JP2009286965A - ポリエステルイミド前駆体、ポリエステルイミド及び金属−ポリエステルイミド複合体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ポリエステルイミド前駆体、ポリエステルイミド、これらを用いて得られた金属−ポリエステルイミド複合体に関する。
ポリイミドは優れた耐熱性のみならず、耐薬品性、耐放射線性、電気絶縁性、優れた機械的性質などの特性を併せ持つことから、現在FPC(Flexible Printed Circuitboard)基板、TAB(Tape Automated Bonding)用基材、半導体素子の保護膜、集積回路の層間絶縁膜等、様々な電子デバイスに現在広く利用されている。ポリイミドはこれらの特性以外にも、製造方法の簡便さ、極めて高い膜純度、入手可能な種々のモノマーを用いた物性改良のしやすさといったことから、近年益々その重要性が高まっている。
電子機器の軽薄短小化が進むにつれてポリイミドへの要求特性も年々厳しさを増し、ハンダ耐熱性だけに留まらず、熱サイクルや吸湿に対するポリイミドフィルムの寸法安定性、透明性、金属基板との接着性、成型加工性、スルーホール等の微細加工性等、複数の特性を同時に満足する多機能性ポリイミド材料が求められるようになってきている。
近年、FPC基板としてのポリイミドの需要が飛躍的に増加している。FPCの原反である銅張積層板、FCCL(Flexible Copper Clad Laminate)の構成は主に3つの様式に分類される。即ち、1)ポリイミドフィルムと銅箔とをエポキシ系接着剤等を用いて貼り付ける3層タイプ、2)銅箔にポリイミドワニスの塗付後乾燥又は、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)ワニスを塗布後、乾燥・イミド化するか、あるいは蒸着・スパッタ等によりポリイミドフィルム上に銅層を形成する無接着剤2層タイプ、3)接着層として熱可塑性ポリイミドを用いる擬似2層タイプが知られている。ポリイミドフィルムに高度な寸法安定性が要求される用途では接着剤を使用しない2層FCCLが有利である。
FPC基板としてのポリイミドは実装工程における様々な熱サイクルに曝されて寸法変化が起こる。これをできるだけ抑えるためには、ポリイミドのガラス転移温度(Tg)が工程温度よりも高いことに加えて、Tg以下での線熱膨張率ができるだけ低いことが望ましい。後述するようにポリイミド樹脂層(ポリイミドフィルム)の線熱膨張率の制御は2層FCCL製造工程中に発生する残留応力の低減の観点からも極めて重要である。
多くのポリイミドは有機溶媒に不溶で、ガラス転移温度以上でも溶融しないため、ポリイミドそのものを成型加工することは通常容易ではない。そのためポリイミドは一般に、無水ピロメリット酸(PMDA)等の芳香族テトラカルボン酸二無水物と4,4’−オキシジアニリン(ODA)等の芳香族ジアミンとをジメチルアセトアミド(DMAc)等の非プロトン性極性有機溶媒中で等モル反応させて、先ず高重合度のポリイミド前駆体(ポリアミド酸)を重合し、このポリアミド酸を銅箔上に塗付し、250℃〜400℃で加熱脱水閉環(イミド化)して製膜される。
残留応力は、高温でのイミド化反応後に金属−ポリイミド複合体を室温へ冷却する過程で発生し、FCCLのカーリング、剥離、膜の割れ等、深刻な問題がしばしば起こる。
熱応力低減の方策として、絶縁膜であるポリイミド自身を低線熱膨張率化することが有効である。殆どのポリイミドでは線熱膨張率が40ppm/℃〜100ppm/℃の範囲にあり、金属基板例えば銅の線熱膨張率17ppm/℃よりもはるかに大きいため、銅の値に近い、およそ20ppm/℃以下を示す低線熱膨張率のポリイミドの研究開発が行われている。
現在実用的な低線熱膨張率のポリイミド材料としては3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンから形成されるポリイミドが最もよく知られている。このポリイミドフィルムは、膜厚や作製条件にもよるが、5ppm/℃〜10ppm/℃と非常に低い線熱膨張率を示すことが知られているが、低吸湿膨張率は示さない(例えば非特許文献1参照)。
ポリイミドの寸法安定性は、熱サイクルだけでなく吸湿に対しても要求される。従来のポリイミドでは2質量%〜3質量%も吸湿する。絶縁層の吸湿による寸法変化に伴う回路の位置ずれは高密度配線や多層配線にとって深刻な問題である。ポリイミド/導体界面でのコロージョン、イオンマイグレーション、絶縁破壊等、電気特性の低下によって更に深刻な問題を引き起こす恐れがある。そのため絶縁膜としてのポリイミド樹脂層はできるだけ吸湿膨張率が低いことが求められている。
低吸湿膨張率を実現するための分子設計として、例えば式(6)で表されるエステル基含有酸二無水物を使用してポリイミド骨格への芳香族エステル結合を導入することが有効であると報告されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、銅箔との密着性が低いため接着性を発現するために、新たにビスフェノールA型エポキシ樹脂などを用いた接着層を必要とし、構成される絶縁膜(ポリイミド樹脂層+接着層)としては、難燃性、吸湿膨張率、ポリイミドの特長である耐熱性の悪化が懸念される。
また、同様にして低吸湿膨張率を実現するための分子設計として、酸無水物のみならず、例えば式(7)で表されるエステル基含有ジアミンを使用して、ポリイミド骨格への芳香族エステル結合を導入することが有効であると報告されている(例えば非特許文献2参照)。
