JP4745299B2 - 特定の金属ハロゲン化物の組み合わせを用いたアンモニアの吸脱着材、分離方法及び貯蔵方法 - Google Patents

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この発明は、アンモニアの分離および貯蔵技術に関するものである。
アンモニアは一般に鉄系触媒の存在下で水素と窒素を反応させて合成し、これを深冷分離法で分離している。アンモニアを含むガスはその他にもコークス炉副生ガス等として種々存在している。このアンモニアを吸着する吸着材としてゼオライト等が知られている。
また、最近、ごみ焼却工場、火力発電所、ディーゼル車、船舶等から発生される窒素酸化物による大気汚染が大きな問題となっており、その対策としてアンモニアを還元剤に用いた脱硝が行われるようになってきている。この場合、アンモニアの毒性が強いことから、その場でアンモニアを合成して供給する技術の開発が進められている。このオンサイトで合成されたアンモニアの分離に膜を用いることは知られている(特開平6−114235号公報)。本発明者らもこの分離にイオン交換型ゼオライトや酸処理活性炭を用いてアンモニアを吸着する方法について検討してきた(劉,秋鹿、第29回石油・石油化学討論会 九州大会要旨集、E12(1999)、劉,秋鹿、第86回 触媒討論会、討論会A要旨集、3F23(2000)。
一方、塩化カルシウム等をケミカルヒートポンプの蓄熱材に用いることは知られており、特開平5−264117号公報には、塩化カルシウムが高圧でアンモニアを吸収し低圧で放出することを利用したケミカルヒートポンプが開示されている。特開平5−264187号公報には、塩化第1鉄が加熱によりアンモニアを放出し冷却により吸収することと塩化カルシウムが冷却によりアンモニアを吸収し加熱により放出することを利用した蓄熱装置が開示されている。また、特開平6−136357号公報には、CaClとCaBrの混合物よりなる化学蓄熱材が開示されている。これらは密閉系で純アンモニアを循環利用するものである。また、吸脱着による吸熱量や発熱量は知られていたが、本発明に必要な分離、貯蔵の温度、圧力条件での吸着特性は知られていなかった。
アンモニアを深冷分離法で精製するのでは大がかりな装置が必要になり、より廉価で実施が容易なアンモニアの分離方法の開発が望まれていた。
特に、オンサイトでアンモニアを合成する場合には、その分離が簡便で機動性に富むものであることを要求される。従来の膜による分離ではアンモニアを貯蔵することができないため、厳密な生産管理を必要とし、実用性に問題があった。
また、ゼオライトや活性炭はアンモニアの吸着分離に用いるにはその性能が不充分であった。すなわち、PSA、TSA、PTSAなどの吸着分離法では、一般に吸着材としてゼオライトや活性炭が用いられてきた。しかし、ゼオライトや活性炭はアンモニア吸着量が少なく、また吸着したアンモニアを脱着するためには高真空にしなければならなかった。これまでは、吸着材は既存の活性炭あるいはゼオライトの種類の中から探索するしかなかった。特に、オンサイトでアンモニアを合成する装置の場合には、大気圧から3MPa程度まで、特に大気圧から1.1MPaまでの低圧条件で運転することが望まれる。このような場合には、運転条件によって異なるが、循環ガス中の製品アンモニア分圧は5〜500kPa程度となり、特に全圧が1.1MPa程度の場合にはアンモニア分圧は1〜100kPa程度となる。しかしこの条件下でPSAなどの吸着分離方式を用いてアンモニアを分離するのに、アンモニア吸着量が少なく多量の吸着材が必要になるなど、上記理由のとおり効率良い吸着材は無かった。さらに、アンモニアを貯蔵する場合は、液体または気体のアンモニアを空塔の圧力容器で貯蔵していたが、この貯蔵容器は高圧に耐える必要があった。
本発明の目的は、実施が容易で、オンサイトで合成したアンモニアも効率よくPSA、PTSAなどの吸着分離法で分離でき、さらに貯蔵もできるアンモニア吸脱着材、分離方法および貯蔵方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を進め、これまで行ってきたゼオライトや活性炭といった高表面積物質に代えて、ケミカルヒートポンプへの利用が検討されている塩化カルシウム等のアンモニア吸収能に着目した。そして、これらの物質が本プロセスに利用可能であるか否かを明らかにするために圧力や温度とアンモニアの吸、脱着能を調べた。その結果、次の知見を得た。
