましい。好ましくは両末端にビニル基を有する化合物である。
Figure 2009286977
(Rはメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、オクタデシル等のアルキル基、又はシクロヘキシル等のシクロアルキル基、又はフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、2−フェニルエチル等のアリール基を示す。Rはビニルを示す。x、yは0〜3の整数、n、mは0以上の整数(ただし、x+y+m≧2)を示し、また、n、及びmはそれぞれ、単に1分子中に存在する−Si(CHO−単位、及び−Si(H)(CH)O−単位の合計数を表すものであり、各単位はまとまって存在していてもいなくても良い。)
前記ハイドロゲンシロキサンは、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2個以上含んでいれば良い。両末端以外の任意のケイ素原子に結合した水素原子を部分的に有する化学式4、両末端以外の全てのケイ素原子に結合した水素原子を有する化学式5、両末端のケイ素原子に結合した水素原子を有する化学式6が具体的に挙げられる。
Figure 2009286977
(mは2以上の整数であり、nは1以上の整数を示す。また、n、及びmはそれぞれ、単に1分子中に存在する−Si(CHO−単位、及び−Si(H)(CH)O−単位の合計数を表すものであり、各単位はまとまって存在していてもいなくても良い。)
Figure 2009286977
(mは2以上の整数を示す)
Figure 2009286977
(mは0以上の整数を示す)
前記触媒は白金族金属の錯体であれば触媒として使用できる可能性があるが、価格や種類の多さから白金とロジウムが使用されることが多い。白金系触媒の具体例を挙げると、0価の白金錯体ではジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体、テトラビニルテトラメチルテトラシクロシロキサン白金錯体、2価の白金錯体ではジクロロビストリフェニルフォスフィンパラジウム錯体、4価の白金錯体では塩化白金酸などがあるが、これらに限定されるものではない。ロジウム系触媒の具体例を挙げると、1価のロジウム錯体ではクロロトリストリフェニルフォスファイトロジウム錯体、2価のロジウム錯体ではテトラキスアセテートジロジウム錯体、3価のロジウム錯体ではトリスアセチルアセトナトロジウム錯体などがあるが、これらに限定されるものではない。
前記抑制剤の具体例を挙げると、アセチレン系アルコールとして1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール及び3−メチル−1−ドデシン−3−オールなどがある。ポリメチルビニルシクロシロキサンとしては1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルテトラシクロシロキサン、ジビニルテトラメチルジシロキサン、テトラビニルジメチルジシロキサン、トリアルキルシアヌレートなどがある。その他に、ジアリルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジアリルフマレート、ジエチルフマレートなどがあるが、これに限定されるものではない。
ビニルシロキサン100重量部に対して、ハイドロゲンシロキサンは0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部であり、前記触媒は有効量、例えば0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.1重量部であり、抑制剤は0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.1重量部である。
アクリル樹脂組成物、メタクリル樹脂組成物、ビニルエーテル樹脂組成物は、それぞれ、アクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基を1分子中に1以上有する化合物であれば限定はない。具体的には、単官能、2官能、3官能、多官能のモノマーやオリゴマーがある。有機過酸化物又はカチオン系開始剤から加熱によりラジカル種又はカチオン種を発生させて高分子化する加熱硬化と、紫外線や可視光などのエネルギー線によりラジカル系光開始剤又はカチオン系開始剤からラジカル種又はカチオン種を発生させて高分子化する光硬化とがある。以下、アクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基を有する化合物をそれぞれ、アクリル化合物、メタクリル化合物、ビニルエーテル化合物と呼び、全てを総称してビニル化合物と呼ぶ。また、アクリル化合物とメタクリル化合物を総称して(メタ)アクリル化合物と呼ぶ。また、有機過酸化物、ラジカル系光開始剤、カチオン系開始剤を総称して開始剤と呼ぶ。
