JP2009283316A - 包被体付非水電解液二次電池用電極 - Google Patents

包被体付非水電解液二次電池用電極 Download PDF

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Abstract

【課題】非水電解液の流通を妨げることなく、活物質層からの活物質の脱落を防止することができ、また電池の短絡を防止することができる非水電解液二次電池用の電極を提供すること。
【解決手段】集電体11の少なくとも一面に形成された、活物質の粒子12aを含む活物質層12を有する電極本体10と、該電極本体10の各面を覆うように該電極本体10を包被する包被体20とを有する。包被体20における活物質層12との対向部位が、非水電解液の流通が可能で、かつ活物質の粒子12aの通過を妨げる程度の目開きを有する材料から構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池などの非水電解液二次電池の電極に関する。また本発明は、該電極を用いた非水電解液二次電池に関する。
リチウム二次電池には、角型、円筒型、コイン型等の種々のタイプのものがある。例えば角型の電池の場合、これを製造するときには、セパレータを挟んで正極と負極を配置し、これらをロール状に捲回して捲回体を構成し、該捲回体を扁平にプレスした後に電池缶内に収容する。このプレス工程においては、プレスされた捲回体のうち曲率が最も大きい部位に最も大きな歪みが加わり、その歪みに起因して、正極や負極の活物質層から活物質が脱落することがある。また、その脱落に起因してセパレータが損傷を受け、電池が短絡することもある。
捲回体のプレスに起因する脱落とは異なるが、活物質層からの活物質の脱落を防止するための技術が特許文献1及び特許文献2において提案されている。この技術は、電池の製造工程で電極が搬送されるときに、活物質層がガイドローラ等と接触することに起因する活物質の脱落を防止することを目的とするものである。活物質の脱落を防止するために、特許文献1では、アルミナ等からなる微粒子とポリフッ化ビニリデン等からなる結着剤を含む多孔性保護層を、活物質層の表面に形成している。特許文献2では、活物質が電極の表面から脱落しないようにするために、活物質が塗布された面を覆うように不織布を設け、その不織布をローラープレスにより密着一体化している。
電極の搬送中に活物質層に加わる力に比べ、捲回体のプレスによって活物質層に加わる力は、圧倒的に大きいものである。特許文献1の記載からは、多孔性保護層における結着剤の部分の厚みは不明であるが、同文献の実施例の記載から見て、結着剤の部分の厚みは極めて薄いと推測されるので、同文献に記載の多孔性保護層では捲回体のプレスに起因する活物質の脱落を防止することはできない。更に、アルミナ粒子の脱落も起こり得る。
特許文献2に記載の電極は、その表面に不織布をローラープレスにより密着しただけであるため、電極の表面から不織布が剥がれ易く、活物質の脱落を防止することはできない。また、同文献に記載の不織布の剥がれを防止するために、熱をかけてローラープレスした場合、不織布がフィルム化してしまい、電解液の自由な通過を妨げることがある。また、ローラープレスにより、不織布の弾性が失われてしまいリチウム吸蔵時の電極の膨張を吸収できず、電極の断裂等を引き起こす可能性がある。また、同文献に記載の不織布の剥がれを防止するために、接着剤を用いた場合には、通過するイオンと副反応を起こしてしまう可能性がある。
特開平7−220759号公報 特開平2−33861号公報
したがって本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る非水電解液二次電池用電極を提供することにある。
本発明は、集電体の少なくとも一面に形成された、活物質の粒子を含む活物質層を有する電極本体と、該電極本体の各面を覆うように該電極本体を包被する包被体とを有し、
前記包被体における前記活物質層との対向部位が、非水電解液の流通が可能で、かつ前記活物質の粒子の通過を妨げる程度の目開きを有する材料から構成されていることを特徴とする包被体付非水電解液二次電池用電極を提供するものである。
また本発明は、前記の包被体付非水電解液二次電池用電極を正極及び/又は負極として用いたことを特徴とする非水電解液二次電池を提供するものである。
本発明によれば、非水電解液の流通を妨げることなく、活物質層からの活物質の脱落を防止することができる。また、電池の短絡を防止することができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の包被体付非水電解液二次電池用電極(以下、単に「電極」とも言う。)の一実施形態の構造を模式的に示す断面図である。
図1に示す電極100は、電極本体10と、該電極本体10の各面を覆うように該電極本体10を包被する包被体20とを有している。電極本体10は、所定幅を有する長尺帯状の形態のものである。電極本体10は、集電体11と、その各面にそれぞれ形成された活物質層12とを有している。活物質層12は、活物質の粒子を含んでいる。包被体20は、電極本体10の各面を、その全域にわたって実質的に連続して被覆している。したがって、活物質層12の最表面は外部に露出していない。つまり、電極100の最外面をなすのは包被体20である。しかし、電池の構造によっては、電極本体10に集電用のタブが取り付けられている位置が、被覆状態になっていないことがある。