更なる低吸湿膨張率化を目論み、ポリイミド中の芳香族エステル基の含有率を増加することにより、ポリイミド最大の特長である耐熱性、難燃性、前駆体の溶解性(溶液キャスト製膜性)、重合反応性(重合時に沈殿しないこと)、膜厚や作製条件にもよるが、熱膨張係数が5ppm/℃〜9ppm/℃と非常に低く、銅箔同等の熱膨張率への制御が困難であり、また、銅箔との密着性等の悪化が懸念される。
重合反応性や製膜加工性を保持したまま低線熱膨張率(20ppm/℃ 50℃〜200℃)、高難燃性、低吸湿膨張率(5ppm/%RH以下、10%RH〜80%RH)、高靭性、ハンダ耐熱性、且つ銅箔との密着性を満足するポリイミドを得ることは分子設計上容易ではなく、コスト面で不利なフッ素化ポリイミドを除いて、このような要求特性を満足する実用的な材料は今のところ殆ど知られていないのが現状である。
Macromolecules,29,7897(1996) 高分子討論会予稿集,53,4115(2004) 特開平10−126019号公報
Macromolecules,29,7897(1996) 高分子討論会予稿集,53,4115(2004)
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、高ガラス転移温度、高い難燃性、金属箔同等の低線熱膨張率、低吸湿膨張率、金属、特に銅との高接着性及び十分な靭性を併せ持つ、ポリエステルイミド前駆体、ポリエステルイミド及び金属−ポリエステルイミド複合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を積み重ねた結果、下記式(1)で表されるポリエステルイミド前駆体ワニスを銅箔等の導体基板上に塗付・乾燥してフィルムとし、これを熱的に又脱水試薬等を用いてイミド化して、形成された下記式(5)で表されるポリエステルイミドフィルムが、上記産業分野において極めて有益な材料となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のポリエステルイミド前駆体は、下記式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
(ここで、Xは、式(2)又は式(3)で示される2価の芳香族基であり、R1〜R5は炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、水素原子を表し、それぞれ独立し、同じであってもよい。Aは、式(4)で表される2価の芳香族基であり、mは0もしくは1である。R6〜R8は炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、水素原子を表し、R6、R7及びR8はそれぞれ独立し、同じであってもよい。)
本発明のポリエステルイミドの製造方法は、加熱あるいは脱水試薬を用いて環化反応させて前記ポリエステルイミド前駆体をイミド化してポリエステルイミドを得ることを特徴とする。
本発明の金属−ポリエステルイミド複合体は、金属及びポリエステルイミド層を含む金属−ポリエステルイミド複合体であって、前記ポリエステルイミド層が主に上記ポリエステルイミドで構成されていることを特徴とする。
本発明の金属−ポリエステルイミド複合体においては、金属が銅であることを特徴とする。
本発明に係るポリエステルイミド前駆体より得られる金属−ポリエステルイミド複合体は、高ガラス転移温度、高難燃性、金属箔同等の低線熱膨張率、低吸湿膨張率、金属との高接着強度、十分な靭性という効果を有する。
ポリイミドを低線熱膨張率化するための分子設計として、主鎖骨格をできるだけ直線状で剛直(内部回転により多様なコンホメーションをとりにくく)する必要がある。しかし一方で、これによりポリマー鎖の絡み合いが減少し、フィルムが脆弱化する恐れがある。また、ポリイミド骨格へのエーテル構造等の屈曲性単位の過大な導入は膜靭性の向上や金属との接着強度の向上には大きく寄与するが、低線熱膨張率の発現を妨げる。
本発明において着目したエステル構造は、エーテル構造に比べて内部回転障壁が高く、コンホメーション変化が比較的妨げられているため、剛直構造単位として振舞い、且つポリイミド主鎖にある程度の柔軟さも付与し、可撓性のフィルムを与えることが期待される。また、エステル構造はアミド構造やイミド構造よりも単位体積当たりの分極率が低いため、ポリイミドへのエステル構造の導入は低吸湿膨張率化にも有利である。
したがって、ポリイミドへエステル構造を導入し、芳香族や脂環骨格含有率を向上させたモノマーを選定することにより、金属、特に銅との接着性の向上及びポリエステルイミド層の燃焼時のチャー化率の向上による著しい難燃性の向上をもたらす。
本発明のポリエステルイミド前駆体は、エステル基含有酸二無水物及びエステル基含有ジアミンを有するモノマーを用いることにより製造される。
本発明のポリエステルイミド前駆体を重合する際、エステル基を有するモノマーとして下記式(8)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物及び式(11)で表されるエステル基含有ジアミンが用いられる。
(ここで、Xは、式(9)又は式(10)で示される2価の芳香族基であり、R9〜R13は炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、水素原子を表し、それぞれ独立し、同じであってもよい。)