次に(メタ)アクリル化合物について、詳細を説明する。単官能性(メタ)アクリルモノマーの具体例を挙げると、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート 、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン(以下ECHと略記)変性ブチル(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(以下EOと略記)変性フタル酸(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸(メタ)アクリレート等があるが、これらに限定されるものではない。
2官能性(メタ)アクリルモノマーの具体例を挙げると、1、3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドサイド(以下POと略記)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ECH変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、EO変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルイソシアヌレート等があるが、これらに限定されるものではない。
3官能性(メタ)アクリルモノマーの具体例を挙げると、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ECH変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等があるが、これらに限定されるものではない。
多官能(メタ)アクリルモノマーの具体例を挙げると、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等があるが、これらに限定されるものではない。
(メタ)アクリルオリゴマーの具体例を挙げると、ビスフェノールA型、ノボラック型、多価アルコール型、多塩基酸型、ポリブタジエン型のエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル型、ポリエーテル型のウレタン(メタ)アクリレート等があるが、これらに限定されるものではない。
ビニルエーテル化合物の具体例を挙げると、エチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,2−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールプロピレングリコール共重合体ジビニルエーテルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
前記有機過酸化物の具体例を挙げると、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジn−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカルボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジt−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル類;及びアセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアリルカーボネートがあるが、これらに限定されるものではない。
光硬化に使用する事ができる光開始剤としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等のエネルギー線によりラジカル種を発生するラジカル系光開始剤とブレンステッド酸やルイス酸などのカチオン種を発生するカチオン系開始剤がある。(メタ)アクリル化合物に使用する場合はラジカル系開始剤が好ましいが、ビニルエーテル化合物を使用する場合はラジカル系開始剤及び/又はカチオン系開始剤を使用することができる。
前記ラジカル系光開始剤の具体例を挙げると、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類などがあるが、これらに限定されるものではない。
前記カチオン系開始剤はジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。具体例を挙げると、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロボーレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボーレート、4,4‘−ビス[ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)スルフォニオ]フェニルスルフィドビスヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート等があるが、これらに限定されるものではない。
ビニル化合物100重量部に対して、開始剤を0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜1重量部添加する。