包被体20は筒状体から構成されている。筒状体の長さは、長尺帯状の電極本体10の長さと概ね同じである。電池の構造によっては筒状体の端部から電極本体10が延出していることもあり、逆に電極本体10の端部から筒状体が延出していることもある。筒状体は、電極本体10を内包する前は、その両端のうちの少なくとも一方が開口状態になっており、その開口を通じて電極本体10が筒状体内に挿入される。電極本体10を内包した後は、開口は閉じられてもよく、あるいは開口状態のままであってもよい。電極100の取り扱い性を考慮すると、筒状体の端部の開口は閉じられている方がよい。尤も、開口を部分的に閉じることも可能である。
包被体20は、同一の又は異なる材料からなる2枚の同形の長尺帯状のシート21a,21bを重ね合わせ、それらの両側部どうしを接合して接合部22を形成することで筒状体となされている。電極本体10は、筒状体の端部から該筒状体内に挿入されるか、又は筒状体を構成する2枚のシートのうちの一方のシート上に載置され、その上に他方のシートが載置されて、次いで両シートの両側部どうしが接合されることによって、該筒状体内に内包される。2枚のシート21a,21bの接合手段に特に制限はなく、例えば熱融着、接着剤を用いた接着、圧着、縫着などを用いることができる。包被体20を構成する各シート21a,21bは、電極本体10の活物質層12と対向している。包被体20における接合部22は、電極本体10の両側部の外方に位置している。
包被体20における活物質層12との対向部位である各シート21a,21bは、非水電解液の流通が可能で、かつ活物質層に含まれる活物質の粒子の通過を妨げる程度の目開きを有する材料から構成されている。このような目開きを有するシート材料としては、例えば不織布、織布、編み物地、穿孔フィルム又はそれらの複合材料などが挙げられる。これらの材料の詳細については後述する。
包被体20における活物質層12との対向部位である各シート21a,21bは、該活物質層12と非接合状態になっている。しかし、このことは、活物質層12と各シート21a,21bとが必ずしも離間していることを意味するものではない。電極100が電池に組み込まれた状態においては、活物質層12と各シート21a,21bとは、非接合状態下に密着していることが、円滑な非水電解液の流通を確保する点から好ましい。先に述べた特許文献2に記載されているように、ローラープレス等の手段によって活物質層12と各シート21a,21bとを接合状態にすると、プレス時に加わる熱等の作用によって、活物質層12にダメージが加わることがある。
電極100が以上の構成を有することによって、該電極100をセパレータとともに用いて捲回体を構成し、該捲回体を扁平にプレスしても、活物質層12から活物質が脱落することが効果的に防止できる。また、包被体20の持つ目開きの作用によって、膨張の著しい活物質を用いた場合であっても、その膨張を吸収し、膨張に起因する応力緩和して、電極100の崩壊を防止できる。更に包被体20は、その目開きの部位において毛細管現象によって非水電解液の保液性を有しているので、充放電のサイクルを重ねても電極100の全体が均質に反応し、サイクル寿命が向上する。これらの有利な効果は、電極100の構造を電池の正極及び負極のいずれか一方に適用した場合であっても奏される。正極及び負極の双方に適用すると、以上の有利な効果が一層顕著なものとなる。
包被体20を構成するシート21a,21bは、上述のとおり、例えば不織布、織布、編み物地、穿孔フィルム又はそれらの複合材料などから構成される。これらの材料のうち、不織布、織布、編み物地などの繊維シートを用いることが、目開きの制御のしやすさの点で好ましく、特に不織布を用いることが、活物質層12に含まれる活物質の粒子の通過を妨げつつ、非水電解液の円滑な流通を確保し得る点から好ましい。
シート21a,21bとして不織布を用いる場合、その例としてはメルトブローン不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布、レジンボンド不織布など、従来公知の方法で製造されたものが挙げられる。特に、バインダレスの不織布を用いることが、バインダの使用に起因する不都合を防止できる点から好ましい。電池内での繊維の脱落や毛羽立ち等を防止する観点からは、長繊維不織布を用いることが好ましい。これらの観点を総合すると、バインダレスの長繊維不織布の一種であるメルトブローン不織布を用いることが特に好ましい。不織布の目付は3〜40g/m2、特に5〜20g/m2であることが、非水電解液の円滑な流通を確保しつつ、活物質の脱落を効果的に防止し得る程度の目開きを実現できる点から好ましい。
シート21a,21bとして不織布を用いる場合、その構成繊維が自己融着性を有する繊維を含んでいることが好ましい。「自己融着性」とは、軟化点以上融点未満の温度範囲において加熱前の繊維形態の維持が可能であり、かつこの温度範囲において繊維の表面が軟化することにより、接触する部位において繊維どうしが結着剤を用いずとも結合する性質を言う。かかる繊維を含む不織布を用いることで、シート21aとシート21bの両側部を熱融着によって接合して筒状体を製造する場合、意図せず両側部以外の部位に熱が加わっても、自己融着性を有する繊維は、これに熱を加えて軟化させても繊維の形態保持性が高いので、不織布のフィルム化が起こりづらいという利点がある。不織布のフィルム化は、非水電解液の円滑な流通を妨げる。
