JP2009284869A - ホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】乳化安定性、起泡性、造花性、口溶け、耐熱保形性、酸化安定性に優れており、かつトランス脂肪酸を含有しないホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物及び前記水中油型乳化油脂組成物を含むホイップクリームを提供すること。
【解決手段】油相部と水相部からなる水中油型乳化油脂組成物であって、組成物全質量に対して油脂を30〜50質量%含み、前記油脂が、(A)高融点エステル交換油脂と(B)中融点エステル交換油脂を含み、(A)高融点エステル交換油脂と(B)中融点エステル交換油脂の質量比が、1.0:0.2〜1.0:3.0である、ホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物及びこれを用いたホイップクリームにより、上記課題が解決される。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳化安定性に優れ、起泡性、造花性、口溶けがよいホイップクリームを提供し、更に酸化安定性、耐熱保形性にも優れており、かつトランス脂肪酸を含有しない、ホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物に関する。
従来、ホイップクリーム類は乳化特性、耐熱保形性といった物性面のメリットが得られるため、硬化油(部分水素添加油)を使用することが一般的である(例えば、特許文献1参照)。水素添加工程にて製造される硬化油(部分水素添加油)は、上記物性、さらには酸化安定性のコントロールまでも容易に行うことができる。しかし、硬化油(部分水素添加油)に含まれるトランス酸は、近年健康への影響が指摘される報告がなされており、その使用を制限する国もある。日本でも低トランス酸食物は近年注目を浴びていることから、硬化油(部分水素添加油)を使用しない技術の要請がある。
硬化油(部分水素添加油)を使用しない技術として、分別油、未加工の油脂、極度硬化油の使用が挙げられるが、分別油の使用は乳化特性を不安定化させ、未加工の油脂は耐熱保形性、酸化安定性を著しく低下させる極度硬化油の使用は口溶けを低下させる。近年、この欠点を補うべく種々の乳化剤による改善策が提案されている。その多くは乳化安定性の高いエマルションを形成させることで耐熱保形性、酸化安定性における効果を期待するものである。この他にも乳化安定剤としてアルカリ金属塩類の使用、ガム類またはゲル化剤も提案されているが、かかる塩類の使用は風味的に望ましくなく、またガム類やゲル化剤の使用は口溶けを低下させるという欠点が知られている。
特開昭61-100167号公報
本発明は、乳化安定性に優れ、造花性、起泡性、口溶けに優れたホイップクリームを提供し、更に耐熱保形性、酸化安定性に優れており、かつトランス脂肪酸を含有しないホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物及び前記水中油型乳化油脂組成物を含むホイップクリームに関する。
本発明者らは、上記の点に鑑み鋭意研究した結果、水中油型乳化油脂組成物を製造する工程中において、異なる2種類のエステル交換油を組み合わせる事で、上記目的を達成することができるという知見を得、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、油相部と水相部からなる水中油型乳化油脂組成物であって、組成物全質量に対して油脂を30〜50質量%含み、前記油脂が、(A)高融点エステル交換油脂と(B)中融点エステル交換油脂を含み、(A)高融点エステル交換油脂と(B)中融点エステル交換油脂の質量比が、1.0:0.2〜1.0:3.0である、ホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物、を提供する。
本発明はまた、本発明の水中油型乳化油脂組成物の、ホイップクリーム製造における使用、を提供する。
本発明は更に、本発明の水中油型乳化油脂組成物を用いて製造されたホイップクリーム、を提供する
本発明により、乳化安定性に優れており、造花性、起泡性、口溶けに優れたホイップクリームを提供するホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物が提供される。
また、更に、酸化安定性、耐熱保形性に優れており、トランス脂肪酸を含有しない、ホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物及びホイップクリームを得ることができる。
<水中油型乳化油脂組成物>