塗料組成物としては、プラスチック(汎用プラスチック又はエンジニアリングプラスチックなど)、ゴム(ジエン系ゴム又は非ジエン系ゴムなど)、熱可塑性エラストマーを溶剤に溶かした組成物がある。次に塗料組成物の詳細を説明する。プラスチックの中で汎用プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、PET樹脂、メタクリル樹脂(アクリル樹脂)、ポリビニルアルコール、エンジニアリングプラスチックとしてはポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂などが挙げられる。
ゴムについては、ジエン系ゴムでは、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムなどが挙げられる。一方、非ジエン系ゴムでは、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロスルフォン化ゴム、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロル非ドリンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。また、これらの共重合体もゴムに含まれる。
プラスチックとゴムの中間的な特性を有する熱可塑性エラストマーとして、SIS(スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体)などのスチレン系やTPO(サーモポリオレフィン)、TPV(熱可塑性加硫エラストマー)などのオレフィン系、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、EEA(エチレンエチルアクリレート)などのエチレン−酢酸ビニル系、又はその他に塩化ビニル系、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系、アイオノマー系、イソブチレン系、シリコーン系などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、プラスチック、ゴム、熱可塑性エラストマーを溶解する溶剤としては、それぞれの組成物を溶解させる物であれば限定はない。該溶剤の例を挙げると、脂肪族炭化水素系、芳香族系、及びエステル系の溶剤がある。具体的には、脂肪族炭化水素系としてはn-ヘキサン、及び石油系溶剤などがあり、芳香族系としてはトルエン、及びキシレンなどがあり、かつエステル系としてはエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明の特性を損なわない範囲において、顔料、染料などの着色剤、金属粉、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無機充填剤、難燃剤、有機充填剤、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤、シラン系カップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、溶剤等の添加剤を適量配合することができる。これらの添加により、樹脂強度、接着強さ、作業性、保存性等に優れた組成物及びその硬化物を得ることができる。
前記(B)成分は強磁性を有する粉体であり、永久磁石に相当すれば良い。永久磁石とは外部から磁場や電流の供給を受けることなく磁石としての性質を比較的長期にわたって保持し続ける物体のことである。永久磁石の具体例としては、アルミニウム・ニッケル・コバルトを主な構成成分とするアルニコ系磁石、鉄とストロンチウム又はバリウムを主な構成成分とするフェライト系磁石、ネオジウム・サマリウム・コバルトを主な構成成分とする希土類系磁石が挙げられる。これに対して、外部磁場による磁化を受けた時にしか磁石としての性質を持たない軟鉄などは一時磁石と呼ばれる。本発明では磁性の目安として残留磁束密度を用いる。本明細書中に記載の強磁性とは、残留磁束密度が1.0以上のことを言う。本発明の使用に適した(B)成分は、残留磁束密度が1.0〜14.0kG、好ましくは1.0〜7.0kG、さらに好ましくは1.5〜3.0kGである。アルニコ系磁石、希土類系磁石では、残留磁束密度(Br)が9.0〜14.0kG、好ましくは7.0〜10.0kGのもの、フェライト系磁石では、残留磁束密度(Br)が1.0〜5.0kG、好ましくは1.5〜3.0kGのものを使用することができる。
磁石は特定の方向にのみ磁性が強いものを作ることができる。これを異方性磁石という。異方性磁石は特定方向に強力である特徴があるとともに、その他の方向では磁性を伴わないという傾向がある。どの方向でも同じ磁性の磁石は等方性と言われ、磁性は弱いがどの方向で用いても磁性を伴うという特徴がある。
これら等方性や異方性の磁石粉体はプラスチック、ゴムなどの樹脂に添加して混合し、圧縮、射出、押出などによって所定の形に整形固化することができる磁石である。異方性の磁石粉体は成形方法が機械配向と磁場配向という二種類の加工方法がある。機械配向とはロール間での機械的シェアーにより配向されるため、配向し易い様に粒子形状が板状の磁石粉を使用する。一方、磁場配向は磁場中で射出成型器にて押し出し成形し、流動中に抵抗を受けない様に粒子形状が若干丸みを帯びた磁石粉体を使用する。等方性の磁石粉体は粒子がアットランダムな方向のまま成形される。