自己融着性を有する繊維は、例えば、自己融着性を有する単一の熱可塑性樹脂から構成されている。繊維の自己融着性を損なわない範囲において、自己融着性を有する熱可塑性樹脂に他の熱可塑性樹脂を混合させた混合物から自己融着性を有する繊維を構成してもよい。また、自己融着性を有する繊維として、融点の異なる2種以上の熱可塑性樹脂(この樹脂は自己融着性を有していなくてもよい。)からなる複合繊維、例えば、芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維を用いることもできる。特に好ましく用いられる自己融着性を有する繊維は、自己融着性を有する単一の熱可塑性樹脂からなる繊維である。
上述した自己融着性を有する熱可塑性樹脂から繊維を形成する場合、該樹脂は、その融点が、200〜380℃、特に240〜380℃であることが好ましい。融点がこの範囲にあることで、包被体20の製造中に、シート21a,21bを構成する不織布に意図せず熱が加わっても、不織布のフィルム化を一層防止することができる。
上述した自己融着性を有する熱可塑性樹脂の代表例としては熱可塑性の液晶ポリマーが挙げられる。液晶ポリマーは、溶融状態で液晶様性質を示す高分子化合物である。本発明においては、従来公知の液晶ポリマーを特に制限なく用いることができる。例えば、サーモトロピック液晶ポリエステルやサーモトロピック液晶ポリエステルアミド等のポリエステル系液晶ポリマー、及びポリアクリレート系液晶ポリマーが挙げられる。液晶ポリマーから繊維を構成し、その繊維から不織布を構成することで、活物質の膨張を吸収して電池の構造を安定させることができ、また繊維の持つ保液性により非水電解液を正極及び負極の反応系内に保持できるという有効な効果が奏される。また、該液晶ポリマーは、化学的に非常に安定で、非水電解液とほとんど反応せず、電池の反応に影響を及ぼさない。よって副反応、主には非水電解液の分解反応はほとんど起こらない。仮に起こったとしても微量で、電池に悪影響を及ぼさない。
本実施形態における包被体20は、2枚のシート21a,21bが接合部22において接合されたものであるが、これに代えてシームレスの筒状体を包被体20として用いてもよい。あるいは3枚以上のシートを接合してなる筒状体を包被体20として用いてもよい。
上述の実施形態は、電極本体10における集電体11の各面に活物質層12が形成されている場合のものであったが、集電体11の一方の面にのみ活物質層12が形成されている場合には、図1に示す構造の包被体20において2枚のシート21a,21bのうち、活物質層12との対向部位に位置するシートを、非水電解液の流通が可能で、かつ活物質の粒子の通過を妨げる程度の目開きを有するシートから構成すればよい。他方のシートの材質に特に制限はない。
本実施形態の電極100が適用される正極及び負極に特に制限はなく、従来公知のものに適宜適用することができる。例えば正極に関しては、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子を、アセチレンブラック等の導電剤及びポリフッ化ビニリデン等の結着剤とともに適当な溶媒に懸濁し、正極合剤を作製し、これをアルミニウム箔等からなる集電体の少なくとも一面に塗布、乾燥した後、ロール圧延、プレスすることにより得られたものを用いることができる。負極に関しては、負極活物質の粒子及び結着剤等を含む負極合剤を、銅箔等からなる集電体の少なくとも一面に塗布、乾燥した後、ロール圧延、プレスすることにより得られたものを用いることができる。あるいは、前記の負極合剤を集電体に塗布した後、塗布によって形成された塗膜を焼成することによって負極を得ることもできる。負極活物質の種類に特に制限はないが、充電による体積膨張の程度が大きい物質である、Si又はSnを含み、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料を用いた場合に本発明を適用すると、本発明の有利な効果が一層顕著なものとなるので好ましい。
図2には、本発明の電極の適用対象として特に好ましい実施形態である負極本体30の断面構造が模式的に示されている。なお図2においては、便宜的に集電体11の片面にのみ活物質層12が形成されている状態が示されているが、活物質層は集電体の両面に形成されていてもよい。負極本体30は、集電体11の一面に設けられた活物質層12を有している。活物質層は活物質の粒子12aを含んでいる。活物質層12は、粒子12aの表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料13で被覆されているとともに、該金属材料13で被覆された該粒子12aどうしの間に空隙が形成されている構造であることが好ましい。
