JP2009286683A - 吸着剤を利用したオゾンの製造・貯蔵方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、オゾン吸着剤を利用してオゾン/酸素分離を行い、回収した酸素をオゾン原料として再利用し、吸着したオゾンを乾燥空気で脱着回収する、低コストのオゾン製造方法を提供する。
【解決手段】 オゾン発生器から供給されるオゾン、酸素2成分ガスを含有するガスを加圧してオゾン吸着剤吸着塔に導入して吸着剤と接触させてオゾンを吸着剤に吸着させて酸素を回収してオゾン発生器原料として再利用し、吸着したオゾンを、乾燥空気を向流パージガスとして使用して、オゾンを吸着したオゾン吸着剤吸着塔を減圧して吸着塔からオゾンを離脱することによる、オゾン回収方法。オゾン吸着剤は、(1)ペンタシル型ゼオライト、(2)酸処理したペンタシル型ゼオライト、(3)メソポーラスシリカ、(4)酸処理したメソポーラスシリカからなる群より選ばれる一種以上である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高い吸着圧と低い脱着圧とにおけるオゾン吸着剤のオゾン吸着量の差を利用するオゾン製造・貯蔵方法に関する。詳細には、本発明は、オゾン吸着能の高い特定の吸着剤を利用して圧力スイング吸着(PSA)に従ってオゾンを吸着及び脱着させることによってオゾンを製造する方法に関する。
オゾンは、非常に強い酸化力を持ち、漂白・脱臭・殺菌作用があり、例えば、脱臭においては活性炭の数百倍もの力を持っているとされ、これまで除去し難かった物質の除去も可能となることから、水・大気の浄化での応用が増大している。
しかし、オゾンは原料として酸素を使用した無声放電を使用することから酸化剤としては非常に高価であり、これが、オゾンの酸化剤としての普及を妨げる一因となっている。
オゾン含有ガスは、一般的に低圧水銀ランプ、無声放電装置や水電解装置を用いて製造される。低圧水銀ランプは、装置が簡単であるが、0.5質量%程度の低い濃度のオゾン含有ガスしか得られず、発生量も1g/h程度と小さくかつオゾン単位当たりに要する消費電力が非常に大きく、工業的に使用するには実用的なものではない。水電解装置は、20質量%程度の高い濃度のオゾン含有ガスが得られるが、発生量は1kg/h程度と小さくかつオゾン単位当たりに要する消費電力も相当に大きく、大量のオゾンが要求される場合や経済性が要求される場合には使用するのに適していない。無声放電装置は、発生量が30kg/h程度と大量製造が可能であり、オゾン単位当たりに要する消費電力もこれらの中では一番少ないが、得られるオゾン含有ガスのオゾン濃度は3質量%程度と低いものである。これら従来技術において、オゾン発生装置として無声放電装置が最も好ましいものであるが、消費電力及び酸素製造装置を含めたオゾン製造コストの両面での改良が望まれていた。
上述した無声放電装置の欠点を改良するオゾン発生装置として、オゾン発生装置に供給するオゾン発生用原料として酸素を使用し、同じ消費電力で空気を原料として使用する場合の2倍のオゾンを発生させて省電力化を図る酸素リサイクルオゾン発生装置が提案された(例えば特許文献1参照)。この装置では、酸素原料として液体酸素を用い、この液体酸素をオゾン発生装置に導入してオゾンを発生させ、そのオゾン含有ガスを熱交換器及び冷凍機で−60℃程度まで冷却してから、シリカゲルを充填したオゾン吸着塔に導入してオゾンを吸着させている。
シリカゲルは、上記のようにオゾン吸着剤として知られているが、そのオゾン吸着量はそれほど大きくなく一定のガス処理量を確保するためには多量のシリカゲルを必要とし、吸着装置も大型にせざるを得なかった。
そこで、従来技術では上記装置において、酸素原料として液体酸素を用い、かつ、パージガスを予め乾燥してから吸着塔に導入することにより、液体酸素の低温を利用してオゾン吸着量を増大させようとした。
しかし、シリカゲルへのオゾンの吸着量は温度が低い程大きいが、特殊な冷凍機を除いても−60℃よりも低い温度にすることは難しい。また、一般に処理ガス量を多くするためには多量の吸着剤を用いる必要があり、装置は大型化せざるを得ず、装置の製造コスト及びランニングコストが高くなる。特に、特許文献1に開示されるような装置では、装置の製造コスト及びランニングコストが極めて高くなるために、実用化に問題があった。