本発明で使用することができる(B)成分としては、強磁性を有する磁石粉体であれば限定はないが、価格面を考慮すると異方性又は等方性のフェライト系磁石粉体が好ましい。また、平均粒径5μm以下、好ましくは0.1μm〜5μm、さらに好ましくは0.9μm〜3.5μmのものが樹脂への混練に適している。さらに、成形密度2.0〜4.0g/cm、保磁力140kA/m以下(例えば1〜140kA/m)、固有保磁力300kA/m以下(例えば、1〜300kA/m)、及び最大エネルギー積10kJ/m以下(例えば、1〜10kJ/m)のものを使用することができる。フェライト系磁石粉体の具体例を挙げると、DOWAエレクトロニクス株式会社製の機械配向用異方性フェライト粉OP−56及びNF−56、磁場配向用異方性フェライト粉NF−350、OP−71、NP−110、及びSF−120、並びに等方性フェライト粉NEY、NRK、BOP−B、及びBOP−Kがある。さらにフェライト系磁石粉体の具体例を挙げると、戸田工業株式会社製の磁場配向用異方性フェライト粉MA−951、FL−900、FM−201、FA−700、及びFAN−800、機械配向用異方性フェライト粉FS−317、FH−800、FH−801、及びFX−7、並びに等方性フェライト粉GP−500、及びFB−105がある。本発明の(B)成分として好ましいものは、DOWAエレクトロニクス株式会社製のOP−56、NF−350、及びBOP−Kである。
(B)成分の添加量は、硬化性樹脂組成物100重量部に対して、10〜100重量部、好ましくは10〜70重量部である。
本発明で使用する(C)成分は、価格面と粒子形状の多様性を考慮すると銀粉及び/又はニッケル粉が好ましい。基本的には見掛密度又はタップ密度が小さい粉体が好ましい。これらの粉体は構造的に適度な空間を有しながら凝集した構造を持っている粉体が好ましい。銀粉ではタップ密度が1.5g/cm未満、好ましくは0.1g/cm〜1.5g/cm、より好ましくは0.5g/cm〜1.2g/cmであり、ニッケル粉では見掛密度が1.0g/cm未満、好ましくは0.1g/cm〜1.0g/cm、より好ましくは0.4g/cm〜1.0g/cmである。銀粉とニッケル粉は密度が異なるため、銀粉ではタップ密度を採用し、ニッケル粉では見掛密度を採用している。これは、ニッケルは銀より密度が軽いため、ニッケル粉にタップ密度を計測すると数値に違いが出にくい傾向がある。タップ密度の試験方法はJISZ2512に、見掛密度の試験方法はJISZ2504に従う。
本発明の樹脂組成物の総重量(固形分(揮発成分を除く))に対して、(C)成分の添加量が25重量%以上で導電性が発現する。好ましくは25〜70重量%であり、より好ましくは25〜60重量%である。銀粉の具体例を挙げると、三井金属鉱業株式会社製の3010(タップ密度:1.0g/cm)、DOWAハイテック株式会社製のG−14(タップ密度:0.8g/cm)、徳力化学研究所株式会社製のシルベストE−20(タップ密度:0.8g/cm)などがある。また、ニッケル粉の具体例を挙げると、INCO Limited社製のNickelType210(見掛密度:0.5g/cm)、NickelType255(見掛密度:0.6g/cm)、NickelType287(見掛密度:0.85g/cm)などがある。
一般的には、固形分の中で銀粉又はニッケル粉が65〜95重量%まで高充填すれば導電性樹脂組成物として導通性が安定する。高充填し易い粉体はタップ密度が2.0g/cm以上の銀粉や見掛密度が1.5g/cm以上であるニッケル粉であることが多く、球状粉(不定形も含む)と鱗片状粉体(フレーク状粉体)の大半がそれに当てはまる。これらの粉体は二次凝集が少なく、一次粒子に近い状態であるので高充填できるが、一方、粒子同士のネットワークがばらばらであるため、導通に適した状態ではなく高充填しないと導通性が安定化しない。また、結果的に高充填にならざるを得ずコストアップにもつながる。一方、(C)成分は構造が崩れにくい二次凝集を持つため、単独で使用すると高充填することが困難で添加量が制限される。仮に限界まで充填しても導通性は不安定である。特に、溶剤や可塑剤を使用できない組成では高充填が困難である。
本発明の樹脂組成物は、(B)成分及び(C)成分の分散性を向上させることにより、より良い導電性を得ることができる。好ましくは調製時に各成分の最大粒径が50μm以下になるように分散性を向上させる。分散方法には、フーバー式マラー法、及びペイントコンディショナー形振とう法などがある。また、分散性を向上させる目的で、樹脂組成物製造時に、ホモジナイザー、一軸型の小型電動撹拌機、二軸型の撹拌釜、ボールミル、及び三本ロールミルなどを使用してもよい。分散性確認試験は、グラインドメーター、又はグラインドゲージを用いて行うことができる。