活物質としては、上述のとおり、Si又はSnを含み、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料が用いられることが好ましい。Siを含む負極活物質の例としては、シリコン単体、シリコンと金属との合金、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコンホウ化物などを用いることができる。これらの材料はそれぞれ単独で、あるいはこれらを混合して用いることができる。前記の合金に用いられる金属としては、例えばCu、Ni、Co、Cr、Fe、Ti、Pt、W、Mo及びAuからなる群から選択される1種類以上の元素が挙げられる。これらの金属のうち、Cu、Ni、Coが好ましく、特に電子伝導性に優れる点、及びリチウム化合物の形成能の低さの点から、Cu、Niを用いることが望ましい。また、負極本体30が包被体20によって包被されてなる負極を電池に組み込む前に、又は組み込んだ後に、Siを含む負極活物質に対してリチウムを吸蔵させてもよい。特に好ましいSiを含む負極活物質は、リチウムの吸蔵量の高さの点からシリコン単体又はシリコン酸化物である。
一方、Snを含む負極活物質の例としては、スズ単体、スズと金属との合金などを用いることができる。これらの材料はそれぞれ単独で、あるいはこれらを混合して用いることができる。スズと合金を形成する前記の金属としては、例えばCu、Ni、Co、Cr、Fe、Ti、Pt、W、Mo及びAuからなる群から選択される1種類以上の元素が挙げられる。これらの金属のうち、Cu、Ni、Coが好ましい。合金の一例として、Sn−Co−C合金が挙げられる。また、Snと、Coと、Cと、Ni及びCrのうちの少なくとも一方とを含む合金も好ましく用いられる。
活物質の粒子12aの表面の少なくとも一部を被覆する金属材料13は、粒子12aの構成材料と異なる材料である。該金属材料13で被覆された該粒子12aの間には空隙が形成されている。つまり該金属材料13は、リチウムイオンを含む非水電解液が粒子12aへ到達可能なような隙間を確保した状態で粒子12aの表面を被覆している。図2中、金属材料13は、粒子12aの周囲を取り囲む太線として便宜的に表されている。なお同図は活物質層12の断面構造を二次元的にみた模式図であり、実際は、活物質の粒子12aは他の粒子12aと直接ないし金属材料13を介して接触している。ここで、「リチウム化合物の形成能の低い」とは、リチウムと金属間化合物若しくは固溶体を形成しないか、又は形成したとしてもリチウムが微量であるか若しくは非常に不安定であることを意味する。
金属材料13は導電性を有するものであり、その例としては銅、ニッケル、鉄、コバルト又はこれらの金属の合金などが挙げられる。特に金属材料13は、活物質の粒子12aが膨張収縮しても該粒子12aの表面の被覆が破壊されにくい延性の高い材料であることが好ましい。そのような材料としては銅を用いることが好ましい。
金属材料13は、活物質層12の厚み方向の90%以上、特に全域にわたって活物質の粒子12aの表面に存在していることが好ましい。そして金属材料13のマトリックス中に粒子12aが存在していることが好ましい。これによって、充放電によって粒子12aが膨張収縮することに起因して微粉化しても、その脱落が起こりづらくなる。また、金属材料13を通じて活物質層12全体の電子伝導性が確保されるので、電気的に孤立した粒子12aが生成すること、特に活物質層12の深部に電気的に孤立した粒子12aが生成することが効果的に防止される。このことは、活物質として半導体であり電子伝導性の乏しい材料、例えばSiを含む材料を用いる場合に特に有利である。金属材料13が活物質層12の厚み方向全域にわたって粒子12aの表面に存在していることは、該金属材料13を測定対象とした電子顕微鏡マッピングによって確認できる。
金属材料13は、活物質の粒子12aの表面を連続に又は不連続に被覆している。金属材料13が粒子12aの表面を連続に被覆している場合には、金属材料13の被覆に、非水電解液の流通が可能な微細な空隙を形成することが好ましい。金属材料13が粒子12aの表面を不連続に被覆している場合には、粒子12aの表面のうち、金属材料13で被覆されていない部位を通じて該粒子12aへ非水電解液が供給される。
活物質の粒子12aの表面を被覆している金属材料13は、その厚みの平均が好ましくは0.05〜2μm、更に好ましくは0.1〜0.25μmという薄いものである。つまり金属材料13は最低限の厚みで以て粒子12aの表面を被覆している。これによって、エネルギー密度を高めつつ、充放電によって粒子12aが膨張収縮して微粉化することに起因する脱落を防止している。ここで言う「厚みの平均」とは、粒子12aの表面のうち、実際に金属材料13が被覆している部分に基づき計算された値である。したがって粒子12aの表面のうち金属材料13で被覆されていない部分は、平均値の算出の基礎にはされない。
金属材料13で被覆された活物質の粒子12a間に形成された空隙は、リチウムイオンを含む非水電解液の流通の経路としての働きを有している。この空隙の存在によって非水電解液が活物質層12の厚み方向へ円滑に流通するので、サイクル特性を向上させることができる。更に、粒子12a間に形成されている空隙は、充放電で活物質の粒子12aが体積変化することに起因する応力を緩和するための空間としての働きも有する。充電によって体積が増加した活物質の粒子12aの体積の増加分は、この空隙に吸収される。その結果、該粒子12aの微粉化が起こりづらくなり、また負極本体30の著しい変形が効果的に防止される。