(Aは、2価の芳香族基であり、mは0もしくは1である。R14〜R16は炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、水素原子を表し、R14、R15及びR16それぞれ独立し、同じであってもよい。)
ポリイミドの低吸湿膨張率化(低吸水率化)のためにしばしばフッ素化モノマーが使用されるが、エステル構造を含有するモノマーはフッ素基を一切含有せず、ポリイミドを低コストで製造することができる。またフッ素化モノマー使用時にしばしば見られるガラス転移温度の低下の心配がなく、銅箔との密着性の点においても含フッ素モノマーを用いるより有利である。
本組成物は、式(1)で示される構造を有するポリエステルイミド前駆体であって、エステル構造を有する特定の芳香族酸無水物とジアミンモノマーの構成により、高耐熱性、高難燃性、低吸湿膨張率、銅箔同等の低線熱膨張率、銅などの金属との高い密着性、を同時に実現することが可能になる。なお、式(1)において、2つのカルボキシル基はシス配置に限定されず、シスとトランス配置が混在したものである。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、これらは本発明の実施の形態の一例であり、これらの内容に限定されない。
本発明においては、上記式(8)で表されるエステル構造含有酸無水物及び上記式(11)で表されるエステル構造含有ジアミンを重合反応させることにより産業上極めて有用なエステル構造を有するポリエステルイミドを提供することができる。エステル構造を有し、かつ特定の芳香族構造を有するモノマーの剛直性、疎水性、置換基の立体的嵩高さという構造上の特徴から、樹脂とした際に金属箔同等の低線熱膨張率、低吸湿膨張率、金属箔への高接着強度、高ガラス転移温度、高難燃性、高膜靭性という従来の材料では得ることのできなかった物性を有する材料とすることができる。
<ポリエステルイミド前駆体の製造方法>
本発明に係るポリエステルイミド前駆体を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。より具体的には、以下の方法により得られる。まずジアミンを重合溶媒に溶解し、これにテトラカルボン酸二無水物粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラーを用い、0℃〜100℃、好ましくは20℃〜60℃で0.5時間〜100時間好ましくは1時間〜24時間攪拌する。この際モノマー濃度は重合度の観点や、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましい。このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより、均一で高重合度のポリエステルイミド前駆体溶液を得ることができる。ポリエステルイミドフィルムの靭性の観点からポリエステルイミド前駆体の重合度はできるだけ高いことが望ましい。ポリエステルイミドフィルムの靭性及びワニスのハンドリングの観点から、ポリエステルイミド前駆体の固有粘度は好ましくは0.1dL/g〜15.0dL/gの範囲であり、0.5dL/g〜5.0dL/gの範囲であることがより好ましい。
本発明に係るポリエステルイミド前駆体を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。より具体的には、以下の方法により得られる。まずジアミンを重合溶媒に溶解し、これにテトラカルボン酸二無水物粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラーを用い、0℃〜100℃、好ましくは20℃〜60℃で0.5時間〜100時間好ましくは1時間〜24時間攪拌する。この際モノマー濃度は重合度の観点や、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましい。このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより、均一で高重合度のポリエステルイミド前駆体溶液を得ることができる。ポリエステルイミドフィルムの靭性の観点からポリエステルイミド前駆体の重合度はできるだけ高いことが望ましい。ポリエステルイミドフィルムの靭性及びワニスのハンドリングの観点から、ポリエステルイミド前駆体の固有粘度は好ましくは0.1dL/g〜15.0dL/gの範囲であり、0.5dL/g〜5.0dL/gの範囲であることがより好ましい。
本発明に係るポリエステルイミドフィルムの要求特性及びポリエステルイミド前駆体の重合反応性を損なわない範囲で、特に限定されないが、一般式(1)で表されるポリエステルイミド前駆体重合の際に使用可能な芳香族テトラカルボン酸二無水物として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が例として挙げられる。また、これらを2種類以上併用することもできる。
本発明に係るポリエステルイミドフィルムの要求特性及びポリエステルイミド前駆体の重合反応性を損なわない範囲で、使用可能な脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、特に限定されないが、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(ジオキソテトラヒドロフリル−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
