以下に、実施の形態にかかるオゾン除菌システム、空気調和機、オゾン除菌方法およびコンピュータプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるオゾン除菌システムの構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態のオゾン除菌システム1は、除菌対象空間6にオゾンを散布することでウイルス、細菌などの除菌、消毒、殺菌などを行う。以下、オゾンによる除菌を例に挙げて説明するが、オゾンによる消毒、殺菌にも適用可能である。図1に示すように、オゾン除菌システム1は、オゾン除菌装置2と、除菌対象空間6の換気を行うことが可能な換気設備5とを備える。
換気設備5は、例えば、少なくとも換気が可能な設備であり、中大規模空間である除菌対象空間6に気流を形成することが可能な気流形成設備である。詳細には、例えば、換気設備5、風向および風量を制御可能な送風機能を有する。換気設備5は、例えば、換気機能を有する空気調和機であってもよいし、換気だけを行う換気装置であってもよいし、換気装置と空気調和機とが統合された統合設備であってもよい。
除菌対象空間6は、例えば、中大規模空間である。中大規模空間は、例えば、オフィスフロア、教育施設、医療施設、劇場、映画館、競技場などであるが、これらに限定されず、ある程度の時間にわたって人が存在し複数の人が出入りする空間であればよい。
換気設備5は、自身が形成する除菌対象空間6内の空気の流れに、除菌に資するオゾンを同伴させることで、短時間でオゾンを対象エリア全域に拡散させる。また、換気設備5は、オゾン除菌終了時の残存したオゾンを速やかにエリア外へ排気することで、短時間で除菌対象空間6内の換気を行う。
図1に示すように、オゾン除菌装置2は、気流形成設備である換気設備5によって形成される気流に同伴させてオゾンを除菌対象空間6内に供給するオゾン供給部4と、除菌対象空間6内の人の数を示す在場情報を用いて、換気設備5およびオゾン供給部4のうち少なくとも一方を制御する制御装置3と、を備える。
制御装置3は、各種のデータを記憶するデータ記憶部であるデータベース31と、制御部32と、情報取得部33と、指令部34とを備える。情報取得部33は、除菌対象空間6における在場人数を示す在場情報と、除菌対象空間6の容積を示す容積情報とを取得し、制御部32へ渡す。在場情報は、在場人数が0人であるか1人以上であるかを示す情報、すなわち有人か無人かを示す情報であってもよいし、除菌対象空間6に何人存在するかを示す情報であってもよい。在場情報は、例えば、サーモパイル、ボロメータ、焦電素子などの人感センサにより取得された情報、除菌対象空間6における入退室を管理するシステムにより得られる情報、除菌対象空間6を撮像した画像を用いて検出された人の数を示す情報などであるが、除菌対象空間6における人の数に関する情報であればこれらに限定されない。例えば、在場情報は除菌対象空間6を撮像した画像自体であってもよく、この場合には、制御装置3が画像を用いて除菌対象空間6における人の数を算出する。なお、容積情報については、除菌対象空間6の容積があらかじめ定められている場合には、データベース31に格納されていてもよい。
制御部32は、在場情報および容積情報を用いて、オゾン供給部4および換気設備5を制御する。具体的には、例えば、制御部32は、在場情報を用いて、除菌対象空間6が無人であると判断すると、除菌対象空間6におけるオゾンの濃度が第1濃度となるように容積情報を用いてオゾンの供給量を決定し、決定した供給量でオゾンを供給するようにオゾン供給部4へ指示することでオゾン供給部4を制御する。また、制御部32は、無人下でのオゾンの供給の開始後、オゾン供給を停止する条件であるオゾン供給停止条件を満たすと、オゾン供給部4を制御することでオゾンの供給を停止させ、換気設備5を制御することでオゾンの排出を促しオゾンの濃度を低下させる。詳細には、例えば、換気設備5に排気のための気流を増加させるための制御信号を生成し、指令部34を介して換気設備5へ送信する。オゾン供給停止条件は、詳細は後述するが、ウイルスの不活化が十分行われたと判断するための条件である。
また、制御部32は、在場情報を用いて、除菌対象空間6が有人であると判断した場合、オゾンの供給を開始する条件であるオゾン供給開始条件を満たすと、除菌対象空間6におけるオゾン濃度が第1濃度より低濃度の第2濃度となるように容積情報を用いてオゾンの供給量を決定し、決定した供給量でオゾンを供給するようにオゾン供給部4の制御を開始する。オゾン供給開始条件は、詳細は後述するが、ウイルスの不活化が必要であると判断するための条件である。また、制御部32は、有人下でのオゾンの供給の開始後、オゾン供給停止条件を満たすと、オゾン供給部4にオゾンの供給を停止させる。なお、制御部32は、有人下ではオゾン供給停止条件を設定せずに、オゾンの供給を停止させず、第2濃度でのオゾンの供給を継続して行うようにしてもよい。
上述したように、制御部32は、在場情報を用いて除菌対象空間6内が無人であるか有人であるかを判定し、除菌対象空間6内が無人である場合、除菌対象空間6に供給するオゾン濃度の目標値を第1濃度に設定し、除菌対象空間6内が有人である場合、除菌対象空間6に供給するオゾン濃度の目標値を第2濃度に設定する。
第1濃度は、例えば、0.1ppm以上の値に設定され、第2濃度は日本産業衛生学会において作業環境基準で定められている0.1ppm未満の値に設定される。第2濃度は、好ましくは0.05ppm未満(日本空気清浄協会/室内での許容濃度平均値)、さらに好ましくは0.03ppm以下の値に設定される。これにより、本実施の形態のオゾン除菌システム1は、人への影響を避けつつ、ウイルスの除菌を効率的に行うことができる。例えば、第1濃度は、0.1ppm以上6ppm以下、第2濃度は、0.01ppm以上0.1ppm未満とすることができるが、これらの値に限定されない。0.01ppmは人が現実的にオゾンの存在を感じ取れる濃度下限値、すなわち効能発揮下限かつシステムとして制御できるオゾン濃度の下限値であり、6ppmは無人下10分において什器などへの影響を考慮した上限値である。
データベース31には、例えば、上述したオゾン供給開始条件、オゾン供給停止条件を示す情報、第1濃度および第2濃度を示す情報などが格納される。制御部32は、上述した制御において、データベース31から必要な情報を読み出して使用する。指令部34は、制御部32から受け取った制御信号を換気設備5に送信する。
近年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19(COronaVIrus Disease 2019))をはじめとした感染症の対策に注目が集まっている。除菌または消毒の対象エリアにおける一般的な感染症対策として、換気による対策、マスク着用、ソーシャルディスタンシング確保、自発的かつ習慣化されつつある手指消毒、拭き消毒などの衛生意識向上による対策などが行われている。
一方、換気および衛生意識向上による対策を行うと、建物または施設のエネルギー消費の上昇、これらの管理運営に影響する固定費の上昇、清掃衛生維持管理業務に携わる作業者の作業負担が増大する。また、対象エリア内の浮遊ウイルス除去のために換気量の増大が望まれるが、そのために換気および空調エネルギーが急増し、建物の省エネルギー性が大きく損なわれている。安易な換気量増大は近年のZEB(Zero Energy Building)コンセプトにもそぐわない。また、各個人の感染症に対する意識醸成は重要ではあるが、対象エリアへ出入りする人からのウイルス飛散および付着ウイルスの増加に対して必要以上に過敏になること、すなわち衛生意識の異常高騰により、特にオフィスなどの職場においては、対人関係および職場風土に影響し、メンタルヘルスへの悪影響も懸念される。このため、本実施の形態のオゾン除菌システム1は、除菌対象空間6を対象エリアとして一括してオゾンにより除菌することで、感染症対策に関する作業負荷、コスト、心理的負担および換気のための消費エネルギーの抑制を図る。これにより、建物の省エネルギー性とメンタルヘルス上の健全性の維持に貢献する。
さらに、ある程度の時間にわたって人が存在し複数の人が出入りする中大規模空間では、ウイルス量も増え、付着ウイルスへの対応もより必要となることも含めて、中大規模空間に多数台の装置を設置して膨大な必要オゾン量を確保する必要があった。そのため、多数台の装置導入コスト、中大規模空間で適切なオゾン拡散状態を実現する多数台装置の配置方案、装置設置作業者の手間、作業者自身の感染リスクが問題となっていた。また、中大規模空間内に単に装置を増設してオゾンを供給しただけでは、除菌対象空間6におけるオゾンの量に偏りが生じ、場所によっては十分に除菌が行われない可能性もある。このため、本実施の形態では、換気設備5の気流によりオゾンを拡散させることで、除菌対象空間6におけるオゾンの偏りを抑制し、効率的に除菌を行う。また、複数の人が出入りする中大規模空間では、家庭内などと比べて、浮遊ウイルスおよび付着ウイルスの量も多くなる。本実施の形態のオゾン除菌システム1は、上述したように、有人であるか無人であるかに応じてオゾンの濃度を設定することで、無人環境化においてのみ除菌を行う場合に比べて、効率的に除菌を行うことができる。したがって、人の出入りが多い空間、多くの人数を収容可能な空間などにおいても、効率的に除菌を行うことができる。