上述したシリカゲルを用いた酸素リサイクルオゾン発生装置の欠点を解決するために、水分の存在する系においてもオゾン吸着能が優れたSiO/Alモル比が20以上の特定の高シリカオゾン吸着剤を用い、この吸着剤をPSA装置に適用してオゾンを効率的に濃縮できる高濃度オゾン含有ガスの製造方法及びその装置が提案された(例えば特許文献2を参照)。
特開昭53−64690号公報 特開平11−292514号公報
しかし、特許文献2の発明では、SiO/Al比2以上の高シリカゼオライトを採用することにより、シリカゲルに比べて8倍以上のオゾン吸着量が確保できるようになったが、しかし吸着時のオゾン分解は完全に抑制されていない。この為依然として−30℃程度の低温が必要であり、低温サイクル採用によるオゾン濃縮操作の煩雑さは完全に解消されていない。このことはより高温でのオゾン濃縮、より高濃度のオゾン濃縮において困難さが顕著となる。
本発明の目的は、オゾン吸着剤として、従来技術より更にオゾン吸着能が優れた吸着剤を利用し、オゾン、酸素2成分ガスから酸素を回収してオゾン原料として再利用し、吸着したオゾンを、パージガスとして乾燥空気を用いて、オゾン、空気2成分ガスとして脱着回収する、オゾン、空気2成分ガス製造方法を提供することである。
本発明者等は、上述した課題を解決すべく鋭意検討したところ、SiO/Alモル比が高い、高シリカゼオライト吸着剤として、(1)ペンタシル型ゼオライト、(2)酸処理したペンタシル型ゼオライト、(3)メソポーラスシリカ、(4)酸処理したメソポーラスシリカから選ばれた少なくとも一種は、優れたオゾン吸着能が得られかつオゾンの分解率が小さくなることを見出した。そのため、このようなオゾン吸着剤をPSAにおいてオゾン吸着剤として使用することにより、最小の原料酸素量でオゾンを製造できることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、以下の1〜8の発明が提供される。
1.酸素を原料とするオゾン製造装置で製造したオゾン、酸素2成分含有ガスを、オゾン吸着剤床を収容した吸着塔に導入して吸着剤にオゾンを吸着させて、流過する酸素を回収して酸素原料として再使用し、オゾン吸着が完了したらオゾン含有ガスの導入を停止し、塔後方からパージガスとして乾燥空気を第1式に従って、大気圧もしくは圧力を下げて吸着剤床に導いて、オゾンを脱着させてオゾン、空気2成分ガスとして回収するオゾンガスの製造方法であって、前記オゾン吸着剤として、(1)ペンタシル型ゼオライト、(2)メソポーラスシリカ、(3)酸処理したペンタシル型ゼオライト、(4)酸処理したメソポーラスシリカから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
Gp=k ・G0 ・Pd/Pa (第1式)
Gp:パージガスとして使用する乾燥空気量(m3N/h)、k: 向流パージ率k>1.2、
G0:入口ガス量 (m3N/h)、Pd:再生圧力(kPa)、Pa:吸着圧力(kPa)

2.吸着剤床を収容した吸着塔が並列に2以上存在し、1つの吸着塔にオゾン、酸素2成分含有ガスを導入して吸着剤にオゾンを吸着させて流過する酸素を回収してオゾン製造装置原料として再使用する吸着工程に在る間に、吸着工程を完了した別の吸着塔の後方から乾燥空気を大気圧又は減圧条件下パージガスとして向流に供給し、吸着剤床からオゾンを脱着させてオゾン、空気2成分としてオゾンガスを回収する脱着工程を施し、次いでオゾン含有ガスの導入を、吸着工程を完了した吸着塔から、脱着工程を完了した吸着塔に切り換え、上記の工程を繰り返す、オゾン、空気2成分ガスの製造であって、前記オゾン吸着剤として、(1)ペンタシル型ゼオライト、(2)酸処理したペンタシル型ゼオライト、(3)メソポーラスシリカ、(4)酸処理したメソポーラスシリカから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
3.前記ペンタシル型ゼオライトが、SiO/Alモル比20〜3000のシリカライトである請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
4.前記ペンタシル型ゼオライトが、酸処理を施したSiO/Alモル比20〜3000のシリカライトである請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
5.前記メソポーラスシリカのSiO/Alモル比が20〜3000である請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