本発明に係るポリエステルイミド前駆体の重合反応性、ポリエステルイミドの要求特性を著しく損なわない範囲で、部分的に使用可能な芳香族ジアミンとしては特に限定されないが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、p−ターフェニレンジアミン等が例として挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
本発明に係るポリエステルイミド前駆体の重合反応性、ポリエステルイミドの要求特性を著しく損なわない範囲で、部分的に使用可能な脂肪族ジアミンとしては特に限定されないが、例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
重合反応の際使用される溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性溶媒が好ましいが、原料モノマーと生成するポリエステルイミド前駆体が溶解すれば問題はなく、特にその構造は限定されない。具体的に例示するならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、トリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフエノール等のフェノール系溶媒、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが好ましく採用される。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども添加して使用できる。
本発明のポリエステルイミド前駆体はその重合溶液を、大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過・乾燥し、粉末として単離することもできる。
<ポリエステルイミドの製造方法>
本発明のポリエステルイミドは、上記の方法で得られたポリエステルイミド前駆体を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。この際ポリエステルイミドの使用可能な形態は、フィルム、金属−ポリエステルイミド複合体、粉末、成型体及び溶液である。
本発明のポリエステルイミドは、上記の方法で得られたポリエステルイミド前駆体を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。この際ポリエステルイミドの使用可能な形態は、フィルム、金属−ポリエステルイミド複合体、粉末、成型体及び溶液である。
まず、ポリエステルイミドフィルムを製造する方法について述べる。ポリエステルイミド前駆体の重合溶液(ワニス)をガラス、銅、アルミニウム、シリコン等の基板上に流延し、オーブン中40℃〜180℃、好ましくは50℃〜150℃で乾燥する。得られたポリエステルイミド前駆体フィルムを基板上で真空中、窒素等の不活性ガス中、あるいは空気中、200℃〜430℃、好ましくは250℃〜400℃で加熱することで本発明のポリエステルイミドフィルムを製造することができる。加熱温度はイミド化の閉環反応を完全に行うために200℃以上であることが好ましく、また生成したポリエステルイミドフィルムが一部熱分解したりすることを避けるために430℃以下であることが好ましい。またイミド化は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、イミド化温度が高すぎなければ空気中で行っても、差し支えない。
また、イミド化反応は、熱処理に代えて、ポリエステルイミド前駆体の重合溶液中にピリジンやトリエチルアミン等の3級アミンを添加しポリエステルイミド前駆体フィルムを作製し、200℃〜300℃で加熱及び化学イミド化することや、ポリエステルイミド前駆体フィルムをピリジンやトリエチルアミン等の3級アミン存在下、無水酢酸等の脱水試薬を含有する溶液に浸漬することによって行うことも可能である。
ポリエステルイミド自体が用いた溶媒に溶解する場合、ポリエステルイミド前駆体の重合溶液をそのままあるいは同一の溶媒で適度に希釈した後150℃〜200℃に加熱することで、本発明のポリエステルイミド前駆体の重合溶液(ワニス)を容易に製造することができる。この際、イミド化の副生成物である水等を共沸留去するために、トルエンやキシレン等を添加しても差し支えない。また触媒としてγ―ピコリン等の塩基を添加することができる。得られたワニスを大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過しポリエステルイミドを粉末として単離することもできる。またポリエステルイミド粉末を上記重合溶媒に再溶解してポリエステルイミドワニスとすることができる。ポリエステルイミドが溶媒に不溶な場合は、結晶性のポリエステルイミド粉末を沈殿物として得ることができる。
上記ポリエステルイミドワニスを基板上に塗布し、40℃〜400℃、好ましくは100℃〜300℃で乾燥することによってもポリエステルイミドフィルムを形成することができる。
また、上記のようにして得られたポリエステルイミド粉末を200℃〜450℃、好ましくは250℃〜430℃で加熱圧縮することでポリエステルイミドの成型体を作製することができる。
ポリイミド前駆体溶液中にN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドやトリフルオロ無水酢酸等の脱水試薬を添加・撹拌して0℃〜100℃、好ましくは0℃〜60℃で反応させることにより、ポリイミドの異性体であるポリイソイミドが生成する。イソイミド化反応は上記脱水試薬を含有する溶液中にポリイミド前駆体フィルムを浸漬することでも可能である。ポリイソイミドワニスを上記と同様な手順で製膜した後、250℃〜450℃、好ましくは270℃〜400℃で熱処理することにより、ポリイミドへ容易に変換することができる。