(B)成分と(C)成分を組み合わせることで導通性が発現するメカニズムは完全に解明されてはいないが、次のように考えられる。(B)成分である磁石粉体の一次粒子同士は磁力により引きつけあう力を有する。(B)成分と(C)成分が充分に分散された組成物では、磁石粉体と磁石粉体の間には銀粉が介在した状態であり、(B)成分の磁力により銀粉の粒子同士が押し付けられて銀粉の粉体同士の距離が短くなると考えられる。これは銀粉の粉体同士に介在する硬化性樹脂組成物が薄膜になる事を意味し、絶縁破壊し易くなり導通性が発現すると考えられる。また、(C)成分は二次凝集して導通に適したネットワークを持つため本発明に適していると推測される。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜7と比較例1〜4において、(A)成分がエポキシ化合物と酸無水物とを含む熱硬化性樹脂組成物である導電性樹脂組成物を調製して、テストピースを作成し、120℃で1時間、硬化させる。
[実施例1〜7]
導電性樹脂組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:硬化性樹脂組成物
・主剤:ビスフェノールA型とF型の混合エポキシ化合物(エピクロンEXA−835LV 大日本インキ化学工場株式会社製)
・硬化剤:3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸の混合物と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸の混合物(HN−5500 日立化成工業株式会社)
・硬化促進剤:エポキシ樹脂アミンアダクト系硬化促進剤(アミキュアMY−24 味の素ファインテクノ株式会社製)
・溶剤:工業用キシレン(キシロール 日本アルコール販売株式会社)
(B)成分:強磁性を有する粉体
・フェライト系磁石粉体(異方性磁場配向用NF−350 DOWAエレクトロニクス株式会社製)
・フェライト系磁石粉体(異方性機械配向用OP−56 DOWAエレクトロニクス株式会社製)
・フェライト系磁石粉体(等方性BOP−K DOWAエレクトロニクス株式会社製)
(C)成分:タップ密度が1.5g/cm未満の銀粉又は見掛密度が1.0g/cm未満のニッケル粉
・タップ密度が0.8g/cmの銀粉(G−14 DOWAエレクトロニクス株式会社製)
・見掛密度が0.5g/cmの二ッケル粉(NickelType210 INCO Limited社製)
前記主剤と前記硬化剤と前記溶剤を撹拌機に添加して10分間撹拌した。その後、前記(B)成分を添加して10分間撹拌した。前記(C)成分を添加してさらに30分間撹拌した。最後に、前記硬化促進剤を添加して10分間撹拌した。詳細な調製量は表1に従い、数値は全て重量部で表記する。
[比較例1と2]
導電性樹脂組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:硬化性樹脂組成物
・主剤:ビスフェノールA型とF型の混合エポキシ化合物(エピクロンEXA−835LV 大日本インキ化学工場株式会社製)
・硬化剤:3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸の混合物と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸の混合物(HN−5500 日立化成工業株式会社)
・硬化促進剤:エポキシ樹脂アミンアダクト系硬化促進剤(アミキュアMY−24 味の素ファインテクノ株式会社製)
・溶剤:工業用キシレン(キシロール 日本アルコール販売株式会社)
(C)成分:タップ密度が1.5g/cm未満の銀粉
・タップ密度が0.8g/cmの銀粉(G−14 DOWAエレクトロニクス株式会社製)
(C’)成分:銀粉
・タップ密度が3.1g/cmの鱗片状銀粉(TCG−1 徳力化学研究所株式会社製)
前記主剤と前記硬化剤と前記溶剤を撹拌機に添加して10分間撹拌した。その後、前記(C)成分又は(C’)成分を添加してさらに30分間撹拌した。最後に前記硬化促進剤を添加して10分間撹拌した。詳細な調製量は表1に従う。
[比較例3と4]
導電性樹脂組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:硬化性樹脂組成物
・主剤:ビスフェノールA型とF型の混合エポキシ化合物(エピクロンEXA−835LV 大日本インキ化学工場株式会社製)
・硬化剤:3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸の混合物と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸の混合物(HN−5500 日立化成工業株式会社)
・硬化促進剤:エポキシ樹脂アミンアダクト系硬化促進剤(アミキュアMY−24 味の素ファインテクノ株式会社製)
・溶剤:工業用キシレン(キシロール 日本アルコール販売株式会社)
(B)成分:強磁性を有する粉体
・フェライト系磁石粉体(異方性磁場配向用NF−350 DOWAエレクトロニクス株式会社製)
(C’)成分:銀粉
・タップ密度が3.1g/cmの鱗片状銀粉(TCG−1 徳力化学研究所株式会社製)
(C”)成分:ニッケル粉