塩化カルシウムと臭化カルシウムを組み合わせて吸着材を用いることで、効率良くアンモニアの吸着を行うことができる。これは実験によって、この吸着材のアンモニアの吸着量が、これまでの活性炭やゼオライトに比較し吸着量が多いことを見出したことと、さらにこの吸着材は、100kPa付近以下の圧力範囲において、その範囲のうちのある圧力点において吸脱着量が急激に変化する階段状の特性を持つことを見出したことによる。
圧力点の高圧側でアンモニアを吸着させ、低圧側で脱着を行う操作によりアンモニアを効率良く分離することができる。これまでの活性炭やゼオライトなどの吸脱着量に比べて、吸脱着量が非常に大きいため、アンモニア吸着分離装置の吸着材量を少なくことができる。またこれまでのように真空ポンプで高真空にしなくても脱着量を大きくすることができる。
この吸着材の吸着特性は、前処理温度を変化させる方法と、2種類以上の金属ハロゲン化物の調合割合を変化させる方法とにより、目的とする操作条件に合うように自在に変化させられる。
この吸着材の圧力変化による吸脱着量変化を利用し、アンモニアを含有するガスからアンモニアを分離するのに、連続的に効率良く行う装置はPSAである。本吸着材の温度変化による吸脱着量変化を利用し、アンモニアを含有するガスからアンモニアを分離するのに、連続的に効率良く行う装置はTSAである。またこの原理を組み合わせた装置がPTSAである。
この吸着材を用いたPSA、PTSAなどの吸着分離原理または装置をアンモニア製造装置の分離システムに適用すると、アンモニア製造を効率良く行うことができる。
この吸着材は吸脱着量が非常に大きいため、これを容器に充填し、アンモニアを吸着させて貯蔵することができる。貯蔵したアンモニアを消費する場合は、真空ポンプで吸引して用いる。
尚、塩化カルシウムと臭化カルシウムによるアンモニアの取り込みは単なる吸着だけでなく、吸収、収着などもあるが、ここでは便宜的に吸着と称する。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、アンモニアを含有するガスからのアンモニアの分離に使用されるアンモニアの吸脱着材又はアンモニアの使用時までアンモニアを貯蔵するために使用されるアンモニアの吸脱着材において、塩化カルシウムと臭化カルシウムの混合物よりなるアンモニア吸脱着材、この吸脱着材を用いたアンモニアの分離方法および貯蔵方法に関するものである。
発明の実施の形態
本発明で使用されるアンモニア吸着材は塩化カルシウムと臭化カルシウムの混合物である。これらのカルシウムハロゲン化物又はその水和物をそのまま使用する場合は、特に処理はしないでよい。
塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、臭化カルシウムの各金属ハロゲン化物についてアンモニア分圧を変化させて吸着量変化を調べた。それぞれの吸着材は、錠剤成形したものを、条件をそろえて比較するために、前処理として1.0×10−5 Torr,523Kで2時間加熱した。この試料を容器に充填し、これに298K、1〜80kPaでアンモニアガスを流入させ、何回か吸着操作と脱着操作を繰り返した後で、吸着操作時と脱着操作時の各アンモニア分圧の吸着量を測定した。図5にその結果である吸着特性を示す。吸着操作時と脱着操作時の吸着特性にはヒステリシスがあり、吸着曲線は一致しないことがわかる。
次に、塩化マグネシウム、塩化ニッケルの各金属ハロゲン化物についてアンモニア分圧を変化させて吸着量変化を調べた。それぞれの吸着材は、錠剤成形したものを、条件をそろえて比較するために、前処理として1.0×10−5Torr,523Kで2時間加熱した。この試料を容器に充填し、これに298K,1〜80kPaでアンモニアガスを流入させ、吸着操作時の各アンモニア分圧の吸着量を測定した。図6にその結果である吸着特性を示す。
金属ハロゲン化物のアンモニア吸着特性は、金属ハロゲン化物の水和水を調節することによってコントロールできる。この調節は前処理の加熱温度を変えることによって行いうる。