本発明のポリエステルイミド前駆体のワニスを金属箔例えば銅箔上に塗付・乾燥後、上記の条件によりイミド化することで、FPC基板の原反である金属層とポリエステルイミド樹脂層の積層板(FCCL)を得ることができる。
FPC基板の金属箔としては、種々の金属箔を使用することができるが、好ましくは、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔などを挙げることができる。これらの金属箔は、マット処理、メッキ処理、クロメート処理、アルミニウムアルコラート処理、アルミニウムキレート処理、シランカップリング剤処理などの表面処理を行ってもよい。
金属箔の厚みは、特に限定されないが、好ましくは35μm以下、さらに好ましくは6〜18μmである。
FCCLは、以下の様にして製造することができる。まず、本発明のポリエステルイミド前駆体ワニスを金属箔上にブレードコーターや、リップコーター、グラビアコーター等を用い塗工を行い、その後乾燥させてポリエステルイミド前駆体層を形成する。塗工厚は、ポリエステルイミド前駆体ワニスの固形分濃度に影響されるが、ポリエステルイミド前駆体層を、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、200℃〜400℃にて熱イミド化させることによりポリエステルイミド樹脂絶縁層を形成することができる。ポリエステルイミド樹脂絶縁層の厚みは、100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは3μm〜25μmである。
更に、塩化第二鉄水溶液等のエッチング液を用いて積層板の金属層を所望する回路状にエッチングすることで、無接着剤型フレキシブルプリント配線回路を製造することができる。
本発明のポリエステルイミド及びその前駆体中に、必要に応じて酸化安定剤、フィラー、接着促進剤、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤及び増感剤等の添加物を加えることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。
<固有粘度:η>
0.5重量%のポリエステルイミド前駆体溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
0.5重量%のポリエステルイミド前駆体溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
<ガラス転移温度:Tg>
島津製作所製熱機械分析装置(TMA−50)を用いて、熱機械分析により、荷重5g、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下(流量20ml/分)、温度50℃〜450℃の範囲における試験片伸びの測定を行い、得られた曲線の変曲点からポリエステルイミドフィルム(25μm厚)のガラス転移温度を求めた。
島津製作所製熱機械分析装置(TMA−50)を用いて、熱機械分析により、荷重5g、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下(流量20ml/分)、温度50℃〜450℃の範囲における試験片伸びの測定を行い、得られた曲線の変曲点からポリエステルイミドフィルム(25μm厚)のガラス転移温度を求めた。
<線熱膨張率:CTE>
島津製作所製熱機械分析装置(TMA−50)を用いて、熱機械分析により、荷重5g、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下(流量20ml/分)、温度50〜450℃の範囲における試験片伸びの測定を行い、50〜200℃の範囲での平均値としてポリエステルイミドフィルム(25μm厚)の線熱膨張率を求めた。
島津製作所製熱機械分析装置(TMA−50)を用いて、熱機械分析により、荷重5g、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下(流量20ml/分)、温度50〜450℃の範囲における試験片伸びの測定を行い、50〜200℃の範囲での平均値としてポリエステルイミドフィルム(25μm厚)の線熱膨張率を求めた。
<吸湿膨張率:CHE>
アルバック理工株式会社製熱機械分析装置(TM−9400)及び湿度雰囲気調整装置(HC−1)を用いて、幅3mm、長さ30mm(チャック間長さ15mm)、厚み20μm〜25μm、のフィルムを23℃、荷重5gにて湿度10%RHから80%RHに変化させた際の試験片の伸びから10%RH〜80%RHにおける平均値としてポリエステルイミドフィルムの吸湿膨張率を求めた。
アルバック理工株式会社製熱機械分析装置(TM−9400)及び湿度雰囲気調整装置(HC−1)を用いて、幅3mm、長さ30mm(チャック間長さ15mm)、厚み20μm〜25μm、のフィルムを23℃、荷重5gにて湿度10%RHから80%RHに変化させた際の試験片の伸びから10%RH〜80%RHにおける平均値としてポリエステルイミドフィルムの吸湿膨張率を求めた。
<難燃性>