また、ウイルスへの感染確率は、除菌対象空間6における感染性ウイルスの数に依存する。除菌対象空間6にウイルスが流入したとしてもウイルスを不活化すなわち死滅させることにより感染性を失わせることで、感染性ウイルスの数を低い値に抑えれば感染確率を極めて低くすることができる。オゾンによるウイルスの不活化は、オゾン濃度(ppm)であるCと接触時間(分)であるTとの積であるCT値を用いて評価することができる。CT値は、ウイルスの不活化率を示す指標である不活化指標の一例である。ここで、従来のオゾン除菌装置では、無人環境下においても、日本産業衛生学会による有人環境下のオゾン濃度に関する基準値未満すなわちオゾン濃度0.1ppm未満で運用されるケースが多い。例えば、COVID-19の原因となる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)では、CT値60でウイルス不活化効果があるとの報告があるが、オゾン濃度0.1ppm未満で運用すると、ウイルスの不活化のために10時間を超える膨大な時間を要する。一方、COVID-19の自然不活化時間は3~4時間以上であるとの報告もある。すなわち、オゾン濃度0.1ppm未満で運用すると、除菌対象空間6におけるオゾン濃度が低すぎるためにウイルスを有効に除菌できず、一般的な感染症対策である換気および衛生意識向上による対策の他に、敢えて、オゾンにより除菌を行う実質的なメリットが得られない。これに対して、本実施の形態では、無人下では除菌対象空間6におけるオゾン濃度を0.1ppm以上の値に設定するため、短時間でCT値60を満たすように除菌を行うことができる。このため、例えば、本実施の形態のオゾン除菌システム1が、CT値の目標値を60以上の定められた値に設定し、CT値が目標値に達するとオゾンの供給を停止することで、エネルギーの浪費とコストを抑制して、ウイルスの不活化の効果を奏することができる。
次に、本実施の形態のオゾン除菌システム1の運用の概要について説明する。図2は、本実施の形態のオゾン除菌システム1の運用例を示す模式図である。図2では、横軸は時間を表し、縦軸はウイルス量を表している。図2に示した例において、左端の換気衛生対策の期間は、有人の環境下、すなわち除菌対象空間6に人が出入りしている状態において、換気、拭き消毒などといった、オゾンを用いない対策である換気衛生対策が行われる期間である。このような対策と自然不活化により若干ウイルスは減少するものの人が新たに除菌対象空間6に入室することでウイルス量が増えることもあり、増加と減少を繰り返す。その後の、有人下処理の期間では、オゾン除菌システム1のオゾン除菌装置2が、有人下において第2濃度でオゾンの供給、すなわち低濃度オゾンの供給を行う。第2濃度は、上述したように人に影響を与えない低濃度であるためウイルスの減少は穏やかであるが、有人下処理の期間では、換気衛生対策の期間に比べるとウイルスは減少する。本実施の形態のオゾン除菌システム1は、換気設備5の気流を用いてオゾンを拡散させるため、除菌対象空間6全体に拡散することができる。
次に、除菌対象空間6に人が出入りしない時間帯になり、除菌対象空間6が無人になると、無人下処理の期間において、オゾン除菌装置2が、第1濃度でオゾンの供給すなわち高濃度オゾンの供給を行う。無人下処理の期間では、オゾン濃度が高いため、ウイルスは急激に減少し、短時間で、CT値の目標値を満たす。上述したオゾン供給停止条件を、例えばCT値が目標値を満たす条件として定めておくことでオゾン除菌装置2はCT値が目標値を満たすとオゾンの供給を停止する。その後のオゾン除菌停止期間では、無人であればウイルス量は低下したままであるが、途中から人の出入りが発生するとウイルス量が徐々に増加する。例えば、上述したオゾン供給開始条件を、例えば人を検出してから一定以上経過したという条件、または一定人数以上の人が除菌対象空間6に入室したという条件などに定めておくことで、再び、有人下処理が行われる。また、直前に行われた無人下の高濃度オゾンの供給の時間が短くCT値が目標値に達することなく高濃度オゾンの供給が停止されたという条件を、オゾン供給開始条件に含めてもよい。図2に示すように、無人下処理の期間において高濃度オゾンの供給でウイルス量は一旦かなり減少しているため、図2に示した2回目の有人下処理では低濃度オゾンの供給であってもウイルス量を低い状態に保つことができる。
なお、本実施の形態では、オゾン除菌装置2は、CT値については、例えば、第1濃度でオゾンを供給した継続時間と、第2濃度でオゾンを供給した継続時間とをそれぞれ計測しておくことで算出することができる。そして、オゾン供給停止条件を満たした場合には、一旦これらの時間を0にリセットする。例えば、ある時刻tにおけるCT値であるCT(t)は、前回オゾン供給停止条件を満たしてからオゾン供給が開始されてからの、第1濃度でオゾンを供給した継続時間t1と、第2濃度でオゾンを供給した継続時間t2とを用いて以下の式(1)で表すことができる。なお、C1は第1濃度を示し、C2は第2濃度を示す。
CT(t)=C1・t1+C2・t2 ・・・(1)
なお、上述したように、有人下では、CT値を用いたオゾン供給の停止を行わない場合には、第2濃度でオゾンを供給した継続時間を管理する必要はなく、CT値は上述した式(1)の右辺の第1項により算出されればよい。また、就業時間が定められている場合には、無人下処理は原則就業時間以降とするようにしてもよい。また、有人下では低濃度のオゾンを供給するため、オゾンの供給が停止するまで10時間程度など長期間必要になるため、例えば、最初に有人を検知した際をCT値の起点としてもよい。また、有人下の処理は、除菌を完了させることよりウイルスの存在数を低減することが主な目的となるため、除菌の完了を判定することは必須ではない。また、映画館、劇場などの入場者入れ替えにより無人の時間が定期的に発生するケースであれば各上映または上演の開始時間を起点としてCT値を積算し、無人の時間において除菌を行うか否かの判定に積算されたCT値を用いてもよい。
図3は、本実施の形態のデータベース31に格納される濃度情報の一例を示す図である。データベース31には、例えば、無人と有人とのそれぞれの環境下におけるオゾン濃度の目標値である第1濃度および第2濃度を示す濃度情報が格納される。図3に示した例では、濃度情報には、オゾン供給停止条件として用いられるCT値の目標値も格納されているが、CT値はデータベース31内に別の情報として格納されていてもよい。また、図示は省略するが、上述したように、オゾン供給停止条件を示す情報もデータベース31に格納される。データベース31に格納される情報は、図示しない入力手段を用いて制御装置3に設定されてもよいし、情報取得部33が取得して、制御部32を介してデータベース31に格納されてもよい。
次に、オゾン除菌システム1の詳細について説明する。図4は、本実施の形態のオゾン除菌システム1の配置例を示す模式図である。図4に示した例では、換気設備5として換気装置8が用いられる。換気装置8は、例えば、還気ダクト81と給気ダクト82とに接続されるとともに、図示しない排気用送風機と給気用送風機とを備える。還気ダクト81は、除菌対象空間6を仕切る天井、壁面などに設けられた還気口に連通する。還気口には還気グリル84が設けられる。給気ダクト82は、除菌対象空間6を仕切る天井、壁面などに設けられた3つの給気口に連通する。給気口のそれぞれには給気グリル83-1~83-3が設けられる。なお、図4に示した給気口および還気口の数は一例であり、給気口および還気口の数はこの例に限定されない。給気グリル83-1~83-3は、換気装置8からの制御により風向および風量のうち少なくとも一方を変更可能である。また、換気装置8は、排気用送風機および給気用送風機を動作させることで、還気グリル84を介して還気口から吸い込んだ除菌対象空間6内の空気を、除菌対象空間6外へ排出し、除菌対象空間6外の空気である外気を取り込み、給気ダクト82および給気グリル83-1~83-3を介して除菌対象空間6へ供給する。また、換気装置8は、供給する空気と排出する空気との間での熱交換を行う図示しない熱交換器を備えていてもよい。
図4に示した例では、オゾン除菌装置2のオゾン供給部4は、給気ダクト82にオゾンを供給する。これにより、換気装置8が生成する気流にオゾンが同伴されて、除菌対象空間6に供給される。したがって、除菌対象空間6全体にオゾンを拡散させることができる。また、例えば、オゾン除菌装置2の制御装置3が、無人下で高濃度オゾンによる除菌を終了すると、排気のための気流を増加させる制御信号として、換気装置8の排気用送風機および給気用送風機の風量を増加させる制御信号を換気装置8へ送信する。これにより、換気装置8が高濃度オゾンを速やかに除菌対象空間6から排出することができる。
また、図4に示した例では、除菌対象空間6内に人感センサ7が設けられ、人感センサ7が人の有無を検出し、検出結果を在場情報としてオゾン除菌装置2へ送信する。オゾン除菌装置2は、上述したように在場情報を用いて除菌対象空間6におけるオゾン濃度の目標値を決定し、目標値にしたがってオゾンを除菌対象空間6へ供給する。なお、図4に示した例では、換気設備5として換気装置8を用いる例を説明したが、上述したように、換気設備5は換気機能を有する空気調和機であってもよい。
図5は、本実施の形態のオゾン供給部4の構成例を示す図である。図5に示した例では、オゾン供給部4は、酸素源41、オゾン発生部42、オゾン貯蔵部43および制御部44を備える。オゾン発生部42は、酸素源41から供給される酸素とオゾン貯蔵部43から供給される酸素とを用いてオゾンを生成し、生成したオゾンをオゾン貯蔵部43へ供給する。オゾンの生成方法に特に制約はないが、オゾン発生部42、例えば、誘電体バリア放電といった放電処理によりオゾンを生成する。オゾン貯蔵部43は、オゾン発生部42から供給されたオゾンを貯蔵する。オゾンの貯蔵方法はどのような方法が用いられてもよいが、例えば、オゾン貯蔵部43は、例えば、シリカゲルなどの吸着剤が充填された吸着筒を備え、吸着筒では、温度と圧力が制御されることにより、吸着剤に対するオゾンと酸素の吸着および脱着特性の差異を利用し、オゾンと酸素を含んだ混合ガスからオゾンと酸素を分離する。オゾン貯蔵部43は、低温に維持された吸着剤によりオゾンを選択的に吸着させて貯蔵するとともに、一方で、分離された酸素をオゾン発生部42へ供給することにより分離された酸素を再び原料酸素ガスとして再利用する。これにより、原料ガスコストの大幅低減を実現する。このため、空気(周辺空気)を原料ガスとする除菌装置に比しても、酸素の再利用により、酸素消費量が大幅に低減されるため、原料ガスコストは大きな問題とはならない。