6.前記メソポーラスシリカが、酸処理を施したSiO/Alモル比が20〜3000である請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
7.オゾン吸着を室温ないし−60℃で実施する請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
8.オゾン含有ガスを、無声放電オゾン発生装置によって発生させる請求項1〜7のいずれか1に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
本発明のオゾン製造方法は、生成したオゾンの分解率が小さく、最小の原料酸素量でオゾンをオゾン、空気2成分ガスとして効率良く製造することができる。その結果、オゾンの安価な製造を可能にし、オゾン製造に必要な酸素製造装置の小型化を可能にし、かつ、オゾン製造装置の製造コスト及びランニングコストの大幅な低減を可能にする。従って、本発明は、安価なオゾンを供給することが可能となる。
本発明で使用する吸着剤は、高度にオゾンを吸着し、かつオゾン分解が抑制されるものでなければならない。このような吸着剤として本発明は、(1)ペンタシル型ゼオライト、(2)酸処理したペンタシル型ゼオライト、(3)メソポーラスシリカ、(4)酸処理したメソポーラスシリカの少なくとも一種から選ばれた吸着剤を採用する。
理論によって本発明を限定するものではないが、アルミノシリケートをオゾン吸着剤として使用する場合に、アルミノシリケートの固体表面の強いルイス酸点でオゾンが分解して原子状酸素を生成し、生成した原子状酸素は、高い反応性を持っていて、更にオゾンの分解を促進する。本発明のオゾン吸着剤は、従来オゾン吸着剤として使用されるアルミノシリケートと比べて、強いルイス酸点を固体表面に持たないため、オゾン分解が少なくかつオゾン吸着能が高いと考えられる。これは、吸着剤のアンモニアTPD(昇温脱離曲線:Temperature Programmed Desorption)試験において、強酸点に対応すると考えられるアンモニアβピーク(高温ピーク)がアルミノシリケートよりも強いピークを示すことを根拠としている。このような吸着剤はオゾン分解が少なくかつオゾン吸着能が高いためPSA方式で使用することにより、オゾン分解が少なく、オゾンを高い濃度で有するオゾン含有ガスを製造し得ることを見出し、これらの知見に基づいて、高シリカペンタシルゼオライト、またはメソポーラスシリカを塩酸等の強酸で浸漬した後熱処理をして、酸点強度の上昇を図り、本発明を完成するに至った。
(1)ペンタシル型ゼオライト(S-1)
本発明において用いるオゾン吸着剤の内のペンタシル型ゼオライトは、いわゆるシリカライトとして知られているものである。シリカライトは、ゼオライト中のアルミニウムの殆どを除去された構造を有するものを意味し、ある程度、非晶質を含んでいるものも使用可能である。
本発明のペンタシル型ゼオライトのSiO/Al比は、好ましくは20以上、更に好ましくは50以上である。20未満であると触媒活性点としてのオゾン分解を発現する。
(2)酸処理したペンタシル型ゼオライト(S-2)
本発明において用いるオゾン吸着剤の内のペンタシル型ゼオライト原料は、いわゆるシリカライトとして知られているものである。このシリカライトをpH1の塩酸溶液に浸漬した後、ろ過、110℃、1時間乾燥したあと、昇温速度50℃/時、400℃1時間保持して酸処理した強い酸点強度を示すものであり、ある程度、非晶質を含んでいるものも使用可能である。
本発明の酸処理したペンタシル型ゼオライトのSiO/Al比は、好ましくは20以上、更に好ましくは50以上である。20未満であると触媒活性点としてのオゾン分解を発現する。
(3)メソポーラスシリカ(S-3)
本発明のメソポーラスシリカのSiO/Al3モル比は好ましくは20以上、更に好ましくは50以上である。20未満であるとメソ孔内にアルミノシリケートが高濃度に存在して細孔容積が減少し、オゾン吸着量、吸着速度が減少してオゾン吸着反応が低下する。
(4)酸処理したメソポーラスシリカ(S-4)
本発明に使用する酸処理したメソポーラスシリカの原料は、メソポーラスシリカのSiO/Al3モル比は好ましくは20以上、更に好ましくは50以上である。これを pH1の塩酸溶液に浸漬した後、ろ過、110℃、1時間乾燥したあと、昇温速度50℃/時、400℃1時間保持して酸処理した強い酸点強度を示すものである。
