JP2009286640A - 陽極接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス基板とシリコン基板とを接合する陽極接合方法において、接合された基板の反りを抑制する。
【解決手段】本発明は、ガラス基板1とシリコン基板2とを加熱及び電圧印加してこれらを接合する陽極接合方法において、接合基板3の曲げ中立軸Nsの位置が、アルカリイオン欠乏層4の位置と略一致するようにガラス基板1又はシリコン基板2の板厚を調整する工程を含むものである。応力が作用しない曲げ中立軸Nsと、反りの原因となるアルカリイオン欠乏層4とを略一致させることにより、接合基板3の反りを効果的に抑制することができる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、ガラス基板1とシリコン基板2とを加熱及び電圧印加してこれらを接合する陽極接合方法において、接合基板3の曲げ中立軸Nsの位置が、アルカリイオン欠乏層4の位置と略一致するようにガラス基板1又はシリコン基板2の板厚を調整する工程を含むものである。応力が作用しない曲げ中立軸Nsと、反りの原因となるアルカリイオン欠乏層4とを略一致させることにより、接合基板3の反りを効果的に抑制することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体加速度センサ及び半導体圧力センサ等のマイクロ加工センサや、マイクロアクチュエータの等の製造工程に用いられ、ガラス基板とシリコン基板とを接合する陽極接合方法に関する。
従来から、半導体圧力センサやマイクロアクチュエータ等の製造工程においては、ガラス基板と、シリコン等の半導体基板とを接合するために陽極接合が用いられている。陽極接合は、ナトリウムのような可動アルカリイオンを含むアルカリ含有ガラスと、シリコン基板や、アルミニウム等の金属基板とを重ね合わせ、これらを加熱した後に直流電圧を印加することで、ガラス内部のアルカリイオンの移動により発生する静電引力を利用して各基板を接合する接合方法である。この静電引力が発生する際の電子の授受により、各基板の界面は共有結合により強固に接合される。
しかし、熱膨張係数が異なる複数の材料を高温条件で陽極接合させると、接合後の冷却工程において、接合された基板中に熱応力が発生し、基板に反りが生じる。基板に生じた反りは、この基板が用いられた半導体加速度センサ等のデバイス特性を低下させる原因となる。この問題を解決するものとして、例えば、特許文献1に示されるように、ガラス基板と、ガラスより熱膨張係数の大きいシリコン材料とを重ね合わせ、ガラス基板の温度がシリコン材料の温度よりも高くなるように加熱して電圧印加することにより、接合された基板の反りを低減できる陽極接合方法が知られている。
また、陽極接合時の電圧印加により、ガラス基板内のアルカリイオンが移動して基板に構造変化を生じさせることもある。この問題を解決するものとして、例えば、特許文献2に示されるように、アルカリイオンを基板の一方の面に析出させ、この析出部を研磨して除去することにより、基板の反りを抑制した陽極接合方法が知られている。
庄司らの研究グループは、陽極接合により接合された基板の反りの原因が、基板間の熱膨張係数差と、ガラス内のアルカリイオンの移動によって生じるアルカリイオン欠乏層にあることを示している。また、庄司らは、陽極接合における好適な加熱温度及び印加電圧を提案すると共に、加熱温度とガラス基板の板厚との関係を検討し、板厚が厚ければ反りを低減できることを示している(非特許文献1参照)。
特開2001−64041号公報
特開2001−41837号公報
電気学会論文誌,Vol. 115-A, No. 12, 1208-1213 (1995)
しかしながら、特許文献1に示された陽極接合方法では、アルカリイオンの移動に伴う基板の反りを抑制することはできない。また、特許文献2に示された陽極接合方法では、接合面とは反対側の析出部を除去するので、接合界面に形成されるアルカリイオン欠乏層に伴う基板の反りには対応できない。
また、非特許文献1に示されたように、ガラス基板の板厚を厚くすれば、シリコン基板の残留応力を低減できるが、アルカリイオン欠乏層には曲げ応力が生じ得る。更に、非特許文献1は厚さの異なる2種類のガラス基板を用いて試験を行っているのみであり、具体的に好適なガラス基板又の板厚については何ら検討していない。