オゾンは短寿命であるため貯蔵が困難であるが、上記のように、低温に維持した吸着剤に対する圧力スイングに伴う吸脱着現象を用いるオゾン貯蔵部43を採用することでオゾンの長期間貯蔵が可能となる。すなわち、オゾン発生部42で生成したオゾンを一旦貯蔵し、任意のタイミングで任意の量のオゾンをオゾン貯蔵部43から取り出し、使用することができる。例えば、オゾン除菌をしていない期間に、除菌対象空間6で想定される必要最大オゾン量を賄えるだけの能力を有するオゾン発生部42にて生成したオゾンを貯蔵し続け貯蔵されたオゾンを用いることで、オゾン発生部42のオゾン発生能力以上のオゾンを除菌対象空間6に供給することが可能となる。また、オゾン発生部42によって生成されて使用されずに余剰となったオゾンを貯蔵し、次の除菌タイミングに使用することも可能となり、オゾン生成の無駄を省き、コストを抑制することができる。
また、オゾン発生部42において、空気を原料ガスとして用いる場合は、原料ガスコストは低く、運用は容易である。しかしながら、この場合、オゾン生成と同時に窒素酸化物も同時に生成されるため、除菌対象空間6に散布されるオゾンガスには人体および環境にとって悪影響を及ぼす可能性がある窒素酸化物が含有されていることがある。本実施の形態では、オゾン貯蔵部43を用いることにより、未反応の酸素はオゾンガスから分離されてオゾン発生の原料ガスに再利用されるため、空気を原料ガスとして用いる場合と比較して原料ガスコストの上昇も抑制される。そのため、酸素ボンベ、酸素発生器などの酸素源41から供給される原料ガスを用いることができ、散布するオゾンガス中の窒素酸化物は極小となり人体および環境に対する悪影響を避けることができる。
制御部44は、制御装置3からの指示に応じてオゾンを供給するように、オゾン貯蔵部43を制御するとともに、オゾン貯蔵部43に適切にオゾンが貯蔵されるようにオゾン発生部42を制御する。オゾンの貯蔵に関する制御は、制御部44が行ってもよいし、制御装置3の制御部32が行ってもよい。
また、上記のように、オゾン貯蔵部43を備えるオゾン供給部4を用いることで、オゾンの使用量を予測して効率的なスケジューリングを行うこともできる。例えば、制御部32は、在場情報をデータベース31に蓄積しておき、蓄積した在場情報を用いて、曜日ごと、または平日と休日との別ごとに、一定期間先までのオゾンの使用量を予測し、予測した結果に基づいて電気料金を考慮して一定期間内のコストを最小化するようにオゾンの貯蔵の計画を決定してもよい。例えば、制御部32は、曜日ごとに、時間帯ごとの在場情報の平均値を算出し、予測対象日に対応する曜日の一日分の例えば30分単位などの時間帯ごとの平均値を求め、時間帯ごとの平均値を予測対象日の在場情報の予測値とすることができる。または、制御部32は、オゾン供給部4からオゾンの使用量の実績値を取得してデータベース31に格納し、蓄積したオゾンの使用量の実績値を用いて、曜日ごと、または平日と休日との別ごとに、一定期間先までの使用量を予測して、予測した結果に基づいて電気料金を考慮して一定期間内のコストを最小化するようにオゾンの貯蔵の計画を決定してもよい。
なお、図5に示したオゾン供給部4の構成は一例であり、オゾンの貯蔵を行わずに、オゾンを発生させるオゾン発生装置を用いてもよい。
次に、本実施の形態のオゾン除菌装置2の動作について説明する。図6は、本実施の形態のオゾン除菌装置2における動作例を示すフローチャートである。図6に示すように、オゾン除菌装置2は、在場情報を取得する(ステップS1)。詳細には、情報取得部33が、在場情報を取得し、取得した在場情報を制御部32へ出力する。なお、情報取得部33は、容積情報も取得するが、容積情報は、オゾン除菌装置2の設置後、レイアウト変更、移設などがない限り変更されるものではないため、すでに取得されて制御部32が保持しているまたはデータベース31に格納済であるとする。在場情報は、例えば、人感センサ7などから、定期的に送信されてもよいし、制御部32が定期的に情報取得部33に在場情報の取得を指示し情報取得部33が指示に基づいて人感センサ7へ在場情報の送信を要求することで取得されてもよい。
オゾン除菌装置2は、人が存在しない時間が一定時間以上継続しているか否かを判断する(ステップS2)。詳細には、制御部32が在場情報を用いて人が存在しない時間の継続時間をカウントしており、カウントしている時間が一定時間以上となったかを判断する。一定時間は、一時的に人が存在せずすぐに人が除菌対象空間6に戻るようなケースが想定される場合に、一時的な不在か否かを判定するために設定される。例えば、除菌対象空間6が、勤務時間帯の定められているオフィスなどであり、勤務時間帯には必ず人が1人以上存在するといった場合には、ステップS2は人が存在しないか否かの判断であってもよい。この場合、ステップS2における一定時間が0分に設定されることに相当する。
人が存在しない時間が一定時間以上継続している場合(ステップS2 Yes)、オゾン除菌装置2は、オゾンを供給中であるか否かを判断する(ステップS3)。詳細には、制御部32は、オゾン供給部4の運転モードを管理しており、現在のオゾン供給部4の運転モードを参照することでオゾンを除菌対象空間6に供給中であるか否かを判断する。運転モードは、例えば、オゾン供給を停止する供給停止モードと、第1濃度を目標値としてオゾンを供給する高濃度運転モードと、第2濃度を目標値としてオゾンを供給する低濃度運転モードとを含む。制御部32は、オゾン供給の開始の指示、およびオゾン供給の停止の指示を行うたびに、現在の運転モードを更新する。なお、供給停止モードをさらに、オゾンを発生させて貯蔵する貯蔵モードと、オゾンを発生させない停止モードとに分け、制御部32が、オゾン供給部4にオゾンの供給の停止を指示する際に、オゾンの貯蔵を行うか否かを指示するようにしてもよい。
オゾン供給中でない場合(ステップS3 No)、オゾン除菌装置2は、第1濃度を目標値としてオゾンの供給の制御を開始する(ステップS5)。詳細には、制御部32が、データベース31に格納されている濃度情報を参照して無人の場合に対応するオゾン濃度の目標値である第1濃度を読み出し、第1濃度を目標値としてオゾンの供給を開始するようオゾン供給部4へ指示し、管理している運転モードを高濃度運転モードに更新する。また、このとき、換気設備5が運転されていない場合には、制御部32は、換気設備5に運転開始を指示する制御信号を生成し、指令部34を介して換気設備5へ送信する。これにより、オゾンが換気設備5により形成される気流に同伴されて除菌対象空間6に拡散される。ステップS5の後、オゾン除菌装置2は、在場情報取得タイミングであるか否かを判断し(ステップS7)、在場情報取得タイミングである場合(ステップS7 Yes)にはステップS1からの処理が繰り返される。在場情報取得タイミングは、例えば、定められた周期ごとのタイミングである。在場情報取得タイミングでない場合(ステップS7 No)、ステップS3からの処理が繰り返される。例えば、制御部32の動作周期は、在場情報を取得する周期より短いとし、ステップS7は動作周期ごとに行われる。
オゾンを除菌対象空間6に供給中である場合(ステップS3 Yes)、オゾン除菌装置2は、オゾン供給停止条件を満たすか否かを判断する(ステップS4)。詳細には、例えば、制御部32は、データベース31に格納されているオゾン供給停止条件を示す情報を参照して、オゾン供給停止条件を満たすか否かを判断する。例えば、制御部32は、上記式(1)により算出される現在のCT値が、図3に例示した濃度情報に含まれる目標CT値を満たす場合に、オゾン供給停止条件を満たすと判断する。
オゾン供給停止条件を満たす場合(ステップS4 Yes)、オゾン除菌装置2は、オゾンの供給を停止させる(ステップS6)。詳細には、制御部32が、オゾン供給部4にオゾンの供給の停止を指示し、管理している運転モードを供給停止モードに更新する。ステップS6の後、オゾン除菌装置2は、処理をステップS7へ進める。
また、オゾン供給停止条件を満たさない場合(ステップS4 No)、オゾン除菌装置2は、処理をステップS7へ進める。
また、人が存在しない時間が一定時間以上継続していない場合(ステップS2 No)、オゾン除菌装置2は、オゾンを供給中であるか否かを判断する(ステップS8)。詳細には、制御部32が運転モードを参照することでオゾンを除菌対象空間6に供給中であるか否かを判断する。
オゾン供給中でない場合(ステップS8 No)、オゾン除菌装置2は、有人かつオゾン供給開始条件を満たすか否かを判断する(ステップS10)。詳細には、制御部32が、在場情報が有人であることを示しているかを判断し、有人であることを示している場合、データベース31に格納されているオゾン供給開始条件を示す情報を参照してオゾン供給開始条件を満たすか否かを判断する。
オゾン供給開始条件を満たす場合(ステップS10 Yes)、オゾン除菌装置2は、第2濃度を目標値としてオゾンの供給の制御を開始する(ステップS11)。詳細には、制御部32が、データベース31に格納されている濃度情報を参照して有人の場合に対応するオゾン濃度の目標値である第2濃度を読み出し、第2濃度を目標値としてオゾンの供給を開始するようオゾン供給部4へ指示し、管理している運転モードを低濃度運転モードに更新する。また、このとき、換気設備5が運転されていない場合には、制御部32は、換気設備5に運転開始を指示する制御信号を生成し、指令部34を介して換気設備5へ送信する。ステップS11の後、オゾン除菌装置2は、ステップS7と同様に、在場情報取得タイミングであるか否かを判断する(ステップS12)。在場情報取得タイミングである場合(ステップS12 Yes)にはステップS1からの処理が繰り返される。在場情報取得タイミングでない場合(ステップS12 No)、ステップS8からの処理が繰り返される。
オゾン供給開始条件を満たさない場合(ステップS10 No)、オゾン除菌装置2は、処理をステップS12に進める。
また、オゾンを供給中である場合(ステップS8 Yes)、オゾン除菌装置2は、ステップS4と同様に、オゾン供給停止条件を満たすか否かを判断する(ステップS9)。オゾン供給停止条件を満たす場合(ステップS9 Yes)、ステップS6と同様にオゾンの供給を停止させ(ステップS13)、処理をステップS12に進める。オゾン供給停止条件を満たさない場合(ステップS9 No)、オゾン除菌装置2は、処理をステップS12に進める。