イミド化後のポリエステルイミドフィルムの厚みが12μmとなるようにポリエステルイミド前駆体をフィルム銅箔上に塗布した。窒素雰囲気中にて乾燥器中でイミド化したポリエステルイミドフィルムつき銅箔を塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングし、得られたサンプルを乾燥器105℃にて1時間以上放置し乾燥させた。その後、長さ20cm×幅5cmの大きさとなるように40枚作製した。40枚のサンプル中、20枚を23℃、相対湿度50%の雰囲気下に48時間以上放置(受理状態)し、残り20枚を温度70℃、168時間エージング後、温度23℃、相対湿度20%以下のデシケーター中にて4時間冷却した。各々のフィルム各5枚を用いて、UL94 VTM試験に基づく評価方法にて23℃、相対湿度55%の雰囲気下にて燃焼性試験を行いVTM−0評価した。(なお、このとき評価に使用した炎は、20mmの大きさの青色炎で、銅スラグの100℃〜700℃までの昇温時間が42.9秒であった。)
イミド化後のポリエステルイミドフィルムの厚みが12μmとなるようにポリエステルイミド前駆体をフィルム銅箔上に塗布した。窒素雰囲気中にて乾燥器中でイミド化したポリエステルイミドフィルムつき銅箔を塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングし、得られたサンプルを乾燥器105℃にて1時間以上放置し乾燥させた。その後、長さ20cm×幅5cmの大きさとなるように40枚作製した。40枚のサンプル中、20枚を23℃、相対湿度50%の雰囲気下に48時間以上放置(受理状態)し、残り20枚を温度70℃、168時間エージング後、温度23℃、相対湿度20%以下のデシケーター中にて4時間冷却した。各々のフィルム各5枚を用いて、UL94 VTM試験に基づく評価方法にて23℃、相対湿度55%の雰囲気下にて燃焼性試験を行いVTM−0評価した。(なお、このとき評価に使用した炎は、20mmの大きさの青色炎で、銅スラグの100℃〜700℃までの昇温時間が42.9秒であった。)
<銅箔接着強度>
サンプル作製法及び測定法についてはJIS C6471規格に準じて行った。ポリエステルイミド前駆体を銅箔上に塗布し乾燥器中でイミド化したポリエステルイミドフィルムつき銅箔を長さ15cm×幅1cmの大きさに切断し、1cmの中心幅3mmを残し、塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングする。得られたサンプルを乾燥器105℃にて1時間以上放置し乾燥させ、その後、厚み3mmのFR−4基板に両面粘着テープにて取り付ける。幅3mmの導体をポリエステルイミドフィルムとの界面で引剥がしアルミ製テープに張りつけ掴み代とした。
サンプル作製法及び測定法についてはJIS C6471規格に準じて行った。ポリエステルイミド前駆体を銅箔上に塗布し乾燥器中でイミド化したポリエステルイミドフィルムつき銅箔を長さ15cm×幅1cmの大きさに切断し、1cmの中心幅3mmを残し、塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングする。得られたサンプルを乾燥器105℃にて1時間以上放置し乾燥させ、その後、厚み3mmのFR−4基板に両面粘着テープにて取り付ける。幅3mmの導体をポリエステルイミドフィルムとの界面で引剥がしアルミ製テープに張りつけ掴み代とした。
試料を島津製作所製引っ張り試験機(オートグラフAG−10KNI)に固定する。固定する際、確実に90°の方向に引き剥がすために治具をとりつけ毎分約50mmの速度にて50mm引き剥がした際の荷重を測定し、1cmあたりの接着強度として算出した。
<ハンダ耐熱性評価>
ポリエステルイミド前駆体を銅箔上に塗布し乾燥器中でイミド化したポリエステルイミドフィルムつき銅箔を長さ3cm×幅3cmの大きさに切断し、中心部2.5cm×2.5cmを残し、外周部を塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングする。得られたサンプルを乾燥器105℃にて1時間以上放置し乾燥させた後、300℃に設定されたハンダ浴中に、銅箔側が接するようにハンダ浴表面に2分間静置を行い、銅箔とポリエステルイミドフィルム中のふくれ、皺の発生の有無などの外観を目視により評価した。
ポリエステルイミド前駆体を銅箔上に塗布し乾燥器中でイミド化したポリエステルイミドフィルムつき銅箔を長さ3cm×幅3cmの大きさに切断し、中心部2.5cm×2.5cmを残し、外周部を塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングする。得られたサンプルを乾燥器105℃にて1時間以上放置し乾燥させた後、300℃に設定されたハンダ浴中に、銅箔側が接するようにハンダ浴表面に2分間静置を行い、銅箔とポリエステルイミドフィルム中のふくれ、皺の発生の有無などの外観を目視により評価した。
<煮沸ハンダ耐熱性評価>
ポリエステルイミド前駆体を銅箔上に塗布し乾燥器中でイミド化したポリエステルイミドフィルムつき銅箔を長さ3cm×幅3cmの大きさに切断し、中心部2.5cm×2.5cmを残し、外周部を塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングする。還流冷却器付き容器に精製水を入れ、得られたサンプルを浸漬し、100℃で2時間静置する。その後、常温精製水中にサンプルを投入し、各サンプルを1枚ずつ取り出し、両面の水分を紙タオルなどでふきとる。その後、280℃に設定されたハンダ浴中に、銅箔側が接するようにハンダ浴表面に2分間静置を行い、銅箔とポリエステルイミドフィルム中のふくれ、皺の発生の有無などを外観により評価した。