活物質層12に形成されている空隙について本発明者らが検討したところ、活物質層12の空隙率を好ましくは15〜45%、更に好ましくは20〜40%、一層好ましくは25〜35%に設定すると、活物質層12内における非水電解液の流通が極めて良好になり、また活物質の粒子12aの膨張収縮に伴う応力緩和に極めて有効であることが判明した。特に、上限を35%とすることで活物質層内の導電性の向上と強度維持に極めて効果的であり、下限を25%とすることで電解液の選択の幅を広げることができる。このような高空隙率の活物質層を備えた負極本体30を用いることで、従来は用いることが困難であると考えられてきた高粘度の非水電解液を用いることが可能になる。
活物質層12の空隙量は、水銀圧入法(JIS R 1655)で測定される。水銀圧入法は、固体中の細孔の大きさやその容積を測定することによって、その固体の物理的形状の情報を得るための手法である。水銀圧入法の原理は、水銀に圧力を加えて測定対象物の細孔中へ圧入し、その時に加えた圧力と、押し込まれた(浸入した)水銀体積の関係を測定することにある。この場合、水銀は活物質層12内に存在する大きな空隙から順に浸入していく。
本発明においては、圧力90MPaで測定した空隙量を全体の空隙量とみなしている。本発明において、活物質層12の空隙率(%)は、前記の方法で測定された単位面積当たりの空隙量を、単位面積当たりの活物質層12の見かけの体積で除し、それに100を乗じることにより求める。
活物質層12は、好適には粒子12a及び結着剤を含むスラリーを集電体上に塗布し乾燥させて得られた塗膜に対し、所定のめっき浴を用いた電解めっきを行い、粒子12a間に金属材料13を析出させることで形成される。金属材料13の析出の程度は、活物質層12の空隙率の値に影響を及ぼす。所望の空隙率を達成するためには、前記の塗膜中に、めっき液の浸透が可能な空間が形成されている必要がある。めっき液の浸透が可能な空間を塗膜内に必要かつ十分に形成するためには、活物質の粒子12aの粒度分布が大きな要因となっていることが本発明者らの検討の結果判明した。詳細には、活物質の粒子12aとしてD10/D90で表される粒度分布が好ましくは0.05〜0.5、更に好ましくは0.1〜0.3であるものを採用することで、塗膜内に所望とする程度の空間が形成され、 めっき液の浸透が十分となることが判明した。また電解めっき時に塗膜の剥がれ落ちを効果的に防止し得ることが判明した。D10/D90が1に近ければ近いほど、粒子12aの粒径が単分散に近くなるから、前記の範囲の粒度分布はシャープなものであることが判る。つまり本実施形態においては粒度分布がシャープな粒子12aを用いることが好ましい。粒度分布がシャープな粒子12aを用いることで、該粒子12aを高密度充填した場合に、粒子間の空隙を大きくすることができる。逆に粒度分布がブロードな粒子を用いると、大きな粒子間に小さな粒子が入り込み易くなり、粒子間の空隙を大きくすることが容易でない。また、粒度分布がシャープな粒子12aを用いると、反応にばらつきが生じにくくなるという利点もある。
サイクル特性に優れた負極を得るためには、活物質の粒子12aの粒度分布が上述の範囲内であることに加えて該粒子12a自体の粒径も重要である。活物質の粒子12aの粒径が過度に大きい場合には、粒子12aが膨張収縮を繰り返すことで微粉化しやすくなり、それによって電気的に孤立した粒子12aの生成が頻発する。また活物質の粒子12aの粒径が小さすぎる場合には、該粒子12a間の空隙が小さくなりすぎて、後述する浸透めっきによって空隙が埋められてしまうおそれがある。このことはサイクル特性の向上の点からはマイナスに作用する。そこで本実施形態においては、活物質の粒子12aとしてその平均粒径がD50で表して0.1〜5μm、特に0.2〜3μmであることが好ましい。
活物質の粒子12aの粒度分布D10/D90及び平均粒径D50の値は、レーザー回折散乱式粒度分布測定や、電子顕微鏡観察(SEM観察)によって測定される。
活物質層12の空隙率を前記の範囲内とするためには、前記の塗膜内にめっき液を十分浸透させることが好ましい。これに加えて、該めっき液を用いた電解めっきによって金属材料13を析出させるための条件を適切なものとすることが好ましい。めっきの条件にはめっき浴の組成、めっき浴のpH、電解の電流密度などがある。めっき浴のpHに関しては、これを7超11以下、特に7.1以上11以下に調整することが好ましい。pHをこの範囲内とすることで、活物質の粒子12aの溶解が抑制されつつ、該粒子12aの表面が清浄化されて、粒子表面へのめっきが促進され、同時に粒子12a間に適度な空隙が形成される。pHの値は、めっき時の温度において測定されたものである。
めっきの金属材料13として銅を用いる場合には、ピロリン酸銅浴を用いることが好ましい。また該金属材料としてニッケルを用いる場合には、例えばアルカリ性のニッケル浴を用いることが好ましい。特に、ピロリン酸銅浴を用いると、活物質層12を厚くした場合であっても、該層の厚み方向全域にわたって、前記の空隙を容易に形成し得るので好ましい。また、活物質の粒子12aの表面には金属材料13が析出し、かつ該粒子12a間では金属材料13の析出が起こりづらくなるので、該粒子12a間の空隙が首尾良く形成されるという点でも好ましい。ピロリン酸銅浴を用いる場合、その浴組成、電解条件及びpHは次のとおりであることが好ましい。