また、制御部32は、過去の1か月、1年といった在場情報をデータベース31に蓄積し、蓄積した在場情報を用いて、曜日ごと、または平日と休日とに分けて、時間帯ごとの在場情報の平均値を求め、当該平均値を用いてステップS2で用いる一定時間を決定してもよい。また、ステップS2の判断の代わりに、過去の在場情報の平均値を用いて長時間無人となる時間帯を求めてもよい。例えば、制御部32は、過去の在場情報の平均値が夜間の22時から翌朝6時までの間、0人すなわち無人である場合、この時間帯を高濃度オゾンの散布を許容する許容時間帯とし、ステップS2では、許容時間帯内でありかつ人が存在しないか否かを判断してもよい。これにより許容時間帯以外で人が存在しない場合には、ステップS2ではNoと判断されることになり、一時的な不在時に高濃度オゾンの散布が行われることを防ぐことができる。
本実施の形態のオゾン除菌装置2は、以上で例示した処理により、低濃度のオゾン供給と高濃度のオゾン供給とを実施することで、有人/無人時のいずれに対しても適切な除菌条件を自動的に実現するハイブリッド制御を行うことができる。これにより、オゾンの人への悪影響を避けつつウイルスを効率的に除菌することができる。
また、換気設備5の風向および風量のうち少なくとも一方を制御することが可能な場合、オゾン除菌装置2の制御装置3が、在場情報を用いて、除菌対象空間6内の各エリアにおける人の人数に応じて送風制御を行ってもよい。例えば、制御装置3は、各エリアにおける人の人数に応じて換気設備5の風向および風量のうち少なくとも一方を制御するようにしてもよい。各エリアは、除菌対象空間6内の局所空間である。エリアは、除菌対象空間6を分割した複数の空間であり、あらかじめ定めておく。エリアを、ユーザの設定により、変更可能としてもよい。制御装置3は、例えば、他の局所空間に比べて人数の多いエリアすなわち人が密集しているエリアがある場合には、当該局所空間へ向けてオゾンを同伴した風が送られるように換気設備5を制御する。
詳細には、例えば、人感センサ7として赤外画像を取得可能なセンサを用いて、人感センサ7により取得された赤外画像における人の位置と局所区間(エリア)とをあらかじめ対応づけておく。そして、オゾン除菌装置2の制御部32は、画像内における各エリアに対応する範囲内で検出された人の数を求める。または、人感センサ7をエリアごとに設けて、人感センサ7がそれぞれ検出された人の数を対応するエリアにおける人の数としてもよい。赤外画像に限らず、カメラ画像などが用いられる場合も同様である。制御装置3は、例えば、このようにして求めたエリアごとの人数に応じて風向および風量のうち少なくとも一方を制御する。
図7は、本実施の形態における送風制御手順の一例を示すフローチャートである。図7に示した処理は、例えば、運転モードが高濃度運転モードであるとき、および運転モードが低濃度運転モードであるときに実施される。オゾン除菌システム1は、図6のステップS1と同様に在場情報を取得する(ステップS21)。次に、オゾン除菌システム1は、人が密集するエリア(領域)があるか否かを判断する(ステップS22)。詳細には、制御部32が、在場情報を用いてエリアごとの人の人数を求め、他のエリアより人数の多いエリアがあるか否かを判断する。例えば、制御部32は、エリアごとの人数の平均値を求め、平均値から例えば一定比率以上乖離しているエリアを人が密集するエリアとしてもよいし、エリア内の人数の閾値を定めておき、エリア内の人数が閾値を超えたエリアを人が密集するエリアとしてもよい。
人が密集するエリアが有る場合(ステップS22 Yes)、オゾン除菌システム1は、密集するエリアに送風する(ステップS23)。詳細には、制御部32は、換気設備5が給気するオゾンを同伴した気流の向きすなわち風向を制御することで、オゾンを同伴した風が、人が密集するエリアに送られるようにしてもよいし、人が密集するエリアへのオゾンを同伴した風の風量を増やすように制御してもよいし、風向を人が密集するエリアへ向けかつ当該エリアへの風量を増加させてもよい。例えば、図4に示した配置例の場合、制御部32は、エリアに対応する換気装置8を介して、人が密集しているエリアに対応する給気グリル83-1~83-3の風向を制御することで当該エリアにオゾンを同伴した風を向けるようにしてもよいし、人が密集しているエリアに対応する給気グリル83-1~83-3の風量を増やすことで当該エリアにオゾンを同伴した風を向けるようにしてもよいし、これらの両方の制御を行ってもよい。
ステップS23の後、オゾン除菌システム1の制御部32は、在場情報取得タイミングであるか否かを判断し(ステップS24)、在場情報取得タイミングでない場合(ステップS24 No)、ステップS24を再度実施する。在場情報取得タイミングである場合(ステップS24 Yes)、制御部32は、ステップS21からの処理を再度実施する。また、人が密集するエリアがない場合(ステップS22 No)、オゾン除菌システム1は、処理をステップS24へ進める。
図7に示した処理は、例えば、高濃度運転モードまたは低濃度運転モードにおいて、図6に示した処理を並行して行われる。このように、本実施の形態では、在場情報を用いて、除菌対象空間6内に人が密集する領域があると判断すると、当該領域へ向けてオゾンが同伴された空気が送られるように換気設備5が形成する気流の風向を制御する。このため、ウイルス量が増加する可能性が高いエリアに効率的にオゾンを散布することができる。
また、オゾン除菌装置2が、複数の除菌対象空間6にオゾンを供給してもよい。この場合、オゾン除菌装置2は、除菌対象空間6ごとの人の数または人の密度に応じて除菌の優先度を決定してもよい。例えば、オゾン除菌装置2は、複数の除菌対象空間6の全てに同時に目標値となるオゾン濃度のオゾンを供給できない場合には、人の数または人の密度が多い除菌対象空間6から順に除菌を行うようにしてもよい。また、例えば、後述するようにオゾンを貯蔵する場合、オゾン除菌装置2は、貯蔵されているオゾンの残量が閾値以下であり、全ての除菌対象空間6の除菌に要する量を供給することができない場合、人の数または人の密度が多い除菌対象空間6を優先して除菌するようにしてもよい。
次に、本実施の形態の制御装置3およびオゾン供給部4における制御部44のハードウェア構成について説明する。制御装置3および制御部44は、それぞれ処理回路により実現される。この処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、プロセッサを備える制御回路であってもよい。専用のハードウェアである場合、処理回路は、例えば、単一回路、復号回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、または、これらを組み合わせたものが該当する。
図8は、本実施の形態の制御回路の構成例を示す図である。制御装置3および制御部44を実現する処理回路は、例えば、図8に示す制御回路であってもよい。図8に示す制御回路は、コンピュータであり、プロセッサ101、メモリ102および通信回路103を備える。
演算装置であるプロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。記憶部であるメモリ102は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、などが該当する。通信回路は、通信を行うことが可能な送受信機である。
制御装置3および制御部44が、それぞれ図8に示した制御回路により実現される場合、制御装置3および制御部44のそれぞれの機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアの組み合わせにより実現される。ソフトウェア、ファームウェアはプログラム(コンピュータプログラム)として記述され、メモリ102に記憶され、メモリ102が記憶するプログラムをプロセッサ101が読みだして実行することにより制御装置3および制御部44のそれぞれの機能が実現される。また、プロセッサ101によってプログラムが実行される中でデータを記録する際には、メモリ102にデータが保持される。このプログラムは記憶媒体であるプログラム記憶媒体によって提供されてもよいし、通信媒体などによって提供されてもよい。また、制御回路は、さらに、入力部、表示部を備えていてもよい。
また、制御装置3および制御部44は、専用のハードウェアである処理回路と、図8に示した制御回路との組み合わせにより実現されてもよい。
図1に示した制御装置3のうち制御部32は、プロセッサ101がメモリ102に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、データベース31は、メモリ102の一部である。情報取得部33および指令部34は、通信回路103により実現される。なお、情報取得部33の実現には、図示しない入力部も用いられてもよい。
本実施の形態のプログラムは、例えば、コンピュータシステムに、除菌対象空間6内に気流を形成するステップ、気流に同伴させてオゾンを除菌対象空間6内に供給するステップと、中大規模空間内の人の数を示す在場情報を用いて、気流とオゾンの供給量とのうち少なくとも一方を制御するステップと、を実行させる。
なお、上述した図4では、換気設備5として換気装置8が用いられる例を示したが換気設備5は空気調和機でもよく、またオゾン除菌装置2の設置場所も図4に限定されない。
図9は、換気設備5として空気調和機を用いる場合の本実施の形態のオゾン除菌システム1の配置例を示す模式図である。図9に示した例では、ボイラー、冷凍機などである熱源機10を熱源として用いる空気調和機9を換気設備5として用いる。空気調和機9は、図4に示した換気装置8と同様に、還気ダクト81と給気ダクト82とに接続される。給気グリル83-1~83-3および還気グリル84に関しては図4に示した例と同様であるため説明を省略する。空気調和機9は、暖房時には、熱源機10により生成された温水を用いて外気および除菌対象空間6からの還気を加熱することで温風を生成し、生成した温風を給気ダクト82および給気グリル83-1~83-3を介して除菌対象空間6へ供給する。空気調和機9は、冷房時には、熱源機10により生成された冷水を用いて外気および除菌対象空間6からの還気を冷却することで冷風を生成し、生成した冷風を給気ダクト82および給気グリル83-1~83-3を介して除菌対象空間6へ供給する。