ポリエステルイミド前駆体を銅箔上に塗布し乾燥器中でイミド化したポリエステルイミドフィルムつき銅箔を長さ3cm×幅3cmの大きさに切断し、中心部2.5cm×2.5cmを残し、外周部を塩化第二鉄溶液にて銅箔をエッチングする。還流冷却器付き容器に精製水を入れ、得られたサンプルを浸漬し、100℃で2時間静置する。その後、常温精製水中にサンプルを投入し、各サンプルを1枚ずつ取り出し、両面の水分を紙タオルなどでふきとる。その後、280℃に設定されたハンダ浴中に、銅箔側が接するようにハンダ浴表面に2分間静置を行い、銅箔とポリエステルイミドフィルム中のふくれ、皺の発生の有無などを外観により評価した。
<弾性率、破断伸び>
東洋ボールドウィン社製引張試験機(テンシロンUTM−2)を用いて、ポリエステルイミドフィルム(10μm厚)の試験片(3mm×30mm)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から弾性率を、フィルムが破断した時の伸び率から破断伸び(%)を求めた。
東洋ボールドウィン社製引張試験機(テンシロンUTM−2)を用いて、ポリエステルイミドフィルム(10μm厚)の試験片(3mm×30mm)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から弾性率を、フィルムが破断した時の伸び率から破断伸び(%)を求めた。
(実施例1)
<ポリエステルイミド前駆体の重合、イミド化及びポリエステルイミドフィルム特性の評価>
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にモノマー骨格中にエステル基を含有する4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート(以下APABと称する)40mmol、4、4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下ODAと称する)10mmol、N−メチル−2−ピロリドン191mL(脱水)(和光純薬工業株式会社製)(以下NMPと称する)に溶解した後、この溶液にモノマー骨格中にターフェニル基及びエステル基を含有する式(12)で表される(以下DHTPMと称する)の粉末50mmolを徐々に加えた。
<ポリエステルイミド前駆体の重合、イミド化及びポリエステルイミドフィルム特性の評価>
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にモノマー骨格中にエステル基を含有する4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート(以下APABと称する)40mmol、4、4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下ODAと称する)10mmol、N−メチル−2−ピロリドン191mL(脱水)(和光純薬工業株式会社製)(以下NMPと称する)に溶解した後、この溶液にモノマー骨格中にターフェニル基及びエステル基を含有する式(12)で表される(以下DHTPMと称する)の粉末50mmolを徐々に加えた。
30分後、溶液粘度が急激に増加した。更に80℃で4時間撹拌し透明、均一で粘稠なエステル基を有するポリアミド酸ワニス溶液を得た。得られたポリアミド酸ワニス溶液は室温及び20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、高い溶液貯蔵安定を示した。NMP中、30℃、0.5質量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリアミド酸の固有粘度は、0.72dL/gであった。このポリアミド酸ワニス溶液を、金属製の塗工台に12μm厚の銅箔(日本電解株式会社 USLP箔)マット面側を表面になるように静置する。塗工台の表面温度を90℃に設定し、ポリアミド酸ワニス溶液を用いてドクターブレードにて銅箔マット面に塗布する。その後、塗工台で30分静置、さらに乾燥器中で100℃で30分静置の後、タック性のないポリアミド酸フィルム(厚み45μm)を得た。その後、SUS製金属板にポリアミド酸フィルムをはりつけ、窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/分にて、150℃で30分、200℃で1時間、400℃で1時間にてイミド化を行った。カールのない25μm厚みの銅箔つきポリエステルイミドフィルムが得られた。
この銅箔つきポリエステルイミドフィルムを塩化第2鉄溶液にて銅箔をエッチングすることにより膜厚25μmの薄茶色のポリエステルイミドフィルムを得た。このポリエステルイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断せず、可撓性を示した。また有機溶媒に対しても全く溶解性を示さなかった。このポリエステルイミドフィルムは、TMA測定により線熱膨張率(50℃から200℃の間の平均値)は19ppm/℃と銅箔同等の低い線熱膨張率を示した。また、吸湿膨張率を測定したところ4.4ppm/%RH(30%RHから70%RHの間の平均値)と、極めて低い吸湿膨張率を示した。また、90°銅箔接着強度を測定したところ1.2kg/cmと高い接着強度を示した。図1は、ポリエステルイミドフィルムの赤外線吸収スペクトルである。