・見掛密度が1.1g/cmの鱗片状ニッケル粉(HCA−1 NOVAMET社製)
前記主剤と前記硬化剤と前記溶剤を撹拌機に添加して10分間撹拌した。その後、前記(B)成分を添加して10分間撹拌した後、前記(C’)成分又は前記(C”)成分を添加してさらに30分間撹拌した。最後に前記硬化促進剤を添加して10分間撹拌した。詳細な調製量は表1に従う。
Figure 2009286977
実施例8〜14と比較例5〜8において、(A)成分がシラノールと架橋剤とを含む湿気硬化性樹脂組成物である導電性樹脂組成物を調製して、テストピースを作成し、25℃×50%RHで24時間放置して硬化させる。
[実施例8〜14]
導電性樹脂組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:硬化性樹脂組成物
・主剤:両末端シラノールジメチルシリコーンオイル(BY16−873 東レ・ダウコーニング株式会社製)
・架橋剤:3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(Z−6020 東レ・ダウコーニング株式会社製)
・添加剤:疎水性ヒュームドシリカ(アエロジルR972 日本アエロジル株式会社製)
・触媒:ジブチル錫ビストリエトキシシリケート(ネオスタンU−303 日東化成株式会社製)
(B)成分:強磁性を有する粉体
・フェライト系磁石粉体(異方性磁場配向用NF−350 DOWAエレクトロニクス株式会社製)
・フェライト系磁石粉体(異方性機械配向用OP−56 DOWAエレクトロニクス株式会社製)
・フェライト系磁石粉体(等方性BOP−K DOWAエレクトロニクス株式会社製)
(C)成分:タップ密度が1.5g/cm未満の銀粉又は見掛密度が1.0g/cm未満のニッケル粉
・タップ密度が0.8g/cmの銀粉(G−14 DOWAエレクトロニクス株式会社製)
・見掛密度が0.5g/cmの二ッケル粉(NickelType210 INCO Limited社製)
前記主剤と前記架橋剤を撹拌機に添加して真空脱泡しながら10分撹拌した。その後、前記添加剤と前記(B)成分を添加して真空脱泡しながら10分間撹拌した。前記(C)成分を添加して真空脱泡しながら120分間撹拌した。最後に前記触媒を添加して真空脱泡しながら5分間撹拌した。詳細な調製量は表2に従い、数値は全て重量部で表記する。
[比較例5と6]
導電性樹脂組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:硬化性樹脂組成物
・主剤:両末端シラノールジメチルシリコーンオイル(BY16−873 東レ・ダウコーニング株式会社製)
・架橋剤:3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(Z−6020 東レ・ダウコーニング株式会社製)
・添加剤:疎水性ヒュームドシリカ(アエロジルR972 日本アエロジル株式会社製)
・触媒:ジブチル錫ビストリエトキシシリケート(ネオスタンU−303 日東化成株式会社製)
(C)成分:タップ密度が1.5g/cm未満の銀粉
・タップ密度が0.8g/cmの銀粉(G−14 DOWAエレクトロニクス株式会社製)
(C’)成分:銀粉
・タップ密度が3.1g/cmの鱗片状銀粉(TCG−1 徳力化学研究所株式会社製)
前記主剤と前記架橋剤を撹拌機に添加して真空脱泡しながら10分撹拌した。その後、前記添加剤を添加して真空脱泡しながら10分間撹拌した。前記(C)成分又は前記(C’)成分を添加して真空脱泡しながら120分間撹拌した。最後に、前記触媒を添加して真空脱泡しながら5分間撹拌した。詳細な調製量は表2に従う。
[比較例7と8]
導電性樹脂組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:硬化性樹脂組成物
・主剤:両末端シラノールジメチルシリコーンオイル(BY16−873 東レ・ダウコーニング株式会社製)
・架橋剤:3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(Z−6020 東レ・ダウコーニング株式会社製)
・添加剤:疎水性ヒュームドシリカ(アエロジルR972 日本アエロジル株式会社製)
・触媒:ジブチル錫ビストリエトキシシリケート(ネオスタンU−303 日東化成株式会社製)
(B)成分:強磁性を有する粉体
・フェライト系磁石粉体(異方性磁場配向用NF−350 DOWAエレクトロニクス株式会社製)
(C’)成分:銀粉
・タップ密度が3.1g/cmの鱗片状銀粉(TCG−1 徳力化学研究所株式会社製)
(C”)成分:ニッケル粉
・見掛密度が1.1g/cmの鱗片状ニッケル粉(HCA−1 NOVAMET社製)
前記主剤と前記架橋剤を撹拌機に添加して真空脱泡しながら10分間撹拌した。その後、前記添加剤と前記(B)成分を添加して真空脱泡しながら10分間撹拌した。前記(C’)成分又は前記(C”)成分を添加して真空脱泡しながら120分間撹拌した。最後に前記触媒を添加して真空脱泡しながら5分間撹拌した。詳細な調製量は表2に従う。
Figure 2009286977
[テストピース]