図9に示した例においても、図4に示した例と同様に、オゾン除菌装置2のオゾン供給部4は、給気ダクト82にオゾンを供給する。これにより、空気調和機9が生成する気流にオゾンが同伴されて、除菌対象空間6に供給される。図9に示した例では、オゾン除菌装置2の制御装置3は、空気調和機9に制御信号を送信することで、図4に示した例と同様に給気グリル83-1~83-3の風向および風量のうち少なくとも一方を制御する。また、オゾン除菌装置2の制御装置3は、無人環境下における高濃度オゾンによる除菌を終了した後には、排気を促進するよう空気調和機9へ指示してもよい。
図10は、換気設備5として統合方式の空気調和機を用いる場合の本実施の形態のオゾン除菌システム1の配置例を示す模式図である。図10に示した例では、オゾン除菌システム1は、換気設備5として、換気装置8aと、室外機92および室内機93-1~93-2で構成される空気調和機と、換気空調コントローラ94を備える。換気空調コントローラ94は、室外機92および室内機93-1~93-2を制御する。
図10に示した空気調和機においては、図示を省略した冷媒管により室外機92と室内機93-1~93-2との間で冷媒が循環する。冷房時には、室外機92が冷媒と外気との間で熱交換することで温風を排出するとともに冷媒を冷却し、室内機93-1~93-2が冷却された冷媒と除菌対象空間6内の空気との間の熱交換により除菌対象空間6内の空気を冷却して除菌対象空間6へ供給する。暖房時には、室外機92が冷媒と外気との間で熱交換することで冷風を排出するとともに冷媒を加熱し、室内機93-1~93-2が加熱された冷媒と除菌対象空間6内の空気との間の熱交換により除菌対象空間6内の空気を加熱して除菌対象空間6へ供給する。換気装置8aは、還気ダクト81と給気ダクト82とに接続されて、換気を行う。
図10に示した例では、オゾン除菌装置2は、除菌対象空間6内に設置され、室内機93-1~93-2および換気装置8aにより形成される気流に同伴させてオゾンを排出する。図10に示した例では、オゾン除菌装置2の制御装置3は、換気空調コントローラ94へ風向および風量のうち少なくとも一方を指示する制御信号を送信することで、換気空調コントローラ94を介して室内機93-1~93-2および換気装置8aの風向および風量のうち少なくとも一方を制御する。また、オゾン除菌装置2の制御装置3は、無人環境下における高濃度オゾンによる除菌を終了した後には、換気空調コントローラ94へ排気を促進するよう指示してもよい。また、図10に示した例では、オゾン除菌システム1は、室内機93-1~93-2のそれぞれが空調制御のために備える人感センサ7を用いて在場情報を取得する。このように、空気調和機が備える人感センサを上述したオゾン散布の制御のための人感センサ7として流用することができる。なお、この例に限定されず、人感センサ7を室内機93-1~93-2とは別に設置してもよい。
図11は、オゾン除菌装置2を可搬式とした本実施の形態のオゾン除菌システム1の配置例を示す模式図である。図11に示した例では、空気調和機9は、図9に示した例と同様に、還気ダクト81と給気ダクト82とに接続され、熱源機10を用いて空調制御を行う。図9に示した例と重複する部分の説明は省略する。図11に示した例では、各装置との間で通信を行うことが可能な接続装置11を備える。また、図11に示した例では、可搬式のオゾン除菌装置2が、除菌対象空間6内に設置され、空気調和機9により形成される気流、すなわち給気グリル83-1~83-3から給気される空気の気流に同伴させてオゾンを排出する。図11に示した例では、オゾン除菌装置2の制御装置3は、接続装置11を介して空気調和機9へ制御信号を送信することで、空気調和機9を介して給気グリル83-1~83-3の風向および風量のうち少なくとも一方を制御する。また、オゾン除菌装置2の制御装置3は、無人環境下における高濃度オゾンによる除菌を終了した後には、接続装置11を介して空気調和機9へ排気を促進するよう指示してもよい。
なお、図4,9~11に示した例はそれぞれ一例であり、換気、空気調和の方式、および各装置の配置は、これらの例に限定されない。除菌対象空間6の容積、用途、使用状況などに応じて換気、空気調和の方式、および各装置の配置は適宜選択されればよい。また、図9および図11の例においても、それぞれ空気調和機9とは別に空気調和機9を制御するコントローラが設けられ、オゾン除菌装置2の制御装置3が当該コントローラに制御信号を送信することで空気調和機9を制御してもよい。また、上述した人の数に応じた風向、風量の制御は行わなくてもよく、換気設備5は、オゾンを排出可能なように少なくとも排気が可能であればよい。
また、換気設備5は、上述した空気調和機、換気装置に限定されず、サーキュレータ、エア搬送用ファンなどであってもよい。ただし、サーキュレータ、エア搬送用ファンなどの気流を形成する装置を使用する場合には、排気口を設けるなど、別途排気手段が設けられる。また、オゾン除菌装置2にサーキュレータ、エア搬送用ファンなどを内蔵させて、換気設備5によるオゾンの拡散を支援してもよい。
なお、換気設備5とオゾン除菌装置2との導入は同時に行われる必要はなく、例えば、換気設備5が既に設けられている場合に、オゾン除菌装置2を後から追加するなどのように、換気設備5とオゾン除菌装置2とを独立して導入してもよい。また、換気設備5とオゾン供給4が既に設けられている場合などに、制御装置3を導入することで、本実施の形態のオゾン除菌システム1としてもよい。これにより、既存の設備を流用することができコストを抑制することができる。
また、オゾンを用いた除菌の制御を行う制御装置3を空気調和機内に設けてもよい。図12は、制御装置3を空気調和機内に設けた本実施の形態のオゾン除菌システム1の配置例を示す模式図である。図12に示した例では、図9に示した例と同様に、オゾン供給部4が給気ダクト82にオゾンを供給する。空気調和機9aは、図9に示した空気調和機9に制御装置3が追加されたものである。制御装置3は、図1および図9などに示したオゾン除菌装置2における制御装置3と同様である。ただし、この例では、制御装置3は、空気調和機9a内で空調制御部91と情報をやりとりすることで空気調和機9aの風向、風量などを制御し、人感センサ7から取得された在場情報を空気調和機9aの空調制御部91を介して受け取る。また、制御装置3とオゾン供給部4とが通信機能を有し、制御装置3はオゾン供給部4へ制御信号を送信することで、オゾンの供給を制御する。図12に示した例では、空気調和機と制御装置3とを実現する制御回路を共用してもよい。これにより、ハードウェア資源を有効に活用することができる。なお、図12に示した例では、図9に示した空気調和機9が制御装置3を備えたが、図4に示した換気装置8、図10に示した換気空調コントローラ94が制御装置3を備えてもよい。また、図11に示した空気調和機9が制御装置3を備え、オゾン供給部4を可搬式としてもよい。
以上のように、本実施の形態のオゾン除菌システム1は、換気設備5と連携して、換気設備5が形成する気流を用いてオゾンを拡散させるため、除菌対象空間6全体に偏りを抑制してオゾンを拡散することができる。特に、これにより、オゾン除菌システム1として一体化して提供することで、換気設備5とオゾン除菌装置2とを個別に設置する場合に比べて給気ダクト82に後からオゾン除菌のための工事を行う必要がなく設置工事を効率的に行うことができ、また、換気設備5にオゾン除菌のために適した風向制御モードを設定しておくなどオゾン除菌を考慮した気流制御を行うことも可能となる。また、換気設備5、および還気ダクト81および給気ダクト82にもオゾンが拡散されるため、これらの設備におけるウイルス付着防止効果、防カビ効果、防臭効果が得られ、設備の衛生維持管理にも貢献することができる。また、本実施の形態では、上述したように、有人であるか無人であるかに応じてオゾンの濃度を設定し、有人下および無人下の両方でウイルスの除菌を行うことが可能である。このため、人の出入りが多い空間、多くの人数を収容可能な空間などにおいても、効率的に除菌を行うことができる。さらに、無人下では高濃度オゾンにより短時間でウイルス量を大幅に低減させることができるため、有人下における除菌が低濃度オゾンによって行われてもウイルス量を低い状態で保つことができる。このため、作業者による消毒作業の負担が軽減されるとともに、消毒作業を行う作業者の感染リスクも低減される。また、オゾン除菌は自動で行われるため、原則、オゾン除菌のための作業者の確保は不要である。
また、ウイルス等を除菌システム内に吸引して除菌する方式も知られているが、この方式では除菌対象空間6内を局所的に除菌することはできるものの中大規模空間である除菌対象空間6全体の除菌には適さない。本実施の形態では、オゾンを除菌対象空間6に散布する方式であるため、除菌対象空間6を一括して効率的に除菌することができる。
また、オゾン供給部4に、オゾンと酸素とを分離してオゾンを貯蔵するオゾン貯蔵部43を設けることで、オゾン発生の原料ガスとして酸素ガスが使用でき、コストを抑制して酸素を原料ガスとしてオゾンを生成することができるため、窒素酸化物を大幅に低減することができ、人および環境への悪影響を防止することができる。また、単位時間あたりのオゾン発生容量が小さい場合においても、積算されたオゾン発生時間で得られるオゾンをほぼすべてオゾン貯蔵部43に貯蔵しておくことが可能になる。言い換えれば、オゾン貯蔵部43を備えることにより、生成したオゾンを逐一、貯蔵、蓄積していくため、オゾン発生部42を小型、小容量化することができる、また、オゾン貯蔵部43を備えることで、オゾンガスを自由に貯蔵できるので、オゾンをオンデマンド(好きな時、好きな量)で、かつ複数の除菌対象空間6に供給することもでき、除菌対象空間6の除菌以外の用途にも任意のタイミングでオゾンを用いることができる。また、例えば、低電気料金時間帯に一括して生成したオゾンを貯蔵し、高電気料金時間帯にはオゾン発生部42の動作を停止して貯蔵したオゾンを放出することでコストを抑制することができる。また、生成したものの使用しなかった余剰オゾンを排気することなく貯蔵し、次の必要タイミングで放出、使用するなどオゾン利用の高効率化、低コスト化が期待できる。
実施の形態2.