本発明でオゾン含有ガスを発生するオゾン発生器(オゾナイザー)としては、公知の無声放電方式、紫外線ランプ方式、水電解方式などいずれの方式のものでも適用できる。好ましくは、高圧仕様の無声放電装置を用い、オゾン濃縮用PSA装置の吸着工程から流出する酸素を、前記無声放電装置の原料側に戻して酸素原料として用いることにより、酸素消費量を大幅に低減できる。再生工程では、パージガスとして乾燥空気を使用することで、脱着するオゾン含有ガスをオゾン、空気2成分ガスとして回収することができ、オゾン/酸素分離PSA装置に使用する脱着用真空ポンプの負担を軽減することができる。なお、前記無声放電オゾン発生装置に供給する酸素原料ガスとして例えば、酸素濃縮用のPSA装置等で製造した高濃度酸素ガスを用いることは、装置全体の効率化及び高性能化に有効である。
オゾン/酸素分離用PSA装置の脱着工程に移行した吸着塔からは、例えば向流に乾燥空気をパージガスとして、大気圧又は減圧条件で、オゾン、空気2成分ガスを回収する。
吸着工程及び脱着工程の条件は、特に限定されない。吸着工程は、106〜507kPa(1.05〜5atm)の範囲の圧力及び温度−60℃〜25℃の範囲で実施するのが普通である。
また、脱着工程は、圧力4〜760kPa(0.04〜1atm)の範囲で実施し、温度は特に制限されず、吸着工程の温度に依存するのが普通である。回収したオゾン含有ガスの利用を考慮すると、脱着工程の温度は室温に近いのが好ましい。
吸着工程の終了は、例えばオゾン含有ガスの流入口と反対の吸着塔出口のガスのオゾンの濃度を監視していて、オゾンのブレークスルーが見られ始めた時や切換時間、すなわちリサイクルタイムに達した時に吸着が完了したとして、吸着塔へのオゾン含有ガスの導入を停止することによって行うことができる。
脱着工程の終了は、例えば脱着圧の可能な最低圧力や切換時間、すなわちリサイクルタイムに達した時に脱着が完了したとして、吸着塔からのオゾン、空気2成分ガスの回収を停止することによって行うことができる。
以下に、本発明を図によって説明する。
図1は、PSA酸素製造装置1で製造した酸素を原料として、配管2で無声放電オゾン発生装置3に供給して、オゾン、酸素2成分ガスを製造し、2塔式のオゾン、空気2成分ガス製造PSA装置4に供給して、オゾン、空気2成分を製造する装置の概念図である。吸着塔5a(左側の吸着等にはaを数字の後に付番し、右側の吸着塔にはbを付番する。)及び5bに前記のオゾン吸着剤の群から選択された一種以上のオゾン吸着剤6を充填する。
このときのシーケンスを表1に示す。
Figure 2009286683
図1では、切替弁7a、8aを開け、切替弁9a、10aを閉じることにより、吸着塔5aで吸着工程が進行する。吸着塔5bは、脱着工程に保持した状態を示しており、切替弁7b、8bを閉じ、切替弁9b、10bを開けることにより、前記工程を吸着から脱着へ、切り替えることができる。オゾン発生装置3からのオゾン含有ガスは、ブロワー11で吸着圧力まで加圧して吸着工程の吸着塔5aに供給してオゾンをオゾン吸着剤に吸着させ、吸着塔5aから流出する酸素ガスは配管12でオゾン発生装置3入口に還流されて、原料酸素供給量を削減して、オゾン発生装置3の消費電力を節減する。
他方、オゾン回収系は脱着圧に保持されており、真空ポンプ13と結んだ切替弁9bを開けることにより脱着工程の吸着塔5bから減圧脱着によりオゾンを回収する。なお、ここで乾燥空気14をパージガスとして使用しパージガス供給用導管15に設けた減圧弁16で脱着圧まで減圧して、脱着工程の吸着塔5bに供給して向流パージすることにより脱着は促進される。パージガスを多量に使用するとその分だけオゾン濃度が低下する。好ましいパージ率は1〜2の範囲、より好ましいパージ率は1.2〜1.5の範囲である。
ここでパージガスの使用量Gpは、第1式で表される。
Gp=k ・G0 ・Pd/Pa (第1式)
Gp:パージガスとして使用する乾燥空気量(m3N/h)、k: 向流パージ率k>1.2、
G0:入口ガス量 (m3N/h)、Pd:再生圧力(kPa)、Pa:吸着圧力(kPa)

なお、図1には、無声放電オゾン発生装置3の前段に酸素濃縮用のPSA装置1を付設するように記載した。この酸素濃縮用のPSA装置1は、装置全体の効率化及び高性能化を図る上で有効である。