本発明は、上記課題を解決するものであり、ガラス基板と金属基板とを重ね合せ、これらを陽極接合させたときに、接合された基板の反りを抑制することのできる陽極接合方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、ガラス基板とシリコン基板とを加熱及び電圧印加してこれらを接合する陽極接合方法において、接合された前記ガラス基板及びシリコン基板の曲げ中立軸の位置が、アルカリイオン欠乏層の位置と略一致するように予め前記ガラス基板又はシリコン基板の板厚を調整する工程を含むものである。
請求項2の発明は、ガラス基板と金属基板とを加熱及び電圧印加してこれらを接合する陽極接合方法において、接合された前記ガラス基板及び金属基板の曲げ中立軸の位置が、アルカリイオン欠乏層の位置と略一致するように予め前記ガラス基板又は金属基板の板厚を調整する工程を含むものである。
本発明によれば、応力が作用しない曲げ中立軸の位置と、反りの原因となるアルカリイオン欠乏層の位置とを略一致するように、ガラス基板又はシリコン基板若しくは金属基板の板厚を調整したので、これらを接合させた基板の反りを効果的に抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る陽極接合方法について、図1を参照して説明する。本実施形態の陽極接合方法は、ガラス基板1とシリコン基板2とを重ね合せて加熱及び電圧印加することにより、これらガラス基板1とシリコン基板2とを接合するものであって、接合された基板(以下、接合基板3)の曲げ中立軸Nsの位置が、アルカリイオン欠乏層4の位置と略一致するように予めガラス基板1又はシリコン基板2の板厚を調整する工程を含むものである。
アルカリイオン欠乏層4は、陽極接合時の電圧印加により、ガラス基板1におけるシリコン基板2との接合界面に形成される。一般に、アルカリイオン欠乏層4は化学的安定性に欠き、接合基板3内に生じた熱応力や外部応力等を受けて、接合基板3の反りや剥離の原因となる。陽極接合時にガラス基板1に流される電荷量が多くなる程、アルカリイオン欠乏層4の厚さは厚くなる。また、このアルカリイオン欠乏層4が厚くなるほど、接合基板3の反りも大きくなる。従って、陽極接合時にガラス基板1に流される電荷量は可能な限り少ないことが望ましいが、電荷量が少な過ぎると十分な接合強度が得られない。
ガラス基板1には、可動アルカリイオンを含む汎用のアルカリ含有ガラスが用いられる。なお、本実施形態の陽極接合方法は、上述したシリコン基板2に限らず、例えば、アルミニウム基板等、酸化によりガラス基板1と接合し得る適宜の金属基板を用いることができる。
一般論として、基板に曲げモーメントが作用したとき、基板は屈曲し、その凸側に引張力が、凹側に圧縮力が作用する。そして、それら凸側及び凹側の中間には、引張力も圧縮力も作用しない面が存在する。この伸縮しない面を中立面といい、基板の横断面と中立面との交線を中立軸という。通常、単一の材料から構成され、密度が均一な基板においては、中立軸は、基板の厚さ方向における中央に存在する。
しかし、ヤング率が異なる複数の材料が積層された基板においては、中立軸は基板の厚さ方向における中央からずれることがある。中立軸の位置は、各層の板厚tと、各層を構成する材料のヤング率Eに依存して決定される。例えば、i層から成る基板の中立軸の位置、すなわち基板の底面(以下、基準面という)から中立軸の距離y0は、下記の式(1)により求めることができる。
本実施形態の陽極接合方法では、接合基板3の曲げ中立軸Nsの位置が、アルカリイオン欠乏層4、すなわちガラス基板1とシリコン基板2との接合界面の位置と略一致するように、ガラス基板1又はシリコン基板2の板厚が調整される。ここでは、シリコン基板2として、所定板厚のシリコン基板を用い、ガラス基板1の板厚を予め調整して陽極接合させた実施例に係る接合基板3について説明する。なお、ガラス基板1のヤング率E1は62.8GPa、シリコン基板2として用いたシリコン基板のヤング率E2は170GPaであった。
図1に示したように、シリコン基板2の板厚t2が0.5mmであるとき、中立軸Nsの位置がアルカリイオン欠乏層4の位置と略一致するように、ガラス基板1の板厚t1は0.825mmに設定される。このとき、中立軸Nsの位置、すなわち基準面Bから中立軸Nsの距離y1は、上記の式(1)に基づき、0.8241mmと算出された。この値は、アルカリイオン欠乏層4の位置、すなわち、ガラス基板1の板厚t1と略一致するものである。なお、ここでいう略一致とは、中立軸Nsの位置と、アルカリイオン欠乏層4の位置とが一致するだけでなく、これらの位置の差が、接合基板3の厚みに対して1%以内、好ましくは0.1%以内となる場合を含む。