寸法2.0mm×100mm×100mmのガラス板の上に幅10mm×長さ90〜100mmにマスキングを行い、樹脂組成物をスキージする。この時、塗膜表面は平坦でマスキングの幅は試験板に平行であり、樹脂組成物には泡が混入しないように注意する。最後にマスキングを剥がし、各硬化条件で硬化させる。
[体積抵抗率]
上記テストピース作成後に、板状の電極を持つテスターにて電極間が50mmの時の抵抗(R:Ω)を測定する。その後、膜厚計で硬化物の厚さ(t:mm)を測定する。これら二つの測定をもとに式1で体積抵抗率を計算する。テスターにより抵抗が上限値を超えた場合は、計算が出来ないので「OL」と記述する。
Figure 2009286977
ρ:体積抵抗率(Ω・m)
R:電極間の抵抗値(R:Ω・m)
A:電流方向に対する断面積(幅10mm×厚さt:mm)
L:電極間の長さ(50mm)
[信頼性試験]
実施例1〜14、比較例1〜8のテストピースを作成した後、各硬化条件で硬化させて初期の体積抵抗率を計測した。初期の体積抵抗率を測定したテストピースを耐湿試験(85℃×85%RH×500h)又はヒートショック試験(1サイクル:−40×30分後に85℃×30分を1サイクルとして100サイクル)の試験項目で促進試験を実施してから再び体積抵抗率を計測した。熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂組成物の結果を表3に、湿気硬化性樹脂を含む導電性樹脂組成物の結果を表4に示す。初期において抵抗値が高すぎてテスターの上限値を超えた場合は、初期の体積抵抗率が計算出来ないので、信頼性試験を「不実施」とした。
Figure 2009286977
Figure 2009286977
表3と4の結果から、強磁性を有する磁石粉体とタップ密度が1.5g/cm未満の銀粉及び/又は見掛密度が1.0g/cm未満のニッケル粉を混練した硬化性樹脂組成物では導通性の安定化が見られる。特に、実施例1と比較例1の比較や、実施例8と比較例5の比較から、強磁性粉体が体積抵抗率の安定化に寄与していることが分かる。実施例4、13では、耐湿試験に於いてニッケル粉が湿度の影響を受けたと思われる導通性劣化が見られたが、ニッケル粉の添加量が少ないにもかかわらず、初期に関しては安定した体積抵抗率が発現した。また、実施例1と比較例3の比較や、実施例8と比較例7の比較等から、銀粉に於いてはタップ密度で、ニッケル粉に於いては見掛密度で限定することの有用性を示している。
全世界的に鉛フリーの流れになり、ハンダを鉛フリーハンダやハンダペースト、導電性接着剤などへの切り替えが進んでいる。銀粉やニッケル粉を使用している導電性接着剤は価格的にはハンダやハンダペーストに及ばない。今後、本格的なハンダ切り替えをするに当たり、信頼性がありコストダウンが可能な本発明の導電性樹脂組成物が有用である。

Claims (9)

  1. 下記(A)〜(C)成分を含む導電性樹脂組成物:
    (A)成分:硬化性樹脂組成物;
    (B)成分:強磁性を有する粉体;及び
    (C)成分:タップ密度が0.1〜1.5g/cmの銀粉及び/又は見掛密度が0.1〜1.0g/cmのニッケル粉。
  2. (A)成分100重量部に対して(B)成分を10〜100重量部含む、請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  3. 前記導電性樹脂組成物の総重量に対して(C)成分を25〜70重量%含む、請求項1又は2記載の導電性樹脂組成物。
  4. (B)成分が平均粒径0.1μm〜5μmである、請求項1〜3のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物。
  5. (B)成分が1.0〜14.0kGの残留磁束密度を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物。
  6. 前記(B)成分が異方性又は等方性の磁石粉体からなる、請求項1〜5のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物。
  7. 前記磁石粉体がフェライト系磁石粉体である、請求項6記載の導電性樹脂組成物。
  8. 前記(A)成分が熱硬化性樹脂組成物、湿気硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂組成物、及び溶剤揮発硬化性樹脂組成物からなる群から選択される少なくとも1種の硬化性樹脂組成物である、請求項1〜7のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物。
  9. 前記(A)成分がエポキシ樹脂組成物、エピチオ樹脂組成物、ウレタン樹脂組成物、湿気硬化型シリコーン樹脂組成物、加熱硬化型シリコーン樹脂組成物、アクリル樹脂組成物、メタクリル樹脂組成物、及びビニルエーテル樹脂組成物からなる群から選択される少なくとも1種の硬化性樹脂組成物である、請求項1〜8のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物。
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