図13は、実施の形態2にかかるオゾン除菌システムの構成例を示す図である。図13に示すように、本実施の形態のオゾン除菌システム1aは、実施の形態1のオゾン除菌装置2の代わりにオゾン除菌装置2aを備える。オゾン除菌装置2aは、実施の形態1の制御装置3の代わりに制御装置3aを備える。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
本実施の形態のオゾン除菌装置2aは、実施の形態1と同様に、在場情報を用いて、無人下における高濃度オゾンによる除菌と、有人下における低濃度オゾンによる除菌とを実施可能である。本実施の形態のオゾン除菌装置2aは、さらに、除菌対象空間6の開放度、密閉度などに関する情報を含む建物施設情報、除菌対象空間6の湿度、温度などを示す空間環境情報、ウイルスの不活化率を示す指標である不活化指標を取得し、これらの情報を用いてオゾン供給部4および換気設備5を制御する。不活化指標は、例えば、色の変色によりCT値を示すシートを除菌対象空間6に設置することで取得されてもよいし、ウイルスの不活化率そのものを示すセンサを除菌対象空間6に設置することで取得されてもよい。また、不活化指標としてオゾン濃度が計測されてもよいし、不活化指標に加えてオゾン濃度も計測されてオゾン除菌装置2aへ入力されてもよい。不活化指標としてオゾン濃度が計測される場合には、例えば、定められた値以上のオゾン濃度が計測されると、オゾン除菌装置2aは、CT値のTの計測を開始することでCT値を算出する。複数の計測装置によりオゾンが検出される場合には、全ての計測装置が定められた値以上のオゾン濃度が計測されたときをCT値の起点としてもよいし、いずれか1つの計測装置が定められた値以上のオゾン濃度が計測されたときをCT値の起点としてもよい。
また、本実施の形態のオゾン除菌装置2aは、除菌対象空間6への出入りに用いられる扉、電動シャッターなどの建物設備12に対して、扉の電子錠の施錠/解錠、電動シャッターの開閉などを指示することができる。本実施の形態のオゾン除菌システム1aは、除菌対象空間6に対応する建物を管理する様々な情報を用いてオゾン散布の制御を行うことで、除菌対象空間6に全体の効率的なウイルスの除菌を実現することができる。また、高濃度オゾンによる除菌中には、オゾン除菌装置2aの制御装置3aは、除菌対象空間6への人の入口を閉じるように建物設備12を制御することで、高濃度オゾンの環境に人が立ち入ることを防ぐことができる。例えば、高濃度オゾンによる除菌中には、オゾン除菌装置2aは、建物設備12の扉の電子錠を施錠する、電動シャッターを閉じるといった制御を行う。すなわち、制御装置3aは、第1濃度でオゾンを供給している間、除菌対象空間6の入口に設けられた扉またはシャッターを閉めたままとするよう制御する。
図13に示すように、オゾン除菌装置2aの制御装置3aは、データベース31、制御部32a、情報取得部33a、フィードバック情報取得部39、指令部34およびモデル記憶部35を備える。また、制御部32aは、モデル生成部36、制御モード設定部37および供給制御部38を備える。
データベース31は、実施の形態1と同様に各種情報を記憶するが、本実施の形態では、データベース31には、さらに、ウイルス種を推定するための情報なども格納される。情報取得部33aは、建物施設情報、空間環境情報、在場情報および容積情報を取得し、取得した情報をモデル生成部36および制御モード設定部37へ出力する。フィードバック情報取得部39は、不活化指標を取得し、供給制御部38へ出力する。なお、情報取得部33aがフィードバック情報取得部39の機能を有し、情報取得部33aとフィードバック情報取得部39とが一体化されていてもよい。
制御部32aのモデル生成部36は、在場情報、建物施設情報および空間環境情報のなかから、特徴量として用いられる情報を抽出し、抽出した特徴量と、正解データとして与えられる換気設備5の適切な気流制御モードとを用いて、換気設備5の気流制御モードを決定するための学習済モデルを生成し、学習済モデルをモデル記憶部35に格納する。この学習済モデルは、上述した開閉設備の開閉状態を示す情報と在場情報とのうち少なくとも一方である特徴量と、除菌対象空間6におけるオゾン濃度の偏りを抑制する気流の制御内容を示す気流制御モードとを含むデータセットを教師データとして機械学習により学習された学習済モデルである。特徴量は、例えば、在場情報、建物施設情報および空間環境情報の全てを用いてもよいし、建物施設情報の開放度、密閉度などに関する情報のみを用いてもよい。建物施設情報の開放度、密閉度などに関する情報は、除菌対象空間6が外部と連通する可能性のある窓、扉、シャッター、換気口といった開閉により除菌対象空間6と外部とを連通させるか否かを変更可能な開閉設備各設備の開閉状態がそれぞれ示される情報である。また、開と閉との別だけでなく開度を調整可能な設備に関する建物施設情報については開度が含まれていてもよい。また、ここでは、学習済モデルは、除菌対象空間6ごとに生成される前提とするため、容積情報は固定とし特徴量に含めないが、複数の除菌対象空間6で学習済モデルを共用したり容積情報が変更になったりといった可能性のある場合には、特徴量に容積情報を含めてもよい。
正解データは、例えば、特徴量である在場情報、建物施設情報および空間環境情報などを、ある状態に設定し、換気設備5における風向、風量などの気流に関する気流制御モードを複数用意し、各気流制御モードにおいて不活化指標を除菌対象空間6における複数の箇所で取得する。そして、当該状態ごとに、不活化指標を用いて、ウイルスの不活化率が、各場所で偏りなくかつ目標値となるような気流制御モードを求める。特徴量を変更して複数の状態に関して、上記と同様に気流制御モードを求めることで、状態ごと、すなわち特徴量の値の組み合わせごとに、除菌対象空間6の空間全体でウイルスの不活化率を満たすような正解データである気流制御モードを求めることができる。
正解データを求めるために用いる不活化指標は、フィードバック情報取得部39によってオゾン除菌装置2aの通常運用中に取得される不活化指標であってもよいし、通常運用中に取得される不活化指標に加えて、除菌対象空間6内の多くの場所で取得された不活化指標を用いてもよい。また、不活化指標としてCT値を用いることとし、オゾン濃度を計測する計測器を除菌対象空間6内の複数の箇所に設置し、オゾン濃度の計測値と計測周期分の時間とを乗算した値の一定期間分の合計値を不活化指標として用いてもよい。一定期間は、例えば、オゾン除菌装置2aが、CT値の目標値を、除菌の際に設定するオゾン濃度の目標値で割った時間である。なお、不活化指標の一例であるCT値の目標値は後述するようにウイルス種によっても異なる場合もあるが、正解データの算出に用いる場合は均一な不活化が行えるかの目安として用いるだけであるため、主要なウイルス種に対応する任意の目標値を設定すればよい。実施の形態1と同様に、オゾン除菌装置2aは、有人であるか無人であるかによってオゾン濃度の目標値を定めてオゾンを散布するが、除菌対象空間6の構造、扉、窓、シャッターなどの開閉設備の開閉状態によっては除菌対象空間6内の全ての場所で均一にオゾンが拡散されない場合もある。このため、本実施の形態では、オゾン除菌装置2aが、これらの状態に応じて、各場所において不活化指標が目標値以上となるように、換気設備5の気流制御モードを決定することで、除菌対象空間6内の全ての場所におけるウイルスの不活化率を均一にし、また全ての場所でウイルス量を低減させることができる。
制御モード設定部37は、対象日時に対応する特徴量を学習済みモデルに入力することで、除菌対象空間6におけるオゾン濃度の偏りを抑制する気流制御モードを推論し、推論した気流制御モードに基づいて換気設備5の気流を制御する。詳細には、制御モード設定部37は、モデル記憶部35から学習済モデルを読み出し、制御対象日時における特徴量を、学習済モデルへ入力することで気流制御モードを取得し、取得した気流制御モードと在場情報とを供給制御部38へ通知する。また、制御モード設定部37は、空間環境情報とデータベース31に格納されている情報とを用いて、除菌対象空間6に多く存在するウイルスのウイルス種を推定し、推定したウイルス種に応じて不活化指標の目標値である目標不活化指標を設定し、設定した目標不活化指標を供給制御部38へ通知する。
供給制御部38は、制御モード設定部37から通知された気流制御モードにしたがって、換気設備5の風量、風向などを制御するための制御信号を生成し、指令部34を介して制御信号を換気設備5へ送信する。また、供給制御部38は、実施の形態1と同様に、図6に示した処理を実施するが、このとき、供給制御部38は、供給するオゾンの量をフィードバック情報取得部39から受け取った不活化指標を用いて制御する。例えば、供給制御部38は、実施の形態1のCT値の代わりに不活化指標を用いて除菌停止の判断を行う。また、オゾン濃度を検出するセンサが除菌対象空間6に設けられる場合には、フィードバック情報取得部39からオゾン濃度を受け取り、受け取ったオゾン濃度と目標のオゾン濃度との差に基づいてフィードバック制御を行う。また、供給制御部38は、学習済モデルの入力データとなる特徴量として在場情報が含まれていない場合には、実施の形態1の図7に示した在場情報に基づく風向、風量の制御を行う。なお、本実施の形態において、学習済モデルの入力データとなる特徴量として在場情報が考慮されている場合には、実施の形態1の図7に示した在場情報に基づく風向、風量の制御を行わなくても在場情報に応じた気流の制御は行われるが、この制御に加えてさらに実施の形態1の図7に示した在場情報に基づく風向、風量の制御を行ってもよい。
なお、ここでは、正解データを含む教師データを用いて教師あり学習を行う例を記載するが、学習済モデルは教師あり学習に限らず強化学習などにより行われてもよい。強化学習を用いる場合には、例えば、状態変数として上記特徴量を用い、行動を気流制御モードとし、報酬については、例えば不活化指標の目標値との差が小さいほど報酬を高くするといった方法が考えられる。なお、機械学習の具体的なアルゴリズムはこれらの例に限定されない。
図14は、本実施の形態のオゾン除菌システム1aの配置例を示す模式図である。この例では、換気設備5として実施の形態1の図9と同様の空気調和機9を用いる例を示している。図9と重複する部分の説明は省略する。図14に示した例では、建物設備12の一例として、除菌対象空間6への出入り口に設けられる扉16を例示している。なお、図14では扉16を1つ図示しているが扉16は複数であってもよい。扉16は図示を省略した電子錠を有し、除菌対象空間6が設けられる建物におけるセキュリティ管理システム17により電子錠の施錠と解錠とが制御される。また、図14に示した例では、除菌対象空間6への入退室を管理する入退室管理システム18が設けられている。入退室管理システム18は、例えば、顔認証、指紋認証、手のひら静脈認証、網膜認証などの生体認証、映像監視カメラ、カードリーダーなどによる認証などにより、除菌対象空間6へ入室する人を管理するとともに、退室する人も管理する。なお、図示は省略するが入退室管理システム18における認証に用いられる認証器などが除菌対象空間6の扉16の外側などに設けられており、入退室管理システム18は認証器によって取得された情報を用いて認証を行う。