オゾン、空気2成分ガス製造PSA装置4に関連して、吸着工程の吸着塔5aから流出する酸素は、導管11を介して無声放電オゾン発生装置3の酸素原料供給用導管に戻して酸素濃縮ガスの有効利用を図ることができる。さらに、高圧仕様の無声放電オゾン発生装置を用いると、PSA装置へのオゾン含有ガスの供給用のコンプレッサーの負担を低減することができるので、装置全体の効率化及び高性能化を図る上で有効である。
本発明の吸着剤は、それぞれ使用目的に応じて単独又は混合物の形で、粒状、ペレット状、ラシヒリング状、ハニカム状など任意の形状に成形して使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
製造例1(ペンタシル型ゼオライト(S−1))
アルミン酸5.93gを22.5質量%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド水溶液440gに溶解し、これをテトラエチルオルトシリケート1.00kgに加え、70℃で約4時間攪拌し、テトラエチルオルトシリケートを加水分解した。得られた粉末を80℃の乾燥器に入れて約3時間保持し、加水分解を完全に終了させた。この粉末を室温で水蒸気飽和させて、9〜15質量%の水分を含む乾燥ゲルを得た後に、これをポリプロピレン又はテフロン(登録商標)製のねじ栓密封ボトルに詰めて、電気炉に入れ140℃で72時間保持して水熱合成した。
合成終了後、密封ボトルから取り出した粉末を再度電気炉に入れ、空気雰囲気中昇温速度100℃/時で昇温して500℃で20時間保持してテンプレートを除去し、シリカライト(SiO/B=200、BET比表面積528m/g)約280gを調製した(収率80%)。
得られた結晶のX線回折ピークを図2に示す。図2よりMFI型結晶であることが確認できた。又、重量法(ニトロン−5%酢酸水溶液と48%フッ化水素酸との反応により生じた沈殿の重量から決定)により元素分析(湿式分析)して測定したSiO/Al比は、100であった。BET法による比表面積は528m/gであった。得られた吸着材料を実験室的に試作したシリカモノリス基材に嵩比重が0.4になるように担持して直径10cm、高さ10cmのモノリス形に成形した。下記吸着材料の成形法も同様である。
上記の合成法と同様にして、SiO/Alモル比が20、50、200、1000又は3000であるシリカライトを得た。
製造例2(酸処理したペンタシル型ゼオライト(S−2))
製造例1のシリカライトを原料として、pH1の塩酸溶液に浸漬した後、ろ過、110℃、1時間乾燥したあと、昇温速度50℃/時、400℃1時間保持して酸処理した強い酸点強度を示すものであり、ある程度、非晶質を含んでいるものも使用可能である。
製造例1のシリカライトを原料として、SiO/Alモル比が20、50、200、1000又は3000である酸処理したシリカライトを得た。
製造例3(メソポーラスシリカ(S−3))
セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTMAB;C1635(CHNBr)(FW364.45;東京化成社製)6.0kgを溶解した水32リットルに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH)水溶液((CHN・OH、FW91.15、Ardrich社製(水中25重量%))30〜33リットルを加えてpH7.7に調整した。
これを激しく撹拌しながら、水15.4リットルに溶解したケイ酸ナトリウム(NaO・2SiO・2.52HO)(FW227.56 キシダ化学社製)3.00kgを加え、この懸濁液を室温で3時間撹拌した。この懸濁液は、下記のゲル組成を有していたSiO:CTMAB:HO=0.8:0.5:190。
この沈殿生成物をろ過して多孔体粉末を分離した後、水で洗浄後、電気炉に入れて、まず110℃で約8時間保持して表面水分を除去した後、昇温速度100℃/時間で昇温して600℃6時間保持してセチルトリメチルアンモニウムブロミドを熱分解除去してメソポーラスシリカを約1kg調製した(収率90%)。
以上の手順により調製した粉末状SiO/Al比は1,000以上であり、日本ベル社製BET法表面積計測機により測定した比表面積は767〜1100m/g、細孔直径は3.5nmであった。
得られた結晶のX線回折により、メソポーラスシリカであることが確認できた。
この時のSiO/Al3モル比が3000であった。
製造例4(熱処理したメソポーラスシリカ(S−4))