また、同様にして、このポリアミド酸ワニス溶液を6インチのシリコンウエハ上に、スピンコーター(MS−250 ミカサ株式会社製)にてスピンコートし、乾燥器中で100℃で30分静置の後、タック性のないポリアミド酸フィルム(厚み17μm)を得た。その後、シリコンウエハを窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/分にて、150℃で30分、200℃で1時間、400℃で1時間にてイミド化を行った。その後、フッ酸にてシリコンウエハから剥離して10μm厚みのポリエステルイミドフィルムが得られた。
得られたポリエステルイミドフィルムを引っ張り試験により弾性率5.8GPa及び破断伸び54%が得られた。下記表1に物性値を記した。
(実施例2)
実施例1と同様にして、よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にAPABとODAの代わりに、式(13)で表されるエステル基含有ジアミン(以下BPIP)40mmol及び式(14)で表されるエステル基含有ジアミン(以下BPTP)10mmolを用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化してポリエステルイミドフィルムを作製し、同様に物性評価した。このポリエステルイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断せず、可撓性を示した。また有機溶媒に対しても全く溶解性を示さなかった。物性値を下記表1に併記する。銅に近い線熱膨張率、低吸湿膨張率、高難燃性、銅箔との高い接着強度、良好なハンダ耐熱性、膜靭性を示した。図2は、ポリエステルイミドフィルムの赤外線吸収スペクトルである。
実施例1と同様にして、よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にAPABとODAの代わりに、式(13)で表されるエステル基含有ジアミン(以下BPIP)40mmol及び式(14)で表されるエステル基含有ジアミン(以下BPTP)10mmolを用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化してポリエステルイミドフィルムを作製し、同様に物性評価した。このポリエステルイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断せず、可撓性を示した。また有機溶媒に対しても全く溶解性を示さなかった。物性値を下記表1に併記する。銅に近い線熱膨張率、低吸湿膨張率、高難燃性、銅箔との高い接着強度、良好なハンダ耐熱性、膜靭性を示した。図2は、ポリエステルイミドフィルムの赤外線吸収スペクトルである。
(比較例1)
DHTPMの代わりに式(6)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物(以下TAHQ)を用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化してポリエステルイミドフィルムを作製し、同様に物性評価した。物性値を表1に示す。銅に近い線熱膨張率、高い熱安定性を示したが、吸湿膨張率は、8.3ppm/%RHと比較的高く、また、銅箔との接着強度も0.2kg/cmと低い値であり、12μm厚のフィルムにて難燃性能が低くUL94 VTM−0の性能が得られなかった。
DHTPMの代わりに式(6)で表されるエステル基含有テトラカルボン酸二無水物(以下TAHQ)を用いた以外は、実施例1に記載した方法に従って、ポリエステルイミド前駆体を重合し、製膜、イミド化してポリエステルイミドフィルムを作製し、同様に物性評価した。物性値を表1に示す。銅に近い線熱膨張率、高い熱安定性を示したが、吸湿膨張率は、8.3ppm/%RHと比較的高く、また、銅箔との接着強度も0.2kg/cmと低い値であり、12μm厚のフィルムにて難燃性能が低くUL94 VTM−0の性能が得られなかった。
本発明のポリエステルイミドは、フレキシブルプリント配線(FPC)用基板、テープオートメーションボンディング(TAB)用基材、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜及び液晶ディスプレー用基板、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレー用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にFPC用基板材料として好適に利用できる。
Claims (5)
- 加熱あるいは脱水試薬を用いて環化反応させて前記ポリエステルイミド前駆体をイミド化してポリエステルイミドを得ることを特徴とするポリエステルイミドの製造方法。
- 金属及びポリエステルイミド層を含む金属−ポリエステルイミド複合体であって、前記ポリエステルイミド層が主に請求項2に記載のポリエステルイミドで構成されていることを特徴とする金属−ポリエステルイミド複合体。
- 金属が銅であることを特徴とする請求項4に記載の金属−ポリエステルイミド複合体。
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JP2008143404A JP2009286965A (ja) | 2008-05-30 | 2008-05-30 | ポリエステルイミド前駆体、ポリエステルイミド及び金属−ポリエステルイミド複合体 |
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