塩化カルシウムの前処理温度を変化させ、吸着特性を変化させた。塩化カルシウムは、錠剤成形し、前処理としてそれぞれ298K,448K,523K,723Kで、1.0×10−5Torrで2時間加熱した。この試料を容器に充填し、これに298K,1〜80kPaでアンモニアガスを流入し、何回か吸着操作と脱着操作を繰り返した後で、吸着操作時と脱着操作時の各アンモニア分圧時の吸着量を測定した。図7に塩化カルシウムの前処理温度を変化させた場合について、アンモニア分圧による吸着量変化を示す。
異なる種類の金属ハロゲン化物を組み合わせることによってアンモニア吸着特性をコントロールできる。
塩化カルシウムと臭化カルシウムを組み合わせ、吸着特性を変化させた。塩化カルシウムと臭化カルシウムは、それぞれの水溶液で準備し、塩化カルシウムと臭化カルシウムのモル比が、それぞれ1:0,2:1,1:1,1:2,0:1となるように混合した。この水分を蒸発し乾燥させた後、錠剤成形し、前処理として523Kで、1.0×10−5
Torrで2時間加熱した。この試料を容器に充填し、これに298K,1〜80kPaでアンモニアガスを流入させ、何回か吸着操作と脱着操作を繰り返した後で、吸着操作時と脱着操作時の各アンモニア分圧の吸着量を測定した。図8に塩化カルシウムと臭化カルシウムの混合比を変化させた場合について、吸着時のアンモニア分圧による吸着量変化と脱着時のアンモニア分圧による吸着量変化を示す。
本吸着材の特性を比較するために、図9に活性炭とゼオライトの場合を示す。活性炭はヤシ殻由来の粒状活性炭、ゼオライトはNa型のYゼオライトを用いた。ゼオライトについては錠剤成形した後、前処理として、それぞれ523Kで、1.0×10−5Torrで2時間加熱した。この試料を容器に充填し、これに298K,1〜80kPaでアンモニアガスを流入させ、吸着操作時の各アンモニア分圧の吸着量を測定した。図9にその結果である吸着特性を示す。
金属ハロゲン化物の吸着量は活性炭、ゼオライトのそれに比べ、大きいことがわかる。またある圧力点において吸着量が階段状に変化することがわかる。
本発明で使用されるアンモニア吸着材は市販品をそのまま使用することができる。粒径は特に問わないが、通常5μm〜100mm程度、好ましくは10μm〜30mm程度である。粒状だけでなく、シート状やハニカム状に成形してもよい。また、シリカ、アルミナ、粒状炭、活性炭、ゼオライト等の多孔材や高表面積物質に担持させて使用することもできる。
水和物数を調整してアンモニア吸着特性を変化させる場合は、100kPa以下、好ましくは90kPa以下の圧力で排気しながら、あるいは乾燥したガスを流通させて、273K〜1000K、好ましくは373K〜873Kの所定の温度下に置く。所定の温度条件処理時間は吸着材の使用目的に合わせて決定する。
異なる種類の金属ハロゲン化物を混合することで吸着特性を変化させる場合は、それぞれの固体を混合して調整する。あるいは、それぞれの金属ハロゲン化物の水溶液を所定の比率で混合し、これを蒸発し乾燥させ、100kPa以下の圧力で排気しながら加熱し、あるいは乾燥したガスを流通させて、273K〜1000Kの所定の温度下に置くことで水和物数を調整する。
本発明では、アンモニアを吸着しうる圧力で塩化カルシウムと臭化カルシウムの混合物に接触させてアンモニアを吸着させるが、この手段としては、圧力スイング吸着法(PSA)、圧力温度スイング吸着法(PTSA)が好適である。
PSA:
圧力スイング吸着(PSA)法には、吸着・脱着の切り替えシステムの方式により2塔式や3塔式、並列式など様々なシステムが考案されている。本発明の方法はいずれの圧力スイング吸着(PSA)システムにも適用できるが、ここでは2塔式圧力スイング吸着(PSA)法を代表して記述する。
この装置の代表例は、図1に示すように、塩化カルシウムと臭化カルシウムの混合物よりなるアンモニア吸着材121が充填されている2塔の吸着塔101が並列に配置されている。各吸着塔101の底部にはアンモニア含有ガス供給ラインが接続されており、頂部にはアンモニアを吸着分離した残余のガスを抜き出す分離ガス排出ラインが接続されている。また、アンモニア含有ガス供給ラインの途中に分岐管が接続され、この分岐管は真空ポンプ102を介してアンモニア取出ラインに接続されている。それぞれのラインにはバルブ103が取り付けられている。