製造例3のメソポーラスシリカを原料として、pH1の塩酸溶液に浸漬した後、ろ過、110℃、1時間乾燥したあと、昇温速度50℃/時、400℃1時間保持して酸処理した強い酸点強度を示すものであり、ある程度、非晶質を含んでいるものも使用可能である。
製造例3のメソポーラスシリカを原料としているため、SiO/Alモル比3000である酸処理したメソポーラスシリカを得た。
実施例1;
図1のオゾン/ガス製造装置の吸着塔を用いて、試作したオゾン/酸素分離用吸着剤のオゾン/酸素分離性能(酸素と空気の置換性能)を計測して比較した。
試作吸着剤の評価結果を第2表に示す。(シリカゲルを比較参照として使用した。)
Figure 2009286683
いずれのサンプルにおいても、脱着工程から回収されるオゾンのオゾン回収率90%以上、回収オゾン残ガスは空気であり、吸着工程から流過する酸素は90%以上回収され、回収酸素濃度は90vol%以上を上回っており、本発明の有効性が示される。オゾン/酸素分離性能にかんしては、(1)ペンタシル型ゼオライト(S−1)、(2)酸処理したペンタシル型ゼオライト(S−2)、(3)メソポーラスシリカ(S−3)、(4)酸処理したメソポーラスシリカ(S−4)がシリカゲルに比較して、高い分離性能を示した。特に酸処理したペンタシル型ゼオライトは高いオゾン回収率を示した。これは酸点強度の上昇に伴い、オゾン吸着時の分解がより抑制されるためと思われる。
実施例2
次に、吸着剤として最も性能の高い酸処理したペンタシル型ゼオライト(S−2)をハニカムとして、サイクルタイム5分における入口流量とオゾン回収率、吸着工程出口オゾン濃度の関係を調べた。結果を第3表に示す。
Figure 2009286683
原料流量の増大に伴いオゾン回収率は低下し、吸着工程出口オゾン濃度は上昇する。本試験によると、200mN/hにおいて吸着工程出口オゾン濃度は0.15vol%程度まで除去され、流過する酸素はオゾン発生器原料として再利用される。一方、吸着したオゾンは、乾燥空気をパージガスとして使用してオゾンを脱着すると回収率85%程度で、オゾン、空気2成分として回収できる。
実施例3
次に吸着剤として最も性能の高い酸処理したペンタシル型ゼオライト(S−2)をハニカムとして、サイクルタイムとオゾン回収率、吸着工程出口オゾン濃度の関係を調べた。結果を第4表に示す。
Figure 2009286683
サイクルタイムの短縮に伴い、吸着工程出口オゾン濃度を0.15vol%程度に保った場合、入り口ガス量を増加することが可能であり、サイクルタイムを2.5分に短縮すると入り口ガス量を373mN/hに増加することができた。従ってサイクルタイムの短縮で吸着剤の使用量を削減できることが判る。
実施例4
次に、吸着剤として最も性能の高い酸処理したペンタシル型ゼオライト(S−2)をハニカムとして、吸着圧力とオゾン回収率、吸着工程出口オゾン濃度の関係を調べた。結果を第5表に示す。
Figure 2009286683
吸着圧力の増大に伴いパージ空気量を減少することが可能であり、脱着ガス中オゾン濃度は、上昇し、吸着圧力120kPaで3.21vol%となる。
実施例5
次に、吸着剤として最も性能の高い酸処理したペンタシル型ゼオライト(S−2)をハニカムとして、再生圧力とオゾン回収率、吸着工程出口オゾン濃度の関係を調べた。結果を第6表に示す。
Figure 2009286683
再生圧力の低下に伴いオゾン、空気2成分ガスのオゾン濃度は上昇し、4kPaでは64vol%まで上昇する。他方、再生圧力95kPaでもオゾン回収率は85.5%を維持しており、高真空を用いなくても向流パージ率を維持すれば乾燥空気により吸着したオゾンを脱着可能なことが判る。
実施例6
次に、吸着剤として最も性能の高い酸処理したペンタシル型ゼオライト(S−2)をハニカムとして、向流パージ率とオゾン回収率、吸着工程出口オゾン濃度の関係を調べた。結果を第7表に示す。
Figure 2009286683
向流パージ率の減少に伴いオゾン回収率は低下し、吸着工程出口オゾン濃度は上昇し、向流パージ率が1以下では圧力スイング法によるオゾン/酸素の分離が成立しなくなることがわかる。
実施例7
次に、吸着剤として最も性能の高い酸処理したペンタシル型ゼオライト(S−2)をハニカムとして、吸着温度とオゾン回収率、吸着工程出口オゾン濃度の関係を調べた。結果を第8表に示す。
Figure 2009286683
吸着温度の低下に伴い、吸着工程出口オゾン濃度を0.15vol%を維持する入り口ガス量は増大し、脱着工程のオゾン濃度は上昇する。−60℃では25℃の2.5倍の入り口ガスを処理することが可能であり、脱着ガス中オゾン濃度が上昇していることから、オゾンの分解が抑制されることがわかる。