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、ホイップクリーム用組成物である。本発明の水中油型乳化油脂組成物は、油相部と水相部からなり、組成物の全質量に対して油脂30〜50質量%、好ましくは35〜45質量%を含む。
本発明の水中油型乳化油脂組成物において、油脂は、(A)高融点エステル交換油脂と(B)中融点エステル交換油脂を含む。(A)高融点エステル交換油脂と(B)中融点エステル交換油脂の質量比は、1.0:0.2〜1.0:3.0である。(A)高融点エステル交換油脂と(B)中融点エステル交換油脂の質量比が前記範囲である水中油型乳化油脂組成物を用いると、乳化安定性、造花性、起泡性、口溶け、酸化安定性、耐熱保形性に優れたバランスのとれたホイップクリームを得ることができる。
なお、本明細書において、「極度硬化」とは、水素添加によって不飽和脂肪酸を完全に飽和することである。水素添加の方法は当業者に公知の方法により適宜行うことができる。例えば「食用油製造の実際」(宮川高明著、幸書房、昭和63年7月5日 初版第1刷発行)に記載の方法に従い、行うことができる。
(A)高融点エステル交換油脂
本発明において、(A)高融点エステル交換油脂とは、融点40℃以上の油脂、更に好ましくは融点45℃以上のエステル交換油脂を意味する。
本発明において、(A)高融点エステル交換油脂は、水中油型乳化油脂組成物の油脂の全質量に対して、20〜70質量%含まれることが好ましい。更に好ましくは25〜65質量%、より好ましくは28〜68質量%である。(A)高融点エステル交換油脂の量が多くなりすぎると、口溶けが悪くなり、少なすぎると乳化安定性が低下する。
本発明において、(A)高融点エステル交換油脂は、(a)構成脂肪酸として炭素数20以上の脂肪酸を5質量%以上含有する油脂を極度硬化して得られた極度硬化油(以下、「C20<極度硬化油」ともいう)と、(b)実質的にトランス脂肪酸を含まない他の油脂とのエステル交換により得られた油脂であることが好ましい。
(a)のC20<極度硬化油中に5質量%以上含まれる構成脂肪酸の炭素数は、更に好ましくは炭素数22以上である。また、C20<極度硬化油中の炭素数20以上の脂肪酸は、10質量%以上含まれることがより好ましい。
20<極度硬化油の具体例としては、ハイエルシンナタネ油、魚油の極度硬化油が挙げられる。
「実質的にトランス脂肪酸を含まない」油脂とは、トランス脂肪酸の量が、5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である油脂を意味する。
高融点エステル交換油脂を調製するために用いることができる「実質的にトランス脂肪酸を含まない他の油脂」の例としては、例えばナタネ油、コーン油、大豆油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、綿実油、米油、オリーブ油、ヒマワリ油、サフラワー油等の植物油脂、乳脂、豚脂、牛脂等の動物脂肪、またそれらを完全水素添加、エステル交換、分別等で得られる油脂、等の油脂が挙げられる。
(B)中融点エステル交換油脂
本発明において、(B)中融点エステル交換油脂とは、融点15〜40℃の油脂を意味する。より好ましくは融点20〜35℃の油脂、更に好ましくは融点25〜30℃のエステル交換油脂を意味する。
本発明において、(B)中融点エステル交換油脂は、水中油型乳化油脂組成物の油脂の全質量に対して、15〜75質量%含まれることが好ましい。更に好ましくは20〜55質量%、より好ましくは20〜50質量%、最も好ましくは25〜47質量%である。(B)中融点エステル交換油脂の量が多くなりすぎると、乳化安定性、特にヒートショック耐性が低下し、少なすぎても乳化安定性が低下する。
本発明において、(B)中融点エステル交換油脂は、(c)構成脂肪酸として炭素数12以下の脂肪酸を50質量%以上含有する油脂のエステル交換油脂、あるいは前記(c)構成脂肪酸として炭素数12以下の脂肪酸を50質量%以上含有する油脂と(d)実質的にトランス脂肪酸を含まない他の油脂とのエステル交換により得られた油脂である。好ましくは、構成脂肪酸として炭素数12以下の脂肪酸を50質量%以上含有する油脂のエステル交換油脂である。
(B)中融点エステル交換油脂には、ラウリン系の油脂が含まれることがより好ましい。本発明において好ましいラウリン系の油脂の具体例としては、ヤシ油、パーム核油、またそれらを水素添加、エステル交換、分別等を行った油脂が挙げられる。
(c)構成脂肪酸として炭素数12以下の脂肪酸を50質量%以上含有する油脂のエステル交換油脂の好ましい具体例としては、ヤシ油エステル交換油脂、硬化ヤシ油エステル交換油脂、パーム核油エステル交換油脂、パーム核分別油(低融点部)エステル交換油脂、パーム核分別油(高融点部)エステル交換油脂、が挙げられる。好ましくは、ヤシ油エステル交換油脂である。