・ピロリン酸銅三水和物:85〜120g/l
・ピロリン酸カリウム:300〜600g/l
・硝酸カリウム:15〜65g/l
・浴温度:45〜60℃
・電流密度:1〜7A/dm2
・pH:アンモニア水とポリリン酸を添加してpH7.1〜9.5になるように調整する。
ピロリン酸銅浴を用いる場合には特に、P27の重量とCuの重量との比(P27/Cu) で定義されるP比が5〜12であるものを用いることが好ましい。P比が5未満のものを用いると、活物質の粒子12aを被覆する金属材料13が厚くなる傾向となり、粒子12a間に所望の空隙を形成させづらい場合がある。また、P比が12を超えるものを用いると、電流効率が悪くなり、ガス発生などが生じやすくなることから生産安定性が低下する場合がある。更に好ましいピロリン酸銅浴として、P比が6.5〜10.5であるものを用いると、活物質の粒子12a間に形成される空隙のサイズ及び数が、活物質層12内での非水電解液の流通に非常に有利になる。
アルカリ性のニッケル浴を用いる場合には、その浴組成、電解条件及びpHは次のとおりであることが好ましい。
・硫酸ニッケル:100〜250g/l
・塩化アンモニウム:15〜30g/l
・ホウ酸:15〜45g/l
・浴温度:45〜60℃
・電流密度:1〜7A/dm2
・pH:25重量%アンモニア水:100〜300g/lの範囲でpH8〜11となるように調整する。
このアルカリ性のニッケル浴と前述のピロリン酸銅浴とを比べると、ピロリン酸銅浴を用いた場合の方が活物質層12内に適度な空隙が形成される傾向があり、負極の長寿命化を図りやすいので好ましい。
前記の各種めっき浴に、タンパク質、活性硫黄化合物、セルロース等の銅箔製造用電解液に用いられる各種添加剤を加えることにより、金属材料13の特性を適宜調整することも可能である。
本実施形態の負極本体30においては、水銀圧入法で測定された活物質層12の空隙量から算出された空隙率が前記の範囲内であることに加えて、10MPaにおいて水銀圧入法で測定された活物質層12の空隙量から算出された空隙率が10〜40%であることが好ましい。また、1MPaにおいて水銀圧入法で測定された活物質層12の空隙量から算出された空隙率が0.5〜15%であることが好ましい。更に、5MPaにおいて水銀圧入法で測定された活物質層12の空隙量から算出された空隙率が1〜35%であることが好ましい。上述したとおり、水銀圧入法による測定では、水銀の圧入条件を次第に高くしていく。そして低圧の条件下では大きな空隙に水銀が圧入され、高圧の条件下では小さな空隙に水銀が圧入される。したがって圧力1MPaにおいて測定された空隙率は、主として大きな空隙に由来するものである。一方、圧力10MPaにおいて測定された空隙率は、小さな空隙の存在も反映されたものである。これらの測定は、繊維シート付負極100から繊維シート14を剥離して得られた負極本体10を対象として行われる。
先に述べたとおり、活物質層12は、好適には粒子12a及び結着剤を含むスラリーを塗布し乾燥させて得られた塗膜に対し、所定のめっき浴を用いた電解めっきを行い、粒子12a間に金属材料13を析出させることで形成されるものである。したがって、上述した大きな空隙は、主として粒子12a間の空間に由来するものであり、一方、上述した小さな空隙は、主として粒子12aの表面に析出する金属材料13の結晶粒間の空間に由来するものであると考えられる。大きな空隙は、主として粒子12aの膨張収縮に起因する応力を緩和するための空間としての働きを有している。一方、小さな空隙は、主として非水電解液を粒子 12aに供給する経路としての働きを有している。これら大きな空隙と小さな空隙の存在量をバランスさせることで、サイクル特性が一層向上する。
負極本体30の全体に対する活物質の量が少なすぎると電池のエネルギー密度を十分に向上させにくく、逆に多すぎると強度が低下し活物質の脱落が起こりやすくなる傾向にある。これらを勘案すると、活物質層12の厚みは好ましくは10〜40μm、更に好ましくは15〜30μm、一層好ましくは18〜25μmである。
負極本体30においては、活物質層12の表面に薄い表面層(図示せず)が形成されていてもよい。また負極本体30はそのような表面層を有していなくてもよい。表面層の厚みは、0.25μm以下、好ましくは0.1μm以下という薄いものである。表面層の厚みの下限値に制限はない。表面層を形成することで、微粉化した活物質の粒子12aの脱落を一層防止することができる。尤も、本実施形態においては、活物質層12の空隙率を上述した範囲内に設定することによって、表面層を用いなくても、充放電に伴い微粉化した活物質の粒子12aの脱落を十分に防止することが可能である。
負極本体30が前記の厚みの薄い表面層を有するか又は該表面層を有していないことによって、この負極本体30及び包被体20を備えた負極を用いて二次電池を組立て、当該電池の初期充電を行うときの過電圧を低くすることができる。このことは、二次電池の充電時に活物質層12の表面でリチウムが還元することを防止できることを意味する。リチウムの還元は、両極の短絡の原因となるデンドライトの発生につながる。