入退室管理システム18は、入退出に関する情報を管理し、管理している入退出に関する情報を在場情報としてオゾン除菌装置2aへ送信してもよいし、入退出情報から算出される除菌対象空間6の在場人数を在場情報としてオゾン除菌装置2aへ送信してもよい。入退出に関する情報は、例えば、入室および退室の人数を示す情報である。また、セキュリティ管理システム17が、図示しない監視カメラによって取得した画像を在場情報としてオゾン除菌装置2aへ送信してもよい。セキュリティ管理システム17は、扉16の開閉の状態を示す情報を建物施設情報としてオゾン除菌装置2aへ送信する。また、セキュリティ管理システム17は、図示しない窓、換気口などの開閉状態を管理していてもよく、この場合、これらの情報も建物施設情報としてオゾン除菌装置2aへ送信する。なお、図14に示した例では、セキュリティ管理システム17および入退室管理システム18を、除菌対象空間6内に設けているが、セキュリティ管理システム17および入退室管理システム18は、除菌対象空間6外に設けられていてもよい。
また、図14に示した例では、温度および湿度を検出する温湿度検出器14が除菌対象空間6内に設けられている。温湿度検出器14は、空気調和機9における空調制御に用いられるものであってもよいし、空気調和機9における空調制御に用いられるものとは別に設けられてもよい。温湿度検出器14は、検出した温度および湿度を空間環境情報としてオゾン除菌装置2aへ送信する。
また、図14に示した例では、不活化指標を取得する不活化検知器であるウイルス不活化検知器15が除菌対象空間6内に設けられている。ウイルス不活化検知器15は例えば、CT値に応じて色が変色するシートなどであってもよいし、ウイルスの不活化自体を検出するものであってもよい。CT値に応じて色が変色するシートを用いる場合、ウイルス不活化検知器15は、当該シートを撮像する撮像部も備え、オゾン除菌装置2aの供給制御部38は、撮像部からシートを撮像した画像を受信し、受信した画像を画像処理することで色に応じたCT値を算出する。例えば、あらかじめCT値の複数の値ごとに基準画像を撮像しておきデータベース31に格納しておき、供給制御部38は、データベース31から各基準画像を読み出して、基準画像と撮像部から受信した画像とを比較し、撮像部から受信した画像との差が最も小さい基準画像に対応するCT値を求める。なお、CT値に応じて色が変色するシートを用いる場合のCT値の算出方法はこの例に限定されない。なお、上述したシートはCT値が定められた値に達すると色が変わらなくなる。このため、シートの色が変わらなくなると作業者により新しいものに交換されてもよいし、定期的に作業者により新しいものに交換されてもよい。本実施の形態においても、図2に示したように無人下では高濃度オゾンにより除菌を行うため、例えば、夜間などに除菌が終了する。このため、例えば、朝の始業時に上記シートの交換が行われる。
図14に示した例では、オゾン除菌装置2aは、入退室管理システム18、セキュリティ管理システム17および人感センサ7のうち少なくとも1つから得られた在場情報を用いて、実施の形態1の図6に示した処理を実施する。また、図14に示した例では、オゾン除菌装置2aは、在場情報、セキュリティ管理システム17から取得する建物施設情報および、温湿度検出器14から取得した空間環境情報のうち少なくとも1つの特徴量と上述した正解データとを教師データとして用いて、適切な気流制御モードを決定するための学習済モデルを生成する。そして、オゾン除菌装置2aは、この学習済モデルに制御対象時点の特徴量を入力することで適切な気流制御モードを求め、求めた気流制御モードに従って空気調和機9に制御信号を送信することで、給気グリル83-1~83-3から給気される空気の気流を制御する。これにより、除菌対象空間6の扉16の開閉状態、在場人数に応じて適切に気流を制御することができるため、空気調和機9によって形成される気流に同伴されるオゾンを除菌対象空間6内に均一に散布することができる。また、オゾン除菌装置2aは、高濃度オゾンの供給中に、セキュリティ管理システム17を介して扉16の電子錠を施錠するように制御することで、高濃度オゾンの供給中に除菌対象空間6内への人の立ち入りを防止することができる。
次に、本実施の形態の動作について説明する。図15は、本実施の形態におけるモデル生成処理手順の一例を示すフローチャートである。図15に示すように、オゾン除菌装置2aは、特徴量と正解データを含む教師データを取得する(ステップS31)。詳細には、情報取得部33aが、建物施設情報、空間環境情報および在場情報のうちの少なくとも1つである特徴量と当該特徴量に対応する正解データである気流制御モードとを取得し、モデル生成部36へ出力する。情報取得部33aは、特徴量と正解データとで構成される組を複数組取得する。なお、正解データについては、図示しない情報取得部33aとは別の入力部によって取得されてもよい。
次に、オゾン除菌装置2aは、学習済モデルを生成し(ステップS32)、生成した学習済モデルを記憶する(ステップS33)。詳細には、ステップS32では、モデル生成部36が、複数組の特徴量と正解データとを用いて教師あり学習により学習済モデルを生成する。ステップS33では、モデル生成部36が、生成した学習済モデルをモデル記憶部35に格納する。
教師あり学習のアルゴリズムとしては、例えば、ニューラルネットワーク(深層学習を含む)を用いることができるが、これに限らず、決定木、重回帰、ランダムフォレスト、などでもよく、どのようなものを用いてもよい。ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)、および複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層、又は2層以上でもよい。
図16は、ニューラルネットワークの一例を示す模式図である。例えば、図16に示すような3層のニューラルネットワークであれば、複数の入力が入力層(X1-X3)に入力されると、その値に重みW1(w11-w16)を掛けて中間層(Y1-Y2)に入力され、その結果にさらに重みW2(w21-w26)を掛けて出力層(Z1-Z3)から出力される。この出力結果は、重みW1と重みW2の値によって変わる。
本実施の形態においては、入力層に上述した教師データの特徴量が入力されたときの出力層からの出力が正解データに近づくように、重みW1と重みW2を調整することで、特徴量と正解データとの関係が学習される。
次に、本実施の形態における学習済モデルを用いたオゾン供給の制御パラメータ決定手順について説明する。図17は、本実施の形態のオゾン供給の制御パラメータ決定手順の一例を示すフローチャートである。図17に示した処理は、図6に示した処理と並行して行われる。図17に示すように、オゾン除菌装置2aは、空間環境情報、在場情報、建物施設情報および不活化指標を取得する(ステップS41)。詳細には、情報取得部33aが、建物施設情報、空間環境情報および在場情報を取得し、制御モード設定部37および供給制御部38へ出力し、フィードバック情報取得部39が不活化指標を取得して制御モード設定部37および供給制御部38へ出力する。
オゾン除菌装置2aは、空間環境情報を用いてウイルス種を推定し、ウイルス種に応じた目標不活化指標を設定する(ステップS42)。詳細には、制御モード設定部37が、空間環境情報と、季節とを用いて除菌対象空間6内に存在するウイルスのウイルス種を推定し、推定したウイルス種に応じて目標不活化指標を設定する。例えば、制御モード設定部37が、データベース31に格納されているウイルス対応情報を読み出し、空間環境情報と制御対象時点の季節とを用いて、制御対象時点のウイルス種を推定する。そして、制御モード設定部37は、データベース31に格納されている不活化指標対応情報を読み出し、ウイルス対応情報を参照して推定したウイルス種に対応する不活化指標の目標値である目標不活化指標を求め、供給制御部38へ通知する。
図18は、本実施の形態のデータベース31に格納されるウイルス対応情報の一例を示す図である。図18に示すように、ウイルス対応情報には、除菌対象ウイルスのウイルス種ごとに、対応する季節、温度、湿度などの情報が格納されている。ウイルス対応情報に格納される情報は、季節、温度および湿度に限定されず、これらのうちの一部が格納されていなくてもよいし、これら以外の情報が格納されていてもよい。情報取得部33aは、ウイルス対応情報に格納される情報がこれら以外の他の情報を含む場合、空間環境情報に当該他の情報を含めて取得するようにしてもよい。図19は、本実施の形態のデータベース31に格納される不活化指標対応情報の一例を示す図である。図19に示すように、不活化指標対応情報には、除菌対象ウイルスのウイルス種ごとの目標不活化指標が格納されている。
図17の説明に戻る。オゾン除菌装置2aは、取得した情報から特徴量を抽出する(ステップS43)。詳細には、制御モード設定部37が、ステップS41で情報取得部33aによって取得された情報から特徴量を抽出する。特徴量は、上述したように、例えば、空間環境情報、在場情報および建物施設情報のうちの少なくとも一部である。
次に、オゾン除菌装置2aは、特徴量を学習済モデルに入力することで適切な気流制御モードを推論する(ステップS44)。詳細には、制御モード設定部37が、モデル記憶部35から学習済モデルを読み出し、読み出した学習済モデルへ特徴量を入力して気流制御モードを得ることで、適切な気流制御モードを推論する。
次に、オゾン除菌装置2aは、取得した不活化指標は目標値以上であるか否かを判断する(ステップS45)。詳細には、供給制御部38は、ステップS41で情報取得部33aによって取得された不活化指標が、ステップS42で設定された目標不活化指標以上であるか否かを判断する。
次に、取得した不活化指標が目標値以上の場合(ステップS45 Yes)、オゾン除菌装置2aは、オゾン供給停止条件を満たすと判定する(ステップS46)。詳細には、ステップS46では、供給制御部38が、オゾン供給停止条件を満たすと判定し、その旨を制御モード設定部37へ通知する。次に、制御モード設定部47は、情報取得タイミングであるか否かを判断し(ステップS47)、情報取得タイミングでない場合(ステップS47 No)、ステップS47を再度実施する。情報取得タイミングである場合(ステップS47 Yes)、ステップS41からの処理が再度実施される。