この装置を用いてアンモニアを分離するには、まず、アンモニア含有ガスをアンモニアを吸着しうる圧力で一方の吸着塔101に送ってアンモニア吸着させ、残余のガスを分離ガス排出ラインから排出させる。アンモニアが充分に吸着されて分離ガスに漏出するようになったらバルブ103を切り替えてアンモニア含有ガスをもう1塔の吸着塔101に送って吸着を続ける。アンモニアが吸着されている吸着塔はアンモニア取出ラインに接続して真空ポンプ102で減圧にすることによってアンモニアを脱着回収する。このアンモニアの吸着工程と脱着工程を各塔で交互に繰り返すことによってアンモニアを連続して分離することができる。
アンモニアを吸着しうる圧力および脱着しうる圧力は各金属ハロゲン化物の種類および温度によって異なるので予め実験をして定める。具体的にはアンモニアの吸着圧力曲線と脱着圧力曲線にはいずれも段部を持って変化しているので、吸着させる圧力は吸着曲線の上段の部分の圧力、好ましくはその端部付近の圧力とし、脱着させる圧力は脱着曲線の下段の部分の圧力、好ましくはその端部付近の圧力で操作するのが良い。図5を例にとると、塩化カルシウムと塩化ストロンチウムの場合は80kPa以上で吸着させ、35kPa以下で脱着させる。臭化カルシウムでは7kPa以上で吸着させ、2kPa以下で脱着させればよい。
TSA:
温度スイング吸着(TSA)法には、吸着・脱着の切り替えシステムの方式により2塔式や3塔式、並列式など様々なシステムが考案されている。ここでは2塔式温度スイング吸着(TSA)法を代表して記述する。
この装置の代表例は、図2に示すように、塩化カルシウムと臭化カルシウムの混合物よりなるアンモニア吸着材121が充填されている2塔の吸着塔101が並列に配置されている。各吸着塔101内には加熱器111と冷却器112が設置されている。また、その底部にはアンモニア含有ガス供給ラインが接続されており、頂部にはアンモニアを吸着分離した残余のガスを抜き出す分離ガス排出ラインが接続されている。また、アンモニア含有ガス供給ラインの途中に分岐管が接続され、この分岐管は真空ポンプ102を介してアンモニア取出ラインに接続されている。それぞれのラインにはバルブ103が取り付けられている。
この装置を用いてアンモニアを分離するには、まず、一方の吸着塔101内を冷却器112でアンモニアを吸着しうる温度に冷却しておいてこれにアンモニア含有ガスを送ってアンモニア吸着させ、残余のガスを分離ガス排出ラインから排出させる。その間、塔内を冷却器112でアンモニアを吸着しうる温度に冷却し続ける。アンモニアが充分に吸着されて分離ガスに漏出するようになったらバルブ103を切り替えてアンモニア含有ガスを予め冷却器112でアンモニアを吸着しうる温度に冷却されているもう1塔の吸着塔101に送って吸着を続ける。アンモニアが吸着されている吸着塔は加熱器111でアンモニアを脱着しうる温度に加熱し、アンモニア取出ラインに接続して真空ポンプ102を利用して脱着されたアンモニアを回収する。このアンモニアの吸着工程と脱着工程を各塔で交互に繰り返すことによってアンモニアを連続して分離することができる。
アンモニアを吸着しうる温度および脱着しうる温度は各金属ハロゲン化物の種類および圧力によって異なるので予め実験をして定める。具体的にはアンモニアの吸着温度曲線と脱着温度曲線にはいずれも段部を持って変化しているので、吸着させる温度は吸着曲線の上段の部分の温度、好ましくはその端部付近の温度とし、脱着させる温度は脱着曲線の下段の部分の温度、好ましくはその端部付近の温度で操作するのが良い。
PTSA:
圧力温度スイング吸着(PTSA)法には、吸着・脱着の切り替えシステムの方式により2塔式や3塔式、並列式など様々なシステムが考案されている。本発明の方法はいずれの圧力温度スイング吸着(PTSA)システムにも適用できるが、ここでは2塔式圧力温度スイング吸着(PTSA)法を代表して記述する。
この装置の代表例は図2の装置の構成と基本的に同じである。PTSAはアンモニアの吸、脱着を圧力と温度の組み合わせによって行う。具体的にはPSAで吸着の際に冷却を、脱着の際には加熱を併用する。