ここに、同じ板厚のガラス基板1’とシリコン基板2’とを陽極接合させた比較例に係る接合基板3’ついて、図2を参照して説明する。各基板の板厚は0.5mmとする。このとき、中立軸Nsの位置、すなわち基準面Bから中立軸Nsの距離y2は0.612mmと算出された。この比較例において、中立軸Nsとアルカリイオン欠乏層4’との距離の差は0.112mmである。
これに対して、実施例における中立軸Nsとアルカリイオン欠乏層4との距離の差は0.0009mmである。中立軸Nsとアルカリイオン欠乏層4との距離yの差が小さくなる程、基板の反りは小さくなり、シリコン基板2にかかる応力も小さくなる。従って、実施例の接合基板3は、比較例の接合基板3’に比べて、基板の反りを抑制することができる。なお、ガラス基板1により高精度な加工を施して、ガラス基板1の板厚を、基準面Bから中立軸Nsの距離yと一致させれば、基板の反りを更に抑制することができる。
このように、本実施形態の陽極接合方法によれば、応力が作用しない曲げ中立軸Nsの位置と、反りの原因となるアルカリイオン欠乏層4の位置とを略一致するように、ガラス基板1の板厚を調整したことにより、基板の反りを効果的に抑制することができる。
シリコン基板2の板厚、すなわち半導体材料の厚さは、接合基板3が適用されるデバイス特性に直接的に影響する。そのため、本実施形態の陽極接合方法において、通常は、上述した実施例のように、ガラス基板1の板厚が調整される。しかし、適用されるデバイス特性によってはシリコン基板2の板厚が調整されてもよい。
本発明は、陽極接合された基板の曲げ中立軸Nsと、アルカリイオン欠乏層4とが略一致するように基板の板厚を調整する工程を含む陽極接合方法であれば、必ずしも上述した実施形態に限られない。例えば、ヤング率の異なる3種以上の材料を積層させた接合基板の製造にも適用し得る。また、本実施形態においては、接合前に曲げ中立軸Nsと、アルカリイオン欠乏層4とが略一致するようにガラス基板1の板厚を調節する例を示したが、予め十分な厚さのガラス基板1を用いて陽極接合を行った後に、曲げ中立軸Nsと、アルカリイオン欠乏層4とが略一致するように研磨切削等によりガラス基板1の厚さを調整してもよい。
1 ガラス基板
2 シリコン基板(金属基板)
3 接合基板
4 アルカリイオン欠乏層
Ns 曲げ中立軸
2 シリコン基板(金属基板)
3 接合基板
4 アルカリイオン欠乏層
Ns 曲げ中立軸
Claims (2)
- ガラス基板とシリコン基板とを加熱及び電圧印加してこれらを接合する陽極接合方法において、
接合された前記ガラス基板及びシリコン基板の曲げ中立軸の位置が、アルカリイオン欠乏層の位置と略一致するように予め前記ガラス基板又はシリコン基板の板厚を調整する工程を含むことを特徴とする陽極接合方法。 - ガラス基板と金属基板とを加熱及び電圧印加してこれらを接合する陽極接合方法において、
接合された前記ガラス基板及び金属基板の曲げ中立軸の位置が、アルカリイオン欠乏層の位置と略一致するように予め前記ガラス基板又は金属基板の板厚を調整する工程を含むことを特徴とする陽極接合方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008138029A JP2009286640A (ja) | 2008-05-27 | 2008-05-27 | 陽極接合方法 |
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JP2009286640A true JP2009286640A (ja) | 2009-12-10 |
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JP (1) | JP2009286640A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018133586A (ja) * | 2018-04-26 | 2018-08-23 | 大日本印刷株式会社 | 多層配線構造体 |
-
2008
- 2008-05-27 JP JP2008138029A patent/JP2009286640A/ja active Pending
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