(d)実質的にトランス脂肪酸を含まない他の油脂の好ましい例としては、例えばナタネ油、コーン油、大豆油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、綿実油、米油、オリーブ油、ヒマワリ油、サフラワー油、ハイオレイックナタネ油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー等の植物油脂、乳脂、豚脂、牛脂等の動物脂肪、またそれらを完全水素添加、エステル交換、分別等で得られる油脂、等の油脂が挙げられる。
(c)構成脂肪酸として炭素数12以下の脂肪酸を50質量%以上含有する油脂と(d)実質的にトランス脂肪酸を含まない他の油脂とのエステル交換により得られた油脂において、(c)と(d)の質量比は3/7〜7/3が好ましく、4/6〜6/4であることが更に好ましい。ただし、この質量比は、得られた(B)中融点エステル交換油脂の融点が15〜40℃(好ましくは20〜35℃、更に好ましくは25〜30℃)の範囲に入るように適宜決定すべきである。
本発明は特に、(A)高融点エステル交換油脂と、(B)中融点エステル交換油脂とを油脂中に含むことに一つの特徴がある。
(A)高融点エステル交換油脂と(B)中融点エステル交換油脂の質量比は、1.0:2.5〜1.0:0.2であることが好ましく、更に1.0:2.0〜1.0:0.3であることが好ましく、1.0:1.5〜1.0:0.7であることが更に好ましい。
(C)極度硬化油脂
本発明において、極度硬化油脂とは、油脂(例えばヤシ油脂、パーム核油等)を水素添加によって不飽和脂肪酸を完全に飽和した油脂である。
極度硬化油脂は、水中油型乳化油脂組成物の油脂の全質量に対して、15〜35質量%程度含まれることが好ましく、より好ましくは20〜30質量%含まれる。
本発明では特に、30〜45℃程度の融点の極度硬化油脂が好ましく、30〜35℃程度のものが更に好ましい。
このような極度硬化油脂を添加すると、口溶けが良好であるが、多すぎると乳化安定性が低下する。特に極度硬化ヤシ油を含む、口溶けが改善されるため好ましい。
極度硬化油脂として、極度硬化ヤシ油、極度硬化パーム核油が挙げられ、更に好ましくは極度硬化ヤシ油が挙げられる。また、上記極度硬化油脂は適宜混合して用いてもよい。
(D)液体油
本明細書において、液体油とは、通常常温で液体の油をいう。より好ましくは融点が15℃未満の油を意味する。
液体油は、ヒートショック耐性及び口溶けを良好にするために、任意に添加することができる。水中油型乳化油脂組成物の油脂の全質量に対して、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、更に好ましくは10質量%以上20質量%以下含まれる。
本発明において使用する液体油として好ましくは、炭素数18以上の不飽和脂肪酸を70%以上含む油脂が挙げられる。構成脂肪酸の70%以上が炭素数が18の不飽和脂肪酸である液体油脂であり、例えば、ナタネ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、サフラワー油、綿実油、落花生油、ひまわり油又はこれらの混合油が挙げられる。好ましくは、ハイオレイックナタネ油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油等が挙げられ、好ましくはハイオレイックナタネ油が挙げられる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物に用いる油脂組成物は、油脂が、ヤシ油、ナタネ油またはヤシ油及びナタネ油の混合油脂、を原料として構成されることが好ましい。
本発明の水中油型乳化油脂組成物には、更に無脂乳固形分を含むことが好ましい。無脂乳固形分の量は、組成物の全質量に対して、1〜10質量%であることが好ましく、更に2〜7質量%であることが好ましく、3〜6質量%であることが最も好ましい。このような範囲で添加することにより、乳化安定性が改善され、また風味が改善される場合があるからである。無脂乳固形分の含有量が約1質量%未満であると、乳化組成物を泡立てて得られるホイップクリームの風味が悪くなる。また、無脂乳固形分の含有量が約10質量%を越えると乳化組成物の粘度が高くなり、エージング中に粘度上昇が起こる恐れがある。
本発明の水中油型乳化油脂組成物の水相部には、増粘多糖類として、カラギナン、ローカストビーンガム、グアーガム、及びタマリンド等、セルロース、(乳蛋白)カゼイン、乳性蛋白等、砂糖、糖類等を添加してもよい。
また、さらに、κ-カラギナンやメタリン酸Naを添加してもよい。κ-カラギナンは安定剤、増粘効果によるホイップ後の保形性改良、離水防止等の効果があるため好ましい。また、メタリン酸Naは乳化安定作用があり好ましい。
<ホイップクリーム>
本発明において、ホイップクリームは、本発明の水中油型乳化油脂組成物を、当業技術分野において通常の方法により起泡されたものである。