アンモニアを吸着しうる圧力と温度および脱着しうる圧力と温度は各金属ハロゲン化物の種類によって異なるので予め実験をして定める。具体的にはアンモニアの吸着圧力温度曲線と脱着圧力温度曲線にはいずれも段部を持って変化しているので、吸着させる圧力と温度は吸着曲線の上段の部分の圧力と温度、好ましくはその端部付近の圧力と温度とし、脱着させる圧力は脱着曲線の下段の部分の圧力と温度、好ましくはその端部付近の圧力と温度で操作するのが良い。
アンモニア製造装置での製品分離:
図3に、脱硝装置などのオンサイトでアンモニアを製造する装置のフローおよび機器の一例を示す。この装置は、図1のPSA装置のアンモニア含有ガス供給ラインにアンモニア合成装置を接続したものである。このアンモニア合成装置は、水素と窒素の混合器201から循環コンプレッサー202および熱交換器203を介して反応器204に接続され、反応器204の出口側は前記熱交換器203を冷却器205を経由してPSA装置のアンモニア含有ガス供給ラインに接続されている。一方、PSA装置の分離ガス排出ラインは混合器201の入口側に接続されて循環ラインを形成している。
原料は水素と窒素で、これは混合器201に導入され循環ガスと混合され、循環ラインヘ供給される。循環ガスはアンモニア合成触媒が充填された反応器204に導入され、アンモニアが合成される。オンサイトでアンモニアを製造する装置の場合には、低温低圧の穏和な条件での運転が望まれるため、反応温度300〜500℃、好ましくは350〜420℃、反応圧力0.1〜2MPa程度で活性が高いルテニウムを用いたアンモニア合成触媒を用いると良い。この時、反応器204を出た循環ガスのアンモニア分圧は、反応器の運転条件によって異なるが、概ね1〜100kPa程度である。
反応器出口ガスは吸着分離装置に導入される。吸着分離装置に充填する吸着材は、反応器の運転条件、吸着分離装置の運転条件を考慮し、アンモニア分圧と吸着量の関係が最適な特性を持つ金属ハロゲン化物を選択する。同時に、その吸着材の特性と、反応器の運転条件、吸着分離装置の運転条件を考慮し、最適な吸着分離装置の方式をPSA、PTSAなどから決定し、また機器のサイズ、仕様などを決定する。
吸着分離装置に導入された反応後ガスのうち、アンモニアは吸着材に吸着され、水素・窒素・微量のリークアンモニア・アルゴンやメタンなどの不活性物質などはほとんど吸着されずに混合器に循環される。一定時間後、バルブ操作によって反応後ガスはもう片方のアンモニア吸着塔に流通され、これまで吸着操作していた吸着塔は脱着操作を行う。脱着操作は、PSAの場合には真空ポンプにより圧力を低下させ、TSAの場合には、加熱器により温度を高くし、PTSAの場合には真空ポンプにより圧力を低下させるのと、加熱器により温度を高くすることを組み合わせて行う。この脱着操作により、アンモニアを吸着材より脱着させて、これを製品とし分離する。
効率を良くするため、上記装置に次の機構を設けると良い。原料ガスに含まれていた微量のアルゴン、メタンなどの不活性物質が循環ラインヘ蓄積するのを避けるため、循環ライン中のいずれかの場所から循環ガスを一部パージする。バージガス中にも微量のアンモニアが含まれているため、これを回収するために、パージライン中に本分離装置を設置する。
アンモニア貯蔵装置:
図4に本吸着材を用いた貯蔵装置の例を示す。本吸着材を充填した容器にアンモニアを吸着させて貯蔵する。貯蔵したアンモニアを消費する場合は、真空ポンプで吸引して用いる。吸着材は、その運転条件を考慮し決定する。
本発明の方法が適用される、アンモニアを含有するガスからアンモニアの種類は特に限定されないが、アンモニアを合成したガス、コークス炉副生ガス、硝酸プラントなどの余剰ガス等を例示することができる。アンモニアの含有率は0.01〜99モル%程度、例えばオンサイトでアンモニアを製造する装置の場合には、1〜20モル%程度であり、不純物の例としてはその由来に応じ一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、水素、ヘリウム、アルゴン、メタン、エタンなどの炭化水素等。
[PSA、PTSAの実施例]
図1、図2に示す装置の吸着塔に様々な吸着材を充填し、階段状の吸着特性を利用してアンモニアの吸脱着量を測定した。