強力な酸化剤、殺菌剤として広く使用されるオゾンの製造装置である、無声放電式オゾン発生器から供給される、オゾン、酸素2成分ガスを、相対的高圧条件でオゾン吸着剤を使用してオゾン/酸素分離を行い、回収した酸素をオゾン発生器原料として再利用する。吸着したオゾンは、相対的低圧条件で乾燥空気をパージガスとしてオゾン、空気2成分ガスとして脱着して回収することにより、わずかな酸素を原料として低コストのオゾンを製造することができる。
本発明の第一の実施態様を示す。 XRD粉末図
符号の説明
1 PSA酸素製造装置
2、12,15 流路、配管
3 無声放電オゾン発生装置
4 オゾン、空気2成分ガス製造PSA装置
5a、5b オゾン吸着塔
6 オゾン吸着剤
7a,7b.8a,8b,9a,9b、10a、10b 自動弁
11 ブロワー
13 真空ポンプ

Claims (8)

  1. 酸素を原料とするオゾン製造装置で製造したオゾン、酸素2成分含有ガスを、オゾン吸着剤床を収容した吸着塔に導入して吸着剤にオゾンを吸着させて、流過する酸素を回収して酸素原料として再使用し、オゾン吸着が完了したらオゾン含有ガスの導入を停止し、塔後方からパージガスとして乾燥空気を第1式に従って、大気圧もしくは圧力を下げて吸着剤床に導いて、オゾンを脱着させてオゾン、空気2成分ガスとして回収するオゾンガスの製造方法であって、前記オゾン吸着剤として、(1)ペンタシル型ゼオライト、(2)メソポーラスシリカ、(3)酸処理したペンタシル型ゼオライト、(4)酸処理したメソポーラスシリカから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
    Gp=k ・G0 ・Pd/Pa (第1式)
    Gp:パージガスとして使用する乾燥空気量(m3N/h)、k: 向流パージ率k>1.2、
    G0:入口ガス量 (m3N/h)、Pd:再生圧力(kPa)、Pa:吸着圧力(kPa)
  2. 吸着剤床を収容した吸着塔が並列に2以上存在し、1つの吸着塔にオゾン、酸素2成分含有ガスを導入して吸着剤にオゾンを吸着させて流過する酸素を回収してオゾン製造装置原料として再使用する吸着工程に在る間に、吸着工程を完了した別の吸着塔の後方から乾燥空気を大気圧又は減圧条件下パージガスとして向流に供給し、吸着剤床からオゾンを脱着させてオゾン、空気2成分としてオゾンガスを回収する脱着工程を施し、次いでオゾン含有ガスの導入を、吸着工程を完了した吸着塔から、脱着工程を完了した吸着塔に切り換え、上記の工程を繰り返す、オゾン、空気2成分ガスの製造であって、前記オゾン吸着剤として、(1)ペンタシル型ゼオライト、(2)酸処理したペンタシル型ゼオライト、(3)メソポーラスシリカ、(4)酸処理したメソポーラスシリカから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
  3. 前記ペンタシル型ゼオライトが、SiO/Alモル比20〜3000のシリカライトである請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
  4. 前記ペンタシル型ゼオライトが、酸処理を施したSiO/Alモル比20〜3000のシリカライトである請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
  5. 前記メソポーラスシリカのSiO/Alモル比が20〜3000である請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
  6. 前記メソポーラスシリカが、酸処理を施したSiO/Alモル比が20〜3000である請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
  7. オゾン吸着を室温ないし−60℃で実施する請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
  8. オゾン含有ガスを、無声放電オゾン発生装置によって発生させる請求項1〜7のいずれか1に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
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