以下、本発明の水中油型乳化油脂組成物を使用したホイップクリームの製造例を示すが、本発明はかかる例に限定されるものではない。
まず、本発明の油脂組成物を融解混合等により調整する。油脂組成物に、レシチン、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤等の任意の添加剤を加え、混合して油相を調整する。
一方、水相部として、水に、メタリン酸Na、増粘多糖類、乳蛋白等の任意の添加剤を加えた後、これらを分散させて水相を調整する。
50〜85℃にて油相と水相を混合させ、予備乳化を行う。次いで20〜150kg/cm2の圧力下で均質化を行い、次いで75〜85℃にて加熱殺菌する。その後5〜10℃にまで冷却し、6〜24時間程度エージングを行なう。
このクリーム状油脂組成物をホバートミキサーにてホイップして起泡済みホイップクリームを得る。
油脂製造例1
極度硬化したハイエルシンナタネ50部、ヤシ50部の混合油を油脂に対して0.12%のナトリウムメチラートを触媒とし、115℃で30分間、非選択的エステル交換反応を行い、脱色、脱臭を行い高融点エステル交換油脂Aを得た。油脂Aの融点は48℃、トランス酸含有量は0.1%であった。
油脂製造例2
ヤシ100部を用いる以外は、製造例1と同様の反応を行い中融点エステル交換油脂Bを得た。油脂Bの融点は27℃、トランス酸含有量は0.2%であった
実施例及び比較例
油脂Aを16.648質量部、油脂Bを16.648質量部、油脂Cを11.099質量部を加え、融解混合した。これにレシチン0.235質量部、シュガーエステル0.170質量部、ソルビタンエステル0.065質量部、不飽和モノグリ0.05質量部、飽和モノグリ0.085質量部を加え油相を調製した。
一方、水50.900質量部と脱脂粉乳4.0質量部、メタリン酸Na0.1部を加えた後、分散させて水相を調製した。
油相と水相を混合させ、65℃で予備乳化を行い、80kg/cm2、20kg/cm2の圧力下で均質化した。次いで、75℃にて加熱殺菌を行い、冷却してクリーム状水中油型乳化油脂組成物を得た。このクリーム状油脂組成物の直後粘度は55cpであった(サンプルNo.3)。
その後、組成物を冷却し、5℃で1晩のエージングをした。
このクリーム状水中油型乳化油脂組成物500gに砂糖50gを添加し、ホバートミキサーにてホイップしたところ7分36秒でオーバーラン206%、硬度160の起泡物を得た(サンプルNo.3)。
以下、同様に、上記配合のうち、油相部の配合を表1に記載の配合に変えて水中油型乳化油脂組成物及びホイップクリームを作成した(サンプルNo.1〜13)。
Figure 2009284869
水中油型乳化油脂組成物及びホイップクリームは以下のように評価した。評価結果は表3及び表4に示した。
(1)直後粘度試験
油相と水相を混合させ、65℃で予備乳化を行い、80kg/cm2、20kg/cm2の圧力下で均質化し、次いで、75℃にて加熱殺菌を行い、冷却して水中油型乳化油脂組成物(クリーム)を製造し、直後の粘度と温度を測定した。
(2)エージング試験
水中油型乳化油脂組成物を、5℃で一晩放置してエージングを行い、粘度、分離、ボテについて評価した。なお、「ボテ」とは、クリームが増粘し、固まってしまう現象をいい、乳化が不安定であるとかかる現象が見られる。これらの評価は、乳化安定性の指標となる。
(3)ホイップ試験
水中油型乳化油脂組成物(クリーム)を、5.0℃に冷却し、8分立てとなるまでホバートミキサーにてホイップした。8分立てホイップクリームを更に10分立て(140〜170cp)まで手立てした。
ホイップにかかる時間(10分立てまでの時間)、オーバーラン、硬度等を評価した。これらの評価は、起泡性の指標となる。
(4)造花性評価
ホイップクリーム(10分立て)を三角袋に詰めて絞った時の、腰、伸び、艶、荒れを評価した。
(5)保形安定性試験
目標硬度となったホイップクリームを500mlビーカーに180g入れ、5℃の恒温槽に一昼夜保存し、オーバーラン、硬度の測定をした。上記ホイップクリームを更にヘラで20回転攪拌して、均一にした後のオーバーランと硬度を測定した。均一になった後のオーバーランと硬度を、保存前のオーバーランと硬度の値と比較する。これらの評価は保形安定性の指標となる。
(6)ヒートショック試験
牛乳瓶にホイップ前の水中油型乳化油脂組成物を約200g入れ、25℃の恒温槽に1時間入れ、その後、5℃の恒温槽に6時間保存した。保存後、分離、ボテ、粘度を評価した。これらの評価は、乳化安定性の指標となる。
(7)口溶け評価
ホイップクリーム(10分立て)を実際に食して口溶けを評価した。
各評価の詳細な条件及び評価方法は以下のとおりである。
Figure 2009284869

(表2の続き)
Figure 2009284869
1)硬度測定について