また、取得した不活化指標が目標値未満の場合(ステップS45 No)、処理はステップS47へ進む。ステップS46のオゾン供給停止条件を満たすか否かの判定結果は、実施の形態1で述べた図6のステップS4およびステップS9の判定で用いられる。本実施の形態では、このように、除菌対象空間6で取得された不活化指標を用いてオゾン供給を停止するか否か、すなわち除菌を終了するか否かを判定するため、除菌対象空間6の実際の状況を反映してオゾンの供給を適切に停止させることができる。また、ウイルス種の推定結果を用いて目標不活化指標を定めているので、季節および環境に応じて存在する可能性の高いウイルスを、効率的に除菌することができる。また、建物施設情報、空間環境情報および在場情報のうちの少なくとも1つを用いた機械学習により適切な気流制御モードを推論することにより、除菌対象空間6の状態に応じて適切な気流制御モードを設定することができ、これにより、除菌対象空間6内に均一にオゾンを拡散させることができる。
なお、制御部32aは、運用中に得られた特徴量と対応する気流制御モードとの組をデータベース31に蓄積しておき、上述した学習済モデルを、蓄積したデータを用いて更新するようにしてもよい。例えば、制御部32aは、ウイルス不活化検知器15の検出結果についてもデータベース31に蓄積しておき、作業者等が、ウイルス不活化検知器15の検出結果を参照して、適切にオゾン散布が行われていたと推定できる、特徴量と対応する気流制御モードとの組を教師データとして指定する。これにより、制御部32aは、学習済モデルを更新する。または、ウイルス不活化検知器、またはオゾン濃度検出器を、学習済モデルの更新用に除菌対象空間6内に一時的に多数設置し、これらの検出器によって検出された結果を作業者等が評価し、適切にオゾン散布が行われていたと推定できる、特徴量と対応する気流制御モードとの組を教師データとして指定してもよい。
本実施の形態のオゾン除菌装置2aにおける制御装置3aは、実施の形態1の制御装置3と同様に処理回路により実現される。処理回路は、実施の形態1と同様である。処理回路が図8に例示した制御回路により実現される場合、制御装置3aの機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアの組み合わせにより実現される。実施の形態1と同様に、ソフトウェア、ファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ102に記憶され、メモリ102が記憶するプログラムをプロセッサ101が読みだして実行することにより制御装置3aの機能が実現される。
図13に示した制御装置3aのうち制御部32aは、プロセッサ101がメモリ102に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、データベース31およびモデル記憶部35は、メモリ102の一部である。情報取得部33a、フィードバック情報取得部39および指令部34は、通信回路103により実現される。なお、情報取得部33aの実現には、図示しない入力部も用いられてもよい。
また、図13に示した例では、オゾン除菌装置2aが、モデル生成部36を備えたが、モデル生成部36を備える学習装置が別に設けられてもよい。この場合、オゾン除菌装置2aのモデル記憶部35には、学習装置によって生成された学習済モデルが記憶される。学習装置はコンピュータシステムにより実現される。コンピュータシステムは、図7の制御回路と同様の構成であってもよいし、図8に示した制御回路に表示部および入力部が追加されたコンピュータシステムであってもよい。また、学習装置は、複数のオゾン除菌装置2aから収集されたデータを用いて学習済モデルを生成してもよい。また、学習装置は、クラウドシステムにより実現されてもよい。
また、図14に示した例では、換気設備5として空気調和機9を用いる例を示したが、換気設備は、実施の形態1の図4に示した例と同様に、換気装置8であってもよい。
また、実施の形態1の図10に示した例と同様に換気設備5として統合方式の空気調和機を用いてもよい。図20は、統合方式の空気調和機を用いた本実施の形態のオゾン除菌システム1aの配置例を示す図である。図10および図14に示した例と同様の機能を有する構成要素は同一の符号を付して重複する説明を省略する。図20に示した例では、オゾン除菌装置2aは、換気空調コントローラ94へ風向、風量などを制御する制御信号を送信する。また、図20に示した例では、室内機93-1~93-2は、人感センサ7に加えて温湿度検出器14を備え、換気空調コントローラ94は、人感センサ7および温湿度検出器14を用いて空調制御を行う。オゾン除菌装置2aは、温湿度検出器14による検出結果である空間環境情報を、換気空調コントローラ94を介して取得する。
また、実施の形態1の図11に示した例と同様にオゾン除菌装置2aを可搬式としてもよい。図21は、オゾン除菌装置2aを可搬式とした本実施の形態のオゾン除菌システム1aの配置例を示す模式図である。図11および図14に示した例と同様の機能を有する構成要素は同一の符号を付して重複する説明を省略する。図21に示した例では、オゾン除菌装置2aは、接続装置11を介して、各装置との間で情報の送受信を行う。
また、実施の形態1の図12と同様に、オゾンを用いた除菌の制御を行う制御装置3aを空気調和機内に設けてもよい。図22は、制御装置3aを空気調和機内に設けた本実施の形態のオゾン除菌システム1aの配置例を示す模式図である。図12および図14に示した例と同様の機能を有する構成要素は同一の符号を付して重複する説明を省略する。空気調和機9bは、図21に示した空気調和機9に制御装置3aが追加されたものである。制御装置3aは、図13に示したオゾン除菌装置2aにおける制御装置3aと同様である。ただし、この例では、制御装置3aは、空気調和機9b内で空調制御部91と情報をやりとりすることで空気調和機9bの風向、風量などを制御し、人感センサ7および温湿度検出器14によって取得された情報を空気調和機9bの空調制御部91を介して受け取る。なお、図22に示した例では、図14に示した空気調和機9が制御装置3aを備えたが、実施の形態1で述べた換気装置8、図20に示した換気空調コントローラ94が制御装置3aを備えてもよい。また、図21に示した空気調和機9が制御装置3aを備え、オゾン供給部4を可搬式としてもよい。
なお、実施の形態1でも述べたように、換気設備5とオゾン除菌装置2aとの導入は同時に行われる必要はなく、例えば、換気設備5が既に設けられている場合に、オゾン除菌装置2aを後から追加するなどのように、換気設備5とオゾン除菌装置2aとを独立して導入してもよい。また、換気設備5とオゾン供給4が既に設けられている場合などに、制御装置3aを導入することで、本実施の形態のオゾン除菌システム1aとしてもよい。
以上のように、本実施の形態では、オゾン除菌装置2aは、除菌対象空間6を管理するセキュリティ管理システム17、入退室管理システム18などによって取得された情報を用いて除菌対象空間6の気流を制御することで、状態に応じてオゾンが均一に散布させるように気流が制御される。これにより、除菌対象空間6の開放度、密閉度、除菌対象空間6の在場人数が変化する場合であっても、除菌対象空間6の全体を効率的に除菌し、除菌対象空間6の各場所でのウイルス量を低下させることができる。
実施の形態3.
図23は、実施の形態3にかかるオゾン除菌システムの配置例を示す模式図である。図23に示すように、本実施の形態のオゾン除菌システムは、オゾン除菌装置2aの代わりにオゾン除菌装置2bを備える。実施の形態2と同様の機能を有する構成要素は実施の形態2と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態2と異なる点を主に説明する。
オゾン除菌装置2bは、実施の形態2の制御装置3の代わりに制御装置3bを備える。制御装置3bは、実施の形態2の制御装置3aとしての機能を有するとともに、さらに、除菌対象空間6へのオゾンの供給方法をオゾンガスとするか、オゾンミストとするか、オゾンガスとオゾンミストとの併用とするかを切替える機能を有する。
図23に示すように、オゾン供給部4は、給気ダクト82と、オゾンダクト86との両方にオゾンを供給することが可能である。すなわち、オゾン供給部4は、さらにミスト発生器である加湿器85にオゾンを供給可能である。除菌対象空間6には、除菌対象空間6の湿度を調整するための加湿器85が設けられている。除菌対象空間6に湿度を調整するための加湿器85が設けられていない場合には、ミストを発生させるミスト発生器を設ける。換言すると、加湿器85はミスト発生器の一例である。オゾンダクト86は加湿器85に接続される。加湿器85は、オゾンガスと水分とを混合させ、ミスト状のオゾンであるオゾンミストを散布する。また、図23では、加湿器85を1台図示しているが加湿器85が複数設けられてもよい。また、加湿器85の代わりにミスト発生器を用いる場合も同様である。
制御装置3bは、例えば、給気ダクト82と、オゾンダクト86との両方にオゾンを供給するようにオゾン供給部4を制御すると、オゾンガスとオゾンミストとの両方が除菌対象空間6に供給される。オゾンミストは、オゾンガスに比べて近距離の除菌に有効であり、また付着ウイルスに有効である。オゾンガスは、オゾンミストに比べて遠距離の除菌に有効であり、また浮遊ウイルスに有効である。このため、制御装置3bは、オゾンの散布口から除菌対象までの距離に応じて、オゾンガスの供給とオゾンミストの供給とを切替えてもよい。また、制御装置3bは、除菌対象のウイルスを浮遊ウイルスとするか付着ウイルスとするかに応じて、オゾンガスの供給とオゾンミストの供給とを切替えてもよい。また、加湿器85の代わりにミスト発生器を用いる場合も同様である。このように、除菌対象空間6へオゾンガスおよびオゾンミストを放出、拡散することで、浮遊ウイルスおよび付着ウイルスを高効率に除菌することができる。
また、実施の形態1の図4、図9、図12、実施の形態2の図22に示したオゾン除菌システムに加湿器85またはミスト発生器を追加し、オゾンダクト86を設け、制御装置3,3aに、上述した制御装置3bの除菌対象空間6へのオゾンの供給方法をオゾンガスとするか、オゾンミストとするか、オゾンガスとオゾンミストとの併用とするかを切替える機能を追加してもよい。また、実施の形態1の図10、図11、実施の形態2の図20、21に示したオゾン除菌システム1においてオゾン供給部4からのオゾンの供給口を2つに分け、2つの供給口の一方と加湿器85とを接続させて加湿器85がオゾンミストを放出させるようにしてもよい。
なお、実施の形態1,2で述べたように、換気設備5とオゾン除菌装置2bとの導入は同時に行われる必要はなく、例えば、換気設備5が既に設けられている場合に、オゾン除菌装置2bを後から追加するなどのように、換気設備5とオゾン除菌装置2bとを独立して導入してもよい。また、換気設備5とオゾン供給4が既に設けられている場合などに、制御装置3bを導入することで、本実施の形態のオゾン除菌システム1bとしてもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。