表1に、523Kで前処理した、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、臭化カルシウムのPSAの場合の吸脱着量を示す。298Kで様々な圧力でアンモニア含有ガスを吸着させ、様々な圧力で減圧し脱着した。これは1gあたりの吸着材で、一回の吸脱着操作で分離することができるアンモニア量を示した。また本吸着材の吸脱着量を比較するため、活性炭とゼオライトの吸脱着量を示す。活性炭はヤシ殻由来の粒状活性炭、ゼオライトはNa型のYゼオライトを用いた。ゼオライトについては錠剤成形した後、それぞれ523Kで、1.0×10−5Torrで2時間排気して前処理を行った。
Figure 0004745299
表2に、塩化カルシウムについて、それぞれ298K,448K,523K,723Kで、1.0×10−5 Torrで2時間排気して前処理を行ったものをPSAの吸着塔に充填し、異なる圧力で圧力スイングした場合の吸脱着量を示す。
Figure 0004745299
表3に、塩化カルシウムと臭化カルシウムを1:0,2:1,1:1,1:2,0:1で混合し、前処理温度523Kの吸着材をPSAの吸着塔に充填し、異なる圧力で圧力スイングした場合の吸脱着量を示す。
Figure 0004745299
尚、図10にTSAの場合の吸脱着量を示す。298K,40kPaでアンモニアガスを吸着させ、473Kで加熱し脱着した。
[アンモニア製造の実施例]
本吸着システムを1Nl/hのアンモニアを製造するアンモニア製造装置に適用した。表4にこの時の運転状態を示す。原料の水素は1.5Nl/hで、窒素は0.5Nl/hで供給した。反応器にはルテニウム触媒を充填し、350℃、絶対圧力1.1MPaで運転した。分離システムには2塔式PSAを使用し、吸着材は塩化カルシウム:臭化カルシウム=1:1を使用した。各吸着塔には吸着材を1.4kgずつ充填し、30分毎に吸着工程、脱着工程を切り替えた。脱着工程では、真空ポンプで20kPaまで減圧し、アンモニアを分離した。一回の脱着操作で0.5Nlのアンモニアを分離することができた。
Figure 0004745299
[アンモニア貯蔵タンクの実施例]
図5のように機器を構成し、貯蔵タンクの中に吸着材として塩化ニッケルを1kg充填した。これにアンモニアを620g導入し、ほぼ1atmでアンモニアを貯蔵することができた。消費するときには、真空ポンプを運転することで貯蔵したアンモニアを取り出すことができた。
[発明の効果]
本発明により、アンモニアをコンパクトな装置で簡単に分離精製することができる。本発明の装置は特にオンサイトで合成したアンモニアの分離精製、貯蔵に適するものである。
PSAのフロー図。 TSAのフロー図。 アンモニア分離にPSAを用いたアンモニア製造装置のフロー図。 本吸着材を用いた貯蔵装置のフロー図。 各金属ハロゲン化物の吸着特性を示すグラフ。 各金属ハロゲン化物の吸着特性を示すグラフ。 塩化カルシウムの前処理温度を変化させた場合の吸着特性を示すグラフ。 塩化カルシウムと臭化カルシウムを組み合わせた場合の吸着特性を示すグラフ。 活性炭とゼオライトの吸着特性を示すグラフ。 TSAに充填した場合の吸脱着量を示すグラフ。
符号の説明
101…吸着塔(吸着器)
102…真空ポンプ
103…バルブ
111…加熱器
112…冷却器
121…アンモニア吸着材
201…混合器
202…循環コンプレッサー
203…熱交換器
204…反応器
205…冷却器

Claims (2)

  1. アンモニアを含有するガスを、塩化カルシウムと臭化カルシウムが水溶液に混合溶解され、その後水を蒸発乾燥した塩化カルシウムと臭化カルシウムの混合物であるアンモニア吸脱着材に、アンモニアを吸着しうる圧力点の高圧側で接触させてアンモニアを吸着し、次いで、アンモニアを脱着させる圧力点の低圧側に圧力を低下させて該吸からアンモニアを離脱させる又はアンモニア吸からアンモニアを離脱させる際に圧力を低下させることに加えて温度を上昇させることを組み合わせる、アンモニアの分離方法
  2. アンモニア吸脱着材が予め100kPa以下で且つ273k〜1000kで処理されたものである請求項1記載のアンモニアの分離方法
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