負極本体30が表面層を有している場合、該表面層は活物質層12の表面を連続又は不連続に被覆している。表面層が活物質層12の表面を連続に被覆している場合、該表面層は、その表面において開孔しかつ活物質層12と通ずる多数の微細空隙(図示せず)を有していることが好ましい。微細空隙は表面層の厚さ方向へ 延びるように表面層中に存在していることが好ましい。微細空隙は非水電解液の流通が可能なものである。微細空隙の役割は、活物質層12内に非水電解液を供給することにある。微細空隙は、負極本体10の表面を電子顕微鏡観察により平面視したとき、金属材料13で被覆されている面積の割合、即ち被覆率が95%以下、特に80%以下、とりわけ60%以下となるような大きさであることが好ましい。被覆率が95%を超えると、高粘度な非水電解液が浸入しづらくなり、非水電解液の選択の幅が狭くなるおそれがある。
表面層は、リチウム化合物の形成能の低い金属材料から構成されている。この金属材料は、活物質層12中に存在している金属材料13と同種でもよく、あるいは異種でもよい。また表面層は、異なる2種以上の金属材料からなる2層以上の構造であってもよい。負極本体30の製造の容易さを考慮すると、活物質層12中に存在している金属材料13と、表面層を構成する金属材料とは同種であることが好ましい。
負極本体30における集電体11としては、非水電解液二次電池用負極の集電体として従来用いられているものと同様のものを用いることができる。集電体11は、先に述べたリチウム化合物の形成能の低い金属材料から構成されていることが好ましい。そのような金属材料の例は既に述べたとおりである。特に、銅、ニッケル、ステンレス等からなることが好ましい。また、コルソン合金箔に代表されるような銅合金箔の使用も可能である。集電体11の厚みは、負極本体30の強度維持と、エネルギー密度向上とのバランスを考慮すると、9〜35μmであることが好ましい。なお、集電体11として銅箔を使用する場合には、クロメート処理や、トリアゾール系化合物及びイミダゾール系化合物などの有機化合物を用いた防錆処理を施しておくことが好ましい。
負極本体30は好適には図3に示す方法で製造される。同図には、負極本体30を製造する工程が順次示されている。本製造方法では、活物質の粒子及び結着剤を含むスラリーを用いて集電体11上に塗膜を形成し、次いでその塗膜に対して電解めっきを行い、活物質層を形成する。
先ず図3(a)に示すように集電体11を用意する。そして集電体11上に、活物質の粒子12aを含むスラリーを塗布して塗膜15を形成する。集電体11における塗膜形成面の表面粗さは、輪郭曲線の最大高さで0.5〜4μmであることが好ましい。最大高さが4μmを超えると塗膜15の形成精度が低下する上、凸部に浸透めっきの電流集中が起こりやすい。最大高さが0.5μmを下回ると、活物質層12の密着性が低下しやすい。活物質の粒子12aとしては、好適に上述した粒度分布及び平均粒径を有するものを用いる。
スラリーは、活物質の粒子の他に、結着剤及び希釈溶媒などを含んでいる。またスラリーはアセチレンブラックやグラファイトなどの導電性炭素材料の粒子を少量含んでいてもよい。特に、活物質の粒子12aがSiを含む材料から構成されている場合には、該活物質の粒子12aの重量に対して導電性炭素材料を1〜3重量%含有させることが好ましい。導電性炭素材料の含有量が1重量%未満であると、スラリーの粘度が低下して活物質の粒子12aの沈降が促進されるため、良好な塗膜15及び均一な空隙を形成しにくくなる。また導電性炭素材料の含有量が3重量%を超えると、該導電性炭素材料の表面にめっき核が集中し、良好な被覆を形成しにくくなる。
結着剤としてはスチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)などが用いられる。希釈溶媒としてはN−メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが用いられる。スラリー中における活物質の粒子12aの量は30〜70重量%程度とすることが好ましい。結着剤の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。これらに希釈溶媒を加えてスラリーとする。
形成された塗膜15は、粒子12a間に多数の微小空間を有する。塗膜15が形成された集電体11を、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を含むめっき浴中に浸漬する。めっき浴への浸漬によって、めっき液が塗膜15内の前記微小空間に浸入して、塗膜15と集電体11との界面にまで達する。その状態下に電解めっきを行い、めっき金属種を粒子12aの表面に析出させる(以下、このめっきを浸透めっきとも言う)。浸透めっきは、集電体11をカソードとして用い、めっき浴中にアノードとしての対極を浸漬し、両極を電源に接続して行う。
浸透めっきによる金属材料の析出は、塗膜15の一方の側から他方の側に向かって進行させることが好ましい。具体的には、図3(b)ないし(d)に示すように、塗膜15と集電体11との界面から塗膜の表面に向けて金属材料13の析出が進行するように電解めっきを行う。金属材料13をこのように析出させることで、活物質の粒子12aの表面を金属材料13で首尾よく被覆することができるとともに、金属材料13で被覆された粒子12a間に空隙を首尾よく形成することができる。しかも、該空隙の空隙率を前述した好ましい範囲にすることが容易となる。