ミクロペネメーター:RIGOSHA製のPENETRO METER使用、円スイ(1g)を使用し、平らにしたクリームへの円スイの針入度を測定(単位は1/10mm)。数値が小さい程硬いことを示す。
2)粘度測定について
B型粘度計(BROOK FIELD社製粘度計のLVT)(スピンドル3番)にて測定(5分経過時の値)
リオン粘度計(リオン株式会社製のVISCOTESTER VT-04)(ローター2番)にて測定(5分経過時の値)
Figure 2009284869
Figure 2009284869
本発明のホイップクリームはいずれも良好な外観を示した(実施例1〜8)。
表1及び2からわかるように、本発明の水中油型乳化油脂組成物は、優れた乳化安定性を示し、更にそれらの油脂組成物から得られたホイップクリームは、乳化安定性、起泡性、造花性、口溶けの評価においていずれも優れたバランスのとれたものであった。
一方、中融点エステル交換油脂である油脂Bを使用しないサンプルNo.6(比較例1)のホイップクリームは、口溶け感において劣るものであった。
油脂A及び油脂Bの質量比が、本発明の範囲外である油脂組成物を使用したサンプルNo.2(比較例2)の水中油型乳化油脂組成物は、ヒートショック耐性が不十分であった。
油脂Aを使用しないサンプルNo.3(比較例3)の水中油型乳化油脂組成物は、ヒートショック耐性が殆どなく、また、一晩エージングするとボテが見られ、乳化安定性が低いことを示した。また、得られたホイップクリームの造花性評価も低かった。
油脂Bの代わりに極度硬化ヤシ油(油脂D)を用いたサンプルNo.12(比較例4)の油脂組成物はヒートショック耐性が不十分であった。
極度硬化ヤシ油(油脂C)とナタネ硬化油(油脂F)を用いた従来型の水中油型乳化油脂組成物を用いたサンプルNo.13(比較例5)はヒートショック耐性が不十分であった。

Claims (11)

  1. 油相部と水相部からなる水中油型乳化油脂組成物であって、組成物全質量に対して油脂を30〜50質量%含み、前記油脂が、(A)高融点エステル交換油脂と(B)中融点エステル交換油脂を含み、(A)高融点エステル交換油脂と(B)中融点エステル交換油脂の質量比が、1.0:0.2〜1.0:3.0である、ホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物。
  2. 油脂が更に(C)極度硬化油脂を含む、請求項1記載の水中油型油脂組成物。
  3. 油脂の全質量に対して、(A)高融点エステル交換油脂の質量が15〜70質量%である、請求項1または2に記載の水中油型油脂組成物。
  4. 油脂の全質量に対して、(B)中融点エステル交換油脂の質量が15〜75質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中油型油脂組成物。
  5. 油脂の全質量に対して、(C)極度硬化油脂の質量が15〜35質量%である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の水中油型油脂組成物。
  6. 油脂が、更に(D)液体油を、油脂の全質量に対して35質量%以下含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水中油型油脂組成物。
  7. (A)高融点エステル交換油脂が、(a)構成脂肪酸として炭素数20以上の脂肪酸を5質量%以上含有する油脂を極度硬化して得られた極度硬化油と、(b)実質的にトランス脂肪酸を含まない他の油脂とのエステル交換により得られた油脂であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水中油型油脂組成物。
  8. (B)中融点エステル交換油脂が、(c)構成脂肪酸として炭素数12以下の脂肪酸を50質量%以上含有する油脂のエステル交換油脂、又は(c)構成脂肪酸として炭素数12以下の脂肪酸を50質量%以上含有する油脂と、(d)実質的にトランス脂肪酸を含まない他の油脂とのエステル交換により得られた油脂であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  9. (D)液体油が、炭素数18の不飽和脂肪酸を70%以上含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の水中油型乳化油脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の水中油型乳化油脂組成物の、ホイップクリーム製造における使用。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の水中油型乳化油脂組成物を用いて製造されたホイップクリーム。
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