前述のように金属材料13を析出させるための浸透めっきの条件には、めっき浴の組成、めっき浴のpH、電解の電流密度などがある。このような条件については既に述べたとおりである。
図3(b)ないし(d)に示されているように、塗膜15と集電体11との界面から塗膜の表面に向けて金属材料13の析出が進行するようにめっきを行うと、析出反応の最前面部においては、ほぼ一定の厚みで金属材料13のめっき核からなる微小粒子13aが層状に存在している。金属材料13の析出が進行すると、隣り合う微小粒子13aどうしが結合して更に大きな粒子となり、更に析出が進行すると、該粒子どうしが結合して活物質の粒子12aの表面を連続的に被覆するようになる。
浸透めっきは、塗膜15の厚み方向全域に金属材料13が析出した時点で終了させる。めっきの終了時点を調節することで、活物質層12の上面に表面層(図示せず)を形成することができる。活物質の粒子12aの表面を被覆する金属材料13と、表面層を構成する材料が相違する場合には、塗膜15の厚み方向全域に金属材料13が析出した時点で、浸透めっきを一旦終了する。そして、金属材料13とは異なる金属材料を含むめっき液を用いて再び浸透めっきを行い、表面層を形成する。このようにして、図3(d)に示すように、目的とする活物質層12が得られる。
本発明の電極100を、非水電解液二次電池の正極及び/又は負極のいずれに適用する場合であっても、該電極100は、公知のセパレータ及び非水電解液とともに用いられ、非水電解液二次電池を構成する。二次電池の形態に特に制限はないが、負極、セパレータ及び正極の捲回体をプレスするときの電極からの活物質層の脱落が防止されるという観点からは、角型又は円筒型の二次電池であることが好ましい。尤も、コイン型等の形態であっても何ら差し支えない。セパレータとしては、合成樹脂製不織布、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、又はポリテトラフルオロエチレンの多孔質フィルム等が好ましく用いられる。非水電解液は、支持電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液からなる。リチウム塩としては、CF3SO3Li、(CF3SO22NLi、(C25SO22NLi、LiClO4、LiA1Cl4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCl、LiBr、LiI、LiC49SO3等が例示される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
図1は、本発明の包被体付非水電解液二次電池用電極の一実施形態の構造を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の電極の適用対象として特に好ましい実施形態である負極の断面構造を示す模式図である。 図3(a)ないし(d)は、図2に示す負極の製造工程を順次示す工程図である。
符号の説明
100 包被体付非水電解液二次電池用電極
10 電極本体
11 集電体
12 活物質層
12a 活物質の粒子
13 金属材料
20 包被体
21a,21b シート
22 シートの接合部

Claims (9)

  1. 集電体の少なくとも一面に形成された、活物質の粒子を含む活物質層を有する電極本体と、該電極本体の各面を覆うように該電極本体を包被する包被体とを有し、
    前記包被体における前記活物質層との対向部位が、非水電解液の流通が可能で、かつ前記活物質の粒子の通過を妨げる程度の目開きを有する材料から構成されていることを特徴とする包被体付非水電解液二次電池用電極。
  2. 前記対向部位と前記活物質層とが非接合状態になっている請求項1記載の包被体付非水電解液二次電池用電極。
  3. 前記電極本体が長尺帯状の形態を有し、前記包被体が該電極本体の包被が可能な筒状の形態をしている請求項1又は2記載の包被体付非水電解液二次電池用電極。
  4. 前記包被体が、2枚のシートを重ね合わせ、それらの両側部どうしを接合して筒状となされたものから構成されている請求項3記載の包被体付非水電解液二次電池用電極。
  5. 2枚の前記シートのうち、前記対向部位に位置するシートが繊維シートからなる請求項4記載の包被体付非水電解液二次電池用電極。
  6. 前記繊維シートが不織布からなる請求項5記載の包被体付非水電解液二次電池用電極。
  7. 前記不織布が自己融着性を有する繊維を含んでいる請求項6記載の包被体付非水電解液二次電池用電極。
  8. 前記自己融着性を有する繊維が液晶ポリマーを含んでいる包被体付非水電解液二次電池用電極。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の包被体付非水電解液二次電池用電極を正極及び/又は負極として用いたことを特徴とする非水電解液二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2015152092A1 (ja) * 2014-03-31 2017-04-13 株式会社クレハ 非水電解質二次電池負極材料、非水電解質二次電池用負極合剤、非水電解質二次電池用負極電極、非水電解質二次電池及び車両

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